著者
伊藤 範明
出版者
朝日大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

低出力超音波パルス(LIPUS)刺激が,ラット破骨細胞の活性に与える機序の1つとして,細胞骨格に対する影響が考えられる.細胞骨格の重合を阻害してからLIPUS刺激を与えた.その結果、細胞骨格の再重合に対して,LIPUS照射群は非照射群よりも早い段階から再重合を促進していた.これは,LIPUSの刺激が細胞形態の変化に関与していることを示しており,メカニカルストレスとの関連が示唆された.しかし,LIPUS照射が細胞骨格の再重合のどの部分に作用しているかは検討が必要である.
著者
岩上 将史 伊藤 孝行
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告知能と複雑系(ICS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2008, no.104, pp.33-40, 2008-10-23

SNS を利用して個人間でお金の貸し借りをするソーシャルレンディングでは,返済不履行のリスクが個人の貸し手に委ねられる.ソーシャルレンディングは比較的新しい分野であるため,仕組み自体は経験的に設計されていることが多い.本論文では特に利率の決定方法を提案する.本手法では,借り手が所属する複数のグループの返済遅延の確率分布を考慮した,尤度によるベイズ推定を用いて利率の調整を行う.そして,本手法での利率決定による影響について,エージェントを用いて実験的に解析を行う.本手法により,借り手の返済履歴が多くなるほどバラつきの少ない利率決定が可能となる.その結果,リスク(利率毎の返済遅延率の分散)が少ないことを望む貸し手に対しては取引成立数を増やすことが可能となる.In social lending, in which an individual lends or borrows money using an SNS network, a person who lends money must take a risk that the money won't be returned. Since social lending is a comparatively new field, very few studies have been made. Therefore, we present an experimental assessment of the influence of the updating of an interest rate using Bayesian estimation, which takes into consideration the influence of groups with agents. Our method decreases dispersions of the delay of the borrower in payment with the increasing loan history of the borrower. As a result, when the lenders are risk-averse (risk means the dispersions of the delay of the borrower at each interest rate), the number of transactions increases. Therefore, our method is effective because it can cause the transactions of lenders who are risk-averse to increase.
著者
岩上 将史 伊藤 孝行
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. AI, 人工知能と知識処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.208, pp.39-44, 2008-09-09

SNSを利用して個人間でお金の貸し借りをするソーシャルレンディングでは,債務不履行のリスクが個人の貸し手に委ねられる.ソーシャルレンディングは比較的新しい分野であるため,仕組み自体は経験的に設計されていることが多い.本論文では特に利率の決定メカニズムを提案する.そして借り手が所属するグループの返済確率分布を尤度に加えたベイズ推定を用いた利率の更新による影響について,エージェントを用いて実験的に解析を行う.また,借り手をグループに所属させることによる返済遅延率への影響についても考察する.本手法により,借り手の返済履歴が多くなるほどバラつきの少ない利率決定が可能となる.その結果,リスク(利率毎の返済遅延率の分散)が少ないことを望む貸し手に対しては取引成立数を増やすことが可能となる.一般的には貸し手はリスクを避ける傾向があるため,リスク回避型の貸し手の取引成立数を増やせる本手法は有効であると考えられる.
著者
大平 高正 池内 秀隆 伊藤 恵 木藤 伸宏
出版者
公益社団法人日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.31, no.7, pp.420-425, 2004-12-20
被引用文献数
3

本研究の目的は,高齢者を対象に歩行開始時の足圧中心点(以下,COP)の後方移動(以下,逆応答現象)を調べ,1)足指筋力,足関節背屈筋力,歩行開始前後の静的バランス能力との関連性を調べること,2)各パラメータの若年者との相違を調べ,高齢者における逆応答現象の移動距離が減少する要因を調べることである。中枢神経疾患の既往の無い,在宅生活を送っている自立歩行可能な高齢者15名を対象とした。計測パラメータは,(1)逆応答現象の前後方向最大距離:As,(2)逆応答現象の左右方向最大距離:Al,(3)歩行前静止立位バランス:Bd,(4)歩行後静止立位バランス:Ad,(5)逆応答出現までの潜時:Cd,(6)足指最大圧縮力体重比:Fg,(7)足指圧縮力の増加の傾き:Gs,(8)足指圧縮力発生までの潜時:Gd,(9)足指圧縮力発生から最大圧縮力までの時間:Tp,(10)足関節背屈トルク体重比:Dtとした。AsとAlに強い正の相関が認められた。AlとBdに負の相関が認められた。CdとGdに正の相関が認められた。若年者群との比較では,高齢者群はGsが有意に低かった。転倒群に対し運動療法を施行するとAl,Gsの増大,Bd,Gdの短縮が認められた。今回の調査では,高齢者の逆応答現象に関与する因子の明確化には至らなかった。
著者
塩澤 真人 戸塚 洋二 鈴木 厚人 中村 健蔵 伊藤 好孝 久嶋 浩之 西川 公一郎 塩澤 真人
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2001

