著者
大島 郁葉
出版者
千葉大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究では、スキーマ療法の概念である早期不適応的スキーマと発達障害(自閉症スペクトラム障害)の関連性を調べ、認知行動療法の効果を検討した。媒介分析を行った結果、早期不適応的スキーマが媒介すると成人の自閉症スペクトラム障害のメンタルヘルスが損なわれることがわかった。したがって、成人の自閉症スペクトラム障害には早期不適応的スキーマの介入がターゲットとなりうることが示唆された。
著者
菅原 国香
出版者
東洋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

1.蘭書が渡来して「Chemistry」にあたるオランダ語"Chemie, Scheikunde"を、はじめに訳した語は「煉丹術・銷錬術」(『波留麻和解』1796)、「製煉術」(宇田川玄随1798)、「錬金術」(『訳鍵』1810)、「分離術」(『和蘭字彙』)、「鎔分術」(橋本宗吉)、「分析術」等。2.宇田川榕菴『舎密開宗』(1837)の参考書『紐氏韻府』というのは、ニューウェンホイスの『学芸技術百科事典』、すなわち、Gt.Nieuwenhuis, Algemeen Woordenboek van Kunsten en Wetenschappen全8巻8冊(1820-29)であることを、明らかにした。3.H.Davyがボルタ電堆で電解して1807年にアルカリ金属を単離したことが、『ニューウェンホイス百科事典』中にあり、これを榕菴が『開宗』にはじめて紹介した。4.榕菴が電極の正負を誤解していると、従来日本では考えられていたが、その誤解を解き榕菴がボルタ電堆の電極「積極」「消極」を正しく導入していたことを、明らかにした。5.『舎密開宗』以前、日本にはじめて薬化学を紹介した宇田川玄随『製煉術』(稿本1785-8)と原本を比較検討し、「製煉術」、「蒸餾」など、初出の玄随の化学用語をまとめた。6.橋本宗吉『蘭科内外三法方典』(1805)とそのオランダ語原本(1749)とを対比し、訳語を検討した結果、宗吉は"Scheikonst, Scheikust"を「製薬」及び「鎔鑠」と訳し、最後は「鎔分術」と訳した。また、「濾過」「沸騰」「凝固」「乾燥」などはすでに常用していた。7.榕菴は、「元素」を造語するとき、中国の明代の辞書『正字通』の「素」の項目を参照し、「Atoom」の学習にはニューウェンホイスの百科事典の「Atoom」の項目を写していた。8.竹原平次郎・桂川甫策・石橋八郎・加藤宗甫訳『化学入門』(1867-73)の原本の一つはC.R.Fresenius ; Leerboek der Scheikunde, door F.A.Enklaar(1852)であることを明示した。
著者
大倉 健宏 村上 賢 加藤 行男
出版者
麻布大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2012-04-01

2012年から2014年にかけて実施した国内および米国での調査結果を分析し、「ペットフレンドリーなコミュニティ」を大都市の文脈から論じた。本研究では「飼い主」と「公園」および「ペット友人」をネットワークと考える。「ペットフレンドリーなコミュニティ」が飼い犬を中心として、ペットと共生できる街を提案する意義は大きいと考える。そこでは下位文化による結合が、「相談」「親交」「実用的」のいずれにも収斂しえない、住民の「ペットフレンドリーなコミュニティにおけるシビリティ」が想定されるだろう。
著者
河村 善也 吉川 周作 阿部 祥人 古瀬 清秀 樽野 博幸 金 昌柱 高 星 張 穎奇 張 鈞翔 松浦 秀治 中川 良平 河村 愛
出版者
愛知教育大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

東アジアのうち,北海道を除く日本本土では後期更新世~完新世に多くの種類の哺乳類が絶滅しているが,その絶滅期はMIS 3 からMIS 2 にかけてで,大型種だけでなく小型種も絶滅している.絶滅は短期間に急激に起こったのではなく,比較的長い期間に徐々に進行したようである.この地域ではずっと森林が維持され,環境変化が穏やかで,人類の影響もさほど強くなかったことが,そのようなパターンをもたらしたと考えられる.琉球列島では島ごとに絶滅のパターンが異なり,ここでは人類が絶滅に深くかかわっていると推定される.中国東北部では,ヨーロッパでのパターンに似た絶滅が起こったが,中国中・南部では絶滅はそれより限定されたものであったようである.台湾や韓国では,まだ研究が十分ではない.
著者
河岡 義裕 喜田 宏 堀本 泰介
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2000

