著者
細野 信幸 川口 雅司
出版者
鈴鹿工業高等専門学校
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

剣道競技における試合結果の分析および指導法の改善を目指し、次の項目についての成果を顕わした。「取得部位と勝率の相関関係解析」においては、校剣道部学生の試合データに基づき勝率に及ぼす取得部位のバラツキの効果を明らかにした。「打突時動作の画像収集および抽出」においては週末を中心に行っている練習試合、年間にわたり参加している高専大会を始め高校および地域の大会における打突時のデータを収集し画像を分析した。「打突時動作の分析および評価」においてはデータ収集、評価を続けながら取得部位のポイントにおける観点から指導法の改善を目指した。「日常の稽古指導の見直し」においては打突時の動作解析をもとに日常の稽古指導の見直しおよび指導法の改善を検討した。さらに「高専間交流を通したクラブ活動-全国高等専門学校剣道錬成大会を通したクラブ活動-」のタイトルで高専教育論文集に他高専の指導教員と共同で成果を発表した。本校だけでなく他高専のデータも取り入れながら研究成果の総括を実施した。
著者
上田 哲男 中垣 俊之 中垣 俊之 高木 清二 西浦 廉政 小林 亮 上田 哲男 高橋 健吾
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2003

巨大なアメーバ様細胞である真正粘菌変形体の特徴を活用し、細胞に秘められたる計算の能力を引き出す実験を行うと共に、その計算アルゴリズムを細胞内非線形化学ダイナミクスに基づいた数理モデルを構築し、解析・シミュレーションした。(1)粘菌による最短経路探索問題(スタイナー問題、迷路問題)の解法:粘菌を迷路内に一面に這わせ、2点(出入り口)に餌を置く。粘菌は餌に集まりながら迷路内に管を形成するが、迷路内の最短コースを管でつなぐ(迷路問題を解いた)。粘菌を限られた領域内で一様に広がらせて、何箇所かに餌を置き、領域内部での管パターンの形成を見る。2点の場合、最短コースで結ぶ管が、3点の場合、中央で分岐したパターンが、4点の場合、2箇所で3つに分岐するパターンというスタイナーのミニマム・ツリーが形成された。(2)粘菌における最適ネットワーク(最短性、断線補償性、連絡効率)設計問題:粘菌の一部を忌避刺激である光で照射し管形成をみた。粘菌は危険領域を短くし、丁度光が屈折(フェルマーの定理)するように、管を作った。このように管パターン形成には環境情報をも組み入れられている。複数個に餌を置くと、最短性のみならず、一箇所で断線しても全体としてつながって一体性を維持する(断線補償性)という複数の要請下で管形成をすることがわかった。(3)管構造の数学的表現と粘菌の移動の数学的表現:振動する化学反応を振動子とし、これらが結合して集団運動する数理モデルを構築した。全体の原形質が保存されるという条件、粘菌の粘弾性が場所により異なるという条件を入れることで、粘菌の現実に合うような運動を再現することができた。(4)アルゴリズム:管は、流れが激しいとよりよく形成され、逆に流れが弱いと管は小さくなっていく。この管形成の順応性を要素ダイナミクスとして取り入れ、グローバルな管ネットワーク形成の数理モデルを構築した。迷路問題、スタイナー問題、フェルマー問題等実験結果のダイナミクスまでもシミュレートできた。
著者
松村 嘉久
出版者
阪南大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

大阪のあいりん地域、東京の山谷地域、横浜の寿地域の三大寄せ場が、外国人個人旅行者を受入れて変貌する過程を比較研究から迫った。2011年は大阪市内の宿泊施設の悉皆調査を行い、インバウンド観光振興におけるあいりん地域の重要性と可能性が裏付けられた。2012年は、新今宮観光インフォメーションセンターを運営し、社会的実践を積み重ねてきた経験から、西成特区構想有識者座談会において、あいりん地域での観光振興・賑わい創出についての政策提言を行った。
著者
新井 宗仁
出版者
独立行政法人産業技術総合研究所
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2001

