著者
久保 祐子 山口 光國 大野 範夫 福井 勉
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.33, no.3, pp.112-117, 2006-06-20 (Released:2018-08-25)
参考文献数
6
被引用文献数
6

姿勢・動作において身体重心位置を把握することは重要であるものの,実際には重心位置は不可視的であり,経験的に推測されていることが多い。身体重心は身体各部の重さの中心であることから,おおよそであるものの観察可能である上半身と下半身重心点の中点が身体重心に近似するものと推察される。今回我々は身体を上半身と下半身に分け,それぞれ算出した重心点の中点と3次元動作解析装置から得られる身体重心位置との差異を,前額面,矢状面上の姿勢ならびに動作について調査した。その結果,身体重心点と上半身と下半身重心点の中点とは近似しており,臨床上の観察点としての有用性が示唆された。
著者
廻角 侑弥 久保 峰鳴 幸田 仁志 福本 貴彦 今北 英高 藤井 唯誌 稲垣 有佐 田中 康仁
出版者
日本ヘルスプロモーション理学療法学会
雑誌
ヘルスプロモーション理学療法研究 (ISSN:21863741)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.61-65, 2020-07-22 (Released:2020-08-04)
参考文献数
17
被引用文献数
1

[目的]人工膝関節全置換術後患者の杖歩行が自立するまでの日数(歩行自立日数)に影響を及ぼす要因を術前項目より検討した。[対象]片側の人工膝関節全置換術を施行した99名とした。[方法]測定項目は歩行自立日数,自己効力感,痛みの破局的思考,安静時痛,歩行時痛,膝関節屈曲可動域および伸展可動域,等尺性膝伸展筋力,歩行速度とした。統計解析はピアソンの相関係数を用いて歩行自立日数との関係性を分析し,また歩行自立日数を目的変数,他項目を説明変数とした重回帰分析を行った。[結果]歩行自立日数は,自己効力感(r=-0.40),痛みの破局的思考(r=0.27),等尺性膝伸展筋力(r =-0.24),歩行速度(r=-0.25)との間に有意な相関関係を認めた。重回帰分析の結果,歩行自立日数に影響を及ぼす要因として自己効力感のみが抽出された。[結語]人工膝関節全置換術後の杖歩行の自立には筋力や歩行速度だけでなく,自己効力感が影響すると示唆された。
著者
伊東 勇人 久保木 仁敏 横山 昌仙 早川 正昭 柏木 祐幸
出版者
一般社団法人 照明学会
雑誌
照明学会 全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.42, pp.56, 2009

東海北陸自動車道は、愛知県一宮市を基点に岐阜県を経由して富山県小矢部市へ至る高速道路である。全長約185kmのうち、トンネル総延長がおよそ70km(約40%)を占める山岳道路で、約110kmの区間が暫定2車線の対面交通となっているが、利用者の利便性および定時性向上のために上り線が4車線化された。この東海北陸道の岐阜県郡上市大和町にある平山トンネルの入口照明に高効率セラミックメタルハライドランプを用いたトンネル照明設備を採用した。従来、入口照明の光源には、効率、寿命および経済性などを考慮して高圧ナトリウムランプが用いられてきたが、さらに高効率で演色性の高い、高効率セラメタ(ランプ効率130 lm/W[200W形]、平均演色評価数Ra65)を採用し、省電力化と視環境の改善を図った。ランプの発光部寸法が小さいことからグレアの抑制に配慮し、照明器具には走行方向と反対方向の光出力を抑えた反射板を用いた。また、比較的高い路面輝度を要する境界部には、2灯用の照明器具を採用し、設置台数の削減を図ると共に、順応輝度が高いトンネル接近中の運転者に対する光学的誘導効果を高めるために、2灯のうち1灯は走行方向と反対方向の光出力を高めた反射板を用いた。高効率セラメタを用いることによって、高圧ナトリウムランプよりも灯具台数を約10%削減、省電力化を図ることができた。
著者
福井 勝則 大久保 誠介 森山 守 青木 智幸 小塚 孝 松原 誠
出版者
一般社団法人 資源・素材学会
雑誌
Journal of MMIJ : journal of the Mining and Materials Processing Institute of Japan (ISSN:18816118)
巻号頁・発行日
vol.123, no.9, pp.467-474, 2007-10-25
参考文献数
14
被引用文献数
2

