著者
Minori Hikawa-Endo Takao Ikeuchi Shuji Kozai Tomoya Nakamura Masanori Yamaji Ryosuke Yamanaka Hisashi Yoshikoshi Hiroki Kawashima
出版者
The Japanese Society for Horticultural Science
雑誌
The Horticulture Journal (ISSN:21890102)
巻号頁・発行日
pp.QH-106, (Released:2023-12-20)

In general, either high or low branching may contribute to the yield potential of a cultivated crop. In this study, we evaluated the varietal differences in branching characteristics in asparagus crowns and examined the relationship between branching types and harvest characteristics among six varieties tested by careful observation. ‘UC 157’ developed numerous tillers and shoot apical meristems 6 months after sowing; thus, it was considered to be a high-branching type variety. In contrast, ‘All-male Gulliver’ and ‘Ryuryoku’ developed few tillers or shoot apical meristems and, were therefore considered to be low-branching type varieties. The final order of sympodial shoots and composition of sympodial shoots by order were similar between the varieties. ‘UC 157’ had fewer scale leaves attached to the underground shoots than other varieties, which may have been advantageous for developing underground shoots more rapidly. The total spear yield of ‘UC 157’ was high, but the marketable spear yield was similar to that of other varieties owing to the large number of thin spears. Although further studies are needed to determine whether high-branching or low-branching type asparagus varieties are more high-yielding, we determined that high-branching type varieties have lower labor productivity under unimproved growing conditions such as non-sparsely planted growing conditions.
著者
吉田 江依子 横越 梓 武藤 敦子
出版者
名古屋工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2022-04-01

毎年、年末になると、今年の「流行語大賞」が話題になる。本研究で取り上げる新語・流行語は、その時々の社会の世相を表すその場限りの奇抜な表現を含んだ言葉に過ぎず、その研究に学術的意義があるのか、と考える人がいるかもしれない。しかし、言語学的視野に立ってみると、流行語は言語の創出、変異、消滅といった言語サイクルを短期間で表出している非常に興味深い言語対象である。どのような流行語が廃れ、どのような流行語が残るのか。ツイッターから言語データを収集し、生成文法を基本とする理論言語学の枠組みを用いて、今現在、進行形で起こっている流行語の言語変遷の仕組みを解明する。
著者
浅木森 浩樹 山田 哲 矢谷 鷹将 末廣 紀史 武田 啓之 國枝 孝之 米谷 雄介 八重樫 理人
出版者
一般社団法人 大学ICT推進協議会
雑誌
学術情報処理研究 (ISSN:13432915)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.112-118, 2023-11-27 (Released:2023-11-27)
参考文献数
13

香川大学は,ユーザ主導により業務システムをアジャイル内製開発する取り組みを開始した.香川大学が実施した業務システムのアジャイル内製開発では,ユーザ主導で開発するシステムの要件を抽出するとともに,スクラム開発で業務システムを開発する.本論文では,ユーザ主導による香川大学の業務システムのアジャイル内製開発について述べるとともに,ユーザ主導開発,学内アジャイル内製開発の視点からそれを考察する.
著者
麓 弘道
出版者
公益社団法人 日本アイソトープ協会
雑誌
RADIOISOTOPES (ISSN:00338303)
巻号頁・発行日
vol.68, no.11, pp.773-789, 2019-11-15 (Released:2019-11-15)
参考文献数
37
被引用文献数
2

自然放射性核種を含む廃棄物の処分や超ウラン核種を含む廃棄物について,浅地中処分の基準をどこに求めるか考察し,地殻に存在するラジウムの代表的な数値である10 nCi/gが広く判断の目安として取り入れられていることを確認した1, 2)。本資料では,免除とクリアランスの考え方を廃棄物処分の観点から再構築する。我が国では,放射性物質が,免除とクリアランスの区分に分別されたと確認された後は,放射性物質ではなくなるので,放射線防護から外れると理解されている。しかしながら,LNTモデルを前提とする放射線防護体系では,ここから放射性物質として扱わないとする閾値はない。そのため,諸外国では,免除・クリアランスを柔軟に運用しており,特に廃棄物処分ではそれが顕著である。IAEAも指摘しているように,国際的に統一したクリアランスレベルを定めるのは,クリアランス対象物が国際流通する懸念があるためである。当該国で完結する廃棄物処分においては,その基準は各国の裁量に任されていると理解してよい。ここでは,各国の処分における,免除・クリアランスの適用を確認し,ともすると硬直しがちな我が国の放射線防護に柔軟性を取り入れる参考とする。
著者
小関 芳宏 大内 利昭 神崎 仁
出版者
Japan Audiological Society
雑誌
AUDIOLOGY JAPAN (ISSN:03038106)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.186-192, 1990-04-28 (Released:2010-04-30)
参考文献数
7
被引用文献数
1 1

