著者
中谷 敬子 草薙 得一
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
vol.36, no.1, pp.74-81, 1991-04-08 (Released:2009-12-17)
参考文献数
23
被引用文献数
3 5

関東地方平坦部における主要畑夏雑草13草種についてファイトトロンを用いて, 日長反応性ならびに生育, 種子生産特性に及ぼす日長および温度の影響について検討した。1) 8~22時間日長まで6段階に分けて日長処理を行い, 播種後出穂・着蕾までの日数から供試13草種について, シロザ, アカザを質的短日性, エノコログサ, メヒシバ, ヒメイヌビエ, カヤツリグサ, ホソアオゲイトウ, タカサブロウを量的短日性, スベリヒユ, ハルタデ, オヒシバ, イヌビユ, ツユクサを中日性の3群に分類した。この中で中日性のハルタデおよびスベリヒユは短日条件により開花が促進される傾向が認められた。2) 質的短日性, 量的短日性草種は日長条件による形態変化が著しく, 短日条件では分枝数, 穂数が増加し, 草丈が抑制され, 長日条件では分枝数, 穂数は著しく減少するが, 草丈の伸長が顕著であった。これに対して, 中日性草種は日長条件による形態変化が比較的小さかった。3) 播種後短日条件で処理し, その後長日条件へ移行した場合とその逆の組合せとでは, 出穂・着蕾までの日数は前者で短かったが, 栄養成長量は著しく増大した。4) 供試草種の出穂・着蕾は低温条件では12, 16時間日長ともに遅延傾向が認められ, 特に15℃ではいずれの草種も著しく遅延した。地上部生育量は両日長条件とも温度の上昇に伴い増加したが, ハルタデは逆の傾向を示した。
著者
瀬戸屋 希 萱間 真美 宮本 有紀 安保 寛明 林 亜希子 沢田 秋 船越 明子 小市 理恵子 木村 美枝子 矢内 里英 瀬尾 智美 瀬尾 千晶 高橋 恵子 秋山 美紀 長澤 利枝 立石 彩美
出版者
公益社団法人 日本看護科学学会
雑誌
日本看護科学会誌 (ISSN:02875330)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.1_41-1_51, 2008-03-20 (Released:2011-08-30)
被引用文献数
16 10

精神障害者に対する地域ケア施策において,精神科訪問看護は重要な役割を担っている.その効果については,精神科病棟への再入院の防止と在院日数の減少に影響を与えることが報告されているものの,提供されているケアの具体的な内容については十分に検討されていない.本研究は,精神科訪問看護で提供されているケア内容を網羅するケアリストを作成することを目的に,精神科訪問看護師18名を対象に,行った看護ケア内容についてインタビュー調査を行った.得られた援助内容について質的に分析し,「日常生活の維持/生活技能の獲得・拡大」「対人関係の維持・構築」「家族関係の調整」「精神症状の悪化や増悪を防ぐ」「身体症状の発症や進行を防ぐ」「ケアの連携」「社会資源の活用」「対象者のエンパワメント」の8つのケアの焦点と,それぞれの焦点について合計58のケア領域と222のケアコンテンツからなるリストを作成した.今後は,このリストを用いてケアの内容と量を測定していくことが期待される.
著者
蕪木 寿江
出版者
日本幼稚園協会
雑誌
幼児の教育
巻号頁・発行日
vol.83, no.9, pp.48-55, 1984-09-01
著者
有吉 恭子
出版者
京都女子大学文学部史学会
雑誌
史窓 (ISSN:03868931)
巻号頁・発行日
no.29, pp.47-69, 1971-03
著者
川嵜 智佑 足立 達朗 中野 伸彦 小山内 康人
出版者
一般社団法人日本鉱物科学会
雑誌
日本鉱物科学会年会講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.2015, 2015

アーマルコライトは,アポロ11号計画で1969年7月20日月面「静かの海」で発見され,搭乗員のアームストロング(ARMstrong),オルドリン(ALdrin),コリンズ(COLlins) 由来して命名された.この鉱物は低圧高温で低酸素分圧条件で安定であり,1000 &deg;C以下でIlm+Rtに分解する.Fe<sup>3+</sup>に富むアーマルコライトが東南極ナピア岩体リーセルラルセン山に産する珪長質片麻岩から報告された(Miyake Hokada 2013).我々(2013) はアーマルコライト仮像様組織をリュッツホルム岩体スカルビークスハルゼンのザクロ石珪線石片麻岩から見出した.これらは,アーマルコライトが超高温変成作用の新しい指標鉱物となり得ることを示唆している.Fe<sup>3+</sup>に富むアーマルコライトの安定性を超高温変成作用の温度圧力に相当する条件で予察的に調べたので報告する.
著者
Gunawan Gozalie A. 柴田 恵司
出版者
長崎大学水産学部
雑誌
長崎大学水産学部研究報告 (ISSN:05471427)
巻号頁・発行日
no.59, pp.p35-97, 1986-03

