著者
伊藤 悠一郎 中村 晋一郎
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B1(水工学) (ISSN:2185467X)
巻号頁・発行日
vol.77, no.1, pp.74-83, 2021 (Released:2021-07-20)
参考文献数
13

水害への対策を検討したり,将来の水害被害を予測するうえで重要となるのが水害被害を記録した長期統計である.日本の水害被害を扱う記録としては1961年より行われている水害統計調査があるが,それ以前の水害の規模や発生地域,発生要因等を把握する長期統計は存在しない.そこで,本研究では,地方気象台等が作成した水害記録を用いて,日本における水害統計調査開始以前の水害データベースを構築した.本データベースは水害統計調査が開始される以前の日本全国の水害被害を記録した最も詳細且つ長期の水害統計である.この水害データベースを分析した結果,これまで記録の無かった1941年から1945年にも1930年代と同等の水害が発生していたこと,水害イベントの発生頻度及び強度は 1950年以降明瞭に増加する傾向が示された.
著者
清山 風人 伊藤 菜々 大橋 裕平 田中 志歩 藤谷 亮 小森 祐輔
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.46, pp.H2-201_2-H2-201_2, 2019

<p>【はじめに、目的】頸部姿勢保持筋の異常筋緊張をもつ患者おいて,うつ症状だけでなく運動に対するネガティブ感情(恐怖,つらい)を持っていることが多い.そのため頭頸部姿勢保持筋の筋機能異常は感情と関連すると考えられてきた.しかしながらそれらを示す検討はない.感情と姿勢保持筋の関連を明らかにすることは,感情と筋制御の関連を示す基礎的知見となる.そこで本研究では健常成人を対象に感情が頭頸部姿勢保持筋に与える影響について検討することを目的とした.</p><p>【方法】顔面神経麻痺などの既往のない健常成人学生19名(男性11名,女性8名)を対象とした.実験1としてポジティブ映像(笑い①,笑い②),ネガティブ映像(高所,恐怖,つらい)をランダムに見せ,その間の表情筋(大頬骨筋,皺眉筋,咬筋)および頸部姿勢保持筋(後頸筋群,肩甲挙筋,僧帽筋,胸鎖乳突筋)の筋活動を表面筋電図によって計測し,目的とする感情が得られたかをVASにより記録した.またEMGデータはフィルタ処理,二乗平方根平滑化処理を行い,安静時の各筋活動のRMSを基に正規化した.実験2では,笑い・怒り・つらいの3つの表情を各被験者にランダムにとらせ,その際の表情筋および頭頸部の筋活動を実験1同様に記録した.また実験1,2において姿勢が頭頸部の筋活動に影響しないよう姿勢は固定し,頭頸部の姿勢を矢状面上より撮影し,姿勢が崩れた場合はその試技を除外し,試間での姿勢評価を行った.各実験で得られたiEMG,姿勢に対し一元配置分散分析を行い,有意差のあった項目に対して多重比較検定を行った.有意水準はいずれも0.05未満とした.</p><p>【結果】実験1の結果から,ポジティブな動画を見た際に大頬骨筋,咬筋,胸鎖乳突筋が有意に増加した(p<0.05).またネガティブな動画を見た際に皺眉筋(p<0.05)が有意に増加した.実験2の結果から大頬骨筋,咬筋,胸鎖乳突筋は笑いの表情を作ることで,また皺眉筋が怒りの表情を作ることでそれぞれ有意に増加した(p<0.05). また実験1,実験2の笑い,つらいに頭頸部の筋活動で有意な差を認めなかった.また各実験間で実験1,2前後の姿勢に有意な変化は認めなかった.</p><p>【結論(考察も含む)】本実験の結果から,感情の有無が頭頸部筋活動に影響を示さないことが明らかになった.このことから,感情変化に伴う姿勢や頭頸部の筋緊張の増加は短期的ではなく長期的,また二次的に発生するものであること考えられる.このことは頸部姿勢保持筋の過緊張とネガティブ感情を持つ患者に対する理学療法アプローチとして,感情にではなく,姿勢保持筋に対する姿勢改善や体操などの運動療法がより重要であるという基礎的知見を示すものである.</p><p>【倫理的配慮,説明と同意】本研究はヘルシンキ宣言に従い,実験を行うにあたり事前に全対象者に対して本実験内容,趣旨,データの取り扱いについて十分に説明を行い,紙面にて同意を得た上で実験を行った.</p>
著者
伊藤 明彦
出版者
日本教育情報学会
雑誌
年会論文集
巻号頁・発行日
no.9, pp.52-55, 1993

