著者
塚本 修巳 雨宮 尚之 福井 聡 小川 純
出版者
横浜国立大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2002

交流損失を現状より1桁低減できれば高温超伝導の応用分野が大きく広がる.本研究はこのような観点に立ち,超伝導の微細構造における電磁現象の研究に基づき,線材,集合導体,巻線の各構造を互いに関連付けて統合的に交流損失の大幅低減を図る手法を研究し,高温超伝導を交流電気機器に応用するための要素技術を体系化することを目的とした.具体的な研究課題は,1.機器における磁気環境下での交流損失の評価法を確立すること,2.機器における電磁環境下での交流損失の大幅な低減手法を明らかにすること,3.ロバストかつ高い超伝導性能を発揮する巻線構成手法を明らかにすること,である.本研究の主な成果を下記に要約する.1.線材全交流損測定法:交流磁界下で交流通電したとき線材に生じる全損失の電気的測定法を開発した.熱的方法と同時に測定することにより,本方法の妥当性検証を行った.これにより,線材の交流損失測定法の確立をした.2.擬似ツイスト導体による磁化損失低減:斜にYBCO層を分割した2枚のテープ線材を張り合わせ,実質的に撚りの効果を得る方法,擬似ツイスト導体を提案した.これにより,分割数を増やすことにより交流損失を1桁以上減らすことが可能であることが示された.3.集合導体の損失測定法開発:我々の開発した集合導体の損失測定法により,非磁性基板Y系線材の場合,隣接線材の作る磁界により損失が単独通電時の値より1桁程度小さくなっていることがわかった.これにより,線材の並べ方により損失が大幅に減少することが示された.4.巻線の交流損失低減最適構造:高温超伝導テープ線材の損失データより交流損失を近似的に解析する手法を開発し,巻線の断面形状の最適設計方法を示した.5.Y系線材のクエンチ保護:Y系線材を用いたコイルのクエンチ保護のための導体の安定化設計法が明らかにした.以上により,上述の研究の目的はほぼ達成できた.
著者
廣田 昌彦 馬場 秀夫 高森 啓史 大村谷 昌樹 山本 章嗣 大村谷 昌樹 山本 章嗣
出版者
熊本大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

急性膵炎におけるオートファジーの意義と急性膵炎の発症機序を明らかにするために、Psti/Atg5ダブル欠損マウスと膵特異的Atg5欠損マウスを作成し、解析した。1)膵外分泌刺激時には、オートファジーの結果トリプシンが生成するが、通常はPSTI活性によりトリプシン活性は阻害されて膵障害は生じない、2)過剰な膵外分泌刺激によりトリプシン活性がPSTIの制御活性を超えると、連鎖的に膵消化酵素が活性化されて膵が障害される、という結論を得た。
著者
無敵 剛介 高木 俊明 津田 英照
出版者
久留米大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1985

60,6年度の研究により光ファイバーを利用して術中安全に忠実度の高い中心静脈圧波測定装置を開発したことから、右心房圧波の拡大記録によりelectromechanicalな分析を行うことができた。その結果、術中心拍動下に体循環平均圧(Pms)の理論値をmicracomputerにより算出し、その経時的変化を追究する方法を検討し、その臨床的有用性につき検討した。PmsはTNG投与により49±5%に減少し、修飾ゼラチン液の急速輸液ではcontrolの101±10%まで回復した。動・静脈キャパシタンス比(CV/CA)は、TNG投与によりcontrolの140±31%まで回復した。また、右心房圧波X谷-Y谷の圧差の変化は右心房Conduit機能と関連し、TNG投与で79±14%に低下し、修飾ゼラチン液の急速輸液では106±22%まで回復した。肺血管抵抗値はTNG投与によりcontrolの70±24%に減少し、その後の修飾ゼラチン液急速輸液ではcomtrolの96±40%まで増加してきた。一定量(5ml/kg)輸液時の中心静脈圧の変化値(Y谷)より静脈系容積弾性率(Ev)を求め、さらにCVP圧波の心血行力学的分析により算定したPms値およびCV/CA値より有効循環血漿量(Q)の理論値が算出され、その値は41.33±8.58ml/kgであった。心室収縮末期容量とEmax(Suga,H)とで規定される一回拍出量(S.V.)はS.V.=Preload-(Afterload)/(Emax)の式で表わされる。そこで、Preloadを輸液により上昇せりめると、一定のAfterloadに対する心室の適正なPump機能の維持がEmax(心筋収縮力)によって支えられることをTNG投与ならびに急速輸液時の右心機能の応答から確認し、静脈還流機構の術中管理の観点から静脈還流抵抗(【G_(CO)】,【G_(VR)】の循環生理学的概念に新しい見解を加えた。
著者
宮木 幸一 中山 健夫 岩隈 美穂
出版者
国立国際医療研究センター
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2008

