著者
石橋 知也 柴田 久
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D1(景観・デザイン) (ISSN:21856524)
巻号頁・発行日
vol.70, no.1, pp.1-15, 2014 (Released:2014-01-20)
参考文献数
147
被引用文献数
1

本研究は福岡市の都市形成に影響を与えたと考えられる1960年代に発表された施策(第一次・第二次福岡市総合計画)の変遷と当時の議論を整理しながら,都市戦略のあり方について考察することを目的とする.ここでは1958~1966年の福岡市議会での議論,1962年の西日本都市診断の新聞記事等を言説分析の対象とした.その結果,都市診断結果,政令指定都市北九州の誕生,大規模地方開発の指定が往時の都市戦略の方向性を決定付けるエポックとして抽出された.これより都市戦略のあり方における要点は,1)客観的な診断分析は都市発展の方向を決定付けることに寄与すること,2)都市の競争相手となる他者を認識することでその比較から都市の特徴を見出し得ること,3)第三者からの都市の性格付けによって相対的な位置付けが明確化されること,を指摘した.
著者
村岡 潔
出版者
佛教大学総合研究所
雑誌
佛教大学総合研究所共同研究成果報告論文集 = Supplement to the bulletin of the Research Institute of Bukkyo University (ISSN:21896607)
巻号頁・発行日
no.5, pp.75-84, 2017-03

本稿は,貧困と疾病に関して,医療社会学・医療人類学的な観点から論ずる試みである。I)では,貧困の諸概念を紹介し,医療サービスの欠如と平均寿命の低さや,貧困の文化という視点が貧困と疾病の関連を示唆と述べた。II)では,疾病と貧困のインターフェイス(両者を繋ぐ要素)として生活の状況という文化的因子に言及した。この疾病と貧困の改善の因子としては,生活の近代化(西欧化)であり衛生思想(まなざし)の変化であることや,外国人の仕事は人生の一部であり手段とみなす傾向があるのに対して,日本では,その手段が目的となっているという文化的慣習自体に貧困や過労死につながる要因があることを示した。III)では,病気にまつわる脱貧困についての課題を簡単に列挙した。公衆衛生学的なインフラ整備に加え,生活の現代化(再構築)を推進し,生命や衛生状態や食品と食品添加物に対するまなざしの変化が,貧困対策,ひいては健康対策を牽引し,それが脱貧困の第一歩となるものと結論した。貧困疾病貧困の文化カローシスローライフ
著者
渡辺 光一 黒崎 浩行 弓山 達也
出版者
「宗教と社会」学会
雑誌
宗教と社会 (ISSN:13424726)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.47-66, 2011-06-11 (Released:2017-07-18)
被引用文献数
1

100項目の宗教概念について日米の回答者に賛成か反対かを尋ねると、日米共通で信仰者のほうが非信仰者よりも賛成する共通概念が90も検出され、日米共通で生命主義的救済観が信じられているなど意外な点が多かった。教義と実際の信仰のかい離も検出された。さらに、1)人格神への信仰、2)教団宗教的規範、3)超越への働き掛け、4)大生命と魂、5)現世利益、6)感情の制御というお互いに相関する6つの共通概念群からなる日米共通の構造が検出された。それら共通概念群は、実践論的・顕教的か存在論的・密教的かという2つの独立したメタ因子からなるメタ共通構造に包摂され、有機的階層的な構造を成している。このうち、実践論的・顕教的なメタ因子のみが、信仰者の幸福度に対してプラスの効果を持つ。また、神に関する概念と幸福度の関係を調べると、人格的な神概念は幸福度にプラスの効果を、非人格(原理)的な神概念はマイナスの効果を持つ。
著者
吉田 治正 長畠 健史 小牧 順道 馬場 順久 大渡 昭彦
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2002, pp.642, 2003

【はじめに】自動出力型微弱電流刺激装置(Electro Acuscope 80L、Biomedical Development社製)(以下、Acuscope)は、スポーツ界、整骨院などを中心に使用されている微弱電流刺激装置である。本治療器は患部の電気的な情報を読みとり、状態に合わせた刺激を行うことで患部を最も速い方法で改善させるという特徴を持っている。本研究の目的は、この刺激装置が急性の痛みに対してどの程度効果があるか明らかにすることにある。【対象】対象は原因疾患や部位を特定せずに、急性の疼痛(発症から3日以内)を主訴とする32名(男性9名、女性23名)とした。平均年齢は56.5±17.2歳であった(Mean±SD)。なお、薬物療法等を行った者は対象から除外した。【方法】比較の対象として同じ微弱電流刺激装置(MY-O-MATIC i-4、Monado社製)(以下、MENS)を使用し、対象をAcuscope施行群、MENS施行群、Acuscopeプラセボ群、MENSプラセボ群の4群に乱数表を使用して無作為に振り分けた。刺激方法としてはAcuscopeおよびMENS共に刺激強度600&mu;A、周波数0.5Hz、刺激時間12秒としプローブ法にて各疼痛部位に1回のみ施行した。二つのプラセボ群は刺激設定を同一にし、プローブを装置から外して通電できない状態で行った。データの収集は全て一人のセラピストが行い、被験者に対する説明も文章を作成し統一して行った。効果判定には疼痛の主観的強度を調べる目的でVisual Analogue Scale(以下、VAS)を使用し、痛みの種類を分類する目的でマクギル疼痛質問表簡易版を使用した。なお、今回のデータ収集をするにあたって、主治医の許可をとり、被検者には研究目的を十分に説明を行い了解が得られた者に対して行った。また、プラセボ群には実験終了後、通常の治療を行った。【結果】統計処理として一元配置分散分析を行った結果、VASに有意差が認められた(p<0.05)。また、多重比較(Fisher's PLSD)を行った結果、Acuscope施行群と他の3群の間にそれぞれ有意差が認められ(p<0.05)、その他の群間には有意差が認められなかった。また、マクギル疼痛質問表の点数は、Kruskal-Wallis検定を行った結果、群間に有意差は認められなかった。【考察】今回の研究では、痛みの主観的強度の変化に有意差が認められたことから、Acuscopeは急性疼痛に対して有効であると考えられた。しかし、機械を被験者に見られている等も考えられ、完全な二重盲検になっていない可能性がある。Acuscopeの入出力系がどのように行われているかは不明であるが、この機器が他の機器よりも優れていれば、各個人にとって適量の刺激が存在することになる。つまり、障害部位の電気的情報を収集することで、より効果のある電気刺激を選択することが可能になると考えられる。今後、「障害部位には本当に電気的変化が見られるか」という視点から研究を行いたい。

