著者
芳賀 〓
出版者
日本遺伝学会
雑誌
遺伝学雑誌 (ISSN:0021504X)
巻号頁・発行日
vol.15, no.4, pp.235-240, 1939 (Released:2007-05-21)
参考文献数
2
被引用文献数
2 2

コジマエンレイサウの花瓣はしばしば雄蕋へ變化します。變化の程度は種々で, 最も著しいものは雄蕋と同じ形をとります。變化した花瓣の大部分は, その葯に相當する部分に正常な花粉を作ります。總計136個の花の内の55 (40.4%) はこの變化を示しました。双生花莖に着く花(56.0%) は, 單生花莖に着く花 (31.4%) に較て約2倍の異常花を示します。花瓣の變化は花の大さに無關係に起り, また同一個體でも年により違つた花を開きます。即ち變化の形や程度は遺傳的形質と認められませんが, 變化に對する内的性質はこの植物の遺傳子型に屬するものと考へられます。この植物 (n=15) の染色體組は, 花瓣の無いエンレイサウ (n=10) と花瓣を具へてゐるオホバナノエンレイサウ (n=5) との間の六倍雜種であることを暗示して居ます(未發表)。このことば花瓣の變化と關聯して甚だ興味深い事柄と考へられます。
著者
辛 那〓
出版者
美学会
雑誌
美學 (ISSN:05200962)
巻号頁・発行日
vol.53, no.3, pp.28-40, 2002-12-31

In this Paper, I examine the relationship between criticism on modernization and the system of modern art in the Mingei Movement, clarifying Yanagi's thought on the ideal art and his strategy which he used to make the Mingei Movement successful. I argue, first, that Yanagi understood the relation between things and human beings not on the basis of dualistic relation as the subject and the object, but on the basis of harmonious one that human nature was reflected in the things which were used by the human beings. Therefore, he developed the Mingei Movement, criticizing the way of thinking of modern people who gave too much importance to reason and logical knowledge, and the system of modern art which was isolated from daily life. His Mingei Movement, however, was performed in a modern way exceedingly, so it made use of an advantage of the modern art structure sufficiently. Accordingly, I will conclude that even the Mingei Movement in itself is a kind of modern art movement that succeeded in drawing the public attention by using the system of modern art well.
著者
李 〓貞 佐藤 昌子
出版者
一般社団法人日本色彩学会
雑誌
日本色彩学会誌 (ISSN:03899357)
巻号頁・発行日
vol.23, no.3, pp.131-140, 1999-09-01
被引用文献数
3

異なる織構造の布間の違いを視覚によって識別するメカニズムについて, 糸, ならびに, 製織布を用い反射光の光学的分析から検討した。試料布は、反応性染料で染色し, その糸を用いて手織機で製織し, 系統的に作製した。30試料布を実験に用いた。色は, 赤, 緑, 青, 紫のそれそれ明度の異なる2水準および1水準の黄と白で, たて糸, よこ糸の打ち込み数がそれそれ6本/cmの3種の織絹織(平織, 綾織, 朱子織)である。反射光特性を変角分光測色計, 及び, 変角光度計を用いて測定した。また、画像処理装置を用い、布表面の一定面積当たりの明部分と暗部分の面積分布を測定した。さらに, 布サンプルに対して8項目の形容詞対を用い一対比較による視覚官能評価を行った。その結果は次の通りである。1)同じ糸から織られた布であっても反射光特性は測色の規定条件において布の製織方向の影響を受ける。2)布の表面色はたて糸, よこ糸の出現頻度によって変化する。3)テクスチャーの違いは布表面の垂直面に対し受光角度を小さくするよりも大きくした方が判定しやすい。4)布の「相い-細かい」, 「厚い-薄い」などのテクスチャーの違いは表面を視るだけで反射光特性から推測しうる。
著者
李 〓貞 佐藤 昌子
出版者
日本色彩学会
雑誌
日本色彩学会誌 (ISSN:03899357)
巻号頁・発行日
vol.23, no.3, pp.131-140, 1999-09-01
参考文献数
7
被引用文献数
3