聴力正常な成人6名12耳を対象として自発耳音響放射 (s-OAE) と誘発耳音響放射 (e-OAE) のFFT解析を行い, 両者の関係について検討を行った。 s-OAEは4耳に認められ, その周波数は, e-OAEが最も明瞭に記録できる周波数とほぼ一致していた。 また, この4耳では持続性e-OAEを示した。 等刺激音圧下e-OAE音圧曲線, 予想及び実測e-OAEパワースペクトラム, e-OAEのFFT解析の結果から, e-OAE記録時には, s-OAEの周波数においてe-OAEが出現し易い傾向が認められた。 無刺激音時におけるs-OAEの時間軸の平均加算記録結果からは, 本e-OAE記録系におけるs-OAEのsynchronizationは無いと考えられた。 また, 刺激音の位相を変化させた場合には, s-OAEの周波数おけるe-OAEは, 刺激音の位相に対応して出現していた。 以上より, s-OAEが認められる耳では, 刺激音がトリガーとなり刺激音とs-OAEのsynchronizationが起き, 持続性e-OAEとして記録されると推測された。
著者
仁平 典宏
出版者
関東社会学会
雑誌
年報社会学論集 (ISSN:09194363)
巻号頁・発行日
vol.2022, no.35, pp.38-47, 2022-08-26 (Released:2023-08-30)
参考文献数
19

In this paper, how the concept of neoliberalism has been accepted in Japan is analyzed, and then the extent to which it fits into Japanese society is examined using data on four issues: economic policy, social policy, governance, and subject. Subsequently, by using articles on education, ways in which the neoliberal concept is used as a comprehensive description of society is examined. Finally, consideration is given to how we should deal with the neoliberal concept.
著者
丸山 祥 廣瀬 卓哉 宮本 礼子 ボンジェ ペイター
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.42, no.6, pp.718-725, 2023-12-15 (Released:2023-12-15)
参考文献数
19

本研究では,作業療法士の卒前・卒後教育におけるクリニカルリーズニング学習の現在の知見の整理および先行研究で解決されていない課題であるリサーチギャップの特定を目的とし,スコーピングレビューを実施した.結果,30編が抽出され,8編が実験的・介入研究,22編が記述的・観察研究だった.有効な学習方略としては,臨床実習とケース基盤型学習,サービス学習が検討されていた.学習成果としては量的成果に加えて質的成果も利用されていた.今後のクリニカルリーズニング学習の研究では,多面的な学習成果を捉えた実証研究,ケース基盤型学習の検証,指導者や環境要因に焦点を当てた国際的な比較研究が必要である.
著者
長井 理佐
出版者
美術科教育学会
雑誌
美術教育学:美術科教育学会誌 (ISSN:0917771X)
巻号頁・発行日
vol.30, pp.265-275, 2009-03-21 (Released:2017-06-12)

本研究では,中学生以降の対話型鑑賞における目的を再検討するとともに,その目的に向けどのように対話鑑賞の場を構築すべきかについて提言する。目的の見直しに際しては,ハーバーマスの「生活世界」の概念を援用し,対話型鑑賞の場を,日常知のストックとしての生活世界を組み替える場として位置づけた。鑑賞の場の構築については,主に,テート・モダンにおける鑑賞プログラムや筆者の授業実践に基づき,(1)従来の美術の枠内でのジャンル分けを脱構築したテーマ別鑑賞の有効性,(2)学習者とは異なるコンテクストを対話の場に導入する必要性を論じた。
著者
菊 幸一
出版者
日本スポーツ社会学会
雑誌
スポーツ社会学研究 (ISSN:09192751)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.21-38, 2011-03-20 (Released:2016-09-13)
参考文献数
63
被引用文献数
1

