著者
石川 健太 山口 美和子 澤 幸祐 高田 夏子 大久保 街亜
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.85, no.1, pp.87-92, 2014-04-25 (Released:2014-04-15)
参考文献数
33

This study investigated the effect of interpersonal dependency on judgments of gaze direction of individuals with different facial expressions. Based on interpersonal dependency scores, 46 participants were divided into two groups (high interpersonal dependency and low interpersonal dependency). Participants judged the gaze direction of photographs of faces with angry, neutral or happy expressions. Relative to the low interpersonal dependency group, the high interpersonal dependency group was more accurate in the judgments of gaze direction. This tendency was more salient for the happy and neutral expressions than for the angry expressions. Since people with high interpersonal dependency are highly motivated to seek support from others, this result suggests that they are sensitive to signals with pro-social information such as the gaze direction of others with positive attitudes.
著者
広岡 勲 下村 道夫
出版者
一般社団法人 国際P2M学会
雑誌
国際P2M学会研究発表大会予稿集 2019 秋季 (ISSN:24320382)
巻号頁・発行日
pp.406-425, 2019 (Released:2019-10-03)
参考文献数
45

大相撲は約350年前、江戸時代から端を発した文化であり、運営を行う日本相撲協会は内閣府から公益財団法人として認可され、現在に至っている。ところが近年、暴力問題が多発し、リスクマネジメントの重要性が指摘されているため、高度なP2M体制の構築が必要となる。暴力問題の主たる発生要因は外的要因と内的要因に大別される。前者は「稽古」という養成システム面と「相撲部屋」という構造システム面に分類され、現在では環境改善するなど適切な対策が取られている。しかし、ヒトの心理面や倫理面が要因である「行き過ぎた指導」や「異文化の習慣」に対してはまだ効果が十分とは言えないため、後者の内的要因からの対策が求められている。本論文では外的要因に加え、内的要因を踏まえたリスクアセスメントを特徴とする新たなリスクマネジメントを提案、評価する。
著者
新井 信之 内山 範夫 佐藤 哲郎 佐藤 とも子 植田 さおり 渡辺 和美 大谷 知子 須田 剛
出版者
順天堂大学
雑誌
医療看護研究 (ISSN:13498630)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.9-14, 2007-03
被引用文献数
1

目的:精神障害者生活訓練施設における精神障害者の賃貸アパート契約に至るまでの支援内容とその実際から,住宅確保に向けた課題を明らかにする。方法:T援護寮を退所し単身生活をはじめた29名を対象に,担当職員9名への半構造化面接及び利用者個人記録の内容を項目ごとに整理し、その人数を比較した。研究期間は2001年10月から2002年2月である。結果:対象者の診断名は統合失調症が最も多く24名で,その他は神経症,躁鬱病,人格障害などであった。年齢は平均41.2歳で,最年少20歳,最高齢65歳であった。賃貸アパートに退所した25名(86%)の経済基盤は障害年金や生活保護費の受給が主で,賃貸アパートの契約時に申告する職業がなく,また家族関係の悪化から保証人を家族に依頼できない者も5名いた。更に21名が精神疾患の罹患が契約上不利になると判断し病気を隠していた。結論:精神障害者の賃貸アパート契約では,家賃支払いの基盤となる就労先や保証人の確保,精神疾患に罹患しているという事実の扱いが大きな課題となっていた。今後の支援では,就労先の確保,保証人協会などの保証人制度の充実など具体的かつ実際的な支援の充実の必要性が示唆された。

7 0 0 0 OA 天文学(洛氏)

著者
ロックャー 著
出版者
文部省
巻号頁・発行日
vol.上, 1879
著者
赤田 圭司
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.101, no.10, pp.749-754, 2006-10-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
31

