著者
梅津 和夫 湯浅 勲
出版者
山形大学
雑誌
重点領域研究
巻号頁・発行日
1990

本年度は,日本人・韓国人・中国人・パプアニュ-ギニア人・南米インディアンを中心として各種血清タンパク型を調査したところ,次のようなことが判明した。1.ORM1座の重複遺伝子であるORM1^※2・1はアジアの北から南にかけての勾配がみられた。またORM1^※5・2はモンゴロイドにのみ広く分布していることがわかった。2.ORM2座はいずれの集団も1型が優勢であるが,ORM2^※6は特に中国人を中心として高い分布を示した。3.南米インディアンは,AHSG^※2を持つ割合がどの集団よりも高率を示した。4.AHSG^※5は調べた多数のモンゴロイド集団の中で,日本人しか検出されず,その中でも奄美大島〜石垣島までの南西諸島でのみ,きわだった高い値を示した。このことは,この遺伝子は琉球で発生し,ここから,九州,四国,本州にもたらされたことが推定される。なお,アイヌには発見できなかった。5.IF型のIF^※Aは広範なモンゴロイドにみられたが,南米インディアンにはなかった。なお南米インディアンの一集団には多型的頻度で新しい変異型のIF^※A3がみつかった。6.ZAG型の各種変異型遺伝子はいずれの集団においても出現頻度は低いが,民族に特微的ないくつかの因子が明らかになった。以上のように,モンゴロイドに特異的な標識遺伝子を調べることにより,モンゴロイド集団の系統解析に役立つことが明らかになった。
著者
郷内 吉瑞 大貝 彰 鵤 心治 加藤 孝明 日高 圭一郎 村上 正浩 渡辺 公次郎
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画. 別冊, 都市計画論文集 = City planning review. Special issue, Papers on city planning (ISSN:09131280)
巻号頁・発行日
vol.43, no.2, pp.34-40, 2008-10-15
被引用文献数
1

本研究は、防災まちづくりを支援するための技術開発として、地域防災力の評価手法の開発を試みるものである。はじめに、既往研究と防災に関する専門家へのヒアリング調査を基に、地域の災害時対応能力を構成すると考えられる評価の視点と項目、指標を設定した。その後、評価構造の階層をISM(Interpretive Structural Modeling)を用いて定量的に構築した。更にAHP(Analysis Hierarchy Process)を用いて、各評価項目の重み付けを行い、地域の災害時対応能力評価のための階層構造を構築した。加えて、DEMATEL法(Decision Making Trial and Evaluation Laboratory)を用いて、地域の災害時対応能力の基礎となる評価項目間の影響関係とその度合を明らかにした。そして、愛知県豊橋市の自治会を対象として、試験的に開発した手法を適用し、この手法により、地域の災害時対応能力の定量的評価が可能であることを確認した。
著者
山元 隆稔 大貝 彰 日高 圭一郎 村上 正浩
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会技術報告集 (ISSN:13419463)
巻号頁・発行日
vol.19, no.41, pp.329-333, 2013-02-20 (Released:2013-02-20)
参考文献数
5
被引用文献数
2 2

The improvement of earthquake safety is a crucial problem. It’s important for neighborhood associations to possess the capability to deal with disasters in order to solve this problem. Therefore, the authors have developed a method that evaluates the level of disaster awareness and solidarity of neighborhood associations based on information, such as the implementation status of disaster drills. This method requires the evaluation and comprehensive provision of information necessary in such activity. In this study, the authors developed a support tool based on the evaluation method, and examined the tool’s usability with a questionnaire for neighborhood associations and local governments.
著者
加藤 孝明 小林 三昭 佐藤 尚秀 四柳 照義
出版者
東京大学生産技術研究所
雑誌
生産研究 (ISSN:0037105X)
巻号頁・発行日
vol.62, no.4, pp.377-380, 2010-07-01 (Released:2010-11-25)
参考文献数
3

災害対応及び復旧の任を負う指定公共機関が円滑な防災業務を実現するためには,被災の実情報,防災計画に関わる情報,他組織の活動状況の把握が不可欠である.法律上,自治体の災害対策本部で情報共有を図ることとになっているものの,本部の情報収集・分析能力の限界により,各組織が独自に収集・分析しているのが実態である.各組織が必要とする情報を共有するしくみがあれば,迅速かつ効果的な防災業務を実現することができる.本速報では,この問題に対応するしくみとして開発中の「防災情報マッシュアップシステム」について報告する.[本要旨はPDFには含まれない]
著者
長谷川 浩文
出版者
日本印度学仏教学会
雑誌
印度學佛教學研究 (ISSN:00194344)
巻号頁・発行日
vol.62, no.1, pp.111-114, 2013-12-20
著者
奥園 達也
出版者
The Society of Practical Otolaryngology
雑誌
耳鼻咽喉科臨床 (ISSN:00326313)
巻号頁・発行日
vol.76, no.10, pp.2565-2580, 1983
被引用文献数
7 2

