著者
伊藤 詔子
出版者
松山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

本研究「文学批評理論としてのエコクリティシズム確立にむけての研究」2年目では、1年目のソローを中心とする研究から、1)エコクリティシズムの批評そのものの現状を分析し、2)環境文学の始まりとなったレイチェル・カーソンの『沈黙の春』を中心に、汚染の言説と環境正義のレトリックの特質を考察し、3)『沈黙の春』以降の女性環境作家作品について、発展的な考察をした。3点についての具体的成果は以下であった。1)ロレンス・ビュエルによる最新のエコクリティシズム研究書Future of Environmental Criticismをエコクリティシズム研究会で研究し、5人で協力してその邦訳を、巻末書誌、環境批評用語解説とともに鶴見書店より2007年5月に出版した。序文と第1章、5章、あとがき、原稿取りまとめ、監修を伊藤が担当した。また英語青年に「ビュエルエコクリティシズム三部作の完成に寄せて」と題して、エコクリティシズムの修正主義である第二波について概説した。2)アメリカ学会・学会誌の特集「自然と環境」に、「Silent Spring--Toxic Infernoを下って沈黙のジェンダー的ルーツを探る」と題する論文を寄稿し、エコクリティシズム第二派が焦点化する、汚染の言説と環境正義のテーマについて考察した。3)ソローとカーソン以降の女性環境作家について、阪大の人文COEプロジェクト「環境と文学」第三回フォーラムで講演し、その他二つの論文で調査研究の成果を発表した。(1)「ソローとホーガンのいきもの表象をめぐって」(日本ソロー学会『ヘンリー・ソロー研究論集』No.33(2)「『沈黙の春』とアポカリプス」ミネルヴァ書房名作シリーズ『カーソン』(2007年5月刊行)
著者
伊藤 剛
出版者
独立行政法人農業生物資源研究所
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2003

昨年度得た多数の近縁ゲノム間での自然選択強度のデータを整理し、特に水平移行の有無に関して着目しながら、機能と自然選択による進化の関係を明らかにした。これまでの研究で、水平移行した遺伝子では自然選択の緩和が生じている可能性(=同義置換数に対して非同義置換数が比較的多い)が示されていた。一方で、遺伝子の機能に関する考察から、量的に偏ってより多く水平移行している遺伝子のうち、細胞表面構造に関係するタンパク質の遺伝子などでは正の自然選択が示唆された。しかし、そのほかの大量移行の例では、例えば遺伝子発現の制御に関与する遺伝子のように、分子レベルでの生命活動に大きな変化をもたらす可能性は考えられるものの、水平移行と正の自然選択の関係は必ずしも明確ではない。そこで、近縁種(株)間のオルソログにおいて、水平移行した遺伝子とそうでない内在性のものとで、フレームシフトによるタンパクコード遺伝子の読み枠の破壊があるかどうかを比較した。すると、例えば大腸菌K-12株とO157の間では、内在性遺伝子では1.0%(34/3291)でフレームシフトによる偽遺伝子化が見られたが、一方で水平移行したものでは6.9%(23/332)と明らかに水平移行での遺伝子破壊が多かった。これは、水平移行したものではむしろ大部分で自然選択が緩和されているという考え方を指示するものである。本研究により、水平遺伝子移行によって大きな生命多様性がもたらされるが、自然選択という意味では重要度の高いものは小数に限られることが明らかになった。本研究に関しては一部を論文化するとともに国内外の学会等でも発表しており、また全ての結果をデータベース化し可視化するプログラムも作成したので、誰でも容易に大量解析の全情報を活用できるようになっている。
著者
山口 寛二 伊藤 義人
出版者
京都府立医科大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

肝臓に高発現するDGAT2を抑制することで肝脂肪化は改善されたが線維化は悪化することとなった。一時的な肝脂肪化は、遊離脂肪酸の毒性からの回避を目的に肝保護的に働いていると考えられた。
著者
千葉 靖典 伊藤 浩美 佐藤 隆 高橋 佳江 地神 芳文 成松 久
出版者
日本応用糖質科学会
雑誌
Journal of applied glycoscience (ISSN:13447882)
巻号頁・発行日
vol.57, no.2, pp.131-136, 2010-04-20
被引用文献数
1