表現の道具としてのコンピュータ利用は,教育の分野にも多様な試みと発展が期待されている.情報機器を用いた表現教育において表現することと技術の関係を捉えながら,その教育展開における問題点を検証する.
著者
内田 悠介 枝廣 育実 水野 恒史 高橋 弘充 大野 雅功 北口 貴雄 勝田 隼一郎 幅田 翔 大橋 礼恵 岡田 千穂 内田 和海 渡辺 伸 深沢 泰司 伊藤 真義 武田 伸一郎 田島 宏康 湯浅 孝行 他HXI/SGDチーム 太田 方之 林 克洋 小高 裕和 一戸 悠人 米田 浩基 都丸 亮太 高橋 忠幸
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会講演概要集
巻号頁・発行日
vol.71, pp.373, 2016

<p>2016年2月に打ち上げられたX線天文衛星「ひとみ(ASTRO-H)」に搭載された軟ガンマ線検出器(SGD)の主検出器はコンプトンカメラである。これまでに、実験による性能評価の一方で、シミュレーションによる検出器応答の作成が行われた。検出器の応答は、バックグラウンドや入射光子の偏光の影響を受ける。2015年11月に行われたSPring-8偏光ビーム試験の結果を含めて、本講演ではSGDコンプトンカメラの検出器応答について報告する。</p>
著者
伊藤 清美
出版者
北里大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1999

CYP3A4により代謝されるミダゾラムの経口投与後の血中濃度は、臨床において、エリスロマイシン(EM)およびクラリスロマイシン(CAM)の併用では大きく上昇するのに対し、アジスロマイシン(AZM)の併用では、相互作用の程度は非常に小さいことが報告されている。マクロライド系抗生物質によるCYP3A4の阻害機構は、阻害剤の代謝物が酵素と共有結合し不可逆的な阻害を起こす、いわゆるmechanism-based inhibitionである。そこで本研究では、阻害様式を考慮したモデルによりin vitro試験からin vivo薬物間相互作用を定量的に予測する方法論について検討した。NADPH存在下ヒト肝ミクロソームを、種々の濃度のEM、CAMあるいはAZMと共に37℃でプレインキュベーションした後、ミダゾラムを添加し、3分間インキュベーションを行った。生成したミダゾラムのα位および4位水酸化代謝物をHPLCにより定量し、酵素不活化に関する速度論パラメータを求めた。マクロライド系抗生物質濃度および酵素とのプレインキュベーション時間に依存して、ミダゾラムのα位および4位水酸化反応は同程度に阻害され、阻害の程度はEM、CAMに比べてAZMでは非常に小さかった。得られたパラメータと、マクロライド系抗生物質とミダゾラムの体内動態パラメータの報告値を生理学的薬物速度論モデルに代入し、in vivo相互作用のシミュレーションを行った結果、ミダゾラムのAUCはEM(500mgt.i.d.5days)の併用により約3.7倍、CAM(250mg b.i.d.5days)の併用では約2.3倍上昇するのに対し、AZM(500mgo.d.3days)の併用ではほとんど変化がないことが予測され、臨床の報告とほぼ一致した。以上の結果から、マクロライド系抗生物質において、この方法論の妥当性が示唆された。
著者
藤原 誠 関根 康介 山本 義治 阿部 知子 佐藤 直樹 伊藤 竜一
出版者
日本植物生理学会
雑誌
日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.2010, pp.362, 2010

