著者
中村 哲也 慶野 征[ジ] 吉田 昌之 Tetsuya Nakamura Keino Seiji Yoshida Masayuki
巻号頁・発行日
vol.3, pp.47-67, 2005-03-31

本稿は、果実の地域需要が如何に変化し、如何なる要因によって地域間格差が存在したのかを、地方及び都道府県の側面から、需要関数を推定することによって明らかにした。分析の結果を要約すると以下の通りである。(1)3大地域別データに基づく需要分析では、1973年のオイルショック後、1988年の貿易自由化・バブル崩壊後、国内需要に変化が見られたが、前者の変化の方が大きかった。(2)都道府県別データに基づく需要分析では、果実需要の減退を表す変数を導入し推定したが、国内外産を問わず、主要5 果実の需要は大きく減退した。各果実の価格弾力性は、みかんでは産地において非弾力的であるが、りんご、なし、すいかでは産地でも弾力的であった。また、みかん、バナナは全国的に平準化した需要形態をとるが、りんご、なし、すいかなどは、地域特化した需要形態をとり、現在でも地域間格差が大きい。
著者
杉本 岩雄 小川 茂樹 中村 雅之 瀬山 倫子 加藤 忠
出版者
一般社団法人 日本環境化学会
雑誌
環境化学 (ISSN:09172408)
巻号頁・発行日
vol.8, no.4, pp.831-840, 1998-12-15 (Released:2010-05-31)
参考文献数
17

ポリマー及びアミノ酸の高周波スパッタ膜を感応膜とした水晶振動子式センサ素子のppbレベルにおける石油留分ガスやガソリン, 重油の揮発ガスの検出機能を調べた。ポリエチレン (PE) 多孔質焼結体のスパッタ膜は成膜方法により大きくセンサ機能が影響を受けた。炭化が進んだPE膜センサや残留水分が多い状態で作成したPE膜センサは感度が不十分であった。これに対して, 排気を十分して作成したPE膜や紫外光励起を行って作成したPE膜センサはppbレベルの石油成分ガスに対し十分な感度を有する。この, 紫外光励起効果によりPE膜センサの検出感度は向上し, 炭素数12以上の直鎖状炭化水素ではppt領域の極低濃度なガス検知が十分可能であることが示唆された。しかし, 感応膜中への拡散による吸収・保持過程が検出機構を支配するため, 飽和するまでの時間の長い, 時定数の大きなセンサ応答を示す。アミノ酸のスパッタ膜を感応膜としたアミノ酸膜センサはppb領域の濃度域では極めて低い応答しか示さず, フロロポリマー膜センサでは検出能力が認められなかった。また, PE膜センサは水蒸気の影響を受けにくく選択的に有機ガスを高感度に検出できことも確認でき, 環境センシングに有力なセンサ素子と言える。
著者
中村 昌彦 百留 忠洋 笠谷 貴史 岩本 久則 大田 豊
出版者
公益社団法人 日本船舶海洋工学会
雑誌
日本船舶海洋工学会論文集 (ISSN:18803717)
巻号頁・発行日
vol.29, pp.89-102, 2019 (Released:2019-09-25)
参考文献数
11

“YUMEIRUKA" is an AUV that Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology (JAMSTEC) has developed and is operating. A seabed resource exploration is carried out by two-set simultaneous operation with AUV “JINBEI" developed by JAMSTEC. “YUMEIRUKA" towing a sensor cable, and the cable is oscillated by the AUV. The up-and-down oscillation of the sensor has a bad influence on the exploration result. Therefore, in order to perform accurate seabed resource exploration, it is necessary to comprehend the motion of the sensor cable and to optimize it. In this paper, motion simulations of a sensor cable towed by X rudder AUV “YUMEIRUKA" are shown.
著者
白鳥 寿一 中村 崇
出版者
一般社団法人 資源・素材学会
雑誌
資源と素材 (ISSN:09161740)
巻号頁・発行日
vol.122, no.6,7, pp.325-329, 2006 (Released:2007-07-25)
参考文献数
6
被引用文献数
20

