著者
三好 崇夫 吉田 大唯 土田 隼之
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
AI・データサイエンス論文集 (ISSN:24359262)
巻号頁・発行日
vol.4, no.3, pp.414-424, 2023 (Released:2023-11-14)
参考文献数
17

全国の河川に存在するとされる管理者不明橋では,その不具合により利用者を巻き込む事故が発生しており,老朽化や災害による損壊も懸念されている.河川の総延長は膨大であるため,人員,予算面から管理者不明橋の実態把握に難色を示す自治体もある.近年,高解像度の航空写真や地理空間情報の入手が容易となっていることから,それらを用いて深層学習により直接的に橋梁を検出することや,道路や河川を検出し,互いの交差部や河川を分断する地物として橋梁位置を推定し,その位置情報をデータベースと照合することによって,管理者不明橋を自動的に特定することが考えられる.本研究ではそれに向けて,航空写真や地理空間情報,それらの重ね合わせ画像から河川や道路,橋梁の深層学習による検出精度について検討した.
著者
松本 和也
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.55, no.11, pp.24-34, 2006-11-10 (Released:2017-08-01)

本稿は、抽象化された普遍性において読まれてきた受容史に抗い、武田泰淳「ひかりごけ」の精読を通してその歴史性・今日性を論じる試みである。「ひかりごけ」をメタフィクションと捉え直して紀行文における「私」の身振りから"境界(線)の物語"を読み解いた上で、「人肉事件」というモチーフに対する複数の表象を分析し、"脱境界(線)の物語"としての「ひかりごけ」の相貌を取り戻し、その歴史的位置までを論じた。
著者
Tiantian Zhang Ping Zhu Junjie Lian Yunchun Liu
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
IEICE Electronics Express (ISSN:13492543)
巻号頁・発行日
vol.20, no.22, pp.20230390, 2023-11-25 (Released:2023-11-25)
参考文献数
31

The stress analysis of packaging on packaging (POP) under random vibration loading is conducted using the finite element model. The effect of structural parameters on solder joint stresses is analyzed by sensitivity analysis. Stress fitting is performed using the response surface method (RSM), and the optimization module is used to optimi-ze the structural parameters of POP packaging. The results demonstrate a reduction of 0.016 and 0.0031MPa in upper and lower solder joint stresses, respectively. This optimization of the structural parameters improves the reliability of the electronic packaging structure.
著者
毛利 光男 馬場 直紀 青木 陽士 平澤 卓也
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:24366021)
巻号頁・発行日
vol.79, no.11, pp.23-00045, 2023 (Released:2023-11-20)
参考文献数
19

本研究は,実機による枯葉剤ダイオキシン汚染土壌の実証試験において土壌洗浄の浄化性能を定量的に評価したものである.サイクロンによるダイオキシン除去率は67~87%(平均79.2%)であったが,後段のフローテーションによって除去率は91~97%(平均94.0%)へ大きく向上した.土壌洗浄によって16,000pg-TEQ/gまでの汚染土壌から住宅地(300),緑地・公園(600),商業地・工業地(1,200)のいずれかの基準を満足する浄化土を実際に産出できることを実証した.回収される浄化産物(浄化土+粗粒分)の割合は元土壌の59~74%(平均65%),濃縮残渣の割合は26~41%(平均35%)であり十分な減容化効果が認められた.濃縮残渣の濃縮倍率は1.3~3.8の範囲にあり平均は2.4であった.
著者
保田 敬一 井口 進
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:24366021)
巻号頁・発行日
vol.79, no.11, pp.22-00300, 2023 (Released:2023-11-20)
参考文献数
15

インフラシステム海外展開を推進していく上で本邦企業受注額を確保・増加させていくことは目標達成のためにも重要である.近年の国際協力に関するインフラ輸出競合国の援助状況を鑑みると,STEPや質の高いインフラ整備をはじめとする日本の円借款の方針も周辺の環境変化にうまく対応しているとは言い難いのが現状である.本研究では,円借款事業の本邦企業受注状況を整理する.そして橋梁を対象にプロジェクトの内訳を調査した後,STEPの適用状況を整理し,インフラ輸出の実績を伸ばしていくための方策について考察する.
著者
丸山 記美雄 上野 千草
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:24366021)
巻号頁・発行日
vol.79, no.11, pp.23-00136, 2023 (Released:2023-11-20)
参考文献数
17

本研究の目的は,アスファルト混合物が水の存在や凍結融解が作用することで受ける影響を実験に基づいて定量的に評価することにある.室内試験によって,アスファルト混合物は水が浸透し凍結融解作用を受けることで,骨材飛散やひび割れに対する抵抗性が低下することを確認した.さらに,その影響程度を定量的に評価した結果,凍結融解作用が及ぼす影響は水分の含浸のみが及ぼす影響と比べても大きなものであると評価された.また,凍結融解作用はアスファルト混合物の空隙を増加させるが,アスファルトモルタル内部に元々存在する空隙を拡大させるだけでなく,骨材とアスファルトモルタルの境界面に沿って新たに空隙を形成しながら進行することや,混合物の骨材粒度や使用するアスファルトの種類によって凍結融解抵抗性が異なるなどの知見も得られた.
著者
大原 涼平 下村 匠
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:24366021)
巻号頁・発行日
vol.79, no.11, pp.23-00062, 2023 (Released:2023-11-20)
参考文献数
36

