著者
杉浦 健之 徐 民恵 幸村 英文 平手 博之 藤田 義人 薊 隆文 伊藤 彰師 笹野 寛 祖父江 和哉
出版者
一般社団法人 日本ペインクリニック学会
雑誌
日本ペインクリニック学会誌 (ISSN:13404903)
巻号頁・発行日
vol.18, no.4, pp.384-387, 2011 (Released:2011-10-10)
参考文献数
12

プラミペキソールの服用後に有痛性下肢運動障害疾患が軽快した症例を報告する.患者は60歳代の男性で,右膝関節の再置換術後から右足趾(第2~5)に痛みと不随意運動が発現した.足趾の痛みは,持続性で歩行時に増強していた.不随意運動は,安静時に足趾内転位を示すジストニアと,1-2 Hzの不規則な持続性の振戦であった.下肢遠位側の病変で,痛みと不随意運動を特徴とする“痛む脚と動く足趾症候群”を疑ったが,確定診断には至らず,有痛性運動障害疾患として取り扱った.仙骨硬膜外ブロックとプラミペキソールの内服後に,足趾の痛みと不随意運動は軽減した.プラミペキソールを増量後に,不随意運動はほぼ消失し,歩行が円滑にできるようになった.その後は,坐骨神経ブロックを隔週に行い,プラミペキソールの内服を継続している.下肢静止不能症候群の治療薬であるプラミペキソールは,本症例のような有痛性下肢運動障害疾患にも効果がある可能性がある.
著者
伊藤 誠
出版者
立命館大学
雑誌
政策科学 (ISSN:09194851)
巻号頁・発行日
vol.18, no.2, pp.11-20, 2011-02
著者
桝井 文人 柳 等 伊藤 毅志 山本 雅人 松原 仁 竹川 佳成 河村 隆 宮越 勝美
出版者
北見工業大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2015-04-01

今年度は,戦術要素の収集・解析と戦術推論手法開発の継続,ストーントラッキング手法の実証実験,人工知能アルゴリズムの応用,スウィーピング計測システムのモデル化と実験に取り組んだ.以下,各項目別に報告する.(1)戦術要素の収集と解析については,新たに日本代表決定戦,平昌オリンピックの試合情報を追加して分析し,チームショット率と得点の関係,ポジション別ショット率と得点の関係,さらに,先攻後攻におけるショット率と得点の関係についての知見を得た.さらに,得点機会と失点機会に注目した分析を行い,チーム固有の発生確率パターンが存在することを発見した.(2)人間判断要素の収集と解析については,昨年度に実施した認知心理学実験結果を分析し,戦術の思考過程の考察を行なった.戦略書に基づいたデジタルカーリングAIにおける序盤定石の構築も引き続き行なった.(3)ストーン挙動要素の収集については,実際のカーリングホールにて氷上での動作検証実験を行なった.シートの氷の下にキャリブレーション用モジュールを埋め込むことで,昨年度の課題を解消した.シーズンを通しての耐久性と,キャリブレーション時の誤差について検証を行い,概ね陸上と同じ結果が得られることが確認できた.(4)戦術推論手法の開発では,昨年度実装した離散化座標と評価値の期待値に基づいてショット選択を行う人工知能アルゴリズムを用いて平昌オリンピックの試合を人工知能アルゴリズムで再現した.また,デジタルカーリング環境における戦術学習支援システムを構築した.(5)スウィーピング計測については,計測システムに加わる力のモデル化と,スウィープ時の力とモーメントの計測結果の検討を行なった.
著者
織田 信男 山口 浩 伊藤 拓 山本 眞利子
出版者
岩手大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