The condition for material recycling in our country is gradually improving. However, even the current recycling rate of base metals easier to process than rare metals, is not enough. Though several suggestions have been made to improve this situation, they could not be implemented due to restrictions caused by the legal context such as the Waste Disposal Law. Also, in many cases, recycling of materials was limited due to its high treatment costs. If this situation continues to prevail, valuable metal resources indispensable for advanced technology will be lost permanently. And the toxic metals associated with valuable metals will pollute our country gradually. In order to improve the recycling rate and to prevent the diffusion of contaminants, we propose a new system taking various aspects of metal recycling into consideration. This system is based on the concept of "artificial mineral deposit". This system is a paradigm change on the way we look at waste products, as the stockpiled recycling metal is treated as ore deposit. The new system will allow various possibilities of further metal recycling and reduce environmental impact tremendously.
著者
木村 妙子 木村 昭一 自見 直人 角井 敬知 冨岡 森理 大矢 佑基 松本 裕 田邊 優航 長谷川 尚弘 波々伯部 夏美 本間 理子 細田 悠史 藤本 心太 倉持 利明 藤田 敏彦 小川 晟人 小林 格 石田 吉明 田中 颯 大西 はるか 締次 美穂 吉川 晟弘 田中 正敦 櫛田 優花 前川 陽一 中村 亨 奥村 順哉 田中 香月 Kimura Taeko Kimura Shoichi Jimi Naoto Kakui Keiichi Tomioka Shinri Oya Yuki Matsumoto Yu Tanabe Yuki Hasegawa Naohiro Hookabe Natsumi Homma Riko Hosoda Yushi Fujimoto Shinta Kuramochi Toshiaki Fujita Toshihiko Ogawa Akito Kobayashi Itaru Ishida Yoshiaki Tanaka Hayate Onishi Haruka Shimetsugu Miho Yoshikawa Akihiro Tanaka Masaatsu Kushida Yuka Maekawa Yoichi Nakamura Toru Okumura Junya Tanaka Kazuki
出版者
三重大学大学院生物資源学研究科
雑誌
三重大学フィールド研究・技術年報 = Annals of Field Research and Technology Mie University (ISSN:13496824)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.1-32, 2018-10

In this study, we had investigated the benthic deep-sea fauna using the dredge and beam trawl in the region from the continental shelf to the continental slope of the Sea of Kumano, Mie Prefecture, during the No.1722 research voyage of the training ship Seisui-Maru of Mie University. The survey was carried out at 16 stations covering a depth range of 113-1059 m. The results of the survey, 14 phyla had been confirmed. Arthropod, echinoderm, annelid and molluscan macrobenthos were collected from all of the stations. The phylum number of each station was in the range from 4 to 11. The largest number of phyla had been confi rmed at St.10D of boulders bottom(768-800 m depth). Meiobenthos confi rmed in our sample were kinorhynchs, nematodes, tardigrades, loriciferans and small arthropods such as tanaidaceans, copepods and cumaceans. In addition to free-living species, parasitic copepods, isopods, platyhelminthes, acanthocephalans and nematodes had been found in fish, crustaceans and polychaetes.
著者
藤波 直人 古賀 妙子 森嶋 彌重 早田 勇 中村 清一 菅原 努 ZAKERI Farideh
出版者
一般社団法人 日本放射線影響学会
雑誌
日本放射線影響学会大会講演要旨集 日本放射線影響学会第49回大会
巻号頁・発行日
pp.115, 2006 (Released:2007-03-13)

