著者
瀧 健治 爲廣 一仁 古賀 仁士 石橋 和重 松尾 由美 平尾 朋仁 山田 晋仁
出版者
一般社団法人 日本臨床救急医学会
雑誌
日本臨床救急医学会雑誌 (ISSN:13450581)
巻号頁・発行日
vol.26, no.5, pp.607-613, 2023-10-31 (Released:2023-10-31)
参考文献数
19

目的:抵抗力が弱い重篤な患者や重症外傷患者を扱う医療施設で,衛生環境維持は重要な課題であり,抗菌加工剤のNRC(nano revolutionary carbon)の使用が衛生環境維持に有益か,実験的に検討する。方法:標準ブドウ球菌(以下,ブドウ球菌)・標準カンジダ菌(以下,カンジダ菌)・浮遊微生物菌を用いて,NRCの①細菌との接触時間,②抗菌活性の持続期間,③「抗菌加工」剤の二酸化塩素(クレベリン®,以下クレベリン)の抗菌活性持続期間,および④浮遊微生物菌へNRCの抗菌効果,を比較検討した。結果:NRCの抗菌効果/ 活性には細菌と30分以上の接触時間が必要で,抗菌活性の持続期間はブドウ球菌で約1年,カンジダ菌で2年6カ月とクレベリンの場合より長く,浮遊微生物菌にも有効な抗菌効果を確認した。結論:NRCの抗菌活性期間と浮遊微生物菌への効果から,抗菌加工剤のNRCは衛生環境維持に効果的であると実験的に評価した。
著者
岩田 洋夫 木村 優太 圓崎 祐貴 矢野 博明
出版者
特定非営利活動法人 日本バーチャルリアリティ学会
雑誌
日本バーチャルリアリティ学会論文誌 (ISSN:1344011X)
巻号頁・発行日
vol.22, no.4, pp.457-465, 2017 (Released:2017-12-31)
参考文献数
13
被引用文献数
1

The “Big Robot” has two legs with wheels, mounting the pilot at 5m height position. The robot goes forward according with the motion of the feet of the pilot. It is programed to make trajectory of head position of 5m giant. Thus, the pilot feels as if his/her body were extended to 5m giant. The biggest technical issue in large-scale robot is falling down to the ground. Thus, the base frame of BigRobot is made of steel and its linkages are made of CFRP. This structure enables low center of gravity and prevents from falling down. The Big Robot was exhibited at Ars Electronica Festival 2015, Tsukuba Media Art Festival 2015 and Emerging Technologies of SIGGRAPH 2016, that proved its effectiveness.
著者
富川 道彦 尾田 政臣
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 33.17 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
pp.1-4, 2009-03-18 (Released:2017-09-20)
参考文献数
8

動く観察対象に心があると感じる心的帰属の研究や,感情の言語表現を支えるイメージスキーマなどの研究から,動きと感情には何らかの関係があると考えられている。本研究では,単純な小円図形の,上下,往復,回転といった12種類の動きについて,実験参加者が対象をどのような感情と推定するか実験を行った。その結果,図形の動きに応じて共通する感情を推定することが明らかになった。これらの知見は,感情表現をインタフェースへ実装する上で有用であろう。
著者
青田 麻未
出版者
美学会
雑誌
美学 (ISSN:05200962)
巻号頁・発行日
vol.72, no.1, pp.25-36, 2021 (Released:2023-03-20)

This paper discusses the artistic value of “community-engaged art project” from the perspective of environmental aesthetics. Community-engaged art project refers to art projects that take place in a specific region for revitalization and other similar purposes. I evaluate the artistic value of it in terms of creating a chain of discovery of the aesthetic value of a place by various subjects. Section 1 examines Vid Simoniti’s “pragmatic view” of the artistic value of socially engaged art (SEA). Section 2 points out two problems that arise when applying the practical view of local art. The first is the ambiguity of community revitalization as a social purpose, and the second is that the view overlooks that art is an act of making something. Section 3 interprets previous research on creative placemaking and site-specificity from the perspective of environmental aesthetics and argues that local art creates a chain of discovery of the aesthetic value of a place at the initial stage of revitalization. Section 4 explains what exactly a chain of discovery of the aesthetic value of a place means, referring to the case of the Oku-noto triennale.
著者
星野 宏司 角田 和彦 佐々木 敏 蓑内 豊 武田 秀勝
出版者
日本スキー学会
雑誌
スキー研究 (ISSN:1349449X)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.47-53, 2013 (Released:2018-02-08)
参考文献数
20
被引用文献数
4