全世界で2000万人以上のヒトを殺したスペイン風邪のように、新型インフルエンザウイルスの出現派は世界的な大流行を引き起こし、未曾有の大惨事を引き起こす。1997年に香港に出現したH5N1新型インフルエンザウイルスは、18名のヒトに直接伝播し、6名の命を奪った。幸いにもヒトからヒトへと伝播することはなかったが、病原性の強さはスペイン風邪に匹敵するほどであった。近年我々が開発したリバース・ジェネティクス法を用いることで、ウイルス蛋白質に任意の変異を導入し、哺乳類での病原性獲得メカニズムを明らかにすることが可能になった。本研究は、香港で分離されたH5N1ウイルスをモデルとして、トリインフルエンザウイルスがどのようにヒトに病原性を示すようになるのかを分子生物学的に解明することを目的とした。哺乳類に強い病原性を示すウイルス株と弱い病原性を示すウイルス株とのアミノ酸配列を比較すると、それらの間には数箇所しか違いがないことがわかった。各アミノ酸に点変異を導入しウイルスを人工合成することで、どのアミノ酸が哺乳類における病原性発揮に関与しているかを調べた。その結果、RNAポリメラーゼ蛋白質を構成するPB2蛋白質の627番目のアミノ酸の変異(グルタミン酸がリジン)が、トリインフルエンザウイルスが哺乳類で病原性を発揮するために必要であることが明らかになった。
著者
杉山 智章
出版者
静岡大学
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2013-04-01

大学図書館が提供する情報には図書・雑誌といった従来からの冊子体資料に加え、オンラインコンテンツやデータベースなどWebでの学術情報の提供も大きな役割を担うようになってきている。一方、学生はレポート作成などの学習に際して、これら図書館が提供する情報を十分活用しきれていない実態がある。これは、図書館が提供するコンテンツが学生にとってわかりやすく構築されておらず、学術情報にアクセスする手段が理解されていないことに原因があると考えられる。これらの問題について、コンテンツの提供手段として新たなWeb上のサービスを先駆的に取り入れている大学図書館等の調査を行った。また図書館のみならず、学務情報や研究者情報など、学習者にとって重要な情報がどのように扱われているのかも調査し、構築しようとする電子図書館サービスの課題点を整理した。さらに大学生からモニターを募り、国内外の大学図書館等のWebサイトや検索サービスを評価することで、学生が学習する上での問題点を探り、より使いやすい機能やインターフェイスについて検討を行った。以上の研究をもとに、学生が学習で求めている情報と図書館が提供するコンテンツを結びつけて示すことができるように、図書館の情報に加え、大学の授業情報や教員情報を関連づける方策を検討した。統合したシステムでそれぞれ異なる形式の情報を扱えるために、統一したメタデータフォーマットへの変換規則を作成し、これらの情報を検索できる新たなサービスをオープンソフトウェアを用いて構築した。
著者
大櫃 敬史
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

米国からわが国に伝えられた近代体育の諸相を特定の宗派-コングリゲーショナル派(会衆派)-に注目をして、日本及び米国に所蔵されている史料によりその内実を検討した。結果として、当初アメリカン・ボードは、キリスト教を日本に布教する傍らその一手段として体育の布教を目論んでいた事実が判った。その際リーランドを日本に派遣したアマースト大学は、コングリゲーショナルの力強い支持を得て成立した大学であり、わが国への体育移植に当たっても、人的・教育的また思想的にも夥しい影響を及ぼしていることが判明した。リーランド帰国後も米国政府は、長い間日本でのアマースト方式の体育の行方に関心を示していた事実も明らかになった。
著者
前田 英雄
出版者
鳴門教育大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

本研究では,食前や食後に栄養素を理解することができるように食品中のミネラルのうち磁気性をもつ鉄とビタミン C の理解を深め,可視化する教材開発を行った。食品中の鉄の有無を検証するため 23 種類の食品を灰化しネオジウム磁石との付着度合いを観察した。ビタミン Cについては,酸っぱいというイメージをもっているためビタミン C のナトリウム塩やカルシウム塩を用いる官能検査や野菜や果物切片を用いてスタンプ法によるビタミン C の検出実験を行った。
著者
山田 理恵 山本 徳郎
出版者
鹿屋体育大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

