著者
岩間 雄太 伊藤 孝行 佐藤 元紀 森 顕之 鳥居 義高
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.28, 2014

企業サービスの多様化によりユーザからのサポートセンターへの問い合わせが増加している.ユーザ対応に時間がかかり,迅速かつ正確に対応することは困難であり,サポートセンターが人手で行う作業の自動化が求められている.本論文では,文書間の参照構造を利用するアルゴリズムを利用し,ユーザの質問に対して精度の高い回答を提示するシステムを実装する.また,本システム有用性を既存システムと比較して評価する.
著者
五味 二郎 光井 庄太郎 工藤 康之 赤坂 喜三郎 小野 康夫 木村 武 川上 保雄 野口 英世 宮本 昭正 牧野 荘平 可部 順三郎 石崎 達 中島 重徳 熊谷 朗 野崎 忠信 富岡 玖夫 伊藤 和彦 斧田 太公望
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.22, no.9, pp.599-612,614-61, 1973

気管支拡張剤ST1512(S群)の成人気管支喘息に対する薬効につき, metaproterenol(A群)およびinactive placebo(P群)を対照として, 頓用, 連用効果につき, 9施設による2重盲検試験を行った.open trialの結果から, Fisherの直接確率計算法により, 1群につき36例となり, 並列3群にあてはめれば3倍の108例前後の症例数でよいと考えられたため, 105例に達した時点で中間点検を行った.全例104例であり, S群34例, A群36例, P群34例で, 3群間にはback groundにおいて有意差はなかった.試験方法は, S群1錠(1mg), A群1錠(10mg), placebo1錠を投与し, 前および1時間後の自他覚症状, 肺機能を検した.医師の総合判定につき, H-test, U-testを行い, S群とP群間に危険率0.5%以下の高度の薬物差を認めたが, 危険率5%でS群とA群とP群間には有意差は検出されなかった.ついで薬効差につき, 詳細な3群判別分析を行い検討も行った.

1 0 0 0 OA 徴兵法規

著者
一色範叙, 伊藤近春 編
出版者
高橋書店[ほか]
巻号頁・発行日
1889
著者
伊藤 裕 宮下 和季 中尾 一和
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.95, no.4, pp.634-641, 2006-04-10 (Released:2009-03-27)
参考文献数
7

原発性アルドステロン症は高血圧患者全体の5%以上を占めると報告され, その中に画像検査では検出できないマイクロアデノーマが少なからず含まれている可能性が指摘されている. 高血圧患者全例において原発性アルドステロン症を疑い, スクリーニング検査として血漿レニン活性, 血漿アルドステロン濃度, 尿中アルドステロン一日排泄量の評価とスピロノラクトン負荷を行い, 原発性アルドステロン症が確定的であれば3mmスライス副腎CTを撮影し, さらには局在診断と病型鑑別のため入院下で副腎静脈サンプリングを含めた精査を行う. 原発性アルドステロン症の治療はアルドステロン過剰分泌が片側性か両側性かにより異なるので, 画像検査と副腎静脈サンプリングによる局在診断が重要である.
著者
伊藤 幸郎
出版者
日本生命倫理学会
雑誌
生命倫理 (ISSN:13434063)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.25-31, 2002
参考文献数
7

20世紀末から医学界に流行したEBMは、複雑な現実世界に決定論的因果関係を求める代わりに、着目する集団に見られる諸現象の特性を確率論的な関係として明らかにする。EBMは19世紀に起こった実証主義に端を発する方法論で、帰納論理に基づいているから、その結果はだれでも納得するエビデンスとして示される。EBMは医療の標準化に役立ち、臨床医学の予言が確率的でしかないことをわれわれに自覚させるという点で意義がある。従来の機械論的生物医学とEBMとは科学的医学の車の両輪である。しかし科学は人生の価値や意味に中立的で、確率論的な予測を提供するのみである。EBMは人生にとって価値あることのために利用すべき道具なのだ。
著者
新原 弘明 伊藤 淳子 宗森 純
雑誌
2016年度 情報処理学会関西支部 支部大会 講演論文集 (ISSN:1884197X)
巻号頁・発行日
vol.2016, 2016-09-16

リッチなコミュニケーションを提供するために心拍数伝達システムを提案する。本研究の目的は、ユーザに与える効果を比較検討することである。既存のオンラインゲームと共にスマートウォッチを使用した本システムを用いて、システムの効果を検証する。
著者
伊藤 陽一
出版者
日本マス・コミュニケーション学会
雑誌
マス・コミュニケーション研究 (ISSN:13411306)
巻号頁・発行日
no.51, pp.18-33, 266, 1997-07-31

This article reviews major theories and empirical findings regarding the international flows of information and culture. Specifically, it covers "gravity-integration theories, " and media/cultural imperialism theories as "grand theories, " and empirical research on the patterns and determinant factors of international flows of (news) information and (mass and quality) cultures as "middle-range theories." After reviewing many theories and introducing his own survey results, the author concludes as follows: If we see the patters of international flows of information and culture from the center-periphery viewpoint, Japan seems to belong to the "center" as far as the flows of news and popular culture are concerned, but it is still one of peripheral countries when viewed from the flows of quality (or basic) cultures.
著者
飯塚 有希 花房 祐輔 大塚 由華利 篠﨑 かおり 外山 洋平 國田 広規 伊藤 有希 牧田 茂
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2010, pp.BbPI2148-BbPI2148, 2011

【目的】心臓リハビリテーションの普及により心不全に対する理学療法の報告は増えつつある。しかし乳幼児に関しては、治療の進歩に伴い生存率が向上しているにも関わらず、病態が多岐に及ぶこともあり、まとまった報告は少ない。今回、染色体異常や明らかな脳血管障害を認めない、心不全により長期入院を要した乳幼児の理学療法(PT)を実施する経験をしたので報告する。<BR>【方法】発達評価としてはKIDS乳幼児発達スケール(TYPE T)にて全9項目をPT介入前後で評価し、総合発達指数(DQ)を算出し下位項目についてもDQに変換し算出した。<BR>【説明と同意】今回の発表に際し、入院経過等のデータ使用に関して書面にて説明し、ご家族より同意を得た。<BR>【症例1】2歳2ヶ月女児。出生時は問題指摘されなかった。生後5ヶ月時に哺乳不良となり近医受診し、拡張型心筋症と診断された。以後、うっ血性心不全にて入退院を繰り返していた。1歳9ヶ月時に再び心不全増悪にて入院し、20日間人工呼吸器管理となった。抜管後も心負荷軽減のため終日NasalDPAP装着下、厳重な水分管理を要している。<BR>入院前に独歩獲得していたが、心不全治療のため1ヶ月間の鎮静を要し、抜管後も心不全を繰り返し離床が困難であった。啼泣により容易に心拍数の上昇を認めたため、臥位にて本人の許容しうる範囲での手遊びから始めた。抱っこでのギャッジアップ、座位練習へと段階的に移行し、並行してバギー乗車での活動時間延長を図った。心不全増悪徴候がみられる場合には、必要に応じて担当医に確認し、活動量・時間を抑え、臥位での介入とする等で対応した。2歳2ヶ月時にあぐら座位獲得し、バギーにて散歩や食事が可能となった。<BR>【症例2】1歳8ヶ月女児。日齢2日に心雑音を指摘され近医受診し、ファロー四徴症と診断された。6ヶ月時に手術適応となり根治術を施行した。術後、乳糜胸水が出現し胸管結紮術を施行した。それ以降人工呼吸管理となり、10ヶ月時に抜管したが、脂質や水分の過摂取による胸水出現を繰り返し厳密な水分・栄養管理を要している。<BR>術前に寝返り獲得していたが、術後の長期人工呼吸器管理・鎮静を要したことで、背臥位での姿勢管理による全身の筋力低下、胸郭の可動性低下に加え、腹臥位への不快が強くなっていた。またタッチングの機会が減ったことで過敏さを認め、表情も乏しい状態であった。そのため、人工呼吸管理中より介入し、側臥位や半腹臥位のポジショニング、正中指向のリーチ動作、音刺激や声掛けから始めた。抜管後は寝返りや座位練習を中心に実施した。症例1同様、心不全徴候に応じて負荷量を調節した。また家族付き添いとなったため、家族指導も実施した。1歳7ヶ月時に寝返り獲得、座位は支えれば可能、笑顔も多く見られるようになった。<BR>【結果】身体的な発育として、PT介入前後で症例1は身長84c→90cm、体重7266g→6962g、症例2は身長は65c→71cm、体重は6974g→5795gであった。KIDS乳幼児発達スケール(TYPE T)では、症例1でDQ34.4(1歳10か月時)→69.2(2歳2ヶ月時)、症例2でDQ10(10ヶ月時)→35(1歳8ヶ月時)と遅滞はあるものの両者とも発達を認めている。下位項目では、特に運動/操作/理解言語/対成人社会性は症例1で5 /23/64/64→23/69/92/100、症例2で10/10/30/20→30/35/45/40とPT介入前後とも運動項目に比べ、操作・理解言語・対成人社会性の方が高い発達指数の傾向がみられた。<BR>【考察】PT介入前後において運動項目が他項目に比べ遅延した理由として、両症例ともPT介入期間中、成長期に関わらず身長・体重ともに大きな変化なく経過しており、心不全コントロールのため長期低栄養・臥床状態が強いられたことによる身体的成長の著しい遅滞があげられた。それに対して、臥床傾向にあってもある程度の操作や精神面の発達は、運動面に比べて発達獲得しやすいと考えられた。<BR>乳幼児は不調を訴えることできず、負荷量の調節が難しい。しかし、発達に必要な経験をせずに乳幼児期を過ごしている児にとって、精神発達に見合った遊びを取り入れ、可能な範囲での発達援助を行うことが本症例のように緩やかながらも精神・運動発達に繋がっていく可能性が示唆された。<BR>【理学療法学研究としての意義】先天性心疾患を有する小児期の運動療法は、疾患や心機能によって効果が異なり、多様性の面から先行研究のエビデンスレベルはやや低くなっているのが現状である。本研究は、長期の臥床と入院管理を要する場合、病態に合わせた長期的な発達フォローを行っていく必要性を示唆するものである。
著者
岡田 誠 才藤 栄一 水野 元実 藤野 宏紀 伊藤 三貴 西尾 美和子 余語 孝子 織田 幸男 林 正康
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2006, pp.B0126-B0126, 2007

【目的】調整機能付き後方平板支柱型短下肢装具(APS-AFO)は、外観性・機能性・調整性という臨床の3つのニードを同時に満たした装具であり、モジュラーパーツである後方平板支柱(4剛性)、ヒンジジョイント(3タイプ)を適切に選択することにより、幅広い歩行能力に適応可能な装具である。今回、連続歩行による多数歩採取可能、定常速度設定可能という、トレッドミル歩行分析法の利点を生かした計測方法でAPS-AFOの歩行分析を行った結果、一般的な平地歩行分析では困難と思われる、再現性の検討やパターン分析が可能となったので報告する。<BR>【対象と方法】対象は、APS-AFOにて歩行が修正自立の脳卒中片麻痺者10例とした。方法は、トレッドミル上を約20秒間連続歩行した時の歩行を3次元動作解析装置(3D解析)で分析した。3D解析には、キッセイコムテック社製Kinema Tracerを使用した。APS-AFO、裸足の2歩行について同一歩行速度(裸足の快適歩行速度)で歩行分析を行い、それぞれの時間・距離因子の再現性、関節角度変位(特に、足部内反の角度変位)、進行方向の重心移動速度、連続歩行による歩行パターン分析を比較検討した。なお、本研究は藤田保健衛生大学倫理委員会において認証されており、データ計測の際には被験者より同意書を得て行った。<BR>【結果】トレッドミル上を連続歩行する多数歩計測によって、各因子の平均値、標準偏差、変動係数(ばらつきの指標)などの統計的手法が可能となった。APS-AFO、裸足の時間・距離因子、関節角度変位は、APS-AFOの方が、裸足よりもばらつきが少なく、運動の再現性が高い結果となった。また、関節角度変位は、APS-AFO、裸足の順に歩行時の関節コントロールが良好であった。特に、遊脚期の足部内反はAPS-AFO、従来型装具が著明に減少した。進行方向の重心移動速度では、APS-AFOの重心移動は両脚支持期でスムーズに行われており歩行効率の向上につながった。<BR>【考察】トレッドミル歩行分析法では、多数歩採取、定常速度設定という計測方法が可能なため、一般的な平地歩行による2~3歩による歩行分析では困難な統計的手法が可能となった。すなわち、1歩1歩にばらつきが生じやすい片麻痺者では、トレッドミル歩行で採取した約15歩分の平均値を算出することによってより信頼性の高い結果が得られ、また、変動係数を利用することによりそのばらつき程度の評価も可能となった。APS-AFOの効果判定おいても、トレッドミル歩行分析法による足部内反や重心移動速度などが有効であったと思われる。これらのことから、トレッドミル歩行分析法による歩行評価は、片麻痺者など障害を呈した症例の装具効果判定を行う際の新しい指標となると思われる。<BR><BR>
著者
古井戸 良雄 伊藤 茂
出版者
日本水産増殖学会
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.4, no.4, pp.49-52, 1957

1) ノリに対する竹筒利用の塩安の施肥を行つた。<br>2) ノリの品質及び収獲量に肥料効果を認めた。<br>3) 施肥時期と漁場を選べば経済的に十分成り立つことが分つた。
著者
Muhammad Hasinur RAHMAN 河合 成直 Shah ALAM Sirajul HOQUE 田中 章浩 伊藤 實
出版者
Japanese Society for Tropical Agriculture
雑誌
熱帯農業 (ISSN:00215260)
巻号頁・発行日
vol.43, no.3, pp.129-135, 1999-09-01 (Released:2010-03-19)
参考文献数
27

農耕車輌などの踏圧による締固めが黒ボク土の特性とコムギ (Triticum aestivum L.cv.Nanbu-Komugi) の生長に及ぼす影響について, 温室環境下で検討した.測定は, 土壌の仮比重, 水分保持力, 全孔隙率, および, 草丈, 分げつ数, 茎および根の乾物重量, 根の体積・最大重・密度・バイオマス, 蒸発散量, 要水量および栄養消費量について行った.本研究から以下の結果が得られた.土壌締固めにより, 黒ボク土の仮比重は統計的に有意に増加し, 水分保持力と全空隙率は減少した.コムギの茎と根の生育量および蒸発散量は, 土壌の締固めにより, 著しく低下することが認められた.その反面, 要水量は締固め土壌で増加していた.また, 根: 茎葉の割合は高締固め土壌において高い数値を示した.しかし, 根の密度およびバイオマスは, 逆に高締固め土壌において低い値となった.さらに, 養分吸収量は土壌の締固めにより, 有意に減少した.
著者
川村 周三 夏賀 元康 河野 慎一 伊藤 和彦
出版者
農業食料工学会
雑誌
農業機械学会誌 (ISSN:02852543)
巻号頁・発行日
vol.58, no.4, pp.95-104, 1996 (Released:2010-04-30)
参考文献数
17

機器分析による米の食味評価法が開発され実用化されている。しかし, 機器分析による米の食味評価が官能試験の食味評価に換えて利用できるか, それぞれの機器で得られた食味評価に相関があるか, などの客観的データに少ない。そこで, 近赤外分光法を利用した3機種と電磁波を利用した1機種を用い, 61種類の米の機器分析と官能試験とを行った。機器分析による食味評価と官能試験の総合評価との相関は低かった。したがって, これらの機器は食味評価として数値を示すほどの精度はなく, 食味別に米をグループ分けすることに用いるのが適当であった。各機器の食味評価値の間に互換性はなかった。機器分析法による米の食味評価の今後の発展のためには食味評価尺度の統一が不可欠である。
著者
伊藤 善隆
出版者
湘北短期大学
雑誌
湘北紀要 = Journal of Shohoku College (ISSN:03859096)
巻号頁・発行日
no.38, pp.1-16, 2017-03-31

本稿は、島根県出雲市大社町の手賤記念館に所蔵される俳諧資料の中から、『俳諧根本式』(写本一冊)を翻刻紹介するものである。手賤家は、貞享年間に大社に移り住んだ喜右衛門長光(寛文二年~寛延二年)を祖とする商家で、町役の大年寄を長く勤めた。歴代の当主は文芸にも関心を寄せ、和歌・漢詩・俳諧に熱心であった。本書には、序文や奥書がなく、成立や書写者、書写年次などは不明である。しかし、巻頭(第一丁裏)に、「冠李」の蔵書印が捺してあることから、おそらくは、冠李(享保四年~寛政八年、三代目当主季硯の弟)が、自ら書写して所蔵していたと推測されるものである。なお、本書と同じ罫線を摺った料紙を使用し、筆跡も共通する『俳諧十五篇』(手賤記念館蔵本)については、前号に翻刻を掲載した。本書は、たんに冠李に関わる資料というだけでなく、近世中期の大社でどのように俳諧が享受されていたのかを探るためにも重要な資料である。
著者
伊藤 徹哉 飯嶋 曜子 小原 規宏 小林 浩二 イリエバ マルガリータ カザコフ ボリス
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集 2011年度日本地理学会春季学術大会
巻号頁・発行日
pp.44, 2011 (Released:2011-05-24)

I. はじめに 1989年以降のいわゆる「東欧革命」を通じて,中・東欧各国は経済的には市場経済へと移行し,価格の自由化や国営企業の民営化が推し進められた。これに伴って物不足の解消や物価上昇といった経済的変化や失業者の増加などの社会的変化が生じ,また地域的な経済格差も拡大していった。農業経済を中心にする地域,とくに大都市から遠距離の農村では工業やサービス業の大規模な開発が困難であり,これらの地域は後進地域として社会的・経済的課題を抱えていることが指摘されている。 研究対象のブルガリアでは,現在も就業構造において農業経済への依存がみられる一方,「東欧革命」以降,首都ソフィアとその近郊をはじめとする大都市での経済開発も進展しており,農業地域と大都市との経済格差が拡大しつつある。本研究は農業経済を基盤とするEU新規加盟国のブルガリアを対象として,国内の地域的な経済発展における格差を国内総生産(GDP)と平均年間賃金に基づいて明らかにし,人口分布や人口移動などの社会的特性と,産業別就業者数と海外からの直接投資額などの経済的特性から経済格差の背景を考察することを目的とする。分析に用いた資料は,2008年9月,2009年9月および2010年8~9月の現地調査によって得られたブルガリア国立統計研究所 (National Statistical Institute) が刊行した統計年鑑や統計資料である。 II. 地域的経済格差 国内6つの計画地域Planning RegionごとのGDPに基づいて地域経済の変化を分析した。その結果,首都・ソフィアを含む南西部では活発な経済活動が認められる一方,その他の地域,とくに北西部と北中央部が経済的に低迷しており,しかも1999年以降においては南西部とその他の地域との差が拡大していた。 また,国内に28設置されているDistrict(以下,県)ごとの平均年間賃金(以下,年間賃金)に基づいて経済上の地域的差違を考察する。まず,全国平均の年間賃金は2009年において7,309BGN(レバ)であり,2005年における数値(3,885BGN)と比較すると,4年間で約1.9倍上昇した。県別にみると,南西部の首都・ソフィアの賃金水準が極めて高く,2009年では全国第一位の9,913BGNに達している。この値は全国平均(7,309BGN)の約1.4倍であり,全国第二位(7,696BGN)と第三位(7,602BGN)の県と比較しても突出している。首都・ソフィアの年間賃金は,もともと高水準であったが,近年さらに上昇している。また首都を取り囲むように広がるソフィア県の年間賃金も7,026BGNと全国平均には届かないものの,相対的に高い水準となっている。このように首都・ソフィアとその周辺部の一部では所得水準がもともと高く,それが近年さらに上昇している。一方,北西部と北中央部での年間賃金の水準は低く,2009年における年間賃金の最下位県の値を首都・ソフィアと比較すると,その2分の1の水準にとどまる。また2005年からの変化も小さく,賃金水準が低い状態におかれている。 III. おわりに-地域的経済格差の社会・経済的背景 地域的な経済格差の背景を人口分布や人口移動などの社会的特性と,産業別就業者数と海外からの直接投資額などの経済的特性から考察する。ブルガリアにおける地域的な経済格差の背景として,次の3要因との関連を指摘できる。第一に人口集中に起因する首都・ソフィアの消費市場と労働市場としての突出である。人口は首都・ソフィアが含まれる南西部に集中しており,2006年において総人口(769.9万)の27.5%を占める211.8万が南西部に居住する。とくに首都・ソフィアの人口規模は大きく,総人口の16%を占めている。第二に首都・ソフィアへの企業や主要施設集中に起因する資本集中であり,首都・ソフィアでの事業所数や就業者数の多さや,海外からの直接投資の集中傾向などが認められた。第三に農村と都市部での就業構造の差違と関連した農村地域での失業率の高さと首都への人口流出であり,賃金水準の高い業種である専門サービス業をはじめとする部門が首都や一部の大都市に集中しているため,農村からそれら都市への人口流出が著しい。加えて,農村でも耕地面積の拡大や機械化を通じた経営効率の向上が図られており,余剰人口の都市部への移動を加速している。
著者
田中 和幸 長舩 哲齊 袴田 大蔵 志沢 邦夫 伊藤 孝
出版者
日本武道学会
雑誌
武道学研究 (ISSN:02879700)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.23-33, 2001-07-31 (Released:2012-11-27)
参考文献数
37

The bacterial flora of the Men of Kendo (the fencer wears a helmet and mask in the Japanese fencing)has received little attention. Bacteriological examinations were carried out to get information about bacteria on the Men of Kendo in the Nippon Sport Science University during the four seasons. Forty five strains of typical bacteria istlated from the Men of Kendo were rapidly identified with a Gram-Positive and Negative Identification card used in conjunction with the Auto Microbic system. The isolates were distributed in the 17 genera, Bacillus, Flavimonas, Chryseomonas, Actinobacillus, Stenotrophomonas, Corynebacterium, Comamonas, Flavobacterium, Micrococcus, Pasteurella, Pantoea, Pseudomonas, Vibrio, Eikenella, Sphingobacterium, Staphylococcus and Acinetobactor. We found that these bacteria were non-pathogenic bacteria which are often found on the Men of Kendo. Its main constituent were Staphylococcus saprophyticus and Micrococcus luteus, which were followed by Bacillus sphaericus. Results obtained in the successive isolation trials showed that Micrococcus luteus as in figure 1 is typical bacteria of the Men during the four seasons. However, Staphylococcus epidermidis, Staphylococcus capitis, Staphylococcus hominis, Staphylococcus haemolyticus, Pseudomonas stutzri, Bacillus subtilis and Bacillus cereus strains have recently been noticed as the bacteria of opportunistic infections in the clinical medicine.
著者
中島 務 植田 広海 三澤 逸人 伊藤 彰英 冨永 光雄
出版者
日本聴覚医学会
雑誌
AUDIOLOGY JAPAN (ISSN:03038106)
巻号頁・発行日
vol.43, no.2, pp.98-103, 2000-04-28 (Released:2010-04-30)
参考文献数
8
被引用文献数
4 3

厚生省特定疾患急性高度難聴調査研究班は, 平成10年度に突発性難聴の重症度基準を作成した。 今回, 我々は, この重症度基準を用いて今まで行われた3回の突発性難聴の全国疫学調査結果の解析を行った。 この重症度基準を用いた分類は, 突発性難聴の治療経過の解析に有用な指標であると考えられた。
著者
伊藤 一雄
出版者
THE JAPANESE FORESTRY SOCIETY
雑誌
日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.22, no.3, pp.126-140, 1940

(1) ベツコウタケ (<i>Polyporus rhodophaeus</i> LEV.) はニセアカシア,サクラ,ハンテンボク,ケヤキその他の濶葉樹の傷痍部から侵入し根株,根材部の主として心材を腐朽せしめ尚徐々に生活力ある邊材及び形成層をも侵し,遂に之を枯死せしめる。而根株部並に根部の心材を甚しく腐朽せしめるため樹體の外力に對する抵抗力著しく弱くなり風倒の大なる原因となるものである。<br> (2) 本菌は東洋に於て相當廣範圍に亙り分布するもので,我國では北海道以南本州,九州,臺灣に及んでゐる。<br> (3) 風倒によつて現れた腐朽部には極めて短期間に多敷の子實體が形成せられるのを認めた。<br> (4) 本菌の擔子胞子は29°C附近に於て最もよく發芽するものゝやうである。<br> (5) 本菌の菌絲は5~40°Cに於て發育し,最適温は33°C附近である。<br> (6) 分離系統を異にする本菌の對待培養に於て,嫌觸現象を認めた。<br> (7) 實驗室内に於て,本菌の各樹種に對する腐朽力をみるにハンテンボク,ソメイヨシノ.オニグルミ,アカマツ等は甚しく腐朽せられるが,ニセアカシア,スギは比較的輕微である。<br> (8) 本菌はKorrosionspilzに屬し,その腐朽型はHUBERTのWhite rotである。<br> (9) 本菌に於ては厚膜胞子は非常に多くの場合に見出される。