シラン系表面含浸材を用いたひび割れ補修による水分浸透抑制効果を把握するため,シラン系表面含浸材を塗布したひび割れを有する供試体を屋外暴露し,質量の経時変化を測定した.その結果,ひび割れを有する供試体にシラン系表面含浸材を塗布した場合,ひび割れによる吸水の促進を抑制することが明らかとなった.また,温湿度の変動・降雨・ひび割れの影響を考慮したコンクリートの水分移動解析を用いた検討より,シラン系表面含浸材を用いたひび割れ補修による水分浸透抑制効果は含浸部の吸水の抑制と乾燥・吸湿時の水分移動の低減であることを明らかにした.
著者
山岸 明彦
出版者
Tokyo Geographical Society
雑誌
地学雑誌 (ISSN:0022135X)
巻号頁・発行日
vol.112, no.2, pp.197-207, 2003-04-25 (Released:2009-11-12)
参考文献数
24
被引用文献数
1

The results of an experimental test for verifying the hypothesis that the common ancestor of all living organisms (universal ancestor, commonote) was a hyperthermophile (Miyazaki, et al., 2001), are explained. In the experiment, mutant enzymes with ancestral aminoacids were made using a gene engineering technique. The mutant enzymes were purified and tested for thermostability. The mutant enzymes with ancestral aminoacids showed higher thermostability than the contemporary hyperthermophile enzyme. The results suggest that the common ancestor of all living organisms was a hyperthermophile. The argument related to the hyperthermophilic common ancestor hypothesis was reviewed with respect to the experimental test.
著者
中鉢 直宏
出版者
一般社団法人 大学ICT推進協議会
雑誌
学術情報処理研究 (ISSN:13432915)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.29-37, 2023-11-27 (Released:2023-11-27)
参考文献数
16

情報プレースメントテスト(以下:IPT)とは,情報処理学会一般情報教育委員会が実施する,大学初年次の学生を対象に行われるテストである.本研究では,ChatGPTを使用したIPTのための作問支援についてその可能性を検討した.情報分野においてもChatGPTを使用することで,キーワードから設問の作成や既存の設問に対する選択肢の作成が可能であることが分かった.また,作成時に難易度を指定することにより,段階的な出題の傾向が見られた.IPTで使用された既存の設問に対してChatGPTに解かせたところ,高い正答率であった.そして,計算などの問題の間違える傾向について確認することができた.ChatGPTを使った難易度の評価については,大学1年生レベルの平均の難易度と評価され,IPTの作問時に想定した難易度と一致した.しかし,実際の正答率と各設問の難易度の関係は弱い負の相関であった.
著者
神田 將志
出版者
日本経営診断学会
雑誌
日本経営診断学会論集 (ISSN:18824544)
巻号頁・発行日
vol.23, pp.42-48, 2023-11-28 (Released:2023-11-28)
参考文献数
12

サブスクリプション型コンテンツ配信サービス,特に急拡大する定額制動画配信(Subscription Video on Demand)サービスにおける消費者行動の分析については,計画的行動理論をはじめとする消費者行動モデルに基づく研究が行われている。しかしながら,調査時点における消費者の将来的な行動意図の推計にとどまっている。そこで,本研究では,行動意図に加え,実際の行動までを実測データとするシングルソースデータを用い,共分散構造分析による消費者の意思決定プロセスの分析を試みる。実際の行動変化の観測データから,行動意図,および行動を因子変数化し,計画的行動理論による消費者行動モデルのマーケティングへの応用の有効性について検討する。
著者
春原 則子
出版者
一般社団法人 日本高次脳機能障害学会
雑誌
高次脳機能研究 (旧 失語症研究) (ISSN:13484818)
巻号頁・発行日
vol.38, no.3, pp.281-284, 2018-09-30 (Released:2019-10-02)
参考文献数
18

発達性ディスレクシアの読み書き困難に対する介入には, 支援と指導という大きな 2 つの方向がある。本稿では, 仮名の読み書き, 漢字の書字に関する 2 つの指導方法を紹介した。いずれも詳細な認知機能の評価から障害構造を推定し, さらにバイパスとして活用できる良好な機能を見出すことによって編み出されたものである。どちらも症例シリーズ研究法によって科学的な効果が確認され, 適用についても明確に示されている。発達性ディスレクシアについては複数要因説が有力であり, 指導方法も一様ではない可能性が高い。さらなる適切な介入方法の立案と効果や適用に関する知見の積み重ねが急がれる。
著者
田浪 亜央江
出版者
広島市立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-04-01

