著者
鴇田 恵子 矢島 ひろみ 遠藤 洋子 大曽 契子
出版者
信州大学医学部附属病院看護部
雑誌
信州大学医学部附属病院看護研究集録
巻号頁・発行日
vol.40, no.1, pp.4-9, 2012-03

眼科手術後患者は眼の安静と感染予防のために洗顔や洗髪に制限がある。術後洗顔・洗髪の開始時期について述べた先行文献は少なく,術後洗顔・洗髪の開始時期と術後感染の関係性のエビデンスはない。そこで眼科手術後患者に対して,洗顔・洗髪を長期間禁止されることへの不快感を調査した結果,洗顔・洗髪を長期間制限されることで不快感を抱く患者が多くいることがわかった。洗顔は,術後から顔面清拭の指導をしているが,視力障害や手術した眼を触ることへの恐怖感があるため,顔面清拭の方法には個人差があった。また,洗髪については,術後3日目までに洗髪をしたいという希望が多かった。今後,顔面清拭の指導方法の統一をすると共に,術後早期から患者自身での洗髪や洗顔が開始できるよう検討が必要である事が示唆された。
著者
岡野 節子 水谷 令子 岩崎 ひろ子
出版者
The Japanese Society of Nutrition and Dietetics
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.51, no.2, pp.101-105, 1993 (Released:2010-04-30)
参考文献数
6

かぼちゃ, にんじん, 抹茶をそれぞれ添加した食パンを調製して, パンの比容積と物性値の測定を行い, 次のような結果を得た。1) パンの比容積は, かぼちゃ双びにんじんを20%添加したものが, 対照と同じかやや大きく, 添加量が増加するに従い比容積は小さくなった。しかし, にんじん (ゆで) は, 添加量を多くしても対照とほとんど変わらなかった。2) かぼちゃパンは, 硬さ, 弾性率において, かぼちゃ添加量が多くなるに従い大きい値となり, かぼちゃを添加することによりパンは硬くなった。緩和率においてもかぼちゃを添加すると大きくなり, 圧縮した時に回復の悪いパンになることが分かった。3) にんじん (生) パンは添加量が多くなっても, 硬さ, 弾性率とも小さい値でやわらかな良質のパンをつくることができた。4) 抹茶添加では, 小麦粉に対して2.5%添加すると, 膨化性, 物性ともに悪くなり, 良質のパンをつくることはややむずかしかった。以上より, パンの焼性からみると, かぼちゃ, にんじんは小麦粉に対して40%程度, 抹茶は2.5%以下の添加が適当であると思われる。
著者
川上 ちひろ 西城 卓也 藤崎 和彦 鈴木 康之
出版者
日本医学教育学会
雑誌
医学教育 (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.46, no.4, pp.365-371, 2015-09-25 (Released:2017-03-03)
参考文献数
38
被引用文献数
1

背景 : 問題をもつ学習者の問題は体系的に示されてない. 教育者が, その問題を適切に理解するため, 問題をもつ学習者を表現する英語用語と定義を集約し, その問題を因子ごとに分類する.方法 : 系統的文献検索結果 : 用語にはdisability, learning disorders, at-risk, difficult, problem, struggle, underperform, unprofessional unsafe, gifted, outstandingが同定された. 問題因子は, 学習者の特性, 認知, 態度, 技術に大別された.考察 : この分類は教育者が問題を的確に理解する一助となる.
著者
石原 吉明 渡邊 誠一郎 田中 智 山口 智宏 三浦 昭 山本 幸生 平田 成 諸田 智克 坂谷 尚哉 北里 宏平 松本 晃治 薮田 ひかる はやぶさ2LSS データ解析検討チーム はやぶさ2LSS データ作成チーム
出版者
日本惑星科学会
雑誌
日本惑星科学会誌遊星人
巻号頁・発行日
vol.26, no.4, pp.139-143, 2017

