著者
内村 太郎 古関 潤一 桑野 玲子 東畑 郁生 西江 俊作 WANG Lin QIAO Jian-Ping YANG Zongji HUANG Dong HUANG An-Bing LU Chin-Wei
出版者
埼玉大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

中国、台湾、日本で、強い地震によって損傷を受けた自然斜面が、その後の豪雨をきっかけに崩壊する「地震と降雨の複合的な作用」による斜面災害を対象として調査研究を行った。(1)地震で強震を受けた山岳地域の斜面で、踏査、機器を使った調査と観測、現地実験を行い、斜面の不安定化の実態とメカニズムを把握し、危険な斜面の抽出の方法や災害を軽減する方法を提案した。(2)低コストで簡易な斜面表層の変状の観測装置を用いて、斜面災害の前兆をとらえ、早期警報によって被害を軽減する技術の実用化を推進した。さらに、多点計測や、弾性波を用いた斜面監視など、新しい技術を開発した。
著者
天野 郡壽 金 恵子 天田 英彦 REINARUTH Carlos Maria
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

1、フィリピンのPBA、韓国のKBLはプロ組織である。しかしながら、いずれの国のクラブもその経営形態は、クラブの運営経費をオーナー会社に頼る、いわば「企業サポートクラブ」であるといえる。2、PBAチームのオーナー会社は、バスケットボールを企業の宣伝の手段と認識しており、クラブ維持経費を企業の総宣伝経費との比較でとらえ、バスケットボールは国民に対して会社の健康なイメージを与える格安で絶好の宣伝手段であるとしている。3、KBLはオーナー会社の宣伝と社員の帰属意識向上のためという2つの目的を立てている。4、日本のバスケットボール選手は、社員選手、嘱託社員選手、プロ契約選手の3種類にわけられる。社員選手はスポーツ中心の生活であるが、その給与体系や福利厚生は社員のそれが適応される。嘱託杜員にも福利厚生や住居費などが社員に準じて与えられる。選手は怪我や引退のリスク回避を、チームを保有する企業の「スポーツ活動の支援は企業の社会的責任である」また「社内のクラブ活動は厚生事業の一環であり、プロ選手の保有はその基本理念になじまない」という基本姿勢が、日本独特の「企業選手」を作り上げている。5、選手の給与は、JBLは400万から1,500万円、KBLは3,600万ウオンから20,000万ウオン、PBAは300,000ペソから2,000,000ペソで(韓国、フィリピンはサラリーキャップ制度導入)、またいずれの国も遠征手当て、試合手当て、勝利手当てなどを支給している。それらを合計すると、日本の社員選手においても他の同年齢の社員よりは高い報酬を得ているといえる。6、報酬は高いものの、ほとんどの選手が選手を辞めた後の生活設計に悩みを持っている。7、いずれの国も、外国人選手の試合参加は2名以内という制限を設けている。さらにPBAとKBLは外国人選手に対して身長に制限を設けている。そのうえKBLでは、各試合の第2クオーターを外国人の参加1名と制限し、自国選手に参加の機会を増やしている。8、バスケットボール部を持つことにより企業にとって経済的効果については、先に述べたようにその経営基盤がかなり異なるために、3国間の比較はできなかったが、少なくとも韓国、フィリピンでは企業クラブは大いなる宣伝効果が期待できると考えている。
著者
岩永 正子 朝長 万左男 早田 みどり
出版者
長崎大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

