著者
原田 佑規 箱田 裕司 黒木 大一朗
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集
巻号頁・発行日
vol.2013, pp.150, 2013

強盗等の犯人が凶器を握っていた場合,犯人の顔や衣服に関する目撃者の記憶成績は低下する。この現象は凶器注目効果と呼ばれており,その生起機序については凶器に対する目撃者の(a)注視パターンや(b)有効視野の縮小が関与していると主張されてきた。本実験の目的は,凶器に対する(a)注視時間と(b)有効視野の大きさを測定し,凶器注目効果に関する実証的な根拠を提供することであった。参加者がキーを押すと,凶器刺激か統制刺激が呈示され,その消失直後に参加者の注視点の周辺に数字が呈示された。参加者の課題はこの数字を正しく検出し,同定することであった。実験の結果,参加者の注視時間は,凶器刺激と統制刺激の間で有意差がなかった。一方,数字の同定成績は,凶器刺激を目撃している時のほうが統制刺激よりも有意に低かった。これらの結果は,注視パターンでなく,有効視野の縮小が凶器注目効果の生起へ関与していることを示唆する。
出版者
日経BP社
雑誌
日経コンピュータ = Nikkei computer (ISSN:02854619)
巻号頁・発行日
no.941, pp.58-60, 2017-06-22

静岡銀行が進める次期勘定系システムの構築が難航している。動作環境をメインフレームからLinuxに刷新する総額300億円超の計画は当初2017年の稼働を目指していたが、1年以上遅れる。静岡銀の新システムを基に開発したパッケージを導入予定の京葉銀行も影響を受け…
著者
藤井 隆至
出版者
国立歴史民俗博物館
雑誌
国立歴史民俗博物館研究報告 = Bulletin of the National Museum of Japanese History (ISSN:02867400)
巻号頁・発行日
vol.51, pp.259-290, 1993-11-10

本稿は,雑誌『郷土研究』がどのような主題をもち,どのような方法でその主題を分析していったかを解明する。この雑誌は1913年から1917年にかけて発行された月刊誌で,柳田国男はここを拠点にして民間伝承を収集したり自分の論文を発表したりする場としていた。南方熊楠からの質問に対して,この雑誌を「農村生活誌」の雑誌と自己規定していたが,それでは「農村生活誌」とは何を意味するのであろうか。彼によれば,論文「巫女考」はその「農村生活誌」の具体例であるという。筆者の見解では,「巫女考」の主題は農村各地にみられる差別問題を考究する点に存していた。死者の口寄せをおこなうミコは村人から低くみられていたけれども,柳田はミコの歴史的系譜をさかのぼることによって,「固有信仰」にあってミコは神の子であり,村人から尊敬されていた宗教家で,その「固有信仰」が「零落」するとともに差別されるようになっていったという説を提出している。差別の原因は差別する側にあり,したがって差別を消滅させるためには,すべての国民が「固有信仰」を「自己認識」する必要があるのであった。その説を彼は「比較研究法」という方法論で導きだしていた。その方法論となったものは,認識法としては「実験」(実際の経験の意)と「同情」(共感の意)であり,少年期から学んでいた和歌や学生時代から本格的に勉強していた西欧文学をもとにして彼が組み立ててきた認識の方法である。もう一つの方法論は論理構成の方法で,帰納法がそれであるが,数多くの民間伝承を「比較」することで「法則」を発見しようとする方法である。こうした方法論を駆使することによって彼は差別問題が生起する原因を探究していったが,彼の意見では,差別問題を消滅させることは国民すべての課題でなければならなかった。換言すれば,ミコの口寄せを警察の力で禁止しても差別が消滅するわけではなく,差別する側がミコの歴史を十分に理解することが必要なのであった。
著者
研 攻一 黒木 洋子
出版者
羽陽学園短期大学
雑誌
羽陽学園短期大学紀要 = Bulletin of Uyo Gakuen College (ISSN:02873656)
巻号頁・発行日
vol.9, no.4, pp.489-500, 2014-02-01