著者は, 身体重心動揺の方向性を重視し, 新たに動揺の各規定方向毎の動揺量を表示できるベクトル動揺図 (命名, Vector Statokinesigram; V-Skg. と略) を考案した. V-Skg. は, 重心動揺計の左右及び前後への身体動揺記録 (Statokinesigram; Skg. と略) を用い, 特製プログラムを有するマイクロコンピューターにより作成する, 即ちV-Skg. 上の動揺方向は, Skg. 上単位時間毎移動点, 2点間のΔy/Δxの逆正接より求め, 併せて動揺量は同2点間の距離より求めた. 動揺方向の一計測単位を5度とし, 360度を72分割すれば, 動揺方向毎動揺量の計測値は72個得られる. これを, 極座標上72本の放射状線分として, CRT上に描出した.<br>1) 本法により健康成人29名のV-Skg. を記録した. 動揺の型別は, 求心型, びまん型, 前後型, 多中心型, 左右型の他, 閉眼安定型を加えた. 各型別の総軌跡長, 20度毎18方向別の平均値と標準偏差を求めた. これを健常者の型別, 対照値とした.<br>2) 健康高令者65名のSkg. とV-Skg. を記録した. この型別分類, 総軌跡長及び18方向別の動揺量を求め, 健康成人群と比較した. 身体動揺は加令により増加した. 型別分類では左右型と閉眼安定型の増加が注目された.<br>3) 一側性末梢前庭障害例では左右型の動揺を示す. 動揺量は健康成人群の左右型より有意に大きい.<br>4) 小脳脳幹障害例では前後型の動揺を示すが, 健常群の前後型に比し動揺量は大きい.<br>5) 体平衡障害の代表例2例を呈示した. 本V-Skg. は, 変動する動揺の方向性を明示し, その動揺量を計量し得る方法である.
著者
原 武雄
出版者
日経BP社
雑誌
日経ベンチャ- (ISSN:02896516)
巻号頁・発行日
no.234, pp.164-167, 2004-03

「よく、島山に言うんです。『俺達は野球の敗戦処理投手のようなもんや』ってね。不良資産を一つずつ洗い出して処理し、債務を確定して、それを少しでも減らしていく。これって、既に負けが決まった試合で投げなきゃならないピッチャーと同じだなぁ、と……」 才門建設の三代目社長、谷口実は、冗談とも本気ともつかぬ調子でそう言うと、取締役の島山暢隆に顔を向けた。

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著者
高橋健二 文
出版者
講談社
巻号頁・発行日
1954
著者
藤田 薫 松下 吉樹 本多 直人 山崎 慎太郎 小林 正三
出版者
公益社団法人日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.73, no.3, pp.495-504, 2007-05-15
被引用文献数
1

現用の小型底びき網のグランドロープをコントロールとして,直径が約2倍のグランドロープを持つ小型底びき網のサイズ選択性を,拡張したSELECTモデルにより評価した。ガンゾウビラメとマトウダイは小型個体ほど,アカシクビラメとクロウシノシタは大型個体ほど選択率が低くなった。ホウボウは全長と選択率の関係に明確な傾向は見られず,漁獲個体数も変わらなかった。種やサイズによって選択性に相違があったことから,グランドロープの太さを選択漁獲に利用できる可能性がある。
著者
慧洪, 顕孝 等編
出版者
文光堂
巻号頁・発行日
vol.巻中, 1881
著者
池谷 裕二
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.128, no.9, pp.1251-1257, 2008 (Released:2008-09-01)
参考文献数
18
被引用文献数
3 3

Functional multineuron calcium imaging (fMCI) is a large-scale optical technique that records the suprathreshold activity from large neuron populations. fMCI has several advantages, including: i) simultaneous recording from hundreds of neurons, ii) single-cell resolution, iii) identifiable location of neurons, and iv) detection of non-active neurons during the observation period. I review the principle and detailed method of fMCI and also describe the effect of oseltamivir on neuronal network as an example for practical application of fMCI.
著者
Takamitsu YAMAMOTO Yoichi KATAYAMA Toshiki OBUCHI Kazutaka KOBAYASHI Hideki OSHIMA Chikashi FUKAYA
出版者
社団法人 日本脳神経外科学会
雑誌
Neurologia medico-chirurgica (ISSN:04708105)
巻号頁・発行日
vol.52, no.7, pp.475-481, 2012 (Released:2012-07-25)
参考文献数
32
被引用文献数
3 32

