著者
尹 〓喜
出版者
日本家族社会学会
雑誌
家族社会学研究 (ISSN:0916328X)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.7-17, 2007-04-30 (Released:2009-08-04)
参考文献数
23

近年の社会では, 子世代の高学歴化, 就職時期の遅れ, 結婚年齢の上昇などによって親が成人子の世話をする時期が長くなり, 若者に対する自立が話題になっている。そこで, 本稿では, 成人未婚者の自立に影響を与える要因を探り, 経済的・情緒的・生活的自立間の関連性について男女別に分けて分析することを目的とする。韓国ソウルと京畿道に居住する20~39歳の未婚男女を対象に質問紙調査をした結果, 以下の知見が導かれた。第1に, 経済的自立にもっとも影響を与える変数は, 男女ともに親との別居であった。情緒的自立の場合, 男性では父親との親密度, 女性では経済面に対する父親の態度であった。生活的自立度の場合, 男女ともに親との別居であった。第2に, 各自立間の関連性において, 男性では, 経済的自立と情緒的自立, 経済的自立と生活的自立には正の相関が, 女性では, 経済的自立, 情緒的自立, 生活的自立すべての間に正の相関が見られた。
著者
江 志超 張 家重 〓 方〓 〓 培玉
出版者
日本情報経営学会
雑誌
オフィス・オートメーション (ISSN:0389570X)
巻号頁・発行日
vol.14, no.3, pp.315-317, 1993-10-25

コンピュータエイデイツドソフトウェア工業(CASE)の研究はじようほう管理システム(MIS)のかいはつひんしつとじどう化程度を高めました。この文章にはエイデイツドMIS需求分析のCASEかんきようのせっけい思想とシステムの組合せをずしようかいします。そのかんきようはMIS向け,ストヲクチヤー化システム分析方法の支持グラフィック化へんしゆうきやせつめいげんごやデータ字典ほど提供します。
著者
加賀 昭和 近藤 明 井上 義雄 池島 薫 福田 征克 呂 〓鉉
出版者
社団法人空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
no.138, pp.1-8, 2008-09-05

熱輻射による伝熱問題の解析に必須の形態係数を高速に計算するための,CG(コンピュータ・グラフィックス)技術を用いた形態係数の高速計算法を検討した.本報では,新たに提案する投影法によりCGを用いて描画した透視投影画像から形態係数を算出する.CGで透視投影画像を描く過程は,モンテカルロ法のような数値計算法における衝突面判定の過程に相当する.本手法により最適な陰面消去アルゴリズムを自動的に利用することができるのでプログラムは大幅に簡略化される.また,3次元座標変換に特化したグラフィックス・ハードウェアを用いることで計算時間も大幅に短縮できる.本手法の精度は用いる透視投影画像の解像度から予測することができ,熱放射による伝熱問題の解析で本手法が有効なツールとなる可能性が示せた.
著者
大櫛 章裕 徳永 清輝 〓本 真佑 中村 匡秀
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. LOIS, ライフインテリジェンスとオフィス情報システム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.470, pp.195-200, 2012-03-01

我々は先行研究において,レシートに記載された購買履歴を蓄積して様々な消費者向けサービスに役立てる「レシートログ」の提案を行っている.本研究では,レシートログの一活用方法として,買い物支援サービス「スマショ」の提案・実装を行う.スマショは,買い物における「二重購入」および「買い忘れ」を防止するサービスである.二重購入は家に在庫があるのに同じ商品を買ってしまう問題,買い忘れは家に在庫がないのに買うのを忘れてしまう問題である.スマショは,ユーザがいつ何をどこで買ったかという購買履歴をレシートログAPIを利用して検索し,スマートフォン等のモバイル端末に提示して上記2つの問題を解決する.開発したスマショを被験者8名に実際に利用してもらい,有効性の評価を行う.
著者
潘 小多 中村 浩之 劉 勇 郎 〓華
出版者
日本情報地質学会
雑誌
情報地質 (ISSN:0388502X)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.35-40, 2005-03-25