The main drive of Hida Tunnel for Tokai-Hokuriku Highway was excavated by a world-largest-class TBM with the diameter of 12.84 m. The TBM have bored over 3.0 km of the tunnel through Nouhi Rhyolite, Granite Porphyry and Hida Gneiss. The uniaxial compressive strength of these rocks was found to be extremely high. Such high strength accompanied by high content of silicon dioxide resulted in significantly high wear rate of the disc cutters mounted on the TBM.<BR>In this study, cutter wear was carefully measured together with the operation conditions such as thrust force, penetration rate, cutter-head rotation rate and the rock properties such as uniaxial compressive strength, rock strength estimated from TBM cutting force, abrasivity obtained from turning operation test, chemical composition determined by X-ray analytical microscope.<BR>It was found that the extent of cutter wear largely depends on position of the disc cutter; cutter wear per unit rolling distance near the fringe of cutter head was extremely larger than that near the center of cutter head. A combination of rock strength estimated by TBM cutting force and length of wear flat in turning-operation test was found to be an excellent index to predict cutter wear rate.
著者
長久保 光明
出版者
Japan Cartographers Association
雑誌
地図 (ISSN:00094897)
巻号頁・発行日
vol.7, no.3, pp.32-40, 1969-09-30 (Released:2011-07-19)
参考文献数
17
被引用文献数
1
著者
大久保 朝憲
出版者
關西大學文學會
雑誌
關西大學文學論集 (ISSN:04214706)
巻号頁・発行日
vol.70, no.3, pp.149-175, 2020-12-18
著者
石坂 正大 久保 晃 金子 純一朗 野村 高弘 韓 憲受 貞清 香織 堀本 ゆかり
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.32, no.5, pp.627-630, 2017 (Released:2017-10-23)
参考文献数
10
被引用文献数
1 1

〔目的〕理学療法学科学部生における興味を持つ専門分野の縦断的変化を明らかにすること.〔対象と方法〕平成28年度理学療法学科学部4学年98名とした.アンケートは7専門分野と23専門領域から最も興味のある領域を選択させた.アンケート実施は,2学年前期,3学年前期,3学年後期,4学年後期に行った.〔結果〕興味のある専門分野は,基礎,神経,内部が縦断的に増加した.専門領域は,2学年前期ではスポーツが49名(55%)と最も人気が高いが,4学年後期では運動と脳卒中に続いて3番の順となった.〔結語〕スポーツ領域に興味のある学生は,3学年前期で神経系に,4学年になると内部障害に興味が移る傾向にある.
著者
シェリル 大久保 山海 千保子 柳沢 初美 加納 尚美
出版者
Japan Academy of Midwifery
雑誌
日本助産学会誌 (ISSN:09176357)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.233-248, 2008
被引用文献数
2

本研究は,弟妹の誕生に立ち会うことがその子どもにどういった影響を及ぼすかを明らかにしようと試みている。妻の出産に立ち会った場合,男性には概ね肯定的な影響が見られることは先行研究からわかっているが,出産立会いが子どもに及ぼす影響に関してはまだほとんど研究されていない。しかし,近年,家族全員が出産に立ち会うケースが増えていることを鑑みると,根拠のない奨励を避けるためにも,出産立会いが子どもに及ぼす影響を評価することが必要である。<br> 本研究では,言葉と比較してイメージのほうが,子どもにとってより自由に考えや思いを表現しやすいことから,描画を用いて出産立会いが子どもに及ぼす影響を評価した。描画は,2歳から12歳の子ども24人に,出産立会い前,立会い中,立会い後の3回,描いてもらった。回収した描画は,全体的な傾向,ケーススタディという2つの観点から分析した。<br>I 全体的には,描画からトラウマあるいはショックの兆候は見られなかった。2ヶ月に渡る調査期間,子もどの描き方には,出産立会い前,中,後と回を追う毎に細部まで描くようになる,どの回も描き方がほぼ一定,回を追う毎に整然さを欠く,の3つのパターンあるいは傾向が見られた。24人中半数で,弟妹誕生後の描画に進歩が見られた。8人には,全期間を通して大きな変化は見られなかった。残り4人には,立会い後の描き方に,乱雑,後退などの変化が見られた。しかし,この4人も出産立会いからは肯定的な影響を受けていた。<br>II ケーススタディでは,母親の難産に立ち会ったことで否定的な影響を受けた様子の男児が描いた描画を詳細に分析した。描画からは,男児が最初に感じた不安,驚き,恐れなどが次第に形を変え,新たに家族の一員に加わった赤ちゃんと共存する道あるいは術を探すことへと向かったことがわかる。<br> 本研究結果から,出産立会い自体より家族間のサポートのほうが,子どもに対する影響という点で大きな要因となっていることがわかった。加えて,特に幼い子どもや男児には,実際かなりの痛みに耐える母親を目の当たりにすることで,否定的な感情を持つ傾向があることもわかった。このことから,子どもが出産に立ち会う際には,前もって出産の実際について十分準備してやることが必要であり,出産にかかわる誰にとっても肯定的な経験になるよう計らうべきである。
著者
西原 賢 久保田 章仁 丸岡 弘 原 和彦 藤縄 理 高柳 清美 磯崎 弘司 河合 恒 須永 康代 荒木 智子 鈴木 陽介 森山 英樹 細田 昌孝 井上 和久 田口 孝行
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2006, pp.A0675, 2007

