著者
平野 敦之 伊藤 恵介 川井 祐輔 山本 俊勇 濱野 真吾 長谷川 千尋 水野 芳樹 柴田 康行 小川 久美子 中村 誠 城 卓志
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
雑誌
日本消化器内視鏡学会雑誌 (ISSN:03871207)
巻号頁・発行日
vol.52, no.6, pp.1533-1540, 2010 (Released:2011-11-07)
参考文献数
33
被引用文献数
1

症例は57歳男性.上部消化管内視鏡検査にて頸部食道に異所性胃粘膜に連続する0-I+IIc病変を認めた.同部からの生検により腺癌と診断し,頸部胸部食道切除+遊離空腸移植術を施行した.切除標本の病理組織的検索にて異所性胃粘膜より発生した食道腺癌,深達度sm3と診断し,さらにMUC5AC,MUC6,MUC2,Cdx2の免疫染色により腸上皮化生を伴った異所性胃粘膜より発生した胃腸混合型の腺癌と診断した.
著者
中村 彰男 河原田 律子
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
化学と生物 (ISSN:0453073X)
巻号頁・発行日
vol.55, no.5, pp.319-325, 2017-04-20 (Released:2018-04-20)
参考文献数
42

胎児期の子宮内環境が生まれてきた子どもの将来の疾病に影響を及ぼすことがいくつかのコホート研究により明らかになりつつある.現在では妊娠期の低栄養環境が生活習慣病の発症に深く関与するというDevelopmental Origins of Health and Disease(DOHaD)という概念が提唱されている.では,糖尿病の妊婦のように子宮内が高血糖という過栄養環境ではどのようなリスクがあるのだろうか? 本稿では妊婦の子宮内高血糖環境がもたらす子どもへのリスクとそれを改善するω-3系不飽和脂肪酸の役割について解説する.
著者
柳生 将之 中村 明日加
出版者
飯田市美術博物館
雑誌
伊那谷自然史論集 (ISSN:13453483)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.21-25, 2019 (Released:2019-06-05)

2016 〜2018 年にわたって,諏訪市の諏訪湖北東部においてタウナギを確認した.タウナギは東アジアから東南アジアにかけて広く分布し,日本国内では琉球列島に在来の個体群が生息する.しかしながら,奈良県など14 の都府県に生息する個体は,朝鮮半島からの移入による国外外来種と推測されている.長野県における生息の記録は,現在のところ見当たらない.今回の調査によって,当年生まれの稚魚や成熟可能な体サイズの個体を確認したことから,全面結氷する諏訪湖においても越冬が可能であること,さらに,越冬個体が成長して自然繁殖している可能性が示唆された.
著者
中村 清
出版者
日本ウイルス学会
雑誌
VIRUS (ISSN:18843425)
巻号頁・発行日
vol.4, no.3, pp.198-203, 1954-09-25 (Released:2010-03-16)
参考文献数
20

It is the well established fact that after the recovery from the typical course of the Tsutsugamushi disease the patients acquire the solid immunity against it which was proved to last at least for a decade or thereover. However, in regard to the aspect of the immunity development in the case in which the disease was suppressed with antibiotics as soon as the specific symptoms became manifest, there remains much to be made clear.The author, in order to make this aspect clear, made some trials on human beings. Namely the patients of general paralysis, which had to receive the fever treatment, were infected with the inoculation of the virus of the Tsutsugamushi disease, Pescadores strain, of certain titer of mouse LD 50, and received the drug therapy with antibiotics to recovery at the various stadium of the disease. The investigation of the immunity development just mentioned was performed upon them. A part of the results obtained is presented preliminary in this paper as the first report. Namely it can be described summarily as follows.1. The experimental minimal infectious dosis (M. I. D) of the virus of the Tsutsugamushi disease to human beings is of approximate value to mouse LD 50 titer of it.2. Below the M. I. D., the virus cannot elicit the immunity development at all in the human body, althogh it had certainly invaded into it.3. The specific symptoms of the disease become just manifest when the invaded virus multiplied somewhere in the body to such an extent to elicit the rickettsiemia of approximately 10-2 LD 50.4. The patient is far more sensitive to the drug therapy with antibiotics at the height of the disease or still later than at the beginning of it.5. The specific reaction of the site of the skin, where the virus had certainly been inoculated, can sometimes be failed, though the inoculated person contracted the disease typically.6. A certain correlation can be observed between the length of duration of the disease and the degree of rise of OXK agglutinin titer.
著者
中村 恵三
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文報告集 (ISSN:09108017)
巻号頁・発行日
vol.365, pp.84-92, 1986
被引用文献数
1