本研究は、100万トン実験装置のための、安価で高性能な光センサーを開発するものである。13インチのハイブリッド光センサーの試作をし、動作試験から、改良研究を行った。いくつかの問題点が見つかったが、それに対する解決方法を明らかにした。1.高電圧(25キロボルト)印加できず放電してしまう。-->光電面を製造中にセラミック絶縁体を加熱し、耐電圧を向上させる。2.ダイオードの短時間での劣化がおきる。-->新たに5mmφの光ダイオードを開発した。寿命は改善したようである。3.有効面積が小さい(240mm)-->ダイオードの位置と光電面の曲率を最適化することにより、300mmまで改善できることがわかった。4.HPDの構造全体の最適化-->部品の効率化、フランジの強度改善、光電面の曲率の最適化案を作成した。以上の開発により、致命的な技術的困難はなく、大型ハイブリッド光センサーの優れた基本特性と製作可能性が確かめられたと考える。今後の課題としては、生産性の向上のための光センサーと電子回路の最適なデザイン検討と開発がある。また、コスト低減のために、さらなる大型化の可能性の追求も必要である。
著者
汪 達紘 筒井 研 佐野 訓明 益岡 典芳 伊藤 武彦 荻野 景規
出版者
岡山大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

本研究は、酸化的ストレス誘発有害物質の評価法の開発とその実用化を目指している。平成17〜19年度にわたってマウス由来のカタラーゼ変異遺伝子導入大腸菌(Cs^a:正常カタラーゼ活性菌、Cs^b:低カタラーゼ活性菌)を用い、CAT Assayにより化学物質の細胞毒性等について検討し、以下の成績を得た。市販の染料であるヘンナ製品(タトゥーや髪染め等)及びその抽出物であるローソンを各菌株に曝露させると濃度依存的な細胞障害を示され、その障害が各菌株のカタラーゼの活性とは負の相関であった。また、ローソンの曝露濃度依存性にH_2O_2の生成上昇を確認した。更に抗酸化物質catalase、 capsaicin、 ascorbic acid等で前処理された菌株にヘンナ製品及びローソンの投与により細胞毒性は減少した。金属キレート剤であるジエチレントリアミンペンタ酢酸(DTPA)をローソンと一緒に各菌株に曝露するとDTPAの曝露濃度が高ければ高いほど各菌株の生存率が上がり、量-反応関係が見られた。ジチオトレイトール(DTT)は、チオール性抗酸化物質として広く使用されているが、活性酸素種を産生し酸化促進剤として作用することも報告されている。CAT Assayでは、Cs^a、 Cs^bともDTT濃度依存性の細胞毒性が見られ、両者の間には有意な差異が認められた。Catalaseの添加により、DTTの細胞毒性を完全に抑制され、ascorbic acid、 catechin及びresveratrolもDTT毒性の予防に有効であった。CAT Assayの実用性について、医療廃棄物の処理残渣及び一般廃棄物の焼却灰を用いて検討した。3種類の有機溶媒及び滅菌水を用いて試料の抽出方法について比較した。水及びメタノールの抽出物による各菌株の増殖抑制はカタラーゼ活性と負の相関があり、検体の曝露量が高ければ高いほど各菌株の生存率が下がり、カタラーゼ活性に依存していることが示唆された。アセトン及びヘキサンの抽出物は各菌株に影響を示さなかった。本研究で確立したCAT Assayは、酸化的ストレス誘発有害物質の評価法として応用が可能であると考えられる。
著者
戸谷 義明 伊藤 弘晃 後藤 大希
出版者
愛知教育大学
雑誌
愛知教育大学研究報告. 自然科学 (ISSN:03653722)
巻号頁・発行日
vol.56, pp.33-43, 2007-03-01