糖鎖の機能解明や糖鎖構造分析のための標準品を合成するための一つの手段として,糖転移酵素の利用が考えられる.糖転移酵素は基質特異性が明確である一方,酵素自体が不安定で大量に生産することが難しいため,糖転移酵素を利用した糖鎖合成の産業的な利用は難しいと考えられてきた.一方,安価な生産のためには大量生産技術が確立している酵母等の代替宿主を用いることが期待されているが,ヒトの糖転移酵素を多量に発現させた例はあまりない.われわれは動物細胞(HEK293T細胞)とメタノール資化性酵母(<i>Ogataea minuta</i>)を宿主としてヒト糖転移酵素の生産法の開発と応用を検討した.既知の情報ならびに当センターで新規にクローニングした遺伝子を含め,糖鎖合成関連遺伝子をライブラリー化した.糖転移酵素のほとんどはHEK293T細胞で可溶型酵素として発現が可能であった.ビーズ上に固定した糖転移酵素を利用し,さまざまな糖鎖・糖ペプチドの合成を行った.また合成した糖鎖の一部は基板上に固定し,糖鎖チップの生産を行った.今後はさらに糖鎖の種類を増やすことで,糖鎖と結合するタンパク質の特異性をより厳密に決定に利用できると考えている.一方,酵母の発現系については,導入した糖転移酵素の半数程度しか発現が確認されなかったため,種々の条件の最適化等を検討した.その結果,従来の条件では活性がほとんどみられなかった糖転移酵素も活性が確認できるようになり,ある酵素では数百倍の生産性の向上に成功した.次に,天然からは大量調製が困難な<i>N</i>-型多分岐糖鎖の調製を行った.アガラクト型複合型2分岐鎖を出発材料とし,糖転移酵素を逐次作用させることにより,アシアロ型3分岐,4分岐型糖鎖の生産に成功した.今後,酵素法による糖鎖の大量調製が可能となり,糖鎖チップへの応用や糖タンパク質医薬品の原料への活用が期待できる.本研究はNEDO「糖鎖機能活用技術開発」プロジェクトにおいて実施したものである.
著者
加藤 隼也 川端 亮 伊藤 潔
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. KBSE, 知能ソフトウェア工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.384, pp.19-24, 2009-01-12

ドメインと複数のドメインに共通なオントロジの構成法を,コンポーネントの観点とタスクの観点から考察し,オントロジの再利用可能な記述法と記述したオントロジの再利用方法を検討する.オントロジの記述の例として仕事の受託について記述した.タスクオントロジを格文法とコミットメントネットワークに沿って記述し,タスクオントロジからコンポーネントオントロジを抽出しコンポーネント同士の関係を記述する.この記述法と再利用法を,Excel VBAで実装した.
著者
横山 修 秋野 裕信 青木 芳隆 横田 義史 楠川 直也 伊藤 秀明 棚瀬 和弥
出版者
福井大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

メタボリック症候群候補遺伝子の変異が下部尿路症状(lowerurinary tractsymptoms:LUTS)の発生と関連しているのか、ヒトあるいは病態モデルを用いて検討して以下の結果を得た。(1)過活動膀胱患者の血液サンプルを用いて、特にcycloxygenase-2(COX-2)遺伝子多型(JAMA291:2221,2004)について検討した。COX-2のプロモーター領域には-765番目のグアニンがシトシンに変異している一塩基多Single Nucleotide Polymorphism(SNP)が存在するが、その頻度は低く、これが直接過活動膀胱発生に関与しているとは考えにくかった。しかし、ヒトの症状スコアーと尿中パラメーター(PGE_2、PGF_<2a>、NGF、substance P)を用いて解析した結果、脳血管障害患者では、そのphenotypeとしての尿中PGE_2量は下部尿路症状、特に過活動膀胱(overactive bladder;OAB)症状と有意に関連し、他のメディエーターであるPGF_<2a>、NGF、substance Pよりも強い相関があった。脊髄疾患患者でもOAB症状と尿中PGE_2量とは有意の相関を示した。(2)福井県住民健康診査を受けた男女を対象に、夜間頻尿と下部尿路症状とメタボリック症候群のリスク因子との相関を検討した。その結果、夜間頻尿は肥満・高血圧・心疾患・不眠が独立したリスクで、メタボリック症候群の危険因子の数が多いほどオッズ比が大きかった。(3)なぜ上位脳血管障害患者で尿中PGE_2量が上昇するのか、動物モデルを用いた検討を行った。ラットに脳梗塞を起こさずに排尿反射のみを亢進させても尿中PGE_2量やATP量に変化はみられなかった。しかし脳梗塞を作成すると膀胱壁のATP量増加が認められ、知覚C線維をレジニフェラトキシンにて脱感作するとATP増加はみられなかった。したがって脳梗塞により膀胱の知覚C線維のupregulationが生じていると考えられた。PGE_2量は遅れて増加するものと推測される。(4)メタボリック症候群の病態モデルを用いて、排尿筋過活動の発生について実験を行った。その結果、高フルクトース食にて11ヶ月飼育したラットでは、高血圧・インスリン抵抗性が獲得され、排尿回数の増加とともに膀胱壁COX-2発現の上昇・尿中PGE_2の増加がみられた。
著者
伊藤 友一
出版者
The Japanese Society of Lumbar Spine Disorders
雑誌
日本腰痛学会雑誌 (ISSN:13459074)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.39-44, 2009
被引用文献数
1 3