本稿は,建築家J.B.フィッシヤー・フォン・エルラッハ(1656-1705)の考案したシェーンブルン城第1案(1688)の建築モチーフの考察と,その形態構成表現の柱ともなる彫像作品群の象徴表現の解釈,即ち象徴性の意味関連を考察する事(イコノロギー解釈)を目的としている。既に前稿[I]で,この計画案の要素となる各建築形態が独立的モチーフであり,合成的表現によって,統一ある運動をもつ一つの全体として表現されていることを指摘した。本論では,この構成技法との関連性を踏まえて,建築モチーフの由来及び特色を考察し,またイコノロギー的表現においては,各彫像群の寓意的解釈に図版全体の幾何学的秩序を関係付けた象徴表現の分析をしている。即ちこの計画案の意味内容に,部分と全体との間の必然的統一関連性を求め,寓意像の存在理由に新たな解釈を加えようとするものである。本論では,この図全体の4つの段階ごとの集まりの分類化,つまり城郭部分,2つの庭園テラス部分,そして主要な彫刻作品のある最下層テラスに分け,分析することで,計画案の個々の造形物の由来と特徴を明らかにしようとした。その結果,この計画案が古代ローマのフォルテューナ神殿復原図,また従来,抽象的にしか指摘されていなかったフランスのサン・ジェルマン・アン・レーの影響を,形態構成分析の考察に基づき,より実証的にその直接的影響を指摘した。また彫像作品間に存在する幾何学的構成表現が,象徴表現となっていると云う筆者の指摘は,城郭上方の皇帝像が下層の4つの彫像群を放射状に支配すると云う構成に基づくものである。これは,太陽神に姿を借りた皇帝像が「世界支配」を象徴化していると云う指摘である。それは,この調和的統合表現によって,一つの観念形態を象徴化するイデオロギー表現の存在を意図したものであろう。最後に,この計画案のイコノロギー表現に関与していたとも云われる哲学者ライプニッツの「調和の哲学概念」の関連性を述べているが,前稿[I]の考察も含めこれは彼の哲学概念の視覚上の表現であると云う従来からの観念的指摘に対する,一つの実証的解釈の試みともなっている。
著者
中村 浩也 内藤 誠二 平岡 義光 三村 寛一
出版者
大阪教育大学
雑誌
大阪教育大学紀要. IV, 教育科学 (ISSN:03893472)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.23-32, 2005-09-30

本研究では,全日本実業団選手権大会で優勝経験のある9人制バレーボール選手の主カメンバー14名を対象に,その体力的特徴を明らかにするとともに,プレシーズン期におけるレジスタンストレーニングの効果について検討した結果,以下の知見が得られた。1) 9人制バレーボール選手は,ポジションによって,形態および無酸素パワー,敏捷性が異なることが示唆された。2) 高負荷のレジスタンストレーニングにより,最大筋力が有意に向上した。3) スピードを重視した体幹筋のレジスタンストレーニングにより,腹筋群の筋持久力が有意に改善した。以上の結果から,7月の本格的なシーズンを前に,期分けを考慮した、レジスタンストレーニングプログラムの必要性が認められた。今後は本格的なシーズンの開幕に向けて,スピードを重視した爆発的なパワー系トレーニングと全身のコンディショニングが課題と考えられる。
著者
川村 昭子 請田 芳恵 粟津原 理恵 新澤 祥恵 中村 喜代美 嶋田 靖子 張江 和子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.19, pp.133, 2007