インドネシアの漁業はその生産高において,この国の石油産業,農林業に次ぐ重要な産業であるが,漁船の95%は10G/T未満の在来型の小型漁船で構成され,その水揚げ高はインドネシアの海洋漁業総生産の約98%を占めている。近年,インドネシア政府は漁業生産性向上のあめの様々な近代化政策を進めつつある。しかしながら,インドネシアにおける漁船あるいは,その将来的なビジョンについて,未だ,充分明らかにされていない。本研究の目的の一つは,先ず,この漁船の現状を明らかにし,ひいては,近年とみに変貌しつつあるインドネシア沿岸漁村の在来型小型漁船の現状を記録保存することにある。同時にまた,東南アジア諸国,また,日本の漁船との比較の中から,インドネシア沿岸漁船の将来像を求めようとした。漁船の現状を漁業との関連において把握するため,予想される3種の主な船型について,漁船の25の各部寸法と漁具漁法を含む33の調査項目を記入する調査用紙を予め用意して,1984年7~8月の間,24日にわたって,ジャワ島周辺の8漁村において,調査を行い,在来型漁船175隻の資料を得た。なお,これらの調査地城はインドネシア水産庁の助言により選定された。以上の調査と並行して,新しく作成した船型計測装置を使用して漁船20隻の正確な船体線図を求めた。ジャワの在来型漁船は丸木船(d/o),半構造舟(s/d)および,構造舟(pl)の3種に大別され,構造舟にはアウトリガーが無く,d/oとs/dには原則としてダブルアウトリガーを持っている。しかし,d/oでは,これを持っていない例もあり,また,Rembangのs/dでは特殊構造のシングルリガーを備えている。調査結果によると,以上3種はそれぞれ,基本的には相似の船型であるが,漁村毎に固有の船型を持っている。この傾向は帆走装置にも見られ,この地方独特のラテンセールやマレーインドネシアセールはアラブ,インドからもたらされたという。一方,ジャワ在来型漁船は一般に痩せた船型で,特にd/o, s/dではこの傾向が強い。なお,推進機関を有する船はd/oで,16%, s/dで56%また,plで78%,全体で,66%であった。しかし,この平均馬力は11.7psと,日本のFRP漁船の98.7psに比較して著しく小さい。127隻の資料について行った主な考察結果は次の通りである。1)全長と幅の比は,平均で,ジャワ漁船では,s/dの14.8が最も大きく,d/oで9.3, plで4.1であり,フィリッピンs/dの12,5, d/oの12.4,日本のFRE漁船の4.1,タイ漁船の4.6に比べて,ジャワs/d, d/oは-般に痩せた船型といえる。この傾向は,この地方の周年穏やかな海況のほかに,近年まで帆や「かい」によって推進されていたため,船型的に船体抵抗を最小にするように淘汰された為と考えられる。2)全長と深さの比は,平均で,ジャワのd/Qで,14.3, s/dで,12.6であり,フィリッピンd/o, 15.2, s/dの13.4とほぼ等しく,また,ジャワ構造舟の11.3は,日本のFRP漁船の8.5やタイ漁船の9.3に比べ,著しく浅い。これはジャワでは漁村地先の遠浅の沿岸や川口のように水深が比較的浅い水城に漁船を係留する為と考える。3)色々の漁船の様々な組み合わせについて行ったクラスター,あるいは判別分析の結果によると,ジャワ漁船は漁村毎にそれぞれ固有の船型を持つと判断されるが,そのs/dは船型的にフィリッピンのと相似であると考えられた。4)一方,ジャワで計測したd/o, 3隻,s/d, 7隻及びp1, 10隻の他,その他の資料,すなわち,インドネシア,7隻,和船,26,中国,10,韓国,11および,欧州,9隻の構造船,ならびに,ソロモン,パプアニューギニアおよび,沖縄のd/oとs/dの7隻,合計94隻分の船体線図について,それぞれ,船型関係諸係数を計算し,その中の15係数の無次元化データを用いて,ジャワ漁船を中心にそれぞれの船型比較を行った結果,ジャワ構造舟はその地方の先行的船型であるd/oまたはs/dと比較的相似で,基本的にはそれから発達したものと考えられる。また,中国や西欧からの船型的影響も認められたが,日本の和船や韓国漁船のものとは明らかに異なっている。5)今後,インドネシア漁船の改良,発展に直接利用できるジャワ構造に関する若干の近似式を次に示す。なお,これらは本研究の過程で得られた。i)船に搭載できる重量,LoadW: LoadW=0.04159Loa+6.78133B-0.39049D-7.27249 (kg) ここで,長さの単位はメートルである。ii)今後,搭載すべき推進機関の馬力,ps: ps=0.37991 LoaLoa²-4.0877
著者
松元 文子 向山 りつ子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.7, no.3, pp.115-120, 1956-12-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
4
被引用文献数
1