Sweet candies are remarkably familiar and attractive not only for the primary school children, but also for adults. For visiting instruction of the chemical experiment in a cooking room, procedures of candies making were investigated. Three sweet candies, "Gummy Candies", "Lemonade Candies", and "Sweet Alginate Beads" were chosen and their preparation methods for visiting instruction were developed chemically. A practice by using the developed methods was performed in a cooking room at Mizuho Young People's Center(Seinen-no-i-e) in Nagoya city on August8, 2006. The experimental method in candies making was proved to be educationally useful and effective to master the basic theory and handling in chemical experiments by analyzing the questionnaire data.
著者
吉田 健一 橋本 光靖 伊藤 由佳理 渡辺 敬一 坂内 健一
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

1.ヒルベルト・クンツ重複度の下限について研究代表者と渡辺敬一(分担者)は本研究に先立ち、ヒルベルト・クンツ重複度が1の局所環が正則局所環であることを証明した。この結果は正標数において、永田による古典的な結果を拡張したものになっている。本研究では正則でない局所環に対するヒルベルト・クンツ重複度の下限を求める問題について考察した。結果として、平方和で定義される超平面の場合に下限を取るという予想を得て、4次元以下の場合にそれを証明した。本結果における最小値は(代数幾何学的にも)大変興味深いものであるが、現在の所それをサポートする理論は得られていない。このような理論を見出すことは今後の研究課題である。また、我々の予想は完全交叉の場合にエネスク・島本により証明された。2.極小ヒルベルト・クンツ重複度の理論極小ヒルベルト・クンツ重複度はF正則局所環の不変量として導入した概念である。この量は0と1の間の実数値を取りうるが、アーベルバッハらの研究により、F正則であることと、極小ヒルベルト・クンツ重複度が正の値を取ることが同値であることが知られている。本研究においては、F正則環の代表的なクラスである、アフィントーリック特異点と商特異点の場合にその値を求めた。3.極小重複度を持っブックスバウムスタンレー・リースナー環の特徴付け研究代表者は佐賀大学の寺井直樹氏の協力に基づき、ブックスバウムスタンレー・リースナー環の極小自由分解、重複度、h列などに関する研究を行った。特に、そのようなクラスにおける重複度の下限を決定し、下限を取るスタンレー・リースナー環の特徴付けを行った。
著者
伊藤 啓司 笠田 洋和 世木 博久 伊藤 英則
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.50, pp.155-156, 1995-03-15

詰将棋は、攻め方が王手をかけ続け、それに対して受け方が逃げる手順を考えるというパズルゲームの1種である。双方が最善を尽くして詰みに至る手順を示すことが、詰将棋を解くこととなる。与えられた問題に依存するので一概にはいえないが、詰将棋のある局面に対して十数手の王手が存在し、その王手それぞれに対して数手の受け手が存在する。本稿では、与えられた局面において、複数存在している手を並列に探索する手法について述べる。なお、並列計算機は富士通AP1000を使用し、プログラム作成にはC言語を使用した。
著者
河田 興 伊藤 進 磯部 健一 日下 隆 大久保 賢介 安田 真之
出版者
香川大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