本稿の目的は、スポーツ社会学における歴史社会学の可能性とは何かを明らかにすることである。 そこで、本稿では第1に、社会学における歴史社会学の性格や位置づけの特徴が、近代社会に対する予見的で社会科学的な理論的認識を強化する方向性をもつことを明らかにした。その上で第2に、スポーツ社会学における歴史社会学の特徴も、そのような社会学における歴史社会学の成立に影響され、その範囲でスポーツの近代性を特徴づけるための「中範囲の理論」をスポーツの歴史現象に求める傾向があることを示した。そこでは、具体的にスポーツのプロフェッショナル化や暴力、あるいは伝統の発明や文化の翻訳というテーマが取り上げられている。また、このような歴史社会学的視点は、スポーツ社会学において主要な研究方法となっている量的社会調査の説明においても応用可能性をもつものである。 一方、歴史社会学の対象としての「近代」とそれに基づくスポーツ認識からの問題設定の限界を超えるためには、その歴史認識の限界を指摘しなければならない。本稿では、平野[2005]が述べる、所謂「詩人の追放」をキーワードにしてギリシャ哲学の認識論にまで遡り、グローバル課題に向けた社会学的想像力を生み出す歴史社会学の新たな可能性を模索した。そこでは、従来のメディア・スポーツ研究の射程を超えた、人類史的な観点を含んだメディアとしてのプレイやゲーム、スポーツに対する歴史社会学的研究の重要性と可能性が示唆された。なぜなら、スポーツ社会学における歴史社会学の新たな可能性が、「スポーツ」という対象だからこそ拓かれると考えるからである。
著者
松薗 美帆 伊藤 泰信
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集 日本デザイン学会第70回研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.240, 2023 (Released:2023-12-13)

ここ最近、人類学者とデザイナーがともに協働する形が模索され、デザイン人類学という分野が確立されつつある。今後人類学がデザインにさらに歩み寄り、協働を深めるためには、フィールドで得た洞察をこぼれ落とすことなく、多種多様なステークホルダーにいかに伝えるかは大きなチャレンジとなるだろう。 本稿では株式会社メルペイのクレジットカード「メルカード」の新規立ち上げプロジェクトを事例に、デザインコンセプト創出のためのワークショップにおいて人類学的な視点である「異質馴化」(making the strange familiar)と「馴質異化」(making the familiar strange)を取り入れた実践について述べる。本事例ではプロジェクトメンバー自身の語りを引き出し「馴質異化」の視点を取り入れたのが新しい試みであり、これによってプロジェクトメンバー自身と顧客の対照的な立ち位置に改めて気づき、デザインコンセプトを軸として表現することにつながった。
著者
松田 英子
出版者
江戸川大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

調査から労働者と学生の睡眠の不調は深刻な状態にあるものの,薬物治療による抵抗感が確認された。労働者は不眠と悪夢症状が強いが,さらに学生は不眠が深刻で過眠症状も強く,睡眠のリズムの乱れの影響が疑われた。労働者と学生において,職務ストレサーや学生生活ストレサーそのものよりも,不眠,過眠,悪夢症状から成る睡眠の不調が,抑うつ症状をよく予測するモデルが見出された。つまり,抑うつの予防には睡眠の不調の改善が重要であることが示唆された。非薬物療法である CBT による事例研究と準実験研究を実施し,不眠に関して,入眠前の筋弛緩法や思考に対する認知療法の効果を確認し,悪夢に関して入眠前の思考に対する認知療法の効果を一部確認した。
著者
森山 光一 板倉 景子
出版者
日本セキュリティ・マネジメント学会
雑誌
日本セキュリティ・マネジメント学会誌 (ISSN:13436619)
巻号頁・発行日
vol.37, no.2, pp.27-33, 2023 (Released:2023-12-19)
参考文献数
14

本稿では,FIDO(ファイド)アライアンスがW3C(World Wide Web Consortium)と共に推進するFIDO認証について解説する.近年,フィッシング攻撃などによる不正アクセスへの対策が急がれる中,FIDO認証はその対策の大きな決め手の一つとなる.FIDO認証は,リモートからの悪意者による攻撃を防ぐため,利用者による認証器の所持を基本とし,公開鍵暗号に基づく署名検証を利活用する.利用者にとって使い勝手が良く,フィッシング攻撃への耐性をもつ「シンプルで堅牢な」認証方式である. FIDO認証は,2014年12月に公開されたFIDO 1.0仕様を皮切りに本格的な商用利用が開始され,現在はW3Cが策定するWeb認証(Web Authentication,WebAuthn)の勧告仕様を含めて総称するFIDO2が議論の中心となっている.そして,普及に向けて長い間課題となっていたいわゆるアカウントリカバリーについても一定の方向性が確立し,いま「パスキー」としてさらなる広がりが期待されている.その一方,FIDO認証のために必要な認証資格情報(クレデンシャル)を認証器から取り出すことを認めた結果,新たに取り組むべき課題も認識されつつあり,業界を挙げての取り組みが必要である. FIDOアライアンスは,FIDO2とパスキーに加えて,バイオメトリック部品認定,IoTデバイスと認証にまつわる課題を解決するFDO(FIDO Device Onboard)仕様なども展開し,パスワード課題の解決に向けてさまざまな観点から取り組んでいる.FIDO認証とWeb認証に対しては国内からの貢献も顕著で,引き続くグローバルとしての取り組みで,社会課題の解決に向けてさらに貢献できる.
著者
林 岳彦 岩崎 雄一 藤井 芳一
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
日本生態学会誌 (ISSN:00215007)
巻号頁・発行日
vol.60, no.3, pp.327-336, 2010-11-30 (Released:2017-04-21)
参考文献数
49
被引用文献数
5

