著者
高橋 伸弥 森元 逞
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NLC, 言語理解とコミュニケーション (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.204, pp.55-59, 2005-07-16

従来の音声認識では、咳やくしゃみ、あくびのような非言語音または非音声音は、誤認識を引き起こす雑音として扱われて来た。しかし、自然な音声対話を実現する場合、このような音情報も積極的に利用すべきである。このような非言語音声を検出する方法としては、対象音の音響信号的な特徴を用いた信号処理的アプローチや、対象音から学習したHMMを用いる音声認識的アプローチなどがあるが、対象音の多様性に対処するためには、いずれも多量のデータが必要となる。そこで本研究では、対象となる非言語音声を音素系列で近似表現した疑似単語モデルを提案する。このモデルは、音素認識の結果得られる音素系列をクラスタリングし、上位クラスターの中心となる音素列パターンを非言語音声の近似的な発音とするというものである。提案手法の有効性を確認するために、咳及び咳払いを対象として、音声認識実験を行い、咳/咳払いの波形を学習データとしたHMMを用いる手法と比較して、認識正解率、認識精度が改善されることを示した。
著者
高橋 伸弥 森元 逞
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告自然言語処理(NL) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2005, no.73, pp.135-139, 2005-07-23
被引用文献数
4

従来の音声認識では、咳やくしゃみ、あくびのような非言語音または非音声音は、誤認識を引き起こす雑音として扱われて来た。しかし、自然な音声対話を実現する場合、このような音情報も積極的に利用すべきである。このような非言語音声を検出する方法としては、対象音の音響信号的な特徴を用いた信号処理的アプローチや、対象音から学習したHMMを用いる音声認識的アプローチなどがあるが、対象音の多様性に対処するためには、いずれも多量のデータが必要となる。そこで本研究では、対象となる非言語音声を音素系列で近似表現した擬似単語モデルを提案する。このモデルは、音素認識の結果得られる音素系列をクラスタリングし、上位クラスターの中心となる音素列パターンを非言語音声の近似的な発音とするというものである。提案手法の有効性を確認するために、咳及び咳払いを対象として、音声認識実験を行い、咳/咳払いの波形を学習データとしたHMMを用いる手法と比較して、認識正解率、認識精度が改善されることを示した。This paper proposes imitated word models that represent non-verbal sounds,especially cough sounds here,as phoneme sequences. In conventional speech recognition systems,non-verbal sounds,so-called human noises,are processed as burden noises that cause mis-recognition. Non-verbal sounds are,however,important information to know user`s physical and psychological condition. In particular,coughing is one of the most important barometers of daily health check,so we propose an approach to cough sounds from user utterances using the imitated word models constructed by clustering of phoneme sequences obtained in phoneme recognition. The experimental results show that this approach can improve the correct rates and the accuracies for words and coughs compared with the approach using HMM constructed from cough waveforms.
著者
角岡 賢一
出版者
龍谷大学
雑誌
龍谷紀要 (ISSN:02890917)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.1-13, 2005-09-30

英語のオノマトペ(擬音語・擬態語)語彙は、総量としては1,500語程度で日本語よりも少ないと考えられている。この英語オノマトペ語彙を語形変化・引用性という2種類の基準で分類し、語彙化の程度を4区分するというのがKakehi(1981)の提案であった。この区分は、臨時形(nonce form)のように語彙化の程度が低い部類から順に語彙を階層化するという点で非常に有効であると思われる。語彙化の程度という基準以外にTamori(1990)の語形による分類、同じくTamori(1990)の意味による4分類など、複数の分類基準が用意されている。この小論では、これらの基準によって各語彙項目のオックスフォード英語辞書(OED)初出年代に差が認められるか否かを検証した。その結果、語彙化の程度・音節数・形態的特徴による区分では有意と考えられる差が認められた。他方で、擬音語と擬態語という区分を行った意味的基準では差が認められなかった。今回は60語程度という小規模なデータベースで試行したが、対象を拡大して同様の結果が出るか否かという点は今後の課題としたい。
著者
石原 一志 駒谷 和範 尾形 哲也 奥乃 博
出版者
The Japanese Society for Artificial Intelligence
雑誌
人工知能学会論文誌 = Transactions of the Japanese Society for Artificial Intelligence : AI (ISSN:13460714)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.229-236, 2005-11-01
被引用文献数
5 2

