著者
相澤 彰子
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.64, no.11, pp.469-474, 2014-11-01

学術文献のデジタル化によって,計算機による文献の言語解析が容易に行えるようになった。現在の文献検索は,比較的単純なキーワード抽出処理に基づいているが,大量の文献をさらに言語解析することで,利用者が必要な文献を検索したり,分野全体を俯瞰したりする作業の支援が期待できる。そこで本稿では,学術文献に対する言語解析の適用とその活用法について概観するとともに,デジタル文書と言語解析をつなぐための要素技術として,デジタル文書からの自然言語文の切り出しおよび専門用語の抽出について,その必要性や難しさを論じる。
著者
小林 康孝 筒井 広美 木田 裕子 大嶋 康介 富田 浩生
出版者
一般社団法人 日本高次脳機能障害学会
雑誌
高次脳機能研究 : 日本高次脳機能障害学会誌 = Higher brain function research (ISSN:13484818)
巻号頁・発行日
vol.32, no.4, pp.581-589, 2012-12-31

軽度外傷性脳損傷 (MTBI) は, 診断が困難な故に診断までに時間を要する。MTBI による高次脳機能障害の場合, さらにその診断は困難で時間を要し, 発症早期のリハビリテーションを受けずに病院を渡り歩く症例が多い。今回, MTBI により高次脳機能障害を来した 3 例をもとに, その問題点を検討した。症例 1 は, 診断までに時間を要し, 十分なリハビリテーションを受けられなかった。また病態に対する家人の理解が不十分であることが, 本人の負担を重くしていた。症例 2 は身体症状の訴えが多く, 十分なリハビリテーションを行えなかった。また, 自賠責保険の等級認定に関する裁判を抱えている。症例 3 は神経心理学的検査結果からの客観的所見はないが, 記憶障害等の自覚症状が強く, ドクターショッピングを続けた。3 症例とも頭部 MRI 上は明らかな異常を認めなかった。今後 MTBI による高次脳機能障害者への支援を進めるには, 病態の解明, 医療従事者の理解, 画像診断の進歩が望まれる。
著者
鄭 艶花 野島 一彦
出版者
九州大学
雑誌
九州大学心理学研究 (ISSN:13453904)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.111-117, 2008
被引用文献数
1

This research, by focusing on the Internet dependence tendency process and consciousness, aimed at establishing and assessing the following three hypotheses; 1)the Internet dependence tendency is progressive, with a process which advances from "affirmative merits" to "distinction trouble with reality", 2) university students with higher Internet dependence tendency are less aware of their dependence tendency, 3) university students with lower Internet dependence tendency are more aware of their dependence tendency, A questionnaire survey of 360 university students, first, confirmed the hypothesis l)by showing that Internet dependence tendency is progressive and that the progression from "affirmative merits" to distinction trouble with reality" is not a linear process but a process with 10 routes. Second, students with higher Internet dependence tendency consist of those who were aware of their tendency, those who were not and those who were unable to decide which group they belonged, which confirmed the hypothesis 2) partially. Third, wider variations in the level of awareness were found among students with lower Internet dependence tendency, which also confirmed the hypothesis 3) partially.
著者
土屋 博映
出版者
跡見学園女子大学
雑誌
跡見学園女子大学文学部紀要 (ISSN:13481444)
巻号頁・発行日
vol.44, pp.1-8, 2010-03-15

剣豪としてあまりにも有名な宮本武蔵の実際の人物像については、本書に記されていることくらいしか知りえない。宮本武蔵がその名前を天下に知らしめたのは、吉川英治の『宮本武蔵』からである。大衆文学作品として、出色の出来栄えである。それはそれでよい。大いに評価に値する。しかし、実際の武蔵はどうだったかという、歴史的・実証的な立場から言えば、世間を惑わせたとも言えなくはない。本稿では、『五輪書』のどこがどのように、日本人の精神に影響を与えたのか、あるいはそうでないのか、それを明確にすることを目標として、『五輪書』に対峙してみたい。本稿はその手始めとして、『五輪書』の構成を記述することを主とする。
著者
上野 善道
出版者
日本音声学会
雑誌
音声研究 (ISSN:13428675)
巻号頁・発行日
vol.1, no.2, pp.28-36, 1997-08-30

The tonal phenomena we observe are composed of tonal layers, such as accent in a narrow sense, phrase intonation, each of which has its own function. Phonological interpretation of accent means the separation of these layers and extraction of accent. Segmental environments are concerned with interpretation, but grammatical information is not. Morphophonemic regularities, such as compound noun accent rules, are treated and described differently from phonological interpretation. These findings on accent are based on my fieldwork.
著者
呂 清夫
出版者
一般社団法人日本色彩学会
雑誌
日本色彩学会誌 (ISSN:03899357)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.4-12, 1998-02-01

