著者
Peter Jäger Bounthob Praxaysombath
出版者
Arachnological Society of Japan
雑誌
Acta Arachnologica (ISSN:00015202)
巻号頁・発行日
vol.58, no.1, pp.27-51, 2009-09-30 (Released:2009-11-25)
参考文献数
37
被引用文献数
19 22

Spiders from Laos collected on expeditions from 2003 to 2008 are investigated. Currently, 89 spider species are recorded from Laos. Records of 51 species are included in the present paper. Four species are described for the first time: Argiope dang sp. n. (male, female) from Vang Vieng, Pseudopoda wang sp. n. (male, female) from Nam Khan valley, Olios muang sp. n. (male) from Ban Thathot, and Thelcticopis folia sp. n. (female) from Nam Khan valley. Sixteen species are recorded from Laos for the first time: Acusilas malaccensis Murphy & Murphy 1983, Agelena limbata Thorell 1897, Anepsion maritatum (O. Pickard-Cambridge 1877, Arachnura melanura Simon 1867, Araneus ellipticus (Tikader & Bal 1981), Argiope pulchella Thorell 1881, Eriovixia pseudocentrodes (Bösenberg & Strand 1906), Hersilia flagellifera Baehr & Baehr 1993, Menemerus bivittatus (Dufour 1831), Myrmarachne turriformis Badcock 1918, Oxyopes birmanicus Thorell 1887, Portia assamensis Wanless 1978, Tetragnatha ceylonica O. Pickard-Cambridge 1869, Tetragnatha lauta Yaginuma 1959, Tylorida striata (Thorell 1877), Tylorida ventralis (Thorell 1877). New observations on the biology of Eurychoera banna Zhang, Zhu & Song 2004 are documented. E. quadrimaculata Thorell 1897 is firstly recorded from Brunei. The following species are transferred from the genus Zygiella (Araneidae) to the genus Guizygiella (Tetragnathidae): Guizygiella indica (Tikader & Bal 1980) comb. nov., Guizygiella shivui (Patel & Reddy 1990) comb. nov. Illustrations are given for Argiope pulchella, A. ?versicolor, Eriovixia pseudocentrodes, Laoponia saetosa Platnick & Jägerger 2008, Orsinome vethi (Hasselt 1882), Oxyopes birmanicus, Tylorida ventralis, mostly showing intraspecific variation. A map of Laotian collecting localities is given. Orsinome vethi is recorded for Flores the first time, the record represents the eastern most distribution of this species.
著者
佐原 浩一郎 Sahara Koichiro サハラ コウイチロウ
出版者
大阪大学大学院人間科学研究科『共⽣学ジャーナル』編集委員会
雑誌
共生学ジャーナル (ISSN:24326755)
巻号頁・発行日
no.5, pp.137-161, 2021-03

論文ドゥルーズは、ライプニッツ的な最良の共可能的世界における「劫罰に処されるもの」を、その世界の進歩を単独で引き受けているものとして理解し、そこに諸世界間の差異であるはずの非共可能性を見てとっている。このような解釈を可能にしているのが、不可能性とは区別される非共可能性についての厳密な理解であり、魂が自らの全体を表現することとしての自由についての認識である。劫罰に処されるものと類比される人物としての、プラトンにおけるソフィストを、ドゥルーズは、プラトン哲学の転倒の作業のなかで叙述していたが、劫罰に処されるものは、ライプニッツ哲学を逸脱することなく語られている。
著者
川村 誠護 寺田 英雄 庄野 逸
雑誌
第79回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2017, no.1, pp.117-118, 2017-03-16