本研究では,日本各地において行われてきた伝統的な打球戯の形態と変遷について明らかにすることを目的とした.具体的には,今日まで継承されている八戸・長者山新羅神社の加賀美流騎馬打毯と徒打毯,山形・豊烈神社の騎馬打毯と徒打毯,宮内庁主馬班の騎馬打毯,薩摩・大隅地方のハマ投げ,徳島県で行われていた騎馬打毯などについて,文書を中心とした史料の調査・収集と収集史料の解読・吟味,現地調査による動画・静止画の撮影・編集とデータの蓄積を行い,それらをもとに,各地の伝統的な打球戯の形態と移り変わり,独自性について考察した.その主な内容は,次のようにまとめられる.1.現在薩摩・大隅地方において継承されているハマ投げは,伝統的な競技法に基づきながらも異なる形態で行われており,さらに普及のための活動もなされている.2.徳島県では,特に1938年5月以降,馬産熱の振興と馬の育成,馬術の向上,尚武の精神の高揚などを目的として騎馬打毯の大会や講習会が盛んに開催されるようになり,第二次世界大戦中まで続けられていた.戦後は,馬の需要の減少等に伴って徐々に衰退していったと考えられる.3.八戸と山形の騎馬打毯は祭礼・神事と結びついていること,また八戸では免許制度も確立されていることが,今日まで継承されてきた要因であると考えられる.4.徳島の騎馬打毯の場合は,儀礼的な要素をもっていなかったことが衰退した一因であると考えられ,ここに,八戸・山形の騎馬打毯の展開とは異なる徳島の騎馬打毯の独自性があるといえる.
著者
道津 喜衛
出版者
長崎大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1985

フグ科魚類の中には天然交雑種と思われる個体がしばしば出現する。これ迄の研究から次の5つが天然交雑種と考えられている。マフグ×トラフグあるいはカラス,シマフグ×ナシフグ,シマフグ×コモンフグ,シマフグ×トラフグあるいはカラス,シロサバフグ×クロサバフグである。この中で最初のものゝの中には交雑種の後世代と考えられるフグも含まれている。これら天然交雑フグの起源解明のために、トラフグ属6種について、天然および凍結精子を用いて計20回の人為交雑実験を行った。供試フグは次の通りである。トラフグ,シマフグ,クサフグ,ヒガンフグ,コモンフグの雌雄およびカラス,マフグ,ナシフグの雄である。これら8種類の交雑フグの中でふ化仔魚を若魚ないしは成魚まで飼育できた7種類の体色,斑紋についてみると、トラフグ♀×カラス♂,トラフグ♀×シマフグ♂,ヒガンフグ♀×トラフグ♂,クサフグ♀×トラフグ♂はいずれも母親に似ている。一方、トラフグ♀Xマフグ♂,トラフグ♀×クサフグ♂は共に父親に似ている。さらに、トラフグ♀×コモンフグ♂では、母親に似るものと父親に似るものとの両方がみられた。これらの人為交雑フグの形質の検討結果からは、上記の天然交雑種とと思われるフグの両親を明確にできる資料は得られなかった。人為交雑フグの中には、体色,斑紋がトラフグに似たものが3種類あったがそれらの成長はいずれもトラフグより劣っていた。また、トラフグ養殖の障害となっている尾鰭の咬み合い行動がみられないものもあった。しかし、いずれも、外観,成長などの点でトラフグより優れた養殖適種と思われるフグは見出されなかった。
著者
丸川 雄三 水谷 長志 川口 雅子 橘川 英規 田中 淳 高野 明彦 皿井 舞
出版者
国立民族学博物館
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

文化財における制作者情報を対象に、これまでばらばらであった専門機関内の情報をひとつにまとめて発信する「制作者情報統合データベース」の研究に取り組み、試行版を開発した。国立美術館4館総合目録に登録されている4,000件の情報による実証試験では、文化遺産オンラインとの連携による作品情報との照合をおこないデータベースの有効性を示した。また制作者情報の充実をはかるため、美術研究資料アーカイブズの調査と作家調書の情報化を実施した。海外動向調査では、スミソニアン協会のアーカイブズ・オブ・アメリカンアート(AAA)における美術研究資料アーカイブズの収集と管理の実際を明らかにし、その成果をウェブで公開した。
著者
笠木 治郎太 大槻 勤 結城 秀行
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004

