著者
海老原 貴之 守谷 俊
出版者
一般社団法人 日本臨床救急医学会
雑誌
日本臨床救急医学会雑誌 (ISSN:13450581)
巻号頁・発行日
vol.23, no.6, pp.780-787, 2020

<p>埼玉県の人口10万対医師数は全国最下位である。<b>目的</b>:埼玉の高齢者人口と救急搬送状況を調査し,救急医療の負担軽減策を検討すること。<b>方法</b>:2014〜2016年までの消防局年次報告,総務省統計局人口統計を用い,救急搬送数と高齢者人口増減率を調査検討した。<b>結果</b>:高齢者搬送数増加と生産年齢人口の軽症率が顕著であった。75歳以上人口増加率は6.4%(全国平均3.6%)で全国1位であった。<b>考察</b>:高齢者増加率の急増は,救急医療機関に過負荷がかかるため,地域包括ケアシステムが鍵となる。大宮包括ケアネットは在宅医療患者に対し,医療情報や急変時対応を記載する小冊子を配布し,不要な高齢者搬送の減少に取り組んでいる。<b>結論</b>:今後日本では,埼玉県を含む都市部周辺で急激な高齢者増加による救急医療逼迫のリスクが懸念される。救急相談システムの拡充と地域包括ケアシステムを改良し,救急医療の負担軽減が依然として急務である。</p>
著者
Ekkehart Schlicht
出版者
THE JAPAN STATISTICAL SOCIETY
雑誌
JOURNAL OF THE JAPAN STATISTICAL SOCIETY (ISSN:18822754)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.99-119, 2005 (Released:2006-01-19)
参考文献数
10
被引用文献数
34 40

This note gives a statistical description of the Hodrick-Prescott Filter (1997), originally proposed by Leser (1961). A maximum-likelihood estimator is derived and a related moments estimator is proposed that has a straightforward intuitive interpretation and coincides with the maximum-likelihood estimator for long time series. The method is illustrated by an application and several simulations. The statistical treatment in the state-space tradition implies some scepticism regarding the interpretation in terms of low-frequency filtering.
著者
金田 剛史
出版者
愛媛大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2016-04-01

動物細胞では主要な細胞骨格の一種である中間径フィラメント(Intermediate Filament: IF)は植物細胞では存在の有無が確定していない。本研究では、IFの構造を維持するために不可欠な長いαヘリックスとIFタンパク質モチーフを持つシロイヌナズナのタンパク質を植物細胞のIFを構成するタンパク質の候補として選別し、IF Motif Protein 1(IFMoP1)と名付けた。このIFMoP1をタバコの培養細胞で発現させて局在を調べると、間期にはIFMoP1は細胞骨格様の柔軟な線維構造を形成し、線維を形成しないときには微小管と共局在することが分かった。
著者
末成 道男
出版者
関西大学文化交渉学教育研究拠点(ICIS)
雑誌
周縁の文化交渉学シリーズ7 『フエ地域の歴史と文化―周辺集落と外からの視点―』
巻号頁・発行日
pp.579-599, 2012-03-01

本論は、中部ベトナム佛教の特徴を、教義や教団の側からではなく、地元の側に焦点を当てた人類学的観察を通して明らかにしようとするものである。その結果、ベトナムには、村寺が存在し、その祭壇には非仏教系の神明が多数置かれ、妻帯住持が住むなど、東アジアの中でも日本と多くの共通点を持つ、伝統的特徴が認められる。しかし、1930年代に始まった仏教新興運動も根付いていて、世代交代と共に上記のような伝統は大きな転機を迎えようとしている。しかし、伝統は必ずしも一方的に衰退するのではなく、ときには民族文化重視や市場経済化の影響などと結びつき、部分的な活性化がもたらされている。この複雑な動きを、フエ近郊村落清福における観察から提示したい。
著者
久保田 紀彦 中川 敬夫 有島 英孝 井戸 一憲
出版者
福井大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