西洋音楽において,楽曲表現にはリズム,メロディー,ハーモニーという三つの要素が存在すると考えられている.これらの三要素は作曲者の個性によって表現方法にばらつきがあり,現代では複雑多様化した表現パターンを持つ楽曲が多く存在している. 本研究では,音楽の三要素から得られる表現パターンのばらつきを統計的に取り扱い,学習することができる生成系フレームを構築することで,楽曲の自動生成を試みる.また,このような生成系フレームを構築することによって,音楽状態表現を変数として評価し,鑑賞者の好みによる自動作曲や伴奏などの生成,音楽推奨システムなどに応用可能か検討していく.
著者
吉田 文武
出版者
一般社団法人 日本生体医工学会
雑誌
医用電子と生体工学 (ISSN:00213292)
巻号頁・発行日
vol.21, no.5, pp.324-327, 1983-09-30 (Released:2011-10-14)
参考文献数
4
著者
谷 一郎
出版者
一般社団法人 日本航空宇宙学会
雑誌
日本航空宇宙学会誌 (ISSN:00214663)
巻号頁・発行日
vol.21, no.228, pp.39-43, 1973 (Released:2009-05-25)
参考文献数
23
被引用文献数
1 2
著者
中尾 浩一 近島 博道 山本 恵史
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.47, no.4, pp.425-438, 2015 (Released:2016-04-15)
参考文献数
10

バソプレシンV2受容体拮抗薬 (トルバプタン) は心不全入院患者の新たな治療戦略として期待されるものの, 臨床現場での最適な使用法について不明な点が少なくない. 本研究では, 2011年7月~2013年9月に連続データを所有する全国121施設の診療データベースを用いて, 心不全入院に対するトルバプタンの処方実態を分析した.  心不全入院患者全体を対象とした集団 (A群 : 14,310例) を分析した結果, 入院期間中にトルバプタンが処方された群は988例 (6.9%) であり, その臨床背景はトルバプタンが処方されなかった群と比べて有意に重症で複雑な病態を有していた.  次に, トルバプタン早期処方の意義を検討するために, 慢性心不全の急性増悪による入院患者を対象とした集団 (B群 : 3,513例) を分析した. その結果, 早期トルバプタン処方群は, 早期未処方群と比較して, 同一施設への再入院患者である割合が高かった. 早期トルバプタン処方群は, 入院時BNP値およびクレアチニン値が有意に高値だったにもかかわらず, 院内死亡率および在院日数には差がなかった. 傾向スコアを用いて患者背景の不均衡を調整し, 早期にトルバプタンが処方される傾向にある層で比較すると, 実際に処方された群は, 未処方群と比較して, 院内死亡率に大きな違いはなかった (6.8%対7.4%) が, 在院日数が短縮される可能性 (中央値 : 15日対18日) が示唆された. 繰り返し入院する患者に入院早期からトルバプタンを使用する治療戦略は容認しうるものであり, 医療経済上の有用性が示唆された.
著者
中木 直子
出版者
京都光華女子大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2019-04-01

体重に関する女性特有の問題として、閉経後肥満や摂食障害による低体重、および月経前症候群による体重増加などがあげられるが、この背景には女性ホルモンであるエストロゲンの関与が考えられる。本研究では、エストロゲンの高脂肪食誘発性肥満抑制作用のメカニズム解明のために摂食亢進ペプチドであるグレリンに着目した。エストロゲンがグレリンのもつ摂食亢進作用のどこに・どのように影響するのかを明らかにする。本研究の実施により、一生涯に渡る女性の体重管理を通じた健康増進に、新たな知見を与えることが期待される。
著者
村田 直子 Murata Naoko ムラタ ナオコ
出版者
大阪大学大学院人間科学研究科教育学系
雑誌
大阪大学教育学年報 (ISSN:13419595)
巻号頁・発行日
no.13, pp.55-65, 2008

