著者
入江 啓四郎
出版者
早稲田大学法学会
雑誌
早稲田法学 (ISSN:03890546)
巻号頁・発行日
vol.47, no.1, pp.1-69, 1971-07-20
著者
山本 由徳 吉田 徹志 宮崎 彰 坂田 雅正
出版者
高知大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

良食味米生産の産地間競合が激化する中で,沖縄県を除く国内で最も早い収穫,出荷を目指して,高知県では早期栽培用極早生品種とさぴか(多収性,良食味)を育成した.しかし,普及を開始した1998年に,農家水田において異常(不時)出穂が多発し,収量,品質が不安定となったため普及面積が伸び悩んでいる.本研究では,極早生品種とさぴかに発生した異常(不時)出穂現象を取り上げて,その発生要因と発生防止のための栽培技術的な方策を明らかにしようとした.得られた結果は以下のように要約される.1.とさぴかは北海道育成品種に比べ,最終主稈葉数が少ないため,早晩性を示す播種から止葉展開までの有効積算温度(基準温度10℃)が低く,播種からの有効積算温度が301〜348℃日で幼穂形成期(平均幼穂長1mm)に達することが明かとなった.また,とさぴかは感光性・感温性および基本栄養生長性程度も比較的小さく,これらの特性は交配母本の高育27号と類似していた..2.とさぴかの幼穂分化苗を移植して,不時出穂(主稈)が発生すると,収量は,不時出穂の発生しなかった幼穂未分化苗区に比べ9〜15%少なかった.これは,m^2当たり穂数は多いが,分げつ穂の発育が劣り,1穂籾数が少なく,m^2当たり籾数が減少したことと,発育停止籾割合が高く,登熟歩合が低くなったためであった.また,玄米品質も青米の増加により低下した.3.不時出穂を防止・軽減するために,育苗期間中での幼穂の分化,発育を遅らせるには,播種から200℃日(3.5齢)以上では窒素追肥は行わず,箱当たり播種量を多くして,地上部乾物重/草丈比を低くする管理が必要であると考えられた.また,育苗時の基肥窒素の増施や育苗期間中の剪葉処理も効果的であることが明らかとなった.
著者
山本 勝
出版者
九州大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2005

Venus-1ike AGCMを用いて,超回転や大気波動の自転傾斜角依存性を調べた(Yamamoto and Takahashi 2007, GRL).金星条件では,自転傾斜角が大きくなるにつれて超回転が弱くなる.自転傾斜角が小さい場合,Gieraschメカニズムにより,効率よく角運動量が上方輸送され,100 m/s程度の高速超回転が形成維持される.また,数万日周期の変動も見られる.自転傾斜角を10度から20度に大きくするにつれて,超回転は小さくなる.さらに,自転傾斜角を増大させると,超回転は小さくなり,20m/s程度の値に漸近する.このパラメーター領域では,加熱域の季節変化に対応して,東西流や子午面循環も大きく季節変化するが,数万日の長周期変動はほとんど見られなくなる.この場合,冬至や夏至で角運動量上方輸送効率が落ちるので,超回転が弱くなる.これまで,自転速度や南北加熱差が金星超回転の重要なパラメーターであると思われていたが,自転傾斜角も非常に重要であることがわかった.惑星スケール波が金星中層大気大循環に及ぼす役割や雲加熱に対する大循環や波動のsensitivityを調べるために,金星中層大気GCMも開発した(Yamamoto and Takahashi 2007, EPS).赤道域のスーパーローテーションは潮汐波によって維持されるが,中層大気全体の角運動量収支に関しては子午面循環による角運動量上方輸送と波による下降輸送によって維持される。つまり,雲層上端赤道域の局所的な角運動量バランスに関しては潮汐波による加速(潮汐説)が重要であるが,中層大気全体では子午面循環による角運動量鉛直輸送(ギーラッシ説)が重要であった.
著者
江頭 進
出版者
京都大學經濟學會
雑誌
經濟論叢 (ISSN:00130273)
巻号頁・発行日
vol.155, no.2, pp.24-39, 1995-02
著者
濱尾 章二 Veluz Maria J. S. 西海 功
出版者
国立科学博物館
雑誌
自然教育園報告 (ISSN:0385759X)
巻号頁・発行日
vol.37, pp.17-26, 2006-03