Environmental sounds are very helpful in understanding environmental situations and in telling the approach of danger, and sound-imitation words (sound-related onomatopoeia) are important expressions to inform such sounds in human communication, especially in Japanese language. In this paper, we design a method to recognize sound-imitation words (SIWs) for environmental sounds. Critical issues in recognizing SIW are how to divide an environmental sound into recognition units and how to resolve representation ambiguity of the sounds. To solve these problems, we designed three-stage procedure that transforms environmental sounds into sound-imitation words, and <I>phoneme group expressions</I> that can represent ambiguous sounds. The three-stage procedure is as follows: (1) a whole waveform is divided into some chunks, (2) the chunks are transformed into sound-imitation syllables by phoneme recognition, (3) a sound-imitation word is constructed from sound-imitation syllables according to the requirements of the Japanese language. Ambiguity problem is that an environmental sound is often recognized differently by different listeners even under the same situation. Phoneme group expressions are new phonemes for environmental sounds, and they can express multiple sound-imitation words by one word. We designed two sets of phoneme groups: ``a set of basic phoneme group'' and ``a set of articulation-based phoneme group'' to absorb the ambiguity. Based on subjective experiments, the set of basic phoneme groups proved more appropriate to represent environmental sounds than the articulation-based one or a set of normal Japaneses phonemes.
著者
平 弥悠紀
出版者
同志社大学
雑誌
同志社大学留学生別科紀要 (ISSN:13469789)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.1-15, 2005-12

天沼寧編『擬音語・擬態語辞典』(1974〔昭和49〕年,東京堂出版)に収録されている音象徴語のうち,XYXYタイプ(AB型の「ABAB」,AR型の「ARAR」,A型の「AーAー,AッAッ,AンAン」)の擬音語について調査した結果,以下のことが明らかになった。AB型の語基の子音は,第1音節は「p・b・h・k・g・t・d・s・z」に,第2音節は「p・b・h・k・g・t・d・s」に集中しており,AR型,A型も第1音節はAB型と同様であった。また,どの型においても「m・n・w・j・r・φ」はわずかであった。擬音語は,「声」と「音」に二分でき,更に,「音」は,「動作に関わる音」,「無生物が発する音」,「物と物とが作用して生じる音」に分けることができる。「生物が発する声」と「無生物が発する音」にはA型の語が多く,「物と物とが作用して生じる音」には,AB型の語が多く見られた。圧力が加わって音が出るという点で,「動作に関わる音」の「噛む・齧る」は,「物と物とが作用して生じる音」の「引っ掻く・削る」等と共通しており,これらはAR型の「AリAリ」の形が圧倒的であった。「物と物とが作用して生じる音」でも,「触れ合う」,「打ち当たる」等にはAB型が多かった。また,第1音節を同じくする語の中には,「ARAR」は「震える音」,「AンAン」は「響く音」,「AッAッ」は「短い音」,「AーAー」は「継続する音」といったニュアンスが感じられるものもある。AR型の語は,従来の研究ではAB型として扱われてきたが,A型のバリエーションというとらえ方をすることも可能な語もあり,今後更に検討を加える必要があると考える。擬態語との比較も課題である。
著者
田嶋 香織
出版者
関西外国語大学
雑誌
関西外国語大学留学生別科日本語教育論集
巻号頁・発行日
vol.16, pp.193-205, 2006

日本で生活しているとあらゆる場面でオノマトペ(擬音語、擬態語)表現と出会う。オノマトペ(擬音語、擬態語)表現は、他の語彙とは違い、外から受ける刺激を我々が感じ取った通りに文字にしているかのようで、学ばずとも自然に習得できていると思われがちである。実際にはその用法には様々な法則があり、日本語学習者にとって自然に習得できる語彙群ではない。この感覚の語彙群オノマトペについて考察していく。
著者
藤沢 望 岩宮 眞一郎 高田 正幸
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SP, 音声 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.750, pp.19-24, 2004-03-23
被引用文献数
5

