著者
荒井 孝男 Iwamoto Tornio
出版者
The Ichthyological Society of Japan
雑誌
魚類学雑誌 (ISSN:18847374)
巻号頁・発行日
vol.26, no.3, pp.238-246, 1979

水産庁開洋丸のオーストラリア・ニュージーランド沖漁場調査の際, タスマニアとニュージーランド沖より得られたソコダラ科の1新種<I>Coelorinchus kaiyo-maru</I>を記載した.本種は吻が長く鋭く尖り, 吻長が眼窩径の1.4~1.9倍, 鼻骨中・側突起が吻の前側縁に沿って癒合しない;眼下隆起縁上の変形鱗列は後鼻孔下から2列になる;吻部上面両側の無鱗域は極めて狭い;胴部を暗青色の帯が完全に取巻いている;発光器は肛門直前の小黒色無鱗域で極めて短く, 二次発光腺を欠くことで他のトウジン属の種と区別される.米国エルタニン号によってフォークランド諸島沖より得た1個体は体部の鱗上の中央棘列が肥大しない等の点を除いて, ニュージーランド・タスマニア産のものと明瞭な相異は認められなかった.この相異が地理的なものか, 種を異にするものかは, 将来多くの標本を基に検討する必要がある.尚, 本種は最近<I>C.innotabilisa</I>大型個体として報告された (Iwamoto, 1978).
著者
永松 俊哉 荒尾 孝
出版者
一般社団法人日本体力医学会
雑誌
体力科学 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.46, no.1, pp.39-47, 1997-02-01 (Released:2010-09-30)
参考文献数
20

運動前多食型 (BE) および運動後多食型 (AE) の食物摂取パターンが持久性の向上に有効か否かを明らかにすることを目的に, ラットを用いて低強度および高強度の急性運動を負荷した際の糖脂質代謝について検討した.(1) 運動前安静および対照安静のいずれの時点でも, 血漿FFAは自由摂食 (AD) 群に比較しBE群およびAE群で有意な低値を示し, 肝臓グリコーゲンはAD群およびBE群に比べてAE群で有意な高値を示した.(2) 低強度運動時には, 血漿FFAおよびグリセロールがAD群において運動前安静群に比較して運動群で有意な高値を示した.肝臓グリコーゲンは, AD群では運動前安静群に比較して運動群で有意な低値を示し, BE群では運動前安静群に比べて運動群で有意な高値を示した.一方, 肝臓グリコーゲンは運動後, AD群に比較してBE群およびAE群で有意な高値を示し, BE群に比較してAE群で有意な高値を示した.腓腹筋グリコーゲンは, AD群では運動前安静群に比較して運動群で有意な低値を示し, 運動後には, AD群およびBE群に比較してAE群で有意な高値を示した.(3) 高強度運動時には, AD群, BE群, およびAE群のいずれも血漿FFAおよびグリセロールが運動前安静群に比較して運動群で有意な高値を示した.運動負荷後の血漿FFAにおいては, AD群に比較してBE群およびAE群で有意な低値を示した.肝臓グリコーゲンは, AD群では運動前安静群に比較して運動群で有意な低値を示した.運動負荷後は, AD群に比較してBE群で有意な高値を示し, BE群に比較してAE群で有意な高値を示した.腓腹筋グリコーゲンに関しては, AD群, BE群, およびAE群のいずれも運動前安静群に比較して運動群で有意な低値を示した.以上より, 運動後多食型は, 運動開始時には自由摂食および運動前多食型に比較して, 肝臓グリコーゲン含量を高めることに極めて有効であるので持久的運動時の肝臓グリコーゲン消費節約が可能であり, 持久性の向上に有効であるものと推察された.
著者
吉村 寿紘 谷水 雅治 川幡 穂高
出版者
日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集
巻号頁・発行日
vol.58, pp.24-24, 2011