<p>「はやぶさ2」は,C 型小惑星リュウグウ(Ryugu)にランデブーし,母船からのリモートセンシング観測及び小型着陸機によるその場観測を行うとともに,最大3 回の表面物質サンプリングを行うこととなっている.サンプリング地点には,リュウグウそのものや母天体,さらには太陽系形成時の惑星集積過程と物質進化について,最大の情報を得られる場所を選定する必要があるが,選定のために必要となる情報はランデブー後取得されるリモートセンシング観測の結果を待たねばならない.そのため,限られた時間の中で小惑星の特徴を把握し,安全性と科学価値の評価(Landing Site Selection, LSS)を行う手順を確立しておくことは必須である.本稿では,はやぶさ2 プロジェクトが来年に迫ったLSS 本番に向けて実施したLSS 訓練について概説する.</p>
著者
宮原 ひろ子 Miyahara Hiroko 毛受 弘彰 Menjo Hiroaki 桑名 宏輔 Kuwana Kousuke 増田 公明 Masuda Kimiaki 村木 綏 Muraki Yasushi 中村 俊夫 Nakamura Toshio
出版者
名古屋大学年代測定資料研究センター
雑誌
名古屋大学加速器質量分析計業績報告書
巻号頁・発行日
vol.16, pp.57-64, 2005-03

This paper presents the variation of solar activity during the Maunder Minimum (1645-1715 AD) deducted from radiocarbon content in tree-rings. Radiocarbon is produced by the galactic cosmic rays, which are modulated by the solar wind and the interplanetary magnetic field in the heliosphere. The production rate of radiocarbon, therefore, reflects the state of solar magnetic activity. Most distinct index of solar magnetic activity it the group sunspot number. The variations of sunspot number have shown clear cyclicity since the 18^<th> century with average length being about eleven years. The sunspots, however, have once almost disappeared during the period of 1645-1715 AD due to extraordinary weakening of solar activity. This period has been called as the Maunder Minimum. There is no remarkable cyclicity in the sunspot variations. We, therefore, investigated the cyclicity of radiocarbon content in tree rings from the Maunder Minimum in order to clarify the characteristics of solar activity during this period. We compared two radiocarbon records obtained newly by our group and by Stuiver et al. The results of frequency analyses have shown that solar magnetic reversals had maintained through the Maunder Minimum and that the length of the "eleven-year" cycle was stretched to 13-15 years.
著者
高橋 智子 齋藤 あゆみ 川野 亜紀 朝賀 一美 和田 佳子 大越 ひろ
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.53, no.4, pp.347-354, 2002-04-15 (Released:2010-03-10)
参考文献数
15
被引用文献数
7

本研究では, 4段階の濃度の異なる重曹溶液 (0mol/l濃度として蒸留水, 0.1mol/l, 0.2mol/l, 0.4mol/l) に浸漬することにより, 軟化処理を施した食肉の硬さと食べ易さの関係について検討を行った.(1) 牛肉, 豚肉ともに, 浸漬する重曹溶液濃度が高くなるに従い, 生肉に対する試料肉の重量減少率が小さくなった.このことより, 食肉を浸漬する重曹溶液濃度が高くなるに従い, 水和が増し保水性が増加すると推測される.また, 重曹濃度が高くなるに従い, 牛肉, 豚肉ともに加熱処理後の肉色が暗くなり, ことに, 牛肉において, その傾向が顕著であった.(2) 肉を浸漬する重曹濃度が高くなるに従い, 軟らかくなり, ことに0.2mol/lおよび0.4mol/l濃度の重曹溶液に浸漬した試料肉が0 mol/l 試料肉すなわち蒸留水浸漬肉に比べ, 有意に軟らかいことが認められた.(3) 重曹溶液濃度が高く, 見かけの硬さが軟らかい試料肉は牛肉および豚肉ともに, 咀嚼時に軟らかく, 咀嚼後に形成された肉食塊は飲み込み易く, また口中の残留物も少ないことが認められ, 食べ易い肉であることが示唆された.(4) 試料肉の見かけの硬さは圧縮速度が遅くなるに従い, 硬くなる傾向を示した.このことより, 咀嚼速度が遅くなる傾向にある中高齢者群や義歯装着者群は低年齢群に比べ, 肉を咀嚼する場合, より多くの力を要することが推測される.このことからも, 軟らかく, 噛み切り易く, 咀嚼し易い肉の開発が重要であるといえる.本研究は基礎的研究であるため高齢者や義歯装着者をパネリストとして官能評価を行っていない.しかし, 高齢者や義歯装着者にとっても咀嚼時に軟らかく, 食べ易い肉は, 重曹などにより軟らかく処理した肉であることが推測され, 肉の軟化操作の重要性が認められた.
著者
伊藤 真琴 三重野 はるひ 藤沼 誉英 大倉 典子 渡辺 洋子
出版者
Japan Society of Kansei Engineering
雑誌
日本感性工学会論文誌 (ISSN:18840833)
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.161-170, 2010 (Released:2016-11-30)
参考文献数
16
被引用文献数
1