本研究の主な目的はゲノム・コホート事業が開始され継続されていく中で市民の事業・研究に対する認知の現状と血液提供意思に影響を与える因子を把握し、それに基づいた市民・研究者双方への情報提供の在り方を検討することである。事業開始前の調査では、年齢階級別に無作為抽出された2000人(回収率53% : 1060部)のうち、研究参加希望者が36.3%(383名)、「わからない」と答えたものが42.3%(447名)、「血液を提供したくない」と答えたものが383名中62.7%(217名)であった。研究参加の理由は「子や孫の世代の健康づくりに役立つ」が最も多く67.5%(75名)であり、研究参加に消極的な理由は「予期しない不利益があるかもしれない」が最も多く584名中45.2%(264名)であった。消極的な層が参加に転じる条件として、「自分の解析結果の提示」を挙げたものが548名中(45.2% : 264名)と最も多かった。事業開始後1年半後に行った2500人対象の調査と聞き取り調査から、信用にたる事業者が提供する「お得な健診」として認知されていることが示唆され、ゲノム研究の認知に関しては国民性の差があることが示唆されているが、我が国でのゲノム疫学研究を進めていく上で参考とすべき事項が明らかとなった。
著者
岸 義樹
出版者
茨城大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1994

人工物の概念形成においては,現実に生ずる種々の要求に応ずるために,単一のタイプによった物・事象の処理の視点ではなく,多様なタイプの視点が必要とされている.本研究では,視点を表現するための方法論について考察し,(1)人手によって属性を数え上げることで構築される知識を主体とした記号視点構成法を示した.この方法と構文解析ツールによって,自然言語で表現した文章からWWW上の知識ベースを構築し,異なった視点で記述された知識の広範囲な利用可能性を示した.更に,非記号的な状態で視点を表す方法として,(2)1/0のシーケンスに遺伝的アルゴリズムとの解釈文法を適用して,述語やプログラムを獲得するbit視点構成法,(3)NNによって多くの事例から暗黙的にネットワークの重みと連結状態を構築し,自己収束的な問題解決を図る状態視点構成法の基本手法を明らかにした.前者は状態を解釈する文法や規則を与えることができるが,後者はネットワークの状態から明示的な意味を解釈することは困難である.この結果,各々の視点は,マクロ的処理,ミクロ的処理,直観的処理に適していることも明らかになった.単一視点型システムにおけるシステムの完全性確保には,周到な準備と膨大なデバッグ作業が必要となるため,用意された,あるいは獲得された具体的な視点間において,メッセージ交換や交渉などを介し,協調的な視点管理による概念形成が有効である.この協調的な視点管理手法をエージェントに基づいて考察し,対象に関する部分的に不確定性を有する知識・データベースに関して,エージェント間の交渉によって不確定性を除去して,知識・データベースに基づいた正当な協調動作を実現するエージェントシステムを構築し,2次元機構図面の理解と動作シミュレーションでシステムの機能を例証した.
著者
田中 一朗 戸田 保幸 松村 清重 鈴木 敏夫
出版者
大阪大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1987

