著者
尼崎市立地域研究史料館
出版者
尼崎市立歴史博物館
雑誌
地域史研究 (ISSN:09108661)
巻号頁・発行日
vol.2016, no.116, pp.161-176, 2017-01-31 (Released:2023-03-02)

成箕堂叢書『戸田左門覚書』(徳富猪一郎(徳富蘇峰)、民友社、大正3年-1914-)の翻刻掲載 初代尼崎藩主戸田氏鉄(後に大垣藩に転封)が記した覚書
著者
原田 勇希 久坂 哲也 草場 実 鈴木 誠
出版者
一般社団法人 日本理科教育学会
雑誌
理科教育学研究 (ISSN:13452614)
巻号頁・発行日
vol.60, no.3, pp.627-641, 2020-03-30 (Released:2020-04-15)
参考文献数
48
被引用文献数
1 1

学校教育においてメタ認知能力の育成は重要視されており,理科教育学においても個人のメタ認知能力を測定するための質問紙が開発されてきた。一方,近年の研究によると,質問紙法などの自己報告による測定方法(off-lineメソッド)では,メタ認知の測定は難しいことが指摘されている。本研究ではこれまでに開発された理科教育用メタ認知測定尺度が,真にメタ認知を測定できているかを確かめるため,その収束的妥当性と弁別的妥当性を検討することを目的とした。研究の結果,メタ認知測定尺度と理科の学業成績(全国学力・学習状況調査)との間に実質有意味な正の相関が確認できなかったことから,収束的妥当性は認められないと結論づけた。また自己愛傾向や社会的望ましさ反応バイアスとの確かな正の相関が確認されたことから,弁別的妥当性は認められないと結論づけた。以上の結果をもとに,現在の理科教育学におけるメタ認知の測定方法の限界と今後の方策について考察した。
著者
蓮池 利隆 岡田 至弘 佐野 東生
出版者
龍谷大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

大乗仏教経典成立の背景にはインド文化の他にイラン文化も存在した。特に、ガンダーラ地域ではゾロアスター教の影響があった。クシャーン王朝は紀元後1世紀から3世紀までガンダーラを中心に統治したが、この王朝のふるさとは中央アジアのタジキスタン・ウズベキスタン周辺であった。その地域の宗教はゾロアスター教であった。この研究では、タジキスタンの遺跡発掘によって、イスラーム化前の中央アジアにおけるゾロアスター教の存在を検証した。ゾロアスター教と仏教の混合によって阿弥陀仏信仰が成立したことを明らかにすることができた。その宗教的交渉においては、インドとイランに共通する神格であるミトラ(ミフル)が仲介となった。
著者
梅崎 修 武石 恵美子 林 絵美子
出版者
法政大学イノベーション・マネジメント研究センター
雑誌
イノベーション・マネジメント (ISSN:13492233)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.1-20, 2023-03-31 (Released:2023-03-31)
参考文献数
27

本稿の目的は、自律的なキャリア意識が主観的および客観的なキャリア・サクセスに与える影響を分析することである。本稿では、日本企業1社を対象として企業内マイクロ・データと質問紙調査を結合したデータセットを使い、自律的なキャリア意識としては、Briscoe et al.(2006)が開発したプロティアン・キャリアとバウンダリーレス・キャリアを利用した。分析の結果、まず、同じ自律的キャリア意識であってもプロティアン・キャリアの下位尺度である「自己指向」は、客観的、主観的キャリア・サクセスの両方に対して正の効果、「価値優先」は客観的キャリア・サクセスに対して負の効果であった。加えて、バウンダリーレス・キャリアの「移動への選好」が主観的キャリア・サクセスに対して正の効果が確認された。「移動への選好」が客観的キャリア・サクセスに対して正の効果を持たないのに、主観的キャリア・サクセスの正の効果がある理由を議論した。移動できるという選択肢を心理的な負担を感じないで選択できるのだ、という意識が、キャリア満足度を高めている可能性が考えられる。以上の分析結果は、先行するドイツ企業の分析や日本の全国調査の分析結果とも異なる。本稿では、分析結果を比較し、結果が異なる理由を検討した。
著者
Koji Togawa Seishi Nakatsuka Jitsuro Tsukada Nobutake Ito Yosuke Yamamoto Togo Kogo Hiroki Yoshikawa Manabu Misu Masashi Tamura Shigeyoshi Soga Masanori Inoue Hideki Yashiro Tadayoshi Kurata Masahiro Okada Masahiro Jinzaki
出版者
Japanese Society of Interventional Radiology
雑誌
Interventional Radiology (ISSN:24320935)
巻号頁・発行日
vol.8, no.3, pp.130-135, 2023-11-01 (Released:2023-11-01)
参考文献数
10