高速道路など大規模な建設工事するとき斜面の切盛土工の実施は不可欠である.このとき必要な要件は計画切盛土量をバランスさせることである.しかし, 従来切り盛り土量の計画は手動で行なっているため, 非常に効率が悪く, 多くの時間と費用を要し, その改善が求められてきた.近年, 大縮尺のデジタル標高モデル(DEM)の応用によって従来行なわれてきた切盛土量計算を自動的に解析することが可能になってきた.本論文ではARC/INFO GRIDに基づき, 調査地域のDEMと道路に関するパラメータ(切盛法面の勾配, 路面標高, 幅員)を利用して道路の切盛土量の計画を実施した.この解析により斜面の切盛土工を模擬し, 切盛土量をすばやく, 簡単に計算することができる.
著者
潘 小多 中村 浩之 劉 勇 郎 〓華
出版者
日本情報地質学会
雑誌
情報地質 = Geological data processing (ISSN:0388502X)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.35-40, 2005-03-25
参考文献数
4

高速道路など大規模な建設工事するとき斜面の切盛土工の実施は不可欠である.このとき必要な要件は計画切盛土量をバランスさせることである.しかし,従来切り盛り土量の計画は手動で行なっているため,非常に効率が悪く,多くの時間と費用を要し,その改善が求められてきた.近年,大縮尺のデジタル標高モデル(DEM)の応用によって従来行なわれてきた切盛土量計算を自動的に解析することが可能になってきた.本論文ではARC/INFO GRID に基づき,調査地域のDEMと道路に関するパラメータ(切盛法面の勾配,路面標高,幅員)を利用して道路の切盛土量の計画を実施した.この解析により斜面の切盛土工を模擬し,切盛土量をすばやく,簡単に計算することができる.<br>
著者
川鍋 祐夫 押田 敏雄 祝 廷成 白 暁坤 〓 玉龍
出版者
日本草地学会
雑誌
日本草地学会誌 (ISSN:04475933)
巻号頁・発行日
vol.39, no.1, pp.93-100, 1993-06-25
被引用文献数
4

中国東北部などに分布する羊草草地は,かつて家畜に良質の飼草を供給したが,不合理な利用のためアルカリ化による退化が著しいといわれる。その実態を把握し,退化とアルカリ化の関係を明らかにするため,黒龍江省の安達および大慶において植生と土壌の調査を行った。採草地は退化が明瞭でなかったが,放牧地は退化しており,裸地の割合は退化が軽い場合では27-33%,酷い場合では47-78%であった。退化した草地の草種組成は,羊草などアルカリ耐性の弱い種が減り,Chloris virgataなどの一年生や,Polygonum sibiricumなど強アルカリ耐性の種が侵入していた。裸地は植被地より低い所にでき,土壌のpH,電気伝導度,硬度が高く,塩類集積によるアルカリ化や物理性の悪化がもっとも進んでいた。裸地の周辺に同心円状または帯状に異なる植生が配列するのが観察され,微地形が関係した土壌アルカリの微妙な傾度が,種のアルカリ耐性の強弱と対応して植生型の分布に影響していると考えられた。これらの結果から,植生の荒廃と土壌の物理・化学性の悪化が相伴って草地生態系の退化を引き起こしていると考えられた。
著者
成 知〓 (2009) 成 知[ヒョン] (2008)
出版者
東京外国語大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2008

