著者
吉田 肇 城 真範 平田 正紘 秋道 斉
出版者
The Vacuum Society of Japan
雑誌
真空 (ISSN:18822398)
巻号頁・発行日
vol.54, no.5, pp.298-306, 2011-05-20
被引用文献数
3

A transmission probability <i>W</i> of gas molecules passing through a vacuum component is usually calculated using the Monte Carlo method. In the calculation, it is generally assumed that gas molecules are introduced to a smooth surface and scatter with cosine low. Since the <i>W</i> is influenced by the shape and/or roughness of the surface in practice, the precise calculation of <i>W</i> requires the inclusion of surface geometry. The conventional Monte Carlo method, however, needs very long time to calculate the <i>W</i> for a cylinder with many corrugations, in other words, rough surface. In this paper, a new method to decrease the time for a calculation with rough surface is described. In the new method, the scattering angle distribution distorted by corrugations is analytically calculated. The distorted distribution is used to determine the scattering angle of the gas molecules at the surface. In the case of a cylinder with the ratio of length to the radius <i>L/r</i> of 5, the ratio of the <i>W</i> with V-shaped corrugations to that without corrugations is 0.77 at minimum. Results of the calculation were obtained by both the new method and the conventional method, and are identical within 0.5%. The time required by the new method was more than 100 times shorter than that by the conventional one.<br>
著者
青木 義郎 豊福 芳典 入倉 隆
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会ソサイエティ大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.1995, 1995-09-05
被引用文献数
1

光が大気中でどの様に散乱するのかを解析しそれを可視化することは,対象物や灯火の見え方を推定する上で役立つものと考えられる.筆者らは,モンテカルロ法により散乱光分布を算出しCG化を試み,灯火散乱光の解析を行ってきた.そして今回は,その昼光散乱の算出結果について実測値やKoschmieder式との比較を行った.それらの結果について報告する.
著者
宇井 徹雄
出版者
公益社団法人日本オペレーションズ・リサーチ学会
雑誌
オペレーションズ・リサーチ : 経営の科学 (ISSN:00303674)
巻号頁・発行日
vol.54, no.5, pp.243-248, 2009-05-01
被引用文献数
1

大学生の学力低下問題は,大学入学時の学力低下問題と大学卒業時の学力低下問題に分けられる.入学時の学力低下問題は,義務教育段階と高校生の学力問題にも関係している.日本の生徒の学力は国際的に見て高いといえるが,数学や理科に対する関心や態度のレベルは低い.大学過多による入学生の学力低下は当然,大学生の量的拡大は質的変化を伴い,学力低下のみならず,意欲低下,モラル低下も顕在化している.この問題の解決のためには,大学自身のさまざまな努力や改革のみならず,国の教育行政,中学・高校からの教育,国民の意識,産業界の意識にも関係していて,その変革が求められていることを示す.
著者
白井 美穂 黒沢 香
出版者
法と心理学会
雑誌
法と心理 (ISSN:13468669)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.114-127, 2009-10

本研究では裁判員制度の枠組みから「専門家でない人々による量刑判断の要因」について、前科情報による効果を中心に、しかし今後の研究の土台として他要因についても多角的な検討を試みた。大学生及び社会人を対象とした2つの質問紙実験の結果から、量刑判断の主な要因としては被告人の再犯可能性や事件の悪質性の推測が挙げられ、また厳罰傾向と呼べる個人変数も重要な要因であることが示された。本研究でみられた主な前科情報の効果は、被告人に前科がある場合はより再犯可能性が高く推測され量刑も重くなったこと、また呈示事件が前科から長期間経過しておりかつそれらの事件内容が類似している場合に、事件の種類に関わらず量刑が最も重くなったことが挙げられるが、量刑判断と前科情報の関連は被告人についての情報呈示のあり方によって顕著となる可能性が示された。また本研究では性犯罪である強姦致傷も含め量刑判断において性差は一貫してみられなかったが、参加者の性別とJW得点の交互作用が厳罰傾向を媒介して量刑判断に関連したことを示し、間接的に量刑へ影響を及ぼし得ることを示した。
著者
石垣 健二
出版者
新潟大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

