著者
宮ノ下 明大
出版者
都市有害生物管理学会
雑誌
家屋害虫 (ISSN:0912974X)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.23-34, 2005-10-30
被引用文献数
7
著者
申 恩真
出版者
日本スポーツ社会学会
雑誌
スポーツ社会学研究 (ISSN:09192751)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.71-83, 2017-09-30 (Released:2017-09-30)
参考文献数
13
被引用文献数
1

サッカー日本女子代表が2011年に開催されたFIFA女子ワールドカップで優勝して以来、日本の女子サッカー選手の生活形態が問題視されるようになった。そこでは、多くの女子サッカー選手が仕事とサッカーを掛け持ちしていることや、男子サッカー選手との待遇面での格差が主に取り上げられた。だが、こうしたメディア言説を中心に構築された経済的問題に関する議論は、選手の日常生活とサッカー実践の間に生み出されるいくつかの問題を不可視化してしまう。つまり、女子サッカー選手が直面する社会生活上の質的問題については、議論の外に置かれがちになる。こうした中で、彼女らはどのように就労し、どのような仕事環境で働きながらサッカーを実践しているのだろうかというものを問う作業は、彼女らが抱えている困難へ接近することを可能にする。したがって、本稿では、女子サッカーチームで行ったフィールドワークをもとに、従来の経済的支援に特化された議論に対して、女子サッカー選手の生活形態に焦点化して論じることを試みる。とりわけ、女子サッカーチームの「支援企業」で働く選手に注目し、そこでの仕事環境とサッカー実践との関係性を解明する。結論として、雇用した支援企業と雇用された選手の関係は、支援する者/支援される者として形成され、そこで築かれた関係性が女子サッカー選手の日常生活に構造化されている点が明らかになった。このことから、選手の生活全体における支援の「質的位相」を視野に入れる必要性を示唆する。
著者
西山 龍吉
出版者
龍谷大学龍谷紀要編集会
雑誌
竜谷紀要 (ISSN:02890917)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.13-26, 2007-03

近代における解析学の発展は実数に関する理論の完成を促し([1],[2])、実数概念は現代数学の基礎となっている([3],[4],[5])。代表的な実数論には、有理数の基本列を用いたCantorの理論([1],[3])と、有理数の切断を用いたDedekindの理論([2],[3])があり、両者は同値([3])である。このほか、公理系を用いて実数体を規定するHilbert流の実数論([3])もある。Abraham Robinsonよる創始後40年をかぞえる超準解析([6],[7],[8],[9],[10],[11])も実数論とかかわりがあり、超準解析を用いた実数論が、すでにMartin Davis([10])によって述べられている。本論においては、無限小数という概念を基礎に、超準解析を用いた新たな実数論の構成を試みる。実数は、現に同値類や切断としてよりも、むしろ無限小数としてあつかわれている。それにもかかわらず、これら無限小数間に直接加減乗除を定義しようとすると、余りの煩瑣のため目的を達しない。そのとき、超有理数体Qを理論の土台に据え、非手つづき的定義を用いるならば、構成はほとんど自明となり無限小数がもつ難点が解消される。このように超準解析は実数に対する自然なとらえ方、あつかい方に理論的根拠を提供するものであり、本論は'超準解析が可能とした無限小数による実数論'といっていい。本論はまた、これが超準解析を体験する最短のコースの一つとなることを、期待している。

4 0 0 0 OA 水戸藩史料

出版者
[ ]
巻号頁・発行日
vol.上編乾(巻1−16), 0000
著者
國吉 知子
雑誌
女性学評論 = Women's studies forum
巻号頁・発行日
vol.29, pp.23-49, 2015-03

母と娘の関係性は身近なテーマであるが、心理学的な複雑さを内包している。近年では少子化の影響を受け、一卵性母娘など母娘の問題が家族の問題としてクローズアップされているが、実は童話や神話の中にも母娘のテーマは表現されている。本稿は、まず娘の母親への生涯にわたる依存性の高さと、62%の女性が母親に依存的であるという質問紙を用いた実証研究を概観した。次に深層心理学的観点から、母と娘に特有の親密性の高さと娘の自立の困難さについて、神話やディズニー素材(「白雪姫」「ラプンツェル」「リトルマーメイド2」「メリダとおそろしの森」「アナと雪の女王」)を取り上げ、それぞれの物語における母娘関係を分析し、これらに共通する興味深いパターンと、母娘の絆がいかに強く分離しにくいかを示した。さらに、母娘関係を深く理解するために、母親が娘をコントロールする無意識的メカニズム、すなわち、抑圧、同一化という自我の防衛機制や「母」役割が持つ献身の問題(斉藤 2008)を紹介した。特に、献身の問題については、マゾヒスティック・コントロール(高石 1997)の観点から論じ、その対処について述べた。その結果、女性の自立を考えるには、従来の男性の自立モデルとは異なる、女性特有の自立スタイルを考えることが重要であることが示唆された。
著者
飛田 範夫
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
造園雑誌 (ISSN:03877248)
巻号頁・発行日
vol.53, no.5, pp.43-48, 1990-03-30