本研究では,近年測定可能となったMg同位体比(δ26Mg)を用いることで,陸棚堆積物と間隙水の反応における詳細なMg 動態を解明することを目的とした。試料はIODP Exp317の掘削サイトU1351ならびにU1352で得られた間隙水と堆積物を用いた。試料は陽イオン交換樹脂を用いてMgを分離した後,多重検出器型ICP-MSでMg同位体比の測定を行った。Mg同位体比は海水標準試料IRMM BCR403に対する千分率偏差(‰)として表す。U1351の間隙水のδ26Mgは-1.8~-0.1‰,U1352は-2.2~1.0‰を示した。陸棚と陸棚斜面のプロファイルの違いは海水準変動に起因する堆積履歴の違いに由来すると考えられる。U1352の上部200mではδ26Mgが1.20‰増加し,200~350mでは1.25‰減少した。このことはコア上部200mでは有機物の分解に伴うドロマイトの沈殿反応が卓越するが,コア深度の増加に伴ってMgの除去源がドロマイトから粘土鉱物が卓越する反応に移行することを示唆する。
著者
鳥羽 美香 藤木 理代 塚原 丘美 田村 明 小澤 良太 青石 哲也 菅野 昌明 高田 正義
出版者
名古屋学芸大学健康・栄養研究所
雑誌
名古屋学芸大学健康・栄養研究所年報 = Annual Report of Institute of Health and Nutrition, Nagoya University of Arts and Sciences (ISSN:18821820)
巻号頁・発行日
no.5, pp.39-47, 2012-09

スポーツ選手の栄養サポートを行う部活動NSTA(Nutrition Support Team for Athlete)は、愛知県内のA 大学ラグビー部の学生寮にて、朝食・夕食の食事提供を行っている。この活動が始まった2005年から2009年の5 年間に、選手を対象に行った身体測定、体力測定結果の推移を見た。その結果、間欠性持久力を評価するYo-Yo Intermittent test の成績が有意に上昇した。一方、10m、30m スプリントタイム、スクワットジャンプパワーといった瞬発力を評価する項目や、身体計測値に変化は認められなかった。持久力の上昇には、練習後の速やかな糖質摂取による貯蔵グリコーゲン回復が必要であり、NSTA による食事提供の寄与は大きいと考えられる。
著者
小豆畑 康児 川名 秀忠 東 守洋 東 和彦 若新 英史 大矢 佳寛 佐野 文子 亀井 克彦 張ケ谷 健一
出版者
日本医真菌学会
雑誌
日本医真菌学会総会プログラム・抄録集 第49回 日本医真菌学会総会 (ISSN:09164804)
巻号頁・発行日
pp.176, 2005 (Released:2005-09-07)

症例は 70 歳の米国人男性。来日前から中耳炎と難聴があり、来日後は咳、発熱が続いていた。某院に通院、その後、入院していたが、症状が悪化し、千葉大学医学部付属病院に転院した。血尿・蛋白尿が出現し、C-ANCA も陽性だったことから Wegener 肉芽腫症の診断がなされ Cyclophosphamide 及びステロイドによる治療が行われた。治療開始から約一ヵ月後、胸水の出現とその増加があり、上肺野には斑状影を認めた。胸水培養より特定できない真菌が検出されたため、千葉大学真菌医学研究センターにおいて精査したところ、血清抗体価、PCR、DNA シークエンスなどから Coccidioides immitis と判明した。これに対し、抗真菌薬による治療を行ったが、肺症状の悪化と低酸素血症が続いた。その後、全身状態も悪化し、胸水の出現から約一ヶ月半で死亡した。千葉大学において病理解剖が実施され、検索の結果、肺・肝臓・脾臓に内生胞子を充満したコクシジオイデスの球状体が見られた。
著者
大塚 昇三
出版者
北海道大学
雑誌
經濟學研究 (ISSN:04516265)
巻号頁・発行日
vol.39, no.4, pp.108-123, 1990
著者
伊豫谷 登士翁 平田 由美 西川 裕子 成田 龍一 坪井 秀人 美馬 達哉 イ ヨンスク 姫岡 とし子 坂元 ひろ子 足立 真理子
出版者
一橋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004