葉緑体は植物細胞内で対称二分裂によって増殖する。葉緑体分裂の初期イベントはチューブリン様タンパク質FtsZが重合して出来るZリング形成であると考えられており、我々はこれまでにZリング形成の空間的制御にはストロマタンパク質MinDとMinEの活性のバランスが重要であることを示してきた。しかし、FtsZタンパク質が葉緑体内の特定の位置で凝集、重合し、さらに高次リング構造を形成する<I>in vivo</I>の過程については、未だ不明な点が多い。今回、我々はFtsZ1とGFPとの融合タンパク質(FtsZ1-GFP)を発現するシロイヌナズナ<I>MinE</I>(<I>AtMinE1</I>)過剰発現体及び変異体を用いて、生体葉緑体内におけるFtsZ1の構造と挙動を詳細に観察した。<br> 経時観察の結果、<I>AtMinE1</I>過剰発現体及び変異体いずれにおいても、ドット状及び短いフィラメント状のFtsZ1構造が存在し、無秩序な運動性を示すことが明らかになった。短いフィラメント状のFtsZはしばしばドット状のFtsZから伸張しており、別のフィラメントに組み込まれ太いフィラメントを形成した。<I>AtMinE1</I>過剰発現体では伸張した葉緑体を巻く螺旋状のFtsZが観察されたほか、<I>atminE1</I>変異体では巨大葉緑体のストロマ中に浮かぶ直径2μm以下のリングが検出された。
著者
風間 隆宏 中村 隆 伊藤 敏朗 大塚 浩二 佐藤 勝弘 今津 雄吾
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
海岸工学論文集 (ISSN:09167897)
巻号頁・発行日
vol.53, pp.1356-1360, 2006
被引用文献数
5

津波による船舶被害軽減のための避難海域設定手法について検討を行った. まず, 中央防災会議各専門調査会によって公開されている「海岸での津波高さ」を用いて, 簡易的に避難海域水深を設定する手法を提案し, 気仙沼湾を対象とした津波シミュレーション結果と比較した結果, その妥当性を確認した. また気仙沼湾において避難海域への到着可否を検討した結果, 湾奥部から避難の場合は, 避難海域に到達する前に津波に遭遇する可能性があることが認められた. さらに人命第一を考えた船舶避難行動に関する考え方を提示し, 避難海域及び避難行動のルールは地域の実情を踏まえ関係者が協議し設定することの重要性を指摘した.
著者
伊藤 操子
出版者
特定非営利活動法人 緑地雑草科学研究所
雑誌
草と緑 (ISSN:21858977)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.36-41, 2010 (Released:2017-06-30)
参考文献数
14
被引用文献数
1

日本におけるクズ(Pueraria lobata Ohwi)は,万葉集にもよく歌われているが7~8世紀にはかなり広がっていたようだ.また,季節の風物というだけでなく,古来,生活必需資材として様々な形で利用されてきた,塊根から採る葛粉は食料として,つる繊維から織る葛布は衣類などに,茎葉は家畜の飼料や肥料になり,葛根は貴重な薬であった.しかし,近年利用されなくなった人里のクズは,列島改造計画による土地造成で形成された都市・市街地の多くの解放地に侵入し急速に拡がった.河川敷,鉄道敷,高速道路では最優占種であることが報告されており,造林地,果樹園等も含めその被害は深刻である.米国では,土面保護植物や第2次大戦で荒廃した放棄畑の土壌改良用として政策的に普及したクズが,現在では制御不能な強害草に指定されている.クズの植物体は3出複葉を着ける当年生茎,多年生茎,節から発生する節根,これが伸長・肥大した主根(塊根)で形成されている.当年生茎は,4月上・中旬に1,2年生茎の腋芽から発生し,地表を這い進むものと立ち上がるものとがあり専有面積・容積の拡大に働く.クズの種子繁殖力は低く,繁殖は主に多年生茎が昆虫幼虫の食害や老化で分離することによると考えられる.
著者
北島 宣 山本 雅史 伊藤 謙 米森 敬三 深尾 葉子 安冨 歩 中崎 鉄也 山崎 安津 清水 徳朗 中野 道治 岳 修平 林 維真 鐘 國芳 中野 道治 長田 俊樹 渡邉 和男 河瀬 真琴 山下 満智子 前山 和範 中村 彰宏
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

