著者
新井 洸三 中村 国昭 小松 剛 中川 鶴太郎
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
工業化学雑誌 (ISSN:00232734)
巻号頁・発行日
vol.71, no.9, pp.1438-1442, 1968-09-05 (Released:2011-09-02)
参考文献数
20
被引用文献数
5

高重合度ポリスチレン(分子量約400~600万)のメチルエチルケトン,ベンゼン,トルエンの各2%溶液を毛細管中で急速に流過させ,1×104から50×104sec-1までの種々の速度勾配の下における溶液中の高分子鎖の切断について調べた。その結果, 同一の溶媒を用いた系では速度勾配が大きいほど主鎖の切断を激しく受け, 試料ポリスチレンの分子量が減少することがわかった。さらに切断に対して良溶媒よりは貧溶媒, 高粘性溶媒よりは低粘性溶媒のほうがより大きな影響を及ぼす傾向があ ることも見い出した。また,種類の異なる溶媒を用いた実験では,切断に対する溶媒能の効果と溶媒の粘性率の効果とが確実に分離され得ないという欠点があるので,前者の影響を独立して調べる目的で組成比率を変えたベンゼンーメタノール混合溶媒系で同様な実験を行った。この結果から良溶媒より貧溶媒のほうが切断に関してより大きな影響を及ぼすという前記の結論を裏づけることができた。
著者
藤井 理絵 関根 智之 山田 雅司 八ッ橋 孝彰 柏木 勢 森永 一喜 中川 寛一
出版者
一般社団法人 日本歯内療法学会
雑誌
日本歯内療法学会雑誌 (ISSN:13478672)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.108-112, 2010 (Released:2017-11-30)
参考文献数
12

Abstract : The implant periapical lesion (IPL), which is a possible cause of implant failure, may occur due to the presence of a pre-existing microbial pathology such as endodontic/periodontal lesions. A 27-year-old female patient underwent the placement of a screw-shaped submergible titanium dental implant in the maxillary anterior region. Six months after implant insertion, the patient visited our hospital and presented with a persistent pain resistant to analgesics. A periapical x-ray showed the presence of a radiolucency at the apical portion of the implant ; this image was confirmed by cone beam CT. Root canal treatment was performed to restore the bone defect in the neighborhood of the fixture. This paper presents a case history related to IPL, which was caused by a pre-existing endodontic lesion.
著者
藤野 篤哉 飛田 敏光 中川 久美子
出版者
The Institute of Electrical Engineers of Japan
雑誌
電気学会論文誌D(産業応用部門誌) (ISSN:09136339)
巻号頁・発行日
vol.117, no.7, pp.815-822, 1997-06-20 (Released:2008-12-19)
参考文献数
9
被引用文献数
4 1

With a view point of space factor in large-scale buildings, this paper first overviews several mass transportation systems and compares their characteristics. Then a loop-type independent-driven multiple-cage elevator system and its high-efficient control method are proposed, The multiple-cage elevator system can reduce its shaft space as half as that of normal elevator system. Computer simulations show the proposed control method can improve waiting time and round trip time, and restrain needless stops. The loop-type multiple-cage elevator system may be feasible for the third transportation system which fills the gap between elevators and escalators in the near future.
著者
中川 理
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.76, no.662, pp.859-868, 2011-04-30 (Released:2011-07-29)
被引用文献数
1

This paper clarifies the roles played by government officials specialized in civil engineering in urban reform during the Meiji era in Japan. This clarification was made by studying the process until the initiation of the urban reform projects titled the Three Major Projects in Kyoto city, which were completed in 1912, as a case example for analysis. In the process of analysis, I clarified the emergence of two types of engineers according to differences in the roles they played. One is the engineer who developed the mayor's urban reform concept into a specific design plan. Not having studied modern technology, the engineer made a mistake in the design of civil engineering projects that required advanced technology, and the person was held responsible for the mistake in the city council. This incidence led to the appearance of another type of engineer. This engineer graduated from the Department of Civil Engineering of Kyoto Imperial University and mastered modern civil engineering. He then attempted to take initiative in council reform using his advanced knowledge.
著者
中川 慎介 丹羽 正美
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.143, no.3, pp.137-143, 2014 (Released:2014-03-10)
参考文献数
16
被引用文献数
2