昨年度に引き続き、α-ラクトアルブミン(α-LA)のフォールディング反応における遷移状態の構造特徴づけを、Φ値解析法を用いて行った。今年度は特に、α-LAのβドメインやCヘリックス周辺に変異を導入した一アミノ酸置換体を多数作成し、α-LAの遷移状態の構造解析を行った。平衡条件下でのアンフォールディング測定の結果、変異体はどれも野生型より不安定化しており、Φ値解析に有効な試料であった。次に、ストップトフロー円二色性スペクトル法を用いてこれらの変異体の巻き戻り反応とアンフォールディング反応を測定し、Φ値を計算した結果、I89A, I89V, I55VについてはΦ=0.4〜0.6程度であったが、W60A, K93A, L96Aについては、Φ〜0となった。これらの結果は、I89, I55の周りは遷移状態において側鎖の密なパッキングが部分的に形成されているが、W60,K93,L96周辺は、遷移状態では側鎖の秩序化はまだ起きていないことを示している。この2年間の研究結果を総合すると、α-LAの遷移状態の構造について次のような知見が得られた。(1)αドメイン内の側鎖は、天然状態様の密なパッキングをまだ形成していないが、(2)αドメインとβドメインの間、および、カルシウム結合部位近傍では、側鎖の密なパッキングが部分的に形成されている。ここで、モルテン・グロビュール(MG)状態においては、2つのドメイン間にあるCヘリックスが比較的安定なヘリックス構造を形成していることを考慮に入れると、α-LAのフォールディング反応は、MG中間体で形成され始めた構造が遷移状態に進むにつれて更に構造化していくという階層的な反応で記述できると結論づけることができる。
著者
山根 健治
出版者
宇都宮大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

カーネーションを20%CO2で12時間処理すると鮮度保持効果が認められたが。12hの5℃,50% CO2処理はカーネーション切り花のエチレン生成と呼吸を低下させ,日持ちを延長した。RNAseqの結果,高CO2 処理が他の区に対して遺伝子発現の変動が大きく,酸化還元に関する遺伝子群の発現促進や抑制が認められた。短期CO2処理の実用化には,種(品種)によって好適条件を設定する必要がある。
著者
棚橋 久美子
出版者
広島女子商短期大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1997

・本年度は三年間の研究期間の最終年度だったので、収集した史料を解読し、得られた成果をまとめ研究誌に発表した(「草の根女性俳人とそのネットワーク-幕末期阿波藩上田美寿を事例として-」『女性史学』第9号)。古稀を迎えて日記を書き始めた上田美寿は、趣味の俳諧を媒介として仙台・新潟から種子島にいたるまで友人がおり、日常的に文のやりとりをして情報の交換を行っていた。普段の生活では、近所の子どもたちに教え(寺子屋の女師匠)、読書し、俳諧を作り、招かれておいしい料理や酒を楽しむ。悠々自適の隠居生活が浮かび上がってきた。さらに、彼女の持つ知識や情報、それらに基づく彼女の判断は、家族や親族や地域社会など彼女の所属する諸集団の中で頼りにされ、彼女は一個の人間として尊重され尊敬された女性隠居であったことを明らかにした。彼女のありようは、女性の忍従と服従を説く江戸時代の女訓書から結ぶ女性像とは違っている。存在自体が珍しい江戸時代の女性日記を解読し、女性の生活の具体像を明らかにできた。・解読の終了していない美寿の書き残した収集史料を読み進めた。これらの史料は江戸時代の女性が書いた日記や随筆という史料評価の高いものであり、出版する準備にかかった。・美寿の父親の日記(「松庵日記」)も複写で入手し解読にかかった。江戸時代に農事日記や商売記録のような家職の継続を意識した記録はあるが、庶民の親子で日常の出来事を記した日記が残っているのはまれである。今後父親の日記を解読することで、医者で漢学者で文化人でもあった父による子どもの教育の性による内容差(美寿には兄弟姉妹があった)を中心に探りたいと考えている。
著者
横森 大輔
出版者
名古屋大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2012

