著者
中條 秀治
出版者
日本経営学会
雑誌
經營學論集 第86集 株式会社の本質を問う-21世紀の企業像 (ISSN:24322237)
巻号頁・発行日
pp.29-36, 2016 (Released:2017-03-23)

本報告の論点の第1は,中世キリスト教に由来するcorpus mysticum(神秘体)という概念が株式会社の本質に深くかかわるという主張である。ここではカントロビッチの『王の二つの体』という著作で展開されるcorpus mysticumが社会制度に援用される歴史的展開を概観し,corpus mysticumという概念が教会から国家へと援用され,やがて各種の永続性を志向する団体に伝播する経緯を確認する。 第2の論点は,会社観には二つの流れが存在するという主張である。一つはcompany という用語で示される「共にパンを食べる仲間」としての「人的会社」の流れであり,もう一つはcorpus mysticumという人間以外の観念体を立ち上げるcorporationという用語で示される「物的会社」の流れである。 大塚久雄の『株式会社発生史』を批判的に検討すると,ソキエタス(societas)の中心人物に匿名的に投資する分散型コンメンダ(commenda)と「会社そのもの」に投資する集中型コンメンダの二つのパターンがあることは明白である。大塚はこの両者を共にマグナ・ソキエタス(magna societas)として同じものとして扱うが,この二つのマグナ・ソキエタスは性格の異なる会社観として捉えられるべきものである。この考えを推し進めれば複線型の株式会社発生史となる。つまり,一つはソキエタスの性格を残したcompanyへの流れであり,これは合名会社・合資会社につながる。他は「会社それ自体」がcorpus mysticum として法人化するcorporation,つまり株式会社への流れである。
著者
中村 一樹 森 文香 森田 紘圭 紀伊 雅敦
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.73, no.5, pp.I_683-I_692, 2017 (Released:2017-12-27)
参考文献数
21

近年,道路整備の方針は歩行者中心の多機能な空間整備へと転換が求められているが,従来の歩行空間整備は個別の機能に注目しており,多機能性を包括的に評価する手法が確立されていない.そこで本研究では,歩行空間の機能別のデザインが包括的な知覚的評価に与える影響を特定することを目的とする.まず,歩行空間整備のガイドラインをレビューして,多様なデザイン要素を機能別に整理した.そして,全国の整備事例のデザイン要素の水準を指標化し,道路タイプごとにデザイン要素の特徴を類型化した.最後に,各機能のデザインの知覚的評価のアンケート調査を行い,その意識構造について共分散構造分析を行った.この結果,歩行者は歩行空間デザインの機能に階層的なニーズを持ち,これを考慮した機能間のデザインの組合せが重要であることが示された.
著者
宮川 義隆
出版者
一般社団法人 日本血栓止血学会
雑誌
日本血栓止血学会誌 (ISSN:09157441)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.28-36, 2020 (Released:2020-02-22)
参考文献数
25

血栓性血小板減少性紫斑病(thrombotic thrombocytopenic purpura: TTP)の標準的治療は,永らく血漿療法であった.後天性TTPに対する抗体医薬リツキシマブが,Phase 2医師主導治験の成績をもとに,2018年8月に保険収載された.海外のシステマティック・レビューによれば,リツキシマブは再発・難治例の9割に有効性を示す.欧米では,後天性TTPにカプラシズマブが承認された.カプラシズマブは,フォンビルブランド因子に対する低分子抗体である.カプラシズマブは,重篤な血栓症,死亡リスク,血漿交換の回数を減らす効果がある.先天性TTPを対象に,遺伝子組換えADAMTS13製剤の臨床試験が進められている.本稿では,TTPに対する分子標的治療の幕開けを中心に紹介する.
著者
庵谷 尚正
出版者
日本泌尿器内視鏡学会
雑誌
Japanese Journal of Endourology (ISSN:21861889)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.169-174, 2015 (Released:2015-10-31)
参考文献数
11

