著者
玉井 利代子
出版者
奥羽大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

口腔常在の真菌であるCandida albicans加熱死菌(HKCA)またはC.albicansから抽出された水溶性マンナン・グルカン複合体(CAWS)による、歯肉癌上皮細胞と歯肉線維芽細胞の接着分子β1インテグリンとICAM-1発現の増強はみられなかった。さらに、HKCAまたはCAWSによる前処理による歯周病原性細菌Porphyromonas gingivalisの、歯肉癌上皮細胞と歯肉線維芽細胞への接着の増加はなかった。しかしながら、HKCAまたはCAWSによる前処理によって、P.gingivalisの宿主細胞への侵入が著しく増加した。
著者
清水 英寿 萩尾 真人 吹谷 智 岡野 邦宏 宮崎 均 石塚 敏
出版者
島根大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2015-04-01

本研究では、腸内細菌代謝産物であるスカトールが、ラット個体、培養腸管細胞、培養肝ガン細胞、それぞれに与える影響について解析を行った。結果としてスカトールは、ラット個体においては、胆汁酸代謝の撹乱を誘発させ、肝臓や回腸での遺伝子発現、そして腸内細菌叢を変動させる事が明らかとなった。また、腸管細胞を用いた解析では、スカトールがAhRを介して細胞死を導く事が確認された。さらに培養肝ガン細胞では、スカトールはERKの活性化を介して細胞増殖を導く事が示唆された。以上の本研究結果から、腸内におけるスカトールの産生は、消化管機能の異常を誘発させ、さらに消化管疾患の発症・進展へも関与する可能性が示された。
著者
森戸 大介
出版者
京都産業大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2013-04-01

モヤモヤ病は日本人に多く認められる脳血管疾患で、脳底部内頸動脈分岐部における血管の狭窄・閉塞による重篤な虚血症状、および側副血管からの出血を特徴とする。一部の患者は家族性の病歴を示すことから、遺伝因子の関与が疑われてきたが、我々は初めての確実な遺伝因子として新規遺伝子ミステリンを単離した。ミステリン遺伝子は2つのAAA+ドメインとユビキチンリガーゼドメインを含む591 KDaの巨大なタンパク質をコードしていた。稀なミスセンスSNPによってミステリンC末端付近のアルギニンがリジンに替わることにより、モヤモヤ病発病率は約100~200倍程度上昇していた。これまで、ゼブラフィッシュを用いた検討により、ミステリンが生理的な血管新生・血管パターン形成に必須であることを示していたが、ミステリンの組織発現はユビキタスであり、血管以外の組織における役割が明確でなかった。今回、ゼブラフィッシュにおける広範なノックダウン、および組織特異的レスキュー実験を行ったところ、ミステリンが神経・筋発生においても必須の役割を果たしており、ミステリンのノックダウンにより顕著な運動機能低下、およびその結果として孵化障害が引き起こされることが明らかとなった。さらに、種々の変異体を用いたレスキュー実験の結果から、ミステリンが生理機能を果たすためには、AAA+ ATPアーゼ活性とユビキチンリガーゼ活性の両方が必須であることが明らかとなった。
著者
高橋 智幸 徳重 英信 鶴田 浩章
出版者
関西大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2013-04-01

微弱電流によりサンゴの成長を促進させる技術の開発を目的として,以下のような現地調査,水理実験,サンゴ育成用モルタル基盤の開発およびサンゴ飼育実験を実施した.現地調査は沖縄県において実施し,実際のサンゴ被害およびサンゴ再生の現状について調べた.水理実験では循環型水路を使用して,サンゴ再生を目的とした自立型発電システムの設計および性能試験を実施した.サンゴ育成用モルタル基盤の開発では材料や形状について検討し,設計した.飼育実験では実際にサンゴが生息している海底を再現した水槽においてサンゴを飼育し,サンゴ育成用モルタル基盤の条件や微弱電流の有無による成長率を比較した.

2 0 0 0 冥王代地球

著者
丸山 茂徳 横山 哲也 澤木 佑介 大森 聡一 鳴海 一成 ドーム ジェームズ 丹下 慶範
出版者
東京工業大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2014-07-10