採用第2年目である平成25年度は、前年度に続いて会話データの整備と拡充および会話分析の手法を用いた文法研究のフレームワークの精緻化を進めつつ、ケーススタディを実施した。まず、既に収録していたデータに加え、合計およそ4時間分の日本語会話を新たに収録し、既存のデータと新規データのいずれについても書き起こしを行った。また、日本認知言語学会第14回大会ワークショップ「会話の中の文法と認知―相互行為言語学のアプローチ―」(9月)、第8回話しことばの言語学ワークショップ企画セッション「インタビュー・データを読み解く : ナラティブ分析、言語人類学、相互行為言語学の観点から」(12月)、公開シンポジウム「ことば・認知・インタラクション2」(2月)といった研究集会での登壇や米国カリフォルニア大学サンタバーバラ校での11日間の滞在(2月)などの活動を通じて、会話分析の手法を用いた文法研究のフレームワークの精緻化を行った。ケーススタディとしては、大きく分けて4稚類の現象に関わる研究を行った。・事例研究(1) : 「の」でマークされたwh疑問文(例 : 「迎えはどうするの」)・事例研究(2) : 副詞節の後置(例 : 「よっしタガリン今からおもろいこと言え。今からオンやから」)・事例研究(3) : 副詞「やっぱ(り)」(例 : 「気になる? やっぱり」)・事例研究(4) : 英語発話からみる日本語話者の文構築ストラテジーいずれも文の末尾位置において観察される様々な言語現象について、実際の会話(および様々な言語的相互行為)の録音・録画データの観察に基づき、参与者たちがどのように言語的プラクティスを利用しているかあるいは構築しているか検討し、それぞれの研究成果を学会等で報告した。
著者
大久保 智哉
出版者
独立行政法人大学入試センター
雑誌
若手研究(A)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究では,大学入試センター試験などの大規模試験において新しい試験運用方式を検討するために,タブレット端末と統計理論を利用したテスト・システムの実験的運用がおこなわれた.本研究の成果として,情報端末を用いることで広がる新たな出題形式について成果を得た.さらには,試験問題を作成し問題データベースを構築した上で,実際にタブレット端末を用いて試験実施がおこなわれた.タブレット端末を試験用に管理するためのシステムについても検討が重ねられ,大規模試験における情報端末の効率的運用のために多くの知見が得られた.
著者
樋口 匡貴 中村 菜々子
出版者
上智大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

コンドームの適切な使用を阻害する羞恥感情を低減するための介入プログラムについて,購入状況と使用・使用交渉状況に大別して検討を行った。購入時に関する検討の結果,インターネット上でVTRを閲覧させる介入プログラムの羞恥感情低減効果およびコンドーム購入の自己効力感の増加効果が確認された。また使用・使用交渉時に関する検討の結果,ウェブサイトでのインタラクティブな介入プログラムの羞恥感情低減効果が確認された。
著者
茎津 智子 井上 由紀子 岩本 喜久子 田中 さおり
出版者
天使大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

死別した子どもを持つ親の語りの分析では、子どもは死別した人との新たな関係を構築するプロセスとして家庭内の仏壇の存在や墓参りなどが、わが国においては重要な役割を担っていることが示唆された。一方で看護職への調査では普段から子どもに関わる現場の看護職か否かに関わらず、家族と死別する子どもへの関わりに戸惑いや難しさを感じており、子どもの死の理解や子どもと死の問題を語ることの意味を考える機会がないことが背景にあった。また、小中学校教員への子どものグリーフに関する研修会への参加者が少なさからも、子どものグリーフに関して理解や関心が十分でない実態がみえてきた。以上から子どもと死の問題に関する学習会や事例検討を積極的に展開する必要があることが示唆された。
著者
上田 諭 大久保 善朗 舘野 周
出版者
日本医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

レビー小体型認知症(DLB)の診断は困難を伴うことが少なくない。確実に診断できるバイオマーカー(生物学的指標)にはまだ確かなものがなく、ドパミントランスポーター(DAT)のPETイメージング(画像診断法)が期待されている。PETとは、ポジトロンエミッショントモグラフィーの略で、ポジトロンを用いた脳画像撮像ができる最新の装置である。本研究では、うつ病患者、パーキンソン症状をもつ患者にDATイメージングを行い、本イメージング手法がDLBを鑑別診断するうえで非常に有用であることを見出した。この結果は、DATイメージングがDLBのバイオマーカーとして一定の臨床的有用性を持つことを示したといえる。
著者
攝津 斉彦 深尾 京司 斎藤 修 バッシーノ ジャンパスカル 高島 正憲
出版者
武蔵大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