TURisは当初,閉鎖神経反射やTUR反応を回避する目的で,導電性で点滴可能な生理食塩水を潅流液にすることで開発された.その過程で非常に鋭い切れ味を有することが分かり,特にTURBTに於ける有用性が評価されて現在多くの施設で使用されている.従来のTURでは生体との接触点にしか起こらないアーク放電がTURisではループ全体に発生し,しかも生体とループの接触状態によらず安定し持続することがTURisの鋭い切れ味の要因である.アーク放電はループ周囲を包むように発生した気泡内で生じており,アーク放電を開始させるためにはまず気泡を生成しなければならない.実際には,通電してもアーク放電が発生しない放電ミスの原因が起こったり,通電後すぐにアーク放電が起こらず突沸を伴った放電が起こって予想外の深い切開の原因となることもある.TURisの電源には種々の改良が加えられ,気泡生成からアーク放電成立までの過程がスムーズに進むようになってきたが未だ十分とは言えず,second TURなど膀胱壁の層構造を意識したより繊細なTURBTがもとめられる状況では,この原理を理解することが必要と考えられる.従来のTURとTURisを比較してこれらの原理,要因について解説した.また,TURisの止血,凝固における特性や突沸の問題,発生するガス等についても言及した.
著者
住友 恒 金子 光美
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
衛生工学研究論文集 (ISSN:09134069)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.128-135, 1983 (Released:2010-03-17)
参考文献数
7

For the purpose of leveling up safty in water supply, the quantification of virus concentration in water resource is required, and one of the most important basic data required for the quantification or the quantitative prediction is the decay constant of viruse in natural water. Therefore, the natural decay or inactivation of Coxsackie-B virus is observed and measured in a cirulative channel (diameter 40cm, width 10cm, depth 20cm) in a laboratory. The experimental conditions are controlled in temperature and sunlight. The former is by a regulative heater and the latter is by a window shutter. The results are summarized in the following forms as κθ=κ20 (1.175) (θ-20), κ20=1.41 (in sunlight condition) and κ'θ=κ'20 (1.143) (θ-20), k'20 =0.87 (in dark condition), where kθ is the decay constant (1/day) in the first order reaction under the temperature θ(°C). The mechanism of the inactivation is also briefly discussed in this paper.
著者
挾本 佳代
出版者
The Japan Sociological Society
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.48, no.2, pp.192-206, 1997-09-30 (Released:2009-10-19)
参考文献数
25

スペンサーが「人口」に注目したのは偶然ではなかった。彼にとって人口は, 産業社会の理論的根幹である「社会契約」から発生した諸問題を受け継いでいることを明白に認識させる, 重要な要素であった。スペンサーのいう「産業型社会」は決して理想的な社会ではなく, むしろ人間社会が内包している問題を提示した社会であった。このことは, 『社会学原理』『人間対国家』という彼の労作の中で明示されている。そこで提示された問題は, 特にスペンサーに対するデュルケムの評価を考察することによって浮上してくる, 重大な問題であった。「人口」概念には統計的な数量概念のみならず, 「個人-全体」「自然-人為」「有機体説-契約説」という二律背反が内包されている。スペンサーは社会学に対し, これら前者の重要性を初めて提示した。社会学の形成期において, 人口および群相と個相という生物学的概念の重要性に着目したスペンサーは社会を一個の有機体であると見做す独自の理論を発展させていった。彼にとって, この社会有機体説は決してアナロジーではなく, 社会が有機体そのものである, との主張を示したものであった。スペンサーの社会有機体説の核心は, 人間社会も生物社会同様, 社会を群相として捉えるべきであるとの主張にあった。それゆえ, 彼は生物学から多くを学び, 議論を展開する必要があったのである。スペンサーのこの主張は, レヴィ=ストロースによる文化人類学的見地から考察すると一層明瞭になる。
著者
半田 幸子 堀内 邦雄 青木 和夫
出版者
Japan Ergonomics Society
雑誌
人間工学 (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, pp.139-147, 2004-06-15 (Released:2010-03-15)
参考文献数
35
被引用文献数
30 15