末梢と中枢を隔てる血液脳関門(blood-brain barrier:BBB)は,単に物質の移動を制限する関門として機能しているだけではなく,機能的なneurovascular unitを形成し,神経・グリア系と相互作用を行っていることが指摘され,脳血管障害だけでなく中枢性疾患におけるBBBの役割も注目されている.また,BBBは中枢神経作用薬にとっては,越えなければいけない障壁であり,薬物の脳内移行性を決定する重要な関所である.薬物の脳内移行性検定やBBBに関する基礎研究のために,培養細胞を用いたin vitro実験が広く行われている.不死化脳毛細血管内皮細胞株はその均一性や簡便性から,BBB研究に広く用いられているが,生体内における細胞の機能を比較的保持する初代培養脳毛細血管内皮細胞を用いた研究も重要である.BBBは脳毛細血管内皮細胞だけで構成されるのではなく,周囲のペリサイトやアストロサイトがBBB機能維持に関与している.本稿では,これら3種類のBBB構成細胞の初代培養方法と,インサート膜を用いた共培養方法を紹介する.作製したBBBモデルは薬物の脳内移行性やBBBに関する基礎研究などに活用できる.
著者
粟田 則男 山本 恵一 中川 寛 杉本 功 坂田 英彦 佐藤 久
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.99, no.2, pp.141-145, 1979-02-25 (Released:2008-05-30)
参考文献数
11
被引用文献数
1 2

Acebutolol hydrochloride was proved by thermal analysis (DTA and TG), IR spectra, and X-ray powder diffraction to have three crystalline forms (form I, II, and III) and an amorphous form. The amorphous form, which was stored at 20°under 91% R.H., was first transformed to forms II and III, and then it was finally transformed to form I. During this transformation, the incorporation and release of water were examined. Form I was stable at this condition, while form II was transformed to form I for 48 hr, and form III was transformed to form I for 2 hr. Further, it was found that the amorphous form was transformed to form II at 80°under 50% R.H. for 3 hr, but at 80°under vacuum it was transformed to form III. Form I at 138°for 8 hr and form III at 130°for 4 hr were transformed to form II. From these results it was concluded that form I was the most stable form at room temperature.
著者
鈴木 盛明 福島 二朗 為国 孝敏 中川 三朗
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木史研究 (ISSN:09167293)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.445-452, 1998

明時期に西洋より導入された鉄道技術は、近世以来、その輸送手段を街道や河川舟運等に依存してきたわが国の運輸形態に大きな影響を与えた。明治政府が、国策として鉄道建設を推進したこともあり、鉄道は生産地と消費地、特に輸出物の産地と港を結ぶために、全国にそのネットワークを形成するようになった。そのため、従来からの舟運は、鉄道路線が並行して敷設されたこともあって、大きな影響を受け、その結果として衰退過程をたどることとなる。本研究では、巴波川舟運と両毛鉄道、および集散地としての栃木市を事例として、鉄道の開業に伴う舟運の衰退過程について実証的な分析を行い、考察を行った。
著者
斎藤 眞 中川 充
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.120, no.3, pp.105-114, 2014-03-15 (Released:2014-07-26)
参考文献数
16
被引用文献数
2 1

山本ほか(2011)は鹿児島県薩摩半島の八瀬尾地域に分布する蛇紋岩の産状を示し,四万十帯の白亜紀堆積岩の上に重なるクリッペとみなした.しかしながら,我々の調査によって,この蛇紋岩体は,過去の報告にあるように,白亜紀の堆積岩類に垂直ないしは高角で南北に延びた岩脈状に迸入したことが明らかになった.その根拠は,彼らが低角境界で堆積岩類に重なるとした尾根上の蛇紋岩体と白亜紀の堆積岩との間に高角~鉛直の境界が存在すること,彼らが指摘した谷沿いに分布する蛇紋岩の孤立岩塊,岩屑堆積物は,明らかな蛇紋岩露頭であることなどの明確な産状による.さらにそれら蛇紋岩の露頭は,谷間で小さな滝を作り,山腹では急崖を作る.この蛇紋岩体は徳之島,四国西部で認められる蛇紋岩に対比され,白亜紀末~暁新世初頭に迸入したものと考えられる.