時間は生まれてから死ぬまでの我々の生に密接に関わっているものである。それゆえ時間的に連続した自己を保てることが、個人の同一性や主体性ζ大きく関係し、発達や健康の一つの指標となる。本論の前半部では、時間的展望研究や精神医学的な理論を援用して、時閣的連続性から見た自己のあり方について考究を深めた。また現代日本における分裂や解離の機制に言及し、時間的連続性を達成することの困難さについても論じた。一方心理療法においては、クラィエントとセラピストの関係がもっとも重視され、セラピストはクラィエントと時間を共に生きることが面接場面では要求される。筆者は、Schwingの「母なるもの」や、Jacobyの「楽園願望」、Winnicottの「存在の連続性」等の知見を用い、クライエントとセラピストが協同して時間的連続性を紡いでいくことの重要性を強調した。常に未来と直面し続けるという自己更新の作業は孤独であるが、他者の存在によって新たな可能性が生まれることと思われる。
著者
顔 華 植田 慶幸 許 東亮
出版者
一般社団法人 照明学会
雑誌
照明学会 全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.38, pp.2, 2005

中国江蘇省常州市にある中華恐竜園は恐竜化石の展示を中心とした中国最大規模の恐竜テーマパークである。2003年中国江蘇省第3回園芸博覧会のために中華恐竜園内に建設された本施設は、当博覧会のメイン会場(植物館)として使用され、その後レストランなどのレジャー施設に転用される。この建築物を臨んで人造湖や古代をイメージさせる植樹計画が有機的に計画されており、これらの景観を通して「自然保護」や「地球を愛する」という概念を警示している。照明コンセプト_丸1_主導線の両側に発光を表現することで爬虫類の足跡をイメージさせる_丸2_「卵殻」の室内側底部に可変色LED投光器を設置して古代の神秘的な雰囲気を作る_丸3_梁に設置した投光器により「卵殻」全体が発光する効果を出し「殻を破って誕生する新しい生命」を象徴する_丸4_フィルター付投光器により避雷針を緑色に照明し、「生命の萌芽」を象徴する_丸5_景観全体により全地球的な環境意識を象徴する
著者
福田 一史 三原 鉄也 大石 康介 細井 浩一
雑誌
じんもんこん2019論文集
巻号頁・発行日
vol.2019, pp.77-84, 2019-12-07

立命館大学ゲーム研究センターは16,000点からなるビデオゲームを中心とする所蔵資料の書誌データベース「RCGS Collection 試作版」を開発・公開した.本研究では,システムの機能要件を定義し.開発に用いたOmeka Sの有効性を検証する.本実装から,ブラウザ向けデータベース機能が充実しているが,LODのデータ提供機能に課題があることが示された.
著者
稲垣 具志 藤澤 正一郎 高橋 和哉 池田 典弘 竹内 聖人 荻野 弘
出版者
一般社団法人 交通工学研究会
雑誌
交通工学論文集
巻号頁・発行日
vol.2, no.2, pp.A_166-A_173, 2016

市街地での移動制約が著しく高い視覚障害者の交差点横断を支援するために,視覚障害者誘導用ブロック,音響式信号機,エスコートゾーン等の施設の普及が全国各地で進んでいる.一方,横断時の方向定位の手がかりとなるこれらの支援施設や歩車道境界部の縁石等の信頼度が横断場面によって異なる状況は,当事者にとってむしろストレスを助長する要因にほかならず改善が急務の課題である. 本稿では,視覚障害者の道路横断時のより正確な方向定位を促す手法の構築を目指し,横断歩道口の視覚障害者誘導用ブロック付近へ敷設する方向定位ブロックの提案を目的として,全盲者を対象とした歩行実験を実施した.実験参加者の主観評価のヒアリングならびに歩行・方向定位状況の観察に基づき,支援性を最大限に高めるための仕様要件と敷設方法を抽出するに至った.
著者
今井 則夫 河部 真弓 土井 悠子 中島 弘尚 小川 三由紀 古川 文夫 白井 智之
出版者
日本毒性学会
雑誌
日本トキシコロジー学会学術年会 第37回日本トキシコロジー学会学術年会
巻号頁・発行日
pp.330, 2010 (Released:2010-08-18)

