著者
中田 誠司 増田 広 佐藤 仁 清水 信明 鈴木 和浩 今井 強一 山中 英壽 斉藤 浩樹 中村 敏之 加藤 宣雄 高橋 修 矢嶋 久徳 梅山 和一 篠崎 忠利 大竹 伸明 関原 哲夫 猿木 和久 鈴木 慶二
出版者
社団法人日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科学会雑誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.86, no.9, pp.1483-1487, 1995-09-20
参考文献数
18
被引用文献数
2 2

(背景と目的) 同一家系内に発生した前立腺癌患者の臨床病理学的特徴について検討した.<br>(対象と方法) 親子または兄弟に発生した7組 (14例, 親子2組, 兄弟5組) の前立腺癌患者 (F群) と, 1987~1993年の間に群馬県およびその近郊の病院で, 未治療の状態で発見された前立腺癌患者1,741例 (G群) を比較検討した. 両群の平均年齢が異なるため, 生存率は相対生存率を求めた.<br>(結果) 診断時年齢は, F群が54~86歳まで分布し, 平均68.1±8.5 (S. D.)歳, G群が47~97歳まで分布し, 平均74.2±8.3歳で, F群で平均年齢が低い傾向であった. 臨床病期, 組織学的分化度は, F群で早期癌の占める割合が高く, 低分化癌の占める割合が低い傾向であった. 予後は, 3年および5年相対生存率はF群で82.4%, 57.6%, G群で84.3%, 73.9%で, 5年の時点ではF群の生存率が低い傾向であったが, 全体的には両群の間にほとんど差はみられなかった. F群では死因の明らかな6例のうち4例 (66.7%) が前立腺癌死であるのに対し, G群では死因の明かな398例のうち前立腺癌死は224例 (56.3%) であった.家系の病歴に関しては, F群で前立腺癌の2人を除いた他の癌患者がいたのは6家系中3家系であった.<br>(結論) 家族性前立腺癌は, 診断時年齢が若く, 早期癌が多く, 低分化癌が少ない傾向であった.
著者
今井 透 遠藤 朝彦 吉村 剛 宇井 直也 大久保 公裕 藤倉 輝道 新井 寧子 余田 敬子 北嶋 整 相田 瑞恵 小津 千佳 酒主 敦子 森山 寛
出版者
耳鼻咽喉科展望会
雑誌
耳鼻咽喉科展望 (ISSN:03869687)
巻号頁・発行日
vol.48, no.6, pp.427-438, 2005

東京都において, 観測史上最多のスギ花粉飛散を記録した20o5年に, 多施設共同でスギ花粉症に対するラマトロバンおよび抗ヒスタミン薬との併用療法を, 鼻症状およびQOLについて花粉症日記と日本アレルギー性鼻炎標準調査票 (JRQLQ No.1およびNo.2鼻眼以外の症状用) を用いて検討した。比較に際しては, 初期治療群と飛散後治療群に群別した。初期治療群では飛散後治療群に比較して, 鼻症状およびQOLともにスギ飛散ピーク時のスコアの抑制がみられ, 副作用は認められなかつた。作用機序の異なるラマトロバンと抗ヒスタミン薬との併用は, シーズン10,000個/cm2を超えるような大量飛散年においても, 飛散ピーク時の鼻症状ならびに患者QOLを改善することから有用な治療法であることが示唆された。
著者
小野 美咲 今井 克己 安武 健一郎 渡邉 啓子 岩本 昌子 大和 孝子 竹嶋 美夏子 森口 里利子 上野 宏美 中野 修治
出版者
公益社団法人 日本栄養士会
雑誌
日本栄養士会雑誌 (ISSN:00136492)
巻号頁・発行日
vol.64, no.11, pp.641-648, 2021 (Released:2021-11-01)
参考文献数
8