1.固体金属中でのDD核融合反応の反応率金属中での重陽子密度とDD反応の遮蔽エネルギーの相関を見るために、Re, PdCaO, PdRe等の金属薄膜中でのD(d.p)T反応の反応率を入射エネルギー10keV以下の領域で測定した。測定結果は、従来の我々の結果をほぼ再現し、重陽子の流動性が大きい程遮蔽エネルギーが大きくなる傾向を示した。2.金属中でのD+D反応から放出される陽子(p)と三重陽子(t)の収量比(p/t)の精密測定BeからAuまでの各種金属を対象にp/t収量比測定を行った。この物理量は金属中の重陽子密度とは独立に、運動学的条件でのみ規定されており、運動学からの予想と比較することにより金属中での重陽子の運動に関する情報が得られる。結果は、いずれの金属にたいしても、p/t比は単純な運動学からの予想とは大きく異なることを示した。データから重陽子の運動に関する詳細な情報を得るために、金属中での入射重陽子の減速過程を解析するモンテカルロ計算のプログラムを開発中である。3.液体Liを標的とするLi+D核融合反応液体Liを標的とした^<6.7>Li+D→α+^<4.5>He反応を測定するための真空槽を作製した。重陽子エネルギー20keVから100keV領域での反応率の予備的な測定が行われた。その際、重陽子ビーム照射中のビームスポットの温度の直接測定が可能となり、反応率の標的温度依存性に関するデータも得られた。予備的データからLiD反応の遮蔽エネルギーを求めたところ、液相での反応が固相の反応に比較して大きくなるという結果となった。このことは、(1)の標的の流動性が遮蔽エネルギーの大きさと相関を持つという結論とも矛盾しない。
著者
関口 正幸
出版者
独立行政法人国立精神・神経医療研究センター
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

恐怖・嫌悪体験を記憶することは生物の生存に重要であるが、ある種の精神・神経疾患ではこの記憶の極端な亢進が見られる場合がある。本研究では恐怖・嫌悪体験の記憶(恐怖記憶と略)を調節する神経機構解明を目的として研究を行った。その結果、①恐怖記憶は食餌として摂取する不飽和脂肪酸のバランスに影響を受け、これにはカンナビノイド神経伝達が関与すること、②新生児期にストレスホルモンに曝露されると、成長してからの恐怖記憶が弱まりにくいこと、等を明らかにして論文報告した。これらの研究成果は、恐怖情動異常亢進の症状を有する精神・神経疾患の病態解明や治療法開発に有用な基盤情報となることが期待される。
著者
大野 和則
出版者
東北大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

本研究の成果は,25kg程度の犬に装着し,犬の動作,移動中の軌跡,周囲の形状を計測する装置を開発した.犬の体型や動きの特性を考慮して装置を設計した.また,装置で計測したデータをベイズフィルタで処理し,歩行中の犬の位置・姿勢を推定した.推定した位置・姿勢を用いて3次元地図の復元を試みた.歩行速度の推定精度を,歩行の着地に注目して高精度化する方法を開発した.
著者
松田 浩珍 田中 あかね 下田 実 新井 克彦 辻本 元 西村 亮平
出版者
東京農工大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2005