Minimally conscious state (MCS) is characterized by inconsistent but clearly discernible behavioral evidence of consciousness, and can be distinguished from coma and the vegetative state (VS). Ten MCS patients were evaluated neurologically and electrophysiologically over 3 months after the onset of brain injury, and were treated by spinal cord stimulation (SCS). A flexible four-contact, cylinder electrode was inserted into the epidural space of the cervical vertebrae, and placed at the C2-C4 levels. Stimulation was applied for 5 minutes every 30 minutes during the daytime at an intensity that produced motor twitches of the upper extremities. We used 5 Hz for SCS, considering that the induced muscle twitches can be a useful functional neurorehabilitation for MCS patients. Eight of the 10 MCS patients satisfied the electrophysiological inclusion criteria, which we proposed on the basis of the results of deep brain stimulation for the treatment of patients in the VS. Seven patients recovered from MCS following SCS therapy, and were able to carry out functional interactive communication and/or demonstrate the functional use of two different objects. Cervical SCS increased cerebral blood flow (CBF) diffusely in the brain, and CBF increased by 22.2% during the stimulation period compared with CBF before stimulation in MCS patients (p < 0.0001, paired t-test). Five-Hz cervical SCS could increase CBF and induce muscle twitches of the upper extremities. This SCS therapy method may be suitable for treating MCS.
著者
森 一平
出版者
The Kantoh Sociological Society
雑誌
年報社会学論集 (ISSN:09194363)
巻号頁・発行日
vol.2009, no.22, pp.186-197, 2009

The purpose of this paper is to elucidate one aspect of the scholastic socialization. This is the socialization through which Kindergartners are oriented to the methodology of 'A and Bs attending to the same thing' as a scholastic skill. This paper demonstrates that two respective designs of two interaction formats, 'adjacency pair' and 'adjacency triple', are used to cohort the kindergartners, make the teacher's and kindergartners' states facing each other, and then, achieve the methodology of 'A and Bs attending to the same thing'. These procedures are describable as one aspect of the scholastic socialization that orients kindergartners to a skill mainly required in schools.
著者
齋竹 良介 荒井 幸代
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.29, 2015

本研究では,地震発生後に逐次得られる実被害情報を活用した水道管被害推定法を提案する。管路をネットワークとみなし,被害ノードを中心とした被害の広がり具合を推定する指標であるコミュニティ濃度を導入する。情報を得るたびにコミュニティ濃度を用いてデータを更新し,サポートベクターマシンを用いて被害推定を行う。東日本大震災時のデータを用いて計算機実験を行い,情報を得るたびに推定精度が向上することを確認した。
著者
松添 直隆 山口 雅篤 川信 修治 渡部 由香 東 華枝 坂田 祐介
出版者
園芸学会
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.68, no.1, pp.138-145, 1999-01-15
被引用文献数
9 24

本邦の6品種およびバングラデシュの8品種・系統のナス(Solanum melongena L.)を供試して, 果実への暗黒処理が果色および果皮のアントシアニン組成に与える影響を調査した.本邦の栽培品種と'Singhnath'の果色は"紫みの黒", 'KL purple'と'Borka'は"暗い赤みの紫"および'Uttara'は"くすんだ赤紫"であった, SL系統のうち'SL 28', 'SL 32'および'SL 50'は"黄緑"と"緑"の縞に一部"赤紫"の着色, 'SL 65'は"黄緑"に一部"赤紫"の着色がみられた.'早生米国大丸'以外の品種・系統の果皮の主要アントシアニンはdelphinidin 3-p-coumaroylrhamnosylglucoside-5-glucoside (Nasunin)で, その含有率は69.1&acd;87.7であった.一方, '早生米国大丸'の主要アントシアニンはdelphinidin 3-rhamnosylglucosideで, その含有率は79.5%であった.暗黒処理により, '早生米国大丸'の果色は"暗い赤紫"になったが, 果皮のアントシアニン組成は対照区と違いがなかった.また, 暗黒処理により, '千両2号', '庄屋大長'および'Borka'は"黄みの白"に一部"赤みの紫"を含む果色に, そして'SL 50'は"黄みの白"に一部"灰黄赤"を含む果色に変化したが, 果皮の主要アントシアニンの含有率には変化は認められなかった.'久留米長', '十市', '御幸千成', 'KL purple', 'SL 28', 'SL 32'および'SL 65'は暗黒処理下では果皮におけるアントシアニン系色素の発現は認められなかった.