著者
尾崎 奈津
出版者
日本語学会
雑誌
日本語の研究 (ISSN:13495119)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.65-79, 2007-01-01 (Released:2017-07-28)

本稿は否定命令文の機能と特異性,さらに命令文と否定の関わりについて記述したものである。従来,叙述の否定文は先に肯定的想定があってはじめて使用されることが知られているが,否定命令文も叙述の文と同様,肯定的な事態,すなわち命令文の対象となる行為が先にあって使用される。そしてその行為の成立する時間および意志性という二つの要因により,文の機能が,事態の実現を要求する《命令》から,〈不満の表明〉・〈当為的判断〉・対象となる行為に対する〈評価〉・〈願望〉に変化する。実例では後者の《命令》以外のもののうち,叙述文的な機能を担う〈不満の表明〉〈当為的判断〉〈評価〉の例が非常に多く出現する。しかもその中で〈評価〉は否定命令文に特有のものである。こうしたことから,否定命令文は肯定命令文に比べて叙述文に傾く傾向が強いといえる。
著者
村田 次郎 塩田 将基
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.71, no.2, pp.95-100, 2023-06-06 (Released:2023-06-10)
参考文献数
7

「重い人ほどすべり台を速く滑るのは何故か」という疑問を動機とした,すべり台の摩擦に関する大学生の探究学習の実践例を報告する。一様重力場中の落下加速度は質量によらず一定であり,これは動摩擦がはたらく状況でも同じであると学習するが,これと生活経験が矛盾する事から生じる疑問である。物体が滑る加速度を実測し,空気抵抗の寄与,動摩擦係数の質量依存性,速度依存性を調べた。ローラー式すべり台では動摩擦係数が一定ではない事が示された一方,金属板式すべり台では一定値からずれる有意な結果は得られなかった。
著者
池田 朋子 田口 玲奈 北小路 博司
出版者
公益社団法人 全日本鍼灸学会
雑誌
全日本鍼灸学会雑誌 (ISSN:02859955)
巻号頁・発行日
vol.70, no.3, pp.230-241, 2020 (Released:2021-10-28)
参考文献数
13

【目的】全国の不妊クリニックを対象に、不妊治療における鍼灸の認識やその導入の実態を明らかにし、今後の不妊鍼灸における問題点を考察する。 【対象と方法】2015年9月現在、(公社)日本産科婦人科学会ホームページ上で「体外受精・胚移植の臨床実施に関する登録施設」、「ヒト胚および卵子の凍結保存と移植に関する登録施設」、「顕微授精に関する登録施設」の全てに該当する547施設を対象に、郵送による無記名のアンケート調査を行った。 【結果】有効回収率は28.5% (156/547通) で、回答者の82.7%を医師が占めた。不妊治療における鍼灸は55.1%で認知されていた。しかし、実際に鍼灸を導入している施設は8.3%で、72.0%では今後も導入予定はなかった。鍼灸を導入している施設は婦人科医院が最も多く、鍼灸導入状況と病院形態に関連性がみられた(p=0.037)。また、鍼灸導入と情報源の有無には関連性がみられた(p=0.0009)。鍼灸の導入目的には、「精神的ストレスの緩和」が75.9%と最多であったが、導入しない理由としては、「鍼灸治療に十分なエビデンスがあると感じられないため」が59.3%と多かった。 【結論】現在、鍼灸を導入しているクリニックは少数であるが、今後、比較研究などエビデンスに基づいた、医師や患者にも分かりやすい鍼灸治療の有効性を示す必要があると考えられた。また、鍼灸師が他の医療従事者と同等のレベルで不妊治療について意見・情報交換ができるようになれば、クリニック内での導入や、クリニックと提携して治療を行う鍼灸院が増える可能性があり、鍼灸師のレベル向上が求められる。
著者
戸田 貴子
出版者
公益社団法人 日本語教育学会
雑誌
日本語教育 (ISSN:03894037)
巻号頁・発行日
vol.142, pp.47-57, 2009 (Released:2017-04-25)
参考文献数
12
被引用文献数
1

本稿では,近年の学習者音声に関する研究成果を紹介し,音声教育実践について述べる。 三つの調査の結果から,1)発音上の問題がコミュニケーションの弊害になっているとの認識を学習者が示していることが明らかになった。一方,2)大人になってから学習を開始した場合でも,学習次第でネイティブレベルの発音習得が可能であることがわかった。また,3)学習成功者は発音学習に対する意識・学習方法・インプットの量などの理由に支えられて高い発音習得度を達成したことが示唆された。 これらの研究成果を踏まえ,教室内外において発音練習ができる学習環境を整備し,学習機会を提供することにより,自律学習を促していくことを提案した。具体例としては,1)シャドーイング練習用DVD教材,2)オンデマンド日本語発音講座,3)日本語発音練習用ソフトウェアの開発について述べた。
著者
灰田 美知子
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.62, no.2, pp.132-138, 2022 (Released:2022-03-01)
参考文献数
16