バーリンとケイ(B.Berlin & P.Kay)の色名進化論によれば, 標準中国語(Mandarin)には基本色名が白, 黒, 紅, 黄, 緑, 藍の6種類しかないから,日本語, 韓国語(Korean), 広東語(cantonese)などに比して発展が遅れたことが力説されている。本研究は主に色名が存在する歴史的文献によって, バーリンとケイの色名進化論にある標準中国語についての問題点を明らかにする。つまり標準中国語の起源である古代中国語には, 西暦紀元前にすでに11種類以上の基本色名が存在していた。そして中国語にある色名の発展が他の民族の色名進化状態ともあまり変わらないことを明らかにした。
著者
田口 智章
出版者
福岡医学会
雑誌
福岡医学雑誌 (ISSN:0016254X)
巻号頁・発行日
vol.97, no.4, pp.109-116, 2006-04-25

小児外科の近年の進歩はめざましく, 特に新生児外科の分野では, 以前はその国の医療レベルを反映するとまで言われ, 小児外科医がその救命に骨身を削ってきた「食道閉鎖症」の死亡率が著しく低下してきた. 小児外科学会の全国集計によると1973年では死亡率が約55%であったのが, 1983年では30%, 1993年には20%, そして2003年では12.3%まで低下し, 生存するのが当たり前の病気になってきた. 九州大学小児外科では1990年以後の食道閉鎖症は重症染色体異常を合併した1例を除き, 全例生存し元気に成育している. 九州大学における新生児外科疾患の疾患別死亡率の推移を経時的にみると, 症例全体での死亡率は経年的に低下し, 2000年代では新生児外科症例全体での死亡率は10%を切った. しかし, 疾患別にみると横隔膜ヘルニアと消化管穿孔の死亡率がまだ高い. これは横隔膜ヘルニアでは出生前に診断される重症例が治療の土俵に上ってきたためである. 出生前に超音波検査にて診断される横隔膜ヘルニアは左にあるべき心臓が右に変位していることで発見されることが多く, 肝臓や脾臓が胸腔内に脱出している. つまり胸腔内に脱出している臓器のボリュームが大きいため, 肺が極端に小さく生存が困難な症例が多い. また消化管穿孔は1000g未満の超低出生体重児が救命できるようになり, このような症例で消化管穿孔をおこす場合が多くなったためである. 容易に敗血症によるショック状態となり救命困難な症例も多い. 全身的な循環呼吸管理を最優先し手術侵襲は腹腔ドレージのみの最小限にとどめるのが救命率をあげるポイントと考えられる. 新生児外科の症例は出生率の低下にもかかわらず増加傾向にある. 九州大学では特に周産母子センター開設を機に症例が増加している. 小児の臓器移植では, 肝臓移植の進歩により救命困難であった胆道閉鎖症の末期の肝硬変の患者が, 食道静脈瘤の破裂や腹水でおなかがパンパンに張り肝不全でなくなっていたのが, 元気に退院できるようになった. また劇症肝炎で脳症に陥り意識不明になった患児が, 以前では血漿交換しか手の打ちようがなく, 血漿交換がはじまると「もうだめか」であったのが, 移植により普通の生活に戻れるようになった. まさに劇的な治療法である. 小腸移植も小児に多い短腸症候群の根治術として欧米では1000例以上に行われている. 本稿では, 新生児外科疾患のうち, まだ救命率の低い「先天性横隔膜ヘルニア」, さらに「小児の肝臓移植, 小腸移植」について, 我々の経験を中心に, 現状と今後の展望について述べる.
著者
白石 太一郎
出版者
奈良大学文学部文化財学科
雑誌
文化財学報 (ISSN:09191518)
巻号頁・発行日
vol.27, pp.1-4, 2009-03

最初から予想していたことであるが、本当にあっという間の短い5年間であった。6年前の平成15年の早春のことと記憶するが、東京国立博物館で開かれた東大寺山古墳出土の中平銘大刀の修理・摸造のための調査検討会のあと、東野治之先生から歴博(国立歴史民俗博物館)退職後、奈良大学の文化財学科へ来ないかとのお誘いを受けた。翌平成16年の3月で、設立準備室以来26年間勤めた歴博を退職することが決まっていたが、私自身も、また家内も歴博のある城下町の佐倉が大いに気にいっており、退職後も二人でこの地に永住する覚悟を決めていた。他からのお話ならすぐお断りしただろうが、奈良大となると話は別で、真剣に考えさせていただく旨お答えした。奈良、すなわち大和は河内とともに私の専門的なブイールドの地であり、特に奈良は高校生時代以来、奈良県立橿原考古学研究所時代の10年間を含めて、歩き回った懐かしいところである。さらに奈良大の文化財学科は、優れた考古学専攻の卒業生を数多く全国各地に送り出しており、その教育研究には大いに敬服していた。また私にとっても、家内にとっても関西は故郷でもある。その後家内とも相談し、また大阪で水野正好先生ともお会いして奈良大の現状についていろいろお話を伺ったが、佐倉永住の覚悟を翻すのにそれほど時間はかからなかった。
著者
矢島 洋一
出版者
京都外国語大学
雑誌
研究論叢 (ISSN:03899152)
巻号頁・発行日
vol.70, pp.441-445, 2007