擬音語からイメージされる音の心理的性質を調べ,擬音語表現との関係を探った.擬音語20語を刺激とした類似性判断実験と多次元尺度構成法から得られた3次元解に対し,一対比較法,SD法で得られた音の大きさや音色に関する尺度値を用いて重回帰分析を行い,刺激布置の解釈を試みた.その結果,I軸は音の「長さ」,III軸は音の「高さ」と「美的因子」に対応しており,H軸では正方向に濁音・半濁音を含む擬音語,負方向に繰り返し表現による擬音語が多く位置していた.また, 「長さ」と長音,「高さ」と母音/i/,「美的因子」と有声・無声子音など,特定の心理尺度と擬音語表現には対応が見られ,過去の研究結果と一致していた.
著者
有吉 欽吾
出版者
大阪市立大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究では、リチウム二次電池用電極材料の分極測定を目的として、新たな分極測定用電気化学セルの考案ならびにリチウム二次電池材料の分極挙動を描き出すことが可能な電気化学測定手法を確立した。さらにこの分極測定法を用いて種々のリチウム二次電池材料の定常分極測定を行い、リチウム二次電池材料の分極では抵抗分極のみがみられることを明らかにし、またこれら単極の分極挙動からリチウム二次電池の入出力特性を予測することが可能であることを実証した。さらに、リチウム二次電池材料の入出力特性において、材料の結晶性が重要な因子であり、高結晶化させることで優れた入出力特性が得られることを見出した。
著者
藤沢 望 尾畑 文野 高田 正幸 岩宮 眞一郎
出版者
一般社団法人日本音響学会
雑誌
日本音響学会誌 (ISSN:03694232)
巻号頁・発行日
vol.62, no.11, pp.774-783, 2006-11-01
被引用文献数
1

音を表す言葉である擬音語は,その表現が音の特徴と密接に関連している。本論文では,文字表記された2モーラの擬音語からイメージされる音の印象と擬音語表現の関係を明らかにし,擬音語から印象を予測する手法を示した。SD法による印象評価実験の結果と林の数量化理論第I類分析により,擬音語の子音や母音,濁音といった音韻的特徴が印象に与える影響をカテゴリ数量として求めた。2モーラの擬音語に対する印象は,各カテゴリ数量の和で予測でき,"キン"のようにカ行の子音及び母音/i/を含む擬音語からは「かたい」印象の音がイメージされ,"ブー"のように濁音を含む擬音語からは「きたない」印象の音がイメージされる。
著者
中野 倫靖 緒方 淳 後藤 真孝 平賀 譲
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.386-397, 2007-01-15
被引用文献数
3

本論文では,人がドラムの音を「ドンタンドドタン」のように擬音語で真似た音声(口ドラム)を,それに対応するドラムパターンとして認識する手法を提案する.口ドラムには,声質などの発声スタイルの個人差と表現の個人差の2 種類の個人差が存在し,認識手法はこれらの個人差を吸収できるものが望ましい.従来,実際のドラム音(楽器音)を対象とした認識は研究されてきたが,それらの手法では口ドラムの多様な個人差への対処が難しかった.そこで本手法では,口ドラムを,その各音を表す音素列の擬音語で表現し,多様な擬音語表現の辞書を用意することで,表現の個人差に対処する.さらに,音声認識で用いられている音響モデルを用いることにより,各歌唱者間の声質の個人差を吸収する.本手法を200 発話の口ドラムデータに対して適用した結果,最も良い実験条件において92.0%の認識率を得た.この結果は,提案手法が十分実用性を持つことを示しており,応用例として,口ドラムによるドラム譜入力インタフェースVoice Drummer を実装した.This paper presents a method of recognizing voice percussion (verbalized expression of drum sound by voice) as an expression of intended drum patterns. Recognition of voice percussion requires an approach that is different from existing methods for drum sound recognition. Individual differences in both vocal characteristics and the verbal expressions used add further complication to the task. The approach taken in this study uses phonemic sequences of onomatopoeia as internal representation of drum sounds. The set of onomatopoeia used in drum sounds are included in a pronunciation dictionary, and the phonemic sequences are estimated by utilizing an acoustic model. The acoustic model and the dictionary are intended to deal with the two types of individual differences mentioned above. In a recognition experiment with 200 utterances of voice percussion, our method achieved a recognition rate of 92.0% for the highest-tuned setting. Following the results of the proposed method, Voice Drummer, a music notation interface of drum sounds, was implemented, as a practical application for voice percussion recognition.
著者
中里 理子
出版者
上越教育大学
雑誌
上越教育大学研究紀要 (ISSN:09158162)
巻号頁・発行日
vol.26, pp.1-14, 2007-02-28