Alpine skiers require both aerobic and anaerobic capacity particularly for knee extension and flexion muscle strength. As for most all athletes, lactic acid removal is of utmost importance. In past studies, athletes from various disciplines have had their anaerobic power test measured using the power max VⅡ, but these studies were limited to only three parameters: body weight per peak power(watt/kg);peak revolution(rpm);and peak weight load(kp).However, the data generated was not very useful for elucidating discipline specific characteristics. With that in mind, we felt it necessary to search for more meaningful parameters that could possibly distinguish between speed and strength type muscle power and their relative contributions for peak performance in a range of disciplines. We studied such parameters in alpine skiers and found that they do indeed provide extremely useful data that can be used to better fine tune their training regimen. This study consisted of 97 subjects in three categories: ALP; 32 alpine skiers, XC; 39 cross-country skiers, and a control group of 28 fit but not athletically competitive adults. The average max power outputs for each group were as follows: ALP group 14.8±1.5watt, XC group 13.9±1.4watt, CONT group 13.1±1.5; anoxia values for the power tests anoxia characteristics are not shown as the results are obvious(ALP>XC>CONT). The observed strength to speed ratios varied significantly among the three groups: ALP>XC>CONT, with only the CONT ratio being below 1. This suggests that for alpine skiers the best training regimen should focus heavily on developing power in strength type muscles.
著者
久保 和也 佐藤 博之
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.90, no.10, pp.717-731_3, 1984-10-15 (Released:2008-04-11)
参考文献数
45
被引用文献数
3 1
著者
中島 欽一
出版者
日本重症心身障害学会
雑誌
日本重症心身障害学会誌 (ISSN:13431439)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.3-8, 2012 (Released:2023-05-31)
参考文献数
6