日本のウグイス(Cettia diphone cantans)とフィリピンのウグイス(C. seebohmi)について、体サイズ測定値と翼の形を比較した。日本のウグイスでは雄が雌よりも明らかに人きく、雌雄のサイズ分布が重複しなかった。フィリピンの雄は日本の雄よりも小さく、雌は日本の雌と同じかやや大きかった(Table 1)。このことは、性的なサイズ二型が日本で顕著であることを示している。日本のウグイスは発達した一夫多妻の婚姻システムをもつが、フィリピンのウグイスは一夫一妻か、あまり発達していない一夫多妻の可能性が考えられる。翼の形では、フィリピンのウグイスは最も長い初列風切羽が翼の内側(体に近い側)にあり、翼差(最も長い初列風切と次列風切の長さの差;Fig.3)も小さく、日本のウグイスに比べて丸みのある翼をもっていた(Table 2)。丸みのある翼は渡りなどの長距離飛行には適さないが、素早く急角度で飛び立つことを可能にすると言われている。季節的な移動を行う日本のウグイスがとがった形の翼をもつのに対し、フィリピンのウグイスが丸い翼をもつのは、渡りをせず、よく茂ったやぶに棲むことに適応したものと考えられる。この研究は、国立科学博物館の「西太平洋の島弧の自然史科学的総合研究」の一環として行われたものである。
著者
中澤 高清 青木 周司 菅原 敏 川村 賢二 遠嶋 康徳 パトラ プラビール 森本 真司 青木 周司 花輪 公雄 石戸谷 重之 菅原 敏 森本 真司 町田 敏暢 遠嶋 康徳 マクシュートフ シャミル 佐伯 田鶴 パトラ プラビール 石島 健太郎 豊田 栄
出版者
東北大学
雑誌
学術創成研究費
巻号頁・発行日
2005

大気中のCO_2、CH_4、N_2Oの濃度や同位体比およびO_2濃度を、地上基地や航空機、船舶、大気球を利用して広域にわたって測定し、全球におよぶ時間空間変動の実態を明らかにした。また、全球3次元大気輸送モデルを開発し、観測から得られた結果を解析して、変動の原因を究明すると同時に、近年における温室効果気体の循環を明らかにした。さらに、南極ドームふじ深層氷床コアを分析し、過去70万年にわたる温室効果気体の変動を復元し、その変動を解釈した。
著者
森田 健 大中 忠勝 上野 智子 山本 昭子
出版者
福岡女子大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2004

ヒトの生体機能が季節により変動することはよく知られているが、原因がはっきりしている例は少ない。また、生体リズムの季節変動についても報告が少ない。季節により生体リズムが変化する機序としては、日長の変化によるリズム同調の変化が考えられる。このことから本研究では、緯度が異なる3地域(高・中・低緯度)及び季節(春・夏・秋・冬)において人々が日常生活の中で受ける光の量及び質の違いを把握し、ヒトはその環境にどのように適応しているのかという環境適応能の観点から分析を行った。その結果、自然の光環境が気候や季節及び緯度により大きく異なることが明らかになった一方、被験者の受光量や活動量は季節や緯度との関係性は低く、むしろ個人の生活スタイルや過ごす場所に依存している可能性も示唆された。しかし生体リズムの指標となるメラトニンリズムには、季節変動及び地域差における特徴が明確に表れた。特に中緯度:日本の秋において、高いメラトニン分泌量及び位相後退の特異的季節変動が認められたが、これが外部の光刺激変化によるのか、また冬に備える内分泌機能の働きによるものなのなど、その原因を明確にすることはできなかった。本研究における調査は、フィールド調査であり、生体リズムに影響する様々な因子の厳密な制御は行っていない。しかし、日常生活における実際の光環境下で確認した本成果は、今後の光環境計画を考える上での基礎的知見を提供するものと考えている。
著者
田中 克己
出版者
神戸大学
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2008