異なる織構造の布間の違いを視覚によって識別するメカニズムについて, 糸, ならびに, 製織布を用い反射光の光学的分析から検討した。試料布は、反応性染料で染色し, その糸を用いて手織機で製織し, 系統的に作製した。30試料布を実験に用いた。色は, 赤, 緑, 青, 紫のそれそれ明度の異なる2水準および1水準の黄と白で, たて糸, よこ糸の打ち込み数がそれそれ6本/cmの3種の織絹織(平織, 綾織, 朱子織)である。反射光特性を変角分光測色計, 及び, 変角光度計を用いて測定した。また、画像処理装置を用い、布表面の一定面積当たりの明部分と暗部分の面積分布を測定した。さらに, 布サンプルに対して8項目の形容詞対を用い一対比較による視覚官能評価を行った。その結果は次の通りである。1)同じ糸から織られた布であっても反射光特性は測色の規定条件において布の製織方向の影響を受ける。2)布の表面色はたて糸, よこ糸の出現頻度によって変化する。3)テクスチャーの違いは布表面の垂直面に対し受光角度を小さくするよりも大きくした方が判定しやすい。4)布の「相い-細かい」, 「厚い-薄い」などのテクスチャーの違いは表面を視るだけで反射光特性から推測しうる。
著者
大前 〓
出版者
社団法人 有機合成化学協会
雑誌
有機合成化学協会誌 (ISSN:00379980)
巻号頁・発行日
vol.45, no.7, pp.691-700, 1987-07-01 (Released:2009-11-13)
参考文献数
44
被引用文献数
1 2

Process, catalyst, and reaction mechanism for vinyl acetate synthesis have been reviewed. Progress and improvement are discussed in the following sections, (1) acetylene-based process, (liquid- and vapor-phase) (2) ethylene-based process, (liquid- and vapor-phase) (3) carbon monoxide-based process, and, as additional item, (4) newer ethylene synthesis from methane comprised in dry natural gas.
著者
李 炳〓
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
地理学評論 (ISSN:00167444)
巻号頁・発行日
vol.48, no.7, pp.459-484, 1975
被引用文献数
4

日本の梅雨や秋霖と同じ現象である韓国の長森と秋長森について,悪天示数と悪天候日カレンダーとを考案し調査した結果,次のことが明らかになった.長霖は梅雨の中休みにあたる6月23日頃のsingularityの後始まり,韓国の南部では7月中旬,中部では下旬に明ける.長森前線の南北振動によって長霖の中休み及び長霖明け後の長霖のもどり現象が現われる.盛夏に,高緯度低圧帯の低気圧からのびる寒冷前線によって盛夏の中休み現象が現われる.秋長霖は8月下旬から9月初旬にかけて現われるが,日本の秋霖に比べると期間も短いし,現われ方が年によって非常に不規則である.秋長霖は高緯度から南下する寒冷前線によるものと,東支那海から日本列島の南岸沿いに停滞する停滞前線によるものとが認められる. 6月から10月までの寒帯前線の位置と動きは,北太平洋高気圧の動きと密接な関係がある.
著者
〓 黔林
出版者
神戸女学院大学
雑誌
論集 (ISSN:03891658)
巻号頁・発行日
vol.51, no.1, pp.25-34, 2004-07-20

様態助動詞"そうだ"由于在接續、形態及含義上與其他判断語氣的表達形式不同,因而其定位尚相當模糊。本文将"そうだ"的根本含義分爲"予想"和"状態把握",井論證了由于含義不同,其在語氣表達形式中的定位也不盡相同的觀點,導出了"そうだ"具有"状態把握"和"予想"兩種用法,且其間互相連續的結論。"状態把握"這一用法近似現象描寫句,偏向于客観性;而"予想"的用法則是"証拠性判断"語氣的表達形式,偏向主観性。兩種含義雖有所區別,但有時較難分辨。這也證明了作爲語氣表達形式的"そうだ"本身在主觀性和客觀性上是連續的這一特點。
著者
尾崎 広明 〓原 正靖 澤井 宏明
出版者
The Society of Synthetic Organic Chemistry, Japan
雑誌
有機合成化学協会誌 (ISSN:00379980)
巻号頁・発行日
vol.62, no.12, pp.1238-1248, 2004-12-01 (Released:2009-11-13)
参考文献数
71
被引用文献数
1 2

Our recent study on the oligodeoxyribonucleotide (ODN) containing 5-substituted pyrimidine nucleosides is described. 5-Substituted 2 '-deoxyuridine derivatives and 5-substituted arabinofuranosyluracil derivatives were synthesized from 2, 2 '-anhydro-5-methoxycarbonylmethyluridine, which was synthesized from arabinoaminooxazoline and dimethyl α-bromomethylfumarate. Modified ODNs bearing these nucleoside analogs were prepared chemically by pre-synthetic modification method or post-synthetic modification method. Effect of 5-substituent groups on DNA/DNA or DNA/RNA duplexes was investigated by measuring the melting behaviors. Some of these modified ODNs are expected as antisense ODNs since these could induce RNase H activity and impart stability against nuclease. Also, 5-substituted 2 '-deoxyuridine analog triphosphates served as substrates of thermophilic family B DNA polymerases in a primer extension reaction or PCR, to give the modified ODNs. 5-Methoxycarbonylmethy1-2'-deoxyuridine residues incorporated into DNA by PCR could be used to post-synthetic derivatization. This finding is useful for in vitro selection of the functionalized DNA.
著者
李 秀華 五島 瑳智子 村井 貞子 小林 明子 辻 明良 高 細水 胡 尭蒙 〓 玉秀
出版者
Japanese Society of Chemotherapy
雑誌
日本化学療法学会雜誌 = Japanese journal of chemotherapy (ISSN:13407007)
巻号頁・発行日
vol.47, no.10, pp.611-618, 1999-10-25