ウンシュウミカン、カボス、などの両親が明らかとなり、多くの日本在来カンキツは、キシュウミカン、ユズ、タチバナに起源していることが明らかとなった。キシュウミカンは中国江西省の「南豊蜜橘」に由来することが示された。タチバナは台湾に起源し、沖縄を経て本土に伝播したと考えられ、タチバナの沖縄系統はシークワーサーとの交雑によって生じたことが示唆された。田中長三郎のカンキツ標本を整理してデジタル入力を行い、検索機能も付加してアーカイブ化を行った。田中長三郎の自筆スケッチなどの資料を蒐集・整理してデジタル化を行うとともに、和歌山県橘本神社のカンキツ博物館「常世館」に展示し、広く一般に公開した。
著者
伊藤 誠
出版者
経済理論学会
雑誌
季刊経済理論 (ISSN:18825184)
巻号頁・発行日
vol.51, no.4, pp.58-69, 2015-01-20 (Released:2017-04-25)

In this paper, historical and social significance of ideas and practices of local (or community) currencies are examined, starting from economic thoughts and theories of Silvio Gesell. (1)Gesell's major work Die naturliche Wirtschaftsordnung durch Freiland und Freigeld (1916) was highly appreciated by J. M. Keynes. It aims at socialism with human freedom by abolishing unearned income such as ground rent and interest. In order to abolish ground rent, nationalization of land is to be achieved through offering certain amounts of state bond to private owners of land. The resultant payment of rent to the state is to be redistributed to mothers in proportion to their number of children (just like a sort of basic income). Whereas the idea to nationalize land does not seem particularly unique, Gesell's thoughts and theories of money and interest are quite original. In his view, traditional money has an advantage over all other commodity products physically not to decay or rust. Therefore money can easily be withdrawn from a market without loss, while other commodities are enforced to be sold. Under the circumstances interest is obtainable to money owners like merchants when they exchange their money with other commodities. In order to abolish interest as unearned income, traditional money has to be converted into 'stamp money', which needs carry-over cost like other commodities in the form of duty to stick stamp of one thousandth amount of face value of paper money weekly (so as to make annual rate of 5%). Stamp money would no longer be able to demand interest, and must continuously stay in a market to be exchanged. Thus it must solve also a decisive cause of depression due to money hoarding. This paper would examine significance and weaknesses in Gesell's theories; such as negligence of profit as a more fundamental form of surplus value in a capitalist society, as well as the logical relevance of his theory of interest. (2)Then this paper treats the ideas and historical significance of local currencies, which were initiated under the strong influence of Gesell's arguments in the early 1930s. In many cases to set up local currencies, the form of stamp money was utilized in order to mitigate the economic distress under the Great Depression in local towns and communities. However, as the national economic recovery policies became strengthened, the central governments and central banks prohibited most of local currencies from a view of unified national budgetary and monetary policies at that period. After several decades, the second wave of upsurge of local currencies has globally been conspicuous in our age of continuous economic crises and restructuring since 1970s. The number of local currencies grew rapidly especially since 1990s, and reached more than two thousands in the world, and more than five hundreds in Japan. They are largely facilitated by development of information technologies such as personal computer and mobile phones. Their forms are no longer limited to stamp paper money, but multiplied. For instance cases of Local Exchange Trading System (LETS) organize mutual debit account system through computerized records, without issuing paper money. In most cases of recent local currencies either in LETS type or in paper money type, interest is not paid for saving or debt, by following Gesell's idea. However, those to charge minus interest rate such as stamp money in Gesell's model became rare. At the same time quite a number of recent local currencies intend to organize equal exchange of labour time by using labour time as unit of account or setting money unit proportional to labour time (say 10 dollars per one hour of labour). This idea is disconnected from Gesell's, and follows the genealogy of labour money presented by Ricardian socialists, or R. Owen. In this genealogy, abolishment of surplus value based on exploitation of(View PDF for the rest of the abstract.)
著者
鈴木 達也 岩堀 裕介 水谷 仁一 竹中 裕人 大家 紫 清水 俊介 矢澤 浩成 花村 浩克 筒井 求 伊藤 岳史
出版者
東海北陸理学療法学術大会
雑誌
東海北陸理学療法学術大会誌
巻号頁・発行日
vol.27, pp.48, 2011