足趾および足底が立位や歩行に果たす役割は重要である. 本研究は足趾把握筋力の測定器を作製し, 足趾把握筋力の加齢による変化と, 立位の平衡調整能力および歩行時間との関係について検討することを目的とした. 測定器は Smedley 式握力計を改良して試作した. 足関節を保持する支柱の位置は被験者の足長に応じて調整可能にした. 測定値の再現性はR=0.953で良好であることを確認した. 被験者は各年代層を含む男女97名 (20~84歳) とした. 測定項目は足趾把握筋力, 握力, 重心動揺, 片足立位保持時間, 上肢前方到達距離および, 10m歩行時間とした. その結果以下のことが明らかになった. (1) 足趾把握筋力は加齢により低下し, 低下率は握力よりも大きい傾向を示した. (2) 足趾把握筋力と握力, 開眼片足立位保持時間, 上肢前方到達距離および, 10m歩行時間の間には有意な相関が認められた. (3) 重心動揺とは相関が認められなかった. これらのことを検討した結果, 足趾把握筋力は立位の保持や前傾への耐性などの平衡調整に影響を与えると考えられ, 高齢者の転倒事故対策などに応用可能であると思われる.
著者
金子 明寛
出版者
日本歯科薬物療法学会
雑誌
歯科薬物療法 (ISSN:02881012)
巻号頁・発行日
vol.34, no.3, pp.85-93, 2015 (Released:2015-12-25)
参考文献数
27
被引用文献数
5

A number of odontogenic infections are often alleviated in a few days if inflammation is localized in the alveolar part, and appropriate surgical treatments such as incision or drainage as well as antibacterial chemotherapy are performed. However, in some cases, it may become desperately ill due to delay of the initial treatment and develop extremely serious infections including cellulitis or necrotic fasciitis. The causative bacteria for these diseases are oral resident microbiota, and are frequently detected in the case of multiple bacterial infection caused by obligate and facultative anaerobic bacteria. From odontogenic infection, Prevotella sp., Peptostreptococcus sp., and Streptococcus sp. are detected at high rate and are regarded as the three major etiologic agents. The change with time in susceptibility of strains separated from closed abscess of odontogenic infection during 7 years from 2005 to 2011 against various antibacterial agents was investigated. The results showed a decreasing tendency of susceptibility to β-lactam, macrolide, and quinolone agents. In particular, there are many β-lactamase producing strains in the Prevotella sp. Thus, it is necessary to select antibacterial agents stable for β-lactamase in patients with suspected involvement of obligate anaerobic bacteria such as cellulitis around the maxilla or deep neck abscess.
著者
尾崎 尚代 千葉 慎一 嘉陽 拓 西中 直也 筒井 廣明
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.40 Suppl. No.2 (第48回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.48101619, 2013 (Released:2013-06-20)

