著者
佐藤 陽子 小林 悦子 千葉 剛 梅垣 敬三
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.77, no.5, pp.113-122, 2019-10-01 (Released:2019-11-01)
参考文献数
26

【目的】サプリメントの不適切な利用や健康被害が懸念されている。そこで,若年女性にサプリメントに関する正しい知識を普及するため,実態調査結果を踏まえた啓発リーフレットを作成し,その有用性を検討する。【方法】2015年10月~11月に女子大学・短期大学生230名を対象にサプリメントに対するイメージ,サプリメント利用状況,性格特性,食物摂取頻度について調査した。サプリメントに対するイメージをクラスタ分析にて分類し,得られたクラスタと有意な関連が認められた項目を主として用い,サプリメントに対するイメージを推測するYes/Noチャートを作成後,Yes/Noチャートを活用した啓発リーフレットを開発した。さらに2017年11月に女子短期大学生190名を対象に,啓発リーフレットのユーザビリティ調査を実施した。【結果】サプリメントに対するイメージは3つのクラスタに分類でき,作成したYes/Noチャートにて,この分類のおおよその推測が可能であった。また,啓発リーフレットによる情報提供は,女子短期大学生のサプリメントについての基本事項の認識を変化させることができた。【結論】本研究にて開発したリーフレットは,対象の女性に興味を持って見てもらえ,認識の変化にも寄与できたことから,サプリメントに対する正しい知識の普及に活用できる可能性が示唆された。
著者
小林 悦子 佐藤 陽子 梅垣 敬三 千葉 剛
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.59, no.2, pp.93-98, 2018-04-25 (Released:2018-04-25)
参考文献数
11
被引用文献数
3 8

海外の健康食品をインターネットで購入できる状況において,健康被害を未然に防止するには,国内だけでなく海外の被害情報を把握することが重要である.「健康食品」の安全性・有効性情報サイトでは,国内外の行政機関から発信された健康食品の注意喚起情報を収集・掲載している.今回,2010から2016年に収集した2,124件の注意喚起情報の特徴を分析した.製品の特徴として,医薬品成分混入が85%を占め,性機能改善および痩身を標榜した製品が68%を占めた.多くは買上調査や自主回収情報であったが,健康被害事例も181件含まれ,痩身および疾病治療を目的とした利用で被害が多く見られた.日本国内では,10~30代女性,痩身目的の利用,インターネットでの購入という特徴が認められた.これらの特徴を,健康被害の未然防止のための適切な情報提供に役立てる.
著者
武藤 信夫 佐藤 陽一
出版者
日本経営倫理学会
雑誌
日本経営倫理学会誌 (ISSN:13436627)
巻号頁・発行日
no.9, pp.115-123, 2002-03-31

We have to learn the essence of business ethics from Ryoi Suminokura and his son,Soan,who,based on Kyoto,had a splendid performance in a trade business about 400 years ago when the era changed to the Azuchi-Momoyama and the Edo period after the Sengoku.They regulated "Shuuchuu-kiyaku" (舟中規約) , or the code on the shipboard,which showed their creed that the profit is only the result from their confidence and obligation.We can understand its value from the fact that it was submitted through his Friend Seika Fujiwara (藤原惺窩) to "Shuin-sen" (朱印船) on 1603,the first trading ship to abroad authorized by the goverment of Edo.Still more it is also remarkable that Ryoi tried to increase social welfare and public interest,excavating riversby his own property or supporting to learning,art,science and culture.
著者
佐藤 陽治
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
ファルマシア (ISSN:00148601)
巻号頁・発行日
vol.50, no.12, pp.1213-1215, 2014 (Released:2017-02-10)
参考文献数
7