大学付属医療施設を利用した参加型臨床実習が受講者の意識に及ぼす影響について、独自に設定した科目の到達目標に対する教育効果評価指標を用い評価した。実習内容は大学付属医療施設に通院している患者の栄養支援の見学と、グループワークによる担当症例の検討、および栄養支援計画の立案とした。効果の検討はアンケートにより行った。アンケートは本科目受講により認識の変化が期待される管理栄養士の能力としてのコミュニケーションおよび専門的知識に関する10項目とし、項目に対する受講者の重要性の認識の変化と、自己評価の変化を把握した。受講前後および栄養支援見学後に実施したアンケートの継時変化をFriedman検定にて解析した。重要性の認識では、身だしなみ、態度、対話力、想像力、記録力、聴き取り力、意思疎通力、調理および食材の知識の8項目が受講により上昇傾向を示した(全てp <0.05)。栄養学の専門的知識の重要度は変化しなかった(p=0.064)。自己評価では10項目全て上昇傾向に変化した(p <0.001)。大学付属医療施設を利用した参加型臨床実習は、コミュニケーションおよび専門的知識に対する重要性の認識の強化および自信の向上に貢献する可能性がある。
著者
赤沢 学 今井 志乃ぶ
出版者
Japanese Society of Drug Informatics
雑誌
医薬品情報学 (ISSN:13451464)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.N1-N4, 2015-05-30 (Released:2015-06-28)
参考文献数
2
著者
宮原 正 下條 貞友 豊原 敬三 今井 健郎 宮島 真之 本田 英比古 亀谷 雅洋 大関 正弘 小勝 順
出版者
The Japanese Society of Clinical Pharmacology and Therapeutics
雑誌
臨床薬理 (ISSN:03881601)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.357-365, 1985-06-30 (Released:2011-02-25)
参考文献数
19
被引用文献数
4 4

A phase I study of EST, a newly synthesized specific thiol protease inhibitor developed as a drug for muscular dystrophy, was performed in healthy adult male volunteers to investigate its safety and pharmacokinetics. EST was administered orally in single doses of 100 mg during fasting, or of 100 mg or 200 mg after a meal. The following results were obtained.The clinical tests and observation of the subjective and objective signs and symptomsfound no change due to EST.EST was detected as E-64-c (effective form of EST) in serum and urine after oral administration. The absorption of EST was slower when administered after a meal than during fasting. The AUC (area under the serum concentration curve) and urinary excretion rate were greater following administration after a meal, which indicates a tendency to better bioavailability of EST.As for the comparison of 100 mg and 200 mg administration after a meal, a distinct dosedependency was observed in the serum concentration and urinary excretion.
著者
種市 信裕 今井 英幸 関谷 祐里
出版者
日本計算機統計学会
雑誌
計算機統計学 (ISSN:09148930)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.11-17, 1998
参考文献数
6

回帰分析ではあるデータが回帰係数の推定に及ぼす影響を評価するために回帰診断が広く用いられている.Andersen (1992)はセル確率が未知パラメータにより表現される多項モデルのパラメータ推定において,各セルが推定に与える影響力を評価するために回帰診断におけるCook距離(Cook & Weisberg, 1982)に類似した指標を提案した.この指標はセルの観測値が0であるという条件付分布のもとでの推定量を用いて各セルがパラメータ推定に与える影響を評価するために,統計モデル的な意味での解釈が難しい.そこで本論文においては統計モデル的に意味のある影響力評価のための指標の提案を行い,さらにその指標の近似指標を与えた.
著者
古野 孝明 半田 寛 今井 圭介
出版者
一般社団法人日本医療薬学会
雑誌
医療薬学 (ISSN:1346342X)
巻号頁・発行日
vol.43, no.5, pp.260-266, 2017-05-10 (Released:2018-05-11)
参考文献数
8
被引用文献数
1 1

The phosphorus content of the drug was reported in the United States, and attention was paid to pharmaceutical additives. However, papers surveying the phosphorus content of drugs in Japan have not been reported. We calculated the phosphorous content in dibasic calcium phosphate hydrate (DCPH) or dibasic calcium phosphate (DCP) in amlodipine (AML) and compared the phosphorus content for each formulation. DCPH or DCP was found in all the 104 AML tablets and in 15 of the 78 AML OD tablets. On request, the pharmaceutical company revealed the amounts of DCPH or DCP in 78 of the 104 AML tablets (75.0%) and 9 of the 15 AML OD tablets (60%). The phosphorus content in AML tablets varied among the pharmaceutical companies and it tended to increase with an increase in dose. On the other hand, 63 of the 78 AML OD tablets did not contain DCPH or DCP. Furthermore, the phosphorus content in 9 of the 15 AML OD tablets containing DCPH or DCP was lower than that in AML tablets. Therefore, unnecessary phosphorus load can be avoided in dialysis patients by opting for AML OD tablets rather than AML tablets or opting for low phosphorus content AML tablets.
著者
今井 祐之
出版者
日本評論社
雑誌
一橋論叢 (ISSN:00182818)
巻号頁・発行日
vol.119, no.6, pp.717-737, 1998-06