Purpose: Image-guided percutaneous drainage for abscesses is known as a safe and effective treatment. The computed tomography-guided percutaneous drainage kit Drainaway (SB Kawasumi Co., Ltd.), developed on the basis of a modified trocar method, has made it possible to complete the procedure only under computed tomography guidance without radiographic fluoroscopy. This study investigated the feasibility and safety of Drainaway for abscess drainage.Material and Methods: In this retrospective observational study, 28 procedures in 27 patients (18 men and 9 women; age 67.0 ± 12.3 years) who underwent computed tomography-guided drainage using Drainaway between March and December 2021 at seven affiliated hospitals were analyzed. Patients with symptomatic, puncturable on computed tomography and refractory abscesses were included. Technical success (successful drainage with computed tomography alone), primary clinical success (successful drainage with Drainaway alone), secondary clinical success (avoidance of surgery), and complications were evaluated.Results: The sites of the abscesses were the intraperitoneal, retroperitoneal, and thoracic cavities in 19, 5, and 2 patients, respectively, and subcutaneous tissue in 1 patient. The mean size of the abscesses was 7.1 ± 3.4 cm. The technical success rate was 96.4%; the ligament of the puncture route could not be penetrated in one case. The primary clinical success rate was 77.8%, whereas the secondary clinical success rate of catheter upsizing or replacement was 96.3%. Complications included one case of biliary pleurisy that required drainage.Conclusions: Drainaway is a useful device that allows abscess drainage using only computed tomography guidance without radiographic fluoroscopy.
著者
新保 敏史
出版者
日本腹部救急医学会
雑誌
日本腹部救急医学会雑誌 (ISSN:13402242)
巻号頁・発行日
vol.40, no.4, pp.575-579, 2020-05-31 (Released:2020-11-30)
参考文献数
27

症例は46歳男性。腹部全体の鈍痛・下痢・嘔吐を主訴に当院へ救急搬送された。体温は40.5℃,腹部は軟で,心窩部に軽度圧痛を認めた。血液検査では軽度の炎症所見を認めるのみで,腹部CT検査では急性胃腸炎の所見であった。入院後,補液による加療を行ったが,来院約12時間後に突然ショックとなった。Disseminated intravascular coagulation(以下,DIC)を併発しており,救命処置を行ったが,死亡した。病理解剖でDICによる多臓器不全と診断された。後日入院中に採取した血液培養から肺炎球菌が検出されたため侵襲性肺炎球菌感染症と診断した。また入院時のCT検査で脾臓が小さく,体積は38.6mLであり,脾臓低形成であった。脾臓低形成による免疫機能低下の関与が疑われた侵襲性肺炎球菌感染症の症例はまれであり,若干の文献的考察を加えて報告する。
著者
鳶島 修治
出版者
東北社会学研究会
雑誌
社会学研究 (ISSN:05597099)
巻号頁・発行日
vol.104, pp.201-225, 2020-02-21 (Released:2021-09-24)
参考文献数
42

本稿では、二〇一五年に実施された「国際数学・理科教育動向調査(TIMSS)」の日本調査データを用いて、小学四年生の子どもをもつ母親の教育期待の規定要因について検討した。その際、教育期待形成における「準拠集団」としての学校の影響に注目し、学校平均学力と学校SEC(保護者の大卒割合)の効果を検証した。母親の教育期待(子どもに大学進学を期待しているかどうか)を従属変数とするマルチレベル分析の結果として、子どもの学力が高いほど母親は大学進学を期待しやすいこと、母親は子どもが女子の場合よりも男子の場合に大学進学を期待しやすいこと、母親または父親の学歴や職業的地位が高いほど母親は子どもに大学進学を期待しやすいことが確認された。また、母親の教育期待に対する学校平均学力の効果については明確な結果が得られなかったものの、学校SECの効果に関しては、子どもが女子の場合には学校単位でみた母親の大卒割合が、子どもが男子の場合には学校単位でみた父親の大卒割合がそれぞれ有意な正の効果をもっていた。この結果は、子どもと同じ学校に通う児童の保護者たちが母親の教育期待形成における準拠集団としての役割を担っていること、同時に、母親の教育期待形成における準拠集団の選択が子どもの性別という要因に依存していることを示唆するものである。
著者
金 ウンジュ 栗原 治 大町 康
出版者
公益社団法人 日本アイソトープ協会
雑誌
RADIOISOTOPES (ISSN:00338303)
巻号頁・発行日
vol.63, no.5, pp.249-255, 2014-05-15 (Released:2014-05-29)
参考文献数
14
被引用文献数
2 2