Ⅰ.はじめに 神経幹細胞は自己複製能を持つと同時に、中枢神経系を構成する主要な3細胞種であるニューロンおよびその機能を支持するアストロサイトとオリゴデンドロサイトへの多分化能を持った細胞である。近年ヒト成体脳においても神経幹細胞の存在が示され、その分化制御機構の解明は再生医学応用への観点からも注目されている。神経幹細胞の分化制御には、サイトカインや増殖因子といった細胞外因子の働きと、エピジェネティクス機構を含む細胞内在性プログラムの協調作用が重要であることが明らかになりつつある1)。バルプロ酸は抗てんかん薬として長らく使用されてきた薬剤であるが、近年ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤としての作用が報告された。そこで本稿では、エピジェネティクス機構の中でもバルプロ酸によるヒストンアセチル化制御を介した神経幹細胞分化制御機構について述べるとともに、それを利用した抗てんかん薬としての作用機序の一部、およびわれわれが新規に開発した脊髄損傷治療法について紹介したい。 Ⅱ.ヒストンアセチル化 エピジェネティクスとは「遺伝子配列変換を伴わずに、遺伝子発現を調節する仕組み」と簡単には定義される。この仕組みを考慮することで、全く同じ遺伝子セットを持つにもかかわらず、異なる細胞や組織がそれぞれに特異的な遺伝子を発現できるという現象をうまく説明できる。エピジェネティクス機構はDNA自身のメチル化や、DNAが巻き付いてクロマチン構造をとるために必要なヒストンタンパク質の修飾(アセチル化、ユビキチン化、リン酸化、SUMO化、メチル化など)によって調節される。一般的にヒストンのアセチル化は遺伝子発現に対して正に、脱アセチル化は負に作用することが知られている2)。これはヒストン尾部がアセチル化を受けるとDNAとの親和性が減少した結果、クロマチン構造が脱凝縮し、転写因子等がアクセスしやすい状態になるためであると考えられている。 Ⅲ.バルプロ酸 現在バルプロ酸は臨床現場において抗てんかん薬、あるいは気分安定薬として広く用いられている。バルプロ酸は1882年、Burtonらによって初めて無色の液体として合成されたが、長い間治療薬としての効果を発見されることはなく、有機化合物を溶解するときに代謝的に不活性な溶媒としてごくまれに使われる程度であった。図1にその構造を示す3)。その後バルプロ酸の抗てんかん薬としての薬理作用が発見されたのは、実に80年後のことであった。1962年、Eymardらはkhellineという薬剤の誘導体が抗てんかん薬としての薬理作用を持つか否かを調べていた。その薬剤は水や一般的な有機溶媒に溶けにくい性質を持っていたため、当時ビスマス塩等の溶媒として用いられていたバルプロ酸に溶かしたのである。こうして作られた薬液は著明な抗てんかん作用を示したが、実はその効果は溶媒として用いていたバルプロ酸によるものだということが後になって明らかになった。1963年、Meunierらはバルプロ酸に抗けいれん作用があることを発見し、1964年にはCarrazらによって抗てんかん作用が再度確認された。日本においては1975年に抗てんかん薬として承認され現在まで用いられている。1980年代にはドイツ、以後アメリカで抗躁作用が報告された。1995年にアメリカ食品医薬品局(FDA)で抗躁薬として認可され、現在ではリチウムに次いで双極性障害の治療薬として広く使われている。日本では2002年秋に双極性障害治療薬として承認された。 バルプロ酸は他の気分安定薬に比較すると副作用は少ないものの、長期投与をうけた女性の8割で多囊胞性卵巣症候群もしくは高アンドロゲン血症を誘発したという報告もあることから、妊娠時には禁忌とされており、特に女性に維持療法として投与する際には注意が必要である。 Ⅳ.バルプロ酸のニューロン分化促進作用 近年、このバルプロ酸に新たな薬理作用があることが報告された。それはヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)を阻害する働きである。前述のように、HDACが阻害されヒストンのアセチル化が亢進すると、クロマチン構造が弛緩し、転写因子などのDNA結合因子がアクセスしやすくなるとともに遺伝子の発現が亢進することが知られている。そこでわれわれはこのヒストンアセチル化状態が神経幹細胞分化に及ぼす影響を調べるために、神経幹細胞をバルプロ酸存在下に培養した。その結果、神経幹細胞をバルプロ酸で処理すると細胞増殖が抑制されると同時にニューロンへの分化が選択的に誘導されることを見いだした(図2)4)。これはゲノム全体のヒストンアセチル化がヒストン脱アセチル化酵素阻害によって亢進された場合、ニューロン以外にもアストロサイトやオリゴデンドロサイト特異的遺伝子の発現が促進された結果、混合された分化が見られるであろうという当初の予測に大いに反した結果であった。またこの増殖抑制とニューロン分化促進作用は他のHDAC阻害剤(トリコスタチンAおよび酪酸ナトリウム)を用いた場合にも同様に観察され、かつバルプロ酸の類似体でHDAC阻害作用を持たないバルプロミドでは見られなかったことから、これらの作用はバルプロ酸のHDAC阻害作用によって発揮されたものと考えられる。さらに興味深いことにバルプロ酸には、ニューロン分化促進作用に加え、神経幹細胞のアストロサイトやオリゴデンドロサイトへの分化を誘導する培養系においてはそれらグリア細胞への分化抑制作用も見られた。 前述バルプロ酸の機能発揮のメカニズムを解明するために、バルプロ酸によって発現が誘導される遺伝子を検索した結果、ニューロン分化誘導作用が知られているbasic-helix-loop-helix(bHLH)型転写因子であるNeuroDを同定した。このNeuroD遺伝子を神経幹細胞で発現させたところ、バルプロ酸処理によって見られたニューロン分化促進とグリア細胞への分化抑制が再現された。以上のことは、NeuroDがバルプロ酸の作用にとって重要な役割を果たしていることを示唆している4)。 Ⅴ.バルプロ酸の抗てんかん薬としての作用機序 これまで「バルプロ酸がなぜてんかんに効くか?」という問いに対する答えを模索すべく、様々な研究が行われてきた。バルプロ酸はGABA分解酵素であるGABAトランスアミナーゼを阻害し、抑制性シナプスでのGABA濃度を上昇させることが知られている。さらにGABAの再取り込み阻害、GABA受容体へのアゴニスト作用もあることから、抑制性ニューロンであるGABAニューロンを機能亢進させけいれんを抑制するといわれている。また、バルプロ酸はニューロンの生存促進効果があることも報告されている。 われわれは、てんかんと神経幹細胞の関わり、および神経幹細胞の増殖・分化に及ぼすバルプロ酸の影響に着目し、興味深い実験結果を得た5)。グルタミン酸受容体刺激剤であるカイニン酸を用いたてんかんモデルラットを使った実験では、記憶の中枢である海馬歯状回の神経幹細胞の増殖が促進され、異所性のニューロン新生が観察されるが、この新生ニューロンの樹状突起の伸長方向が不規則になっているのが観察された。そこにバルプロ酸を投与すると神経幹細胞の過度の増殖が抑制された結果、異所性ニューロン新生が阻害され、また不規則であった突起伸長方向の改善がみられた。これらにより、てんかんによって起こる異常発火の原因とそれを改善するバルプロ酸の新たな薬理作用が強く示唆された。またバルプロ酸投与により、てんかんによる海馬物体認識障害の改善もみられている。てんかんの原因はシナプスの伝達効率の異常、興奮性アミノ酸の放出亢進、GABAの放出減少、等が周知の事実であるが、ニューロンを生み出す神経幹細胞の増殖能の亢進やニューロン樹状突起の伸長方向の不規則性も、てんかんの病態に深く関わっており、それをバルプロ酸が改善するのかもしれない(図3)5)。 Ⅵ.バルプロ酸の損傷脊髄治療への応用 損傷脊髄治療に関して、神経再生の妨げになる損傷部の炎症を抑制するためにメチルプレドニゾロンを投与する方法、神経細胞の軸索伸展を促進するために神経栄養因子を投与する方法、軸索伸展阻害タンパク質の機能阻害抗体を投与する方法、軸索伸展を阻害するプロテオグリカンの分解酵素を投与する方法などがこれまでに試されているものの、劇的な治療効果はみられていない。さらに、損傷脊髄ではグリア細胞(特にアストロサイト)が増殖し瘢痕を形成することでニューロンの軸索伸長が阻害されることも知られている。また損傷脊髄内では、神経幹細胞からアストロサイトへの分化を促進するサイトカイン群の発現上昇がみられ、移植および内在性神経幹細胞の多くはアストロサイトへと分化してしまい、軸索も修復されず下肢運動機能改善はほとんどみられない。 (以降はPDFを参照ください)
著者
升井 淳 橋本 純子 朴 將輝 柳 英雄
出版者
一般社団法人 日本臨床救急医学会
雑誌
日本臨床救急医学会雑誌 (ISSN:13450581)
巻号頁・発行日
vol.26, no.5, pp.601-606, 2023-10-31 (Released:2023-10-31)
参考文献数
11