平成29年度は、スーパーヴァイジー(Svee)2名に対して平成28年10月より開始した第2期1年目のスーパーヴィジョン(SV)を2年目の平成29年4月から11月まで継続して実施した。その後、第3期のSveeを募集したが応募者は1人であり、12月から3月までは1人のSveeに対してマッチングを考慮の上でスーパーヴァイザー(Svor)を選定し、SVを実施した。研究の手続きは、平成27年度を踏襲し、SVを対面・電子メール・スカイプの3つのコミュニケーションメディア(CM)を用いて順番に実施した。3人の異なるオリエンテーションを持つSvorと同一のSveeへのアンケートデータをもとに、メールSVによる事例困難度の得点について3(Svor A・Svor B・Svor C)×2(事前・事後)の分散分析を行った。結果は時間の主効果のみが認められた(F(1,10)=5.65, p<.05)。メールSVは対面SVやSkype SVに比べてSveeによるSVの評価が低くなる傾向があるが、Svorによる評価を上げるための工夫がアンケート結果から確認された。具体的には、Sveeのニーズに応えるためにSveeにフィードバックを求めるといったメールのやりとり回数の増加、複数の視点をまとめて返す形式からSveeのケース報告資料にSvorのコメントを書き込む形式への変更、平均8つのケース(全てのケース)に短いコメントを返す形式から一つのケースに絞って返事をまとめて返す形式への変更等が認められた。これらの研究知見を第28回日本ブリーフサイコセラピー学会京都大会で発表する予定(投稿済み)。
著者
伊藤 淳士 郭 威 田口 和憲 平藤 雅之
出版者
農業情報学会
雑誌
農業情報研究 (ISSN:09169482)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.28-38, 2018 (Released:2018-06-29)
参考文献数
8

近年,作物試験圃場などでフィールドフェノタイピングにドローンを活用する事例が増加している.そのような目的を持った空撮においては,低空で複数の画像を撮影しオルソモザイク処理をしたのち,位置情報を付加してGeoTIFFで保存するといった処理が行われる.GeoTIFFは,画像サイズが大きくなる傾向にあり,一般的な画像ビューアでは閲覧が円滑に行えない場合も多い.さらに,ウェブ上でそれらの画像を配信し閲覧させることは非常に困難である.そこで,筆者らはIIIFの技術を活用し,ウェブ上で高解像度画像を円滑に配信する手法を開発した.本手法は,GeoTIFFをあらかじめ地図タイルに変換しておくことで,画像をIIIFの仕様に従い円滑に配信できる.本手法は,配信された画像が既存のIIIF対応の画像ビューアでも閲覧できるという点で汎用性が高い.また,IIIF対応の既存のライブラリを活用し独自のビューアの実装も行い,柔軟性の高い運用が可能であることを示した.
著者
藤井 雄太郎 安藤 哲志 伊藤 孝行
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.24, 2010

近年,SNSが急激に発達してきている. SNS上には未成年ユーザにとって有害な情報を配信するユーザも存在し,問題となっている. そこで本稿では,効率的に未成年ユーザに対して有害な文章をフィルタリングする事を目的とし,それらの文章を2単語間の共起情報を用いた判別方法により自動的に判別するシステムを提案する. また,実在しているSNSの文章を用いて判定実験を行い,本システムの有効性を示す.
著者
伊藤 研一 大場 崇旦 家里 明日美 岡田 敏宏 花村 徹 渡邉 隆之 伊藤 勅子 小山 洋 金井 敏晴 前野 一真 望月 靖弘
出版者
日本内分泌外科学会・日本甲状腺外科学会
雑誌
日本内分泌・甲状腺外科学会雑誌 (ISSN:21869545)
巻号頁・発行日
vol.30, no.3, pp.168-174, 2013 (Released:2013-10-31)
参考文献数
55

甲状腺未分化癌は発生頻度の少ないorphan diseaseであるが,甲状腺癌死に占める割合は高くその予後は極めて不良である。甲状腺未分化癌のほとんどは,分化癌から脱分化のステップを経て発症してくると考えられているが,未分化転化の機序も解明されていない。現在のTNM分類では,原発巣の状況と遠隔転移の有無でⅣA,ⅣBとⅣCに分類されているが,多くは診断時ⅣB以上である。本邦と海外で共通に報告されている予後因子としては,診断時の年齢,原発巣の広がり,遠隔転移の有無がある。本邦で設立された甲状腺未分化癌研究コンソーシアムでの世界に類をみない多数例の解析では,急性増悪症状,5cmを越える腫瘍径,遠隔転移あり,白血球10,000mm2以上,T4b,70歳以上が有意な予後不良因子であった。今後,新規治療戦略の開発とともに,未分化癌においても治療戦略に有用なバイオマーカーが同定されることが期待される。
著者
加納 靖之 橋本 雄太 中西 一郎 大邑 潤三 天野 たま 久葉 智代 酒井 春乃 伊藤 和行 小田木 洋子 西川 真樹子 堀川 晴央 水島 和哉 安国 良一 山本 宗尚
出版者
日本地球惑星科学連合
雑誌
JpGU-AGU Joint Meeting 2017
巻号頁・発行日
2017-03-10

