著者
岩橋 瑠伊 矢吹 太朗
雑誌
第80回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2018, no.1, pp.113-114, 2018-03-13

デマゴギー(デマ)が拡散されることを防ぐために,デマツイートをリツイートしているユーザーの特徴抽出を行う.そのために,現時点でデマだとわかっているツイートを過去に拡散したユーザの活動履歴を収集・分析する.分析結果をランダムサンプリングしたデータと比較することで,デマを拡散するようなユーザに共通する特徴を抽出し,その結果を報告する.
著者
鬼頭 健介
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
保全生態学研究 (ISSN:13424327)
巻号頁・発行日
pp.2125, (Released:2022-08-03)
参考文献数
41

生態系サービスを持続的に享受するためには、その定量的評価が重要であるが、文化的サービスの評価は他の生態系サービスと比べて進んでいない。文化的サービスの 1つである、芸術にインスピレーションを与えるサービスは、生態系を対象にした芸術作品の数を用いて評価されつつある。しかし、一般市民が作った現代の芸術作品を評価した国内の事例はない。そこで本研究では、鳥類を対象にした現代俳句を題材に、本サービスの定量的な評価を試みた。朝日新聞の投句欄である朝日俳壇に掲載された俳句の中から、鳥類を対象にした俳句を収集し、 2014 -2019年に掲載された鳥類の各科の俳句数と生息環境の関係を調べた。さらに、 1996 -2019年に掲載された鳥類を対象にした俳句数の年変化を調べ、本サービスの増減傾向を調べた。解析の結果、農地、湖沼河川に生息している鳥類の科の俳句数が多いことが分かった。両環境では人と鳥類が生活空間を共有しているため、本サービスが提供されやすいと考えられた。俳句数の変化を調べた結果、鳥類を対象にした俳句の総数は変化していなかった。しかしその内訳を調べると、特定の科に限定されない鳥綱全体を対象とした俳句は増加しており、特定の各科を対象とした俳句は減少していた。この傾向の理由として、特定の科を対象とする俳句を詠むのに必要な、種の識別や生態に関する知識レベルや、詳細な観察意欲が低下していることが影響している可能性が考えられた。これらの結果を踏まえて、農地と湖沼河川を中心とした生態系の保全や、生態に関する知識の教育などが、本サービスの維持にとって重要である可能性が考えられた。本研究は、日本の現代の芸術を対象にインスピレーションサービスを定量的に評価した貴重な事例である。この結果を他の生態系サービスの定量的評価に統合することで、よりバランスの取れた保全に関わる意思決定につながるだろう。
著者
小宮根 真弓
出版者
公益社団法人 日本皮膚科学会
雑誌
日本皮膚科学会雑誌 (ISSN:0021499X)
巻号頁・発行日
vol.119, no.11, pp.2151-2156, 2009-10-20 (Released:2014-11-28)

表皮細胞の角化はすなわち表皮細胞の分化である.表皮は角化することにより,適切なバリアー機能を発揮し,外界の刺激から人体を守っている.表皮細胞の分化にあたり,多数の分子が順序良く精密に制御されながら発現している.これらの分子に遺伝的に異常が生じることにより,それぞれ特徴的な臨床症状を発現する遺伝性皮膚疾患が発症する.表皮の角化に影響を与えるもう一つの因子として炎症がある.炎症により発現する炎症性サイトカインによって,表皮の角化・分化に関与する遺伝子の発現が影響を受け,その結果角化の異常が生じる.表皮に生じた異常により,表皮のバリアー機能の破綻をきたしたり,樹状細胞やリンパ球に影響を与えることにより,全身の免疫機能にも影響することが最近の報告で明らかになっている.