船首尾部で発生する3次元剥離の発生機構及びその船型要素との関係を明らかにするとともに、これらの影響を考慮した船体まわりの流場、船体に働く流体力の計算法を開発することを目的とする。以下に調査法とその結果について述べる。1.通常船型を横断面積分布、偏平度分布、へこみ度分布を用いて表し、この船体が斜航する場合の流場の計算法を示した。この結果、剥離渦の強さ及び剥離線はへこみ度分布に強く依存することがわかった。2.上記計算法には剥離渦の発生初期の形状を必要とする。これを得るために、剥離渦を伴う円錐まわりの自己相似流場について調査し、剥離線近傍の剥離渦の形状を摂動法により求めた。この解はレイノルズ数が無限大の時に起きる剥離構造を示すことがわかった。しかし、この解析解は渦の端が無限遠方で渦の巻き込みを表せないため、この解を元に渦の局所的流速を用いて解を大局化させる反復法による計算法を示した。この結果、渦層は円錐からあまり離れず、有限レイノルズ数の渦層形状とはかなり異ることが明らかとなった。3.厚い境界層理論と簡易プロペラ理論を用いてプロペラ作動時の実用船型まわりの流場の計算法を開発した。その結果、プロペラ作動時においても計算結果は実験結果とよい一致を示すことがわかり、また、プロペラ作動時の方が船体表面圧力分布に及ぼす粘性影響が小さいことがわかった。また船体横断面形状をフレアーを持つように変形することで粘性圧力抵抗が軽減されることがわかった。4.船首砕波する流場を低フルード数という仮定で解析的に求めた。その結果、渦を伴っていない局所波は実験で得た波形によく似た形状となることがわかった。
著者
木村 光江 前田 雅英 亀井 源太郎
出版者
東京都立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

本研究は,強姦罪,強制わいせつ罪の他,児童買春等処罰法,ドメスティック・バイオレンス防止法(DV防止法),ストーカー規制法,さらに人身売買罪を含む,主として女性を被害者とする犯罪行為を取り上げ,その実態並びに法整備についての検討を行ったものである。まず,強姦罪・強制わいせつ罪については,本研究実施期間中の平成16年に,刑法典改正により重罰化が実施された。本研究では,このような重罰化の背景には,性犯罪に対する国民の意識の変化があることを明らかとした。すなわち,このような変化は,単に性犯罪を「性的自己決定に対する罪」「性的自由に対する罪」とする考え方から,女性の尊厳に対する重大な侵害を伴う「性的暴行・脅迫罪」とする理解へと変化したことの現れであると理解すべきなのである。このような理解の変化は,児童買春等処罰法,DV防止法,ストーカー規制法という一連の特別法制定の延長線上にある。これらの特別法は,従来,「犯罪」とはみなされてこなかった行為類型について,明確に処罰化したものである。女性を被害者とする行為に対して,国民は,より厳格な処罰を求めるようになってきたのである。本研究では,特に,特別法についてその実態を踏まえて分析・検討を行った。その結果,DV防止法,ストーカー規制法においては,刑罰以上に,その前段階としての接近禁止命令や退去命令,警察による警告が極めて有効であることが明らかとなった。ストーカー規制法に基づく,警察による援助も急増しており,これらが効果を発揮していることが分かる。刑罰以前の手段が有効であることは,人身売買に関する分析・検討からも窺われる。すなわち,人身売買罪の制定自体が諸外国に向けたわが国の姿勢を示すものとして重要であることは明白である。しかし,実質的には,特に風俗営業適性化法の改正などにより,人身売買の温床となる営業事態を取り締まることの重要性が明らかとなった。
著者
田中 実 小林 悟
出版者
基礎生物学研究所
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2010-04-01

身体が作られる過程において、雌雄の決定(性決定)はまず体細胞で行われる。この影響を受けて生殖細胞は卵になるか精子になる(生殖細胞の性決定)が、生殖細胞内でどのようなメカニズムによって性が決まるかは不明であった。本研究の結果、遺伝的制御の基盤が明らかとなり、身体の性決定前から生殖細胞にはY染色体依存的な性差があることが明らかとなった。さらに最終的に卵か精子になるスイッチ遺伝子の同定に成功し、スイッチを切り替えると、卵巣内で機能的な精子が作られる。また適切な性分化のためには、内分泌制御によってゲノムワイドにエピゲノム状態が影響されることが必要で、その制御が乱れると性転換が生じるとの知見が得られた。
著者
中野 忠 道重 一郎 菅原 秀二 唐澤 達之 小西 恵美 山本 千映 真保 晶子
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

