著者
TAKEMURA Kazuto ENOMOTO Takeshi MUKOUGAWA Hitoshi
出版者
Meteorological Society of Japan
雑誌
気象集誌. 第2輯 (ISSN:00261165)
巻号頁・発行日
pp.2021-016, (Released:2020-12-02)
被引用文献数
2

This study examines the predictability of an enhanced monsoon trough, which is accompanied by a large-scale cyclone in the lower troposphere, south of Japan seen in late August 2016. The monsoon trough is found to be enhanced by a meandering of the Asian jet and a consequent southwestward intrusion of upper-level high potential vorticity associated with a Rossby wave breaking east of Japan. JMA's operational one-month ensemble prediction during the forecast period of a week underestimates intensity of the Rossby wave breaking and fails to predict the enhanced monsoon trough. A simple sensitivity analysis based on ensemble singular vectors indicates that initial perturbations over the Bering sea and near the Asian jet entrance region can efficiently grow and propagate toward the region to the south of Japan, contributing to maximize the perturbations of the enhanced monsoon trough. The time evolution of the perturbations propagating toward the region to the south of Japan is consistent with that of the ensemble spread during the forecast period. Perturbed hindcast experiments were conducted with the initial perturbations obtained from the simple sensitivity analysis. The monsoon trough to the south of Japan in the perturbed experiment is significantly more enhanced than the unperturbed experiment, supporting the simple sensitive analysis. These results indicate crucial contribution of the initial perturbations associated with the Rossby wave breaking and near the Asian jet entrance region to the limited predictability of the enhanced monsoon trough in late August 2016.
著者
有賀 義明
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集A1(構造・地震工学) (ISSN:21854653)
巻号頁・発行日
vol.65, no.1, pp.688-696, 2009 (Released:2011-04-30)
参考文献数
12

近い将来,東海地震,東南海·南海地震,首都圏直下地震等の発生が想定されている.これらの地震が想定されている本州太平洋側には,東京,横浜,名古屋,大阪などの大都市が分布しており,地下街,地下鉄等の利用が行われている.地下空間の基本特性は隔離性であり,この基本的特性から様々なメリットとデメリットが派生すると考えられる.人間の活動空間として地下を利用する場合,平時には問題が表面化することはないが,災害時には,空気,光,水,火,煙,有毒ガス等,人間の生命を脅かす危険要因が顕在化することが想定される.このような点を踏まえ,本研究では,人間の活動空間として地下空間を利用する場合を前提として,大都市の地下空間に要求される耐震性能を提案するとともに地震防災対策について考察した.
著者
水野 りか 松井 孝雄 Francis S. BELLEZZA
出版者
日本認知心理学会
雑誌
認知心理学研究 (ISSN:13487264)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.1-10, 2007-08-31 (Released:2010-09-29)
参考文献数
15
被引用文献数
5 5

本研究は,表音文字処理における形態・音韻コードへの依存度の英語母語者と日本語母語者の違いを調べることを目的とした.実験1では,Posner,Boies,Eichelman,& Taylor (1969)の文字マッチング実験を手続き上の諸問題を解決した上で日米で追試した.その結果,彼らの実験結果とは異なり形態的一致のRTはISIとともに増大せず,日本では形態的一致のRTが音韻的一致のRTより短いが米国では両RTが等しく,日本語母語者は形態的一致の判断に形態コードを用いるが英語母語者は形態コードの代わりに音韻コードを用いる可能性が示された.実験2ではこの可能性を確認するために,音韻コードの利用を抑制する変則マッチング実験を行った.その結果,米国では実験2の形態的一致のRTは実験1より短いが,日本ではそうした傾向が全くないことが見いだされ,表音文字処理における日本語母語者の形態コードへの依存度の高さと英語母語者の音韻コードへの依存度の高さが確認された.

1 0 0 0 OA 甲斐国志

著者
松平定能 編
出版者
温故堂
巻号頁・発行日
vol.第85巻 仏寺部第13,第86巻 仏寺部第14,第87巻 仏寺部第15,第88巻 仏寺部第16, 1884
著者
野口 理恵
雑誌
哲学会誌 (ISSN:03886247)
巻号頁・発行日
no.29, pp.193-206, 2005-06-01
著者
松平 好人
出版者
一般社団法人 経営情報学会
雑誌
経営情報学会 全国研究発表大会要旨集 2018年春季全国研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.341-344, 2018 (Released:2018-05-31)

