著者
伊藤 敬雄 大久保 善朗
出版者
一般社団法人 日本総合病院精神医学会
雑誌
総合病院精神医学 (ISSN:09155872)
巻号頁・発行日
vol.23, no.3, pp.268-276, 2011-07-15 (Released:2015-05-20)
参考文献数
21

日本医科大学付属病院高度救命救急センターに自殺未遂もしくは自傷行為で入院した患者を対象に,その特徴,特に未遂手段・自傷手段を調査した。地域特性を考慮しなくてはならないが,当センターに入院した自殺未遂者・自傷者では,向精神薬の処方例がその85%を超えていた。未遂者の53%,自傷者の76%が向精神薬を未遂・自傷手段として過量服薬し,その割合は女性に多かった。さらに未遂者の45%,自傷者の48%がアルコール乱用もしくは依存症の診断に該当し,その割合は男性に多かった。この結果から,われわれは救命救急医療の場に搬送される未遂者,自傷者に対して,再自殺予防の見地から性別を考慮した向精神薬とアルコールによる精神疾患への早期介入の必要性を提案した。これらの疾患は,それ自体が自殺のハイリスク因子であり,また,自殺企図のハイリスク因子である気分障害,統合失調症そしてその近縁疾患に共存することに注意を払う必要がある。
著者
久保 ゆかり
出版者
東洋大学人間科学総合研究所
雑誌
東洋大学人間科学総合研究所紀要 = The Bulletin of the Institute of Human Sciences,Toyo University (ISSN:13492276)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.133-151, 2019-03

This paper first presents an overview of the typical development of social understanding in early childhood, followed by a review of ASD (autism spectrum disorders) research on social understanding that demonstrates children with ASD have difficulty not with propositional (explicit) mentalizing but with intuitive (implicit) mentalizing. It implies intuitive mentalizing itself is essential for interpersonal understanding in daily life. Based on the implications of ASD research, developmental processes of social understanding in early childhood are reconsidered, and directions for future research on children’s social understanding is discussed.
著者
丘 華 久保 明雄 林 長軍 黎 子椰
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 C編 (ISSN:03875024)
巻号頁・発行日
vol.70, no.690, pp.531-538, 2004-02-25 (Released:2011-03-04)
参考文献数
6
被引用文献数
1 1

In NC machining of noncircular contours, where cutter is fed along a straight line intersecting perpendicularly the roration axis of work piece, the cutter path usually consists of Archimedes's spiral segments. From machining precision and efficiency point of view, a desired cutter path should be composed of the fewer segments as possible under the condition of satisfying the specified interpolation error limitation. In this paper, an optimal interpolation principle of Archimedes's spiral for planar curves is presented and then a practical algorithm is constructed. The segment number of the cutter path resulted from the algorithm not only is the fewest but also the interpolation accuracy agrees with the specified value. It is also evidenced that the profile error of machined contour corresponding to the cutter path is perfectly controlled within the desired value, i. e. the specified interpolation error value, through detailed analyses. The interpolation results of using the presented algorithm for machining disc cam profile are compared with those obtained by Nishioka's methods (3) . The comparison results sufficiently confirm the validity of the algorithm developed by the authors.
著者
片桐 崇行 大久保 禎 及川 みどり 二木 希世子 釈 政雄 河合 充夫 竹ノ内 正紀
出版者
The Society of Cosmetic Chemists of Japan
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.42-49, 2001-03-20 (Released:2010-08-06)
参考文献数
11
被引用文献数
8 11