大豆はタンパク質, 脂質, ミネラル, ビタミンなどを含む栄養価の高い食品である。また, 大豆の機能性成分が最近は注目を集めており, 抗酸化作用, 血圧降下作用, コレステロール調節作用など生活習慣病の予防にも効果がわかっている。大豆の伝統的な加工食品である納豆は, 大豆の栄養・成分をまるごと摂取できるだけでなく, 納豆の機能性として, ナットーキナーゼによる血栓症予防, 骨代謝に必須なビタミンK2による骨粗しょう症の予防, ビタミンB, による疲労回復や成長促進の役割, 納豆菌による整腸作用などがある。最近, タカノフーズ株式会社では納豆のヒト皮膚に及ぼす影響について研究を行っているので, その効果についてお伺いした。
著者
石原 嘉人
出版者
JSL漢字学習研究会
雑誌
JSL漢字学習研究会誌 (ISSN:18837964)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.65-71, 2013-03-20 (Released:2017-05-26)
参考文献数
7

いわゆる漢字圏の学生を対象とした漢字音読語の指導方法を提案する。具体的には「運動」を「ウンドン」と読むなど漢字圏の学生が陥りやすい誤用を未然に防ぐために,中国語(北京語と広東語),韓国語,ベトナム語の漢字音の韻尾との対応関係について整理する。また,入声音Pを含む漢字語彙の促音化現象(納得,合宿など)について,旧仮名遣いを廃止したために見えにくくなった部分を指摘し,指導に生かすことを提案する。
著者
柴田 侑秀 中谷内 一也
出版者
日本社会心理学会
雑誌
社会心理学研究 (ISSN:09161503)
巻号頁・発行日
vol.34, no.3, pp.151-161, 2019-03-31 (Released:2019-03-31)
参考文献数
37

The literature in the field of fear of crime posits that fear results from perceived likelihood of victimization. This causal relation, however, has not yet been confirmed in empirical research. This paper examined this relationship by providing participants with information regarding the actual numbers of a crime. In Study 1, the survey data on the fear of crime was collected from 173 undergraduate students, and a hierarchical cluster analysis was conducted to select the types of crimes as materials in the experiment. In Study 2, 274 undergraduate students were randomly assigned to one of the two conditions: one where the annual number of a type of injury due to crime was presented or the control condition, where no crime statistics were presented. The results revealed that the participants with the statistical information about the crimes decreased their perceived likelihood of victimization as well as their fear of crime. These results provide preliminary confirmation of the causality from the perceived likelihood of victimization to fear of crime. The practical implications and limitations of this research were discussed.
著者
竹林 正樹 小山 達也 千葉 綾乃 吉池 信男
出版者
日本健康教育学会
雑誌
日本健康教育学会誌 (ISSN:13402560)
巻号頁・発行日
vol.30, no.3, pp.240-247, 2022-08-31 (Released:2022-09-07)
参考文献数
20

目的:大学生を対象にした健康教育関連シンポジウムの案内チラシにおけるナッジ別の参加意欲の検証.方法:保健系大学生917人を無作為に3群に振り分け,健康教育関連シンポジウムの異なる3種類のチラシをメールで送信し,参加意欲を調査した.対照群のチラシは従来型のチラシをもとに詳細な情報を記載し,簡素化ナッジ群は文字数を73%削減した.EASTナッジ群はナッジの枠組みEAST(簡素化,印象的,社会的,タイムリー)に沿って,4コマ漫画や主催者の似顔絵等を記載した.結果:対照群70人,簡素化ナッジ群67人,EASTナッジ群71人(有効回答率29.1%)を解析対象とした.「参加したいが日程が合わない」「参加する」と回答した者は,対照群,簡素化ナッジ群,EASTナッジ群の順に,30.0%,40.3%,47.9%で,対照群よりEASTナッジ群が有意に高かった.チラシの感想では,対照群は「読みやすい」「すぐに読みたくなった」で他の2群より有意に低く,「不快に感じる」は簡素化ナッジ群より有意に高かった.結論:既存型のチラシは情報量の多さが参加意欲の阻害要因であり,「阻害要因の除去としての簡素化ナッジ」と「促進要因としてのタイムリーナッジ」を設計することで意欲が向上することが示唆された.本研究は実際の参加者数をアウトカムにしなかったこと等の限界があり,さらなる検証が求められる.
著者
高坂 康雅
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.1-12, 2009-03-30 (Released:2012-02-22)
参考文献数
34
被引用文献数
3 3 2

