著者
門田 和雄 村松 浩幸
出版者
宮城教育大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2017-04-01

アメリカを中心とした諸外国で実践が広がりつつあるSTEM教育の取り組みに,3Dプリンタやレーザー加工機等のデジタル工作機械を活用したデジタルファブリケーションを取り入れて,日本の新学習指導要領の内容を踏まえた日本型STEM教育システムの開発を行った。先駆的に取り組んでいる台湾におけるSTEM教育の実地調査等を踏まえて,日本国内において3Dプリンタの教育利用に関する講習会やワークショップなどを行い,学校現場で実施可能な内容をまとめた。
著者
森 晶寿 藤川 清史 伴 ひかり 堀井 伸浩 TRENCHER GREGORY 馬奈木 俊介 渡邉 隆俊 王 嘉陽 居 乂義 稲澤 泉
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2021-04-05

石炭投融資撤退は,気候変動対策を金融面から推進する手段として世界的に推進されている.従来の研究では,その投資行動変容やCO2排出削減への効果は限定的と評価してきた.ところが石炭火力発電を志向するアジアでは,中国の石炭火力発電投融資を増やし,温室効果ガス排出と中国への経済的従属を増やすことが想定される.同時に,ホスト国が適切な政策対応を取れば,こうした悪影響を抑制しつつ持続可能なエネルギーシステムへの転換を図る機会とできる.この中で本研究は,投資国・ホスト国の金融機関・電力関連産業の行動変容,及び付加価値分配の変化を分析し,石炭投融資撤退のアジアの持続可能性への移行への効果を検証する.
著者
松村 護
出版者
名古屋大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2019-04-25

植物のトライコーム(毛状突起)が雨を危険信号として感知し、感染回避のために疾病防御応答を誘導することを明らかにしたが、その遺伝子発現制御機構は明らかになっていない。葉面に対する機械刺激によって細胞内にCa2+流入が生じることから、Ca2+を介した遺伝子発現制御機構の詳細を明らかにする。また、シロイヌナズナの葉面に機械刺激を予め負荷しておくと、抵抗性反応が強化されるプライミング効果が認められた。そこで、本研究では、クロマチン修飾に関わる因子を介した遺伝子発現制御に着目し、プライミング制御に関わる分子機構について解明することを目的としている。
著者
武藤 徳男
出版者
県立広島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

ヒトモデルとなるビタミンC生合成不能ラット(ODS ラット)を用いて、脳内ビタミンC動態と神経細胞に対する作用を解析した。加齢・老化・酸化ストレス負荷を反映するビタミンC半欠乏群(潜在的ビタミンC欠乏群)では、血液や臓器中のビタミンC濃度は顕著に減少したが、脳内のビタミンC濃度は減少傾向のみであった。このことから脳内におけるビタミンC保持機構の存在が示唆された。またビタミンCは未分化神経細胞の神経分化を有意に促進し、また酸化障害に対しても防御効果を示した。以上のことから、ビタミンCは脳内に特異的に保持され、神経細胞の維持・再生に寄与する必須栄養成分であることが実証された。
著者
太田 博樹 SCHMIDT Ryan SCHMIDT Ryan William
出版者
北里大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2013-04-01

【研究の目的】本研究のテーマ「縄文人と弥生人の混血を検証」は埴原和郎が1991年に提唱した『日本人形成の二重構造モデル』の主要部分を占める。約1万2千年前、日本列島全体には狩猟採集民・縄文人が住んでいた、一方、2千数百年前に現れた弥生人は水田稲作民で、東アジア大陸からの移住者(=渡来民)と考えられている。そして弥生~古墳時代、在地系縄文人と渡来系弥生人の混血が進行したとされる。本研究で検証すべきは渡来系弥生人の遺伝的貢献がどの程度であったかである。埴原は遺跡数から推定される人口増加を説明するために、非常に多くの渡来民が日本列島へやってきたと考えた。しかし、水田農耕の技術力を背景に渡来民の人口増加率が急速であった可能性もある。渡来系弥生人の遺伝的貢献度を定量的に分析するには、古墳時代人の人骨のDNAを調べるのが最も有効だ。そこでライアン・シュミットは古人骨DNA分析に着手した。【研究実施計画】古い人骨からのDNA抽出は技術的困難が伴うため、まず最初に1つの細胞あたりの分子量が多いミトコンドリア・ゲノム(mtDNA)の分析に取り組んだ。茨城県ひたちなか市・十五郎穴横穴群遺跡から出土した人骨7検体(8~9世紀)および群馬県渋川市・金井東裏遺跡から出土した人骨2検体(6世紀初頭)を分析対象とした。これらを物理的に粉砕した上、DNAの抽出・精製をし、mtDNA D-loop 領域119bp断片を増幅するプライマーをもちいてPCRを行った。その結果、全ての試料で増幅に成功した。続いて、この増幅断片にオーバーラップする別のプライマーセットをもちいてさらなるPCR増幅を行った。その結果、D-loop領域のほぼ全体をカバーすることに成功した。これらのうち残存DNA量が十分なものについて次世代シークエンサーで分析を行うためのライブラリーを作成した。
著者
伴 琢也
出版者
東京農工大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