1) 鶏卵は、産卵日から日数経過にしたがつて、卵白の濃厚部分は水様化す。市販卵の卵白の水様、濃厚の割合は、約半々のものが多いことから産卵後の経過日数を推定することが出来る。2) 電力撹拌と手動撹拌では、水様卵白と濃厚卵白の泡だちにおいて逆の結果をみるが、これは撹拌程度のちがいとみてよく、同一撹拌程度では新鮮卵より古卵の方が泡だちはよい。このことから普通卵白を泡だてる際に、先ず充分に濃厚卵白を均一にする為、即ち機械的に水様化をおこさせるための予備的撹拌(切る操作)を行つた後に、泡だてる方がたやすく泡を得ることが出來る。3) 撹拌時間の増加に従い、或る範囲迄はその卵白泡の比重は小となるが、卵白泡の成績は必ずしもよいとは云えない。それ故に、泡の状態(均一度、緻密度・艶など)を主にして最もよい攪拌時間を捉える必要がある.それは卵の新古, 温度, 撹拌器, 撹拌方法などによつて異るものである。4) 凝固しない程度において、卵白温度は高いほど泡だちはよいが、安定度は気温に関係すること大で、気温と大差をもたせると安定度は低下し、起泡力と安定度及び泡の状態からみて、卵白温度は30℃前後が適当である。メレンゲにおいては、冷却した泡の方が、起泡は困難であるが卵白泡そのものの光沢が良い。5) 電力撹拌器使用の場合、起泡を容易にするための添加物は普通に考えられる食品の中にはないようである。
著者
清田 雅史 馬場 徳寿
出版者
遠洋水産研究所
雑誌
遠洋水産研究所研究報告 (ISSN:03867285)
巻号頁・発行日
vol.38, pp.13-20, 2001-03

1991年から1999年の間米国アラスカ州セントポール島において,成獣雌キタオットセイの海洋廃棄物絡まりに関する調査を実施した。繁殖初期の7月初旬から8月初旬にかけて,繁殖コロニーにおいて異物絡まり雌と非絡まり雌の計数と絡まり異物の確認を行い,海岸に漂着した海洋廃棄物の種類と量を調べた。成獣雌キタオットセイの絡まり率は1991年と1994年に若干高かったが,1995年以降は0.01%前後で推移した。この9年間における成獣雌の平均絡まり率は0.013%,絡まりに由来する傷をもつ成獣雌の割合は0.029%であった。絡まり異物は,トロール魚網片,刺網片,ひも類,梱包用ポリプロピレンバンド,洗濯洗剤容器のプラスチック枠などで,そのうちトロール魚網片が最も多く49%を占めた。海岸漂着物では,近年トロール魚網片と梱包用ポリプロピレンバンドの割合が低下する一方ロープ類が増加しており,繁殖島周辺における漁業の動向に関連した組成変化が見られた。
著者
野崎 剛弘 小牧 元 須藤 信行
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.61, no.3, pp.231-241, 2021 (Released:2021-04-01)
参考文献数
69

肥満は先進国のみならず, 発展途上国でも爆発的に増加している. 肥満症は多くの医学的合併症や併存疾患が出現する慢性代謝疾患である. 肥満に関連する健康被害と医療コストは莫大なものとなっている. 肥満症対策は各国での喫緊の課題であり, さまざまな取り組みがなされているが, 十分に成功しているとは言い難い. 一方, 肥満症は非常に複雑な多因子疾患でもある. 肥満症は, 遺伝的, 生物学的, 心理的, 行動的, 家族的, 社会的, 文化的, および環境的要因がさまざまな形で影響し合って発症, 進展する. したがって, その治療は, 肥満症が慢性疾患でありかつ多因子疾患であることを考慮に入れて, 総合的に行われる必要がある. 本稿では, 肥満の生物学的, 心理社会的要因および治療について, 最近の知見と問題点を交えて概説する.
著者
山本暎一著
出版者
新潮社
巻号頁・発行日
1989
著者
三宅 康之 有安 早苗 広川 満良 椎名 義雄 郡 秀一 三宅 実甫子 吉沢 梨津好
出版者
公益社団法人 日本臨床細胞学会
雑誌
日本臨床細胞学会雑誌 (ISSN:03871193)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.151-155, 1996-03-22 (Released:2011-11-08)
参考文献数
10