本計画研究班では、地球史研究から導かれる「生命誕生の器」としての原始地球表層環境を定量的に復元し、冥王代地球表層環境進化の過程を具体的に解明することを目的としている。H29年度の研究は主に5つのテーマで実施された。[1]生命誕生場と生命誕生のプロセスの解明:生命が誕生するためには、水があるだけでは不十分で、それ以外にも複数の環境条件が満たされることが必要である。そこで、諸条件の中から生命誕生場に必要な9つの条件を抽出してまとめた。[2]白馬地域の地質の継続調査と古環境の分類:冥王代類似環境としての白馬地域の特殊な水環境について比較分析し、水環境場を4つのタイプに分類した。白馬で特徴的な蛇紋岩熱水系温泉水は、高アルカリかつ水素ガスを大量に含んでおり、特に、H2を含むため貧酸素水であり、そのため冥王代型の微生物生態系が形成されていることが明らかになった。[3]オクロの自然原子炉の研究:ガボン国内の数地域で露頭周辺の調査を集中的に行い、最適と思われる掘削地点を三か所抽出した。[4]地球の起源と新たな太陽系惑星形成論の展開:太陽系進化の初期条件を決めるうえで、太陽系組成ガスから凝縮した最古の物質であるCAIの理解を深めることが重要である。そこで、始原的隕石ALLENDEに含まれる3種類のCAIに注目し、それらの核合成起源Sr同位体異常(μ84Sr)を高精度で測定した。その結果、μ84Sr値の大きさはFTA > Type B > FSの順であることが判明した。[5]継続的なブレインストーミングの実施:2件の国際ワークショップと4件の国内向けワークショップ実施した。
著者
川崎 真弘
出版者
筑波大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2015-04-01

発達障害者はコミュニケーションが苦手であることが知られているが、その原因については不明な点が多い。本研究では京都大学医学部と共同研究することで、定型発達との比較脳波研究を行った。これまでに計測した協調コミュニケーション課題時の脳波解析より、発達障害者は他者との協調で前頭葉に認知負荷がかかることを示し、論文発表した(Kawasaki, Funabiki, et al., Cogn. Neurodyn. 2014)。これらの脳活動は発達障害の特徴の中でも特に「こだわり傾向」と関係することがわかった。さらにこれまでに定型発達者を対象として交互発話中に発話リズムが同期する2者間では脳波リズムが同期することを示してきた(Kawasaki, et al., Sci. Rep. 2013)。この解析方法を用いて、定型発達者と発達障害者の2者間の脳波リズム同期を比較した結果、発達障害者は脳波リズムが同期が少ないことがわかった。さらに位相振動子モデルおよび情報理論を用いて2者間の関係性を推定する研究を行っている。この成果について現在論文執筆中である。また発達障害者と定型発達者に対して、運動模倣課題を行った結果、発達障害者の多くは心的回転を、定型発達者の多くは視点取得の戦略を用いることが分かった。さらに発展研究として、視覚・聴覚記憶課題時の脳波、fMRI実験を実施し、発達障害者の注意の偏りに起因した脳活動や、うつ病患者の脳ネットワークの障害の検証を行っている。上記の研究は将来的に脳メカニズムから精神疾患を判断する診断法の開発に貢献する。
著者
天野 要 岡野 大 土屋 卓也 緒方 秀教 杉原 正顕 遠藤 慶一
出版者
愛媛大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

代用電荷法を適用し,非有界な多重連結領域から,(a)平行/共線スリット領域,(b)直線スリット領域,(c)円弧放射スリット領域,という正準スリット領域への数値等角写像の方法を提案し,その有効性を数値実験的に検証した.また,代用電荷法の性質を調べ,周期Stokes方程式に対する基本解法を提案した.これらの研究は理工学への応用上も重要である.本研究の主題に関連の深い特異積分方程式,悪条件連立1次方程式の数値解法についての基礎的研究も進められた.
著者
加納 聖
出版者
岩手大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
2000

動物には、種固有の大きさがあるが、それはどのような仕組みで決まっているのであろうか。例えば5倍体イモリにおいては、細胞の大きさは1倍体の5倍の大きさであり、全体の細胞数は5分の1になり結果的に体全体や組織の大きさは変わらない。このことから、体の大きさを制御するための細胞分裂調節機構があり、単に細胞数や分裂回数を数えているのではなく、何らかの方法で実際に大きさを調整する因子が存在すると考えられている。この体の大きさを調節していると考えられる因子の探索の糸口として本研究では、異数体ニワトリに注目した。異数体ニワトリは、コルセミドを投与することによって、卵子の減数分裂に異常を起こし、2倍体卵子が精子と受精することによって3倍体の個体が作出されるものである。この3倍体ニワトリ個体の外見上の大きさは、他の異数体動物と同様に2倍体個体と変わらない。雌ニワトリにコルセミドを投与し、3倍体ニワトリの作出を行った。一方、3倍体ニワトリは間性となることが多いので、その生殖巣についての研究が比較的よく行われているが、われわれはTGF-βシグナル伝達を中心としたゴールデンハムスター精巣の機能・大きさの変化の機構解明を中心に研究を行った。まず細胞増殖の制御、動物の体の大きさに対し重要な役割を持つと考えられるTGF-βスーパーファミリーのシグナル伝達因子であるSmad3のクローニングを行った。また飼育室の点灯条件を変化させて人工的に萎縮させたゴールデンハムスター精巣においてSmadフアミリー、特にSmad2ならびにSmad3の発現や局在の変化についての解析を行ったところ、点灯条件変化によって精母細胞や精祖細胞における発現や局在の変化がみられ、TGF-βやアクチビンを介した精巣の機能や大きさの調節にSmad2ならびにSmad3が大きく関与していることが示唆された。
著者
小見山 章 加藤 正吾 伊藤 栄一 戸松 修
出版者
岐阜大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2000