エリコイド菌根菌は子嚢菌門および担子菌門に属し,ツツジ科果樹の細根に菌根を形成する.本菌根は土壌中の栄養塩類の吸収と宿主植物への輸送などの機能を有し,ツツジ科植物の条件不利地域における自生を可能とするものである.本研究では我が国で自生または栽培されているツツジ科果樹(ブルーベリーおよびナツハゼ)を対象とし,根系における菌根菌の感染状況の把握と菌種を同定した.その結果,これらの根系には菌根菌が共生しており,特にブルーベリーについては,二次根と比較して一次根の菌根化率が高いことが明らかになった.また,菌相については栽培地域の環境要因が影響することが示唆された.
著者
渡部 諭 澁谷 泰秀 吉村 治正
出版者
秋田県立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究の目的は、社会情動的選択性から予想される要因を含めて、高齢者のネットワーク形成に影響を与える要因の分析である。未来展望・QOL・自己効力・関係の満足度・関係に要する時間・関係の類似性・持続期間・サポートのバランス・サポートの種類・紐帯の強度等に関する調査を高齢者275名に対して行いREGM分析を行った結果、関係の持続時間と関係の満足度が大きな要因であることが明らかになった。
著者
中村 紫織
出版者
東京慈恵会医科大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2006

「軽度認知機能障害(Mild Cognitive Impairment: MCI)」は認知症の前段階とされ、Clinical Dementia Rating (CDR)でCDR0.5の「認知症疑い」に相当することがその診断基準の主要項目とされている。本研究は、先行研究でCDR0.5と判定された高齢者を追跡調査し、認知症に進行した人の割合を算出し、早期診断やハイリスク群の予測ができるかを検討する目的で実施した。本研究は疫学研究の要素を含むため、「疫学研究に関する倫理指針」(平成14年文部科学省・厚生労働省告示第2号)及び平成14年6月17日付け14文科振第123号文部科学省研究振興局長通知に定める細則に沿って東京慈恵会医科大学の倫理委員会の承認を得た。平成10年度に新潟県糸魚川市の高齢者への健康調査でCDR0.5と判定された252名のうち、生存者193名を対象とした。本人と家族に対し、本研究の目的、方法、意義、対象者への人権保護の配慮(守秘義務等)について十分に説明した文書と調査への協力の依頼状を送付し、賛同を得られた111人に対して精神科医師と保健師が訪問調査を実施した。その結果、33人はMCIにとどまっていると判断されたが、78人が認知症と診断され、アルツハイマー型認知症55.1%、血管性認知症29.5%、その他の認知症15.4%であった。7年間でMCIから認知症に進行した人の割合は70.3%、前回調査の時点で「直近一年間で進行性の認知機能変化がある」と判断された群では87.2%、「一年前とは変化がない」と判断された群では60.0%であった。CDR0.5に該当するというだけではなく、短期間における進行性の認知機能低下を認める場合にハイリスク群として経過を追うことが早期診断をする上で有効と考えられた。本調査の結果は第13回国際老年精神医学会、世界精神医学会国際会議2007で報告した。
著者
大竹 翼
出版者
北海道大学
雑誌
挑戦的研究(萌芽)
巻号頁・発行日
2017-06-30