消費文化や印刷文化の浸透を背景とする18世紀のイギリスの都市化は、人々の社会関係のあり方に新しい次元をもたらすとともに、古い制度や組織が担ってきた機能を新たな社会関係資本のネットワークのもとに再編する過程として進行した。都市社会はよりオープンになり、貧困や犯罪は中位層以上の市民が対処すべき社会問題となる一方で、社会的な差異を作り出す新たな力が作用し、参加型の地域社会もその性格を変えていった。
著者
程島 奈緒
出版者
東海大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

雑音下で発話の特性が変化することを応用し、駅など残響がある公共空間で高齢者や非母語話者に聞きやすい音声案内の作成を目的とした。若年者と高齢者に対する聴取実験の結果、白色雑音/残響を聞きながら発話した音声は、静かな環境で発話した音声(現在の音声案内)よりも、雑音/残響下(信号対雑音比=-2, 0 dB、残響時間1.4~3.6 s)で明瞭度が有意に上昇した。これらの音声を公共空間に拡声することで明瞭な音声案内を提供し、「音声によるバリアフリー」を実現できる可能性を示した。
著者
岡室 美奈子 三神 弘子 八木 斉子
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究では、サミュエル・ベケットとフランク・マクギネスの作品を中心に現代アイルランド演劇を、サウンドスケープ、モダニズム、オカルティズム、視聴覚テクノロジー、アイルランド史など多角的な視点から研究し、その成果の幾つかは国際的な学術誌や論集に掲載された。また、国内の研究者を組織してアイルランド演劇研究会とベケット・ゼミを運営し、成果を海外に発信するとともに海外の研究者との知的交流を推進し、国際的研究拠点の確立を図った。
著者
土佐 弘之
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2001

昨年度から今年度にかけて、内戦や抑圧的な権威主義・全体主義体制の下での虐殺など著しい人権侵害行為に対して、和平後または民主化後、どのような対応をすべきかといった、いわゆる「(民主化)移行期における正義(transitional justice)」問題についての研究を進めた。南アフリカの真実和解委員会などの真相究明委員会形式のものや旧ユーコスラビア国際刑事裁判所との国際刑事裁判所形式のものなど、各事例について文献サーヴェイをしながら、復讐/赦し、記憶/忘却といったアポリアを軸に、それぞれの事例の位置づけや移行期をめぐる正義の問題についての理論的整理を試みた。その成果の一部は、「移行期における正義(transitional justice)再考」といった論文として公刊する機会を得た。そこでの結論を繰り返すと、以下の通りである。過去に関する集合的記憶が社会的構築物である以上、過去をどう取り扱うかの選択肢について、私たちは一定程度の選択の幅をもっている。もちろん、それは様々な制約がある中での選択の幅ということであるが、本研究では、移行期における正義という問題、つまり過去の人権侵害という問題を取り扱う際、とられる選択は、どのようなバイアス性をもっているかといったことについて、和平・民主化プロセスのパターンとの関連で検討した。次に、復讐へと傾斜したものについては赦しの方向へ、忘却へと傾斜したものについては記憶の方向へといったようにそれぞれ、いずれも何らかの形で不十分な対応を改めていく必要性がでてくることについて、ジャック・デリダの二つのテクストを手引きにしながら理論的な検討を行った。もちろん、内戦後の社会再建ということを視野に入れた場合、こうした狭義の矯正的正義だけではなく、法的正義(法の支配)、回復的正義、さらには配分的正義など、複数の正義を同時に追求することが必要そうしたことを妨げているマクロ・レベル(特に世界システム・レベル)の構造的制約を取り払っていくことが必要であることも確認した。構造的な制約が少しずつ取り払われ、沈黙を強いる抑圧的な構造的権力を解体していくことができれば、語りによる歴史物語の書き換えの動きも活性化し、記憶再編の可動幅、さらには共有化される記憶の地平も広がっていく。「記憶の政治」の新たな展開は、信頼関係の再構築を促し、結果としては、内戦再発といった形での「絶対的な敵対関係」の暴走を食い止める可能性ももっている。そうした意味でも、「記憶の政治」そして「移行期の正義」の問題に対する的確な対応の模索は、単に過去にどう取り組むかという問題であるだけではなく、未来の社会を、どうデザインしていくかという問題ともなっていることを確認した。以上が、本研究の要旨であるが、以上のような研究を進めていく過程で、それと関連する形で、社会構築主義的アプローチによる国際関係論研究(批判的安全保障研究など)の分野を開拓する研究作業を進め、単行本『安全保障という逆説』などを公刊した。
著者
中川 成美 西 成彦 木村 一信 フォックス チャールズ 富田 美香 ベルント ジャクリーヌ
出版者
立命館大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