1 0 0 0 OA 官報

著者
大蔵省印刷局 [編]
出版者
日本マイクロ写真
巻号頁・発行日
vol.1918年05月22日, 1918-05-22

1 0 0 0 OA 官報

著者
大蔵省印刷局 [編]
出版者
日本マイクロ写真
巻号頁・発行日
vol.1915年05月26日, 1915-05-26

1 0 0 0 OA 官報

著者
大蔵省印刷局 [編]
出版者
日本マイクロ写真
巻号頁・発行日
vol.1912年07月17日, 1912-07-17

1 0 0 0 OA 官報

著者
大蔵省印刷局 [編]
出版者
日本マイクロ写真
巻号頁・発行日
vol.1920年05月22日, 1920-05-22
著者
折田 洋晴 オリタ ヒロハル
雑誌
St. Paul's librarian
巻号頁・発行日
vol.28, pp.37-45, 2014-03-31
著者
黒田 大介 御手洗 容子 小野 嘉則
出版者
鈴鹿工業高等専門学校
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

L-605合金はその優れた高温強度および高温耐酸化性から人工衛星に搭載される一液触媒式スラスタの構成材料として使用されている。しかしながら、本合金をN_2およびNH_3の存在する高温環境中に暴露した場合には著しい劣化が生じることが問題となっている。本研究では、Nを含む環境中で熱処理したL-605合金のミクロ組織、力学的特性などを評価し、L-605合金の劣化機構の解明を試みた。N_2ガス雰囲気中で1173Kの温度で86.4ks以上の熱処理を施したL-605合金では硬くて脆いCr窒化物およびW炭化物の析出が認められた。また、L-605合金の力学的特性は熱処理時間の増加にともない低下した。これらの結果から、L-605合金の劣化にはCr 窒化物だけでなくW炭化物が寄与していることを明らかにした。
著者
小林 信介
出版者
御茶の水書房
雑誌
地域統合と人的移動: ヨーロッパと東アジアの歴史・現状・展望 (金沢大学重点研究)
巻号頁・発行日
no.野村真理, 弁納才一[編], pp.243-264, 2006-03-15

地域統合と人的移動 : ヨーロッパと東アジアの歴史・現状・展望 (金沢大学重点研究)の一部, 第2部 東アジア 第4章
著者
Hidenori Samoto 佐本 英規
出版者
国立民族学博物館
雑誌
国立民族学博物館研究報告 = Bulletin of the National Museum of Ethnology (ISSN:0385180X)
巻号頁・発行日
vol.45, no.3, pp.471-516, 2021-01-28

2013 年 10 月,ソロモン諸島マライタ島南部アレアレの熱帯雨林に即製のレコーディング・スタジオが出現した。本論文は,アレアレの在来楽器である竹製パンパイプと即製のレコーディング・スタジオをめぐる一連の出来事の検討を通じ,グローバル化時代のアレアレの在来楽器が混淆化する様相を論じる。着目するのは,一方で在来の竹製パンパイプを取り込み同時代の音楽を生み出そうとする人びとの制作と,他方でグローバル化時代の音楽を組み入れつつ在来の竹製パンパイプを作り直そうとする人びとの制作との対称的な関係である。民族誌の最後の局面では,それぞれの制作が即製のレコーディング・スタジオで時空間を共有する状況が示される。そこでは,プロデューサーとエンジニア,演奏者といった人びとが,レコーディングという共通の出来事に臨みつつ,それぞれの意図の実現に向けて各々の制作行為に取り組む様相に焦点があてられる。最終的に,グローバル化時代において異なる者同士が出会い,ひとつの出来事を共有することの困難と可能性の一端が,音楽をめぐる媒介の営為に関する考察を通して示唆される。
著者
飯塚 幸子 磯谷 敦子 神田 涼子 藤井 力
出版者
日本醸造協会
巻号頁・発行日
vol.114, no.2, pp.93-101, 2019 (Released:2019-06-21)

(1)平成26酒造年度全国新酒鑑評会出品酒の「マスカット様」,「ライチ様」,「柑橘様」と表現される香り特性について,チオール類の関与を予測した検討を行った。(2)チオール類の関与が考えられるコメントや指摘のあった試料25点の4MMP含量は,5~14ng/Lで,いずれも以前に報告した清酒における4MMPの検知閾値(1.2ng/L)よりも高かった。(3)チオール類を選択的に抽出した試料のGC/Oを行った結果,4MMP以外のチオール類も清酒中に存在する可能性が示唆された。(4)4MMPを添加した清酒の官能評価試験を行い,清酒の香味に対する4MMPの影響を調べた。その結果,8.0ng/L以上の4MMPの添加により,「硫黄系」の香り特性が有意に増強された。また,16.0ng/L以上の4MMPの添加により,総合的な香味評価は有意に低下したものの,「マスカット」,「ライチ」,「柑橘」などと表現される「果実様」の香り特性も増強された。