天然に産する様々な超苦鉄質岩を出発物質として摂氏90度での蛇紋岩化反応実験を行った結果、未変質なハルツバージャイト(かんらん石と輝石を含む石)が最も高い水素生成量を示した。溶液および固相分析の結果から、これらの実験系では、輝石の溶解によって低結晶性マグネシウムケイ酸塩鉱物でpH緩衝能を持つM-S-Hが沈殿し、かんらん石や輝石の溶解速度が促進されることで高い水素生成量を示したと考えられる。実際に出発物質にシリカを添加した系で実験を行ったところ、水素生成量が約50%増加した。さらに、地球化学モデリングの結果からは、開放系の実験系において水素生成量が100倍程度まで増大する可能性を示した。
著者
伊藤 貴雄 大橋 容一郎 福谷 茂 加藤 泰史 松井 慎一郎 芝崎 厚士 川口 雄一
出版者
創価大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2020-04-01

19世紀後半から20世紀初頭にかけて世界的に影響力のあった新カント派の哲学は、日本において大正から昭和初期にかけて大きく受容され、その影響は狭義の哲学にとどまらず、広く文化評論から経済学・政治学・法律学・教育学など社会科学分野の思想家にも及んだ。新カント派哲学への理解なしに近代日本思想史を正確に理解することはおよそ不可能と言える。にもかかわらず今日、日本の学界では同学派への関心は極めて希薄なものにとどまっている。本研究は、近代日本思想史において新カント派哲学が社会科学と接点をもった意義を学際的に明らかにし、新カント派の継受をめぐる国際比較研究を可能とする研究基盤を構築するものである。
著者
小高 信彦
出版者
独立行政法人森林総合研究所
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2007

絶滅危惧種ノグチゲラは、スダジイの優占する沖縄島北部、やんばる地域の森林に固有のキツツキである。近年、ノグチゲラがリュウキュウマツ枯死木に営巣し、繁殖に失敗する事例が観察されるようになった。リュウキュウマツ枯死木は、主に人工植栽とマツ材線虫病の侵入によって人為的に創出されたものである。リュウキュウマツ枯死木に営巣したノグチゲラの巣立ち成功率は、やんばる地域の照葉樹林の優占樹種であるスダジイの場合よりも低いにもかかわらず、ノグチゲラは営巣木としてリュウキュウマツ枯死木に対する選好性を示した。これらの結果は、マツ材線虫病によって発生したマツ枯死木はノグチゲラに対してエコロジカルトラップとして作用するという仮説を支持する。
著者
高橋 文治
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

一九六七年、上海市郊外嘉定県の明代墳墓から、成化年間(一四六五-八七)の刊行にかかる一二冊の版本が発見された。それら一二冊は墓主の枕元に積んであったといい、一一冊は「説唱詞話」と呼ばれる唱導文学の通俗的な読み物、残る一冊は『白兔記』という演劇の台本であった。本研究は、この『白兎記』について、校本を作成し、それに訳註を付すことを目的とした。『白兔記』は、五代後漢の高祖劉知遠とその妻李三娘、息子咬臍郎の生き別れと再会を描く演劇であり、古くから四大南戯の一つに数えられてきた、初期の戯文の代表作である。劉知遠と李三娘、咬臍郎の悲歓離合は恐らく歴史事実ではなく、劉知遠の祖先の沙陀突厥が佛教とともに中国にもたらした物語原型に歴史上の劉知遠が当てはめられたものであろう。この物語は、まず金朝時代に『劉知遠諸宮調』という作品を生み出し、次の元朝期には『新編五代史平話』と元雜劇「李三娘麻地捧印」(佚)を生んだ。この「李三娘麻地捧印」はやがて南に渡り、同じく元朝期に、中國南方系の演劇形態に改編され、いわゆる「南戯」へと姿を変えたのである。こうして生まれたのが恐らく南戯『白兔記』であった。『白兔記』の版本として従来知られていたのは、毛晉の汲古閣が刊行した六十種曲本と、金陵唐氏が萬暦年間に刊行した富春堂本の二種があった。成化本『白兎記』が発見されることによって、成化本と汲本・富春堂本がいかなる関係かあきらかになった。また、成化本『白兎記』は南戯の比較的古いテキストに属するばかりではない、実は今日知られる最古の版本でもあった。成化本『白兔記』は單に『白兔記』の演變を考える上で重要なのではない、南戯そのものの發生や展開、初期の形態・臺本を知る、中國演劇史に不可欠の資料であり、また、白話文學史、白話史、書誌學の各分野にも不可欠の資料である。この成化本『白兎記』に、本研究は今日望みうる最高の注釈とを施し、校本・訳・註をまとめた「成化本『白兎記』の研究」が汲古書院から2006年に上梓される。
著者
村上 哲明 山本 薫 常木 静河 海老原 淳 堀 清鷹 篠原 渉
出版者
東京都立大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2019-04-01