「間身体性」とは,人間の関係性の基盤であり,それは「自己と他者」の身体の間で相互理解を可能にする「身体の働き」であると同時に,そこで得るところの「身体的な感じ」である.体育やスポーツにおける身体運動の実践のなかでは,「身体的な感じ」を得ることによって,「身体的な感じ」としての「われわれ」が成立するのであり,このことが間身体性の育成にほかならない.したがって,学校教育でおこなわれる体育やスポーツの身体活動は,子どもたちにとって殊に重要である.今後,体育学における間身体性の研究は,他者の身体運動を記述する方法論の構築とその方法による具体的な「身体の働き」の抽出が必要となるだろう.
著者
石原 慎一 内海 幸久
出版者
数理社会学会
雑誌
理論と方法 (ISSN:09131442)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.227-240, 2005 (Released:2007-07-06)
参考文献数
8

本稿では, タクシー乗り場におけるタクシーの行列が時間とともにどのように変遷するのかを分析する. 特に時間とともに行列ができる地点が異なる理由を分析の主眼とし, 本稿では, 意思決定と確率過程との二点を考慮に入れたモデルを構築した. 本稿の特徴は確率による撹乱項を導入しなくても, 時間遅れという概念からサイクル現象が発生することである.
著者
黒沢 健至
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会誌 (ISSN:09135693)
巻号頁・発行日
vol.88, no.10, pp.818-822, 2005-10-01

犯罪にかかわる映像が, 被疑者の所有する特定のカメラ個体で撮影されたものであるか否かを判断できる新しい画像鑑定方法について解説する.筆者らが提案する手法は, 撮像素子において発生する固定パターン雑音(FPN)の個体固有性を利用して, 映像中から抽出されるFPNとカメラのFPNを比較することで識別を行う.本稿では識別原理を述べるとともに, 撮影環境等が与える影響, ディジタルスチルカメラやCMOS撮像素子への適用, 識別精度などについて解説する.
著者
後藤 哲雄
出版者
日本植物防疫協会
雑誌
植物防疫 (ISSN:00374091)
巻号頁・発行日
vol.64, no.4, pp.261-265, 2010-04
被引用文献数
1
著者
嶺田 拓也 石田 憲治
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究. 別号, 講演会講演要旨 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
no.43, pp.48-49, 2004-04-16

近年、収穫後の乾田化した水田に湛水する「冬期湛水」の試みが、環境NPOなどを中心に各地から報告されている。これは当初、我が国に越冬のため飛来してくるガン・カモ類やハクチョウ類などの水鳥に採餌場や塒(ねぐら)を提供することを狙ったものであったが、湛水によるイトミミズ増進等がもたらす抑草効果の可能性も指摘され、環境保全型の営農技術としても注目されている。そこで、文献やHPなどの情報をもとに、冬期湛水を実施している全国の事例を収集し、アンケート調査等を通じて冬期湛水の実態を把握するとともに、3カ所の実施圃場にて収穫後の残草量やイトミミズ有無などの簡易調査を行い、冬期湛水に見られる雑草抑制効果についての研究の端緒を開くことを目的とした。
著者
鴨川 賢二 奥田 真也 冨田 仁美 岡本 憲省 奥田 文悟
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.50, no.7, pp.485-488, 2010 (Released:2010-07-29)
参考文献数
10

症例は75歳男性である.短時間の失声と無動をくりかえすため入院した.垂直方向の眼球運動制限,頸部・体幹の筋強剛,四肢のパラトニア,開脚小刻み歩行を呈していた.発作時には発語と動作が停止し,強直肢位をとり,吹き出し呼吸となって1分以内に回復した.発作中の意識は保たれていた.頭部MRIは進行性核上性麻痺とラクナ梗塞を示唆する所見であった.脳波では前頭葉徐波がめだち,123I-iomazenil SPECTの3D-SSPで補足運動野近傍の集積が低下していた.カルバマゼピンにより発作は消失した.陰性運動現象を主徴とする補足運動野発作が高齢者においても発症しうることには留意すべきである.