2004年10-12月に香川大学医学部附属病院で出産した新生児33名およびその母親32名について、カフェイン及びメチルキサンチン血中濃度測定を行った。分娩時の母体血、娩出時の臍帯から得られた臍帯静脈、日齢2、日齢5に新生児血を採取し高速液体クロマトグラフィーで測定した。臍帯静脈血中カフェイン濃度が4mg/L以上の12名、臍帯静脈血中カフェイン濃度が4mg/L未満の21名の2群について日齢2、日齢5に行ったブラゼルトン新生児行動評価法について比較検討した。母体血と臍帯静脈血のカフェイン濃度の比較はWilcoxon順位検定で行った。母体血と膀帯静脈血のカフェイン/カフェイン及びその代謝物の和の比を比較した。その比較はpaired t検定で行った。母体血と臍帯静脈血のカフェイン及び代謝物濃度比(カフェイン/総メチルキサンチン)はそれぞれ0.68±0.13、0.69±0.14(平均±標準偏差)で差を認めなかった(p=0.469)。母体血カフェイン濃度と臍帯静脈血カフェイン濃度は対数変換後の換算値の平均値及び標準偏差値で1.47±1.87mg/L、1.73±1.76mg/Lであった(P=0.078)。更に、臍帯血濃度、日齢2血中濃度、日齢5血中濃度を測定し、新生児カフェイン消失半減期を求めた。新生児カフェイン消失半減期が14日以上は10名とで14日未満は23名であった。分娩前に母体に摂取されたカフェインを臍帯血カフェイン濃度の高低で検討すると、そのカフェイン濃度が日齢2と5の新生児行動の方位反応に影響することが示された(p=0.076)。
著者
佐々木 衞 聶 莉莉 園田 茂人 伊藤 亜人
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2000

1,研究の目的中国朝鮮族家族の移住と定住、そして民族的アイデンティティの自覚とエスニシティの形成を、大都市に移住した家族と個人を対象に研究調査した。調査実施地は、北京、青島、上海、深〓および韓国ソウルであった。2,調査概要主な調査内容は次のものであった。(1)都市に居住する中国朝鮮族の移動と就業状況について、政府機関や報道機関および大学に勤務するもの、私営企業家、都市に出稼ぎに出てきている家族を訪問し、インタビュー記録を整理した。(2)韓国ソウルでの海外出稼ぎ者に対する訪問調査とその支援組織の活動を調査した。(3)延辺朝鮮族自治州創立50周年記念事業、青島における中国朝鮮族の運動会、朝鮮族学校など大都市における民族的な文化活動を調査した。3,調査から得られた暫定的な知見(1)都市への移動者(1)都市への移動は学歴・職歴が鍵になっている。大学卒業者もしくは軍隊経験者は、新しく企業を始めるにも文化的な資原を経済的な資源に転換している。これに対して、一般の地方出身者の多くは雑業層に就く。(2)「運動会」の挙行は、移住地にあらたな絆と凝集を構成する機会を提供している。(3)出稼ぎ者が集住する地域は、アメリカ社会学のシカゴ学派がtransition zone(推移地帯)と見なす地域である。(2)家族・親族の絆の再構成(1)同郷・親族ネットワークが相互支援のために不可欠の役割を果たしている。(2)誕生日や還暦の祝いが活発になっているが、家族における儒教的構成原理を状況主義的に再構成している。(3)エスニシティの構造(1)朝鮮族が「故郷」としての北朝鮮から自立的な立場を確立し、また、中国で生きる手段として中国語の習得を選択しているが、これらは「脱朝鮮族」の傾向を生んでいる。(2)他方では、朝鮮族であることが、韓国チャンネルとの接点を作り経済的な新たなチャンスとなっている。韓国にたいして「同胞」としての優遇を期待することも強くなっている。(3)中国朝鮮族としての自覚が高まっているとすれば、一種の「再朝鮮族」を見ることもできよう。4,これからの展開以上の研究成果をふまえて、論文集の刊行を計画している。
著者
伊藤 醇一 岩附 正明 深沢 力
出版者
公益社団法人日本分析化学会
雑誌
分析化学 = Japan analyst (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.42, no.8, pp.445-459, 1993-08-05
被引用文献数
3 3

炭化ケイ素には多数のポリタイプが存在し,通常の炭化ケイ素製品はこれらの混合物である.一方,JCPDSカードその他に記載されている炭化ケイ素の結晶学的データやX線回折データには必ずしも一貫性がなく,実際試料との不一致も見られ,各ポリタイプの同定を困難にしている.そこで本研究では,従来の炭化ケイ素の格子定数データをできるだけ多く集めて比較し,本来変わらないはずの六方格子のα軸長を,著者らの実験結果や文献値を参考に一定値(3.081Å)にして整理統一した.更に,代表的ポリタイプについて,この格子定数と原子配列データを用いて,面間隔とX線回折強度を計算して実験値とも比較した.これによりポリタイプ間の回折図形の差が明確になり,ポリタイプの同定が容易になった.
著者
伊藤 壽美代
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.42-46, 1954
被引用文献数
1

