著者
槇 徹雄 大賀 涼 櫻井 俊彰
出版者
東京都市大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2019-04-01

国内中小企業が超小型ミニカーを開発する際の安全指針を明確化し,さらに海外からの不安全車両の輸入を抑制することで,国内の交通事故環境を維持改善する.これまでの衝突形態として、剛壁への衝突試験形態から乗用車との対車両衝突とし,よりリアルワールドでの衝突形態に変更してミニカー車体の上部構造も含む全車体構造のエネルギー吸収特性の最適化や乗員傷害値低減手法を検討する.
著者
槇 徹雄 田久保 宣晃 大賀 涼 櫻井 俊彰
出版者
東京都市大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-04-01

超小型ミニカーの前面衝突実験を実施し、市販車両の衝突安全性能を把握した。従来車体構造では乗員の生存空間を確保することが難しく、コンピュータ解析を用いた構造解析により車体の安全性能を大幅に向上させることができることを明確にした。具体的には車体前部の衝突エネルギー吸収量を増加し、さらにルーフへの荷重をコントロールすることで若干の重量増で、前面衝突時の安全性能を確保できることを明確にした。その結果、超小型ミニカーにも通常の市販車並みの衝突安全性能を確保できることの方向性を示すことができた。
著者
沖野 郷子 町田 嗣樹 川口 慎介
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

地球内部の水の分布状況と循環についての理解を深めることをめざし、水の入り口として重要な海洋トランスフォーム断層(OTF)及び断裂帯において、学術研究船「白鳳丸」を用いて中央インド洋のマリーセレストOTFとアルゴOTF及び周辺海域(13°-18°S)の地球物理・化学観測を実施した.観測結果の解析により,1)OTF内の断層分布とテクトニックな発達史、2)蛇紋岩体分布可能性の有無,3)周辺も含めた海洋地殻の組成と変質過程を明らかにし,4)蛇紋岩化に伴う流体湧出を検証するためのメタンの分析が進行中である.
著者
田中 究 前田 潔 北山 真次 高田 哲 富永 良喜 加藤 寛
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004

被虐待児童の評価として、既に十分に確立している精神疾患概念(診断基準)を用いて評価し、被虐待児童の精神症状、心理的影響について、その成育史上の特徴との関連を明らかにすることは有用であると考えられ、調査を実施した。本調査は兵庫県児童擁護連絡協議会および神戸市養護施設連盟に加盟する児童養護施設(28施設)において行ったものである。その結果、児童養護施設には高率に被虐待児が入所しており、また何らかの精神症状、精神疾患を持つものも高率におり、児童養護施設はもはや生活施設としてではなく、療育・治療の施設としての位置づけがなされなくてはならない状況であった。また、2施設においては悉皆調査を行い、児童の精神医学的診断を質問紙法(子ども用面接(ChIPS))でおこない、加えて児童の観察および診察および事例検討を通して精神科医および小児科医、臨床心理士が評価を行った。また、この評価と生活状況、養育環境および虐待体験の有無、虐待の種類などについて検討し、統計学的解析を行った。この結果、児童養護施設入所時のうち被虐待児の割合は70%認め、何らかの精神症状を持つ児童が74.7%認めた。その内訳は反応性愛着障害35%、注意欠陥多動性障害23%、反抗挑戦性障害28%、行為障害28%、全般性不安障害16%、気分変調・抑うつ状態16%、遺尿(夜尿)18%、解離症状24%、感情コントロール不全16%、知的障害19%などを認めた。さらに、乳児院を経て入所した児童は、反応性愛着障害、注意欠陥多動性障害、反抗挑戦性障害で有意に多かった。これらの児童への治療は、身体医学的治療(薬物療法)および精神医学的治療を医師らがあたり、心理学的治療(遊戯療法、芸術療法、認知行動療法、など)は臨床心理士等に業務依頼し、経時的にこれらの症状評価を行った。研究協力者として加藤寛氏(兵庫県こころのケア研究所研究部長)、井上雅彦氏兵庫教育大学発達心理臨床研究センター准教授)に評価、治療等へのご協力を頂いた。
著者
大崎 遥花
出版者
九州大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2019-04-25