より効果の高い美白剤を開発する目的で, メラニン産生にかかわるチロシナーゼとTRP-1の活性阻害に着目して研究を行った。その結果見出した4-n-ブチルレゾルシノール (以下BRと略す) は, 強力なチロシナーゼ活性阻害作用に加えTRP-1活性阻害作用も併せ持っていた。BRは細胞毒性によらずB16マウスメラノーマ細胞のメラニン産生を可逆的に抑制し、その力価は広く美白剤として応用されているアルブチン・コウジ酸より強力であった。0.3% BR配合ローションは, ヒト紫外線色素沈着に対し, 照射前から塗布した系で有意な抑制作用を示すとともに, 色素沈着が認められた後から塗布を開始した系においても, 有意な色素沈着消退促進作用を示した。また, 449名の健常女性を対象とした1ヵ月間の使用試験においてもシミ・ソバカスに対する有効性が認められたことから, BRは優れた効果の期待できる美白剤であると考えられた。さらには肝斑を対象とした臨床試験においても83.9% (52/62例) にやや有用以上の有用性が認められたことから, 肝斑に対する臨床的な応用も期待される。
著者
久保 勝裕 安達 友広 木曾 悠峻
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.1288-1295, 2020-10-25 (Released:2020-10-25)
参考文献数
33

明治期に建設された北海道の市街地の多くは、市街地区画図に基づいて極めて計画的に建設された。しかし、その後の市街地拡大の状況はそれぞれ固有性を持ち、それに対する市街地再編の中で寺院敷地の再配置が象徴的に行われた。つまり北海道では、市街地拡大の過程で「2度目のデザイン」が施されたのではないか。本研究では、市街地拡大に応じた寺院の再配置の方法を解明し、市街地固有の景観を創出してきた実態を明らかにした。例えば、余市では、近世市街地に接して市街地を増設した際に、従前からの寺院群を開拓使の意向で新市街地外側の道路端部に移転させた。寿都では、大火を契機に近世市街地を再編した際に、新規の道路開削と一体的に寺町を建設した。これらでは、①市街地区画地外に配置する、②市街地端部の道路の軸線上に配置する、③寺院敷地を連続させる等の手法が用いられた。以上、北海道の市街地では、設計手法を徐々に蓄積し、時代に応じた宗教統制が行われ、やがて両者が接点を見つけていった。その過程では、各々の時代背景や制度的背景、市街地拡大の状況に応じて、それぞれ特徴的な寺院の再配置が行われ、固有の景観を今日に継承してきた。
著者
木曾 悠峻 久保 勝裕 安達 友広
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.1280-1287, 2020-10-25 (Released:2020-10-25)
参考文献数
22

北海道の市街地は、多くが農業地帯に対して都市的サービスを提供するために、計画的に建設された。地方都市の建設は明治20年代から本格化したが、特に内陸都市では、原野区画が先行し、一定程度の入植が進展した後に市街地が区画されるのが一般的であった。従って、市街地の区画は、原野区画に埋め込むように建設され、その方向は強く規定された。本研究では、北海道殖民都市のグリッド市街地を分析対象として、①市街地範囲の設定方法と、②街区・宅地計画の方法(市街地区画道路の割り付け方法)の詳細を明らかにする。分析の結果、①原野区画の中に市街地区画を計画する場合、小規模市街地の範囲は、市街地用地の買収時の農地単位で規定された。300間四方の原野区画(中画)の内側に収め、100間×150間の「小画」の境界線を市街地の外枠とした。②具体の街区・宅地計画は、原野区画道路を基準線として設計された。一部の例外を除き、原野区画道路は付け替えや線形の変更をされることなく、原野の基本寸法の枠内で、市街地区画道路と街区の寸法が割りつけられた。この原野区画道路によって、市街地と周囲の農村部が空間的に連続化された。
著者
後藤 慶一 廣瀬 昭博 折笠 旦継 佐藤 瑛吏 尾入 且基 久保田 かおり 井上 瑠奈 中山 素一
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.61, no.5, pp.200-205, 2020-10-25 (Released:2020-10-30)
参考文献数
13