これまでアンケート調査および腰痛検診にて介護士における腰痛の実態調査を行い,日常生活動作(ADL)に支障をきたすほどの器質的疾患を有する腰痛はなかったこと,一部の介護作業姿勢が腰椎に影響を及ぼしていることを報告した.今回,同じ施設でRoland-Morris Disability Questionnaire(以下RDQ)日本語版を用いて腰痛の調査を行った.対象は,男性319人,女性575人,年齢は19歳から60歳であった.回答が得られたのは,892人(99.8%)であった.RDQ 0点が598人(全体の67.0%),1~2点が149人(16.7%),3~4点が70人(7.8%),5点以上が75人(7.3%)であった.質問の項目別にみると,腰痛を和らげるために,何回も姿勢を変えるが162人,腰痛のため家の仕事をするときは力仕事をしないようにしているが103人,ほとんどいつも腰が痛いが94人,腰痛のため,いつもより横になって休むことが多いが74人,腰痛のためいつもよりゆっくり階段を上るが74人,腰痛のため寝返りが打ちにくいが73人,腰痛のため靴下やストッキングをはくとき苦労するが68人と多かった.これに対し,腰痛のため,服を着るのを誰かに手伝ってもらうが2人,腰痛のためあまり食欲がないが4人,腰痛のため1日大半を座って過ごすが5人,腰痛のため,大半の間,ベッド(布団)の中にいるが6人,腰痛のため,いつもより人に対していらいらしたり腹が立ったりするが7人と少なかった.2次検診を希望したのが42人(4.7%)であった.調査の結果,QOLにかなりの支障をきたすほどの腰痛を有する者は少ないことがわかった.
著者
岩瀬 弘敬 柄松 章司 呉山 泰進 桐山 昌伸 伊藤 由加志 葛島 達也 岩田 広治
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.95-98, 1990-01-01
被引用文献数
1

慢性膵炎に起因する膵性腹水の1例を報告した.患者は20年来アルコールを多飲していた39歳の男性で,急激な腹部膨満と上腹部激痛で受診した.臨床所見と諸検査によって,多量の膵性腹水とともに肝硬変と慢性膵炎が存在すると診断された.全身的療法の効果が乏しいことから,発症16日目より腹膜灌流を開始した.メシル酸ガベキサート200mg,アミカシン100mgおよびヘパリン2,000単位を含む21の等張腹膜灌流液を腹腔内に60分で注入し,引き続き120分で自然流出させた.この持続的腹膜灌流は3時間ごとに5日間連続しておこなった.この治療によって臨床症状,血清アミラーゼをはじめとする検査結果は著しく改善した.すなわち,蛋白分解酵素阻害剤を添加した等張の腹膜灌流液による連続的腹膜灌流が有用であった.しかし,腹膜灌流の時期と継続期間,蛋白分解酵素阻害剤の種類と量,などなお考慮すべき点が残されている.
著者
伊藤 圭子
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

特別支援教育を成功させるために、応用行動分析学の理論を家庭科に導入する意義を検討し、家庭科と家庭とが連携した小学校家庭科における学習プログラムの開発を目的とする。応用行動分析学を用いた家庭科学習プログラムの枠組みの課題として、学校や行政機関による保護者を対象とした家庭科学習内容の実施、教師と保護者との連携強化の必要性、子どもの生活への主体的活用を促す学習教材の検討の3点が提起された。
著者
伊藤 鉄也 伊井 春樹 鈴木 淳 入口 敦志 荒木 浩 海野 圭介 スティーヴン・G ネルソン 伊藤 鉄也
出版者
国文学研究資料館
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2006

本課題は、日本文学に関する情報を所有する海外の機関や研究者を確認し、どのような情報が収集・利用されているか、またはどのようなテーマで研究がなされているかを解明することにある。そのために、日本文学や文化に特化したものを集積・分析し、諸外国の研究者相互の連携を推進し、情報網を広げ、質の高い研究情報を蓄積し、国内外の研究者へ提供してきた。国際集会の開催、刊行物「日本文学研究ジャーナル」第1~4号の作成はその成果の具体的な証である。
著者
明石 哲郎 河辺 顕 坂本 竜一 宜保 淳也 井上 直子 小島 瑞穂 久野 晃聖 有田 好之 伊藤 鉄英 名和田 新
出版者
The Japanese Society of Gastroenterology
雑誌
日本消化器病學會雜誌 = The Japanese journal of gastro-enterology (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.100, no.6, pp.713-718, 2003-06-05
被引用文献数
8