本研究の目的は, 青年が容姿・容貌に対する劣性を認知したときに生じる感情と反応行動との関連を明らかにすることである。中学生, 高校生, 大学生545名を対象に, 劣性の認知を尋ねる項目, 劣性を認知したときに生じる感情に関する項目, 反応行動に関する項目について回答を求めた。分析の結果, 反応行動は, 他者回避, 直接的努力, 他者攻撃, 気晴らし, 放置, 賞賛・承認希求, 代理補償の7種類に分けられた。また, 直接的努力は憧憬感情と, 他者攻撃と賞賛・承認希求は敵意感情と, 気晴らしは不満感情と, 放置と代理補償は悲哀感情と自己肯定感情とそれぞれ関連しており, 他者回避は中学生・高校生では不満感情と関連し, 大学生では悲哀感情と関連していた。これらの結果から, 容姿・容貌に対する劣性を認知したときに生じる感情と反応行動との間には, 特定の結びつきがあることが確認された。
著者
長谷部 将大 古桧山 建吾
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, pp.351-358, 2021-06-15 (Released:2021-06-15)
参考文献数
13

今回,回復期リハビリテーション病棟(以下,回復期病棟)に入院した3事例に対して,「作業機能障害の種類と評価(以下,CAOD)」を用いて,作業機能障害の重症度に着目した価値のある作業に根ざした実践を行った.3事例は異なる経過を辿るも,3事例とも作業機能障害の重症度は改善を示した.そして,その経過を比較検討した結果,作業機能障害の重症度は事例の作業環境や作業の特性によって変動しやすく,対象者に作業を提供する際にはそれらを考慮することが重要になると考えられた.また,回復期病棟の対象者に対して,CAODによって作業機能障害の重症度を測定し,それを活用することは,多職種連携を促進する要因になる可能性があった.

7 0 0 0 放送教育

出版者
日本放送教育協会
巻号頁・発行日
vol.42(1), no.460, 1987-04
著者
西岡 久寿樹
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.96, no.10, pp.2235-2240, 2007 (Released:2012-08-02)
参考文献数
5
被引用文献数
2 2

線維筋痛症は中高年の女性を中心に発症原因が不明の特有の全身の筋骨格系を中心とする中枢性の疼痛疾患である.その病態は精神症状から消化管,粘膜症状など多彩な症状を呈する.一方,本症は客観的データが乏しいために診断や病態の把握に困難を招くことも多く,一般内科医やかかりつけ医の臨床的な面での対応は未だ遅れている.最近,厚生労働省の研究班を中心に病因,病態の解明が進められている.
著者
梶山 哲 戸髙 良祐 野村 心 梅野 和也
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.541-546, 2019 (Released:2019-08-28)
参考文献数
24

〔目的〕歩行自立・転倒カットオフ値リスト(脳卒中対象の他論文を参照)を,回復期リハ病棟の脳卒中患者に導入し,転倒予防効果を検討すること.〔対象と方法〕2016年度に当センターを退院した脳卒中患者123名を非導入群,2017年度に退院した脳卒中患者119名を導入群とした.導入前後でFIM,転倒発生率を比較した.また,理学療法士28名に対しアンケート調査を行った.〔結果〕転倒発生率,退院時合計FIMにて有意差を認めた(p<0.05).アンケートでは,「歩行自立度判断を行う際の多職種との協議において,パフォーマンステストや転倒リスク因子を参考に発言できているか」について導入後に有意に数値が高くなった(p<0.05).〔結語〕リストの使用は理学療法士の意識の変化に影響を与える可能性が示唆された.
著者
樋口 耕一
出版者
計量国語学会
雑誌
計量国語学 (ISSN:04534611)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.36-45, 2017-06-20 (Released:2018-08-01)
参考文献数
2
被引用文献数
6

