著者
首藤 一幸
出版者
東京工業大学
雑誌
若手研究(A)
巻号頁・発行日
2010

今後我々は数百億~兆という規模の分散システムを研究の対象としていかなければならない。これまで、我々研究者が実験可能な分散システムの規模は10万~100万にとどまっていた。本研究ではそれを数百万まで向上させた。成果は、各国の研究者が研究に用いているオープンソースソフトウェアの一部として公開・配布されている。また、汎用分散処理システムの上でシミュレーションを行うという新しいアプローチでの研究を開始した。
著者
宮崎 収兄 大塚 真吾 高久 雅生
出版者
千葉工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

フリーペーパーやテレビなど、身近なメディアからの情報をもとにインターネットへアクセスを行うユーザの行動解析や分析を行った。その結果から、ウェブ空間と実世界を動く人々の行動パターンを明らかにし、ウェブ空間における紙メディアなど実世界の影響力を分析することができた。
著者
山田 拓実 妹尾 淳史
出版者
首都大学東京
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

本研究の目的は1)虚弱高齢者を対象として(A)運動トレーニング,(B)呼吸筋トレーニングを実施しての姿勢,嚥下機能,咳嗽能力に対する介入効果について明らかにすることである。デイサービス利用の要支援1・2の軽度介助高齢者52名を対象とした。介入期間は週2回3ヶ月間とした。インセンティブ・スパイロメトリ(Tri-Ball)と振動PEP療法(Acapella)を使用して呼気筋トレーニングを実施した。運動トレーニングは、低強度の筋力・柔軟性トレーニングを実施した。(A)呼吸筋トレーニング群+運動トレーニング群(B)呼吸筋トレーニング群(C)コントロール群の3群の介入前後での測定値の比較をした。(C)コントロール群と比較して(A)呼吸筋トレーニング群+運動トレーニング群(B)呼吸筋トレーニング群では、1秒量、ピークフロー、反復唾液嚥下テスト(RSST)、最大呼気・吸気口腔内圧の有意な改善がみられた。これらの改善量には有意な差はみられず交互作用はみられなかった。デイサービス利用の要支援1・2の軽度介助高齢者を対象とした週2回3ヶ月間の呼吸筋トレーニングは咳嗽力、呼吸筋筋力、嚥下機能の改善に有効であった。
著者
杉安 和憲
出版者
独立行政法人物質・材料研究機構
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

ポリチオフェンは最もよく研究されてきた導電性高分子のひとつである。応用範囲が広い材料であるからこそ、その基礎的な知見を得ることは極めて重要であり、実験および理論の両面から様々な議論が行われている。本研究では、特殊構造ポリチオフェンを用いて、ポリチオフェンの電気伝導メカニズムに関する新しい知見を得ることに成功した。
著者
常田 聡
出版者
早稲田大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1996

まず,多孔性膜の界面からpolymer brushがはえている構造を作成するために,以下のような手順で膜材料を合成した.中空糸状の多孔性膜(ポリエチレン製)に電子線を照射した後,エポキシ基をもつモノマー(グリシジルメタクリレート)を前駆体としてグラフト重合させた。その後,エポキシ基の一部をイオン交換基(ジエチルアミノ基)に,残りをアルコール性水酸基(エタノールアミノ基)へ変換した.この多孔性膜の膜間に圧力をかけて溶液を透過させ,牛血清アルブミン(BSA)を対流に乗せてpolymer brushまで運び,きわめて短時間で生体高分子集合体を創製できることを確認した。この膜材料に一定流量でBSA溶液を透過させたときの圧力損失は,BSAの吸着が進むにつれて増大する。楕円球の形をしたBSA分子がpolymer brushに最密充填的に吸着していると仮定し,BSAの吸着によって液の透過できる細孔径が減少したとすると、BSA吸着後の膜の透過圧力をHagen-Poiseuille式によって推算できる。この理論式より推算された透過圧力と圧力センサーにより実測した透過圧力を比較した.その結果,実験値と推算値はよく一致することがわかり,吸着容量から推測した多層吸着構造モデルの妥当性が,流体力学的側面からも裏付けられた。また,polymer brush中のイオン交換基密度の増加とともに,電荷が互いに反発してpolymer brushが表面法線方向に伸長し,タンパク質をより多く抱き込む形態をとることが推察された。さらに,生理活性を有する酵素であるウレアーゼをpolymer brushにいったん集積させ,つづいてイオン強度を上げることによって脱離させた。尿素の分解特性をもとに生理活性を評価した結果,polymer brushへの集積前後においてウレアーゼの生理活性は変化しないことが示された。よって、polymer brushは生理活性を維持したまま高密度に生体高分子を集積できる場であることが示唆された。
著者
金澤 周作
出版者
京都大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