【背景】骨髄異形成症候群(Myelodysplastic syndromes, MDS)は高齢者に多く高率に白血病に移行する造血幹細胞異常で近年注目されている。これまで放射線曝露とMDS発生の関連について調査した疫学研究は少なく、原爆被爆者においても明確な結論が得られていない。【目的】原爆被爆者におけるMDSの発生状況を調査し、放射線被爆との関連を明らかにする。【方法】血液内科医が常勤する長崎市内5病院間でMDS疫学調査研究プロジェクトを構築後、2004年までに発症した症例を後方的に集積し、被爆者データベースと照合して被爆者MDSを特定後、2つの疫学解析を行った。【結果】これまでに集積したMDSは647例である。コホート解析:被爆者データベース上1980年1月1日時点で生存していた被爆者87496人を母集団とし、1980年以前のMDS既知診断例を除き、1980-2004年に診断された被爆者MDS162例を特定した(粗発生率:10万人年あたり10.7人)。単変量解析による発生率の相対リスクは、男性が女性の1.7倍、1.5km以内の近距離被爆者が3km以遠被爆者より4.3倍と高く、高率に白血病に移行する病型(RAEB, RAEBt)ほど近距離被爆での発生率が顕著であった。年齢調整集団解析:診断時住所が長崎市であったMDS325例のうち被爆者MDSは165例であった。被爆者母集団数は長崎県公表の地域別被爆者健康手帳所持者数をもとに1980年より5年毎の人数求め、非被爆者母集団総数は長崎県より5年ごとに公表される年齢別人口を被爆者と年齢をマッチさせ、その後被爆者数を減じて求めた。10万人年あたりの粗発生率は被爆者で10.0人、非被爆者で6.49人と計算され、被爆者集団における発生率は非被爆者集団より1.5倍高いという結果が得られた。【考察】今後は被曝線量との関連を明らかにする必要がある。
著者
中村 卓司 KERO Johan Ranold
出版者
国立極地研究所
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2008

本研究では、最近導入された超多チャンネルの受信系で高性能な電波干渉計が構成できる大型大気レーダー「MUレーダー」に、超高感度のICCDカメラを組み合わせて、電波および光学の高感度・高精度同時観測で、流星物質の大気との相互作用、とくに電離発光時のフラグメンテーションの物理を定量的に明らかにすることを目的としている。本年度は、前年度に引き続き毎月24時間の光学および電波によるキャンペーン観測を行ない、多くの光学・レーダーの同時流星のデータを取得できた。また、10月にはオリオン座流星群の観測キャンペーンを国立天文台・渡部潤一氏らのグループとも共同で長時間にわたって行った。データ解析ではICCDビデオ画像の解析方法を改良して1/60秒のフィールド毎のデータ解析を行い、研究員の開発してきたフラグメンテーションモデルとの比較を進め、2体に分離する流星の干渉および減速の様子を詳細に検討した。また、研究協力者の上田、藤原らの多点でのビデオ観測との同時観測も進めることができた。また、EISCATレーダーとの比較では、とくにMUレーダーの広いビームを活かした散乱断面積の長時間にわたる変化の観測で、VHFレーダーの優位性を示すことができた。以上のように、本年度はこれまでのデータに加えて観測データを拡張しその同時データ数は170例を超えこの種の観測では世界最高であり、さらにデータ解析を進めることで他に類をみない高精度のデータベースを得ることに成功し、その成果は国際会議で発表し好評を得た。現在論文を投稿中(改訂中)でありさらに数編を執筆中である。
著者
北神 正人
出版者
千葉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究ではフラッシュメモリを用いたディスク装置の高信頼化と長寿命化手法を提案した.高信頼化手法として隣接誤り訂正符号を提案し,長寿命化手法としてガーベージコレクションを用いたデータ移動法を提案した.隣接誤り訂正手法では多レベルメモリセルに記憶された値が隣接値に誤る確率が高いこと考慮して,訂正する誤りを隣接値に限定することにより効率の良い符号を提案している.ガーベージコレクションでは書き換え頻度の高いデータと頻度の低いデータを分別し,頻度の高いデータを定期的に移動することにより書き換えが特定のセルに集中することを防止して寿命を延長している.
著者
豊田 光世
出版者
新潟大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究では、自然環境の保全や資源管理をめぐる倫理的課題を分析し、ボトムアップの保全・再生事業を支える理念と実践プロセスを考察した。地域環境のガバナンスを考えていくうえで、風景や環境の価値認識の差異、土地所有から生じる権利や義務の問題、資源管理を支援・規制するための社会制度、地域のソーシャルキャピタル、人びとの価値観や思いなどといった視点から課題を整理していく必要がある。本研究では、新潟県佐渡市で進めた地域環境整備に向けた対話と協働の実践を通して、これらの課題について分析し、ガバナンスの推進において「多層的コモンズの包括的認識」と「プロセスと成果のオーナーシップの獲得」が重要であることを示した。
著者
鹿又 伸夫 与謝野 有紀 平田 暢 野宮 大志郎 織田 輝哉 稲葉 昭英 太郎丸 博 高瀬 武典
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1996