【はじめに】古くから諸家によって肩関節機能に関する研究がなされてきている。腱板機能訓練に関しては筒井・山口らの報告を契機に多くの訓練方法が用いられ、近年では肩甲骨の機能が注目され、肩関節求心位を得るための訓練方法が多々報告されている。しかし、肩関節の動的安定化機構である腱板を構成する各筋が肩関節求心位を保つための機能について報告しているものは渉猟した限りでは見つからない。今回、腱板断裂症例の腱板機能を調査し、肩関節求心位を保持する腱板機能について興味ある知見が得られたので報告する。【方法】2011年9月末までの2年間に当院整形外科を受診し、初診時に腱板断裂と診断された症例のうち、「Scapula-45撮影法」によるレントゲン像を撮影し、手術した症例35名(年齢60.8歳±12.7、男性19名・女性16名、罹患側 右22名・左13名)について、術前MRI所見および手術所見からA群(棘上筋単独断裂 23名)、B群(棘上筋+棘下筋断裂 5名)、C群(肩甲下筋を含む断裂 7名)の3群に分類した。 「Scapula-45撮影法」によるレントゲン像のうち肩甲骨面上45度挙上位無負荷像を用い、上腕骨外転角度、肩甲骨上方回旋角度、関節窩と上腕骨頭の適合性について、富士フィルム社製計測ソフトOP-A V2.0を用いて計測した。上腕骨外転角度および肩甲骨上方回旋角度は任意の垂線に対する上腕骨および関節窩の角度を計測し、関節窩と上腕骨頭の適合性は、関節窩上縁・下縁を結ぶ線を基準線として関節窩に対する上腕骨頭の位置関係を計測した値を腱板機能とした(正常範囲-1.11±2.1、大和ら1993)。統計学的処理は、Kruskal-Wallis検定、Mann-Whitney検定、χ²検定を用いて危険率5%にて行い、上腕骨外転角度、肩甲骨上方回旋角度、腱板機能について3群を比較検討し、さらに腱板機能については正常範囲を基に3群間で比較検討した。【説明と同意】当院整形外科受診時に医師が患者の同意を得て診療放射線技師によって撮影されたレントゲン像を用いた。なお、個人情報は各種法令に基づいた当院規定に準ずるものとした。【結果】測定平均値をA群、B群、C群の順で示す。上腕骨外転角度(度)は43.59±8.84、45.64±7.04、33.83±7.54、肩甲骨上方回旋角度(度)は10.17±13.46、0.96±5.02、24.87±22.92であり、上腕骨外転角度および肩甲骨上方回旋角度については3群間で有意差は認められなかった。腱板機能は-0.75±4.76、5.44±12.61、7.84±5.07であり、3群間で有意差は認められ(p=0.007)、なかでもC群はA群と比較して関節窩に対して骨頭の位置が上方に移動していた(p=0.0008)。腱板機能について正常範囲を基に各群間で比較した結果、A群では正常範囲に入るものが23名中10名(43.5%)であり、関節窩に対して骨頭が上方に移動しているもの、下方に移動しているものがそれぞれ26.1%、30.4%あったが、B群、C群では正常範囲に入るものが0%、14.3%であった。B群は骨頭の上方移動および下方移動を呈するものが半数ずつであったが、C群では7名中6名(85.7%)が骨頭の上方移動を呈しており、有意差が認められた(p=0.03)。【考察】腱板断裂の指標として用いられる肩峰骨頭間距離は下垂位前後像で計測し、その狭小化を認める症例は腱板断裂の疑いがあるとされているが、今回用いた機能的撮影法は肩甲骨面上45度拳上時における肩甲骨と上腕骨の位置関係を調査している。 当院では、肩関節疾患患者に対し理学療法実施時に疼痛誘発テストとして肩甲骨面上45度挙上位での徒手抵抗テストを行ない、理学療法プログラム立案の一助としているが、このテストと同一の撮影肢位であるレントゲン像を用い、腱板断裂症例の腱板機能を断裂腱によって分類して調査することによって肩関節の求心位に作用する筋が明らかになると考えた。その結果、棘上筋の単独断裂では約半数は正常範囲にあり、残りの半数および棘下筋を含む断裂では関節窩に対して上腕骨頭が上方あるいは下方へと移動するが、肩甲下筋を含む断裂では関節窩に対して上腕骨頭の上方移動が認められたことから、肩甲下筋の機能不全が肩関節求心位に大きく影響することが示唆された。また、上腕骨外転角度および肩甲骨上方回旋角度は各群間で差がなかったことから、腱板機能不全を呈する症例は上腕骨を空間で保持するために肩甲骨が様々な反応を示すことが推測でき、前回報告した結果を裏付けするものと考える。 臨床上、肩甲下筋を選択的に収縮させることによって肩関節可動域が改善する症例を経験するが、肩甲帯の土台である肩甲骨の機能はもちろんのこと、腱板機能不全に対し肩関節求心位を確保するために選択する理学療法プログラムは肩甲下筋を考慮する必要があると考える。【理学療法学研究としての意義】今回の結果から肩関節疾患症例に対しておこなわれる腱板機能に関する理学療法プログラム立案を再考する必要性が示唆された。
著者
寺島 敦 大竹 政和 小沢 邦雄
出版者
公益社団法人 日本地震学会
雑誌
地震 第2輯 (ISSN:00371114)
巻号頁・発行日
vol.28, no.3, pp.239-267, 1975-10-10 (Released:2010-03-11)
参考文献数
10

Recently, it is suggested that underground water plays an important part in generating the earthquakes. Studies are made in the present paper on changes in flow rate, temperature and heat capacity of hot springs distributed in southern Izu peninsula. These changes are considered to be related closely with the change of underground water caused by the Izu-Hanto-Oki (off the Izu peninsula, Japan) Earthquake (138°48′E, 34°34′N, h: 10km, M=6.9, May 9, 1974).Both of the flow rate and temperature of these hot springs were found to be increased just after the earthquake.Increases of flow rate and heat capacity discharged in the Shimogamo spa contiguous to the epicentral area began about 5.7 years before the earthquake. This abnormality reverted just before the earthquake. This period of about 5.7 years fit the period of precursory phenomena prior to the occurrence of the earthquake M=6.9 expected by “Dilatancy Model”. Moreover, the behavior of the variation bears a close resemblance to what is expected for the behavior of underground water as precursory phenomena prior to earthquakes by “Dilatancy Model”.
著者
伊藤 雅章
出版者
日本臨床皮膚科医会
雑誌
日本臨床皮膚科医会雑誌 (ISSN:13497758)
巻号頁・発行日
vol.24, no.3, pp.221-228, 2007-04-15 (Released:2009-03-13)
参考文献数
34