18 0 0 0 OA 泉のほとり

著者
正宗白鳥 著
出版者
新潮社
巻号頁・発行日
1924
著者
関野 由香 柏 絵理子 中村 丁次
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.63, no.3, pp.101-106, 2010 (Released:2010-07-22)
参考文献数
20
被引用文献数
14 4

社会環境の変化にともない, 夜間生活が一般化してきている。本研究では, 夜遅い時刻の食事摂取が, 食事誘発性熱産生 (DIT) に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした。喫煙習慣のない健康な女子大学生 (平均年齢20.5±1.2歳) 33名を対象に, 一律500 kcalの食事を, 7: 00, 13: 00, 19: 00に摂取する朝型と, 13: 00, 19: 00, 1: 00に摂取する夜型の2種類設定し, クロスオーバー法にてDITを測定, 評価した。朝型では7: 00の食事のDITが, 他の時刻の値に比べて有意に高く (p<0.05), 夜型では深夜1:00の食事のDITが, 他の時刻の値に比べて有意に低くなった (p<0.01) 。3食分のDITを合計した3食合計DITは, 夜型が朝型より有意に低くなった (p<0.01) 。このことから, 朝食を欠食し夜食を摂取した夜型化は, DITの低下により1日のエネルギー消費量を減少させ, 肥満の一要因になる可能性が示唆された。
著者
田中 卓 竹林 崇 花田 恵介
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.41, no.1, pp.86-93, 2022-02-15 (Released:2022-02-15)
参考文献数
23

今回,脳卒中後左片麻痺と左半側空間無視を伴う全般的認知機能障害を呈した事例に対して,病態に応じた工夫を施した麻痺手に対する複合的なアプローチ(病棟スタッフ主体のTransfer Packageや課題指向型アプローチ,電気・振動刺激)を実施した.結果,予後不良と考えられた事例において,臨床上意味のある最小変化量を超えた上肢機能の改善と,意味のある作業の達成が可能となった.さらに,半側空間無視も中等度の障害から軽度の障害への変化が見られた.回復期の介入のため,自然回復の影響は否めないが,本介入は認知機能低下を呈した事例に対する上肢機能アプローチにおける工夫として有用な可能性があると考えられた.
著者
福島 健介 小原 格 須原 慎太郎 生田 茂
出版者
一般社団法人 CIEC
雑誌
コンピュータ&エデュケーション (ISSN:21862168)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.112-120, 2005-06-01 (Released:2014-12-01)

Web上から適切なサイトを探し出し目的の情報を素早く的確に探し出す能力(情報検索能力と定義する)は,図書の適切な利用とともに,現在の高度通信情報社会において,子ども達に身に付けさせたい能力の一つとなっている。しかしながら,現状では,系統的な指導がなされないままに,学習者は経験に基づく自己流の検索技術を用いている。そのため,情報検索能力には個人差が大きく,それが学習者の学習能力や学習効率に影響を与えている。本研究では,効果的な検索能力の体得に向けて必要な教授内容についての知見を得るために,情報検索能力に及ぼす要因をあきらかにすることを目的とした。高校生と大学生に同一の検索テストと情報環境に関するアンケートを実施した。また,高校生においては,情報の探索過程の詳細な解析を行った。その結果,男女間で情報検索能力に差があること,大学生の方が高校生より情報検索能力に優れていること,高校生と大学生では情報検索能力に及ぼす要因が異なること,高校生ではPC環境や利用状況・検索実行頻度とともに「言語に関わる知識・理解」が情報検索能力に及ぼす重要な要因となっていることがあきらかとなった。

18 0 0 0 OA 鶯宿雑記

著者
[駒井乗邨] [編]
出版者
巻号頁・発行日
vol.巻47-48,
著者
堀輝 三
出版者
The Japanese Society of Plant Morphology
雑誌
PLANT MORPHOLOGY (ISSN:09189726)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.31-40, 2001 (Released:2010-06-28)
参考文献数
6