1.異なる分野の調査データに適用するという研究目的については、歴史社会学、社会運動論、組織社会学、社会心理、社会行動などにかかわるデータの分析を行った。具体的には、農民暴動、ボランティア団体、社会的属性と意識、援助行動、携帯電話への不快感、出産意向などの分析をおこない、ブール代数アプローチが多様な分野およびテーマに応用可能であることを示した。2.調査方法の異なるデータへ適用するという研究目的については、事例データのみでなく、歴史的資料データ、既存データのメタ分析、クロス表データ、ヴィネット調査データ、手紙データなど多様な調査データへの応用方法を提示し、ブール代数アプローチを様々な調査データへ応用可能にした。3.理論の定式化および理論比較への適用という研究目的については、演繹的に理論モデルを構築する手法によって、役割概念を理論的に再定式化する成果が得られた。そこでは、役割の階統性・可視性による役割構造分析という、役割理論にたいする新たな分析を提示した。4.数理モデルとして拡張するという研究目的については、論理演算の明示化、確率モデルとの比較、真理表データの2値化基準の検討などを行い、数理モデルとして拡張していくための基礎的検討を行った。これらでは、データの多様性の欠如や、矛盾のある行などの方法論的問題にたいする対処策を提示した。以上のように本研究では、方法論的な基礎的検討(上記4.)、発展的応用方法の開発(上記2.および3.)、そして実質的研究への応用(上記1.)を行った。とくに実質的研究へ応用にかんしては、意識や行動における主観的論理や主観的状況定義にブール代数分析が有効であることがわかった。
著者
中村 祐司
出版者
宇都宮大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010-04-01

スポーツ基本法の制定を含むスポーツ振興事業をめぐる諸改革が、スポーツ団体や企業スポンサー、日本体育協会、日本オリンピック委員会、地方自治体のスポーツ行政担当組織、さらには地域コミュニティのスポーツ活動環境にどのような影響を及ぼしたのかという視点から、東日本大震災後の状況の変化に注目しつつ、以下のようなテーマを設定し、日本におけるスポーツ行政のガバナンス変容に関わる諸論文を作成した。すなわち、「スポーツ行政・ガバナンス研究の分析枠組み」「東日本大震災による地域スポーツガバナンス拠点の損失」「スポーツガバナンスにおける好循環・連携・協働の分析枠組み」といったテーマで、論文作成と提言等を行った。
著者
原 晃一 岡野 栄之 伊藤 豊志雄 疋島 啓吾 井上 賢 澤本 和延 金子 奈穂子 豊田 史香 小牧 裕司 牛場 潤一 武見 充亮 塚田 秀夫 岩田 祐士
出版者
慶應義塾大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

コモンマーモセットを用いた、開頭を必要としない低侵襲脳梗塞モデル作成法が確立された。統一した手技によって信頼度の高い確率でモデル作成が可能となった。本モデルは大脳基底核を中心とした広範囲な脳梗塞を呈し、病巣と反対側の半身運動麻痺を来たす。本モデルにおいてはこのような神経学的異常所見を客観的に評価するための行動学的解析や、MRI、PETを含めた放射線学的解析が可能であり、げっ歯類に比べ、よりヒトに近い脳梗塞モデルであると考えられる。さらに神経新生などの評価のための組織学的検討のみならず、定位的脳手術による細胞移植も可能であり、今後の脳梗塞治療研究に非常に有用なモデルであると考えられる。
著者
海野 多枝
出版者
東京外国語大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2004