欧米では「ecological risk assessment」という用語は「化学物質の生態リスク評価」のことを指すことが多い。その理由は、歴史的に「生態リスク」という概念が元々「化学物質のリスク評価」の中から誕生し発展してきたことにある。本稿ではまず前半において、「生態リスク」という概念が生まれてきた歴史的な経緯についての概説を行う。また、その歴史的な経緯から「生態リスク」という概念が帯びている「行政の意思決定に寄与する」「不確実性の存在を前提とする」「人間活動との兼ね合いを調整する過程の一端を担う」という特徴的なニュアンスについての説明を行う。本稿の後半においては、現在実務レベルで行われている「初期リスク評価」および「詳細リスク評価」の解説を行う。さらに、生態リスク評価における現状の取り組みと課題について「生態学的に妥当なリスク評価・管理へ」「漏れのないリスク評価・管理へ」「総合的なリスク評価・管理へ」という3つの観点から整理を試みる。
著者
黒田 孝一 兪 栄植 芳倉 太郎 岡 三知夫
出版者
Japan Society for Atmospheric Environment
雑誌
大気汚染学会誌 (ISSN:03867064)
巻号頁・発行日
vol.19, no.4, pp.321-324, 1984-08-20 (Released:2011-11-08)
参考文献数
7

ハイボリウムエアサンプラーを用いて道路傍で毎日粉じんを捕集していたところ, 約20m離れた民家に火災が発生し, 約30分間サンプラーは火災の煙にまかれた。火災前後の日の総粒子状物質 (TSP) 濃度は, 0.10mg/m3 (24時間平均値), そのうちタール量7.0-7.9%であるのに対し, 火災当日の総粒子状物質濃度は, 0.16mg/m3, そのうちタール量10.6%であった。火災当日の濃度増加分が持続30分間の火災によるものとして, 火災時間中の総粒子状物質濃度を推定すると, 2.4mg/m3となって平常時 (0.10mg/m3) の24倍, またそのうちタール量は17.7%と平常時 (7.5%) の2.4倍となり, 火災由来の粒子状物質組成は平常時とかなり異なることが示唆された。火災当日のタールはその半分が火災由来と推定されたが, TA100, TA98による変異原性の量反応曲線はタール200μg/プレートまでは前後の日とほぼ同じで, 投与量の増加に伴って直線的に変異コロニー数は増加し, また代謝活性化によって変異原性は強められた。400μg/プレートの投与量では, 火災日のタールは変異コロニー数の増加をS9 mixの有無にかかわらず抑制する傾向がみられた。この効果はタールの静菌作用によるものではないと思われた。これらのタールのSCE誘起性をCHO細胞を用い40μg/ml, 80μg/mlの投与量で調べた結果, どのタールもほぼ同程度のSCEを誘起し, 量依存性が明かであったが, タール間に統計的に有意な差はみられなかった。単位量当たりのタールの変異原性, SCE誘起性は火災日と前後の日では変化はないが, 空気量当たりでは前者は30-90倍, 後者は60倍高い値であった。
著者
栗田 憲二 鈴木 正 安藤 愛次
出版者
THE JAPANESE FORESTRY SOCIETY
雑誌
日本林学会誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.14-16, 1953-01-25 (Released:2011-09-02)
参考文献数
6

We attempted to apply the burned soil (mixed ashes of tree leaves and branches) on the culturing bed soil of the horse radish (Eutrema wasabi) field.At the end of the growing period the seedlings were harvested and measured; then culturing bed soils were sampled and determined on their properties.(1) The growth and yield remarkably increased by the treatment. Especially the new shares of seedlings showed the better results.(2) On the mechanical compositions of culturing bed layers, percentages of silt and clay in the treated plot indicated some higher value in comparison with the control plot.(3) Two years elapsed since beginning of the treatment. The results of chemical analysis have shown that the contents of humus and nitrogen in the treated plot are higher than those in control plot; but that pH value shows no difference between them.