連携研究者とともに近代日本の府県別産業別GDPを推計した。本研究の特徴は、既存の推計がカバーしていない1874年のデータを新たに構築した点にある。新しいデータセットを使った分析によって明らかになった主要な事実は以下の通りである。①従来考えられているよりも明治初期の日本は豊かであり、②明治期の経済成長率は低かった(それはすなわち、江戸時代の経済成長率が高かったことを意味する)、③地域間格差は明治初期に大きく拡大し、その後格差の拡大に歯止めがかかるが、このような変化の背後には人口の地域間移動が大きく影響していたと考えられる。
著者
大泊 厳
出版者
早稲田大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1986

半導体/絶縁膜界面評価手段として、結晶模型を作り評価することを提唱した。この結晶模型は原子を表す球と結合を表す棒によって構成されたものである。さらにこのモデルからの座標をコンピュータに入力し、Keatingエネルギーを用いてエネルギー緩和を行う。界面を評価するには、界面部分の模型を作成し、界面を構成する原子のKeatingポテンシャルの大きさから評価を行う。まず(100)(110)(111)などの低指数面を界面とした場合の評価の結果、(111),(110),(100)の順にエネルギーが低くまた安定であることが明らかとなった。また(100)面を界面とする場合何通りかの界面の形状を変化させて評価したところ(111)面で囲まれたピラミッド状の界面が安定であり、XPSでの結果も説明することができることから、この界面形状に近い形をしていることがわかった。次に分子軌道法の一種であるDV-Xa法を用いて界面の評価を行った。それによれば界面を構成する原子の各軌道のエネルギーが求まり、界面の酸化反応を電子論的立場から考察することができる。この結果、酸化反応は界面からではなく結晶内部から起こることがわかった。最後に横方向固相成長法によるSOI構造では絶縁膜上に半導体結晶を形勢するため、酸化による界面とは違った性質の界面となる。成長先端ではc-Si,a-Si,a-SiO_2の三相境界となるが、ここでの各原子のひずみポテンシャルから、微小双晶の発生が説明できる。また界面に微小双晶が発生することも(111)面が安定であることから説明できる。さらに、絶縁膜としてSiNを用いたい為である。これは結晶模型からの評価と一致する結論である。以上のように結晶模型による解析と実際観測される結果が一致することから、モデルによる解析の妥当性が示された。
著者
青柳 直子
出版者
茨城大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

本研究では, 通学形態と心身機能や生活行動との関連性について検討するため,中学校を対象として,学校統合前後を包含する縦断的調査を行った.また,域環境特性との関連性について検討を行うため,中山間地域の小学校を対象として調査を実施した.結果として,通学形態と小中学生の精神的・身体的愁訴,睡眠を含めた生活行動には相互に関連があることが示唆された.生活リズム関連指標について更に検討を行い,日常的な心身症状・ストレスや生活行動と遠距離通学との関連について,より詳細に解明することを今後の課題としたい.
著者
中村 桃子 佐藤 響子 マリイ クレア 熊谷 滋子
出版者
関東学院大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

第一に、スパムメール、親密な関係を扱った小説、日常会話を分析し、「女ことば」や「男ことば」が、異性愛規範に沿ったセクシュアル・アイデンティティ構築に利用されていることを明らかにした。第二に、マスコミの多様なセクシュアル・アイデンティティ遂行とことばの実践を考察し、その歴史的な変動を明らかにした。第三に『ことばとセクシュアリティ』(邦訳)を出版した。第四に、多くの国際学会でこれらの研究成果を発表した。
著者
小島 ひで子 小島 善和 林 美奈子 辻 佐恵子 内藤 茂幸 油谷 和子 児玉 美由紀 松野 時子 阿部 美和子 石下 育生
出版者
北里大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