<平成16年度研究概要>日本文学・文化研究の国際的ネットワーク・データ・ベースの基礎構築として平成16年度には以下の研究を促進した。1 基礎データベースの作成に関する打ち合わせ(平成16年7月)2 欧米・アジア・オセアニア圏において日本文学・文化に関する講座を設置する大学、研究機関の調査3 欧米・アジア・オセアニア圏において日本文学・文化を研究する研究者の調査4 欧米・アジア・オセアニア圏において日本文学・文化に関する講座・講義・シンポジウム・学会などの調査(2から4までを夏休み休暇中に調査終了)5 調査で得た情報をもとにデータベースを入力(平成16年9月から平成16年12月)6 5の基礎データをもとにより精査して、ファイリング・テクストに変換して参照・使用に供するようなデータベースの作成(平成17年1月から3月)7 日本文学・文化研究国際ネットワークの仮称のもとにデータ交換を主要拠点大学を中心に広報した。(平成17年3月)<平成17年度研究概要>日本文学・文化に関する研究者、研究機関、大学等における講座、研究機関の国際的なデータベースの第一次基礎データベースを作成した。ここでは文学・文化と視覚性の問題に関与すると思われる要項を抽出しておこなった。包括するのは北米、ヨーロッパ、アジア、オーストラリアであり、主にアメリカ合衆国、オーストラリア、韓国、中国、イギリス、フランス、ドイツに関しての約1000件のデータが収集された。これを検索サーチ用にファイル化したが、今後はこの基礎データをもとにより詳しいデータを加えていけるための形式を完成した。今回の科研にて焦点化した文学・文化と視覚性の基礎理論構築に関しては、2006年2月に視覚理論に関するシンポジウム「映画・女性・権力-ジェンダーと視覚性-」をおこなった。
著者
藤森 実
出版者
東京医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

抗癌剤の全身投与は重得な副作用を有しており、腫瘍選択的治療法の開発が急務である。われわれは固形癌の腫瘍内が正常組織に比べて嫌気的環境であることに着目し、乳酸菌の1種であるラクトバチルス・カゼイを用いて固形腫瘍への集積性と増殖抑制効果を検討した。その結果、偏性嫌気性菌であるKJ686菌は固形腫瘍に特異的に集積し正常組織では排除されていた。KJ686菌は腫瘍選択的デリバリーシステムとして有用であり高い治療効果が期待できる。
著者
藤森 祥一
出版者
岡山大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

ワイエルストラス型表現公式をもつ曲面の性質を調べた. 3次元ユークリッド空間の極小曲面と3次元双曲空間の平均曲率1曲面について今まで知られていなかった高種数の例を構成した. また, 3次元ミンコフスキー空間の空間的極大曲面と3次元ド・ジッター空間の空間的平均曲率1曲面についてある種の特異点を許容し, その特異点や無限遠方における挙動を解析した。さらに3次元ミンコフスキー空間の平均曲率0曲面の性質を調べ, 特異点を持たない非自明な埋め込みを構成した.
著者
藤森 伸一
出版者
独立行政法人日本原子力研究開発機構
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本研究課題では、ウランを構成元素として含む化合物において観測されている磁性状態、および物性物理学における25年来の謎であるUru_2Si_2における「隠れた秩序状態」の機構を明らかにするため、物質の電子状態を明らかにすることができる角度分解光電子分光を用いてその電子状態を解明した。その結果、「隠れた秩序状態」を担っている「5f電子」は結晶内を自由に動き回ることができる「遍歴状態」にあることが明らかとなった。これは「隠れた秩序状態」を解明する上において最も基礎的な情報であり、その解明に向けて大きく前進することができた。
著者
藤森 厚裕
出版者
埼玉大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2011-04-01