論文タイプ||論説(経済学部号 = Economics)
著者
今井 圓裕 伊藤 孝仁 猪阪 善隆
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.93, no.4, pp.800-807, 2004-04-10
参考文献数
22

腎疾患における最も重要な問題は増加する慢性腎不全患者をいかに抑制するかであり,この根本的な解決は患者にとっての福音であるばかりでなく,医療経済的にも大きなメリットとなり,今後も引き続き重点的に研究が続けられるであろう.ポストゲノム研究の中心的な課題であるゲノム創薬は国際的に熾烈な競争が行われているが,腎臓分野もその重要なターゲットである.ただし,腎疾患関連遺伝子の同定がボトルネックとなっており,遺伝子の同定および機能解析が急務である.糸球体腎炎や腎線維化に対する遺伝子治療および腎再生医療などの革新的な治療法の開発はわが国が先行する状況で行われている.腎移植は移植領域では最も進んだ治療法であり,移植腎の長期生着をめざした研究が活発に行われている.また,最近開発された急性拒絶反応を起こさない&alpha;1, 3-galactosyltransferase欠損ブタの腎臓がヒト代用腎として使用される日も遠くはないと思われる.
著者
今井 昭彦
出版者
総合研究大学院大学
巻号頁・発行日
2005

identifier:総研大乙第143号
著者
美崎 栄一郎 池田 浩 今井 健雄
出版者
日本化粧品技術者会
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.46, no.2, pp.108-112, 2014

われわれは専門家として,メイクやヘアメイクの仕上がりなど使用実態を調査している。その使用実態観察研究の一環として,本研究では観察者の視線の動きに着目した。化粧直後の仕上がり写真を刺激画像とし,それを観察する視線の動きを調べた。今回の検討により,化粧における専門家であるメイクアップアーティストは左右上下のバランスを測るように広い範囲に視線移動をし,仕上がりを短時間で評価していることがわかった。一般女性は顔の中心や個々のパーツなどの気になる部分に視線が片寄りがちになる傾向にあった。視線の移動を可視化することで,暗黙知として専門家がもっている美しい仕上がりへの知見を引き出せる可能性が示唆された。
著者
今井 正 齋藤 寛 秋山 信彦
出版者
Japanese Society for Aquaculture Science
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.63, no.3, pp.349-351, 2015-09-20 (Released:2016-09-20)
参考文献数
5

Larvae of freshwater prawn Macrobrachium nipponense reared in tap water dechlorinated with sodium thiosulfate (STS) have reduced survival time and retarded development, compared with other dechlorination methods. We examined the effects of STS and sodium tetrathionate (STT), which is produced by residual chlorine and STS, on survival and molts of larvae. STT had the same effect on larvae as the positive control (aerated tap water), however, larvae were susceptible to STS, onset of death was rapid at STS concentrations of >2 mg/l. Therefore, further clarification of appropriate concentration of STS for dechlorination is necessary.

1 0 0 0 對位法學

著者
今井志郎著
出版者
音楽世界社
巻号頁・発行日
1935
著者
瀬崎 彩也子 藤村 夏美 野坂 咲耶 今井 具子
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.79, no.4, pp.219-241, 2021-08-01 (Released:2021-10-02)
参考文献数
268