京都大学古地震研究会では,2017年1月に「みんなで翻刻【地震史料】」を公開した(https://honkoku.org/).「みんなで翻刻」は,Web上で歴史史料を翻刻するためのアプリケーションであり,これを利用した翻刻プロジェクトである.ここで,「みんなで」は,Webでつながる人々(研究者だけでなく一般の方をふくむ)をさしており,「翻刻」は,くずし字等で書かれている史料(古文書等)を,一字ずつ活字(テキスト)に起こしていく作業のことである.古地震(歴史地震)の研究においては,伝来している史料を翻刻し,地震学的な情報(地震発生の日時や場所,規模など)を抽出するための基礎データとする.これまでに地震や地震に関わる諸現象についての記録が多数収集され,その翻刻をまとめた地震史料集(たとえば,『大日本地震史料』,『新収日本地震史料』など)が刊行され,活用されてきた.いっぽうで,過去の人々が残した膨大な文字記録のうち,活字(テキスト)になってデータとして活用しやすい状態になっている史料は,割合としてはそれほど大きくはない.未翻刻の史料に重要な情報が含まれている可能性もあるが,研究者だけですべてを翻刻するのは現実的ではない.このような状況のなか,「みんなで翻刻【地震史料】」では,翻刻の対象とする史料を,地震に関する史料とし,東京大学地震研究所図書室が所蔵する石本コレクションから,114冊を選んだ.このコレクションを利用したのは,既に画像が公開されており権利関係がはっきりしていること,部分的には翻刻され公刊されているが,全部ではないこと,システム開発にあたって手頃なボリュームであること,過去の地震や災害に関係する史料なので興味をもってもらえる可能性があること,が主な理由である.「みんなで翻刻【地震史料】」で翻刻できる史料のうち一部は,既刊の地震史料集にも翻刻が収録されている.しかし,ページ数の都合などにより省略されている部分も多い.「みんなで翻刻【地震史料】」によって,114冊の史料の全文の翻刻がそろうことにより,これまで見過ごされてきた情報を抽出できるようになる可能性がある.石本文庫には,内容の類似した史料が含まれていることが知られているが,全文の翻刻により,史料間の異同の検討などにより,これまでより正確に記載内容を理解できるようになるだろう.「みんなで翻刻」では,ブラウザ上で動作する縦書きエディタを開発・採用して,オンラインでの翻刻をスムーズにおこなう環境を構築したほか,翻刻した文字数がランキング形式で表示されるなど,楽しみながら翻刻できるような工夫をしている.また.利用者どうしが,編集履歴や掲示板機能によって,翻刻内容について議論することができる.さらに,くずし字学習支援アプリKuLAと連携している.正式公開後3週間の時点で,全史料114点中29点の翻刻がひととおり完了している.画像単位では3193枚中867枚(全体の27.2%)の翻刻がひととり完了している.総入力文字数は約70万字である.未翻刻の文書を翻刻することがプロジェクトの主たる目的である.これに加えて,Web上で活動することにより,ふだん古文書や地域の歴史,災害史などに興味をもっていない層の方々が,古地震や古災害,地域の歴史に関する情報を届けるきっかけになると考えている.謝辞:「みんなで翻刻【地震史料】」では,東京大学地震研究所所蔵の石本文庫の画像データを利用した.
著者
伊藤 智幸
巻号頁・発行日
2004-03-01

報告番号: 乙15918 ; 学位授与年月日: 2004-03-01 ; 学位の種別: 論文博士 ; 学位の種類: 博士(農学) ; 学位記番号: 第15918号 ; 研究科・専攻: 農学生命科学研究科
著者
角 康之 伊藤禎宣 松口 哲也 シドニーフェルス 間瀬 健二
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.44, no.11, pp.2628-2637, 2003-11-15
参考文献数
19
被引用文献数
50

人と人のインタラクションにおける社会的プロトコルを分析・モデル化するために,開放的な空間における複数人のインタラクションを様々なセンサ群で記録し,蓄積された大量のデータに緩い構造を与えてインタラクションのコーパスを構築する手法を提案する.提案手法の特徴は,環境に遍在するカメラ/マイクなどのセンサ群に加えて,インタラクションの主体となるユーザが身につけるカメラ/マイク/生体センサを利用することで,同一イベントを複数のセンサ群が多角的に記録することである.また,赤外線IDタグシステムを利用して,各カメラの視野に入った人や物体のIDを自動認識することで,蓄積されるビデオデータに実時間でインデクスをつけることができる.本稿では,デモ展示会場における展示者と見学者のインタラクションを記録し,各人のビデオサマリを自動生成するシステムを紹介する.個人のビデオサマリを生成する際,本人のセンサデータだけでなく,インタラクションの相手のセンサデータも協調的に利用される.We are exploring a new medium in which our daily experiences arerecorded using various sensors and easily shared by the users, inorder to understand the verbal/non-verbal mechanism of humaninteractions. Our approach is to employ wearable sensors (camera,microphone, physiological sensors) as well as ubiquitous sensors(camera, microphone, etc.); and to capture events from multipleviewpoints simultaneously.This paper presents a prototype to capture and summarize interactionsamong exhibitors and visitors at an exhibition site.
著者
伊藤 倫子
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.61, no.10, pp.401-409, 2011-10-01