中国の病院関係者における<I>Staphyloococcus auresus</I>の保菌状況を調べることを目的とし, 1996年, 1997年に中国4省4都市7病院で, 健康者25人と入院患者25人を対象に咽頭と鼻前庭粘膜から<I>S. aureus</I>を分離した。分離株の血清型別および薬剤感受性を調べ, 1996年に行った東京の1病院の成績と比較した。<BR>1) 中国7病院での<I>S. aureus</I>の分離率は4%~25%であり, 東京の1病院での41.2%に比べ有意に低率であった。<BR>2) 健康者からの<I>S. aureus</I>の分離率は入院患者よりも高く, 健康者では医療従事者の方が一般人に比較し高い分離率を示した。また, 咽頭からの分離率が鼻前庭に比較して高かった。<BR>3) 中国7病院で分離された<I>S. aureus</I>の血清型はコアグラーゼVII型がもっとも多く, エンテロトキシン型は一定ではなかった。これに対して日本の1病院から分離された<I>S. aureus</I>42株のうち12株がコアグラーII型, エンテロトキシンC型であり, これらはすべてMRSAであった。<BR>4) 抗菌薬感受性について, 中国7病院での分離株はimipenem, panipenemに対する感受性が高く, tetracycline, erythromycin, roxithromycin, azithromycin には低い成績を示したが, MRSAは分離されなかった。一方, 東京の1病院では42株中17株 (40.8%) がMRSAであったが, すぺての菌株がarbekacinに4.0μg/mL以下, vanoomycinに2.0μg/mL以下のMICを示した。<BR>中国7病院と東京の1病院で分離された<I>S. aureus</I>の各種抗菌薬に対する感受性パターンの相違は, これまでの両国における感染症と治療法の差および医療体制の違いによるものと考えられるが, 西洋医学が急速に導入されている中国において, 今後の薬剤耐性菌の推移を検討する基礎資料となるであろう。
著者
井上 恵子 西川 〓八 木村 直人 広田 公一
出版者
日本体力医学会
雑誌
体力科學 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.41, no.2, pp.156-165, 1992-04-01
被引用文献数
2 2

日常継続的な運動を行っていない6名の男子学生(23〜25才)に対し, 主に上腕二頭節がコンセントリックおよびエクセントリック収縮となるような重量負荷運動を課した. 運動強度は20%MVCであった. そしてその運動の3週間後に同一運動(2nd Ex.)を再負荷し, 筋痛と血清CK活性値, および白血球数におよぼす影響について検討し, 以下の結果を得た. 1. 血中乳酸値は, 1st, 2nd Ex.とも運動直後に有意(p<0.01)な上昇を示し, 運動終了6時間後には安静レベルに戻った. 血中乳酸値は, 両運動間ではとんど差はみられなかった. 2. 白血球数は1st Ex.および2nd Ex.ともに運動終了直後から6時間後まで一過性に増加し, その後安静レベルに戻ったが, 運動終了7日後に再び上昇を示した. 1st Ex.の運動終了6時間後と7日後に, 5%レベルで安静値より有意な上昇が認められた. 3. 血清CKは, 1st Ex.において5名に安静値からの著しい上昇(266〜763%)がみられ, 上昇のピークは運動終了3〜4日後と遅延した上昇を示した. これに対し2nd Ex.のCKは僅かな変動しか示さなかった. 血清CK値の両運動間には有意(p<0.01)な差が認められた. 4. 1st Ex.の運動後, 3〜7日間に亘って被検者全員に筋痛が認められ, そのピークは運動終了2日後であった. しかし2nd Ex.においては, 筋痛の程度は軽く, 消失も早くなる傾向が認められた. 5. 2nd Ex.において, 1st Ex.と同程度の筋痛が見られた被検者YIについては, CKについても1st Ex.と同様の上昇が認められた. しかしその値は, CK上昇が見られた5名中最も低い値であった. 以上のことから, 1st Ex.により, 新組織に損傷を与え筋痛を引き起こしたものと思われるが, 2nd Ex.で認められた筋痛と白血球数およびCK逸脱の低減は, 筋組織の損傷後修復過程が進行し, 3週間後の運動負荷に対し耐えうる準備ができたことによると推察された. また, 1st Ex.においてCK上昇の程度が低かった者には2nd Ex.においても筋痛とCKの低減が認められず, 筋組織に適応を引き起こす閾値が存在することが推測された.
著者
張 媛〓
出版者
東北大学
雑誌
言語科学論集 (ISSN:13434586)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.72-61, 1999-12-24