本研究は、自治体による中小企業に対する支援政策に絞り、そのうち中小企業が新規事業に向かう支援政策の方向性を検討する。目的は、第一に東大阪の中小企業の事例から、イノベーション普及の阻害要因を明らかにする。第二に、自治体の支援事業を受けてイノベーションが促進されたという事例と東大阪の事例との比較分析を行う。最後に、自治体によるイノベーション促進政策の方向性に関する仮説を構築する。
著者
大上 真礼 寺田 悠希
出版者
田園調布学園大学
雑誌
田園調布学園大学紀要 = Bulletin of Den-En Chofu University (ISSN:18828205)
巻号頁・発行日
no.11, pp.169-188, 2016

近年,人口に膾炙している「女子力」という概念について,その下位概念を構成するものが従来の「男らしさ・女らしさ」と異なるかについて探ることを目的に先行研究を概観した。「女子力」に関する研究を概観した結果,女性は男性に比べて「女子力」のイメージとして外見に関する項目を選ぶ者が多いこと,雑誌記事が想定する女子力と大学生たちが実際に考える「女子力」にはギャップがあることなどが明らかになった。次に,「男らしさ・女らしさ」の測定語の変遷を性格・身体・行動に分けて概観した。変化していない測定語も多かったが,「やさしさ」が女らしさの測定語のみならず,男らしさの測定語としても出現し,逆に男らしさとされてきた「包容力」が女らしさの自由記述でも挙がるようになるなどの変化があった。また,行動面では消費行動とその性らしさを結びつける研究はほとんどなかった。「女子力」と女らしさの測定語を比較すると,「女子力」は比較的短期間の行動で獲得・維持できるといった側面が女らしさと異なることが明らかになった。また,性格や消費以外の行動面では直接的に役に立つものが「女子力」とされていることもうかがえた。以上の結果を踏まえて,「女子力」の高低がメンタルヘルスに与える影響などについて,その性らしさとは異なる角度から検証していく必要があることが示唆された。
著者
馬 雯雯
出版者
現代日本語研究会
雑誌
ことば (ISSN:03894878)
巻号頁・発行日
vol.40, pp.90-105, 2019

<p>本研究は「女子力」を巡る記述における言語標識に焦点を当て、「女子力」ということばを考察するものである。分析に際し、まず、「女性」「女子」「女の子」に接尾辞の「らしい」「っぽい」が結び付いた言語標識を軸に、「女子力」にみられるジェンダーの要素の分析を試みた。そして、「できる」「優れている」「得意」「上手」といった動詞および形容詞を軸に、「女子力」にみられる能力の要素を探ってみた。その上で、「女子力」の使用の様相について男女別に分析を試みた。「女子力」は「女性らしさ」を構築する動的なプロセスを可視化し、「女性らしさ」のありかを示していることばである一方、「能力」としてその形式の「女子」に表われるジェンダーの境界線を越え、「男性」のジェンダー領域にも入っていることばであること、「女子力」の使用において、女性はそれを「ほめ」の効果のあることばとして同性に使うが、男性はそれを「冗談としてのほめ」の効果のあることばとして同性に使うことを明らかにした。</p>
著者
馬 雯雯
出版者
現代日本語研究会
雑誌
ことば (ISSN:03894878)
巻号頁・発行日
vol.41, pp.39-52, 2020

<p>本研究は馬(2019)の後続研究として、「聞き手」の視点に着目して、「女子力」がどのように使われるのかを分析したものである。馬(2019)が明らかにした「話し手」の視点からみた「女子力」の使用の様相と対照しながら、「女子力」を使用した具体的な表現、意図およびそれに対する「聞き手」の反応を分析した。「女子力」が「ほめ」の効果のあることばとして使われることは、「話し手」と「聞き手」のどちらからみても、観察されたところである。一方、「女子力」は「からかい」「忠告」「批判」の効果のあることばとして使われることが女性の「聞き手」の視点からの分析で浮き彫りになった。女性も男性も「女子力」を肯定的に使ったり、受け取ったりしているが、女性の場合は「女子力」を否定的に使われたり、受け取ったりすることが特徴的である。このことは、「女子力」の揺らぎを示している。</p>
著者
赤坂 貴志 飯塚 佳代
出版者
専修大学情報科学研究所
雑誌
専修大学情報科学研究所所報
巻号頁・発行日
no.92, pp.7-11, 2018-07