図書購入予算が減少を続ける現在,米国図書館はインターライブラリー・ローン(ILL)を利用し図書館間のリソース・シェアリングを効果的に行うことで対応している。世界的な減少傾向に反し,米国のILL活動は以前活発であるが,その要因として,図書館がITを積極的に活用し,図書館のサービスやマネジメント技術の向上を図ってきた点が指摘できる。一方で,新しいサービスの導入や電子リソースの急激な増加に伴い,図書館は新たな問題に直面している。本稿は,米国におけるILL活動について概観し,ILLサービスの変化,発展,あるいは課題について述べる。
著者
阿部ちひろ 伊藤彰則
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS)
巻号頁・発行日
vol.2012, no.3, pp.1-6, 2012-08-02

本稿では,Ngram 言語モデルをもとに歌詞候補文を生成する作詞補助システム 「patissier」 への実装を想定した,歌詞テキストの特徴分析結果を報告する.作詞においては,音韻やアクセントなど技巧的な側面の考慮とともに,楽曲のテーマや歌詞のストーリー設定も重要な要素である.より歌詞らしい候補の生成を目的として,コンテンツ投稿サイト 「ピアプロ」 に投稿された歌詞テキストを用い,一般に歌詞らしさと呼ばれる特徴の定量的検討を行った.また,CSJ (日本語話し言葉コーパス) や blog 記事との比較から,主に使用される単語の違いにより,歌詞とその他の文章は統計的に区別可能であることが示唆された.さらに,3 種類のモデルを用いた歌詞生成実験により,それぞれ異なった傾向を持つ文が生成されることが確かめられた.
著者
伊藤 裕子
出版者
研究・イノベーション学会
雑誌
研究 技術 計画 (ISSN:09147020)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.73-84, 2012
参考文献数
18

大学等の教員における論文生産性と研究環境等の関連性について明らかにすることを目的として,本論文では,「大学等におけるフルタイム換算データに関する調査(2009年文部科学省発表)」のデータを用い,「過去3年間の査読ありの外国語の論文・記事の件数」の回答を「外国語論文生産の少ないグループ(0〜1件)」と「多いグループ(11件以上)」に分けて再集計し,オッズ比による分析を行った。その結果,外国語論文の生産性の違いに強く関連した因子は,性別,大学等の種類,研究資金の金額,外国語特許取得件数であることが示された。また,論文の多いグループでは,「研究時間の減少」に「学内事務」および「社会サービス」が強い関連を示すことがわかった。これらのことから,大学等において,研究活動の多様性を反映した多様な業績評価の実現,大学等の運営と研究体制の関係の見直しなど,構造的な改善を行うことが必要と考えられた。
著者
四柳 宏 田中 靖人 齋藤 昭彦 梅村 武司 伊藤 清顕 柘植 雅貴 高橋 祥一 中西 裕之 吉田 香奈子 世古口 悟 高橋 秀明 林 和彦 田尻 仁 小松 陽樹 菅内 文中 田尻 和人 上田 佳秀 奥瀬 千晃 八橋 弘 溝上 雅史
出版者
一般社団法人 日本肝臓学会
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.53, no.2, pp.117-130, 2012 (Released:2012-03-07)
参考文献数
69
被引用文献数
3 3

B型肝炎ワクチンは諸外国では乳児期に全員が接種を受けるユニバーサルワクチンである.しかしながら我が国では任意接種(セレクティブワクチネーション)となっており,母児感染防止の場合のみワクチン接種が健康保険でカバーされている. こうしたセレクティブワクチネーションのみでは我が国のB型肝炎を制圧することは困難である. 本稿では平成23年6月2日に第47回日本肝臓学会(小池和彦会長)において行われたワークショップ「B型肝炎universal vaccinationへ向けて」の内容を紹介しながら,ユニバーサルワクチネーションに関してまとめてみたい.