シダ植物は、胞子体と配偶体という二つの世代をもち、普通にシダ植物と見られているのは胞子体である。ところが、配偶体が無性芽等によって栄養繁殖し、配偶体のみで生育している例(「独立配偶体」と呼ばれる)が北米や欧州で知られていた。しかし、日本国内では、そもそも小型で単純な形態をもつシダの配偶体については、その分布がまだほとんどわかっていなかった。そこで本研究では、シダの配偶体を日本国内から広く採集し、それぞれのrbcL遺伝子(光合成に関わる遺伝子)の塩基配列を調べて、どの種の配偶体かを明らかにする。日本国内からは、まだ報告されたことがないシダの種の独立配偶体が次々に見つかることが期待される。
著者
大西 宏一郎
出版者
大阪工業大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究では、特許の書誌情報を用いて3つの分析を実施した。第一に、発明報奨制度の導入・改訂が企業の研究生産性に与える影響を分析した。第二に、発明者レベルの発明履歴データを用いることにより、企業内研究者の学歴と発明生産性の違いを見ることで、課程博士教育の効果について検証した。第三に、燃料電池分野における企業間・産学官の共同研究の実施状況および成果の権利配分の状況について分析した。
著者
西村 勉
出版者
公益財団法人先端医療振興財団
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2015-04-01

過去40年分の日毎、都道府県別、疾患別の死亡データを厚労省から入手した。過去40年分の日毎の宇宙・気象等の環境要因を入手した。1972年から2013年のデータを用いて、各疾患による日毎の死亡者数と宇宙・地球に関連する環境要因との関連性を検証した。多くの環境要因と多くの疾患による死亡者数との間に相関がみられた。研究代表者が台湾の中国医薬大学との共同研究において、地磁気の擾乱と自殺者数との相関について日本の結果の再現性を台湾のデータで確認した。さらに他の疾患についても環境要因との関連性を検証し、重要疾患の増悪予測モデルを構築した。
著者
西村 勉 大寺 祥佑 田辺 健一郎 中谷 英仁
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2020-04-01

ビッグデータの時代に入り、ビッグデータの構築・解析による成果を実社会へ還元することが課題となっている。台湾では、医療保険データが標準化され、一元的に管理されており、そのデータを用い、台湾の中国医薬大学では、7年間で1,000本以上の論文を出版し、実社会に大きなインパクトを与えつつある。日本においてもレセプト情報・特定健診等情報データベースが構築されている。本研究では、台湾及び日本の医療保険データを中心とするビッグデータを用い、宇宙要因、気象要因、大気要因とヒトの疾患の発症との関連性を検証し、自殺及び関連イベント、虚血性心疾患、及び脳血管疾患の発症予測モデルを構築する。
著者
多田 春江
出版者
京都大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009-04-01

日本全体の月毎の自殺者数と月毎のK指数平均値との関連性を、他の要因を調整した上で、重回帰分析を用いて男女別に解析したところ、男性では、統計学的に有意な相関がみられたが、女性ではみられなかった。地磁磁気の擾乱が自殺に影響を与えるのであれば、地磁気の強い場所ほど、地磁気の変動も大きいため、自殺者数が増える可能性が考えられる。そこで、都道府県別の月毎の自殺による標準化死亡比と各都道府県の地磁気の強さとの関連性を、他の要因を調整した上で、重回帰分析を用いて男女別に解析したところ、男性では、統計学的に有意な相関がみられたが、女性ではみられなかった。
著者
河野 由美
出版者
自治医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2017-04-01