【目的】現在報告されている食事スコアと非感染性疾患との関連についてシステマティックレビューを行い,本研究ではそのうち地中海食スコアの特徴と有用性を明らかにすることを目的とした。【方法】成人を対象に食事スコアで非感染性疾患を評価し,英語・日本語でPubMedに発表された論文(2000年1月~2017年5月)から採択基準により抽出した。スコアごとに分類し,そのうち地中海食スコアの詳細をエビデンステーブルにまとめた。【結果】2,036件の抽出論文より,タイトル574件,アブストラクト902件,本文精読323件が削除され,最終採択論文は237件となった。食事スコアはHealthy Eating Index関連142件,地中海食スコア関連65件,Dietary Quality Index関連34件等に分類された。地中海食スコアはMediterranean Diet Score(MDS)17件,alternate Mediterranean Diet Score(aMed)23件,MedDietScore5件等であった。MDSとaMedは対象集団に依存する相対スコア,MedDietScoreは絶対値スコアであり,いずれも非感染性疾患との有意な関連が報告されていた。【結論】地中海食スコアは対象集団,目的等で使い分ける必要があることが示唆された。今後さらなるエビデンスの蓄積が必要だと確認された。
著者
今井 真士
出版者
日本中東学会
雑誌
日本中東学会年報 (ISSN:09137858)
巻号頁・発行日
vol.36, no.1, pp.1-27, 2020-08-31 (Released:2021-09-30)

To appropriately understand and operationalize the concept of “personalist rule,” this article separates the institutional arrangements of the (de)centralization of executive power into three components: the organizational foundation of the ruling elites, executive-legislative relations, and constitutional authority and partisan power. This article is divided into four sections. First, it indicates that previous studies on “personalist rule” have focused on its two primary features: the long-standing rule and centralization of executive power. Second, based on the above three aspects of the (de)centralization of executive power, it explores the institutional arrangements of the Egyptian third republic, which was established in the 2014 constitution and reformed in 2019 to coexist with the second chamber, the vice presidency, and presidential term limits under semi-presidentialism. Third, it discusses the institutional implications of extensive constitutional reform and suggests that the introduction of the vice presidency and second chamber, with the simultaneous relaxation of presidential term limits, can give an impression of strengthening the decentralization of executive power when in fact weakening it. Finally, it concludes that such an argument contributes to broadening the institutionalist perspective on authoritarian regimes and constructing a measurable and reproducible indicator of “personalist rule.”
著者
友近 晋 今井 功 TOMOTIKA Susumu IMAI Isao
出版者
東京帝國大學航空研究所
雑誌
東京帝國大學航空研究所報告 = Report of Aeronautical Research Institute, Tokyo Imperial University
巻号頁・発行日
vol.12, no.146, pp.69-128, 1937-02

水上飛行機が海面上を滑走してゐる場合,或は海面の極く近くを飛行してゐる際に,海面が飛行機の揚力に相當大きい影響を及ぼすことが知れてゐる.實際,數年前英國のFelixstoweに於いてなされた實物飛行機による試驗の結果は,水上機の最大揚力が海面の影響によつて約10%も増加することを示してゐるのである.この樣な揚力に對する海面の影響を理論的に研究することは興味あることであるが,この現象を満足に説明し得る理論は今までに提出されてゐない樣である.普通の所謂渦理論の如きは到底うまくこれを説明し得べしとも思へない.本論文では,一つの試みとして,純粋な流體力學的の一問題を研究し,その結果を水上機の揚力の問題に應用することを試みてゐる.先づ,一つの自由表面を持ち且つ半無限大に擴がつてゐる二次元的の流れの中に一つの平板を置く場合,その平板の受ける揚力は如何といふ流體力學的問題を考へ,その揚力を嚴密に計算した.但し,この場合,自由表面は平板の下方に於いて流れを限界してゐるものとした.次に,平板の迎へ角及び平板と自由表面との間の距離を色々に變へて,平板の揚力が自由表面のために如何に影響されるかを詳しく數値的に研究したものである.この樣な問題は一つの理論的の問題としても興味があると信ずるものであるが,又冒頭に述べた水上飛行機の揚力に對する海面の影響といふ實際的の問題にも密接に關聯してゐると考へられる.即ち,若しも海水が靜止してゐるものと假定し且つ重力を無視するならば海水中の壓力は到る處一定であり,從つてその場合には海水とその上の空氣との境界である海の表面は一つの自由表面を形成すると考へることが出來る故に,吾々の研究した理論的の問題は,かゝる假定の下に於いては,水上飛行機が海面上を滑走する場合,或は海面の近くを飛行する場合の條件とよく似て居て,平板は即ち飛行機の翼に對應し,自由表面は海面に對應することになる.從つて,吾々の問題から得られた結果を,大きい誤なしに,實際問題に應用することが出來ると思はれるのである.本論文に於ける色々な詳しい數値計算の結果を適用すると,水上機が海面上を滑走するか,又はそれの極く近くを飛行してゐて,翼と海面との間の距離が翼の幅と同程度の大いさの場合には,翼の最大揚力は海面のために約6%増加することが理論的に豫想される.この理論的結果は前述の實物試驗の結果と比較さるべきものであつて,吾々の理論的問題では流れが二次元的であるに反し實際の場合には三次元的である故に完全な一致を期待し得ないのは當然であることを考慮すると,理論の結果と實際とはかなりよく合ふと云つてもよいと思はれる.
著者
田澤 直幸 岩鼻 幸男 今井 篤 清山 信正 都木 徹 鳥原 信一
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会年次大会講演予稿集 2009 (ISSN:13431846)
巻号頁・発行日
pp._7-8-1_-_7-8-2_, 2009-08-26 (Released:2017-05-24)