イヌ肥満細胞腫臨床サンプルに関し、c-kit遺伝子の全領域について遺伝子変異の検索を行い、細胞膜直下領域の遺伝子変異が12%程度の症例に認められたものの、その他88%の症例におけるc-kit遺伝子は、野生型であることを示した。また、変異型c-kit遺伝子を用いて遺伝子導入実験を実施したが、腫瘍性増殖が誘導されなかった。このことから、c-kit遺伝子の変異が腫瘍性増殖の根幹ではなく、それ以外の細胞内分子にも何らかの異常が併発することで腫瘍性増殖が誘導されていることが示唆された。肥満細胞腫細胞ではD型サイクリンの過乗発現、Bcl-2ファミリー分子Mcl-1の過剰発現、Bcl-2抑制性BH3ファミリータンパクの低発現、p21・p27・p53などのガン抑制遺伝子の低発現が認められた。また、転写因子NF-κBやAP-1が活性化しており、これらの分子標的阻害剤によって細胞周期の進行が阻止され、細胞の増殖が抑制されることが明らかとなった。その活性化を誘導する上流の細胞内シグナル分子として、PI3キナーゼ系の下流でS6キナーゼが強く活性化しており、転写を制御するS6リボソーマルプロテインの発現が亢進していることが明らかとなった。さらに、c-kit遺伝子に変異を有さず、高親和性IgEレセプターを発現する新しいイヌ肥満細胞腫株を樹立し、その成果を論文発表した。c-kit遺伝子変異以外の腫瘍化あるいは腫瘍性増殖促進メカニズムを検索する目的で、症例サンプルや数種のイヌ肥満細胞株を用いて、各種サイトカインおよびそのレセプターの発現とグレード(悪性度)との関連を検討した。肥満細胞種の多くが、IL-3や-6、GM-CSF、SCFなどの増殖因子を自ら産生し、それらのレセプターも発現していること、それらを中和することで細胞増殖が抑制されることを明らかにした。
著者
有賀 雅奈
出版者
東北大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2015-08-28

本研究では、ジャーナル『Cell』の創刊(1974年)以来の総説と記事の図を対象にボトムアップに図の分類枠を構築し、図の経年変化と傾向を分析した。大分類としては、(1)データとしての図、(2)説明のための図、(3)それらの融合という三つのカテゴリーに分かれ、経年変化をみると特にデータとしての図の増加が顕著であった。図は実験技術・表現技術とメディアの進歩に従って種類や表現方法が多様化していると考えられ、科学の議論の拡大や技術の発展を生み出す原動力になっていると考えられた。
著者
中山 仁史
出版者
香川高等専門学校
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

現在,高齢化が進み医療現場はこれまで以上に,医療診断における精密検査などの必要性が高まってきている.これに伴い,精密検査を行うための機器がより多く用いられるようになってきた.その中の一つとして, MRI(Magnetic Resonance Imaging)が挙げられる. MRIは磁気共鳴現象を用いた分析装置で,画像撮影時には強磁場と100dBSPLを超える騒音が生じる.そのため,被撮像者はブザーを押してオペレータ室に異常を知らせるか,非磁性体によって構成されたMRI用の光マイクロフォンを用いた通信を行う.ところが,気導音である音声は雑音の影響を直接受けやすいため, MRI用の光マイクロフォンを用いたとしても明瞭な信号を得ることはできない.そこで,本研究では高騒音下でも明瞭な信号を抽出することができる骨伝導光マイクロフォンの開発を行う.本研究ではまず,骨伝導光マイクロフォンを用いた信号採取により,従来用いてきた加速度ピックアップよりも高い周波数成分を得ることが確認できた.そして,研究代表者らが提案する明瞭化アルゴリズムを用いて骨伝導光音のみで周波数特性の改善を実現し,高磁場・騒音下でもより明瞭度の高い音声抽出が可能なことを確認した.
著者
若山 清香
出版者
山梨大学
雑誌
若手研究(A)
巻号頁・発行日
2009-04-01

本研究は絶滅動物の凍結死体細胞からクローンをよみがえらせる手法を開発することが目標である。そこで核移植技術を中心に、絶滅動物を復活させるために解決しなければならない問題を想定しマウスを用いて実験を行った。本研究費助成期間内に新たな染色体移植の方法、死滅した動物からの細胞の採取法、ならびに半永久的にクローン動物を継続維持できることなどを証明した。
著者
西田 佐知子 西田 隆義 高倉 耕一
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010-10-20

植物には、気温や地質条件などでは説明できない不可解な分布様式を示すものがある。このような分布は、繁殖干渉という、繁殖過程で他種(とくに生殖機構が似ている近縁種)が悪影響を与える現象で説明できる可能性がある。そこで本研究では主にフウロソウ属植物などを用い、繁殖干渉が植物の分布に及ぼす影響について調査と解析を行った。その結果、フウロソウ属の中でも繁殖干渉が見られること、それが近縁種の棲み分けなどに関わっている可能性があることを確認した。