18 世紀、19 世紀のイギリスで隆盛を極めたチャリティ活動は、20世紀初頭の「国家福祉」萌芽期においてもなお、困窮者救済に根本的な重要性を持ち続けた。本研究では、第一次世界大戦期に行われた「戦争チャリティ」の実態を実態的かつ言説的に分析することで、国家の積極的介入がこれまでになく強く求められていた戦時下にあってさえ、チャリティの伝統が強固に力を発揮し続けていたさまを明らかにすることができた。
著者
林 香
出版者
慶應義塾大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2011

転写因子 KLF4 は腎臓糸球体上皮細胞(ポドサイト)に発現しており、糸球体障害モデルでは発現が低下した。Tet-on システムを用いたポドサイト特異的 KLF4 トランスジェニックマウスや KLF4 発現プラスミド投与による遺伝子導入により、アドリアマイシン腎症モデルにおいて低下した KLF4 を再誘導すると、ポドサイトの形質が改善しアルブミン尿が減少した。更にその機序には KLF4 のポドサイト形質における Epigenetic 調節が関与していることが示唆された。
著者
脇田 建 佐々木 晃
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

マクロシステムはさまざまなプログラミング言語で使用されているが,多くの問題の原因となることも指摘されている.この点を改善するHygienic構文マクロシステムはLISPについて研究されてきたが,一般のプログラミング言語への応用は限定的であるため,われわれはこの系統的な実装方式にうちて研究し,その技術を応用してJavaScriput,およびScalaのためのHygienic構文マクロシステムを完成させた.研究成果として拡張可能な構文解析器の実装,および,汎用マクロ展開器の実装という二つの主要な困難を解決した.研究成果としてWebで実装を公開している.
著者
久野 純治 前川 展祐 進藤 哲央 棚橋 誠治 戸部 和弘 津村 浩二 大村 裕司 阿部 智広 Beye F. 永田 夏海 村松 祐 榎本 成志 冬頭 かおり
出版者
名古屋大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2011-04-01

テラスケール新物理のフレーバーの物理を行った。標準模型を超える理論に電気双極子能率やレプトンフレーバーを破る過程などの希過程は感度があり、観測量と理論のパラメータの関係を整理し、超対称模型や拡張ヒッグス模型など様々なテラスケールの模型に対して制限を与えるとともに、観測されたヒッグス粒子やLHC実験での新粒子探索の結果との整合性を明らかにした。拡張ヒッグス模型において電弱バリオン数生成の可能性を明らかにした。LHC実験の結果をもとに現実的な大統一模型を明らかにし、陽子崩壊について将来探索との関係を行った。現実的なフェルミオン質量を予言する模型の構築も行い、宇宙レプトン数生成の可能性を示した。
著者
稙田 太郎 江口 洋子
出版者
東京女子医科大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1988