プロジェクトの目的は、ジェンダー研究の提起してきた課題をグローバリゼーション研究がどのように受け止めることができるのか、二つのG研究(ジェンダー研究とグローバリゼーション研究)の接点から現代という時代を読み解く課題をいかに発見するか、という点にあった。こうした課題への接近方法として、プロジェクトでは、移動する女性に焦点を当ててきた。それは、1)人の移動にかかわる研究領域が二つの研究領域を連接する接点に位置すること、2)二つのG研究が、国家の領域性と一体化してきた近代的な知の枠組に対する挑戦でもあり、定住あるいは居場所と対比した移動はそのことを明らかにするテーマのひとつであること、にある。プロジェクトでは、これまでの移民研究の方法的な再検討の作業から始め、民博地域企画交流センターとの共催で開催したシンポジウム「移動から場所を問う」は、その研究成果である。ここでは、人の移動にかかわる隣接領域の研究者を中心として、移動から場所を捉え返すという問題提起に対して、海外からの報告者9名を含めた11名の参加者を得た。移民研究の再検討を手がかりとして、移動のジェンダー化という課題を理論的に明らかにするとともに、人文科学と社会科学との対話を通じて、二つのG研究が提起する問題を模索することにした。<女性、移動、かたり>を掲げたワークショップは、韓国の世宗大学の朴裕河、アメリカのコーネル大学のブレット・ド・バリー両氏の参加によって、海外研究者との交流を進め、その成果の一部をオーストラリア国立大学、コーネル大学において報告した。これらワークショップを通じて、1)グローバリゼーション研究が新しい局面に入っており、2)再生産のグローバル化におけるジェンダーの課題として、ジェンダー研究の成果を踏まえた女性移民研究が要請されており、3)二つのG研究を含めた研究領域の間での対話の必要性が再認識された。
著者
小嶺 忠敏
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネス (ISSN:00290491)
巻号頁・発行日
no.1383, pp.153-156, 2007-03-19

「全国高校サッカー選手権大会(高校選手権)」は、新春の風物詩として、試合やテレビ中継をご覧になっている方も多いでしょう。高校サッカーの主要大会の中でも、全国の高校のサッカー部の選手が日本一奪取を夢見る、特に重要な大会になっています。
著者
羅 京洙
出版者
[出版者不明]
巻号頁・発行日
2010

制度:新 ; 報告番号:甲2986号 ; 学位の種類:博士(学術) ; 授与年月日:2010/1/25 ; 早大学位記番号:新5237
著者
前川 理子
出版者
東京大学文学部宗教学研究室
雑誌
東京大学宗教学年報 (ISSN:2896400)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.107-121, 1996-03-30

This paper examines the philosophy of "Zen-sei", which H.Noguchi (1911~1976) a founder of the "Seitai Kyokai" association developed in his body work practices, with an emphasis on its central concept of "Inochi" meaning "life". "Inochi", however, does not simply mean a biological continuity, but conveys a source of wisdom : moral, intellectual, and biological. Noguchi stresses the self-adjusting, self-sufficient, reflexive nature of "Inochi" both biologically and intellectually. The entity does not only have a natural self-healing power within itself, but also has the intelligence that knows and tells us what to do. The aim of Noguchi's body work is to calm ourselves in order to hear the voice of ultimate wisdom of "Inochi" coming from inside. "Inochi" is thus regarded as an irreducible principle of living that guides us biologically and mentally simply by virtue of its teleological instinct. Noguchi defined an ideal life as embodied in the philosophy of "Zen-sei" to be free from all socially-given moral obligations, but still maintaining naturally the harmonious relations with society. What induced him to teach body work was his frustrated observation of oppressed and thus non-functional people who simply did not use their inherent abilities that derive from "Inochi". Shrunk under the weight of moral duties and the increasing number of scientific discourses related to self-discipline deployed in modernizing Japan held sway over people. He pays special attention to popularized medical discourse and also to a physical education in schools that invite our psycho-physical improvement for constructing an unbending body and mind. He claims that exercising the practices they espouse indeed leads to disastrous effects that actually diminish our autonomous potentials, since those practices undermine the work of "Inochi", and suppress natural bodily functions. Noguchi's motive of "Inochi" derived from such insights on the surroundings of our body and mind, and his efforts were directed for avoiding the force of this contradiction. For a socio-cultural study of body-mind practices, we must remember that our bodies emerge in different kinds of engagement and intervention; pedagogical teaching and writing, medical and other social practices. Body and mind are discursive, social constructions. In this respect, efficacy aside, Noguchi's attempts are valuable as they aim at the reconstruction of our bodies and minds against the prevailing scientific discourses and practices that have dominated our everyday life in the first half of this century.