要旨: 中国からわが国へのイチョウ伝来の論議では、その時期については、これまで飛鳥時代(7世紀)から室町時代(16世紀)までの900年にもわたる時間スケールにまたがり、かつその具体的根拠や出典が示されない場合が多かった。一方、もたらされたものが、木、種子いずれであったかも曖昧のままにされてきた。本稿では、中国および日本に残る文献資料を中心に、最近韓国で発見された遺物資料、ならびに筆者の観察を加えて、この二つの問題点について考察した。イチョウが中国の町に登場したのは10-11世紀であり、11世紀には市街地でも植栽され始め、12世紀には薬用効果が確かめられた。現在知られる、イチョウに関連するわが国の最も古い文字資料は、1370年頃成立の『異制庭訓往来』である。しかし、最近1323年頃(元代前期)中国から博多へ向かう途中、韓国沿岸で沈没した船から引き上げられた遺物の中からギンナンが発見された。これは、ギンナンが輸入果実としてわが国に持ち込まれた可能性を強く示唆している。輸入が始まった時期を示す資料は発見されていないが、宋代末期の日宋交易にまで遡る可能性はある。輸入されたギンナンは室町時代中期(1500年代)までには国内に広まり、その中から木に育つものが出てきたと考えられる。したがって、伝来の時期は13世紀から14世紀にかけての100-150年くらいの間であろうと推定される。今後、さらなる資料の発掘によって、より限定した時期の特定が可能になると期待できる。
著者
横地 早和子 岡田 猛
出版者
日本認知科学会
雑誌
認知科学 (ISSN:13417924)
巻号頁・発行日
vol.14, no.3, pp.437-454, 2007 (Released:2009-04-24)
参考文献数
40
被引用文献数
9 5

This study investigated the creative expertise of artists who had been making art for many years. In an initial study, we interviewed four artists at different stages of their careers about their previous artworks to investigate how they made them and how they changed in the course of their making. We asked, for instance, about their concept of each artwork, when and how a new series of artworks emerged, and so on. It was revealed that experienced artists formed their artistic vision (i.e., their long-term intention or main theme related to making art) after changing series of artwork several times, and then created artworks based on it. On the other hand, younger artists did not recognize their artistic vision yet, making artworks based on their temporary interests. In a second study, nine professional artists with more than 10 years of experience were interviewed about their whole body of artworks to identify how they became creative experts and how their artistic vision was formed. As a result, it appeared that there are three periods in creative expertise: the first is “being constrained to external criteria”; the second is “forming their own internal criteria”; and the third is “generating harmonious creations with the artistic vision.” In sum, when the artists were young, they made artworks based on external criteria. Later on, they recognized the limitations of this approach, and started to focus on internal criteria. Finally, on average about 13 years after beginning their artistic careers and creating several series of artworks, artists formed a personal artistic vision. At that point they were confidently able to make original artworks.
著者
Youichi KAMAE Wei MEI Shang-Ping XIE
出版者
(公社)日本気象学会
雑誌
気象集誌. 第2輯 (ISSN:00261165)
巻号頁・発行日
vol.95, no.6, pp.411-431, 2017 (Released:2017-11-14)
参考文献数
76
被引用文献数
54

Eddy transport of atmospheric water vapor from the tropics is important for rainfall and related natural disasters in the middle latitudes. Atmospheric rivers (ARs), intense moisture plumes that are typically associated with extratropical cyclones, often produce heavy precipitation upon encountering topography on the west coasts of mid-latitude North America and Europe. ARs also occur over the northwestern Pacific and sometimes cause floods and landslides over East Asia, but the climatological relationship between ARs and heavy rainfall in this region remains unclear. Here we evaluate the contribution of ARs to the hydrological cycle over East Asia using high-resolution daily rainfall observations and an atmospheric reanalysis during 1958-2007. Despite their low occurrence, ARs account for 14-44 % of the total rainfall and 20-90 % of extreme heavy-rainfall events during spring, summer, and autumn. AR-related extreme rainfall is especially pronounced over western-to-southeastern slopes of terrains over the Korean Peninsula and Japan, owing to strong orographic effects and a stable direction of low-level moisture flows. A strong relationship between warm-season AR heavy rainfall and preceding-winter El Niño is identified since the 1970s, suggesting the potential of predicting heavy-rainfall risk over Korea and Japan at seasonal leads.