インスリン自己免疫症候群におけるインスリン自己抗体の産生機序は現在なお不明である。我々はこの一端を明らかにするために、先ず本症候群の患者血中に抗原となりうる異常インスリンが存在するか否かについて、高速液体クロマトグラフィ-(HPLC)を用いて分析した。本症候群6人と対照としてインスリン治療により高抗体を獲得した糖尿病患者4人および高インスリン血症患者2人の各血中インスリンを分析した結果、インスリン自己免疫症候群に特異的といえる異常インスリンの存在は証明しえなかった。ただし、この研究の副所見として検出されたインスリン様免疫活性物質の同定が新たな課題となった。次に、本症候群の発症誘因として注目されるSH基薬剤のインスリンに対する影響を検討した。高濃度(88×10^<-3>M)methimazoleとヒトインスリンを孵置した後HPLCにて検討すると、インスリンの溶出特性には全く変化を認めなかった。またSH化合物(methimazole,D-penicillamine,tiopron:n,capto-pril--各1mM)中D-penicillamineを除いては^<125>I-insulinの受容体結合能に障害を与えなかった。一方、治療レベルの上記SH化合物はインスリン受容体の側に対しても明らかな影響を与えなかった。したがって従来推論された如く、SH基薬剤によるインスリン構造の変化に基づく抗体産生機序は否定的であると考えられる。さらに、患者個体の疾患感受性素因に関して、HLA抗原タイプを分析した。これまでHLAタイプが判明している本邦本症候群26症例において、A_<11>、Bw62、Cw4、DR4の出現頻度が一般人口のそれより有意に高率であることが明らかになった。したがって、本邦におけるインスリン自己免疫症候群は特定の疾患感受性を有する個体に発症することが強く示唆される。
著者
丸山 華
出版者
神戸大学
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2008

1. 研究目的(1) 子どもたちの生活の中で使われる語彙の頻度について明らかにする。(2) 使用頻度の高い語彙から単元のテーマを決定し、年間カリキュラムを開発・提案する。2. 研究方法上記の目的達成のために、具体的に次の4点を行った。・ 外国語活動の授業において各学年約6個の活動を子どもたちに投げかけ、活動に必要な単語を子どもたちに挙げさせるなどして、子どもたちの生活に身近な語彙を集積した。・ 上記で集積した語彙を学年別・カテゴリー別にコンピュータに入力した。その結果をもとに単元を構成し、各学年の年間カリキュラムを作成した。・ 各単元の最後に使用語彙の数や種類について、テストとアンケートを行い、作成したカリキュラムの加除修正を行った。3. 研究成果(1) 高頻度語彙のリスト化児童から挙がった語彙の中で頻度の高かったものをカテゴリーに分けてリスト化した。その結果分かったことは、児童の使用する語彙は教科用図書や児童書で扱われている語彙、そのときに放映されているテレビ番組やニュース、流行に大きく影響を受けているということである。現在、小学校に外国語活動が必修化されるにあたり、教師用の参考資料が多く出版されているが、それらは一般的な語彙であり、実際の子どもの興味関心に当てはまると言い難いことが分かった。例えば、A出版社の「職業」のカテゴリーでは、野球選手、歌手、小説家、アナウンサー、ゲームプログラマーなどが挙がっているが、実際に子どもたちから挙がった職業の中で頻度の高かったものは、サッカー選手、考古学者、弁護士、幼稚園の先生などであった。高学年児童の興味関心は、予想以上に広範囲であり、さらに日本語としても高度な語彙を含んでいる。これらの差異は、地域性・時代性が大きく影響するものであるが、だからこそ目の前の児童の生活語彙を調査し、使用する必要がある。(2) 年間カリキュラムの開発使用頻度の高かった語彙をもとに、1~6年生の年間カリキュラムを作成した。低学年では主にゲームや歌を使いながらの活動、中学年ではごっこ遊び(病院・お店)を中心にした活動、高学年では実際の場面(日本文化の紹介・学校案内)を中心にした活動を配列し、同じカテゴリーの単語をくり返し使うことで英語に親しむことができるようにした。
著者
山本 昌 草森 浩輔
出版者
京都薬科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究では、新規骨粗鬆症治療薬であるテリパラチド(hPTH) をマイクロニードル (MN)に封入した hPTH 封入 MN (hPTH-MN) を作製し、その皮膚透過性の改善を試みた。放出試験において、MN に含有された hPTH は、試験開始後5分までにほぼ全量が速やかに放出された。また、hPTH-MN 皮膚適用後の血清中 hPTH 濃度は速やかに上昇し、高い吸収性を示した。さらに、骨粗鬆症モデルに hPTH-MN を適用後、薬理効果を示すことが明らかとなった。最後に、hPTH-MN 適用後、水分蒸散量の上昇が一時的であったことから、皮膚への障害性はほとんどみられないことが認められた。
著者
浅野 俊和
出版者
中部学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究は、「総力戦体制」下にあった末期「保育問題研究会」の活動へと焦点を当て、そこで主張された「国民保育」論を主軸としながら、当時の保育研究運動における国策への〈抵抗〉と〈協力〉の問題を検証したものである。具体的には、会長の城戸幡太郎とともに、末期の活動を支えていた部会チューターである浦辺史や三木安正、代表的会員の川崎大治らの保育思想・保育理論を整理し、そこに見られる「変質」過程の分析を行った。
著者
神田 良 高井 透 キャロライン ベントン 清水 さゆり
出版者
明治学院大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