救急搬送において高齢者がその多くを占め,うち自己転倒の患者は多く,救急搬送数増加の一因となっている。今回高齢自己転倒患者に関して,患者背景,予後などを検討した。 対象は2022年1月1日〜6月30日の期間に当院に救急搬送された高齢自己転倒患者とし,65歳以上を高齢者,明らかな外力のない転倒を自己転倒とした。カルテ調査を行い,後方視的に検討した。対象は370例,年齢中央値80.0(74-86),男性158例で,骨折を伴わない止血処置を要する出血24例(6.5%),骨折141例(38.1%)に認めた。入院106例(28.6%)でうち37例(10.0%)は入院21日時点においても入院が必要であったが,死亡例はなかった。入院群では外来帰宅群と比較し,多剤内服(5剤以上)(62.3% vs 21.7%,p=0.029)である割合が有意に高かった。年齢や性別,飲酒などは入院に寄与しなかった。自己転倒により高齢者においては約3 割が入院しており,内服薬調整を含めた転倒予防が重要と考える。
著者
及川 浩平 青木 英彦 菊池 研 房崎 哲也 佐藤 紀夫 岩坂 潤二 遠藤 重厚
出版者
Japanese Association for Acute Medicine
雑誌
日本救急医学会雑誌 (ISSN:0915924X)
巻号頁・発行日
vol.14, no.3, pp.153-157, 2003-03-15 (Released:2009-03-27)
参考文献数
13