「再生医療」という言葉はここ数年,世間にずいぶん浸透した.iPS細胞(人工多能性幹細胞)がノーベル賞関連で脚光を浴びる一方で,STAP細胞(刺激惹起性多能性獲得細胞)の一連のニュースがあるなど,良かれ悪しかれ,マスコミの科学欄で頻繁に取り上げられている.社会的な期待も高い.私はこのような状況を見るにつけ,「再生医療」が言葉だけのブームに終わらぬようにと祈るような気持ちを抱く.なぜなら我が国には,革新的な医療・医薬品等の実用化に関し,非常に苦い経験があるからである.
著者
佐藤 陽彦
出版者
The Anthropological Society of Nippon
雑誌
人類學雜誌 (ISSN:00035505)
巻号頁・発行日
vol.94, no.1, pp.1-18, 1986 (Released:2008-02-26)
参考文献数
117

ヒトの骨格筋の筋繊維組成の大枠は遺伝により決定されているが,動物実験の結果やヒトにおける筋繊維型の転換を示唆する知見から,ヒトにおいても筋繊維型の転換が生じていると考えられる。持久性訓練或いは日常活動によってII B 型→II A 型→I型の方向に繊維型が変化する。II C 型II A 型から I 型に変化する過程での過渡的な型である。この変化は可逆的で,訓練の中止や不活動によって逆方向の変化が生じる。この逆方向の変化を別にすれば,I型繊維からII型繊維への転換はより困難であると考えられる。運動選手における筋繊維組成や筋繊維組成の年齢的変化は,このように考えると説明できる。喫煙や栄養状態や甲状腺ホルモンも筋繊維組成に影響を与える。
著者
小島 彩子 佐藤 陽子 千葉 剛 梅垣 敬三
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.59, no.2, pp.80-88, 2018-04-25 (Released:2018-04-25)
参考文献数
41

病者が健康食品を摂取している状況から,健康食品と医薬品の併用による有害事象の発生が懸念されている.そこで過去の有害事象を症状の重篤度と医薬品の薬効の視点で分析し,注目すべき事項を検討した.事例は,『健康食品』の安全性・有効性情報(HFNet)の収載論文64報,その中の患者71名を対象とした.その結果,症状としては肝障害,医薬品としては抗てんかん剤,抗悪性腫瘍剤,不整脈用剤,血液凝固阻止剤等のハイリスク薬が,健康食品と医薬品の相互作用において注目すべき事項であることが明らかとなった.また,論文中の健康食品の素材・成分に関する情報が曖昧で不十分な点が,相互作用の影響を検討する際の障害となることが示唆された.
著者
志渡 晃一 森田 勲 竹内 夕紀子 佐藤 陽香 山田 耕平
出版者
北海道医療大学
雑誌
北海道医療大学看護福祉学部紀要 (ISSN:13404709)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.79-85, 2004
被引用文献数
2