採用第2年目には、採用第1年目の成果をもとに再考察、および、精密化し、『現代日本語の補助動詞の研究-「してみる」と「してみせる」の意味・用法の記述的研究』(以下、本研究と呼ぶ)を題名とする博士論文の執筆に臨んだ。提出予定の博士論文では、語彙レベル、文法レベルの考察によって、「してみる」「してみせる」の語彙的特徴、および、形態・構文的特徴を明らかにし、それを手がかりにして両形式の意味・用法を明らかにしようとしている。また、「してみる」「してみせる」の従来の研究で、「何のために行われるか」という「もくろみ」の観点に改めて注目し、語彙・文法レベルの考察を基盤とし、さらに、連文レベルの考察を行っていることに独創性および意義があると思われる。本研究では、コーパスから採集した実例に基づき「してみる」および「してみせる」の語彙的特徴、形態・構文的特徴を明らかにし、それを手がかりにして、両形式の意味・用法について明らかにする。まず、「してみる」については、「ためし」「気づき」「慣用的用法」の3つの意味があることを示す。また、「してみる」が文脈のなかで「状況把握からの試行」「状況把握からの試行の促し」「発見状況の説明づけ」「理由、評価、立場の説明づけ」「憧れ」「禁止」という文脈的機能を果たしていることを指摘する。次に、「してみせる」については、「動作の直接的提示」「動作や言葉での間接的提示」「豪語」「称賛」の4つの意味があることを示す。また、「してみせる」が文脈のなかで「応答」「合図」「催促」「強調」「証明」「象徴」「手本」「みせびらかし」「披露」という文脈的機能を果たしていることを指摘する。博士論文での研究では、「してみる」および「してみせる」の分析に焦点を当て詳しく論じることにより種々のことを明らかにすることができると思われる。提出後は、「してみる」「してみせる」と関連する他の形式との関わりについての考察に広げていきたい。
著者
黄 暁芬 宇野 隆夫 吉井 秀夫 河野 一隆 上原 雅文 米田 穣 河野 一隆 諫早 直人 宮原 晋吾 臼井 正 張 在明 塔 拉 魏 堅 王 曉〓
出版者
東亜大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究は4年間にわたり、対象調査地のフィールドを通して考古学、歴史学、地理情報システムや年代測定法などの学際的研究を展開していた。主な成果は下記3点にまとめられる。1.漢魏帝都と郡県城址の構造プランとその象徴性1)帝都建設における理念空間の完成:漢帝都長安の建設プランは、南山子午谷口から嵯峨郷五方基壇まで南北軸線全長75kmに及ぶ。それが渭水を中心として都城・陵墓との生・死空間が南北正方位に対置し、天と地・自然山川と記念的建造物の対象性をベースにおき、漢帝国支配の正統と神聖を表象したシンボルであり、東アジア古代都城の成立にも多大な影響を与えていた。2)郡県城址の調査と復元:華北、内蒙古における戦国・秦漢期の郡県城址が計26ヵ所を調査、測量した。GPS・GIS解析によって各遺跡の方位と構造プランを解明し、中央帝都建設に対して地方郡県都市の特色を初めて把握した。一辺500~600四方の城郭都市がほとんどで、北方位を重視するが、真北からの偏角は1度~7度あり、帝都建設ほどの精度がない。その偏角の大小は、中央勢力との関係緊密度に影響されるように見て取れる。城外には正方位重視の墳墓が造営されたことも判明し、帝都長安の都市計画を模倣したものと考える。3)北方国境線遺跡の探求:内蒙古の陰山南麓一帯の調査では、城塞、長城、烽火台の併存が発見した。一辺40-50四方の城塞は城門1つ、石積みの城壁が幅3-5、頑丈な防御施設で、それに長城と烽火台は近接に築かれ、戦国秦漢期の北方軍事施設として完備されたことが判明した。2.秦直道の調査と研究1)秦直道の真相究明:紀元前212年建造された秦帝国の南北幹線道路-秦直道は歴史上、深い謎に包まれ、長い間不明なままであった。近年、秦直道の発掘調査や日中連携調査によって、秦直道の真相がようやく解き明かされてきている。山岳高地の作道、版築土の舗装道路の道幅は平均30m、道の沿線に壮観な皇室の行宮や防御に備えた関所、駅舎施設が付設された。それは高度な土木技術と巨大な権力組織によって創り出された「帝国の道」である。2)古代ローマ道との比較:ローマ道は礫石や砂石の作道が主で、道幅4の石畳みの舗装道が特徴的である。帝国領域間の軍事、交通運輸道として発達し、商用道路の兼用を含む実用性の優れた古代ハイウェーである。3.チベット吐蕃王墓の調査と実測チベットの吐蕃王国を象徴する巨大墳墓の4大分布地点で実地調査とGPS測量を行った。その結果、時期の異なる巨大方墳・円墳を特徴とした吐蕃王室・貴族大墓の構造配置と分布を総合的に把握し、吐蕃大墓の立地方位と景観の特色などの検証が初めて実施した。
著者
伊藤 伸一 小野 充一 多村 幸之進 長江 逸郎 野牛 道晃 只友 秀樹 青木 達哉 小柳 〓久
出版者
特定非営利活動法人 日本小児外科学会
雑誌
日本小児外科学会雑誌 (ISSN:0288609X)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.35-40, 1999

jugular phlebectasia(本症)はまれな疾患であり和文名称も頸静脈拡張症, 静脈脈瘤, 頸静脈奇形, 真性血液嚢胞と統一されていない.また, 本症はその概念を理解されていなければ, 頸部リンパ管腫, 側頸嚢腫, 正中頸嚢腫および他の頸部腫瘤との鑑別に難渋する可能性がある.今回, われわれが経験したのは8カ月の女児で, 患者は頸部の巨大軟性腫瘤でリンパ管腫疑いで当院に入院となった.入院時所見として頸部腫瘤は患児の怒責, 号泣で増大する特徴を有し, 局在診断には超音波, CTおよびMRI, 確定診断には直接穿刺法が有用であった.しかし, 穿刺による血栓形成には十分留意する必要があった.本症の病因については明らかでないが, 先天的または後天的な血管の脆弱化や構造異常および頸部の解剖学的要因が関与していると思われる.
著者
松田 磐余 宮野 道雄 荏本 孝久 正木 和明 瀬尾 和大 〓木 紀男
出版者
関東学院大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1997