比較的若齢の造林地か豪雨等で崩壊すると、広葉樹に較べてヒノキやスギが浅根を示すことがその原因であるといわれることが多い。このことを再検討するために、岐阜県の岐阜大学農学部附属演習林において、48年生のヒノキ造林地でヒノキ主林木とそこに侵入したミズナラの根重の垂直分布を比較した。2本の試料木を選んで、地上部に関する調査を行った後に、深さ60cmまでに存在する根をトレンチ法により採取した。深さあたりの根重密度の垂直分布パターンを求めたところ、指数分布にしたがう減少パターンを示した。2本の試料木間で、深さ方向の根重密度の減少率に有意差は認められなかった。回帰式を積分して個体根重の垂直分布を計算した。地表から30cmまでの深さに含まれる根重の割合は、ミズナラ試料木で89%、ヒノキ試料木で94%となり、試料木間で根の垂直分布に極端な違いは認められなかった。また、傾斜地で、ヒノキ試料木は根を谷側に多く配置していたのに対して、ミズナラ試料木は山側に多く配置するという、根の水平分布上の違いがみられた。また、数種類の樹種の根量は、パイプモデルにしたがうことが確認された。さらに、一般に相対成長関係には樹種差が生じるが、相対成長関係式の作成に用いる変数を吟味することで、樹種差のない統一的な相対成長関係式の構築の可能性があることがわかった。これらの知見から、生物学的な根拠を元に、根の深さについて議論することができる。
著者
高松 漂太
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

昨年度、炎症誘導物質をモニター可能なレポーター細胞を用いて、種々の自己免疫疾患患者由来血清中に含まれる炎症誘導活性を測定し、SLE血清においてtype I IFN (IFN-I)活性ならびにIFN-I誘導活性が高いことを見出した。また、様々な核酸受容体欠損レポーター細胞を作成し、SLE血清によるIFN-I誘導がSTING依存的に惹起されることを見出した。本年度は、STINGを介してIFN-Iを誘導する因子について検討を行い、SLE血清中にはdsDNAが多く含まれており、それらはDNase Iに対する分解から保護されていたから、血清中の細胞外膜小胞に着目し、血清を、210,000gにて単離されるexosome分画、exosomeよりもやや大きい16,000gにて単離されるapoptosis-derived membrane vesicle (AdMVs)分画とそれ以外の分画に分け、IFN-I誘導活性を有する分画について検討したところ、SLE血清ではAdMVs分画にIFN-I誘導活性が多く含まれていることを見出した。SLEでは何らかの原因によるapoptosisの亢進、それにより生じたapoptosis関連物質の分解障害が病態に関与することが知られており、我々の結果も加味すると、SLE血清中には、apoptosis由来物質特にDNA断片が、AdMVsに内包されて存在し、それらが食作用により細胞質内に取り込まれ、dsDNA受容体のcGASで2’3’-cGAMPに変換されてSTINGを活性化し、その結果IFN-I産生が亢進する、という一連のカスケードがSLEの病態に重要であることが明らかとなった。この成果をリウマチ性疾患関連雑誌の最高峰であるAnnals of Rheumatic Disease誌に投稿し、現在under revision中である。
著者
永井 敦
出版者
大阪大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1999

平成11年度に引き続き、離散化したソリトン方程式の数列の加速法への応用、および独立変数・従属変数ともに離散化(超離散化)したソリトン方程式の研究を中心に行った。得られた研究実績は以下の通りである。数列の加速法への応用離散ソリトン方程式と数列の加速法との関連を詳細に調べた。特に離散時間戸田分子方程式を出発点にして、数列の収束が加速されるメカニズムのソリトン理論における意味を明確にした。この視点を応用して、離散ソリトン方程式を用いた数列の加速法の構成に対する1つの指針を与えた。本研究の成果は、昨年裳華房から出版された「可積分系の応用数理」(中村佳正編著)の第6章「離散可積分系と数列の加速法」にまとめられている。逆超離散化による箱玉系の保存量の構成代表的な超離散ソリトン系である箱玉系の拡張版(番号付、箱の容量可変)の保存量を求めた。具体的には拡張型戸田分子方程式とLotka-Volterra方程式の保存量に対して、超離散化と逆の手順(逆超離散化)を行うことにより求めた。番号付箱の容量1の箱玉系および番号無箱の容量可変の箱玉系に対しては保存量を計算することに成功した。
著者
平川 佳世 岩岡 浩二
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