This paper presents the Arabic text and the Japanese translation of a form of genealogical document which is included in an Arabic manuscript from Maghreb preserved at the Library of Kyoto University of Foreign Studies. It is a sample of document which confirms the lineage of a descendant of emirs, and contains not only the testimony verifying its authenticity but also the explanation of its superiority.
著者
元岡 展久
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.64, no.523, pp.271-278, 1999
参考文献数
78
被引用文献数
2 1

The Palais Royal has played a central role in the history of theatres in France. It also had an important influence on the town-planning of Paris. In this research I analyse the relationship between the theatres which were built in the Palais Royal and the development of the surrounding area. From the examination of various plans, the different forms of theatres in their built form can be explained in terms of different ideas concerning urban structure. By charting these differences we can see a process of shift from a court theatre to a urban public theatre, which in turn changed the surrounding urban spaces. This analysis thus provides a new understanding of the relationship between theatres and the urban spaces that contain them.
著者
杉山 賢二 小原 剛 小俣 慎 半谷 精一郎
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会誌 : 映像情報メディア (ISSN:13426907)
巻号頁・発行日
vol.54, no.11, pp.1584-1589, 2000-11-20
被引用文献数
2 2

Many TV broadcasters now use a progressive scanning format and an HDTV system to produce programs. However, standard TV receivers are still used in most homes. We have thus developed a broadcast system that uses the 480 p format for the source picture and the 480 i format for the receiver. We use progressive scanning coding because of its coding efficiency and room for improvement. The B-picture is not used as a prediction reference; we use only the interlaced scanning lines in the B-picture to remove redundant information. We use 8 x 4 DCT instead of 8 x 8 DCT for coding the residual to realize this method. Experimental results showed that the proposed coding scheme performs better than other coding schemes such as two kinds of interlaced scanning coding and progressive scanning coding in MPEG-2.
著者
姜 偉 奥富 正敏 杉本 茂樹
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.585, pp.77-82, 2004-01-16

実環境における全方位の3次元情報の取得は、監視カメラなどのセキュリティや、バーチャルリアリティなどの分野で幅広い用途が考えられる。本論文では、2台のカメラを回転させることにより取得した4枚のパノラマ画像を用いて、全方位の3次元復元を行う方法について述べる。パノラマ画像は、回転角度ごとに各々の原画像から幅1ピクセルの2つの垂直スリツトを取り出して並べることにより作成する。距離情報は、水平および垂直エピポーラ拘束を利用し、3組のステレオペアによるマルチベースラインアルゴリズムによって獲得する。本論文では、提案手法が従来手法よりも測定精度が向上できると同時に、オクルージョンの問題も軽減できることを示す。また、合成画像並びに実画像を用いた実験を行い、提案手法の有効性を示す。
著者
河内 明宏 渡辺 泱 中川 修一 三好 邦雄
出版者
社団法人日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雜誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.84, no.10, pp.1811-1820, 1993-10-20
被引用文献数
1 7

一般の小学生と幼稚園児2,033名を対象として,正常児および夜尿児の膀胱容量,夜間尿量と夜尿を含む夜間の排尿行動を,質問紙法により調査した.正常児の朝,昼の膀胱容量と夜間尿量は,年齢との間で直線回帰式にて表せる,有意な相関関係を示した.また体の成長との関係においては,身長,体重および体表面積の3者の内で,体重との間で最も良い相関関係を示した.夜間尿意覚醒時の膀胱容量と朝,昼の膀胱容量を比較すると,朝の膀胱容量が夜間の膀胱容量に近い値を示し,夜尿を論じる際の膀胱容量は朝起床時の膀胱容量を重視すべきであると思われた.夜尿児の朝の膀胱容量は,正常児と比較して,6歳までは小さいが,7歳以上では逆に大きいと考えられた.正常児の間でも10〜15%に夜間多尿であると思われる児童が存在し,これらは覚醒機能が正常で,夜間尿意覚醒するために夜尿とならないと考えられた.夜尿児の頻度は全体で14%であり,9歳までは男が多かったが,10歳以上ではほぼ同じ頻度であった.過去に夜尿があった児童の調査結果より,夜尿の平均自然消失年齢は7.3歳であり,このことより8歳以降持続する夜尿は積極的治療の対象になると考えられた.