1. VEGF-Aに対するsiRNAをデザインし、ヒト悪性神経膠腫細胞株U87およびU251に対するVGEF-Aの発現抑制効果をRT-PCRおよびELISAにて検討し、2種のVEGF-Aの発現抑制効果の高いsiRNA配列を見出した。2.先のsiRNAをU87およびU251細胞にトランスフェクションし、その培養上清によるヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)の血管形成能をfibrin gel assay法にて検討し、血管形成能が阻害されることを確認した。3.U87およびU251細胞に対するsiRNAの導入効率を通常のリポフェクタミン法とMagnetofection法にて比較検討した。Magnetofection法により、より短時間に培養腫瘍細胞に導入できることを確認した。4.手術にて採取された神経膠腫組織中のVEGA-A発現をRT-PCR、ELISA、免疫組織染色にて検討した。腫瘍の悪性度と、腫瘍組織内血管密度、VEGF-A発現量に正の相関を認めた。5.VEGF-A mRNAの安定化因子であるHuRの発現を、培養悪性神経膠腫細胞および手術組織において、RT-PCRおよび免疫組織染色にて検討した。悪性神経膠原細胞は、高率にHuRを発現していた。6.HuRに対するsiRNAを作成、U87およびU251細胞にトランスフェクションし、腫瘍細胞の増殖能に及ぼす影響をMTS assayにて、VGEF-Aの発現抑制効果をELISAにて検討した。腫瘍細胞の増殖およびVGEF-A発現に対し抑制効果を認めた。7. HuR inhibitorであるleptomycin B(LMB)のU87およびU251細胞に対する効果を検討した。腫瘍細胞の増殖およびVEGF-A発現に対し抑制効果を認めた。8. U87細胞をヌードマウスの皮下に接種し、腫瘍モデルを作成、3週間後に、先のsiRNAを通常のアテロコラーゲン法にて局注し、腫瘍の成長抑制効果を検討したが、抑制効果は得られなかった。さらに、同siRNAを磁性粒子にて標識し、Magnetofection法を併用したが、腫瘍成長に対する抑制効果は得られなかった。
著者
岩﨑 公平
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.511, 2002-06-01

●母なる地球 宇宙の無数にある惑星の中で,地球のように水のある惑星は数少ない.誰かの恋心と違って,水はあらゆる物質の中でも一番熱しにくく冷めにくい.水は優れた温度調節機能を持っている.地球表面の最高温度は40℃,最低温度は−30℃程度で温度差は高々70℃だ.比べて,お隣の水のほとんどない火星は最高が25℃,最低が−120℃と温度差は地球の2倍の145℃もある.母なる地球の海・湖・川の水,水蒸気は,体液だ.
著者
西田 公昭
出版者
朝日新聞出版
雑誌
一冊の本
巻号頁・発行日
vol.22, no.6, pp.66-68, 2017-06
著者
北山 育子 真野 由紀子 澤田 千晴 下山 春香 安田 智子 今村 麻里子 花田 玲子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.24, 2012

【目的】本県では大晦日に祝い膳を家族で囲み、年越し料理を食べて祝う風習があり、その行事食も特徴的なものが多い。また、お盆には法界折を墓前にお供えし、下げていただく習慣がある。近年、伝統的な行事食の伝承が少なくなっている傾向にあるが、本研究ではこの風習がどの程度残っているのか、更に青森県の年越しとお盆の行事食の特徴について明らかにすることを目的とした。【方法】調査は平成21,22年度の日本調理科学会特別研究として全国統一様式による調査票とともに配布した独自の調査用紙により、青森県在住の一般240名(50~60歳代57.1%)を対象に集合自記法及び留め置き法にて実施した。また、学生75名(19~20歳)には大晦日における料理、主な材料、写真撮影を課しレポートに記入させた。調査期間は平成21年12月から平成22年5月までとした。【結果】年取りの祝い膳については、認知度、喫食経験率がともに100%であった。喫食経験率の高いものから煮物、茶碗蒸し、数の子、なまこ、昆布巻き、なますであり、特徴的なものとして子和え72.1%、酢ダコ66.7%であった。また、市販品の利用も多く、カニ67.5%、握りずし63.3%、オードブル(各種料理の盛り合わせ)45.0%などが行事食として根付いている様子が伺えた。地域別にみると、津軽はけの汁66.9%やエビ・鯛の雲平59.3%、南部はいちご煮34.6%、南部・下北はくじら汁35.8%が食されていた。お盆の行事食については、喫食率の高いものから煮しめ、赤飯、ところてんであり、その他に季節のものである枝豆、とうもろこしが食べられていた。
著者
飯塚 春尚 小野里 康博 蘇原 直人 石原 弘 小川 哲史 伊藤 秀明 柿崎 暁
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部
雑誌
Progress of Digestive Endoscopy (ISSN:13489844)
巻号頁・発行日
vol.72, no.2, pp.94-95, 2008-06-15 (Released:2013-08-02)
参考文献数
3
被引用文献数
1 1