生下時から思春期までにヒト毛髪は次第に発達するが、以後、男女差や個人差はあるものの、加齢による形態変化を示す。はじめに、毛器官の構造、毛周期のメカニズム、毛髪色の仕組みについて解説した。続いて、毛髪の加齢現象として、壮年性・老人性脱毛症、老人性多毛症および白髪を紹介した。壮年性・老人性脱毛症は男性型脱毛症と同様のものとされ、頭頂~前頭の軟毛化が起こり、男性ホルモンと毛乳頭細胞の働きが重要とみられている。一方、とくに男性では、逆に、加齢とともに眉毛、髭、耳毛、鼻毛が多毛になる。白髪は、毛母メラノサイトの機能低下ないし脱落によるが、近年、メラノサイト幹細胞の分化・増殖の問題が議論されている。(オンラインのみ掲載)
著者
仙頭 照康
出版者
THE JAPANESE SOCIETY FOR HORTICULTURAL SCIENCE
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, pp.246-254, 1971 (Released:2007-07-05)
参考文献数
5
被引用文献数
1

ユスラヤシ, シュロチクヤシ, シュロおよびトウジュロについて発芽機構, 最適発芽条件を知るために, 1966~1970年実験を行なつた。1. ユスラヤシ種子の内果皮は薄く, 繊維がある。胚乳は種皮に似た組織が入り込んでいるため均質でない。発芽型は隣接•小舌状である。シュロチクヤシ種子は周囲に深い折目のある5条の縦みぞがあり, 胚乳は均質である。発芽型は隣接•小舌状である。シュロおよびトウジュロ種子にはコルク組織があつて, 胚乳に接している。発芽型は遠距離•管状である。2. 発芽率の最高はユスラヤシ40%, シュロチクヤシ60%前後, シュロおよびトウジュロはいずれも90%前後であつた。3. 適温での発芽日数はもつとも早いものが, ユスラヤシで18日, シュロチクヤシで14日, シュロは30日で, トウジュロはシュロより2~3日長かつた。4. は種用土別の発芽はユスラヤシでは高温でバーミキュライト区, 川砂区がよく, シュロチクヤシでは粘質壌土区がややよかつた。シュロではいずれのは種用土でも大差なかつたが, トウジュロでは粘質壌土区の発芽率が高かつた。5. シュロ種子の生存能力は室温貯蔵で17か月, 冷蔵 (3~5°C) で42か月であつた。
著者
Michihito TAGAWA Genya SHIMBO Mizuki TOMIHARI Masashi YANAGAWA Ken-ichi WATANABE Noriyuki HORIUCHI Yoshiyasu KOBAYASHI Kazuro MIYAHARA
出版者
JAPANESE SOCIETY OF VETERINARY SCIENCE
雑誌
Journal of Veterinary Medical Science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
pp.20-0068, (Released:2020-05-18)
被引用文献数
4

A 1-year-old male mixed breed dog presented for the evaluation of progressive hindlimb paresis. Neurological examination indicated a spinal cord lesion between the 3rd thoracic and 3rd lumbar vertebrae. Magnetic resonance imaging (MRI) revealed an intramedullary spinal cord lesion located at the level of the 1st and 2nd lumbar vertebrae. Following cytoreductive surgery of the mass, palliative radiation therapy was administered. A diagnosis of nephroblastoma was made based on histological examination. After radiation therapy, the disappearance of the spinal lesion was confirmed by MRI. The dog was improved from gait abnormality and alive at 16 months postoperatively, with slight signs of neurological dysfunction.
著者
木内 正人
出版者
社団法人 日本印刷学会
雑誌
日本印刷学会誌 (ISSN:09143319)
巻号頁・発行日
vol.50, no.4, pp.357-360, 2013 (Released:2013-09-25)
参考文献数
3

It has been said that banknotes appeared in the 10th century. This was 500 years before the invention of letterpress printing by Gutenberg. The birth of banknotes ensured security and convenience in economic activities. In other words, this was the birth of security printing. Since then, special designs have been developed that cannot be duplicated by the technologies of public security printing. These are defined ideologically as security designs. In this first study, I explain the origin of security design features and the "recognition of solemn authority," which developed in the social trends of the Middle Ages through modern times.