リュウキュウクチキゴキブリは、配偶時に雌雄が互いの翅を付け根付近まで食い合う。翅の食い合いは性的共食いの一種とみなせるが、これまでは決まった性が異性を食う一方的な性的共食いしか報告がない。食われた個体は将来の繁殖成功が著しく低下する。このため性的共食いは性的対立の究極的な例と考えられている。性的対立とはオスメス間の利害対立であり、子を残す最適な戦略は雌雄で異なるために生じる。よって性的対立は生物の生態や行動の進化を理解する上で鍵となる重要な概念である。両性が互いに食い合う初の性的共食いである翅の食い合いの意義を解明することで、性的対立の理解に大きく貢献し、新たな雌雄の繁殖戦略の知見を提供する。
著者
根岸 友恵 鈴木 利典 濱武 有子 藤原 大
出版者
岡山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

痛風の原因物質として知られている尿酸であるが、抗酸化物質として重要な働きをしている。尿酸がどのような酸化ストレスに対して防御作用を示すかを調べ、生物における尿酸の存在意義とその利用価値を示すことを目的とした。ショウジョウバエの尿酸欠損株はタバコ副流煙曝露に感受性が高い。副流煙曝露時の尿酸含量を測定した結果、野生株では尿酸が、尿酸欠損株では前駆体含量は増加した。このことは酸化傷害に対する防御機構として尿酸合成が亢進している可能性を示唆するものである。
著者
斎藤 純男 井上 治 孟 達来 高木 小苗
出版者
東京学芸大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

アフガニスタンにおけるモンゴル系のモゴール語は現在絶滅した可能性の高い言語であるが、服部四郎が1961年に現地調査を行なった際の未発表の録音資料が島根県立大学の資料中に発見され、それに基づいて研究を行なった。モンゴル系語彙を含むハザーラ語の話者の協力を得ながら、録音されたモゴール語の語や文を音声・文法・意味の面から詳しく記述した。使用した録音資料からは、モゴール人はハザーラ語も話すという新しい情報も得られた。また、永久的保存のためテープによる録音資料をデジタル化するとともに、過去に発表されたモゴール語語彙を電子化してデータベースの基礎とした。
著者
藤田 勲
出版者
埼玉県立飯能南高校
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2007

1、目的・方法高校化学における総合的な理科の学力が身に付くカリキュラム及び授業書の作成を目的とし、具体的な授業案とその方法論を演示実験も含めて詳細に記述した授業書を一時間ごとに作成する。本年度はそのうち「NO2、花火の化学」と「NO3、酒の化学」の作成を目指した。2、成果「NO2、花火の化学」については冊子(約100ページ)にまとめて印刷し、各方面に配布することができた。「授業編のパート1「銅元素の旅」では元素概念の導入・展開を記した。この中で、人の体を作る元素を切り口にして元素不滅から元素循環へと元素概念を広げ、地球環境で循環する炭素元素を取り上げた。その際に元素循環がイメージしやいように銅元素の循環を演示実験で示した。この実験は金属銅を塩酸・過酸化水素で溶かし、アンモニア錯体にしてビタミンCで再び金属銅に戻すというものである。ここで私はガラス面だけでなくプラスチック面にもメッキがつきやすくする前処理剤として、従来からの塩化パラジウムでなく安価な硝酸銀を使う方法を開発した。また、パート2「光を出す元素」では炎色反応を通して元素を追うというアプローチで授業案を展開した。具体的には銅元素を炎色反応で追い、その応用として花火を取り上げた。麻ヒモを硝酸カリウムから塩素酸バリウムと代えて燃やすことで酸化剤の概念を導入し、実用花火の作り方を提示した。なお、解説編前半では温暖化問題を根本から解説し、後半では炎色反応の原理を詳細に記述し、線香花火の松葉様火花の生成原理も検討した。「NO3、酒の化学」は今のところ雑誌『化学と教育』5月号にその概要を記すにとどまっており、冊子の完成た至っていない。
著者
関根 嘉香 武政 晃弘 太田 栞 三澤 和洋 熊井 夕貴
出版者
東海大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