気管支喘息(以下,喘息)は心理社会的要因の影響が多い疾患であるが,そのさまざまな不定愁訴は心理社会的要因のみならず背景に存在する副腎機能低下症(adrenal insufficiency:AI)の関与も否定できない.本来の喘息の重症度に加え,過去の副腎皮質ホルモン使用による続発性のAIがあれば,それは不定愁訴の関与因子として疑う必要がある.AIは個人差も大きく実臨床での確定診断は困難である.今回,128例の喘息患者の副腎機能検査として①コルチゾールの日内変動,②24時間尿中コルチゾール,③ACTH負荷試験を実施し,その解析を行った.喘息患者の約15.6%にきわめて重症な副腎機能低下を認めたほか,CMI,YG性格検査,TEGなどを実施したところ,AIの重症度に応じて身体的自覚症状,疾病頻度などが高く,AIが,このような不定愁訴の背景にある可能性も考慮する必要があると考えられた.
著者
甘露 純規
出版者
日本近代文学会
雑誌
日本近代文学 (ISSN:05493749)
巻号頁・発行日
vol.101, pp.16-31, 2019-11-15 (Released:2020-11-15)

江戸期、抄録は読書の際に、気に入った文章を抜き書きし記憶する行為だった。こうした抄録は読者にとって単に文章表現を記憶するだけでなく、気の概念を媒介として、自らの作文のための想像を掻き立てた。本稿では、明治二一年の吉田香雨『小説文範』を手掛かりに、抄録物を生み出した文化的背景、具体的には明治期以前の記憶と想像の関係を明らかにした。また、こうした明治以前の記憶・想像についての言説が、明治期の心理学の移入の中でどのように解体されていくかを示した。
著者
大原 佳世子 川西 秀則 伊藤 大 正岡 亮太 藤井 光子 福本 幸夫
出版者
日本野生動物医学会
雑誌
日本野生動物医学会誌 (ISSN:13426133)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.99-104, 2000 (Released:2018-11-03)
参考文献数
10

広島県(農林水産部)が1994年から実施したツキノワグマ保護管理計画に基づいて捕獲された野生ニホンツキノワグマの, 薬物による不動化を実施した。不動化の方法は, 箱罠またはくくり罠で捕獲された個体に対して, 20%塩酸ケタミンと2%あるいは5%塩酸キシラジンの混合液を, 吹き矢, 麻酔銃または注射器によって筋肉内注射した。実施した26例のうち, オス12例, 雌3例の合計15例で, 初回の注射で不動化することができた。基準投与量は体重1kg当たりケタミン10mg, キシラジン1mgとし, 推定体重に基づいて投与量を計算し, 不動化後に実測した体重から体重1kg当たりの投与量を逆算した。実際の投与量は体重1kg当たり, 最低ケタミン6.25mg+キシラジン0.625mgから, 最高ケタミン20.00mg+キシラジン2.00mgで, 注射後3〜11分で不動化した。また, この不動化に要した注射液の注入量は, 最少が体重26kgの個体に対する1.75ml(20%ケタミン液+5%キシラジン注射液使用), 最多が体重75kgの個体に対する15ml(20%ケタミン液+2%キシラジン注射液使用)であった。不動化薬投与による副作用と思われる症状は, 1頭において軽度の全身性痙攣と唾液分泌昂進を認めたが, 無処置で覚醒した。
著者
水谷 知生
出版者
公益社団法人 日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.80, no.5, pp.405-408, 2017-03-31 (Released:2017-09-13)
参考文献数
28

It has been indicated that “The Japanese Landscape Theory” by Shiga shigetaka, which was published in 1894, was the key to change the way Japanese see natural landscape. The change occurred during this period seems to have resulted in the designation of National Parks in 1930s, and further investigation of the background is required. This paper examines the transition of landscape photographs published in the “Taiyo” magazine, which is considered to be one of the factors influencing the way of seeing natural landscapes in Japan by distributing a large quantity of printed landscape photographs to the public. As the “Taiyo” magazine started to publish photographs selected by competitions, photographs of unidentified landscape increased in number after 1902, whereas “Meisyo” had been mainly featured before around 1900. This paper suggests that the distribution of photographs which had been influenced by landscape painting, hence emphasizing artistic beauty of landscapes, had changed the way general readers see natural landscapes.
著者
野寺 裕之
出版者
一般社団法人 日本臨床神経生理学会
雑誌
臨床神経生理学 (ISSN:13457101)
巻号頁・発行日
vol.44, no.4, pp.203-211, 2016-08-01 (Released:2017-08-09)
参考文献数
24