<BR><B>【目的】</B><BR> 2003~4年にかけて、石川県を金沢を中心に南部の加賀、北部の能登の三地域に区分して、調査を行った特別研究「調理文化の地域性と調理科学-魚介類の調理-」より、各地域の調理文化と魚介類の調理の地域性については既に報告した。今回は、三地域において出現している魚介類がどのような行事に食されているかの比較検討を行った。<BR><B>【方法】</B><BR> 三地域において、自記式留置法により調査し集計した143世帯(能登:78 金沢:42 加賀:23)の結果から、今回は行事に用いられる魚介類をとりあげ検討した。<BR><B>【結果】</B><BR> 三地域で出現率の高かった行事は、正月、春・夏・秋の祭り、祝い事、ひな祭り、土用丑の日、誕生日などであり、三地域間では、能登は金沢・加賀に比べ行事は少なかった。しかし、能登では、他の二地域ではみられない「あえのこと(田の神)」という行事が出現していた。行事で食されている魚介類の料理については、金沢では、正月にはタラやサワラ(カジキマグロ)の昆布じめ(刺身)、甘露煮、棒ダラの煮物、かぶらずしなど、祭りや祝い事にはタイの唐蒸し、タイの塩焼き、鉄砲イカなどがあった。加賀では、祭りにシイラやサバを使った柿の葉ずし、押しずしなどであり、能登では、正月や祭りにはイモダコ、なます、麹漬け、昆布巻き(身欠きニシン)などであった。また、能登の「あえのこと」では、メバルの塩焼きをお供えし、家族も同様の料理を食する。今回の調査で出現している魚介類のほとんどは日常で食され、行事又は日常と行事の両方で食するとした割合は少なかった。また、行事に食するとしても行事名が記載されていない魚介類も多くみられた。しかし、三地域間には、魚介類の調理と行事におけるそれぞれの特徴がみられた。
著者
中村 粲
出版者
サンケイ新聞社
雑誌
正論
巻号頁・発行日
no.300, pp.184-188, 1997-08
著者
中村 魁
出版者
京都大学大学院人間・環境学研究科岡田温司研究室
雑誌
ディアファネース -- 芸術と思想 = Diaphanes: Art and Philosophy (ISSN:21883548)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.111-139, 2019-03-29

The Italian philosopher Giorgio Agamben's thought on biopolitics has been influential, but ontological problems in his work, which are important from his first publications to his most recent writings, have been relatively neglected. Agamben characterizes Western ontology as having always considered the problem of being and that of language together: by inserting a hyphen into the word ontology, Agamben calls attention to the relationship between these two elements. This essay addresses presupposing structure, a central concept in Agamben's ontological thinking and the thing he criticizes most. Certain researchers, such as Oliva (2014) and Luzi (2017), have emphasized its importance for understanding Agamben's thought, although scholars in Japan have neglected it. This presupposition is, in his thought, the fundamental operation of Western philosophy, beginning with Aristotle's ontology. Here, we first reconstruct Agamben's analysis of presupposing structure in his reading of Aristotle in Use of Bodies (2014), and argue that this consists of two processes. First, something (being, substance) is divided into two terms, and one (particular existence, primary substance) is extracted from the other (general essence, secondary substance). I call this separation. Second, the excluded is then brought into the opposite term as its presupposition. I call this aspect articulation. This dual operation opens the possibility of language. That is, in Aristotle, the primary substance is identified with the subject (hypokeimenon), which makes all predication possible but is not sayable as such; therefore, the separation of being corresponds to the separation between the linguistic and the non-linguistic. Second, we focus on Agamben's proposal for overcoming presupposing structure. He introduces an important concept in The Signature of All Things (2008), that of the paradigm. Analyzing this concept in two aspects (neutralization of dichotomy, self-referentiality), we clarify Agamben's own ontology, which is not founded in the separation of being. In short, paradigm works as a tertium quid with respect to the general and the particular, suspending that dichotomy. If the thought of being bears a close relationship with the thought of language in Western philosophy, and Agamben is able to do without that relationship, Agamben's view of language must be investigated. This essay, finally, sketches out that view, as expressed in his recent writing, in which he gives a singular interpretation of Plato's Seventh Letter. This paper indicates the importance of ontological issues in Agamben's thought through a focus on the concept of presupposing structure.
著者
中村 桂子 濱村 美恵子 野邊 由美子 澤 ふみ子 菅澤 淳 森下 清文 内海 隆
出版者
公益社団法人 日本視能訓練士協会
雑誌
日本視能訓練士協会誌 (ISSN:03875172)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.154-159, 1991