1 0 0 0 OA 奈良英学史抄

著者
中川 良和
出版者
日本英学史学会
雑誌
英学史研究 (ISSN:03869490)
巻号頁・発行日
vol.1978, no.10, pp.121-134, 1977-09-01 (Released:2009-09-16)
参考文献数
11
著者
奥山 泰世 小池 充 佐々木 伸也 劉 斯宝 田村 正純 中川 善直 今井 章雄 冨重 圭一
出版者
公益社団法人 石油学会
雑誌
Journal of the Japan Petroleum Institute (ISSN:13468804)
巻号頁・発行日
vol.59, no.5, pp.228-234, 2016-09-01 (Released:2016-11-01)
参考文献数
20
被引用文献数
1 4

バイオマスから従来のガソリンに含まれる炭化水素を製造することは,既存のガソリン供給インフラを使用でき,またエタノールよりも多量にガソリンにブレンドできる可能性があることから魅力的である。そのような中,我々は,セルロースからガソリン沸点範囲のオレフィンを製造する方法として,Ir–ReOx/SiO2触媒と酸触媒を用いたセルロースからのヘキサノール製造と,脱水触媒(H-ZSM-5)を用いたヘキセン製造を組み合わせた方法を提案した。我々はこれまでに,硫酸を用いたメカノキャタリシスによる前処理を施したセルロースを水素とともにIr–ReOx/SiO2触媒で反応させたところ,60 %の比較的高収率でヘキサノールが得られることを見出している。本研究では,1-ヘキサノール,2-ヘキサノールおよび3-ヘキサノールの脱水によって得られるヘキセン混合物の組成を明らかにし,そのヘキセン混合物のガソリンへの適用性をJIS規格に基づいて調査した。その結果,ヘキセン混合物は夏季でおおむね22 vol%,冬季でおおむね7 vol%までレギュラーガソリンにブレンド可能であることが分かった。よって,提案した製造経路で得られたセルロース由来のヘキセン混合物は魅力的なバイオ燃料の一つであると考えられる。
著者
髙橋 純一 安村 明 中川 栄二 稲垣 真澄
出版者
認知神経科学会
雑誌
認知神経科学 (ISSN:13444298)
巻号頁・発行日
vol.16, no.3+4, pp.179-187, 2015 (Released:2017-09-26)
参考文献数
20

【要旨】ADHD児に対する新規治療法としてニューロフィードバック (NF) 訓練の中でSCP (slow cortical potential) 訓練を中心に研究紹介を行なった。ADHD児10名のSCP訓練の有効性の検証を行ない、そのうち9名 (ERP指標では8名) が最終的な分析対象となった。訓練前後における神経生理学的指標として、事象関連電位 (ERP) 指標では注意の持続能力に関するCNV振幅を用いた。行動指標では、ADHD傾向を測定できるSNAP-Jが保護者によって評定された。脳波 (EEG) 指標では、SCP訓練におけるセッションごとの陰性方向および陽性方向のEEG振幅の変化を分析した。ERP指標の結果から、SCP訓練前後でCNV振幅の有意な上昇が見られた。一方、行動指標では、SCP訓練前後の評定得点に関する変化は見られなかった。SCP訓練中のEEG振幅については、セッションを経るにつれて陰性方向および陽性方向のEEG振幅の上昇が見られた。CNV振幅は注意の持続を反映することから、SCP訓練によって、対象児の注意の持続に関する能力が上昇したと推測した。以上から、本研究で実施したADHD児へのSCP訓練は一定の効果があったと考えた。また、SCP訓練中のEEG振幅が変容したことから、SCP訓練前後のCNV振幅の変化と訓練中のEEG振幅の上昇との間に何らかの関連が示唆された。
著者
中川 克也 浅見 直樹
出版者
日経BP社
雑誌
日経エレクトロニクス (ISSN:03851680)
巻号頁・発行日
no.897, pp.186-188, 2005-04-11

家庭用カラオケ「e-kara」や「エキサイトボウリング」などを玩具メーカーと共同開発した企業,それが新世代だ。創業メンバーの多くは任天堂の「ファミリーコンピュータ」の開発者であり,家庭向けのコンピュータに挑み続けている。新世代 社長の中川克也氏は,家族全員で楽しむエンターテインメントを家庭に取り戻したいと語る。
著者
松尾 良子 中川 光弘
出版者
日本地球惑星科学連合
雑誌
JpGU-AGU Joint Meeting 2017
巻号頁・発行日
2017-03-10