医療者育成システムを目指し、その基盤となる基礎教育プログラムの継続評価として、子どもに対するグリーフケアへの関心や実践への意欲は向上し、プログラムの有効性が明らかとなった。また対象者から、より実践に即したプログラムの要望があり、実践教育プログラム案を作成し、有効性を調査した。必要と考える知識は3ヶ月後も定着し、介入必要事例への関心は向上していたが、介入実践例は半数程度であり、事例検討会などの継続支援の必要性が示唆された。定期的に基礎・実践教育プログラムを継続し、事例検討会を定着していくことが、がん患者を親に持つ子どものグリーフケアを支える医療者の育成につながることが期待できる。
著者
堀口 純子
出版者
筑波大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1990

1.データベース作成について(1)日本語の話しことばおよび中級日本語ビデオ教材のシナリオのデータベースを作成した。(2)日本語教科書の会話部分および日本語学習者の対話と聴き取りのデータベースを作成した。2.データベースの作成について(1)上記のデータベースを利用して、次のような分析を進めた。(1)縮約形のデータベースを作成し、それを分析して縮約形の練習のためのCAI教材を作成した。(2)相づちと予測のデータベースを作成し、聞き手のコミュニケーションストラテジーを明らかにした。(3)方言桃太郎の「ドンブラコ・ドンブラコト」の部分のデータベースを作成し、それをデータとして方言における清音と濁音および促音、撥音、長音の日本語学習者による聴き取りについて分析した。(4)方言桃太郎における文末のデータベースを作成し、日本語学習者による文末の聴き取りについて分析した。(2)上記のデータベースを利用して、次のような分析が進行中である。(1)話の切り出し、話順獲得、話順促し、言い淀み、などを分析することによって、会話のストラテジーを明らかにしようとする。(2)「ああ」「ええ」「まあ」「いや」「だから」「だって」「なんか」「ちょっと」「けど」「〜て」「〜し」「〜じゃない」などを分析することによって、言語形態の会話におけるストラテジーとしての機能を明らかにする。(3)初級日本語教科書に見られる縮約形のデータベースを作成し、それの類似型と数量的分析が進行中である。
著者
尾之上 さくら 毛利 一平 吉川 徹
出版者
関東学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

港湾労働者96名を対象に健康調査を実施した結果、交代勤務、早朝・夜間勤務などの労働条件が身体的健康に影響する可能性が示唆された。精神的健康への影響については、職業性ストレス簡易調査から全体の27%の人にストレス反応がみられ、作業員では仕事による身体的負担が高いことが明らかとなった。面接調査では、港湾全体に労働安全に対する意識が定着し、安全に関する企業努力が物損事故、人身事故の減少に繋がっていた。一方、メンタルヘルス対策については、これからの課題であることがわかった。
著者
阿部 賢一 小椋 彩 井上 暁子 加藤 有子 野町 素己 越野 剛
出版者
立教大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

国民文学の枠組みでの研究、あるいは同様な枠組み同士の比較検討がこれまで主流であったが、本研究はそのような国民文学の枠組みから逸脱する3つの視点(「移動の文学」、「文学史の書き換え」、「ミクロ・ネーションの文学」)に着目し、個別の現地調査の他、国内外の研究者とともに研究会、シンポジウムを開催した。その結果、3つの視点の有効性を確認できたほか、シェンゲン以降の移動の問題(政治学)、国民文学史の位相(歴史学)、マイノリティの記述の問題(文化研究)といったそのほかの問題系およびほかの研究分野と隣接している問題点や研究の可能性を国内外の研究者と共有し、一定の成果をあげた。
著者
辰巳 佳寿恵
出版者
大阪体育大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010-04-01

2006年に国際連合が障害者権利条約を採択した。日本は署名するも批准に至らず、障害者基本法の改正、障害者差別解消法の成立等国内法の整備を行い、ようやく2014年1月20日に批准書の提出、2月19日に発効に至った。しかしながら、本研究の調査結果が示すように、障害者の権利が脅かされる状況は依然としてあり、特に顕著に表れるのが労働分野である。我が国の問題点は①障害者の権利侵害について専門的な救済機関がないこと、②権利の主張に対する消極的評価であり、この2点の克服のためには、障害をもつ労働者が、在職中に職業リハビリテーションを行うことを「リハビリテーション権」として保障する必要があると考えられた。