微小粒子状物質(PM2.5)に含まれる酸化還元活性物質(キノン類等)は、生体内で活性酸素の生成を促し、活性酸素による酸化ストレスが健康障害を引き起こす可能性がある。そこで本研究では、酸化チタンを担持した石英繊維フィルターを作成し、PM2.5をろ過捕集した後に紫外線(UV)を照射し、光触媒反応によるPM2.5の無害化を試みた。その結果、UV照射に伴いPM2.5の重量、有機・元素状炭素量が減少すると共に二酸化炭素の生成が認められ、光触媒反応により炭素成分を分解できることがわかった。またPM2.5の活性酸素産生能はUV照射後に有意に減少し、酸化ストレスの緩和に寄与することがわかった。
著者
赤谷 昭子 澤井 英明 鍔本 浩志
出版者
兵庫医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

「背景」成熟精子表面には、雄性生殖臓器特異抗原CD52(mrtCD52)が存在し、臨床的に精子抗体が原因で起こる不妊症は、このCD52の糖鎖が責任抗原であることがあきらかにされている。本課題では、動物実験によりmrtCD52抗原の免疫が同種メスに抗体産生を誘導することができるか、またこれを避妊ワクチンに応用することができるかを検討した。「方法」マウス雄性生殖組織(輸精管)より、mrtCD52を精製した。♂および♀マウスに完全フロインドアジュバントとともに皮下投与(全身免疫)した。また粘膜免疫として、コレラトキシンBをアジュバントとして経鼻投与した。抗体の産生はELISA、western blot法、蛍光抗体法により評価した。抗体の生物作用として、精子不動化試験、in vitro受精阻害実験、交配実験を行った。「結果」♂♀マウスの全身免疫により、mrtCD52に反応する抗体が産生された。また、経鼻投与によっても血中に抗体が検出された。いずれの抗体もCD52のペプチド部分には反応せず、糖部分が免疫原性を持つことがわかった。またこれらの抗体は、補体の存在下でマウス精子を不動化した。In vitro受精および免疫♀マウスの妊娠は阻害しなかった。「結論」mrtCD52には同種あるいは自己抗体を産生する糖鎖抗原が存在することが明らかになった。これによってヒト不妊症で報告されていた精子に対する同種抗体の産生を、マウスで実証した。免疫動物の妊娠阻害には至らなかったが、抗体が不動化作用を持つことから、避妊ワクチンの開発には、雌性生殖器器官に効果的に発現する抗体、分泌型IgAの産生を高めることが今後重要と考えられる
著者
宇佐美 雄生
出版者
大阪大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2019-04-25

本研究は、分子ネットワークを用いたリザーバコンピューティングを構築し、物質ネットワークに立脚した情報制御の可能性を示すことを目的とする。リザーバコンピューティングは、入出力と計算資源であるリザーバ層から成り、出力との接続部分の結合の強度のみを読み取ることで情報処理及び学習を行う演算システムの一つである。リザーバコンピューティングの肝であるリザーバ層を物質系である金微粒子-導電性高分子ネットワークで担い、入出力をソフトウェアで制御することで、情報処理機能を発現する。
著者
安岡 孝一 山崎 直樹 二階堂 善弘 師 茂樹 Wittern C. 池田 巧 守岡 知彦 鈴木 慎吾
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2017-04-01

古典漢文における動詞の作用域、すなわち「動詞の後に置かれる項」のまとまりを、自動抽出する手法の開発をおこなった。具体的には、Universal Dependenciesと呼ばれる文法記述手法を用いて、いわゆる四書(『孟子』『論語』『大學』『中庸』)の係り受けコーパスを制作し、これを用いて、古典漢文の形態素解析と依存文法解析(係り受け解析)をおこなうツールUD-Kanbunを作成した。さらに、このツールを発展させて、動詞の作用域を元に返り点の自動生成をおこない、日本語の活用語尾と助詞を自動で付加することで、自動的に訓読をおこなうツールUD-Kundokuを試作した。
著者
高野 佐代子
出版者
株式会社国際電気通信基礎技術研究所
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2004