ニセコ火山群は,南西北海道火山地域の北端に位置する東西25km,南北15kmにおよび,10以上の成層火山や溶岩ドームからなる第四紀火山群である.これまでのニセコ火山群の地質学的研究は,広川・村山(1955)による図幅調査に始まり,大場(1960)や NEDO(1986,1987)により行われている.これらの結果からその噴火活動は約160万年前には開始し,西から東へと新しい火山体を形成しながら現在まで活動が継続していることが明らかになった.地形や噴気活動の有無から,イワオヌプリ火山は,ニセコ火山群の中でも最も新しい火山体とされる.奥野(2003)によって,イワオヌプリ起源と考えられるテフラが見出され,その年代として約6000年前の14C年代値が報告された.しかしながら,奥野(2003)では測定された14C年代値についての信頼度は低いことを指摘しており,またその噴火の様式や給源火口については明らかにされていない.そこで我々は,ニセコ火山の特に完新世の噴火活動履歴と様式を明らかにすることを目的として,地質学的研究を進めている. これまではイワオヌプリとニトヌプリの両方が,ニセコ火山群では最も新しい山体として捉えられることが多かった.イワオヌプリ火山及びニトヌプリ火山を構成する岩石は,斑晶として斜長石,単斜輝石,斜方輝石および磁鉄鉱を含む安山岩である.これに加えてイワオヌプリ火山の岩石は斑晶として角閃石を含まないが,ニトヌプリ火山の多くの岩石は角閃石斑晶を含む.また,全岩化学組成では,両火山はハーカー図上で多くの元素でそれぞれ別の組成変化を示していることで区別できる.両者の噴出中心の位置的違い,被覆関係および岩石学的性質から,両者は独立した火山として考えるべきである.よって本研究では,ニトヌプリ火山活動後に活動したイワオヌプリ火山のみを,ニセコ火山の最新の活動期として取り扱う. イワオヌプリ火山(標高1,116m)は,ニセコ火山群東部に位置し,ニトヌプリ火山活動後,その東側に形成された比高約350m,基底直径約2kmで,火砕丘や複数の溶岩ドームおよび溶岩から構成される火山である.火山体の西側には,直径約800mのイワオヌプリ大火口火砕丘があり,その頂部には直径約1kmのイワオヌプリ大火口が開口している.その火口内部には小イワオヌプリと呼ばれる小型の溶岩ドームが形成されており,それを覆って,大イワオヌプリと呼ばれる山体が形成されている.下部の溶岩ドームと山頂部から東側にかけての複数枚の溶岩から形成されている.さらに,五色温泉火口などの複数の小火口が火山体全域に認められる.イワオヌプリ火山については,被覆関係と噴火様式,噴出中心の違いから,①イワオヌプリ大火口火砕岩類②小イワオヌプリ溶岩ドーム③大イワオヌプリ下部溶岩ドーム④大イワオヌプリ上部溶岩類⑤イワオヌプリ水蒸気噴火火砕岩類の5つのユニットに区分できる. 最初の活動である,イワオヌプリ大火口火砕岩類を形成した活動は,まず水蒸気噴火から始まり,その後はマグマ噴火に移行し爆発的噴火により噴煙柱を形成し,その過程で断続的に火砕流が発生した.この噴火に伴うテフラが奥野(2003)で見出したNsIw-1テフラである.このテフラは東方から西方に向かって層厚および構成物の粒径が増大し,イワオヌプリ大火口火砕丘に対比できる.今回新たに試料を採取し,火砕流中の炭化木片からは9480 cal. yBP,テフラ直下の土壌からは10910 cal.yBPの14C年代が得られた.よってイワオヌプリ火山の活動開始は約9500年前であることが明らかになった.その後は,溶岩ドームの形成や溶岩流出を繰り返し山体が成長した.これらの山体には多くの爆裂火口が形成されており,水蒸気噴火やマグマ水蒸気噴火なども並行して頻発したと考えられる.確認された最後のマグマ噴火は,山頂部から大イワオヌプリ上部溶岩類の流出であるが,水蒸気噴火はその後も発生している可能性が高い.実際に五色温泉近くでの爆発角礫岩層の年代としてmodernという炭素年代測定結果が得られた.今回の調査では最初期の活動年代は明らかにできたが,その後の噴火史についてまだ十分な議論はできない.しかし,9500年前の噴火後の山体の成長と,多数の新しい爆裂火口の存在を考えると,イワオヌプリ火山は完新世を通じて活動した,活動度の高い火山の可能性が高い.