脱髄性末梢神経疾患は免疫療法による治療が可能であるため, 見逃し無く診断することが重要である。神経伝導検査をはじめとする神経生理検査は多くの末梢神経の病態をベッドサイドで明らかにできるため特に重要な検査であるが, 診断基準が複雑であることから, 項目を丸覚えするのではなく, 検査異常を示す電気生理学的メカニズムを理解することが正確な診断と病態の把握に必須である。さらに, 電気生理学的検査に加え, 末梢神経の画像検査が有用とされ, 脱髄を示唆する神経腫大を画像的に検出することができれば診断精度が向上する。MRIとエコーなどを用いた画像検査と神経生理検査を組み合わせた病態の把握が進んでいる。
著者
平岡 昭利
出版者
地理空間学会
雑誌
地理空間 (ISSN:18829872)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.53-70, 2008 (Released:2018-04-12)

行為論で人間行動を解釈する視点から,明治期,日本人の南洋進出の行為目的は,アホウドリであったと想定し,それを追った行動が「帝国」日本の領域拡大につながったことを検討した。アホウドリは小笠原諸島では早くから認識され,1885 年頃には羽毛が外国に輸出されていた。鳥島でアホウドリ撲殺事業を始めた玉置半右衛門は,巨利を得て実業家となり榎本武揚などの南進論者と深くかかわっていた。当時,無人島開拓などの新聞小説が広く読まれるなか,開拓事業に成功した玉置は数々の書物に取り上げられ,無人島探検ブームの一因となった。このブームの中,アホウドリから莫大な利益がもたらされることを認識した人々は,当時の地図に数多く描かれていた疑存島の探検に競って乗り出し,権利獲得競争の果てというべきガンジス島問題も発生した。このようにアホウドリから一攫千金を目論む山師的な人々の行動が,「帝国」日本の領域を東へ,南へと拡大したことを明らかにした。
著者
Ikuya Sato
出版者
The Japan Sociological Society
雑誌
Japanese Sociological Review (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.41, no.4, pp.346-359, 1991-03-31 (Released:2009-10-19)
参考文献数
47

本論文は、もっぱらトマスとズナニエツキのテクストに沿って、状況の定義概念の初期の定式化とその後の変遷をあとづけ、この概念が、行為主体と「構造」の関連を明らかにする上でもつ「感受概念」としての潜在力を明らかにする。社会学におけるスタンダードな用語の一つである「状況の定義」は、これまで主に社会的行為の主意主義的な側面を表現する代表的な概念として取り扱われてきた。しかしながら、この概念の初期の定式化の歴史をたどってみると、「状況の定義」は、行為に対する社会文化的な構造の規定性を示す際にも使われていることがわかる。とりわけトマスは「状況の定義」を多義的に使用しているが、これは、様々な行為主体と多様な状況との関連を実証研究を通して明らかにしていく上で彼が用いた効果的な戦略の一つであると考えられる.この「状況の定義」の一見相矛盾する多義的な用法の解明は、現在さまざまな形で試みられているマイクロ社会学とマクロ社会学の統合を進める上で、一つの有力な手がかりを与えてくれる。
著者
内木 武虎 小畠 健 渡邊 学 横尾 望 宮元 敬範 中田 浩一
出版者
The Japan Petroleum Institute
雑誌
Journal of the Japan Petroleum Institute (ISSN:13468804)
巻号頁・発行日
vol.62, no.6, pp.303-308, 2019-11-01 (Released:2019-11-01)
参考文献数
11

スーパーリーンバーンにおいては,タンブル比を上げるなどエンジン技術による燃焼限界(リーン限界)の拡大が図られているが,さらなるリーン限界拡大のためには新しい燃料技術と組み合わせることが重要であると考えられる。本研究では,タンブル比を変更した2種類のエンジンを用い,燃料化学種がリーン限界(IMEP変動率3 %になる空気過剰率)に及ぼす影響を評価した。その結果,燃料組成変更により,リーン限界をさらに拡大することが可能であることを確認した。また,燃料組成変更によるリーン限界拡大効果は,エンジン変更(タンブル比の違い)によるリーン限界拡大効果とほぼ独立していることを確認した。さらに,燃料の層流燃焼速度とリーン限界は良い相関を示した。
著者
大塚 健太 冷水 誠
出版者
一般社団法人 日本基礎理学療法学会
雑誌
基礎理学療法学 (ISSN:24366382)
巻号頁・発行日
pp.JJPTF_2023-04, (Released:2023-09-09)
参考文献数
25