低線量放射線の健康影響調査の一環として、ラムサール高自然放射線地域住民の外部被ばく線量調査を行った。2005年に2回、高自然放射線地域(Talesh Mahalleh)の住民15名と対照地域(Katalom)の住民10名に電子式個人線量計を1日間携帯してもらい、その間の積算線量を調べた。また、NaI(Tl)サーベイメータを用いて屋内外の線量率を測定し、居住係数を用いて積算線量を推定し、実測値との比較・検討を行った。さらに、同じ住民にOSLバッジを約1箇月間携帯してもらい、その間の積算線量を調べた。 2回行った電子式個人線量計から得られた線量には良好な相関が認められ、これらの実測値と屋内外の線量率からの推定値の間にも良い相関が認められた。したがって、電子式線量計によって得られた1日間の積算線量は妥当であると考えられる。 しかし、OSL線量計バッジによる1箇月間の測定から得られた線量には、電子式個人線量計から得られた線量や、屋内外の線量率から推定した線量とは大きく異なる値が認められた。これは、線量計を長期間常に身に付けるのは非常に煩わしく、着替え・脱衣等の際に外され、部屋の片隅に置かれたままになったことが原因と考えられる。Ramsarの高自然放射線地域では、自然放射性核種濃度の高い建材が住居のどの部分に使用されているかで、屋内の線量率は不規則に大きく変化するため、線量計が置かれてしまった場所によって、結果が大きく変動することになる。 したがって、屋内外の線量率の測定と行動パターンの聴き取り調査による推定値で確認を行えば、感度の良い電子式線量計による1日間程度の測定を季節毎に複数回実施する方が、長期間の測定を行うよりも信頼できる個人線量が得られる可能性がある。
著者
伊香賀 俊治 満倉 靖恵 小熊 祐子 福永 興壱 星 旦二 伊藤 史子 苅尾 七臣 星出 聡 藤野 善久 久保 達彦 中村 裕之 福島 富士子 鈴木 昌 渡辺 麻衣子 白石 靖幸 安藤 真太朗 川久保 俊 山川 義徳
出版者
慶應義塾大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2017-05-31

超高齢化の進行に伴う医療費・介護費等の増大は、先進各国共通の課題であり、疾病・介護予防へと政策が転換され始めている。個人の努力による生活習慣改善に限界が指摘される中で、本研究では住環境(住宅や地域)の改善によるCo-Benefit である健康寿命延伸効果に着目し、大規模なフィールド調査と追跡・介入調査によって住環境と脳情報や要介護状態等、新たな客観データによる健康影響の客観的論拠の獲得を進めている。本年度は、さまざまな世代を対象として自宅と自宅以外の環境が居住者の健康に及ぼす影響の調査を目的とした横断面調査の補充ならびに、研究代表者らの科研費基盤A(23246102、26249083)から実施してきた経年調査(縦断面調査)、住環境・執務環境の建替・改修前後調査(介入調査)を実施した。具体的には、青壮年期~中年期を対象とした調査では、自宅環境と居住者の健康(客観指標:家庭血圧、脳MRI撮像データ、睡眠状態、体温、身体活動量、心拍、IgE抗体等)との関連の検証に加え、オフィスでの知的生産性の検証を行った。日中の知的生産性はオフィス環境そのものの影響のほか、前日の自宅での睡眠・休息が影響するため、良質な自宅・オフィスの環境がもたらす相乗効果に関する被験者実験を行った。また、自宅と自宅以外の環境の相乗効果は幼・少年期にも存在するため、幼稚園・小中学校での活発な身体活動と自宅での良好な睡眠が、病欠確率と学習効率への影響を調査・分析した。環境側の調査項目としては温度・湿度、(一部の調査で光・音・空気環境、カビ・ダニ)測定等を行った。今年度の調査対象地は、高知県(梼原町、高知市)、山口県(長門市)、福岡県(北九州市)、東京都(23区内)、神奈川県(横浜市、藤沢市)、山梨県(上野原市、大月市)、広島県(広島市)、三重県(津市、伊勢市)、熊本県(熊本市)、石川県(志賀町)等であった。
著者
中村 亮二
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.69, no.12, pp.587-592, 2019-12-01 (Released:2019-12-01)

環境・エネルギー分野は人間社会の基盤として社会の発展を支えている分野である。気候変動をはじめとする様々な地球規模課題が深刻さを増す一方,持続可能な開発目標(SDGs)のような国際社会における取組みが本格化している。また各国・地域ごとのエネルギー安全保障や循環型経済の実現に向けた取組みも様々に見られる。本稿では,こうした社会経済情勢の中での同分野の研究開発動向の俯瞰について紹介する。具体的には俯瞰報告書の作成プロセスを紹介するとともに,26の研究開発領域の動向の概観や国内状況,また今後の展望・方向性としての「ZACSS(ザックス)」について紹介する。
著者
中村 充博 鈴木 祥悟
雑誌
総合政策 = Journal of policy studies (ISSN:13446347)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.49-58, 2007-12-01