「笑い」の表現には(1)笑い声,(2)笑うときの表情・笑い方,(3)笑うときの姿態,の描写がある。(1)と(2)に関して,中古から近代までのオノマトペの変遷を見てみると,笑い声を表す擬音語も表情・笑い方を表す擬態語も,近世にはすでに現代使われているオノマトペの典型的なものが確立していたことがわかった。笑い声を表す<模写に近いオノマトペ>は近代以後現代に至るまで個性的なオノマトペの工夫が見られるが,笑い声を表す<象徴度の高いオノマトペ.と,笑いの表情・笑い方に関しては,近代になって新たに工夫されたオノマトペはほとんど見られなかった。近代,特に明治期には,笑う表情と笑いの内容に関してオノマトペ以外で描写した表現がさまざま見られるが,これは明治期に正確で細密な描写が目指されたことと関連があり,笑いに関するオノマトペが新たに工夫されなかったことの要因の一つであると考えられる。The expression of "the laugh" is greatly divided into three with laughter and an expression to laugh and a figure to laugh at it. Even modern ages were investigated about the onomatopoeia which showed laughter and an expression to laugh from the Heian period. As for the mimesis which showed the onomatopoeia which shows laughter, and an expression, it found that the typical thing of the onomatopoeia which the present day has already been spent on was established in the modern times. Until it reaches the present day after the modern ages, the idea of the unique onomatopoeia is seen with the onomatopoeia which is close to the copy to describe laughter.
著者
浅賀 千里 Mukarramah Yusuf 渡辺 知恵美
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. DE, データ工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.131, pp.387-392, 2007-06-25

オノマトペとはいわゆる擬態語・擬音語のことである.事象を的確に表現でき,コミュニケーションを図る上で重要なものである.ところが,オノマトペは感覚的なものであるので外国人の日本語学習者がオノマトペの用例を習得するのは難しく,その学習に有効なのはオノマトペを含む文章を知ることだと言われている.そこで,我々はWebから数多くの新しい文章を抽出し,学習者に提示できるようなオノマトペ用例辞典の開発を進めている.本辞典では現在,オノマトペの品詞的役割によって用例を分類し画面上に提示しているが,それでは様々な用例が混在し,オノマトペの意味が理解しにくい.そこで,学習者がより理解を深められるよう,本稿ではオノマトペの用例をオノマトペの意味ごとに分類し提示する手法を検討している.また,オノマトペがどのような語に係るのか,その語にどのようなオノマトペが係るのかを知ることができるようその関係を可視化する.
著者
嶋田 容子 板倉 昭二
出版者
日本母性衛生学会
雑誌
母性衛生 (ISSN:03881512)
巻号頁・発行日
vol.48, no.2, pp.337-339, 2007-07

母親による乳児の泣きの音声の擬音語でのとらえ方,また擬音語表現と解釈との関連を質問紙によって調査した。比較的単純な擬音語が欲求として解釈され,この解釈には共通性が高かった。多様な変化を含む擬音語表現は,感情と解釈され,さらに乳児の手足の動きを伴うことが高い頻度で記述された。
著者
浅賀 千里 Yusuf Mukarramah 渡辺 知恵美
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告データベースシステム(DBS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2007, no.65, pp.387-392, 2007-07-03

オノマトペとはいわゆる擬態語・擬音語のことである。事象を的確に表現でき、コミュニケーションを図る上で重要なものである。ところが、オノマトペは感覚的なものであるので外国人の曰本語学習者がオノマトペの用例を習得するのは難しく、その学習に有効なのはオノマトペを含む文章を知ることだと言われている。そこで、我々は Web から数多くの新しい文章を抽出し、学習者に提示できるようなオノマトペ用例辞典の開発を進めている。本辞典では現在、オノマトペの品詞的役割によって用例を分類し画面上に提示しているが、それでは様々な用例が混在し、オノマトペの意味が理解しにくい。そこで、学習者がより理解を深められるよう、本稿ではオノマトペの用例をオノマトペの意味ごとに分類し提示する手法を検討している。また、オノマトペがどのような語に係るのか、その語にどのようなオノマトペが係るのかを知ることができるようその関係を可視化する。Onomatopoeia which is imitative word is exepress concrete phenomenon and it plays a crucial part in communication. But it is difficult for learners of Japanese who study Japanese onomatopoeia to understand their means and usages because onomatopia is sensuous. An effective method for mastering onomatopoeia is to read a lot of sentences with onomatopoeia. Then we are developing an online onomatopoeia example-based dictionary which collects a lot of sentences with onomatopoeia from the Web. Now we presents sentences which is classified in a part of speech role of onomatopoeia the screen. However each onomatopoeia has multiple meaning, in the current version, sentences which have different meaning of onomatopoeia are mixed in the example list. Then, we attempt classifying these examples of onomatopoeia by onomatopoeia meaning to presrent them to Japanese-language learners in more understandable way. Moreover, to study co-occurrence relationships between onomatopoeias and verb (or noun), we also attempt to visualize relationships of onomatopoeias and the other words.