本研究は、本学(東京外国語大学)の学生が各専攻語の知識を生かして実践している地域の外国人に対するボランティア活動に焦点を当て、彼らの日本語支援及び交流活動の実態について、エスノグラフィーの手法を用いて明らかにし、今後の日本語支援・交流活動のあり方について考察することをねらいとする。本研究の成果は以下にまとめられる。1)基礎調査・文献調査まずはボランティアの日本語支援に関する先行研究を収集し、ボランティアの定義を整理し、問題となる「外国人児童生徒」の範囲についても確認した。また、先行研究で用いられている方法論を整理し、これらに文献リストを合わせてハンドブックを作成した。これをもとに、本研究で用いる質的研究の実施法について検討した。その上で、以下の3つの実態調査を実施した。2)まず、本学の多文化コミュニティ教育支援室の協力のもとに、地域に在住する成人外国人に対する日本語支援ニーズ調査を実施した。またこの成果をふまえて、本研究の研究代表者がコーディネーターとなり、日本語教室を一年間開講し、担当する教師・受講者への質問紙調査を実施した。また、このプロセスについて、地域在住の成人学習者に対する日本語支援の事例としてまとめた。3)次に、外国人児童生徒に対する日本語支援について、既にボランティアによる日本語支援に従事している本学学生からダイアリー・データを収集し、ボランティアに携わる学生の成長記録の事例としてまとめた。4)さらに、本学の外国人留学生に対する日本語支援ボランティアに携わる日本人学生に対し、ネットワーク構築を奨励し、日本人学生と留学生両者に対する質問紙・聞き取り調査を実施し、ネットワーク構築の事例としてまとめた。
著者
園部 哲史 戸堂 康之 白石 隆 大塚 啓二郎 佐藤 寛 杉原 薫 恒川 惠市 鬼丸 武士 松本 朋哉 高木 佑輔 本名 純
出版者
政策研究大学院大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2013-06-28

研究期間全体を通じて、経済学者、政治学者と歴史学者が協力しながら、現在の新興国の政治と経済についての実証分析を行った。総括班は、各計画研究班の共同研究を行う場を提供し、分野融合マインドを持った若手研究者の育成にも力を入れた。その結果、新興国に独自の発展経路の在り方や、それに基づく新興国の課題の存在が解明された。領域全体の活動成果として、世界的な学術書の出版社であるSpringer Nature社のシリーズEmerging-Economy State and International Policy Studiesを新たに作り出し、本領域の成果を4巻からなる英文書籍として出版することになった。
著者
ディアゴル イスアリエル
出版者
明治大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

地球温暖化対策として二酸化炭素を減らすために森林の持つ機能への期待が高まっている。本研究の成果は、フィールドで得られた木の画像と衛星画像を組み合わせ、ホログラフィックニューラルネットワークで学習することによって狭い範囲の2次元画像から森林全体の3次元のCADモデルを構築したことである。これによって、フィールドの計測時間が短縮され、現行の森林管理システムの計画を促進することができた。
著者
安部 正真 川勝 康弘
出版者
独立行政法人宇宙航空研究開発機構
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

現在「はやぶさ」に続く小天体探査の検討が進められている。次期小天体探査では「はやぶさ」が探査したS型小惑星よりさらに始原的なタイプの小惑星の探査を進める予定である。具体的にはC型小惑星の探査を検討しており、探査機が到達しやすい近地球型小惑星の中で始原的なタイプの小惑星を多数検出することが必要となってる。本研究において、我々はまず、探査機の到達しやすい近地球型小惑星のリストを作成した。リストアップした小惑星それぞれについて観測好機を調べ、観測後期を迎える小惑星の多色測光を適宜行い、小惑星のスペクトル型の推定を進めてきた。観測は東京大学木曽観測所の1.05mシュミット望遠鏡および台湾鹿林天文台の1m望遠鏡を用いている。これまで3年間で30天体の観測を実施し、20天体のスペクトル型を推定することに成功している。これらのうち5つはC型小惑星であった。本研究開始前の探査しやすい近地球型小惑星でC型小惑星と判明していた天体は、7天体であったが、我々の研究成果と海外の研究者の観測成果を合わせて、現時点でC型小惑星は15天体となり、ほぼ倍の数となった。この数は本研究を開始する前の予測とほぼ一致している。探査しやすいC型小惑星の数が約2倍になったことにより、探査計画の設計自由度が上がり、探査のフィージビリティーが向上している。これらの結果を踏まえて、2010年の打ち上げを想定している「はやぶさ2」ミッションの探査候補天体については、C型小惑星である1999JU3が有力な探査対象として選ばれている。本研究では1999JU3を探査する場合の探査機の具体的な軌道計画についても検討を行い、はやぶさと同程度の探査機設計で探査できることを明らかにした。
著者
山本 真行
出版者
高知工科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