開栓したペットボトル入り清涼飲料水中における微生物の増殖挙動を評価するため,各種微生物の標準菌株を用いて接種試験を行った.約1.0×104cfuの微生物を250mLの各種清涼飲料を入れた500mLのペットボトルに接種し,4 °C・静置,25 °C・静置,35 °C・静置および35 °C・振とうの条件で1週間培養した.経時的に菌数測定を行い,先行研究「清涼飲料水中の汚染原因物質に関する研究」2)~4)の結果と比較した.その結果,トマトジュースとLactobacillus fermentum,スポーツドリンクとCandida albicans,およびミネラルウォーターとKlebsiella pneumoniaeの組み合わせは,分離株を用いて評価した先行研究と類似した増殖性が観察された.しかしながら,緑茶,混合茶,オレンジジュースおよびミルク入りコーヒーでは,標準菌株の増殖性は弱い傾向で,これは,清涼飲料水中に含まれている成分によって微生物の増殖が阻害されたと推察された.以上の結果から,標準菌株と腐敗物からの分離株では増殖性が異なることがあり,安全性評価をするうえでは注意を要することが明らかとなった.
著者
北村 哲宏 大月 道夫 久保 典代 倉敷 有紀子 玉田 大介 田淵 優希子 小澤 純二 安田 哲行 沖田 考平 今川 彰久 金藤 秀明 船橋 徹 下村 伊一郎
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.55, no.12, pp.982-986, 2012 (Released:2013-01-21)
参考文献数
8

Glucagon-like peptide-1(GLP-1)受容体作動薬であるリラグルチドの副作用として食欲不振,嘔気が報告されている.今回我々は,リラグルチドが関与した麻痺性イレウスの症例を2例経験した.ともに腹部手術歴はなく,リラグルチド導入時に前兆なく嘔吐にて突然発症した.症例2はインフルエンザを併発していた.2例ともにリラグルチド中止にてイレウスの改善を認めた.背景として,便秘の既往,15年以上の罹病期間,糖尿病末梢神経障害および自律神経障害を有している点が共通していた.これまでリラグルチドによるイレウスの報告はなく,今後GLP-1受容体作動薬を使用する際には副作用としてイレウスを念頭に置く必要があり報告する.
著者
唐沢 豊 久保田 徹
出版者
信州大学農学部
雑誌
信州大学農学部紀要 (ISSN:05830621)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.p79-86, 1986-12

本研究は,ニワトリヒナに給与する大豆粕飼料の大豆粕を酵母で全量置換することが可能かどうかについて検討した。実験に供試した酵母はA,B,C(粗蛋白質含量はそれぞれ57.1,48.5および55.3%)の三種で,対照飼料の蛋白質源は大豆粕とし,全飼料のCPは21.3%,必須アミノ酸組成はNRC飼養標準を満足するようアミノ酸を添加して補正した。その結果,酵母飼料は全て0.563%のプリンを含有した。飼料摂取量とME摂取量は,A,B両区とも対照区と差がなく,ME/GE比はA,B両区とも対照区より有意に低くなった(P<0.05)。体重増加量と飼料効率はA区は対照区と等しく,B区は対照区より高くなった(P<0.05)。これに対しC区の飼料摂取量,ME摂取量,体重増加量は,対照区より低くなる傾向があった。しかしC区の飼料効率とME/GE比は対照区とほぼ等しかった。窒素摂取量,総窒素排泄量ともに対照区と比べA区とB区で高く,C区で低い傾向が認められた。尿酸窒素の排泄量は,対照区と比べ各区とも低くC区との間に有意差が認められた(P<0.05)。総排泄窒素中の尿酸窒素の割合は,各区とも対照区より有意に低く(P<0.05),A区では特に対照区の半分以下であった。摂取窒素の尿酸窒素への転換率は,同様に各区で対照区より低かった(A区,C区,P<0.05)。しkしながら,摂取窒素の利用率は対照区と各区の間に有意差は認められなかった。以上の結果から,供試した酵母AとBは,ヒナの飼料蛋白質源として大豆数と同等かそれ以上の栄養価を持つものと考えられる。またこれらの酵母は,尿酸生成を抑制する作用を持っていることが示唆された。
著者
久保 正仁 半田 ゆかり 柳井 徳磨 鑪 雅哉 服部 正策 倉石 武 伊藤 圭子
出版者
Japanese Society of Zoo and Wildlife Medicine
雑誌
Japanese journal of zoo and wildlife medicine = 日本野生動物医学会誌 (ISSN:13426133)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.87-90, 2012-06-01
被引用文献数
1