京都市の青蓮院は,火災や移転などによって大きく変化している。しかし,青蓮院の記録をまとめた『門葉記』と『華頂要略』によって,その変遷をたどることができる。13世紀前半頃の「三条房指図」を見ると建物も庭園も寝殿造の形態になっている。14世紀前半の「十楽院差図」の時代には,園池は建物に近接するなど書院造の邸宅の影響が見られる。19世紀中頃の「御本坊総図」からは,書院造の建築に付随した庭園の状態がうかがえる。
著者
染谷 香理 鈴木 愛乃
出版者
東京藝術大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究は、これまで主観が反映されやすく曖昧であるが故に研究されてこなかった日本画の技法書に着目し、データベースを作成して一度に多量の情報を比較できるようにすることで、画家の経験や感性に基づく技法を正しく理解し継承することを目的としたものである。データベースには江戸中期から明治期に刊行された日本画の技法書を十数篇ほど登録し、技法別の検索とフリーワードによる検索を可能にした。また併せて江戸中期から後期の日本画技法書の翻刻集の編纂も行った。
著者
星野 瑠海 橋田 朋子
雑誌
エンタテインメントコンピューティングシンポジウム2020論文集
巻号頁・発行日
vol.2020, pp.40-45, 2020-08-22

犬はしばしば飼い主の食事を食べたそうな様子を見せ, 人も愛犬と食事を共にしたいと考える. しかし, 人の食事は犬に有害なものもあり, そのまま与えることは難しい. 本研究は犬の嗅覚の鋭さに着目し, 食事のうちの「匂い」をファンとチューブからなる匂い伝送システムを用いて犬の食事(ドッグフード)に伝えて付けることで, 人と犬とが部分的に食体験を共有できるようにするものである. 提案手法により, 犬が人の食事の匂いが付いたドッグフードをよく食べること, その際に犬の飼い主計50人へのアンケートで得られた嬉しそうな仕草をすることを確認した.
著者
坪井 裕子
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.53, no.1, pp.110-121, 2005-03-31 (Released:2013-02-19)
参考文献数
27
被引用文献数
5 6

本研究の目的は児童養護施設に入所している虐待を受けた子どもたちの行動と情緒の特徴を明らかにすることであった。児童養護施設に入所中の子ども142人 (男子: 4~11歳40人, 12~18歳45人, 女子: 4~11歳 25人, 12~18歳32人) を対象に, Child Behavior Checklist (CBCL) の記入を職員に依頼した。その結果, 女子は男子に比べて内向尺度得点が高く, 特に高年齢群女子は身体的訴えと社会性の問題の得点が高かった。被虐待体験群 (n=91) と被虐待体験のない群 (n=51) に分けて比較したところ, 社会性の問題, 思考の問題, 注意の問題, 非行的行動, 攻撃的行動の各尺度と外向尺度, 総得点で, 被虐待体験群の得点が有意に高かった。被虐待体験群は, 社会性の問題, 注意の問題, 攻撃的行動, 外向尺度, 総得点で臨床域に入る子どもの割合が多かった。虐待を受けた子どもの行動や情緒の問題が明らかになり, 心理的ケアの必要性が示唆された。
著者
冨安 慎吾
出版者
全国大学国語教育学会
雑誌
国語科教育 (ISSN:02870479)
巻号頁・発行日
vol.81, pp.23-31, 2017-03-30 (Released:2017-09-07)
参考文献数
17
被引用文献数
1

本研究では、自己調整学習者の発達を支援する方法について、特に学習観の形成を支援する視点から検討を行った。その際、事例として漢字学習を取り上げた。漢字学習観は、漢字学習方略・漢字学習動機・漢字観によって構成される。特に漢字学習方略は学習者の漢字学習に直接的に関係する。しかし、学習者は漢字学習に際して適切な漢字学習方略を選択するとは限らない。このことから、漢字学習観の形成を支援するためには、漢字学習方略を含む漢字学習観をメタ認知させることが重要ではないかと考えられた。そこで、漢字学習方略をパターンランゲージというメディアを用いて記述し、それを用いたワークを実施した。その結果、ワークの中で漢字学習方略と漢字学習動機・漢字観のメタ認知が行われることが確認できた。
著者
齋藤 寛
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会 基礎・境界ソサイエティ Fundamentals Review (ISSN:18820875)
巻号頁・発行日
vol.3, no.3, pp.3_64-3_70, 2010-01-01 (Released:2010-10-01)
参考文献数
25