地球温暖化等グローバルな地球大気の理解に重要な熱圏大気の精密測定は難しい。希薄大気中では太陽紫外線等により1%未満が電離しプラズマ大気としてレーダー等で計測できる一方、99%以上を占める中性大気計測は非常に困難で熱圏の理解を阻んできた。観測ロケット放出TMA(トリメチルアルミニウム)による人工発光雲の光学的追跡から夜間の高度160 km付近までの中性風計測手法が確立されたが、昼間の観測手段は未確立であった。我々はロケット放出リチウム(Li)の太陽共鳴散乱光を用い昼間熱圏中性大気風の測定技術を確立するため日米共同ロケット実験を2013年7月に実施し20分間の発光雲観測に成功、同測定技術を得た。
著者
山口 和子 西村 清和 長野 順子 川田 都樹子 前川 修
出版者
岡山大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

写真の非芸術的側面と従来みなされてきた細部の再現からなる触覚的質が、視覚をモデルとするモダンの美的ヒエラルキーと知を揺るがし、日常的なものや無意味なもの、アブジェクトなものや非焦点性を芸術の世界に組み入れ、芸術のポストモダン的状況を作り出すと共に、アパレイタスとしてのその特性は自我やリアリティーの消失に対応している。他方、芸術と写真とのこの近接は写真の非芸術的な起源への問を再び呼び起こしている。
著者
山岸 敬和
出版者
南山大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010-04-01

政治学の枠組みで医療制度の歴史的発展をオバマケアを含めて分析する試みは、多くは見られず、特に退役軍人医療サービスを分析枠組みに含むものは存在しない。本申請研究は歴史的制度論という分析的枠組みを用いながら日米の医療制度の発展を論じようとするものであり、このような手法で日米を比較しようとする研究は類を見ない。申請期間中、4冊の著書、5本の論文、4件の学会発表、国内外の講演による成果発表の機会を得、1960年代から現在のオバマ改革に至る日米の医療制度の政治的・社会的変化について考察を深め、今後我が国における医療保険制度の議論を進めるための助けとなるよう、著書、論文の形で還元することができた。
著者
今野 晴貴
出版者
一橋大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2010

・研究の概要本研究の目的は、労働者からの聞き取り調査を中心に、労働市場政策の有効性について、マクロ統計では把握しきれない制度の運用実態の分析から新しい視角を加えるものである。そこで、本研究では以下の課題に取り組むこととしている。1、日本の労働市場政策の歴史的研究(制度研究)2、製造業派遣・請負労働者等からの聞き取り調査(制度の運用に関する研究)3、調査結果の分析・研究の実施内容平成24年度の研究においては、2、製造業派遣・請負労働者からの聞き取り調査(制度の運用に関する研究)、3調査結果の分析を主として行なった。製造業派遣・請負労働者へのヒアリングおよび労働紛争実務家への調査は、訴訟、労働争議に発展している事例の当事者・支援者等への聞き取り調査を行った。また、研究課題である労働市場政策の運用実態を調査するため、弁護士等、労働紛争の実務家からの聞き取り調査を行ったほか、彼らの研究会等にも参加し、情報収集を行った。さらに、平成23年度に引き続き、NPOと協力した個別紛争の事例調査を実施した。・研究成果の発表上記の制度とその実際の運用との関係についての調査(主として紛争について)の結果についての分析は、日本キャリアデザイン学会で報告を行なったほか、一般書として発表した(『ブラック企業日本を食いつぶす妖怪』(文春新書)及び、『日本の「労働」はなぜ違法がまかり通るのか?』(星海社新書・刊行予定))。
著者
小島 浩之 上田 修一 佐野 千絵 安形 麻理 矢野 正隆 吉田 成 内田 麻里奈 森脇 優紀 冨善 一敏 設楽 舞 野中 治 木部 徹 島田 要
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究では、記録媒体として紙に次ぐ歴史を有するにもかかわらず、これまで学術的な観点から調査・研究がなされてこなかったマイクロフィルムについて、図書館等への訪問実態調査(33機関)、および図書館と文書館への質問紙調査(大学図書館:1,378、都道府県立図書館:58、国立国会図書館:1、公文書館:75、大学文書館:88、専門図書館:380)を基軸とし、生産・出版・保存・活用・管理等の諸側面から総合的に分析した。