This paper describes a trial study for reproducing adequate very high-speed speech for visually handicapped person. At times, visually handicapped people rely on the use of recorded speech content such as in the case of reading some books or newspaper and so on. In such cases, many of them have wondered whether "rapid playback" might be possible because it is difficult to take a general view of the whole contents.
著者
中村 久美 今井 範子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.55, no.7, pp.561-572, 2004

屋外物置購入世帯を対象に調査を行い, その購入経緯や収納状況を明らかにするとともに, 居住者の収納に関わる生活スタイルとの関連から, 屋外物置の位置付けやあり方を考察した.結果を以下に要約する.<BR>1) 屋外物置の収納内容を詳細に見ると, 屋外使用品のみ収納している世帯が45%をしめる.中高年層を中心に, 屋内使用の日常品や, 季節用品などの非日常品を収納している世帯も少なくない.さらにびん・缶などの資源ゴミの保管場所として活用されることも多い.<BR>2) ほとんどの世帯が, 収納スペースの不足する部屋を指摘している.屋外物置の収納物は, 収納スペース不足の指摘のある居室に対応するモノであり, 住宅諸室からあふれ出たモノを, 屋外物置に収容していることが確認できる.<BR>3) モノの持ち方や片付けに対する生活態度, 意識より, 収納に関わる生活スタイルをみると, 物持ちがよくそれらをきちっと管理する「こだわりタイプ」 の世帯が半数をしめる.とにかくモノを持つことに価値をおく「とりそろえタイプ」も3割存在する.一方限られたモノをきっちり管理する「すっきりタイプ」やモノを持つことも整理することにも消極的な「あっさりタイプ」は少数派である.<BR>4) 屋外物置の位置付けとして, 1つは, 屋外使用の生活用品, 用具の収納庫としての使い方がある. 実際に収納される屋外使用品は, 積雪地域特有の生活用品や, 温暖地域のガーデニング用具, あるいはスポーツ, レジャー用品など, 地域性を反映する.「すっきりタイプ」の居住者はこの種の使い方が多い.このタイプは若年層が多いことから今後このような使い方は増えると考えられる.<BR>5) 「こだわりタイプ」を中心に, 住宅内にあふれるモノを受け入れることで, 居住スペースの確保と住宅内収納スペースの有効利用を図る使われ方がされており, 住宅内収納空間の不適応を補う, 消極的な意味ながら, 屋外物置を設置する意義は見出しうる. 一方, 屋外物置は一時収納, 処分保留のスペースと位置付けて使われる場合もあり, 住み手がモノの保有や管理のあり方を考えるうえで, 以前の蔵や納戸に替わる有効なスペースとして積極的に評価できる.また, 資源ゴミの分別保管場所としての用途は, そのスペースがまだ一般には住宅内に確保されていない現状では貴重である.<BR>6) 屋外生活品の専用庫として使われる物置は, 収納物とそれに対応する設置場所ごとに, ふさわしいデザインが求められる.一方, 住宅内の収納スペースの延長として使われる場合, 屋内生活品を含めた多様な収納物に配慮して, 耐久性, 棚数, 換気などへの配慮を要する.