低出生体重児では注意欠如多動症(ADHD)や自閉スペクトラム症 (ASD)などの発達障害に類似した特異的な行動発達を高率に認めるといわれる。その原因はいまだ不明だが、子宮内、新生児期の高度なストレスによるエピジェネティクスの関与も疑われる。ストレス反応には、ヒトGR 遺伝子(NR3C1)のほかに、コルチゾール不活化酵素である11β- hydroxysteroid dehydrogenase 2遺伝子(11βHSD2) 、セロトニントランスポーター遺伝子(SLC6A4)などが関与していることが知られている。本研究では、この3つのストレス反応関連遺伝子のメチル化解析を行うことを目的とした。2019年度では前年度に引き続き、1) 研究機関で運用している「NICU入院児の検体保存バンク」の試料を用いて前出遺伝子のメチル化解析を行うこと、2)妊娠経過、在胎期間、出生体重の周産期情報、NICU入院期間中にみられる合併症、治療についての臨床情報を用いることについて、対象の選択と同意取得を行った。新たに「NICU入院児の検体保存バンク」での試料保存している12名から同意を得た。昨年度分とあわせて18名25検体からDNAを抽出した。先行文献からセロトニントランスポーター遺伝子(SLC6A4)の解析領域候補として5'UTR領域の20CpGのメチル化率を測定することとした。先行研究で解析したヒトGR 遺伝子(NR3C1) プロモーター領域の15CpG サイトとあわせて、現在第1回目のメチル化解析をバイサルファイトシークエンスにより行っている。また対象となる18名の周産期・新生児情報を後方視的に診療録から取得し、昨年度作成したデータベースに情報を追加した。
著者
高原 健爾 前川 孝司
出版者
福岡工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2017-04-01

2019年度は,反応モデルの構築で大きな進展が得られた。粒子1つのミクロ的な反応のシミュレーションのモデル基盤が構築できた。具体的には,アコースティック・エミッション(以降AE)法により,亀裂が生じた際に発生する弾性波であるAEを水素発生時に測定することができた。その結果に基づいて,水素発生のファクターと考えられるき裂進展のシミュレーションモデルを構築した。実験では,あまり実績が得られなかった。これまでに設計した水素発生制御のファジィルールをさらに検討し,100[W]の燃料電池では,より精度良く水素発生を制御できるようになったものの,実験者の操作ミスにより発生装置の接続部等に変形・亀裂が生じ,一時的に充分な実験を行えない状況になった。一方,1[kW]燃料電池では,水素漏れが発生し,修理に時間がかかった。修理後に実験を行った。その結果,一部に改善が見られたものの,水素発生容器内の圧力が高いにも関わらず,燃料電池の出力が800[W]程度でダウンしてしまうという状況が続いている。大きな出力が得られないので,システムの検証実験が十分に行えないでいる。原因の一つとして,水素発生を増加させるために,送水量を増やすことでタンク内の温度低下が起こり,一時的に水素発生が抑制されることが確認できており,送水温度を上昇させるための方策を検討した。また,自動制御だけでなく,手動で水素発生の調節を行えるようにしており,余計な電力を使うことなく水素発生できるように改造した。
著者
高木 彩
出版者
千葉工業大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2018-04-01

2018年度に引き続き、2019年度も情報分野の4つの萌芽技術(人工知能(AI)、機械学習、自動運転、仮想現実(VR))を取り上げ、そのリスク認知を規定する要因について検討を行った。2019年度は、「萌芽技術のリスク認知と感情要因との関連」を明らかにすることを目的として、2つの調査研究を実施した。1つ目の調査では、大学生を対象に予備的検討を行った。この調査では、各萌芽技術に対するイメージ(連想語)と感情要因(ポジティブ感情、ネガティブ感情)等を測定し、萌芽技術のリスク認知との関連を検討した。その分析結果からは、萌芽技術に抱くポジティブ感情が弱く、ネガティブ感情が強いほど、萌芽技術に対するリスク認知が大きい傾向にあることが示唆された。それに加え、畏怖感情(dispositional awe)の得点が高い人ほど、萌芽技術のリスクを大きく認知する傾向にあることが示唆された。以上の予備的検討の結果を踏まえ、次の研究では、より幅広い年齢層の一般市民を対象としたWEB調査を実施した。この調査では、萌芽技術のリスク認知と感情要因との関連をさらに詳しく検討するために行った。主な調査項目として、4つの萌芽技術のリスク認知、ベネフィット認知、受容態度に加え、感情要因として、対象技術への感情(ポジティブ感情、ネガティブ感情)と、個別の感情経験(畏怖、嫌悪感情など)の個人差要因を測定した。現段階では、調査を実施しデータの収集まで完了しており、これから分析に着手する予定である。