数学あるいは科学に価値を感じ、興味を持つ生徒に育てたい。それが、科学的思考ができ、社会の不合理や不条理に気づき、社会を良くしていく力を有する社会人を育てることにつながると考え、数学が生活や社会で生きることを実感できる教材を開発しようとした。また、そこに生きている人の知恵のすばらしさ、ひいては人間の素晴らしさに気づかせられるのではないかと考えた。そこで、前回の研究を通して知った天文航法を中学生向けの学習単元として開発することを目指した。まず、天文航法の基本となる、北極星や太陽を観測することによって船の現在地を知る方法について書籍等で調べた。また、地球の公転や自転、太陽や北極星との関係などの空間における図形の〓きや位置関係、さらに球面座標としての緯度・経度との関係に関する考察と理解が必要であるため、関連する社会科や理科の教師と情報交換を行い、何を学び何を学んでいないかを調査して、単元構成を考え、2,3年生を対象とする講座制の選択学習としで実践した。他教科との情報交換では、緯度・経度については第1学年に社会科で学習するが、緯度は角度を表すものとしての学習はあまりなされていない。地球の公転と太陽の南中高度の関係は、第3学年に理科で学習する。しかし、ある緯度の地点での夏至、冬至における太陽の南中高度を求めること程度で、1年を通しての緯度と太陽の南中高度や赤緯との関係、特に、太陽の南中高度から緯度を求める考え方は学習しないことがわかった。これらを踏まえて単元を開発し、天文航法の基本は中学3年生での学習が適切であることがわかった。さらに、海事科学部の教員との連携によって、生徒たちは航海士が実際に使用する六分儀を使用して太陽の南中高度を測定することも体験でき、数学が実際に役立っていること及び人間の知恵の素晴らしさを感じられることがわかった。
著者
柴田 真志 若村 智子 柴田 しおり
出版者
兵庫県立大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004

本研究の主たる目的は、起床時体温低値児童の日常身体活動量、就寝時メラトニン量、体温日内リズムなどの特性について検討することであった。本研究で明らかになった主な結果は、次の通りである。1)朝型夜型得点は、早寝早起きや身体活動量と相関関係が認められた。2)身体活動量が多い歩数高値群の体温日内リズムは、起床時と就寝時に差がなく、昼が有意に高かったが、一方歩数低値群は、起床時が昼および就寝時に比べ低値であった。3)日歩数と就寝時メラトニン量の間には、有意な正の相関関係が認められた。4)日歩数とΔ体温値(起床時体温-就寝時体温)の間には正の相関関係が認められた。したがって、日歩数が高値であるほど、起床時に比べて就寝時の体温が低く、睡眠導入が容易であると推察された。5)起床時体温低値児童の夜間体温変動を観察したところ、一般児童に比べ、夜間最低体温時刻が朝方に後退していることが認められた。6)夏の体温(全対象者の平均値)は、冬に比べて起床時、昼および就寝時ともに高かった。冬の日歩数が夏に比べて8,000歩ほど低下した児童もまた同様な傾向であった。しかしながら、冬の日歩数が夏に比べて増加した上位11名(4,500歩ほど増加)の児童では、冬の起床時体温の低下が抑制され、夏と有意な差は認められなかった。以上のことから、日常身体活動量は、体温の日内リズムに影響を及ぼす可能性が示唆された。低い身体活動量によって、就寝時メラトニン量が低値で、就寝時体温に十分な低下が見られず、夜間最低体温時刻が朝方に後退した結果、起床時体温が低値である可能性が考えられた。
著者
松原 英雄 中川 貴雄 和田 武彦 有本 信雄 児玉 忠恭 川良 公明
出版者
独立行政法人宇宙航空研究開発機構
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2004