膵仮性嚢胞は, 急性膵炎や慢性膵炎の合併症として, しばしば経験する. しかし, 縦隔内膵仮性嚢胞はまれで, 我々の検索しえた範囲では, 本邦報告例は21例である. また, その治療は, 大多数が嚢胞摘出術や嚢胞ドレナージ術などの外科的治療を受けている. 今回, 我々は抗酵素療法に抵抗性を示す縦隔内膵仮性嚢胞合併膵炎に対しソマトスタチン誘導体投与が奏効し, 保存的に嚢胞の消失を認めた症例を経験したので文献的考察を加えて報告する.
著者
大羽 和子 山本 淳子 伊藤 幸子 藤江 歩巳 竹内 若子
出版者
日本海水学会
雑誌
日本海水学会誌 (ISSN:03694550)
巻号頁・発行日
vol.56, no.3, pp.234-240, 2002-05-24
被引用文献数
1

日常, 果実や野菜の褐変防止に食塩が用いられる. 酵素的褐変を触媒するポリフェノールオキシダーゼ (PPO) の活性は食塩により阻害されるといわれている. 本研究では, 市販のりんご果肉, ジャガイモ塊茎, 黒緑豆もやし胚軸の粗酵素液中に複数の異なるPPOアイソザイムが存在することを, SDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動で明らかにした. また各アイソザイムの食塩に対する感受性には若干の差異がみられた. 次に, 食塩によるPPOの阻害様式を明らかにするために, 黒緑豆もやし胚軸からpI 6.7のPPOアイソザイムを硫酸アンモニウム分画, 2種類のカラムクロマトグラフィーにより426倍に精製した. 本酵素は分子量約40kDaのほぼ単一なたんぱく質にまで精製された. 精製酵素のクロロゲン酸 (基質) に対する見かけのKm値は1.3mMであり, 食塩による阻害様式は非拮抗型で, その阻害定数 (Ki) は0.22Mであった.
著者
伊藤 敬一 毛呂 真 月舘 敏栄
出版者
八戸工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1997

1.北国の地方として釧路市、八戸市を取り上げ、両都市で過去100年間に発生した震度4以上の地震について、発生時期・時刻、および被害内容を調査した。その結果、震度4以上の地震が2年に1回の割合で生じていること、両都市にとってもっとも気象条件の厳しい12月から3月の冬期間において4割を超える地震が発生しており、被害の様相も異なることがわかった。このことより、防災システムは冬期間とその他の時期の2通りの発生条件をもとに検討していく必要があることが明らかになった。2.釧路市において1993年釧路沖地震、八戸市においては1994年三陸はるか沖地震を取り上げ、それらの地震における建物被害、水道被害の地域分布を調査した。同時に両都市において、市街地をメッシュにて区分し、それぞれの地区での地盤の微動測定を実施し卓越周期を推定した。その結果、地震被害分布と卓越周期の地域分布がよく対応することが確かめられ、地震被害想定をする場合の震度についての有効な知見を得た。3.冬期、夜間に発生した1993年釧路沖地震、1994年三陸はるか沖地震について、実際に発生した住民の避難行動に関連して避難施設の開設、管理・運営、および住民の意識について詳細な調査を行った。その結果、避難に関わる住民、行政、施設の管理者の行動は地震の発生条件が深く関与していることが解り、北国の都市の緊急行動についての防災上の要件が明らかになった。
著者
藤田 和之 高嶋 和毅 築谷 喬之 朝日 元生 伊藤 雄一 北村 喜文 岸野 文郎
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J93-D, no.11, pp.2454-2465, 2010-11-01

ユーザによる単純な操作に複数のカメラ操作を連動させ,効率良く地図を閲覧することができるインタラクション手法としてAnchored Zoom (AZ)とAnchored Zoom and Tilt (AZT)の二つを提案する.二次元の地図を俯瞰する三次元的なカメラ視点を用い,AZではズームを,AZTではズームとチルトをパン操作に連動させ,ユーザの指定する地図上の1点を常にビューポートに収めるよう制御する.これら2手法のパフォーマンスを評価するため,ペン入力の環境において,従来手法であるPan & Zoom (PZ)及びSpeed-dependent Automatic Zooming (SDAZ)と比較する実験を行った.画面外オブジェクトの獲得タスクと位置把握タスクの二つを実施した結果,提案手法が従来手法に比べ距離感や方向感覚を失うことなく,より高速にオブジェクトを獲得できることが分かった.