若年者における体型意識の実態をあきらかにすることを目的として、看護福祉学部臨床福祉学科と医療福祉学科医療福祉専攻の男女学生377名を対象にアンケート調査を実施した。BMIをもとに体型を「痩せ群」BMI<20、「標準群」20≦BMI<24、「肥満群」BMI≧24の3群に分類し、特に「痩せ群」の体型意識に焦点を当てて、性別特性を検討し、以下の結果を得た。1)現在の体重をもとに算出したBMI「現実BMI」の値(平均値±標準偏差)は、男(21.6±2.6)に比べて女(20.0±2.3)で低かった。体型分類別にみると、男では「標準群」(60%)が最も多く、ついで「痩せ群」(25%)、「肥満群」(15%)だったのに対して女では「痩せ群」(60%)が最も多く、次いで「標準群」(36%)、「肥満群」(4%)の順だった。2)「現実BMI」と美容面からみて理想であるとした体重をもとに算出した「美容BMI」および健康面からみて理想であるとした体重をもとに算出した「健康BMI」の3者を比較村照した結果、男ではそれぞれ(21.6±2.6): (21.1±2.0): (21.6±3.3)と3者間に差がないのに村して、女では(20.0±2.3): (18.2±1.2): (18.7±1.8)と「現実BMI」に比べて「美容BMI」「健康BMI」で有意(p<.05)に低く、痩せ志向が窺われた。3)「現実BMI」「美容BMI」「健康BMI」の3者について、「痩せ群」を性別にみると、男では(18.5±1.1): (20.1±1.4): (20.5±1.2)と理想に向けて体重を増加させようとする傾向があるのに対して女では(18.6±1.0): (17.7±0.8): (18.1±2.0)とむしろ減少させようとする傾向を示した。4)現在の体型について「普通より太っている」と認識している率は、男(37%)に比べて女(54%)で有意(p<.05)に高かった。体型分類別にみると、男の「痩せ群」(0%)、「標準群」(42%)に比べて女の「痩せ群」(32%)、「標準群」(85%)で有意(p<.05)に高かった。反対に「普通より痩せている」と認識している率は、男の「痩せ群」(70%)に比べて女の「痩せ群」(9%)で有意(p<.05)に低かった。5)体型の変化について「現在より痩せたい」と志向している率は、男(54%)に比べて女(91%)で有意(p<.05)に高かった。体型分類別では、男の「痩せ群」(13%)、「標準群」(60%)に比べて女の「痩せ群」(85%)、「標準群」(100%)で有意(p<.05)に高かった。反対に「現在より太りたい」と志向している率は、男の「痩せ群」(47%)に比べて女の「痩せ群」(5%)で有意(p<.05)に低かった。6)理想の美容体型として、筋肉質体型を選んだ率は男(84%)、女性(52%)だった。「痩せ群」についてみると男に比べて女で細め日のシルエットを志向している割合が高かった。また、理想の健康体型として、筋肉質体型を選んだ率は男(78%)に比べて、女性(67%)だったが、「痩せ群」において性差はみとめられなかった。7)体型変化を志向する理由に関して、「痩せ群」についてみると、最も高い項目は男では「強くたくましくなりたい」(50%)、女では「体型が気になる」(59%)であった。痩せたい部分に関して最も高い部位は、男では「胴回り」(75%)、女では「もも」(70%)であった。8)ダイエットに関する情報源については、男では民放テレビ(58%)から得るという回答が最も多く、女性は週刊誌(57%)から得るという回答が最も多かった。また最も回答が少なかったものは新聞や教養書、インターネットからであった。全体に男に比べて女でマスメディアからの影響を多く受けていることが示唆された。
著者
千葉 剛 佐藤 陽子 小林 悦子 梅垣 敬三
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.58, no.2, pp.96-106, 2017-04-25 (Released:2017-05-09)
参考文献数
9
被引用文献数
11

平成27年4月に事業者の責任により機能性表示ができる機能性表示食品制度が施行された.施行後1年が経過した時点における機能性表示食品の認知度および利用実態について消費者2,060名,医師515名,薬剤師515名を対象にアンケート調査を行った.機能性表示食品を認知している人は消費者81%,医師93%,薬剤師98%であった.しかしながら,その特徴を正しく理解していた人は消費者16%,医師23%,薬剤師44%であった.機能性表示食品を利用したことのある消費者は12%であり,治療目的に利用,通院中,医薬品を併用している人がいたが,医師・薬剤師へ相談している人は僅かであった.一方,医師・薬剤師において,患者から機能性表示食品の利用について相談を受けたのは約8%であり,利用が原因と思われる健康被害の相談を受けたのは約2%であった.
著者
小林 悦子 佐藤 陽子 梅垣 敬三 千葉 剛
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.58, no.2, pp.107-112, 2017-04-25 (Released:2017-05-09)
参考文献数
12
被引用文献数
5

高齢者においては健康食品の利用率が高く,利用による被害を避けるためにも適切な情報提供が重要である.近年,情報提供手段としてインターネットが活用されているが,高齢者に対する健康食品の情報提供手段としてインターネットが適切であるか検討した.インターネット調査では,健康食品の情報源,入手経路のいずれにおいてもインターネットの利用率が高かった.一方,紙媒体調査では情報源,入手経路のいずれにおいてもインターネットの利用率は低く,テレビ,新聞,雑誌などメディアに加え専門職や友人などの情報の利用が高く,知人などを介して入手している人も多かった.これらの結果より,普段インターネットを利用していない高齢者に対しては,専門職などとのコミュニケーションを介した情報提供が必要であると考えられた.
著者
五十嵐 治義 佐藤 陽子 浦井 仁子 滝田 芳子 遠藤 初恵 浜田 節男 川崎 徹
出版者
Japanese Association for Oral Biology
雑誌
歯科基礎医学会雑誌 (ISSN:03850137)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.238-245, 1980