本研究の目的は、最先端のスペース及び地上望遠鏡を用いて、可視光から電波領域にわたる多波長サーベイ観測を連携させることにより、「超極赤銀河」(遠方の大きな赤方偏移を受けたスペクトルを持つ銀河で、宇宙の星形成史を解明する上で重要な天体)を多数発見し、さらにその正体を探ることにある。これにより宇宙誕生から現在にいたる宇宙の星形成の歴史の解明に挑む。そこで本研究では、天空の1-5平方度の領域について可視光域〜電波領域にわたる多波長サーベイを連携的に行った。波長2-160ミクロンでのサーベイは、平成18年2月に打ち上げられた赤外天文衛星「あかり」で行った。この特徴は「広く・かつ深く、地上からできない波長をカバー」であり、これによりこれまでに知られている超極赤銀河の数に比べて桁違いに大きいサンプルを得ることができた。「あかり」は、Spitzer宇宙望遠鏡に比べて多数の連続したフィルターバンドを持つおかげで、「あかり」でしか検出不可能な、「PAH高輝度銀河」、「シリケイトブレーク銀河」といった新天体の発見や、700個にも及ぶ「極赤中間赤外線天体」(ERMOs)を検出した。PAH高輝度銀河は中間赤外線で選択した銀河サンプルの約1%に過ぎないけれども、星形成の年齢の極めて若い大変重要な段階にある銀河と考えられる。一方ERMOsは中間赤外線で選択した銀河サンプルの約10-15%存在し、そのかなりの割合が、星形成銀河というよりもむしろ塵に埋もれた活動的銀河核をエネルギー源とするような天体であることがわかってきた。今後このような天体の正体をさらに詳しく調べていくことで、銀河進化の描像に新たな知見を加えることができるであろう。
著者
山崎 俊嗣 金松 敏也 小田 啓邦 横山 由紀子
出版者
独立行政法人産業技術総合研究所
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2004

1.海底堆積物中の磁性鉱物問の磁気相互作用を見積もった。ARM(非履歴性残留磁化)の獲得効率は、磁気相互作用に強く支配されている。そのため、堆積物から相対古地磁気強度を求める際の、堆積物の磁化獲得能の違いを補正(規格化)のためのパラメータとしては、ARMよりもIRM(等温残留磁化)の方が適している。2.北西太平洋における過去25万年間の高分解能の古地磁気強度スタックを構築した。堆積物から信頼できる相対古地磁気強度を求めるには、初期続成作用による磁性鉱物の溶解を受けたものを除く必要がある。低保磁力の磁性鉱物の割合を示す指標であるS比は磁鉄鉱の溶解に敏感であり、これを指標に溶解を受けた層準を除去できる。3.北太平洋の堆積物コアから、過去160万年間の相対古地磁気強度を求めた。このコアの相対古地磁気強度と岩石磁気特性を、堆積環境の異なる西部赤道太平洋のコアと比較すると、相対古地磁気強度は極めて良い一致を示すが、岩石磁気特性の変化は大きく異なる。ウェーブレット変換を用いた時系列解析により、古地磁気強度には10万年スケールの変動が見られること、岩石磁気パラメータは10万年スケールの変動が含まれる場合でも古地磁気強度とは同期しておらず両者に有意な相関はないことを明らかにした。従って、堆積物の性質の変化は相対古地磁気強度に影響しておらず、古地磁気強度記録に見られる10万年スケールの変動は地磁気変動を反映している。4.東部赤道インド洋の堆積物コアから、過去80万年間の相対古地磁気強度及び伏角の変動記録を得た。西部赤道太平洋に見られる伏角異常域は、東部赤道インド洋には延びていない。両海域について、古地磁気強度と伏角の関係を比較することにより、長周期の伏角の変動は、双極子磁場が弱いときに相対的に停滞性非双極子磁場の影響が大きくなることにより生じるというモデルが支持されることを示した。
著者
松井 太
出版者
弘前大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2006

西暦9〜14世紀に属する中央アジア・新疆地域出土の古代ウイグル語世俗文書のなかから,特に税役制度に関係する社会経済文書群を文献学的に解読し,歴史学的考察の基礎となる校訂テキストを準備した。特に,税役徴発を命じる行政文書群については,近日中に英文で資料集として出版する予定である。また,その他の個別の諸種文書(免税特権許可状,契約文書など)を解読校訂しつつ,その歴史的背景となる税役制度の分析を試みた。