ローカルなハンドシェーク信号で回路を制御する非同期式回路は,グローバルなクロック信号で回路を制御する同期式回路と比べ,低消費電力,低電磁放射といった特徴がある.しかしながら,同期式回路と比べ設計が難しい.本稿では,非同期式回路設計の基礎となる,遅延モデル,制御方式,データエンコーディング方式を解説し,代表的な非同期式回路モデルを解説する.次に,合成技術を中心に解説を行い,こうした技術を実装したCAD ツールを紹介する.
著者
松岡 亮二
出版者
日本教育社会学会
雑誌
教育社会学研究 (ISSN:03873145)
巻号頁・発行日
vol.96, pp.241-262, 2015
被引用文献数
1

近年,国内データを用いた教育分野における社会関係資本研究は増えつつあるが,社会関係資本の可変性を考慮した上で教育不平等との関連を検討した実証研究は未だに行われていない。そこで本稿は,厚生労働省が収集する21世紀出生児縦断調査の個票データを使用し,(1)家庭の社会経済的地位,(2)父母の学校における社会関係資本,(3)子どもの社会関係資本を含む学校適応の関連を実証的に検討した。<BR> 大規模な3時点の縦断データを用いたハイブリッド固定効果モデルによる分析の結果によると,世帯収入(経済資本)と父母学歴(文化資本)が,父母それぞれの学校行事出席・保護者活動参加で指標化された学校社会関係資本を分化していた。これらの学校社会関係資本の多寡は子ども間の学校適応差異を部分的に説明し,資本量の変化は観察されない異質性を統制しても子どもの社会関係資本を含む学校適応の変化と関連していた。世帯収入と親学歴の学校社会関係資本を介した学校適応への影響は強くはないものの,社会関係資本の差異を通した不平等の再生産という傾向は確認された。<BR> 縦断データを用いた本稿の実証結果は,階層的基盤を有する父母の学校活動関与で示される社会関係資本が子どもの学校適応を促していることを示している。一方で,本稿の知見は,父母の学校関与という「つながり」の増加を通して対人関係を含む学校適応を促すことができる可能性も示唆している。
著者
杉田 聡
出版者
帯広畜産大学
雑誌
帯広畜産大学学術研究報告. 人文社会科学論集 (ISSN:13432303)
巻号頁・発行日
vol.10, no.4, pp.192-116, 2001-03-25

本稿の課題はただ一つである。近年のレイプ・レイピスト研究-ことに精神病理学者によるそれ-によってレイプから剥脱された性的意味を、レイプと不可分のものとして再認知することがそれである。レイプの(脱性化)(desexualization)を推し進める方向を強めた諸研究の限界を明らかにすると同時に、レイプが当然性的意味をもつことを論証する。

4 0 0 0 呂赫若日記

著者
呂赫若作
出版者
國家台灣文學館
巻号頁・発行日
2004
著者
長田 謙一
出版者
美学会
雑誌
美學 (ISSN:05200962)
巻号頁・発行日
vol.57, no.2, pp.29-42, 2006-09-30

In recent years, researches concerning the representative work of Koga Harue's Surrealism, Umi (1929), have pinpointed the sources to the various images portrayed therein. But, they have only deepened its enigmatic character. This paper, however, sheds new light on Koga's art. Constituted in combination with an analogue of a girl in swimsuit (right), the industrial machine imagery (top left) holds an important significance decisive to the understanding of the work's composition and meaning. The source to this image is found in the blast furnace photograph published in the German popular science journal, "Wissen und Fortschritt" (1927-10). Yanase Masamu's CAPITALISMUS too is understood to have been based on the same blast furnace Herrenwyk (Lubeck) photograph, anticipating an affinity between Koga and Yanase. Further, the introductory poem by Koga reveals how a "revolving of the world" image, akin to that of proletariat art, cuts across Umi. But, what is more important with regards Koga's "revolving" image is the collage hier ist noch alles in der schwebe (1920) by Max Ernst. "Soluble Fish" (^military vessel pouring out smoke and whose bowels are transparent=smoke-bellowing ship), with moorings in Ernst, becomes a symbol of the principle in Koga's surrealistic painting and appears frequently in a number of works post-Umi. On the bottom left of his second representative work, Sougai no Keshou (1930), there is an allusion made to a photograph of the metalwork studio of Bauhaus. From a "Romanticism of the machine" of the Umi to a "Realism of the machine" (Itagaki Takaho), as evident in the allusion to Bauhaus, Sougai no Keshou shows how Koga's "Mechanism" underwent a huge gyratory motion.