歌声や発話に関わる声の高さの調節には声帯の長さと張力が深く関わっており、声を高くする際には甲状軟骨の声帯付着部と輪状軟骨の声帯付着部が互いに離れる方向へ運動が生じている。この変化は輪状甲状関節の運動によることが知られているが、この関節運動が回転運動のみなのか、滑走運動も行っているのかについては一致した見解が得られていなかった。また上下方向の滑走運動により声の高さに影響を与えるという理論モデルもあるが、実際の計測結果の報告はない。これまでに輪状甲状関節の運動を詳細に調べるために、MRIを用いて十分な解像度を得られるように撮像装置の改良や撮像方法の開発を行ってきた。本年度は特に3次元パターンマッチングプログラムを作成し、得られたMRIデータから半自動的に正確な位置を推定した。その結果、甲状軟骨はhighでは上方への移動に加え、前方への移動が見られ、また左右方向への移動回転も確認された。輪状軟骨はhighで上昇し、後方への回転に加え、後方への移動も見られた。輪状甲状関節の上下の滑走は0.5mm以下と小さく、前後方向の滑走に比べると影響は小さいと考えられる。前後方向の滑走には左右差が見られ、最大約1.2mmの運動が確認された。以上の結果から、関節の滑走が起こらないとする従来の報告と異なり、中音域における輪状甲状関節の運動は、輪状軟骨の回転と滑走からなると考えられた。これらの結果をMaveba2005において発表した。今後は被験者の数および発声の範囲を増やして関節運動を計測し、、雑誌論文に投稿する予定である。
著者
落合 博志 陳 捷 小川 剛生 岡 雅彦 堀川 貴司 住吉 朋彦 岡 雅彦 藤本 幸夫 堀川 貴司 陳 捷 和田 恭幸 住吉 朋彦 小川 剛生 岡崎 久司 村木 敬子
出版者
国文学研究資料館
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2007

本研究では、中世日本の刊本、特に五山版(主に禅宗の寺院で出版された本)を対象として、日本国内及び海外に存在する原本を調査して書誌データを採取し、それに基づいて五山版序跋・刊記集成、中世出版年表、五山版所在目録を作成するとともに、五山版の持つ様々な問題について考察した。具体的には、各伝本の版本としての位置付けと資料的価値、同時代における五山版の受容、五山版と中国・朝鮮刊本との関係等であり、これらを通して、五山版の日本の出版史における意義や、文化の発展に及ぼした役割などについて、多くの新しい知見を得た。
著者
杉山 智昭 今津 節生 鳥越 俊行 赤田 昌倫
出版者
北海道博物館
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2017-04-01

本研究では、X線CTスキャナによる資料の非破壊三次元調査を核として、地域に遺されたアイヌ民族生活関連資料を長期にわたって安全に利活用していくための基礎情報の取得と資料内部構造に含まれる歴史情報の抽出、伝統的な工芸技術の復元・継承等を目ざした基礎的な取り組みを行った。その結果、1)アイヌ民族生活関連資料の内部構造、製作技法、製作年代、製作地、劣化状態、修復技法に関連する情報を獲得する上でX線CTスキャナを用いた調査が有効であること、2)データベース化した三次元情報を画像あるいは3Dレプリカの形で利用することにより、アイヌ民族生活関連資料の製作技術の解明・復元が可能となることが示された。
著者
Grecko Valerij
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

ロシア・アヴァンギャルドの特徴のひとつは、芸術実践が科学理論と密接に関連していることである。具体的なモチーフのレベルでは、共産主義社会における「新しい人間」の創造が特に重要なものとして科学と芸術に共通して現れる。生理学・遺伝学その他の分野における科学の発展によって、アヴァンギャルド芸術においてもこのモチーフに対する関心が高まった。イデオロギーと世界観のレベルでは、ユートピア思想が科学と芸術の双方に見られる。記号論を援用してメタ・レベルで考察した場合、芸術と科学は世界を認識する方法として相互補完的であり、一方の言語/概念を他方の言語/概念に「翻訳」することが非常に生産的な成果を生むことがわかる。