本稿では近世後期上方洒落本と江戸洒落本における終助詞「わ」と「わ」を含む終助詞を地域差・男女差という観点から比較した。その結果、上方語と江戸語では、使われた終助詞に相違があり、「わ」と複合する終助詞の種類に違いがあり、上方語の方が複合の構造が複雑であることが分かった。そして、男女の位相においても違いがあり、近世前期上方語との比較では、後期上方語は前期より使用範囲が広がり、変化していることが分かつた。
著者
小笠原 〓
出版者
Yamashina Institute for Ornitology
雑誌
山階鳥類研究所研究報告 (ISSN:00440183)
巻号頁・発行日
vol.5, no.4, pp.351-362, 1968-12-30 (Released:2008-11-10)
参考文献数
7
被引用文献数
3 4

調査は1965年11月から,1966年1月までに,キジ,ヤマドリの生態分布及び食性を明らかにするために仙台市周辺及び,秋田県北秋田郡田代町周辺で行なった。冬期,キジ,ヤマドリの生息場所及び生息範囲は,対照的であるが,その分布はかなりオーバラップしている。すなわち,仙台市周辺では,キジの生息範囲はかなり広いが,ヤマドリは主に山地に限られ,一方田代町周辺ではヤマドリの分布範囲が広く,キジは主に米代川沿に多く分布し,さらに,キジの個体数は,仙台市周辺の方が,田代町周辺より多いように思われる。捕獲した鳥は,キジが仙台市周辺で12個体,田代町周辺で2個体,岩手県で1個体で,計15個体,一方ヤマドリは,仙台市周辺で4個体,田代町周辺で1個体の計5個体で,それぞれについての食性調査を行なった。食餌物の全般的配分では,キジでは植物質が全体の99.6%,動物質が0.4%,一方,ヤマドリでは,植物質が全体の99.8%,動物質が0.2%と,両種とも,そのほとんどが植物質であった。さらに,植物質では,キジで37種,ヤマドリで20種が同定できた。仙台市周辺のものでは,キジ,ヤマドリともに,植物の種実が多く,それぞれの77.4%,75.1%を占めていた。田代町のものでは,キジで全体の91.2%が種実であった。植物の種実を,木本類,草木類,つた類と大別すると,仙台市周辺では,キジ(GP),ヤマドリ(CP)では,それぞれ,草木類で,42.2%(GP),44.5%(CP),木本類が,10.4%(GP),12.4%(CP),さらに,つた類では,43.3%(GP),43.1%(CP),となり,草本類及びつた類の種実が多かった。また植物質を科別にみると,キジでは,マメ科,イネ科,ブドウ科,タデ科の種実及びヤマノイモ(ムカゴ)が多く,一方ヤマドリではマメ科,タデ科,ヒユ科,ミズキの種実及びシダ類葉片が多かった。動物質は,きわめて少なく,わずかに5種類にすぎなかった。
著者
森谷 雅人 高木 融 鈴木 敬二 佐々木 啓成 伊藤 一成 片柳 創 土田 明彦 青木 達哉 小柳 〓久
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.63, no.9, pp.2114-2117, 2002-09-25 (Released:2009-01-22)
参考文献数
13

症例は61歳,女性.胃癌にて1997年12月9日,胃全摘術,膵脾合併切除施行. 1998年1月9日より化学療法施行. 18日より経口摂取不良となり,高カロリー輸液(以下, TPN)を開始したが, 2月10日より記銘力低下, 14日より意識レベル低下し, 15日に急性循環不全を呈した.血液ガス分析では, pH 7.136, PaO2 157.0mmHg, PaCO2 9.8mmHg, HCO3-3.3mEq/l, Base Excess -23.4mEq/lと代謝性アシドーシスを呈していた.炭酸水素ナトリウム500ml投与するも効なく,乳酸値を測定したところ144.0mg/dlと高値を示したためビタミンB1欠乏による乳酸アシドーシスを疑い塩酸チアミンを投与したところ,投与後6時間でpH 7.598, Base Excess 8.9mEq/lとなり,意識レベル,循環動態も改善した. 自験例を含めたTPN施行時のビタミン欠乏による乳酸アシドーシスの報告例について文献的考察を加えて報告する.