マツ材線虫病の媒介者であるマツノマダラカミキリの有力な天敵であるアカゲラによる防除効果を高めるためには、防除対象林分でのアカゲラの生息密度を高くすることが重要である。しかし、マツ材線虫病が蔓延しているマツの単純林のような林では、アカゲラが繁殖やねぐらとするための巣穴を掘ることのできる木が少ないことから、生息密度は低い傾向にある。そのため、アカゲラを誘致する目的で人工巣丸太の架設実験を行った。その結果、中空式穴開け型巣丸太が軽量でアカゲラによって繁殖に利用されるまでの期間が短いため最も有効であることが明らかになった。
著者
山内 和也 山藤 正敏 吉田 豊 城倉 正祥 櫛原 功一 久米 正吾 中村 俊夫 増渕 麻里耶
出版者
帝京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2015-04-01

本研究の目的は、シルクロードの交易拠点都市の成立と展開の実態を明らかにすることである。そのために、中央アジアのキルギス共和国北部に位置するアク・ベシム(スイヤブ)遺跡において発掘調査を実施し、考古学的な研究を行った。発掘調査によって都市のプランや構造を明らかにするとともに、周辺地域の調査によって、都市の成立と繁栄に不可欠な水利システムの存在を解明することができた。こうした成果によって、シルクロード沿いの拠点となる交易都市の成立と展開、そして同都市が位置する地域の発展過程について考察することができた。
著者
中村 剛
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集 42 (ISSN:21863628)
巻号頁・発行日
pp.269-272, 2018 (Released:2019-06-15)
参考文献数
8

本研究は,高等学校数学科の授業において,深い学びがなされている状態を把握するために,単元の体系的理解の様相を捉える授業実践とその分析を行ったものである。その際,ICE モデル(Sue,2013)に照らし合わせた振り返りシートを用いた。また,単元の最後には,日々の授業がどのように結びついているかを表現する体系化シートによって,生徒の体系的理解の様相を捉えるという活動を取り入れた。単元終了後に客観評価テスト及び質問紙調査を行った結果,学習者が単元内の学習事項を体系的につなげる事ができている方が,客観評価テストにおいても良い結果が得られたが,質問紙調査においてはつながりを意識していない学習者が多かった。これを受けて,単元の体系的な見通しや,つながりを意識させる工夫について考察した。
著者
長棟 輝行 中村 尚志 遠藤 勲 井上 一郎
出版者
公益社団法人 化学工学会
雑誌
化学工学論文集 (ISSN:0386216X)
巻号頁・発行日
vol.17, no.3, pp.462-469, 1991-05-10 (Released:2009-11-12)
参考文献数
11
被引用文献数
1 1

廃糖蜜とほぼ同一の糖組成 (スクロース : グルコース : フルクトース=2 : 1 : 1) に調整した合成培地を用いた回分培養系および逐次流加培養系において, 酵母菌体結合のインベルターゼによるスクロース加水分解過程ならびにインベルターゼの最大分解速度の変化過程について実験的に検討した.その結果, スクロースの加水分解速度はスクロースによる基質阻害, 加水分解反応の生産物であるフルクトースによる拮抗阻害, またグルコースによる部分的な非拮抗阻害を受けることがわかった.さらに, 酵母菌体結合インベルターゼの最大加水分解速度は, 全糖濃度が高い場合には低く抑制されているが, 全糖濃度が低くなるにつれて増加することがわかった.この最大加水分解速度と全糖濃度との関係は一本の無次元特性曲線で表すことができた.これらの結果に基づいて, 酵母菌によるスクロースの加水分解過程のモデル式を構築し, これを用いてシミュレーションを行った.シミュレーション結果は, 回分培養系および逐次流加培養系におけるスクロースの加水分解実験結果と良く一致した.