【目的】投球動作による肩・肘障害の原因として,オーバーユース,コンディショニングの不良,不良な投球フォームなどがあげられる.我々は第7回肩の運動機能研究会において,wind-up phase(以下WU)での体幹後方傾斜と肘下がりとの関係を調査し,WUでの体幹後方傾斜とearly-cocking phase(以下EC)での肘下がりとの関係は示唆されたが,late-cocking phase(以下LC)での肘下がりとの関係は見られなかったことを報告した.今回,WUで体幹後方傾斜を認める選手に対し,その場で投球フォーム指導を行い体幹後方傾斜を修正し,投球フォームが即時的に変化するのかどうかを調査したので報告する.〈BR〉【対象】対象は,メディカルチェックを行い本研究に賛同し同意を得た肩・肘に愁訴のない中学生野球選手27名(平均年齢13.30±0.61歳)の中から,明らかにWUで体幹後方傾斜を認めた選手(以下WU体幹後方傾斜群)11名である.なお,11名は全員右投げである.〈BR〉【方法】方法は,CASIO社製デジタルカメラEX-FH25を用い,前方,側方,後方の3方向からハイスピードモードの動画で撮影した.frame rateは240fpsとし,18m先の相手に対し,セットポジションから全力投球で3球投げさせ(撮影1),デジタルカメラの映像から複数人で評価し3球とも明らかにWUで後方傾斜が確認された選手をWU体幹後方傾斜群として抽出した.次に,WU体幹後方傾斜群に対し言語教示と実技によりWUの後方傾斜を修正した状態で撮影1と同様の撮影方法で投球フォームを撮影した(撮影2).撮影と同時にBushnell社製スピードガンスピードスターVで球速も測定し,もっとも速い1球を分析対象とした.投球フォームの分析は撮影1,撮影2とも動画を静止画にして行った.投球フォームの評価項目は(1)ECでの投球側股関節屈曲不足,(2)FPでの体幹後方傾斜,(3)FPでの投球側肘下がり,(4)LCでの投球側肘下がりの有無である.それぞれの基準は(1)右手が最も下がった時点で膝関節と股関節が同程度に屈曲していなければ投球側股関節屈曲不足あり,(2)FPで地面からの垂線に対し,体幹が後方に傾斜していれば体幹後方傾斜あり,(3)FPで両肩峰を結ぶ線よりも投球側肘関節が下がっていれば肘下がりあり,(4)LCで両肩峰を結ぶ線よりも投球側肘関節が下がっていれば肘下がりありとした.撮影1と撮影2の静止画を比較し,(1)から(4)の項目が変化したのかどうかを,i)変化なし,ii)改善,iii)改悪の3項目に分類し,投球フォームの変化を確認した.〈BR〉【結果】WU体幹後方傾斜群の投球フォームの特徴として(1)EC股関節屈曲不足ありが11名中7名(63.6%),なしが4名(36.4%),(2)FPの体幹後方傾斜ありが11名中4名(36.4%),なしが7名(63.6%),(3)FP肘下がりありが11名中8名(72.7%),なしが3名(27.3%)(4)LC肘下がりありが11名中6名(54.5%),なしが5名(45.5%),であった.撮影1の投球フォームと撮影2の投球フォームを比較したところ,(1)EC股関節屈曲不足ありが7名中,変化なし4名(57.1%),改善3名(42.9%),改悪0名(0.0%),(2)FPの体幹後方傾斜ありが4名中,変化なし0名(0.0%),改善4名(100.0%),改悪0名(0.0%),(3)FP肘下がりありが8名中,変化なし6名(75.0%),改善2名(25.0%),改悪0名(0.0%),(4)LC肘下がりありが6名中,変化なし5名(83.3%),改善1名(16.7%),改悪0名(0.0%)であった.〈BR〉【考察】今回の結果から,WUの体幹後方傾斜を即時的に修正することにより,FPでの体幹後方傾斜は100%改善できた.しかし,FPでの肘下がりは25%,LCでの肘下がりは16.7%しか改善できなかった.FP,LCでの肘下がりに関しては別のアプローチが必要であると考えられた.
著者
伊藤 章 大久保 隆男
出版者
公益社団法人 日本化学療法学会
雑誌
CHEMOTHERAPY (ISSN:00093165)
巻号頁・発行日
vol.36, no.1, pp.455-459, 1988