私たちの生活を取り巻くものとしてスマートフォンは欠かせないものとなりつつある.スマートフォンの利用者増加に伴いソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)の利用者も増加傾向にある.本研究では,現代社会における若者へのSNSの浸透の深さに着目し,インスタグラム利用者におけるファッションの購買行動について19歳~30歳の若者を対象に調査を行い,ファッション認識・行動にInstagramがどのように影響するかについて分析を行った.
著者
尾藤 章雄
出版者
山梨大学教育学部
雑誌
山梨大学教育学部紀要 (ISSN:24330418)
巻号頁・発行日
no.31, pp.63-75, 2021-02-22

投稿写真の共有を目的とする代表的なSNSアプリケーションであるInstagramにおいて、若者が投稿した特定の場所を撮影した写真に基づいて、現地調査を交えてその場所が持つ特徴を検討した。Instagramにおいて「ハッシュタグ+場所名(#場所名)」による検索で投稿数が1万件を超える場所を、兵庫県淡路市、香川県琴平市・観音寺市、および香川県小豆島内の小豆島町・土庄町から6箇所選定して分析した結果、若者によく知られている、希少価値がある、カラフルな色彩を呈する、舞台となるしつらえがある、という4つの特徴を持つ場所が特に注目されること、さらにそれら4つの特徴の幾つをあわせ持つかによって、若者にとってのその場所の価値が推定できることが明らかになった。
著者
島地 岩根 Shimaji Iwane
出版者
三重大学生物資源学部附属演習林
雑誌
三重大学生物資源学部演習林報告 = Bulletin of the Mie University Forests (ISSN:09168974)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.9-40, 1996-03-01

ライト・トラップ法により、三重大学平倉演習林における鞘翅類の動態を25年間(1966年~1990年)にわたり調査した。その資料に基づき鞘翅類群集の基本的構成とその動態について解析した。1. 25年間に97科, 603,609頭が記録された。このうち同定できた707種, 544,109頭を対象として検討した。年間に出現した種数は344種~415種、年間の同定個体数は15,420頭~27,754頭にわたった。2. 全体として47種が優先種として出現したが、年間の優占種は9種~26種で構成され、これらが各年における鞘翅類群集の主要構成種であることを明らかにした。また、各優占種の25年間における出現状況から、鞘翅類群集は3種を共通の基盤として、これに、時期により連続的に出現した種、散発的または単発的に出現した種が加わって構成されており、その構成は年ごとに異なることを示した。これは、各優占種の個体数の年次的な変動によるものと考えられた。3. 優占主47種は、これらの個体数の年次的動向の上から、横ばい傾向群16種、増加傾向群4種、減少傾向群14種、漸発傾向群13種に類別された。このうち、横ばい傾向群16種は、鞘翅類群集の25年間における構成基盤であること、他の傾向群に属する各優占種の個体数の増加期と、これらの優占種としての出現状況(優占期)が大体同調した時期は、鞘翅類群集の経年的な動向を反映すると思われた。4. 優占種47種の出現状況、それらの個体数の年次的動向および食性の上から、平倉演習林の鞘翅類群集は、横ばい傾向群16種を共通の基盤として構成されているが、他の傾向群の個体数の年次的な動向と関連して群集構成は時期により異なること、その時期的構成は3~7年の間隔で変動していることが推定された。さらに、その時期的構成は、1966~1971年(6年間)が生態的に最も多様で、1988年~1990年(3年間)が生態的に最も単純であることが推察された。
著者
楊 潔 菊池 英明
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第34回全国大会(2020)
巻号頁・発行日
pp.3Rin418, 2020 (Released:2020-06-19)

言語的協同は対話参加者が繰り返し発話などを通じて相手に似せた方法で対話に参与する行為である。本研究では人間同士の自由対話における繰り返し型の言語的協同の特徴量を分析した上で、ユーザの属性を考慮にいれて対話ロボットによる言語的協同がユーザに与える効果を検証する。大学(院)生38人を対象としてWOZ法による対話実験を行なった。実験の条件は一対話中の協同発話の頻度によって低頻度・中頻度・高頻度に分け、頻度条件ごとに実験群(協同発話)と対照群(相槌)を設けた。被験者は対話ごとに共感と対話継続欲求に関わる三つの項目に対する5段階評価を行なった。その結果から、高頻度の言語的協同は共感促進と対話継続欲求2の向上に効果があると考えられた。また、本実験の範囲で、言語的協同の頻度が高いほど共感の効果が顕著であることが考えられた。最後に、ロボットへの否定的態度が強いユーザ・ロボットへの不安感が強いユーザほど言語的協同の効果が高まることが示唆された。