【目的】健常若年者を対象とし,ステップ動作におけるステップ距離の予測可否およびステップ距離の違いが予測的姿勢制御(Anticipatory Postural Adjustments:以下,APA)反応に与える影響を検証することを目的とした。【方法】健常若年者20 名を対象に,身長に応じた3 つの距離でのステップ動作を事前に距離を教示する条件およびステップ直前に提示する条件にて実施し,各種条件におけるAPA 時間,下肢筋活動時間および筋電図間のコヒーレンスを算出し比較した。【結果】筋活動時間においては予測可否によってステップ側前脛骨筋・支持側ヒラメ筋,ステップ距離によってステップ側前脛骨筋・腓腹筋外側頭に有意差を認めたものの,APA 時間およびコヒーレンスにおける有意差は認められなかった。【結論】健常若年者においては,ステップ距離の予測可否およびステップ距離の違いがAPA 反応に及ぼす影響が少ない可能性が示唆された。
著者
Takuma Noda Hanseul Kim Kenta Watanabe Kota Suzuki Naoki Matsui Ryoji Kanno Masaaki Hirayama
出版者
The Ceramic Society of Japan
雑誌
Journal of the Ceramic Society of Japan (ISSN:18820743)
巻号頁・発行日
vol.131, no.10, pp.651-658, 2023-10-01 (Released:2023-10-01)
参考文献数
27

The reaction distribution in the composite cathode of an all-solid-state battery (ASSB) was directly tracked by in situ scanning electron microscopy (SEM) combined with energy dispersive X-ray spectroscopy (EDX). Contact between an electrode active material and a solid electrolyte is important for improving the properties of ASSBs as a promising next-generation battery. An in situ analysis is significant for establishing strategies to obtain sufficient contact areas between the active material and solid electrolyte particles. SEM-EDX has the advantages of in-situ measurement in spatial/time resolution, non-destruction, and versatility. We investigated the sensitivity of EDX to the Na signal and distinguishable distance to ensure sufficient spatial/time resolution. The acceleration voltage of 5 kV for the electron beam provided the highest sensitivity to the Na signal among all acceleration voltages. The distinguishable distance decreased with increasing magnification owing to the decrease in pixel size. Cross-sectional SEM-EDX images of the TiS2–Na3PS4/Na3PS4/Na–Sn cell were collected during charge/discharge. The time variation of Na signal intensity confirms the deintercalation of Na+ in the TiS2–Na3PS4 cathode layer. Moreover, intercalation on the solid electrolyte side proceeded faster than that on the current collector side. This was because the rate-determining step was ionic conductivity rather than electronic conductivity based on the difference between ionic and electronic conductivities. Ex situ observations detected only a uniform distribution in the composite after Na+ diffusion had relaxed. Operando SEM-EDX is a new tool to directly explore the intermediate conditions of electrode materials under ASSB operation.
著者
塚本 由紀 真島 久和 犬飼 幸子
出版者
日本小児放射線学会
雑誌
日本小児放射線学会雑誌 (ISSN:09188487)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.113-118, 2021 (Released:2021-03-27)
参考文献数
18

1歳10か月女児.発熱2日目(第2病日)に痙攣し,単純型熱性痙攣と診断された.第3病日,川崎病主要症状全てを認め川崎病の診断で当院に入院し,免疫グロブリン療法(IVIG)を開始した.同日夜に痙攣を2回認めた.第4病日,発熱が続きJapan Coma Scale 30の進行性の意識障害があり,脳MRIを施行したところ拡散強調画像において,脳梁膨大部,および前頭葉から半卵円中心に対称性の高信号域を認め,拡散係数は低下し,mild encephalitis/encephalopathy with a reversible splenial lesion(MERS)2型の画像所見に合致した.進行性の意識障害を認めたためIVIG追加とステロイドパルス療法を行ったところ,意識障害は改善し,後遺症なく経過した.本症例のように熱性痙攣と考えられた場合でも,脳炎・脳症の可能性があるので慎重な経過観察が必要である.
著者
勝盛 典子
出版者
近世京都学会
雑誌
近世京都 (ISSN:21886709)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.1-99, 2023-09-20 (Released:2023-10-02)

In the collection “Materials related to Akashi Hiroakira donated by Mr. Akashi Hiro’omi, ” in the Kyoto Institute, Library and Archives, there is a hanging scroll of the “Portrait of Hippocrates” (Frontispiece 1) for which the Dutch scholar Udagawa Yōan (1798-1846) wrote a Dutch inscription. It is based on the copperplate illustration of Historische kronyck (Leiden 1698) by Johann Ludwig Gottfried (1584-1633), and is similar to the copperplate portrait of Hippocrates held by Waseda University Library, which was introduced in Ogata Tomio’s The Praise of Hippocrates in Japan (1971). However, in the case of this work, the painting is by ink on paper, and Udagawa’s inscription is written in pen. Akashi Hiroakira (1839-1910), the former owner of the scroll, was a bureaucrat in Kyoto Prefecture for about 10 years from 1870, devoting himself to scientific and technological education and the development of the medical system. This article discusses the “Portrait of Hippocrates” owned by Akashi. A description of the work (hereafter, “Akashi version”) is given here: