著者
福島 光浩 太田 寿 小田 瞳 伊藤 康弘 宮内 昭
出版者
日本内分泌外科学会・日本甲状腺外科学会
雑誌
日本内分泌・甲状腺外科学会雑誌 (ISSN:21869545)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.27-30, 2017 (Released:2017-04-28)
参考文献数
9

われわれは低リスク甲状腺微小乳頭癌に対し,すぐに手術をせずに経過観察を行ってもほとんどの症例では全く問題がなく,また仮に経過観察中に腫瘍増大やリンパ節転移を認めたことにより途中で手術療法に切り替えたとしても,それらの手術後の予後もまた良好であったことを報告した。経過観察を選択した症例で,超音波所見と臨床病理学的背景から,後に手術が必要となること,もしくはずっと経過観察が可能であることを予測するための因子として以下の所見があげられる。腫瘍が増大せず経過観察継続可能な因子は①アコースティックシャドーを伴う粗大高エコー輝点,②初診時年齢高齢,③微細高エコー輝点,の3つ。一方,リンパ節転移が出現せず経過観察継続可能な因子は微細高エコー輝点,逆にリンパ節転移が出現し手術が必要となる因子は初診時年齢若年があげられる。
著者
伊藤 一成 阿部 和広 新目 真紀
雑誌
研究報告コンピュータと教育(CE)
巻号頁・発行日
vol.2012-CE-116, no.14, pp.1-7, 2012-10-06

青山学院大学社会情報学部では,大学1年生を対象としたプログラミング導入教育を行っている.大学の情報科目は,他の科目に比べ学生のバックグラウンドの個人差が大きい.この問題を解決するため相互学習に着目した.相互学習を行うためには,異なるバックグラウドの学生の発想を引き出すことが重要になる.また学習者が出来るだけ早い段階で,世代や組織の枠を超えた他の学習者に対する教授者になれるような仕組みを構築するのが重要と考えている.本稿では,Scratch,センサーボード,LEGOを組み合わせた本学部の実践について報告する.
著者
伊藤 英紀
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会誌 (ISSN:09135693)
巻号頁・発行日
vol.96, no.2, pp.117-123, 2013-02-01

2012年1月に将棋電王戦が行われ,筆者の開発した将棋ソフト「ボンクラーズ」が米長邦雄元名人に勝利した.2012年現在の将棋ソフトの実力は人間のトップ棋士をも越えるほどである.最近のソフトの棋力向上の原動力の一つがクラスタ並列探索である.αβ探索のクラスタ並列化は技術的な困難が多く,少し前までほとんど成功例がなかったが,近年ボンクラーズがこの分野の技術を先導・開拓し,棋力向上を実現した.本稿ではコンピュータ将棋におけるクラスタ並列探索技術の過去の事例を振り返り,その困難さについて述べた後,ボンクラーズの実装を中心に技術のポイントを幾つか解説していく.
著者
榎園 裕崇 伊藤 毅志 古郡 廷治
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.53, pp.85-86, 1996-09-04
被引用文献数
1

我々は日常生活において、複数の人間で話し合いの場を持つことがしばしばある (例:「冠婚葬祭の準備」「忘年会の計画」「大掃除の打ち合わせ」など)。これは、一種の意志決定型の会議と見ることができるが、このような会議で扱う議題には、議題がさらにいくつかの副議題に分割される複雑な問題構造を持つものがある(図1:以下、多層構造議題と呼ぶ)。このような多層構造議題を議論する場では、現在話し合っている問題の構造を正確に把握した上で、さらにその議題に固有の世界知識も有している人間が司会進行を行うことにより、より円滑で有意義な会議が期待できるだろう。本研究では、多層構造議題の会議を円滑に進行するために、人間同士の議論に加わり、司会進行を行うシステムの開発を目標にしている。実現するシステムは、地理的に分散した環境下でリアルタイムの会話や議論を行うためのツール上に組み込むことを考えている。実際、phoneやchatといった、複数の人間で文字ベースの会話を行うためのツールなどは、日常のちょっとした話し合いにも一般的に利用されているので、本システムの実現の意義は大きいと考える。本報告では、実際の会議実験で得られたデータから、まず会議空間を3領域に分類し、その中の議論空間を記述するためのモデルについて詳述する。
著者
小出 明弘 斉藤 和巳 長屋 隆之 伊藤 健二
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.26, 2012

大規模なネットワークを粗視化することにより、情報拡散過程を可視化する手法を提案する。具体的には、Twitterのmentionネットワーク等の大規模なネットワークを、ネットワーク内の中心的なユーザに着目して粗視化し、現実の情報拡散現象を可視化する。また、ICモデルやLTモデルを利用した人口の拡散データを作成し、現実の拡散現象に見られる特徴を明らかにすると共に、本提案手法の有効性を検討する。
著者
近藤 信哉 伊藤 真樹
出版者
一般社団法人 日本結核病学会
雑誌
結核 (ISSN:00229776)
巻号頁・発行日
vol.78, no.11, pp.677-682, 2003-11-15
参考文献数
18
被引用文献数
1

[目的] 今後の乳幼児接触者検診における方針決定に役立てるため, 現行の検診の有用性, 特に予防内服の発病阻止効果を後方視的に検討した。 [対象と方法] 活動性肺結核患者と家庭内接触して接触者検診に来院し, 少なくとも2年間経過観察できた0~4歳児273名とした。 [結果] 初回検診で発病児は273名中60名 (22%), 発病が疑われた児は37名 (14%) であった。すべての発病, 発病が疑われた児において治療は完了され, 再燃を認めなかった。26名 (9%) が未感染と診断された。その25名において発病を認めなかったが, 1名に2カ月後の2回目検診時に発病を認めた。150名 (55%) が初感染と診断され, 6カ月間イソニアジド (10mg/kg/日) を服用した。服薬開始直後, 1名に発病が認められた。他の149名において内服は完了されて発病を認めず, 服薬中に血清GOT, GPTが100単位/Lを超す肝機能障害を生じなかった。 [考察] 現状の家族検診は有用であり, 発病の有無を明確にして治療, 予防内服を行えば再燃, 発病をほぼ完全に, 安全に阻止していることを示した。また, 感染の証拠が得られずに未感染とされた児を含めて未発病家庭内接触乳幼児全員に, 予防内服を躊躇なく始めることが潜在結核感染症を減少させる選択肢の1つであることを示唆する。
著者
近藤 信哉 伊藤 真樹
出版者
JAPANESE SOCIETY FOR TUBERCULOSIS
雑誌
結核 (ISSN:00229776)
巻号頁・発行日
vol.78, no.11, pp.677-682, 2003-11-15
被引用文献数
1

[目的] 今後の乳幼児接触者検診における方針決定に役立てるため, 現行の検診の有用性, 特に予防内服の発病阻止効果を後方視的に検討した。 [対象と方法] 活動性肺結核患者と家庭内接触して接触者検診に来院し, 少なくとも2年間経過観察できた0~4歳児273名とした。 [結果] 初回検診で発病児は273名中60名 (22%), 発病が疑われた児は37名 (14%) であった。すべての発病, 発病が疑われた児において治療は完了され, 再燃を認めなかった。26名 (9%) が未感染と診断された。その25名において発病を認めなかったが, 1名に2カ月後の2回目検診時に発病を認めた。150名 (55%) が初感染と診断され, 6カ月間イソニアジド (10mg/kg/日) を服用した。服薬開始直後, 1名に発病が認められた。他の149名において内服は完了されて発病を認めず, 服薬中に血清GOT, GPTが100単位/Lを超す肝機能障害を生じなかった。 [考察] 現状の家族検診は有用であり, 発病の有無を明確にして治療, 予防内服を行えば再燃, 発病をほぼ完全に, 安全に阻止していることを示した。また, 感染の証拠が得られずに未感染とされた児を含めて未発病家庭内接触乳幼児全員に, 予防内服を躊躇なく始めることが潜在結核感染症を減少させる選択肢の1つであることを示唆する。
著者
伊藤 寛 小川 幸恵 清野 浩昭 川合 宏仁 山崎 信也 奥秋 晟
出版者
日本蘇生学会
雑誌
蘇生 (ISSN:02884348)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.82-87, 2005-07-20 (Released:2010-12-08)
参考文献数
4
被引用文献数
1

歯科治療における死亡事故報告は後をたたない。我々は, 各種メディアから知り得た歯科治療に関連した重篤なショック, 心肺停止報告200例について分析した。その結果, ショック45例, 心肺停止155例, 死亡126例であった。これらの多くは局所麻酔や観血処置に起因し, 何らかの全身的合併症を有していたものが全200例中75例 (38%) であった。また小児, 障害児者に多く行われる抑制治療が起因と思われる死亡は19例で, 全死亡例の15%であった。このような事故を回避するために, 歯科医師の医学知識全身管理能力の向上が必要であり, 特に, 最低限のリスクマネージメントとしてBLS, ACLSの習得は必須であると思われた。
著者
尾下 豪人 渕田 比呂志 伊藤 徳明 妹尾 美里 磯山 正子 山本 祐太郎 由田 彩佳 大﨑 慶子 川﨑 広平 奥崎 健
出版者
一般社団法人 日本プライマリ・ケア連合学会
雑誌
日本プライマリ・ケア連合学会誌 (ISSN:21852928)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.26-31, 2019-03-20 (Released:2019-03-28)
参考文献数
20

目的:閉塞性睡眠時無呼吸症候群(obstructive sleep apnea syndrome:OSAS)のリスク評価における日本語版STOP-Bangテストの有用性を検証する.方法: OSASのスクリーニング目的でパルスオキシメトリー検査を受けた内科入院患者を後ろ向きに検討した.結果:受検者144人のうち,3%酸素飽和度低下指数≧10/hrの精査対象者57人に精密ポリグラフィ検査を施行し,17人を中等症,29人を重症のOSASと診断した.受信者動作特性曲線分析の結果,STOP-BangテストのBMIカットオフ値は従来の35 kg/m2よりも30 kg/m2にした場合に良好な診断能を示した.STOP-Bangテスト値3点以上を陽性とした場合,中等症―重症SASを検出する感度は95.7%,特異度は42.9%だった.結論: STOP-Bangテストは簡便にOSASリスクを評価できる.
著者
楠 貴光 歳森 大輝 伊藤 翼宙 大沼 俊博 鈴木 俊明
出版者
関西理学療法学会
雑誌
関西理学療法 (ISSN:13469606)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.67-74, 2022 (Released:2022-12-23)
参考文献数
10

In this study, the area where the iliac muscle and psoas major muscle are visualized on the surface was examined using ultrasound imaging system. The site where the iliac muscle was visualized on the surface was 0–1 cm lateral at 1 cm below the anterior superior iliac spine (ASIS), 0–2 cm lateral at 2 cm below the ASIS, 1–2 cm lateral at 3 cm below the ASIS, 2–3 cm lateral at 4 cm below the ASIS, 2–4 cm lateral at 5 cm below the ASIS, 3–4 cm lateral at 6 cm below the ASIS, 3–4 cm lateral at 7 cm below the ASIS. The psoas major muscle was not visualized on the surface. This result suggests that the activity of the iliac muscle can be examined using surface electromyography.
著者
伊藤 拓馬
出版者
沖縄地理学会
雑誌
沖縄地理 (ISSN:09166084)
巻号頁・発行日
vol.23, pp.35-43, 2023-07-31 (Released:2023-08-04)

2021年11月上旬~中旬にかけて沖縄島から採取された福徳岡ノ場起源の漂着軽石の粒度組成と海岸地形の閉鎖度との関係を検討した.試料採取地点は,沖縄島の外洋に面した海岸から11地点,閉鎖的な海岸から6地点が選定された.前者の漂着軽石は,主に大礫サイズ以上からなり,淘汰良好であった.粒度分布は,直径8 mm(-3.0 φ)に最頻値をもつ単峰性であった.一方,後者の漂着軽石は,中礫・細礫サイズ以下の割合が増加し,前者よりも淘汰不良であった.粒度分布は,直径2 mm(-1.0 φ)と8 mm(-3.0 φ)に最頻値をもつ双峰性であった.外洋に面した海岸の漂着軽石は,強い波浪営力により沖合への再運搬と再堆積を繰り返す過程で,細粒分が選択的に沈降除去されたと考えられた.本研究により漂着軽石の粒度組成は,波浪営力の強弱に影響を与える海岸地形と関係があることが示された.