【目的】現在,あるいは将来,携帯電話などから発生する電波により,人が多世代にわたってばく露されることは明らかである。しかし 電波の多世代のばく露試験はこれまでに報告がされていない。そこで,携帯電話で用いられている2GHz帯電波を妊娠期から授乳期, 離乳後のラットに多世代にわたって全身ばく露し,脳の発達及び機能への影響について検討した。【方法】ばく露箱内の照射用ケージに ラットを入れ,ばく露箱内上部に直交させたダイポールアンテナで,周波数2.14GHz,W-CDMA方式の電波をばく露した。ばく露は 1日20時間を妊娠動物の妊娠7日目から分娩21日目まで,さらに児動物が6週齢に至るまで行い,これを3世代にわたって実施した。照 射レベルとしては全身平均SAR(Specific absorption rate)が0 W/kg(対照群),0.08 W/kg(低ばく露群)及び0.4 W/kg(高ばく露群) の3段階を設けた。児動物は,ばく露終了後に脳への影響を確認するために行動機能(オープンフィールド検査)及び学習・記憶テスト (モーリス水迷路検査)を実施した。その他の検査項目として,体重,摂餌量,妊娠期間,着床痕数,産児数,出産児数,死亡児数,反 応性検査(痛覚反応,平面正向反射,背地走性,空中正向反射,耳介反射,聴覚反射,瞳孔反射,角膜反射),生殖能(性周期,交尾所 要日数,交尾率,受胎率),器官重量及び脳の病理組織学的検査についても実施した。【結果】ばく露期間中,あるいはその後の検査期 間中を通して,体重,摂餌量に電波ばく露の影響はみられず,生殖器能,反応性検査,オープンフィールド検査,モーリス水迷路検査, 器官重量及び脳の病理組織学的検査のいずれに対しても,電波ばく露による影響はみられなかった。【結論】SD系雄ラットに2GHz帯電 波を3世代にわたって,妊娠期から授乳期,離乳後のラットに全身ばく露させた結果,電波ばく露の影響と考えられる変化はみられなかっ たことから,電波ばく露による脳の発達及び機能への影響はないと判断した。(なおこの研究は生体電磁環境研究推進委員会(総務省) の支援によって,また藤原修(名工大),王建青(名工大),渡辺聡一(情報通信機構),和氣加奈子(情報通信機構)との共同研究で実施した。)
著者
中村 由紀子 島崎 真希子 小松 祐美子 中野 瑛子 松岡 雄一郎 宮田 世羽 岡 明
出版者
一般社団法人 日本小児神経学会
雑誌
脳と発達 (ISSN:00290831)
巻号頁・発行日
vol.48, no.4, pp.259-264, 2016 (Released:2016-09-09)
参考文献数
12

【目的】反社会的行動の症状を持つ発達障害の症例の特徴について検討する. 【方法】当院小児神経外来に受診した発達障害のうち, 平成21年10月から平成24年10月までに就学年齢以上であった110例を対象とした. DSM-Ⅳ-TRの素行障害の診断基準の症状が1項目以上あるものを反社会的行動群とし, その症状を持たない群と背景, 行動の特徴, 治療による症状改善の有無について比較した. 【結果】反社会的行動は38例にみられ, そのうち素行障害に該当するものは7例で全体の5.5%であった. 反社会的行動の要因は, 注意欠陥/多動性障害, 虐待, 施設入所歴, 家族の精神・発達的問題, 不安定な家庭であり, 統計学的に有意であった. 投薬や環境改善の指導を行ったところ, 66%の症例で, 反社会的行動について何らかの改善を認めた. 素行障害7例のうち4例が虐待により児童養護施設等に入所しており, 3例が社会性に強い困難さを抱えた広汎性発達障害で, 全例が治療的介入を行っても反社会的行動の改善はみられなかった. 【結語】発達障害児の反社会的行動には主診断が注意欠陥/多動性障害であることや虐待, 施設入所歴, 家族の精神・発達的問題, 不安定な家庭の要因が関与していた. 最も効果的な治療は, 保護者に対する子どもへの関わりの指導であった. 素行障害まで進行している症例は改善が極めて困難であり, 反社会的行動がみられた場合は早期介入する必要がある.