土地や社会的よりどころを失ったパレスチナ人にとって文化はアイデンティティの表現手段であるとともに、占領や抑圧に対する抵抗手段である。他方で国際社会とりわけ援助機関からは「平和構築」の手段とみなされ、しばしば管理の対象となる。本研究では、パレスチナ文化のもつこうした背反的な機能やジレンマをパレスチナ人自身がいかに自覚しつつ、自分たちの文化活動にどのように向き合っているのかを探った。そしてパレスチナ社会内部への問い返しや自己批判を行いつつ、こうした状況を皮肉や嘲笑の対象として新たな作品創造のモチーフとする文化表現のあり方を捉えた。
著者
小林 聖幸 鎌田 英紀 中林 良太 小野 正大 河野 寿明 波間 大輔 藤田 直樹 山名 浩喜 徳毛 誠樹 國土 泰孝
出版者
一般社団法人 日本胆道学会
雑誌
胆道 (ISSN:09140077)
巻号頁・発行日
vol.37, no.4, pp.747-753, 2023-10-31 (Released:2023-10-31)
参考文献数
18

近年,内視鏡的経乳頭的胆嚢ドレナージ術は急性胆嚢炎に対して行われるドレナージ方法の一つとして普及しているが,bridge to surgery(BTS)におけるドレナージとしての報告は少ない.今回,急性胆嚢炎のBTSとして内視鏡的経乳頭的胆嚢ステント留置術(EGBS)を行った20例を経験したため報告する.166例の急性胆嚢炎症例の内,BTSとしてEGBSを施行した20例を対象とし,有用性と安全性について検討した.EGBSの手技的成功率は100%(20/20例),手技関連偶発症は5%(1/20例)に認め,軽症急性膵炎であり,保存的加療で改善した.術前待機期間のステントトラブルは5%(1/20例)にみられ,経乳頭的にステントを交換し,その後胆嚢摘出術が施行された.急性胆嚢炎診断時に早期胆嚢摘出術が困難な症例に対して,EGBSはBTSにおけるドレナージ法として有用かつ安全な治療法と考えられた.
著者
関根 佳恵
出版者
日本農業経済学会
雑誌
農業経済研究 (ISSN:03873234)
巻号頁・発行日
vol.92, no.3, pp.238-252, 2020-12-25 (Released:2021-03-25)
参考文献数
52

2040年までに持続可能な社会へ移行するために,日本ではどのような農業経営体によるどのような農業を目指すべきか.そのための政策とはどのようなものであるべきか.本稿は,国連やEUにおける農業政策の新潮流と政策思想の変遷をふまえて,日本における持続可能な社会に資する新たな農業経営体像を展望するため,4つのシナリオを検討する.結論として,農業に対する新たな社会的要請に応えることができるアグロエコロジーの推進,資源・エネルギー効率性という新たな経営の評価基準で優位性を発揮する小規模・家族経営の支援,小規模・分散型の生産・消費システムの構築という政策を提示する.
著者
鹿内 京子 石川 幹子
出版者
公益社団法人 日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.66, no.5, pp.453-456, 2003 (Released:2003-09-24)
参考文献数
39
被引用文献数
4 3

The purpose of this study is to analyze the historical evolution of the riverside common space, Uo-kashi in Nihonbashi from the point of view of the land use and land ownership. The official documents of kashichi licenses in 1882 and 1889, and kashichi maps in 1882 were used for analyzing the original characteristics of Uo-kashi before the modernization. The history of kashi is divided into four periods; pre-Shikukaisei, post-Shikukaisei, post-Big Kanto Earthquake and post-WWII. Three points were clarified. Firstly, there existed diverse open spaces in Kashi up until 1920’s, and it took important roles to connect the river and city. Secondly, after Big Kanto Earthquake the fish market removed, the original open space system rapidly disappeared. Thirdly, in spite of those situations, the land ownership of kashichi had remained to the public-sector until 1978. This means kashi had been regarded as the important common spaces, and the users should get the permission from the public. This system continued for over 350 years. It was only 30 years ago that this unique system had collapsed.
著者
永松 朝文 大塚 正人 AJAYA Shretha R. 真銅 隆至 池内 百江 芦田 則之
出版者
岡山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

本研究は,細胞増殖機能調節に関わっている酵素のチロシンキナーゼを阻害して,腫瘍細胞増殖を阻害する新規抗腫瘍薬開発を目的に行った研究である。デアザフラビン類縁化合物に関して,抗腫瘍活性データとコンピューターを駆使した酵素へのドッキングデータよりバーチャルスクリーニング系を構築した。この系より得られた活性情報を基にデザインした新たな活性有効化合物を合成・評価する新しい高効率抗腫瘍活性化合物検索系を構築した。