A 69-year-old female was found unconscious after nearly drowning (submersion) in a hot spring spa (Tamagawa spa, Akita prefecture) on June, 2001. The near drowning was associated with acid aspiration. She developed acute respiratory distress syndrome and shock after arrival at our emergency room. She was immediately treated using mechanical ventilation and percutaneous cardiopulmonary support. However, she died on the fourth hospital day as a result of a rapidly progressive lung injury induced by acid aspiration. Lung CT images demonstrated heterogeneous pulmonary infiltrations with irregularly fused cavities. An autopsy showed marked degeneration of the alveolar epithelium and abnormal deposits within the alveoli.
著者
安藤 啓司
出版者
公益社団法人 計測自動制御学会
雑誌
計測と制御 (ISSN:04534662)
巻号頁・発行日
vol.60, no.2, pp.131-135, 2021-02-10 (Released:2021-02-16)
参考文献数
39
著者
田近 正洋 田中 努 石原 誠 水野 伸匡 原 和生 肱岡 範 今岡 大 小森 康司 木村 賢哉 木下 敬史 山雄 健次 丹羽 康正
出版者
日本大腸肛門病学会
雑誌
日本大腸肛門病学会雑誌 (ISSN:00471801)
巻号頁・発行日
vol.68, no.10, pp.900-907, 2015 (Released:2015-10-31)
参考文献数
34
被引用文献数
3 3

【目的】家族性大腸腺腫症(FAP)に対する大腸全摘術後に造設された回腸嚢における腺腫や癌の発生について解説する.【方法】FAP術後の回腸嚢に発生した腺腫あるいは癌に関する36論文をreviewし,その発生頻度,特徴,サーベイランスの方法について自験例も含めて検討した.【結果】回腸嚢における腺腫発生頻度は6.7%~73.9%で,回腸嚢造設から5年,10年,15年で,それぞれ7~16%,35~42%,75%と経時的に増加していた.癌の発生は22例の報告があり,発生までに術後中央値で10年(3~23.6年)を要していた.サーベイランスに関しては,術後6~12ヵ月ごとに内視鏡を行っている報告が多く,適切なサーベイランスを行う上では,最適な腸管洗浄とインジゴカルミンの使用が重要である.【結論】FAP術後の回腸嚢には,高率に腺腫,ときに癌が発生するため,術後早期からの定期的な内視鏡サーベイランスが重要である.
著者
小八重 智史 吉原 和明 谷本 優太 藤木 卓 渡辺 健次
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J106-D, no.11, pp.481-491, 2023-11-01

AI技術が急速に進歩する中にあって,我が国では将来的なAI人材の不足が指摘されている.本研究ではまず,中学生段階におけるAIに関する学習内容や学習方法が確立されていなかったことから,中学生を対象にAIに関する知識のつながりや概念の構造を明らかにして学習内容を整理するために,「中学生向けAI概念図」を開発し,それを基に題材指導計画を開発した.次に,中学生を対象にディープラーニングの仕組みを学習する授業の実現を意図し,顔認証セキュリティシステム教材を開発した.教材は,生徒が一人一台学習者用端末を用いて機械学習に用いる学習用データとなる顔写真を自分で用意し,各パラメータを設定することで機械学習モデルの性能に関与できること,自分の設定したパラメータによる成果を視覚的に確認し,それを基に試行錯誤することを可能としている.開発した題材指導計画に基づいた授業実践を行い,有用性を確認した.
著者
森松 克哉 山中 直樹 林 昌孝 亀岡 宣久 横畑 和紀
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.79, no.10, pp.2086-2090, 2018 (Released:2019-04-30)
参考文献数
13