中途視覚障害者に弱視用テレビ式拡大読書器Closed Circuit Television(以下CCTVと略す)を導入し,実際の活用状況について検討を行ったので報告する.対象の視力は0.04~0.35の5症例で,その中の3例は視野異常を有している.使用機種としてミカミのTOP-01とナイツのビジョンスキャナを使用した.<br>その結果,ルーペが役に立たない症例においても文字使用が可能となり,羞明感が強かった症例には白黒反転が有効であった.しかし現実には『見やすさ』は評価しながらも疲労感が強く使用頻度は一週間に10~30分程度と十分活用ができていない状況であった.それでも患者自身にとっては精神面での支えとなり,本人の満足度が高かった.導入に際しては慎重な対応が必要で,1ヶ月程度の試用期間を設けることが理想である.<br>また,経済的な面を考慮して家庭にあるビデオカメラを利用して簡易CCTVを作ることも可能なので,その具体例なども提示する.
著者
本間 さと 中村 宏治 本間 研一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MBE, MEとバイオサイバネティックス
巻号頁・発行日
vol.93, no.118, pp.49-52, 1993
被引用文献数
1

体温は容易に家庭で計測できる生体情報であるが、発熱の有無以外の健康管理にほとんど利用されていない。体温は測定する部位で異なるだけでなく、時間的変動もあり、明瞭なサーカディアンリズムを示す。深部体温リズムは生物時計の指標となり、交替勤務後のリズム調節などの他に、季節性うつ病や睡眠相後退症候群などの睡眠障害の診断および治療効果判定に有用である。また、患部と健常部の深部体温の比較で末梢循環障害の診断、薬物治療の効果判定が容易になる。そこで、サーミスタにより直腸温と膀胱温を、深部体温計により前額温と足底温を、放射温度計により鼓膜温を連続測定し、生理的な体温の時間空間的な変動を調べ、体温の在宅計測による体内異常の発見や、健康の評価への応用を考えた。
著者
中村 豊彦 黒川 隆則 中津 誠一郎 上田 誠之助
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
日本農芸化学会誌 (ISSN:00021407)
巻号頁・発行日
vol.52, no.4, pp.159-166, 1978
被引用文献数
9 43

<i>Aspergillus niger</i>-12株の生産する3種の細胞外イヌラーゼのうち,イヌリン分解力に特にすぐれているP-III酵素について精製を行い,硫安による結晶化に成功した.本酵素について,一般的性質および作用機作の検討を行い,次の結果を得た.<br> (1) 本酵素は硫安により結晶化され,結晶酵素は,4&deg;C,冷蔵庫内で2か年にわたり安定であった.<br> (2) 本酵素の最適pHは5.3付近,最適温度は45&deg;Cで,pH4.0~7.5の範囲では安定であった.<br> (3) 熱安定性については, pH 5.0, 30分間で, 40&deg;C以下で安定であった.<br> (4) 本酵素はMn<sup>2+</sup>, KCNで活性が強められ, Ag<sup>+</sup>, Hg<sup>2+</sup>, Fe<sup>3+</sup>およびPCMBによって顕著な阻害が認められた. PCMBによって活性が阻害を受けることから,本酵索の活性中心にSH基が存在するものと思われた.<br> (5) 本酵素のイヌリソに対する作用はendo型であり,主な分解生成物はD. P. 3, 4, 5および6のイヌロオリゴ糖であり,イヌリンの分解限度は約45%であった.<br> (6) 本酵素はイヌリンのみに特異的に作用し,ショ糖,ラフィノース,バクテリアレパンおよびメレチトースには全く作用しない酵素であった.<br> (7) 本酵素のイヌリンに対するMichaelis定数(<i>Km</i>)は1.25&times;10<sup>-3</sup>Mであった.
著者
Nicolle Comafay 中村 千佳子 横田 治郎 立木 茂雄
出版者
一般社団法人 地域安全学会
雑誌
地域安全学会論文集 (ISSN:13452088)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.127-134, 2009