2010年3月に前庭障害を呈したアマミノクロウサギ(<I>Pentalagus furnessi</I>)の雌成獣が保護され,保護されてから6日後に死亡した。病理検査の結果,右耳において慢性化膿性中耳炎・内耳炎が認められ,これによって前庭障害が生じたものと考えられた。
著者
久保 正仁 中嶋 朋美 本田 拓摩 河内 淑恵 伊藤 結 服部 正策 倉石 武
出版者
Japanese Society of Zoo and Wildlife Medicine
雑誌
Japanese journal of zoo and wildlife medicine = 日本野生動物医学会誌 (ISSN:13426133)
巻号頁・発行日
vol.18, no.2, pp.65-70, 2013-06-01
被引用文献数
4

野生アマミノクロウサギ(<I>Pentalagus furnessi</I>)においてどのような自然発生病変がみられるかを調べるために, 2003年8月から2012年3月にかけて剖検され,ホルマリン固定されたアマミノクロウサギの臓器131頭分について病理組織学的な解析を行った。雌成獣1頭においてトキソプラズマ症が疑われる全身性の原虫感染症が,雄幼獣1頭においてグラム陰性桿菌感染による化膿性気管支肺炎および線維素性心外膜炎が認められ,これらが死因と考えられた。その他,類脂質肺炎と思われる泡沫状マクロファージの肺胞内集簇,限局性の真菌性肺炎,限局性の化膿性肉芽腫性肺炎,肺膿瘍,腎膿瘍など,様々な所見がみられた。なかでも泡沫状マクロファージの肺胞内集簇は113例のうち43例と高率に認められた。本研究では野生アマミノクロウサギでみられる自然発生病変の一端が明らかとなったが,十分な結果とは言い難い。今後は全ての死亡個体について病理学的モニタリングを実施できる体制の整備が望まれる。
著者
久保 芳和
出版者
関西学院大学
雑誌
經濟學論究 (ISSN:02868032)
巻号頁・発行日
vol.24, no.4, pp.i-ii, 1971-01-25
著者
荒木 浩太朗 中尾 彰文 山本 祐吾 吉田 登 中久保 豊彦
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集G(環境) (ISSN:21856648)
巻号頁・発行日
vol.73, no.6, pp.II_245-II_256, 2017 (Released:2018-04-01)
参考文献数
39
被引用文献数
2

本研究では,将来産業動向を見据えたうえで,全国規模での下水処理施設と産業工場,ごみ焼却場との連携によるGHG削減効果およびその要因について分析した.まず,下水処理施設における未利用汚泥量,産業工場における下水汚泥燃料の受入可能な容量,およびごみ焼却場での下水汚泥由来エネルギーの受入可能量を把握する.次に下水汚泥燃料化技術ごとにGHG収支を把握し,下水汚泥燃料を産業工場やごみ焼却場への配分ルールを設定し,GHG削減効果を分析した.その結果,2020~2030年において未利用汚泥の87.3%がエネルギー活用可能であり,最大GHG削減効果は3,320 [千t-CO2]と推計された.製紙工場の供給達成率は約73%であった.また,産業工場の将来動向の変化や製紙工場での汚泥燃料混焼率の変化に伴う,各業種のGHG削減効果への影響を明らかにした.
著者
西久保 愼一
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネス (ISSN:00290491)
巻号頁・発行日
no.1590, pp.92-94, 2011-05-09

1955年大阪府生まれ、55歳。神戸大学卒業後、大同塗料入社。85年にシステム工学を設立。その後、買収などで業容を拡大し、2000年に社名をゼロへ変更。2003年、上場廃止の危機に瀕するスカイマークエアラインズ(現スカイマーク)に出資し、筆頭株主へ。2004年から社長を務める。上場廃止の危機にあったスカイマークに乗り込み黒字化を果たした。