【目的】運動時の活動電位を観測する研究は多いが活動電位の伝導方向や神経筋の部位まで調べる試みは少ない。現在、画像診断で筋構造を大まかに観測することは可能であるが、神経または筋の神経支配領域までを調べるには不十分である。これらが調べられることによって、運動に関る神経・筋の機能的評価が可能となり、臨床上大変有用となる。さらに、神経の走行部位を予測して、筋肉注射時に神経損傷を予防する場合にも役立つ。そこで、これまでわれわれが開発した筋電図処理技術を応用して、神経や筋の組織解剖学的研究と照し合せながら本研究の検証を行う。<BR>【方法】19-22歳の健常人男性12人を対象にした。被験者は右手首に1kgの重垂バンドを装着し、肩屈曲30°肘屈曲90°で上腕二頭筋収縮、肩外転45°で三角筋収縮を1分間持続させた。上腕二頭筋では、被験者の内側上腕二頭筋の中心に双極アレイ電極を筋の方向に沿って取り付けた。三角筋では、肩峰から腋窩横線までの距離から下3/8の地点を中心に筋の方向に沿って取り付けた。各筋から4チャネルの生体アンプで検出した筋電図を計算機に保存した。筋電図原波形のうちの5秒区間を、本研究のために開発した計算機プログラムを用いて、設定閾値以上のパルスのピークを検出して加算平均した波形を算出した。チャネルによる加算平均パルスの向きの逆転(+側か-側か)や遅延時間の方向から(パルスが順行性か逆行性か)、電極装着部位を基準にした神経支配領域の位置を推定した。<BR>【結果】上腕二頭筋において、12被験者のうち8人で、加算平均パルスの向きの逆転があった。4人はパルスの向きの逆転は観測されなかったが、遅延時間が順行性に変化した。三角筋において、12被験者のうち、加算平均パルスの向きの逆転があったのは2人だけであった。残りのうち2人は遅延時間が順行性に、3人は逆行性に変化し、4人は解析困難であった。<BR>【考察】(1)上腕二頭筋の神経支配領域の推定:加算平均パルスの向きが逆転されたチャネル付近に神経支配領域が存在する。結果により、12被験者のうち8人の神経支配領域の位置が特定された。残り4人は電極装着部の近位に神経支配領域あることが考えられる。(2)三角筋の神経支配領域の推定:12被験者のうち2人だけが神経支配領域の位置の推定ができた。残りのうち2人は電極装着部の近位に、3人は遠位に神経支配領域があると考えられる。(3)上腕二頭筋と三角筋の比較:三角筋は上腕二頭筋と比較して神経支配領域の位置の特定が困難であった。上腕二頭筋は紡錘状筋で、筋線維は筋の方向に沿って均一に走行している。それに比べて三角筋は羽状筋に近く、筋線維は筋の方向に対して斜めで不規則に走行している。三角筋の場合はさらなる調査が必要であるが、かなり詳細な筋構造が皮膚表面で調べられることが明かになった。
著者
中村 和行 久保田 敏行 万塩 裕之 土井 裕一 荒川 麻紀子 米山 英二 吉田 浩 祢冝田 和正 勝見 章男 岡田 密恵 佐伯 悟三 八田 誠
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会雑誌 (ISSN:04682513)
巻号頁・発行日
vol.63, no.1, pp.19-28, 2014 (Released:2014-07-24)
参考文献数
16
被引用文献数
1 1