平成10年8月25日から荏本・正木・前田、および、〓木(関東学院大学の研究費で参加)がカラカス市に赴き、ベネズエラ地震研究所研究部長ヘルベルト・レンドン、主任研究員のミヒャエル・シュミッッなどと、本年度の研究実施計画について打ち合わせ、12月に開かれるワークショップにベネズエラ側研究者の来日計画について同意した。同時に、カラカス盆地内で建物の常時微動の測定を、ベネズエラ側研究者と協力して実施した。その結果、カラカス市内で42棟、バルキシメト市内で11棟のビルディングの自然周期を観測できた。観測結果をベネズエラ、日本の両者で解析し,、クイックレポートを作成した。12月5日には、研究分担者の瀬尾と〓木がそれぞれ研究代表者になっている国際学術研究(共同研究)と合同で、ワークショップを開催した。このワークショップにベネズエラ地震研究所より、ミヒャエル・シュミッツとホルヘ・ゴンザレスを招聘し、昨年のカリアコ地震についての調査結果の発表を求めるとともに、常時微動測定結果の解釈・カラカス盆地の地形などについて検討した。さらに、カラカス盆地のゾーニングとビルディングの危険度について検討を加えた。2年間の調査期間では短すぎるため、来年度の国際学術研究(共同研究)に荏本を代表者として、再度補助金を申請し、幸いにも採択された。
著者
砂山 幸雄 尾崎 文昭 坂元 ひろ子 村田 雄二郎 高見澤 磨 石井 剛 菅原 慶乃 加治 宏基 佐藤 普美子 晏 〓 佐藤 普美子 晏 〓
出版者
愛知大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本研究は、市場経済化の急速な進展によって大きく変容を遂げつつある中国について、文化の側面から変化の内容と方向を探求することをめざしたものである。言説分析の方法により、主として1990年代以降の政治、思想、イデオロギー言説、文学作品や文化批評を分析し、従来から存在していた近代と反近代(近代批判)、グローバル化と土着性の対立に加え、近年では近代性内部の諸価値相互の対立が顕著になっていることを明らかにした。また、それが中国政治の展開、社会の変化といかに密接に関連しているかを考察した。
著者
李 〓
出版者
お茶の水女子大学
雑誌
人間文化論叢 (ISSN:13448013)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.93-101, 2006