不登校生徒を再登校させるための、主にメンタルサポーターの立場からの援助効果を検討した。メンタルサポーターの職務は、不登校生徒の側に寄り添いながら、再登校へ向けての援助を行うことである。その結果、次のような結果が得られた。(1)不登校生徒を再登校させることについては、学校と保護者間の中継点としての役割を果たし、効果が認められた。(2)不登校を起こした、原因の根本的な治療的な側面である発達モデルに基づく解決については、その効果を果たすことができなかった。(3)不登校生徒の不登校の原因と見られる、家庭内の家族関係の問題についての情報収集などについては、十分な効果を得ることができなかった。
著者
楠木 建 高岡 浩三
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネス (ISSN:00290491)
巻号頁・発行日
no.1814, pp.28-31, 2015-11-02

それでも、期間限定商品はキットカットの戦略の本線にはしませんでした。そもそも、ネスレ日本の商品ポートフォリオの中でコンビニで売れるのはせいぜいキットカットくらいなので、コンビニの役に立てません。 そこで、期間に縛られない限定品は何だと考え…
著者
山本 通
出版者
神奈川大学経済貿易研究所
雑誌
経済貿易研究 = The Studies in economics and trade (ISSN:03865193)
巻号頁・発行日
no.45, pp.37-81, 2019

19世紀の間に「チョコレート」は上流階級がたしなむ高価な「甘くて温かい飲み物(ココア)」から庶民が食べる「固形の菓子」に変容した。この変化にはヨーロッパにおける一連の技術革新が寄与している。19世紀初めに英国のフライ社はココア製造に初めて蒸気機関を導入して大量生産し、その価格を著しく低下させたが、同社は19世紀中頃には固形チョコレートの大量生産を始めた。しかし、英国産のチョコレートは、その品質の点でオランダやスイスのそれらに遠く及ばず、国内市場には外国製品が溢れた。20世紀初めにキャドベリー社は、英国人好みの高品質で低価格のココアとチョコレートを開発し、さらに工場設備の近代化と積極的な広告宣伝により、英国最大の菓子企業にのし上がった。これに対して後発のラウントリー社は、上記2社とのカルテル締結によって命脈を保った。しかし同社は、1930年代に(キットカットなどの)「カウント・ライン」生産に戦略転換して、成長を遂げた。第二次世界大戦後の経営環境は、それ以前とは全く異なるものとなり、各社は合理化と製品多角化とグローバル化を推し進める。そして、英国の巨大菓子企業はいずれも2010年までに、他の多国籍企業に吸収合併されてしまうのである。研究ノート

1 0 0 0 OA 貨物運送要覧

著者
森豊治郎 編
出版者
森豊治郎
巻号頁・発行日
1925
著者
林 雄二 植村 元一
出版者
大阪市立大学
雑誌
重点領域研究
巻号頁・発行日
1990

生物間相互作用物貭の研究は最近数多く行われており,植物・動物間の相互作用のうち,植物成分と昆虫の間では極めて興味深い作用物貭が種々報告されて来た。しかし,更に高等な草食哺乳動物と植物成分との相互作用に関与する物貭が見出された報告は殆んど見当らない。私達は奈良公園で鹿が食べない植物の代表として知られるナギとイワヒメワラビの成分をこれまでに検索し,興味ある新しい化合物を見出して来たが,これらが鹿の摂食忌避と結びつく知見を見出せずにいた。そこで,小形の草食動物としてモルモットを用い,定性的な摂食忌避試験を指標としてナギの葉の成分をしらべた。酢酸エチル可溶部に忌避活性がある事が判ったので分画を繰返し,最終的にはアセチル化後,三種の化合物をアセタ-トとして單離,構造決定し,これらがナギラクトンC,ナギラクトンA,1ーデオキシー2,3ーエポキシナギラクトンAの各々のアセタ-トである事を知った。これらの化合物のもとのアルコ-ル体は,これ迄にナギから得た既知化合物であるので,標品を用いて作用を調べたところ,忌避活性を示すことが明らかになった。ナギ葉の抽出物に対するモルモットの摂食忌避は致命的なものであり,粗抽出物を添加した人工飼料だけで飼育すると,摂食量ゼロのまゝ体重は減少し続け,約三週間後に餓死する。これはナギラクトン類の忌避が,單純な動物の嗜好等に基づくものではなく強い毒性によるものと推定される。今までに知られているナギラクトン類の生物活性,たとえば,昆虫の幼虫や白アリに対する毒性,がん細胞に対する細胞毒性などが高等動物に対しても作用をもつ事を示している。現在,他の鹿に対して摂食忌避性をもつ植物の活性成分の探索と,より定量的な信頼のおける結果を与える生物試験法の開発を検討中である。
出版者
日経BP
雑誌
日経コンストラクション = Nikkei construction (ISSN:09153470)
巻号頁・発行日
no.741, 2020-08-10