(1)ヒトスヂシマカとヤマダシマカの終齢幼虫を, 五対毛(α, ε)の分岐数によつて鑑別する従来の知見を, 推計学的に再検討した.(2)材料は1952年秋に京都市西南丘陵地帯の竹林内で採集した両種雌成虫を個体別に飼育産卵せしめ, これより孵化した幼虫を, 夫々親別に分けて飼育し, 得られた終齢幼虫脱皮殻につき, 上記両毛の分岐数を計測した.(3)供試数は, ヒトスヂシマカ3群, 計156個体, ヤマダシマカ5群, 計194個体である.(4)両種各群における平均値の均一性を検定した結果, ヤマダシマカのa毛のみが高度に有意となり, 他は有意ではなかつた.この原因は不明である.(5)両種全測定個体について, 両毛分岐数の分布型を調べた結果いずれも概ね正規型分布をすると認定した.(6)両毛分岐数の母平均の信頼限界は, ヒトスヂシマカのa毛2.93〜3.09, 同ε毛2.46〜2.64, ヤマダシマカのa毛6.77〜7.09, 同ε毛7.98〜9.22である.(信頼度95%)(7)種々の危険率における両毛分岐数の棄却限界を比較した結果, これらの分岐数による両種終齢幼虫の鑑別は危険率2%以上においてのみ可能であり, またa毛が5岐する個体はヤマダシマカに属し, ε毛が5岐する個体はいずれに属するとも云えないことが結論された.終りに本研究のテーマを与えられ, 終始懇切な御指導を賜つた恩師中田五一先生, 並びに推計学的処理について, 絶大な御教示を仰いだ大阪市立大学理工学部の大沢済先生に, 深く感謝の意を表する.
著者
岩崎 正弥 三原 容子 伊藤 淳史 舩戸 修一
出版者
愛知大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

農本思想とは、農に特別の価値を認め、その価値を社会の中で追求・実現しようとする思想である。本研究を通して以下のことを明らかにした。1)農本思想は1945年で終息したのではなく、戦後の農村教育や農政にその一部が継承され、帰農や地域づくりにおいて現代にもその影響がみられる。2)日本固有の思考様式だったのではなく、中国の村治運動やアメリカのアグラリアニズムにも認められるように、一種の普遍性をもつ哲学であった。また「社稷」概念は現代においてこそ再評価されるべきである。
著者
布川 雄大 花野 博司 孫 為華 安本 慶一 伊藤 実
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告マルチメディア通信と分散処理(DPS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2009, no.20, pp.325-330, 2009-02-26

2006年から地上デジタル放送の携帯端末向けサービス(ワンセグサービス)が提供されている.一般的にワンセグ放送は移動受信に強いと言われているが,ショッピングセンタや駅構内,ビルの陰となる場所では,電波が遮られてしまう難視聴エリアが発生する.本研究では,近隣の複数携帯端末がアドホックネットワークを形成し,ワンセグ放送の電波受信品質の良い端末から悪い端末に対してデータ中継を行うことで難視聴エリアにいる端末でのワンセグ視聴品質を向上させる方法を提案する.本稿では,無線通信帯域の制約,リアルタイム性を損なわないための伝送遅延の制約を満たした上で,難視聴エリアにおいて救済される端末数を最大化する問題を定式化し,その問題を解くヒューリスティックアルゴリズムを提案する.また,これまでに得られたシミュレーションによる評価結果を報告する.The 1-segment broadcasting service, a digital TV broadcasting service for mobile/cell phone terminals has been provided in Japan since 2006. In general, 1-segment broadcasting is likely to achieve stable radio reception at user terminals even with strong mobility. However, there are still some areas where it is difficult to view a high quality videos (e.g., in train stations, shopping centers, etc) due to weak radio wave attenuation in those areas. In this paper, we propose a method to salvage user terminals in those weak 1-segment radio wave areas by transmitting videos from terminals in good radio wave areas through wireless multi-hop paths. For this purpose, we first formulate the problem to maximize the number of salvaged terminals in weak radio wave areas under constrains of wireless bandwidth and latency in watching videos in real-time. We propose a heuristic algorithm to solve the problem, and evaluate the algorithm with computer simulations.