1980年代、中国の文壇では、様々な文学ジャンルが相次いで勢いを見せたが、それに比べると、90年代初期の文壇は間違いなく寂しいものであった。だが、都市文学の再興によってこれらの状況は一変した。「都市文学」を研究するには、まずその定義を定めなければならない。しかし目下の所、評論家や学者らの間に「都市文学」についての定義は存在せず、学者の中には「都市文学」の概念を厳密に定義する必要はないと主張する者すらいる。それゆえ都市文学というこの特定の概念について議論・研究する場合も、それぞれが考える意味内容は決して同じではない。しかし、都市文学の概念や定義をあまりにも拡げすぎると、それを対象とする研究に支障をもたらすことになるだろう。したがって、本研究では「都市文学」を次のように定義する。都市住民・都会生活を描くことを主とし、都会の雰囲気・都会意識を表現する作品をすべて都市文学と呼ぶ。特に指摘しておく必要があるのは、本研究は90年代後期に現れた都市文学の分析に重点を置くが、その中でも小説という文学ジャンルを研究範囲としているということである。中国の文壇にとって「都市文学」は突然降って湧いたものではなく、3、40年代には都市文学の創作が大いに盛んで、劉吶鴎・穆時英・施〓存・張愛玲などの作家が都市の情景や都市住民の生活を描いて大いにもてはやされた。しかし1949年以降は都市文学の創作は低迷期に入る。80年代後半になり、10年間の改革開放政策が大陸の都市部に大きな変化をもたらし、人々の生活や思想・観念も都市化の進展に伴って大いに変化し、都市文学も次第に作家や読者に注目されはじめた。1994年、中国広東省深〓市の『特区文学』という雑誌が「都市文学」創作の烽火を上げて以来、そのブームは今日にまで至っている。今日、都市文学の創作ブームによって、多くの著名な作家が現れた。張欣もその中の一人である。張欣は中国作家協会全国委員会委員・広州市作家協会主席であり、1978年の小説デビュー以来、すでに中篇小説集12作、文集3作、長編小説9作と多数のエッセイ集を出版している。そのうち、『〓星〓案』や『浮華背後』など10作以上の都市文学作品が中国大陸にてテレビドラマとして放送されたおかげで、張欣の都市文学作品の認知度がさらに上がった。張欣は都市を熟知しているばかりでなくその表現にも優れているが、かつてインタビューの中で自らが都市にアイデンティティーを持つことを告白している。彼女の作品の中で最も魅了されるのは、彼女が描く一連の都市の女性像である。それらの女性像を通して、張欣の作品は、90年代以降、女性たちが複雑な都会生活の中で経験した苦悩と矛盾を描き出すと共に、都市という環境が女性の思想や価値観に与える影響を探究し、都市女性に特有な女性意識を表現した。都市に生きる女性の洞察と描写が、張欣作品最大の魅力であろう。本研究の骨子は次の通りである。まず90年代以降、中国において都市文学が再び盛んとなったその原因を考察し、次に90年代以降の都市文学の中国における発展状況及び都市文学の創作ブームの中に現れた著名作家と彼らの作品を紹介する。その中でも張欣の都市文学作品と彼女が描く女性像について重点的に分析する。
著者
金 志〓
出版者
京都大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

本研究は六朝時代から唐代(4 世紀末-9 世紀頃)までの、道教の経典伝授儀礼の成立と、経典伝授と密接な関わりを持って発生した「師」観念について考察する。とくに道教の経典伝授の儀礼化の問題を、三教交渉史・宗教文化史の観点から考え、道教史の展開や六朝隋唐宗教文化史を理解することを目的とする。
著者
古賀 〓子 古賀 貴子 杵川 洋一 北畠 直文
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.34, no.2, pp.154-164, 2001-05-20

改質乳清タンパク質(乳清タンパク質を脱塩した状態において,タンパク質濃度9%および90℃,30分間余熱したもの)で調製した熱安定乳化物の流動特性および官能特性を市販クリームと比較検討した。改質乳性タンパク質および食用油で調製した乳化物は熱安定性が高かった。改質乳性タンパク質およびオリーブ油の割合が1.0 : 0.35で調製した乳化物は対照の市販クリームと近い特性を示した。これは改質乳性タンパク質で調製した乳化物を新しいタイプのクリーム代替品として用いることができるということを示唆している。牛乳と市販クリームを改質乳清タンパク質とオリーブ油で調製した乳化物を置き換えた場合,牛乳および市販クリームで普通に調製したパンナコッタと同様の特性のパンナコッタが得られた。
著者
葉 倩〓
出版者
一般社団法人 人文地理学会
雑誌
人文地理 (ISSN:00187216)
巻号頁・発行日
vol.57, no.6, pp.615-631, 2005-12-28 (Released:2009-04-28)
参考文献数
84
被引用文献数
1 2

本論文は, 日本植民地統治時代の台北における支配-被支配の関係を日常生活から明らかにし, 人々がいかに植民地主義と相対していたのかを論じるものである。日本植民地支配に対して, 人々はただ受容しただけではなく, 交渉し, 妥協し, そして抵抗した。本論文は, 一台湾女性の日常生活に焦点をあて, 植民地支配下の女性たちがいかに日本植民地支配に抵抗したかを明らかにする。男性や若い世代が同化され「日本化」していく中で, 日本植民地時代初期に生まれ, 日本教育を受けなかった世代の女性たちは,「中国的」生活空間に生きていた。中国の慣習や伝統・慣習・儀式を私的空間と近隣空間において保守し, 植民地都市空間の中で確固とした自己意識と自らの場所を築いていたのである。植民地権力は,公的空間において同化・皇民化政策による支配を強化していったが, 私的空間までは完全に支配することができなかった。その私的空間において女性たちは, 中国性‘Chineseness’を保持していくことができたのである。同化せず, 植民地社会の公的空間からは疎外されていた彼女たちが自らの家庭と近隣空間で守り続けた中国的生活様式は, 植民地主義に対する静かな, しかし雄弁な抵抗であった。