安城更生病院 (以下, 当院) では, 2012年2月より麻薬管理の効率的な運用を目的として, 薬剤師が手術室に短時間出向して麻薬の受払い (払出し, 回収) を行なっている。さらに, 手術患者の麻薬受払いが一括して可能となったため, 麻薬管理を補助するための管理簿 (以下, 補助簿) を電子化して運用している。今回我々は, 当院にて構築した体制 (以下, 新管理法) による麻薬の受払い状況, 業務時間を調査し, 薬剤師介入の評価を行なった。結果, 1か月間に手術室で取り扱われた麻薬処方せん (n=647) の内, 払出し84.7% (548/647), 回収99.8% (646/647) あわせて92.3%を新管理法により運用することができた。さらに, 麻薬補助簿を電子化したことによって, 電子化前後で払出時間は53.3±9.6分から39.6±6.3分,回収時間が66.8±16.1分から41.1±13.5分とどちらも有意に短縮した (p<0.01)。新管理法の導入により, 多くの人を介した煩雑な運用は簡素化された。加えて, 麻薬補助簿電子化による効果を含めた効率的な運用が確認できた。また, 比較的短時間 (80.8±18.4分) の薬剤師介入によって, 手術室で取り扱った麻薬処方せん92.3%を新管理法により運用できることが示唆された。以上より, 薬剤師が手術室に常駐しなくても短時間介入することで病院全体の麻薬管理は効率的に運用可能であると考えられる。
著者
吉永 怜史 久保 健一郎 仲嶋 一範
出版者
日本生物学的精神医学会
雑誌
日本生物学的精神医学会誌 (ISSN:21866619)
巻号頁・発行日
vol.30, no.3, pp.120-125, 2019 (Released:2019-12-28)
参考文献数
45

ヒトがなぜ精神疾患にかかるのかを解明するためには,精神疾患の発生学的理解が重要である。大脳皮質だけとっても,ヒトは多くの領野が細胞構築的にも機能的にも分化しており,疾患脳において異なる病的意義を有している。脳発生にも領域差がありうる。しかし,脳発生の領域差についての知見は乏しい。脳全体が多様な細胞からどのようにできてくるかを徹底的に理解して初めて,脳に内包されている脆弱性を見極めることが可能になると考えられる。この脆弱性と疾患脳との因果関係を議論することにより,病態形成の理解につながると期待される。正常発生の深い理解から,精神疾患の病因研究を進化させることを提案する。
著者
久保 知一
出版者
日本商業学会
雑誌
流通研究 (ISSN:13459015)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.1-16, 2020 (Released:2020-12-26)
参考文献数
91

流通における卸売業者のミクロ的な介在根拠は,卸売業者が個々の顧客に対して提供する顧客価値にある。本論では,卸売業者がどのような顧客価値を提供しているのか,そして顧客価値はどのような組織的メカニズムによって作り出されているのかを問い,多属性モデルに基づいて卸売業者の顧客価値提供を描写する概念モデルを提案し,さらに実証分析を行った。その結果,配送の延期と流通サービスのカスタマイズ度が顧客価値に正の影響を与えており,それらは組織能力,仕入れの投機,そして人的資産特殊性から正の影響を受けていることが示された。
著者
久保山 昇 林 一郎 山口 忠志
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 : FOLIA PHARMACOLOGICA JAPONICA (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.127, no.3, pp.223-232, 2006-03-01
参考文献数
38
被引用文献数
2 14

ミグリトール(セイブル<sup>®</sup>錠)は糖に類似した化学構造を有し,体内に吸収されることにより類薬と異なる作用特性を示す新規α-グルコシダーゼ阻害薬(以下α-GIと略)である.薬物動態試験において,ミグリトールはラット小腸上部にて吸収され,代謝を受けずにほとんどが尿中に排泄された.また,肝薬物代謝酵素の誘導および阻害作用は認められなかった.薬理試験において,ラットの小腸由来スクラーゼ,イソマルターゼおよびマルターゼ活性を競合的に阻害するが,膵α-アミラーゼ活性を阻害しなかった.正常ラットにスクロースを負荷した際に用量に依存した血糖上昇抑制および糖質吸収遅延作用を示し,高用量においては糖質の吸収を阻害した.α化でんぷん,生でんぷんおよびスクロースを負荷した際の血糖上昇を用量依存的に抑制したが,グルコース負荷に対しては作用を示さなかった.また,GKラットに高スクロース・高脂肪食を8週間与えた慢性モデルに対し,HbA<sub>1C</sub>の上昇を抑制し,膵島の病理組織変性を抑制する傾向を示した.国内の臨床試験では,2型糖尿病患者に対し食後の急峻な血糖上昇を強力に抑制し,血糖上昇ピークを遅延させ,食後の急峻な血糖上昇によるインスリンの過剰な分泌を抑制した.また,12週間の用量反応試験では用量に依存した食後血糖およびHbA<sub>1C</sub>の低下が認められた.スルホニルウレア(以下SUと略)剤との12週間の併用試験においては,空腹時血糖,食後の血糖および血清インスリンの低下,HbA<sub>1C</sub>の低下が認められ,継続して実施された52週間の長期投与においてもこれらの作用が減弱することはなかった.有害事象の大半は過度の薬理作用と考えられる消化器症状であった.また,低血糖は単独投与では発現せず,SU剤との併用においても発現率を増加する傾向はなかった.以上,非臨床および臨床試験の成績から,ミグリトールは2型糖尿病の食後過血糖を改善し,かつ安全な薬剤であると考えられた.<br>
著者
杉田 裕汰 原 毅 久保 晃
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.35, no.6, pp.843-848, 2020 (Released:2020-12-19)
参考文献数
40