本研究では、銅板上に油絵具を用いて絵画を描く「銅板油彩画」の誕生と黎明期の展開について、現存する画像作品および文字資料に基づいて、詳細かつ包括的な考察を行った。その結果、「銅板油彩画」は1530年代のイタリアにおいて「諸芸術の優劣論」および「北方絵画愛好」という二つの異なる文化的文脈において個別的に誕生し、「銅」という素材のもつ永遠性に着目した政治的寓意画の制作などの新奇な試みを経て、やがて、16世紀末には、ジャンルを問わず細密描写を得意とする画家が名声を得るための一つの手段として定着していったことが明らかとなった。
著者
大内 浩子 馬場 護 馬場 護
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

比較的高い線量を照射したイメージングプレートでは、消去不全現象及び浮き出し現象が生じる。消去不全現象で観察される光は光輝尽発光であることを確認し、従来考えられてきた600nm近傍の光で励起される準位の電子の他に、より短波長側の光によって励起される深い準位(290nm付近)に電子が局在することを示した。この電子がこれら二つの現象の原因であると推論し、UV光と白色蛍光灯とを同時照射する新消去法を開発した。本法により、未照射レベルまで完全に消去することができた。
著者
林 隆之 富澤 宏之
出版者
政策研究大学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2019-04-01

第5期科学技術基本計画において日本の研究力向上は政策目標の中の一つとされてきた。しかし、それ以降も国際比較の中で日本の相対的地位は低下し続けている。10年後を見据えれば、現在のように研究力を向上させる方策を検討するのみならず、研究力が低成長あるいは縮小せざるを得ない中で、いかに先導的位置を日本が維持し続けるかを検討することが不可欠である。本研究では、研究力が縮小する国における研究戦略の可能性を実証的に明らかにする。海外諸国とのネットワーク・オブ・エクセレンスの構築による研究分野の多様性維持と、それを基にした学際的研究活動の推進により研究の優位性が維持できる可能性について分析する。
著者
阿曽沼 明裕
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2019-04-01

まず第一に、研究大学を検討するための枠組みを構築する。研究大学とは何か、研究大学と非研究大学との比較枠組みを検討し、組織的・財政的基盤でどこに着目すべきかを検討する。第二に、研究大学と非研究大学を比較し、研究大学独自の共通な構造を実証的に明らかにする。しかし、第三に、共通な構造を探すのと逆に、研究大学群の多様性に着目し、組織的・経済的基盤にどのような多様性があるのかを明らかにし、そのパターン化を行う。第四に、こうした研究大学の共通な構造や多様性の背景にあるメカニズムを探る。研究大学群および個別研究大学の形成の歴史も検討する。第五に、以上の検討を経て、日本の研究大学の在り方を考察する。
著者
八神 寿徳 小玉 一徳 中川 勝吾
出版者
三重大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2019-04-01

近年,大学ブランドの確立と価値向上において重要な取組みの一つとして,多くの大学が大学ブランドを活用した商品開発・販売による情報発信を実践しており,大学ブランド商品が増加している。しかしながら,商標法等から大学ブランド商品に関する企業・大学間の契約形態には制限が生じており,その契約形態・内容は各大学が独自の手法を採っている。効果的な手法として標準的なモデルは確立・公表等されていない。そこで本研究では「大学が有する商標権」と「契約形態・内容」の実態調査と分析を通じて,「戦略的な商標出願と契約形態を軸にした社会的・経済的に価値ある大学ブランド商品の展開を支援する手法の開発」を行う。
著者
吉田 香奈
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2019-04-01

本研究は、アメリカ合衆国において近年急速に拡大している公立大学の授業料無償化政策の特質と課題を検討することを目的としている。研究期間は5年間とし、以下の手順で研究を進めることとする。初年度の2019年度は(1)州政府の公立大学授業料の実質無償化政策に関するデータ収集・特色ある州の抽出および先行研究のレビュー、(2)訪問調査による情報収集(ワシントンD.C.等)を実施する。続いて2020~2023年度はインディアナ州、ミズーリ州、デラウェア州、テネシー州、ニューヨーク州(現段階での候補州)の中から訪問調査を行う。以上から、各州の無償化政策の理念、財源、受給要件、給付方法等の比較分析を行う。