本稿では筆者が開発・公開しているテキストデータの計量分析用ソフトウェア「KH Coder」について,言語研究の分野で活用するための手順を紹介する.第一に,KH Coderの主な機能と開発の狙いを紹介することで,このソフトウェアの全体像を示す.KH Coderはもともと言語研究の分野ではなく,社会学・社会調査分野という異なる背景の中で開発されているので,活用のためには全体像を把握しておくことが有用であろう.第二に,KH Coderを言語研究の分野で用いるためのカスタマイズについて紹介する.たとえば,そのままの設定では,KH Coderは助詞・助動詞のような機能語を無視して内容語だけを分析に用いる.この設定を変更して機能語を分析の対象にする方法や,ソフトウェアが自動的に行なった形態素解析の結果を人手で修正する方法などを紹介する.
著者
荒川 尚美 大西 浩之 舛田 勇二
出版者
The Society of Cosmetic Chemists of Japan
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.41, no.3, pp.173-180, 2007-09-20 (Released:2010-08-06)
参考文献数
9
被引用文献数
12 8

ビデオマイクロスコープは簡便に皮膚表面の拡大画像を取得できる。この皮膚拡大画像からキメ・毛穴の特徴を評価できる解析法を開発した。皮膚拡大画像から画像処理により皮溝・皮丘・毛穴を抽出し, 評価項目「皮溝の太さ」「皮丘の細かさ」「毛穴の大きさ」を定量化した。具体的には皮溝の平均幅を算出することにより皮溝の太さを, 一定面積中の皮丘の数を算出することにより皮丘の細かさを, 毛穴の総面積を算出することにより毛穴の大きさを数値化した。本手法の数値結果を美容技術者による視感評価の評点と比較したところ高い相関が得られた。また本手法を用いてキメ・毛穴の形態と年代, 季節, 皮膚生理との関連性を調べた。年代との関係を調べたところ, 20歳前後でキメが粗くなった。毛穴に関しては各年代の平均値は10-40代において増加した。季節との関係を調べたところ冬季にキメが粗くなり皮溝が太くなった。皮膚生理との関係との関係を調べたところTEWLの値が小さい肌に比べて大きい肌ではキメが粗く, さらに皮脂量が少ない肌に比べて多い肌においてもキメが粗かった。本手法は肌状態の評価やそれに基づく化粧料の開発に有用であると考えられる。
著者
白水 始 飯窪 真也 齊藤 萌木
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学年報 (ISSN:04529650)
巻号頁・発行日
vol.60, pp.137-154, 2021-03-30 (Released:2021-11-16)
参考文献数
82

本稿では,学習科学の成立と展開を振り返り,次の課題を同定することで,実践を支える学びの科学になり得る可能性を検討した。1990年代初頭の成立から30年が経ち,学習科学は学習者の学びの複雑さや多様性を可視化し,それを支える教師や教育行政関係者,研究者が実践の中で学びについて学び合うことの重要性を明らかにしつつある。それは研究方法論が,特定の学習理論を具現化した教材などのパッケージを提供するデザイン研究から,ビジョンを提示し,その実装を現場主体で行えるようシステム面で支援するデザイン研究や,教育行政関係者も巻き込んだ連携基盤の上で学校や教師集団の自走を狙うデザイン社会実装研究に変化しつつあることとも呼応する。今後は,児童生徒が授業の中でいかに学ぶかの仮説を教育現場が自ら立てて,そのデザイン仮説を実践結果で検証し,学習プロセスの複雑さや多様性についての理解を深めることを支えられる実践学の創成が求められている。