「またか」と思った。静岡県の川勝平太知事が国土交通省の藤田耕三前事務次官に、リニア中央新幹線のルート変更を持ち掛けた時だ。 2人は2020年7月10日、トンネルの坑口整備など準備工事の是非を巡って会談。
著者
Atsuyoshi Kawagoshi Masahiro Iwakura Yutaka Furukawa Keiyu Sugawara Hitomi Takahashi Takanobu Shioya
出版者
The Society of Physical Therapy Science
雑誌
Journal of Physical Therapy Science (ISSN:09155287)
巻号頁・発行日
vol.32, no.12, pp.804-809, 2020 (Released:2020-12-11)
参考文献数
30
被引用文献数
1

[Purpose] The effect of physical activity on systemic inflammation remains unclear and might be negative in patients with chronic obstructive pulmonary disease (COPD) and lower weight. We investigated the amount of physical activity as the time spent in posture and movement and its association with systemic inflammation. [Participants and Methods] In this retrospective cross-sectional pilot study, we evaluated 11 patients with COPD (age, 73 ± 7 years; body mass index, 18.9 ± 2.9 kg/m2). A recently developed triaxial accelerometer was used to measure the time spent in posture and movement. We also evaluated body composition, physiological indexes, and serum levels of inflammatory cytokines. Single correlation coefficients were calculated as the association between physical activity and other outcomes. [Results] The walking time was 36 ± 32 min/d, and the standing time was 151 ± 118 min/d. The time spent walking significantly correlated with the fat-free mass index (r=0.73) and interleukin (IL)-8 level (r=0.76). The time spent standing significantly correlated with the C-reactive protein (r=0.80) and IL-6 levels (r=0.74). [Conclusion] These data indicate that increased physical activity is associated with higher systematic inflammation. We should consider that the systemic inflammation may have been affected by the increased physical activity of the patients with COPD and lower weight in this study.
著者
石田 孝行
出版者
静岡県水産技術研究所
雑誌
静岡県水産技術研究所研究報告 (ISSN:18830382)
巻号頁・発行日
no.51, pp.13-18, 2018-10

太平洋クロマグロの漁獲管理措置に伴い集計された2015~2016年の静岡県知事管理漁業のクロマグロ属人漁獲量と,1994年以降の属地水揚量を整理することで,静岡県におけるクロマグロの水揚げの特徴と動向を明らかにした。水揚量が急増した2016年は,11~12月に沿岸及び近海かつお一本釣り漁業による0歳魚が年間属地水揚量の70%を占めた。その他の漁業も含め,この年の静岡県に水揚げされたクロマグロは4kg未満の0歳魚が主体であった。1994年以降の属地水揚量の推移と尾叉長組成の傾向から,静岡県に水揚げされるクロマグロは,銘柄別ではメジ,年齢では加入直後の0~1歳魚が主体であると考えられた。また,メジ銘柄の属地水揚量は年変動が大きく,多獲年には沿岸及び近海かつお一本釣り漁業による漁獲が年間水揚量に大きく影響していると推察された。
著者
高橋 愛
出版者
徳山工業高等専門学校
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究では、「男らしさ」という観点からハーマン・メルヴィルの中・長編小説の分析を行った。具体的には、身体をめぐる問題に焦点を当てながら『ホワイト・ジャケット』(1850)と『白鯨』(1851)を読み、近代アメリカ社会の規範的な「男らしさ」の観念から逸脱するような「男らしさ」が描き込まれていることを示した。さらに、『ベニト・セレノ』(1855)と『ビリー・バッド』(1924)に関する議論では男同士のケアに注目し、その中で「男らしさ」の規範が攪乱される状況が描かれているということを示した。