最近、老舗を研究対象とした経営に関する研究が頓に増えている。長引く不況による倒産企業の増大を背景として、長期的な存続ないしは永続を可能とさせる経営の在り方に関心が高まっているからである。とはいえ老舗研究の多くは、老舗だけを研究対象とした事例研究に基づいて、そこから経営のエッセンを導き出している。そのため、導き出された仮説が老舗全般に妥当する一般的なものなのであるのか、また老舗に特有の特質を示しているのか、それとも老舗以外の企業にも妥当するのかを判定できないものとなっている。本稿は、こうした研究方法論上の限界を克服することを目的として、老舗経営の特質の一般理論化を試みる。事例研究に基づいて導き出された仮説を、老舗と非老舗の両者を対象とした質問票調査を実施することにより検証することで、老舗経営全般に妥当する永続経営の理論を構築することを試みている。
著者
香川 文庸 小田 滋晃 桂 明宏 伊庭 治彦
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

本研究では、(1)非農家子弟の農業参入や定年退職者に代表される高齢者の帰農、Uターン、Iターン就農、(2)既に農業に従事している者による関連事業(農産物加工や販売など)への事業展開、(3)農村女性の活動範囲の拡大、などに着目し、その行動原理を解明するための理論的枠組みを「キャリア・サイクル」、「ライフ・サイクル」という観点から構築した。また、その成果を活用して、多様な農業者の多様な取り組みに対する支援のあり方について論じた。
著者
安福 悠
出版者
日本大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-28

ディオファントス幾何とは多変数多項式の整数解や有理数解について研究する分野で,ボエタ予想はその中での最重要予想の一つである.本研究では,ボエタ予想を射影空間のブローアップ上で新たに証明することに成功した.また,一つの写像を固定し,その多重合成により一つの点がどのように動かされていくか記録したものを軌道と言うが,軌道上の整数点があまりないこと,及び軌道と部分多様体の共通部分には,アーベル多様体の時と異なり規則性が皆無であることを証明した.
著者
小池 克郎 吉倉 廣 小俣 政男 宮村 達男 岡山 博人 下遠野 邦忠
出版者
(財)癌研究会
雑誌
がん特別研究
巻号頁・発行日
1991