保存尿の免疫細胞化学的検索により, デコイ細胞がポリオーマウイルス感染細胞と断定し得た1例を報告する. 症例は15歳, 女性で, 神経芽細胞腫の治療経過中に尿中にデコイ細胞が観察された. 後日, 尿沈渣保存液中に保存しておいたデコイ細胞の免疫細胞化学的検索にて, ポリオーマウイルス感染細胞であることが証明された. 尿沈渣を保存することの重要性とその活用について述べる.
著者
杉原 創 本田 武義 藤井 一至 舟川 晋也 岩井 香泳子 小﨑 隆
出版者
首都大学東京 大学院 都市環境科学研究科 観光科学域
雑誌
観光科学研究 (ISSN:18824498)
巻号頁・発行日
no.9, pp.125-129, 2016-01-31

本論文では,日本有数の酒米生産地である兵庫県を対象に,地質が異なる地域で栽培された酒米を比較することで,酒米と栽培土壌の化学的性質がどのように関係するか,生産地域の土壌特性が酒米の品質にどの程度影響を与えるかに関して検討を行った。土壌試料は,堆積物地帯,玄武岩地帯,蛇紋岩地帯の地域から土壌(計20地点)を採取し,土壌中の全塩基含量,無機成分含量,および可給態窒素含量と全リン含量を分析した。酒米に関しては,堆積物地帯,玄武岩地帯の玄米の試料(計16地点)を採取し,土壌試料と同じ項目を分析した。その結果,堆積物地帯の土壌と比べ,玄武岩地帯,蛇紋岩地帯の土壌はマグネシウム,マンガン,亜鉛,鉄含量が多く存在し,その影響を受け,酒米も同様の成分が高い傾向にあることが判明した。このことは,酒米栽培土壌の地質の違いが,酒米の化学的性質の違い,ひいては日本酒の地域性を生み出す重要な要因の1つであることを示唆している。
著者
高橋 幸治
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会雑誌 (ISSN:04682513)
巻号頁・発行日
vol.70, no.1, pp.76-78, 2021

患者は85歳,男性。クルミを摂取した直後から頸部痛が出現した。CT検査では頸部食道に食物と考えられる低吸収物を認め,上部消化管内視鏡検査では,頸部食道に全く咀嚼されていないクルミを認めた。内視鏡でクルミを胃内に押し込み,回収ネットを用いて体外に摘出した。食道内に食道狭窄や腫瘍性病変,潰瘍成形などは認めず,処置後は症状が改善した。本症例はクルミによるステーキハウス症候群であるが,病歴より本疾患の可能性が高いと考えた場合は,速やかに内視鏡検査を行なうべきである。
著者
久場 美南子
出版者
比治山大学大学院現代文化研究科附属心理相談センター
雑誌
心理相談センター年報
巻号頁・発行日
no.1, pp.37-46, 2005

パラノイド傾向とは被害者意識を強く感じる傾向が強いということであり、先行研究で、はパラノイド傾向のあるものは他者に攻撃的に見られやすいとしている。そこで本研究では、パラノイド傾向者がどのように悪意を認知し、怒りを喚起させているのか、そしてその表出方法を明らかにすることを目的として研究を行った。その結果、パラノイド傾向者は最近あった怒り場面を思い出させた場合、その時の怒りの程度に大きな差は見られなかったが、怒りの表出方法に関して理性的な説得を行う一方で直接非言語的攻撃を行うことが示された。また場面想定法による怒り反応の検討の結果、出来事や悪意の帰属、被害者,意識に違いが見られ、パラノイド得点が高いほど、自分が加害者の場面で怒りを喚起しやすく、自分が被害者だと捉える傾向があった。そして高パラノイド傾向者は、相手の反応を悪怠に捉えやすく、出来事の理由を不当なものと感じやすいことが示された。

1 0 0 0 OA 官報

著者
大蔵省印刷局 [編]
出版者
日本マイクロ写真
巻号頁・発行日
vol.1905年03月22日, 1905-03-22