症例は68歳,女性.19歳時に他院で潰瘍性大腸炎(以下UCと略記)に対し結腸全摘術,回腸直腸吻合術を施行された.術後49年目に当院内科を受診した際,高度の貧血を指摘され精査加療目的に入院となった.貧血の原因は特発性赤芽球癆と診断され,免疫抑制剤の投与により改善したが,貧血の精査目的に施行した下部消化管内視鏡検査で回腸直腸吻合部近傍の回腸に腫瘍性病変を認めた.生検の結果,印環細胞癌の診断で,回腸部分切除術を施行した.切除標本では筋層までの浸潤を認め,リンパ節転移を1個認めた.以前はUCに関連した小腸癌の発生はないとされていたが,近年,頻度は少ないが長期罹患UC患者に発生した回腸癌が報告されている.大腸全摘術施行後の長期罹患UC患者に対しては回腸癌の発生に対し留意し,定期的に回腸嚢の観察を行う必要があると考えられた.
著者
Mami Wakabayashi Masahiko Hachiya Noriko Fujita Kenichi Komada Hiromi Obara Ikuma Nozaki Sumiyo Okawa Eiko Saito Yasushi Katsuma Hiroyasu Iso
出版者
National Center for Global Health and Medicine
雑誌
Global Health & Medicine (ISSN:24349186)
巻号頁・発行日
pp.2023.01049, (Released:2023-11-05)
参考文献数
31

This study aimed to examine the changes that took place between 2015–2019 and 2020 and reveal how the COVID-19 pandemic affected financial contributions from donors. We used the Creditor Reporting System database of the Organization for Economic Cooperation and Development to investigate donor disbursement. Focusing on the Group of Seven (G7) countries and the Bill and Melinda Gates Foundation (BMGF), we analyzed their development assistance for health (DAH) in 2020 and the change in their disbursement between 2015 and 2020. As a result, total disbursements for all sectors increased by 14% for the G7 and the BMGF. In 2020, there was an increase in DAH for the BMGF and the G7 except for the United States. The total disbursement amount for the "COVID-19" category by G7 countries and the BMGF was approximately USD 3 billion in 2020, which was 3 times larger than for Malaria, 8.5 times larger for Tuberculosis, and 60% smaller for STDs including HIV/AIDS for the same year. In 2020 as well, the United States, the United Kingdom, Japan, Italy, and Canada saw their disbursements decline for more than half of 26 sectors. In conclusion, the impact of COVID-19 was observed in the changes in DAH disbursement for three major infectious diseases and other sectors. To consistently address the health needs of low- and middle-income countries, it is important to perform a follow-up analysis of their COVID-19 disbursements and the influence of other DAH areas.
著者
星 奈美子 迎 慎二 新澤 穣太郎 渡邊 茂 粕川 禮司 折笠 博史 小林 圭子 佐伯 武頼
出版者
一般社団法人 日本肝臓学会
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.43, no.11, pp.492-497, 2002-11-25 (Released:2009-03-31)
参考文献数
16
被引用文献数
6 6

1996年4月, 29歳時に発症した成人発症II型シトルリン血症の男性. 特殊ミルク (高アンモニア血症・シトルリン血症フォーミュラ®) の内服で3年間症状の改善が認められたが, 1999年に, 血清アンモニア値の上昇とともに脳症のコントロールが困難となった. そこで経口アルギニン製剤 (アルギU顆粒®) を投与したところ, アンモニア値の正常化と脳症の改善が認められた. しかし8カ月後の2001年3月に再びアンモニア値の上昇と脳症が出現し, 約5年の経過で死亡した.
著者
Jayson ROOK Chi-Hao CHENG
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
IEICE TRANSACTIONS on Information and Systems (ISSN:09168532)
巻号頁・発行日
vol.E106-D, no.11, pp.1822-1830, 2023-11-01

A multifunctional radar (MFR) with varying pulse sequences can change its signal characteristics and/or pattern, based on the presence of targets and to avoid being jammed. To take a countermeasure against an MFR, it is crucial for an electronic warfare (EW) system to be able to identify and separate a MFR's modes via analyzing intercepted radar signals, without a priori knowledge. In this article, two correlation-based methods, one taking the signal's order into account and another one ignoring the signal's order, are proposed and investigated for this task. The results demonstrate their great potential.