benzoic acidとphenylacetic acidにγ-dialkylamino-β-hydroxypropyl (〓) を導入してesterificationした化合物10種を新たに合成し, それらの抗炎症作用始め腸管作用, 鎮痛作用などの薬理作用に, かなりの活性を有することについてすでに報告した。今回は, これら新化合物の化学構造と局所麻酔作用との相関性を検索することを目的として, 家兎による表面, 浸潤麻酔作用などの検定を行なった。その結果, 全化合物とも, 表面麻酔作用よりも浸潤麻酔作用の持続時間が長かった。また, alkylbenzoate誘導体 (II群) が, alkylphenylacetate誘導体 (I群) よりも表面, 浸潤麻酔作用とも持続時間の延長が認められた。一方, 麻酔導入においては, II群がI群よりもsharpであり, 消失し始めから完全に消失するまでの麻酔作用凝陽性の過程は両群とも優位の差は認められなかった。両群間の種々な作用における差異について, 立体分子モデルを用いて, 立体構造的および電子論的考察を加えた。すなわち, II群がI群よりも, 化学的, 立体構造的に安定性が大であること, また, receptorとの親和性が強いことなどが推論された。一方, 毒性面からこれらの化合物は, 普通薬に属していると思われる。
著者
杉本 洋介 柴田 知己 佐藤 陽彦
出版者
Japan Ergonomics Society
雑誌
人間工学 (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.35-41, 1991

本研究は, 健常者における手指触覚によるアルファベット文字およびドット数の知覚に, 左右差があるかどうか調べることを目的とした. 被験者は, 利き手調査票によって分けられた80人の完全な右手利きの男性と, それ以外の10人の男性であった. 刺激は, 能動的な手指動作によって左右いずれかの人さし指に与えられ, 被験者は感じたアルファベット文字あるいはドットの数を口頭で答えるように指示された. 実験の結果, 完全な右手利きのグループでは有意に左手の成績がよく, また左手の優位はアルファベット文字で顕著であった. それ以外のグループでは反対の傾向がみられた. これらの結果より, 完全な右手利きの被験者ではアルファベット文字は右大脳半球で形態として処理されることが示唆された.
著者
島貫 茉莉江 戸塚 大輔 中原 奈々 佐藤 陽一郎 今西 順久
出版者
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.121, no.7, pp.912-920, 2018-07-20 (Released:2018-08-01)
参考文献数
23

頸部外傷の中でも, 特に気管損傷は気道緊急疾患で迅速な対応を要する. また早期に診断・治療がなされなかった場合, 急性期には皮下気腫の増悪や呼吸障害の出現, 長期的には瘢痕性気道狭窄が生じることがある. 当院で最近経験した3例の鋭的気管損傷例について報告し, その診断・治療について検討した. 3例いずれも刃物による頸部刺傷に起因し, 受傷機転は自傷1例, 他害2例で, いずれも緊急手術にて気管損傷を確認・閉鎖し, 気道の後遺障害を残さず治癒した. 術前に創部触診で気管損傷を直接触知し得たのは1例のみで, 診断にはそのほかの間接的臨床所見が重要と考えられた. 皮下気腫は全例に認められ, 非特異的ではあるが過去の報告に一致して高頻度であった. エアリークは2例に認められ, 気管損傷を強く示唆する重要な所見と考えられた. CT では気管損傷を疑う所見を2例に認めたが, 損傷の部位と程度の評価は困難であった. 損傷部位は他害の2例では胸部気管に位置していたが, いずれも経頸部アプローチにて閉鎖可能であった. 過去の報告を踏まえると, 他害例や胸骨上切痕部に皮膚切創がある場合には胸部気管損傷の可能性を考える必要がある. 鋭的気管損傷においては, 臨床所見および画像診断を合わせても確定診断のみならず損傷の部位や程度の評価に限界があることから, 疑われる場合には, 全身状態が許されれば創部の十分な展開による診断と評価および閉鎖術が勧められる.