<p>This paper utilizes data from Hyogo Ward in Kobe City to implement the person-in-environment model of vulnerability. 612 persons with physical disability were surveyed regarding their personal information, disability and level of care needed, degree of social isolation, housing condition and special needs for mobility/daily living. The results were quantified and scores from the 5 variables were combined to calculate the overall degree of gathered were combined to calculate the overall degree of special needs. From this a multi-hazard mapping of social vulnerability was conducted to visualize the geographic distribution of PSND's. As a result, we were able to identify persons with high degree of special needs in times of disaster.<b> </b></p>
著者
阿久津 敦子 大武 亜弓 中村 邦男
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.17, pp.142, 2005

<br>【目的】市販の鶏卵から取り出した卵白および卵黄について、一定の温度に急加熱したときの粘弾性率の時間発展(凝固曲線)および一定の昇温速度で加熱したときの粘弾性率の温度変化(温度分散)を測定し、卵黄および卵白のレオロジー特性におよぼす加熱時間・温度の影響を調べてきた。今回はゆで卵について、そのレオロジー特性におよぼす加熱時間・温度の影響を調べた結果について報告する。<BR>【方法】産卵後約一週間の市販の鶏卵を共試卵とし、室温に戻した後、所定の温度および時間で温浴加熱した。その後、直ちに流水で充分冷まし、目視によるテクスチャーの観察および粘弾性率の測定を行った。測定にはレオメトリックス社製RDA_II_型レオメータを用いた。<BR>【結果】25℃における生の卵黄は絶対弾性率が約7Pa(ω=6.28rad/s)、損失正接10程度の粘弾性液体である。90℃におけるゆで卵では、卵黄は凝固し、弾性率が10,000Pa、損失正接0.03程度の粘弾性固体に熱変性する。卵黄の凝固反応が生じる最低温度はほぼ58℃であった。他方、生の濃厚卵白は弾性率0.1Pa、損失正接0.3程度の柔らかいゲルであるが、液卵の場合、90℃における凝固曲線は強度、1Pa、10Paと2,000Pa程度の3段階の時間発展を示した。3段目の反応が硬いゆでた卵白に対応する反応であり、その最低温度が70℃付近にあった。50-65℃の温度範囲では弾性率が10Pa程度の柔らかい不透明なゆで卵白となる。したがって、温度範囲65>加熱温度>58では、柔らかい卵白に包まれた固まった卵黄をもつゆで卵が得られる。温度範囲58>加熱温度>50では、卵白中の卵黄は、生の状態に近いことが分かった。
著者
守屋 以智雄 奥野 充 中村 俊夫
出版者
名古屋大学年代測定資料研究センター 天然放射性元素測定小委員会
雑誌
名古屋大学加速器質量分析計業績報告書
巻号頁・発行日
no.6, pp.82-91, 1995-03

名古屋大学タンデトロン加速器質量分析計シンポジウム(1994年度)報告 [タンデトロン加速器質量分析計を用いた14C年代測定の利用による火山噴火史研究の新展開] Proceedings of Symposium on Tandetron Accelerator Mass Spectrometer, Nagoya University "New Developments in Studies on the History of Volcanic Eruptions by Using 14C dates Measured with the Tandetron Accelerator Mass Spectrometer"
著者
金本 麻里 中村 敏健 明地 洋典 平石 界 長谷川 寿一
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集 日本認知心理学会第9回大会
巻号頁・発行日
pp.63, 2011 (Released:2011-10-02)

サイコパシーは、反社会的特徴を持つ人格障害であり、他者の心的状態の認知能力の障害との関連が臨床研究により示されている(Blair, 2005)。先行研究(Ali et al., 2009;2010)では非臨床群を対象に表情・視線・音声刺激が表す感情についての認知課題が用いられ、高サイコパシー傾向者が感情理解に障害を持つことが示唆された。本研究では、その拡張として、感情的側面を含まない他者の心的状態の認知にも障害が見られるかを、大学生を対象に、Dumontheilら(2010)が成人を対象に作成した心の理論課題の成績とサイコパシー尺度得点との関係を見ることで検討した。この課題は相手の視点に立った振る舞いが遂行に必要となるコンピューター上の課題である。その結果、サイコパシー傾向と心の理論課題の誤答数とに正の相関が見られた。つまり、サイコパシー傾向が高いほど感情的側面を含まない他者の心的状態の認知に障害が見られることが示唆された。