CS-807を臨床的に7例の呼吸器感染症に投与し, 以下の成績がえられた。<BR>1) 肺炎1例, 慢性気管支炎3例, 気管支拡張症, 気管支喘息, 肺線維症各1例, 計7例に投与した。<BR>2) 副作用のため投与を中止した慢性気管支炎1例を除く6例に対する臨床効果は, 有効4例, やや有効1例, 無効1例で有効率は66.7%であった。<BR>3) 1回200mg投与例では4例中2例が有効であったが1回量400mg投与例では, 2例共有効であった。<BR>4) 5例で, 起炎菌が検出され,消失2例, 不変1例, 菌交代1例, 不明1例であった。<BR>5) 副作用として下痢が1例で認められ,本人の判断で1日後に中止したが, 2日目には特に治療を要することなく正常値に回復した。<BR>6) 本剤によると思われる臨床検査値異常は認められなかった。<BR>7) 有効率の低さは, 症例が少ないための偏りであろうと考えられた。<BR>8) 症例を選択して本剤を用いれば, 有用な経口抗生剤となりうるであろう。
著者
岩崎 雄介 織田 ももこ 佃 優里 永森 裕季 中澤 裕之 伊藤 里恵 斉藤 貢一
出版者
[日本食品衛生学会]
巻号頁・発行日
vol.55, no.4, pp.167-176, 2014 (Released:2014-10-29)

食品添加物は,保存料,甘味料,着色料,香料など,食品の製造過程または食品の加工・保存の目的で使用されている。個別では安全とうたわれていた食品中の化学物質でも生体内で相互的な複合反応を引き起こし,想定外な影響を与える可能性がある。本研究では食品添加物の安全性を評価するために,酸化防止剤と金属の複合反応に着目し,ラジカルを選択的に検出可能な電子スピン共鳴装置(ESR)を用いた活性酸素種(ROS)生成の評価を行った。酸化防止剤と各種金属を反応させたところ,鉄と銅以外のミネラルや微量金属はROSの産生に寄与しなかった。しかし,特定の酸化防止剤は銅と反応することで,ROSが産生されDNAの酸化と切断を引き起こし,酸化ストレスを惹起させていることが示唆された。
著者
伊藤 正男
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネス (ISSN:00290491)
巻号頁・発行日
no.1110, pp.151-154, 2001-10-01

2001年5月9日、米司法省は日本人研究者2人を遺伝子試料の持ち出しなどによる経済スパイ容疑で起訴したと発表しました。 そのうちの1人、岡本卓さんは、米国を離れたあと、理化学研究所脳科学総合研究センターのチームリーダーに就任した優秀な研究者でした。