バイオアッセイ法は,被検者から採取された生体試料(主に排泄物)中に含まれる放射性核種を定量する方法であり,その結果は内部被ばく線量評価を行う上での基礎データとなる。バイオアッセイ法の利点は,体外計測法では測定が困難なα線やβ線のみを放出する核種に適用できることであり,プルトニウムを初めとしたアクチノイド核種に対しても十分な検出感度を有している。しかしながら,試料の放射線計測を行う前に必要となる前処理,化学分離等の工程に時間を要するため,緊急被ばく医療の観点からは迅速化が求められる。本稿では,アクチノイド核種を対象としたバイオアッセイ法の概要を中心に解説する。
著者
清水 誠治
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
雑誌
日本消化器内視鏡学会雑誌 (ISSN:03871207)
巻号頁・発行日
vol.60, no.11, pp.2357-2368, 2018 (Released:2018-11-20)
参考文献数
114
被引用文献数
2

collagenous colitisは非血性の慢性下痢をきたし,病理組織学的に大腸の上皮基底膜直下に膠原線維束を認める疾患であり,おもに生検組織で診断される.CCはlymphocytic colitis(LC)とともにmicroscopic colitis(MC)に包括されている.MCは欧米で1980年代から1990年代にかけて経年的に罹患率が増加していたが,2000年以降はほぼ一定の水準であり,CCよりむしろLCの方が多い.病因は未だに明確ではなく発症には多因子の関与が想定されているが,欧米では複数の症例対照研究でNSAID,PPIがCCの発症リスクを高めることが示されており,近年はとくにPPIの関与が注目されている.本邦では2000年代に入って以降CCの報告が増加している.本邦には疫学的データは存在しないが,頻度は欧米に比べかなり低率である.LCは本邦でほとんど報告がなく,CCもほとんどがPPI(とくにランソプラゾールやNSAID)などの薬剤に関連して発症しており,欧米より薬剤起因性と考えられる症例の割合がかなり高い.このように欧米と本邦ではMCに関する実態に大きな乖離がみられる.CCでは元々,画像上異常を認めないと記載されていたが,内視鏡所見の異常がまれでないことが明らかになってきた.内視鏡所見としては,1)色調変化:発赤,発赤斑,褪色など,2)血管像の異常:血管透見低下・消失,血管増生など,3)粘膜表面性状の異常:浮腫,易出血性,粗糙粘膜,顆粒状粘膜,偽膜,粘膜裂創(線状・縦走潰瘍/瘢痕,“cat scratch”),ひび割れ様所見など,4)その他:ハウストラ消失,が挙げられる.とくに粘膜裂創と顆粒状粘膜は本症を疑う上で重要な所見である.内視鏡的有所見率は欧米で約20%と報告されているのに対して,本邦では70%以上である.治療としては,原因と考えられる薬剤を中止することでほとんどの症例で下痢が軽快する.MCの病態に関してはなお不明な点が多く,疾患のheterogeneityを含めた問題点の解明を期待したい.
著者
深谷 昌志
出版者
日本教育社会学会
雑誌
教育社会学研究 (ISSN:03873145)
巻号頁・発行日
vol.38, pp.59-75,en262, 1983-10-20 (Released:2011-03-18)

In this paper, I would like to clear the relationship between educational aspiration and school culture.The percent of the students who feel to be a slow leaner increares as follows: 4 th grade=11%, 5 th=12%, 6 th=15%, 7 th=14%, 8th=26%, 9 th=25%. So in the junior high school, the students who cannot understand what he is taught reaches to 28% in English, and 32% in Math.But thay believe the results of the achievement test depend on how they studied hard in school and after school. In this situation, the Juku school become the second school, and the half of the students attend the Juku school.
著者
蘇 智慧 八畑 謙介
出版者
株式会社生命誌研究館
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

多足類動物は、分類学上多足亜門(節足動物門)として、ムカデ綱、ヤスデ綱、エダヒゲムシ綱とコムカデ綱の4綱を含む。本研究は3つの核タンパク遺伝子を用いて、多足亜門の綱・目レベルの系統関係の解明および分岐年代と祖先形質の推定を行った。その結果、コムカデ綱が最初に分岐し、その分岐はカンブリア紀初期に遡ることが示唆された。この結果は多足類の初期の分岐は海で行い、複数の系統が独立に陸上進出を果たしたことを示した。ヤスデ綱とムカデ綱内の目間の関係については従来の仮説と一致した。祖先形質の推定の結果、多足類の祖先は半増節変態を行っていたことが示され、体節数と足の数が比較的少なかったことを示唆した。
著者
渋川 祥子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.30, no.7, pp.591-595, 1979-08-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
5
被引用文献数
4

圧力鍋で煮豆を作るときの加熱条件, および煮豆の特性を常圧下で作った煮豆と比較した結果, 次のことがらが明らかとなった.1) 予備浸漬により十分に吸水した大豆は, 圧力鍋加熱では, 蒸気噴出後の加熱継続時間0~1分, むらし時間5分でやわらかくなる.常圧下加熱にくらべ, 所要時間は1/3~1/4, ガス消費量は, 約1/4であった.2) 圧力鍋によるゆで豆は, 常法にくらべ, 甘味が強くねっとりした口触りであり, 煮豆として好まれる.3) 甘味が強いのは, 加熱時間が短いため, 煮汁中へ溶出する糖量が少なく, 豆中め糖量が多いためであり, ねっとりしているのは, 同じ理由で, 豆中の水溶性ペクチン量が多いためと考えられる.4) ゆで豆を加熱しながら調味すること, 圧力鍋ゆで豆は硬さに変化がないが, 常法のゆで豆は硬くなる.しかし, 調味料の浸透量には差がない.