The main purpose of this paper is a proposal for restoration support system of historical buildings using virtual environments. Trend has developed to restore historical Japanese buildings such as theaters as symbols of town renovation. However, the restoration of such buildings commonly encounters many difficulties such as a lack of documents, and different construction materials and structures between the old era and the present. Virtual images of a restored building should be a great help in evaluating and discussing various restoration plans. We have constructed a restoration support system for historical buildings, using virtual environments to help the design plan for indoor restoration. CAD data based on actual measurements of an old theater, Tsurukawaza in Kawagoe, were employed to construct the 3D model for the system, which ensures reproduction of the interior details of the theater. The experimental results show the effectiveness of the support system.
著者
三田村 宗樹 中川 康一 升本 眞二 塩野 清治 吉川 周作 古山 勝彦 佐野 正人 橋本 定樹 領木 邦浩 北田 奈緒子 井上 直人 内山 高 小西 省吾 宮川 ちひろ 中村 正和 野口 和晃 Shrestha Suresh 谷 保孝 山口 貴行 山本 裕雄
出版者
Japan Association for Quaternary Research
雑誌
第四紀研究 (ISSN:04182642)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.179-188, 1996-07-31 (Released:2009-08-21)
参考文献数
19
被引用文献数
1

1995年兵庫県南部地震は,阪神地域に甚大な被害を生じさせた.阪神地域は都市化の進んだ場所で,人工的な地形改変が多くの場所で行われている.しかし,現在の地形図上では,その箇所が不明確であるため,過去の地形図との比較から人工改変地形の抽出を行ったうえで被害分布との関連を西宮・大阪地域について検討した.大阪地域では,基盤断層の落下側に被害が集中する傾向があり,基盤構造との関連性が存在することを指摘した.これについては,既存地下地質資料をもとにした地震波線トレースのシミュレーションの結果から,地震波のフォーカシング現象がかかわっているとみている.結論として,日本の大都市の立地する地盤環境は類似し,地震災害に関して堆積盆地内の厚い第四紀層での地震動増幅,伏在断層付近でのフォーカシング,盆地内の表面波の重複反射よる長時間震動継続,表層の人工地盤や緩い未固結層の液状化など共通した特性を有していることを指摘した.
著者
藤井 ひろみ
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.729, 2018-08-25