〔目的〕周術期消化器がん患者における入院中の歩行数に関わる要因を,身体機能評価,血液生化学データより検討し,明らかにすること.〔対象と方法〕周術期消化器がん患者28名とした.身体機能評価には,体組成計値,等尺性膝伸展筋力,握力,6分間歩行距離,呼吸機能評価,片脚立位時間の全6項目を使用し,血液生化学データには血清アルブミン(Alb),C反応性蛋白(CRP),総蛋白を使用した.〔結果〕歩行数においては,術前と比して術後は,有意な低下を認めた.術後歩行数と術前Alb,術前CRP,術前の体脂肪率に有意な相関関係を認めた.〔結語〕術後の代謝変化による骨格筋量の低下を考慮すると,術前より栄養状態,免疫反応,体脂肪率に着目することの重要性が示唆され,手術後の歩行数低下には,その点を踏まえたリハビリテーション介入が必要である可能性が示唆された.
著者
大久保 祥嗣 向井 健悟
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.61, no.6, pp.239-246, 2020-12-25 (Released:2020-12-25)
参考文献数
13

農作物に含まれる農薬の多成分簡易迅速試験法の検討を行った.本研究では,精製工程の簡素化および使用する溶媒の量と種類を少なくすることを試みた.試験溶液は農作物のQuEChERS法による抽出液を,3層(C18,SAX,PSA)の固相を積層したミニカラムにより精製して調製し,この試験溶液を大量注入装置・胃袋型ガラスインサート搭載GC-MS/MSにより分析した.この試験法により,8種類の農産物を用いて添加回収試験を実施したところ,241~331成分が,真度70~120%,併行精度25%未満の目標基準に適合した.
著者
久保田 一雄 田村 耕成 倉林 均 武 仁 白倉 卓夫 田村 遵一
出版者
一般社団法人 日本温泉気候物理医学会
雑誌
日本温泉気候物理医学会雑誌 (ISSN:00290343)
巻号頁・発行日
vol.60, no.2, pp.61-68, 1997 (Released:2010-04-30)
参考文献数
18
被引用文献数
1

To clarify possible involvement of hot spring bathing in the occurrence of acute myocardial infarction and cerebral infarction at Kusatsu, its effects on blood pressure, heart rate, plasma cortisol and hematocrit were examined in 9 healthy young men. Abrupt increase in systolic blood pressure was observed immediately after starting a 3-minute 47°C or a 10-minute 42°C hot-spring bath. Both systolic and diastolic blood pressure were abruptly decreased one minute after completing either 47°C or 42°C bathing. The heart rate was increased gradually after the start of either 47°C or 42°C bathing and was decreased gradually after the completion of either 47°C or 42°C bathing. It was considered that the plasma Cortisol level was increased 15 minutes after starting 47°C bathing and the hematocrit was increased 15 minutes after starting 42°C bathing. We have already reported that fibrinolytic activity was decreased and platelet function was activated by 47°C bathing. Taken together, it is suggested that the mechanism of the occurrence of thrombotic diseases after hot spring bathing may be explained by considering transient changes in blood pressure, heart rate, blood viscosity, fibrinolytic activity and platelet function induced by hyperthermal stress.
著者
久保田 雄也 荒木 実穂子 山本 達 宮脇 淳 藤澤 正美 原田 慈久 角田 匡清 和達 大樹 辛 埴 松田 巌 田口 宗孝 平田 靖透 保原 麗 山本 真吾 染谷 隆史 横山 優一 山本 航平 田久保 耕
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会講演概要集
巻号頁・発行日
vol.71, pp.1273, 2016

<p>SPring-8 BL07LSUにて分割型クロスアンジュレータと電磁石位相器を組み合わせ、唯一の軟X線高速連続偏光変調光源を実現した。さらにその光源を用いた軟X線領域における光学遅延変調法を世界で初めて開発した。この手法は磁性体の磁気円二色性(MCD)と旋光性を同時にかつ高精度に測定できる。本講演では新規光源と手法の詳細を述べると共に、それを用いた鉄系磁性体のMCD及び磁気光学カー効果(MOKE)測定の結果を報告する。</p>