B型肝炎ウイルス(HBV)およびC型肝炎ウイルス(HCV)はヒト肝がん発症の原因ウイルスと考えられている。HBVにおいては、発がんにもっとも関係の深いと考えられるX遺伝子のトランス活性化機能が明かにされ、セリンプロテアーゼインヒビターとの構造類似性が示され、細胞の転写因子の機能を変化させることにより発がんの初期過程に関与していると推定されている。HCVについては、RNAゲノムの遺伝子構造と発現の研究が進展してきた。そこで、構造と性質の異なるこれら肝炎ウイルスの多段階発がんにおける役割を追及し、肝発がんのメカニズムを明かにする。HBVでは、X蛋白質が肝細胞中の膜結合型セリンプロテアーゼに直接結合しその活性を阻害すること、また、セリンプロテアーゼインヒビター様のドメインとトランス活性化の機能ドメインが一致することも明らかにした。他方、X蛋白質と相互作用する転写因子の存在も明らかにしつつあり、セリンプロテアーゼなど複数の細胞蛋白質と結合することを示した。HCVでは、構造遺伝子の発現様式および発現したポリ蛋白のプロセッシングに加えて、持続感染の機構を一層明らかにした。すなわち、外被蛋白質中に存在する超可変領域(HVR)の頻繁な変化によって免疫機構から逃避した遊離のHCVが、発がん過程で関与していることを示唆した。X蛋白質についてはその機能をかなり解明したので、今後は、in vivoでの動態およびX蛋白質によって促進される遺伝子変異について調べる必要がある。他方、肝発がんでのHCVの中心的遺伝子が何であるかはまだ全く不明である。持続感染の機構がウイルス外被蛋白質の頻繁な突然変異に関係していることは、組み込みが中心であるHBVの持続感染とは非常に異なっており、2つのウイルスの肝炎および肝発がんへの関与が異なるものであることを示唆した。
著者
小俣 政男 下遠野 邦忠 小池 克郎 佐藤 千史 各務 伸一 林 紀夫
出版者
東京大学
雑誌
総合研究(B)
巻号頁・発行日
1994

本邦にて急増している肝癌の9割以上が肝炎ウイルスによる肝硬変症に合併したものであり,その大半がC型肝炎ウイルス持続感染に起因するものであった.肝癌の前駆状態ともいえるC型慢性肝炎患者の数からみて,肝癌症例数は当分の間さらに増加するものと予想された.しかし一方では,同ウイルスに対して約3割の駆除率を有するインターフェロン療法が肝癌発生を抑制することを示唆するデータが得られた.また,インターフェロン有効率を向上させるための方策について種々の検討が行われた.B型・C型肝炎ウイルスの増殖と肝癌の発癌機序,およびインターフェロンの作用機序等について各研究者により別紙に示す研究業績が発表されるとともに,研究者間の情報交換と問題点の整理のために“C型肝炎ウイルス制圧への基本的戦略",“C型肝炎ウイルスの変異と病態",“インターフェロンと細胞内情報伝達機構"をテーマとして計3回の班会議が開催された.その結果肝炎ウイルス制圧の為には、基本的ウイルス増殖機構の解明に最も精力を注ぐべきであり、それなくしては肝炎ウイルスの制圧はありえないという結論に至った。その具体的方策としては、例えば他のウイルスで増殖が比較的明らかにされているポリオウイルスの研究等から多くを学ぶべきであるという結論に達した。また細胞内情報伝達機構については、抗ウイルス剤(インターフェロン)により引き起こされる多くの第二、第三のメッセンジャーについて、個々の症例で検討すべき点が合意した。これらの知識を集積することが重要であり、本研究班の如き総合戦略が最も重要であるという点で一致した。
著者
福原 幹夫
出版者
公益財団法人電磁材料研究所
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

Ni中心の20面体Ni_5Zr_5Nb_3クラスターから構成されたセンチメートルサイズのNi-Nb-Zr-H系アモルファス合金リボンは約223Kまでの低温領域でアモルファス度の上昇に伴って銀より4桁良好な弾道伝導性を示した。~8GPaまでの超高圧の負荷によってもその効果は見られなかったが、アモルファス合金特有の負の温度電気抵抗係数(TCR)が22-25Kで金属結晶特有の正に変換する奇妙な現象を観察した。本アモルファス合金の弾道伝導機構はクラスター問の一電子のトンネリングによって説明がつく。
著者
齋藤 一
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究の成果は、第一に、北海道における「英学」の確立を目指しつつも中央/周縁の論理を反復してしまった玉井武(小樽商科大学)の業績を再検討し、論文として発表したことである。(付け加えるならば、北海道や広島での調査の結果、清水春雄(北海道出身、広島で被曝、岐阜と小樽においてホイットマンを研究した)の存在を発見することもできた。)第二に、沖縄戦と米軍占領を経験しつつもアメリカの文学を研究した沖縄の英米文学者(特に琉球大学)の著作や紀要論文等に彼ら彼女らの苦渋を読み取るための調査をおこなったことである。