SOGI(性的指向・性自認)の多様性は,看護学生のなかにも見られます。筆者が2016〜2017年に実施した看護学生へのインタビュー調査では,同性愛指向や性別違和をもつ看護学生がいろいろな対処行動をとりながら,学んでいる事例が明らかになっています(表)1)。 たとえば,学校で実習服のデザインが男女で異なる場合,戸籍とは異なる性別の制服の着用が許可されるか,ということが学業継続の分岐点の1つになり得ます。その交渉のために学校長や教員へのカムアウトが必要になります。しかし性的な個人情報を,すべての学生が公にしたいわけではありません。また学生からカムアウトをされた看護教育者側は,SOGIに関して学生の「同意なき暴露」(アウティングと言います)をしてはなりません。学校として,実習指導者や患者が学生を受け入れてくれるだろうか,SOGIの多様な学生の状況をどの程度伝えるのか,対応を検討することになります。学生自身も「自分の性的指向の話はしたいと思ってるけど,あの人ちょっといや……みたいに思われる方(患者)もいるかもしれないので,どこまでオープンにしようか……」1)と考えている場合もあります。まずは当該学生と相談し,具体的に起こり得る状況を伝え,意思確認をおこなうことが重要です。
著者
藤田 ひとみ / 鈴木 貞夫
出版者
日本福祉大学健康科学部, 日本福祉大学健康科学研究所
雑誌
日本福祉大学健康科学論集 = The Journal of Health Sciences
巻号頁・発行日
vol.21, pp.37-43, 2018-03-30

We summarized the relationship between physical activity and the amount of exercise according to the responses to a self-evaluation questionnaire by local residents (both men and women) in a cross-sectional study. The 65-79-year age group exercised more compared with the 35-64-year age group. The 35-64-year age group also felt the lack of exercise in their daily lives. Self-evaluation was positively corrected to the actual amount of physical activity. These correlations were found both in men and women.
著者
玉井 ひろみ 豊永 友紀 長澤 佳恵 堀 浩子 津村 晶子 佐々木 奈穂 福井 智恵子 岩下 憲四郎 弓削 堅志 岡見 豊一 山岸 和矢
出版者
JAPANESE ASSOCIATION OF CERTIFIED ORTHOPTISTS
雑誌
日本視能訓練士協会誌 (ISSN:03875172)
巻号頁・発行日
vol.29, pp.121-125, 2001-07-15 (Released:2009-10-29)
参考文献数
8

遠方視力検査は5mとされているが、1.1mの距離で検査を行えるスペースセイビングチャート®(SSC-330 Type II、ニデック社、以下SSC)の有用性を検討したので報告する。症例は小児22例、成人105例。小児は5~8歳、9~12歳の症例に分けて検討した。成人は屈折異常のみ、偽水晶体眼、白内障の症例の測定を行った。さらに白内障では、核白内障、皮質白内障、後嚢下白内障に分けて、それぞれ裸眼視力、矯正視力、等価球面値の差について比較検討した。その結果、各症例ともSSCと5m視力表における裸眼視力、矯正視力はよく一致しており、等価球面値の差も0.1D以下で調節介入は見られなかった。使用して感じた利点は1.省スペースとして有用、2.他人に視標が見えないためプライバシーの保護ができる点であった。一方、欠点は1.視標の数が0.1以下で少なく低視力者に使いにくい、2.正面でしか視標が見えないので視野が狭いと視標が見つけにくいのではないか、という点であった。
著者
海野 ひろ花 鈴木 馨
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌
巻号頁・発行日
vol.69, no.8, pp.463-467, 2016

<p>ヨツユビハリネズミ(n=5)の全身麻酔に伴う低体温と危険な随伴症状の発生及び保温の効果について調べた.実験では,アトロピン(0.05mg/kg),ジアゼパム(4mg/kg),ケタミン(50mg/kg)の皮下注射による導入後,イソフルラン(2%)吸入で維持する場合と,高濃度イソフルランガス(5%)による導入後,同じく2%吸入で維持する場合で比較した.麻酔は60分間維持した.保温しないと,注射導入・高濃度ガス導入にかかわらず,全例で明らかな低体温(最低値:29.7±0.6℃)となり,著しい呼吸循環抑制からほぼ全例でチアノーゼが観察された.これに対して保温した場合には,注射導入・高濃度ガス導入のいずれでも体温低下は軽微(最低値:32.5±0.3℃)であり,チアノーゼの発生が大幅に抑制された.これらから,ヨツユビハリネズミの全身麻酔で保温は有効かつ必須であることが示された.</p>