CO2送気と通常送気で大腸ESD時穿孔・穿通した症例を経験した。直腸Rbの歯状線にかかるLST-Gを通常送気で行い術後レントゲンで後腹膜気腫,皮下気腫に気づいた。術後発熱,炎症反応上昇を認めたが保存的加療し軽快。CO2送気で上行結腸LST-NGをESD中に穿孔しクリップ縫縮し,術後異常所見を認めなかった。腸管外に漏れた送気量,腸液量に違いがあるがCO2送気は通常送気と比較し大腸ESDの安全性を高める一つの方法と思われた。
著者
奥村 純市
出版者
養賢堂
雑誌
畜産の研究 (ISSN:00093874)
巻号頁・発行日
vol.67, no.9, pp.923-928, 2013-09

XVI. オーストリッチの肉料理(続き) 2 生で食べるオーストリッチ (続き) h. 生ハムとルッコラのピザ モモ肉を使って,生ハムを作る みんなでワイワイ楽しいパーティ,オードブルに,酒の肴に向いている。<モモ肉>断面の直径が5cm位 漬け込み用塩 適宜 ローズマリー,セージ,タイム 適宜 (図73)
著者
峰岸 有紀 青山 潤
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
日本生態学会誌 (ISSN:00215007)
巻号頁・発行日
vol.69, no.3, pp.201-207, 2019 (Released:2019-12-24)
参考文献数
26
被引用文献数
1
著者
鈴木 寿之 森 誠一
出版者
一般社団法人 日本魚類学会
雑誌
魚類学雑誌 (ISSN:00215090)
巻号頁・発行日
vol.63, no.1, pp.39-43, 2016-04-25 (Released:2018-04-25)
参考文献数
17
被引用文献数
1
著者
加藤 和彦 山田 興一 稲葉 敦 黒川 浩助 小宮山 宏
出版者
公益社団法人 化学工学会
雑誌
化学工学論文集 (ISSN:0386216X)
巻号頁・発行日
vol.21, no.4, pp.753-759, 1995-07-10 (Released:2009-11-12)
参考文献数
9
被引用文献数
1 1

屋根置きタイプおよび地上設置タイプの太陽光発電システムについて, 太陽電池モジュールの製造から発電システムの建設までのCO2排出量を求め, 太陽光発電システムから得られる電力のCO2排出原単位を試算した.例えば, 年産規模10MWの場合の多結晶シリコンセルを用いた屋根置きタイプ及び地上設置タイプシステムのCO2排出原単位は, それぞれ179g-C/kWh及び39g-C/kWhとなった.一方, 同年産規模のアモルファスシリコンセルを用いたシステムのCO2排出原単位は, それぞれ10g-C/kWh及び47g-C/kWhとなった.太陽光発電システムからのCO2排出削減には, モジュール面積に応じて必要となるアルミフレームやカバーガラスなどの素材使用量を削減する必要がある.また, システム全体の効率の向上や長寿命化も有効である.さらに本稿では, 太陽光発電システムがわが国に大規模に普及する場合の, 系統電力と太陽光発電システムのCO2排出原単位の関係についても検討を加えた.