疎水性高分子を希薄溶液から,気/水界面に展開するだけで,1桁ナノメーターサイズで極めて高さの揃ったナノ微粒子が形成される.このナノ微粒子を同一面内に二次元集積させた単粒子膜を固体基板上に一層づつ移し取って積層させた,ナノコロイド結晶ライクな,「ポリマーナノスフィア積層粒子層状組織体」を新規に創製した.本課題においては,領域趣旨に従い,このソフトマテリアルが界面にて形成する構造体の形成過程と最終構造の精密分子配列解析を実行した.まず形成物質としては,系統的に側鎖長を変えて新規に合成(直接重合法)した,含長鎖アルキル芳香族ポリアミドを用い,加えて「疎水性」「機能性(発光特性)」という観点から,N-ビニルカルバゾールを含む三元櫛形共重合体をも新規合成し,使用した.これらの固体構造を広角X線回折,小角X線散乱,示差走査熱量測定により評価した.更に水面上におけるin situ測定として,化合物群の表面圧-面積曲線による評価を行い,ナノ粒子形成機構を検討した.更に固体基板上に,Langmuiur-Blodgett(LB)法を用いて一層一層積み重ね,out-of-plane X線回折,in-plane X線回折の測定を行い,特に一層膜については,原子間力顕微鏡(AFM)測定を行った.特に,可視光領域の厚みまで階段状に積み重ねた累積膜に関しては,構造色による発色を確認した.回折方向の異なる2種のX線回折法による解析から,高さ方向に分子鎖が折り畳まれて積み重なった構造を形成していることが判明した.更に紫外-可視分光法,蛍光分光法によって,粒子内でπ共役系部位がスタックした蛍光発光能の増強が確認された.また,気-水界面における"繰り返し圧縮緩和法"により,粒子配列と粒子充填構造が発達した高密度集積化構造が達成されている様子をAFMによって確認し,新規のナノコロイド結晶としての可能性が示された.
著者
重田 勝介
出版者
東京大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

本研究は、初中等・高等教育初任者教員の不安・孤独感やバーンアウトの緩和を目指すハイブリッド型対話支援システムを開発し評価するものである。そのために、初任者教員が日頃の教育研究の活動状況をオンラインで共有するSNSを活用し、オフラインでも情報交換や交流を行った。初中等教育初任者教員に対して、聞き取り調査やワークショップを実施し、教員用SNSの導入を行った。高等教育初任者教員について、平成21年度に実施した実践の評価を継続して行い、成果をまとめた論文が論文誌に掲載された。
著者
久保 喜延 木村 吉郎 加藤 九州男
出版者
九州工業大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

社会インフラとしての橋梁等の構造物は、耐用年数が長いため、耐久性に富んだ構造物とするには、フェアリング等の耐風安定化部材を使用せず、耐久性の高い構造物とすることが必要である。橋梁断面に発生する風による振動は、流れの剥離によって生じる。剥離を剥離で制御する方法が、剥離干渉法という研究代表者が開発した方法である。これを用いれば、耐風性の良好な橋梁断面を開発できるという成果を得た。
著者
丸山 敬
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

竜巻内の気流性状、および、建物に加わる空力特性を明らかにすることを目的に、竜巻状の回転流を作りだす数値トルネードシミュレーターを開発した。これにより、いくつかの形態を持った竜巻状の回転流を作り出し、渦内の気流性状を明らかにし、また、建物周りの気流・風圧性状を検討した。さらに、竜巻時の建物被害の主な原因である飛来物の飛散特性を明らかにするために、渦内に放出された物体の飛散運動を追跡する方法の検討も行った。