著者
岡田 温司 篠原 資明 鈴木 雅之 小倉 孝誠 並木 誠士 喜多村 明里 水野 千依 柳澤 田実 松原 知生
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

肖像には二重のベクトルがある。ひとつはモデルへと引き戻されるもの(モデルに似ていると思わせるベクトル)、もうひとつはモデルから観者へと表出してくるもの(モデルの性格や内面性が表われていると思わせるベクトル)である。この反対方向の運動は、「肖像」を意味するイタリア語「リトラット」とフランス語「ポルトレ」に象徴的に表われている。前者は、「後方へと引き戻す」という意味のラテン語「レ-トラホー」に、後者は「前方へと引き出す」という意味の同じくラテン語「プロ-トラホー」に由来するのである。かくのごとく「肖像」は、模倣と表出、後退と前進、現前と不在、顕在と潜在、保管と開示、隠匿と暴露、ピュシス(自然)とアレーテイア(真理)、これら両極の引き合いや循環性のうちに成立するものなのである。
著者
板倉 昭二
出版者
物性研究刊行会
雑誌
物性研究 (ISSN:05252997)
巻号頁・発行日
vol.88, no.4, pp.552-563, 2007-07

この論文は国立情報学研究所の電子図書館事業により電子化されました。研究会報告他者に心的状態を認めたり、その状態を推論したりすることをメンタライジングという。メンタライジングは、人が円滑な社会的生活を営む上で重要な能力となる。メンタライジングの萌芽は、乳児期初期の社会的知覚だと考えられる。すなわち、ヒトの持つ特有な刺激に対する選好に始まり、母子関係に代表される二項関係、さらに第三者もしくは対象物を含む三項関係の成立、そして他者の誤信念を理解する「心の理論」の成立へと続く。本稿では、メンタライジングの発達を、ヒトに対する志向性、ヒト以外のエージェントに対する目標志向性の付与や意図の付与、誤信念の帰属について、われわれがおこなってきた実証的な研究を概略する。
著者
三倉 忠徳 高森 亮佑 藤原 基季 鶴田 哲也 加納 義彦 河村 功一
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.80, no.6, pp.908-916, 2014 (Released:2014-12-12)
参考文献数
44
被引用文献数
1 4

溜池に生息する大阪産ニッポンバラタナゴについてマイクロサテライトマーカーを用いた遺伝的特徴の推定を行った。平均アリル数は何れの集団も約 2 と低い値を示したが,ヘテロ接合度と血縁度は集団間で大きく異なり,その要因として創始者効果と生息地の規模の違いが考えられた。また,アリル組成において集団間の違いは殆ど見られなかったが,南北間で遺伝的分化が認められた。これらの結果は大阪集団が単一起源である一方,ボトルネックにより遺伝的分化が生じており,近親交配の回避において環境収容力が重要であることを意味する。
著者
戸倉 英美
出版者
東京大学東洋文化研究所
雑誌
東洋文化研究所紀要 (ISSN:05638089)
巻号頁・発行日
no.102, pp.p373-519, 1987-02

本文分析漢魏六朝各代詩賦裏所看到的「自然描寫」的欒化,而研討在這些時代裏所産生的一系列把「自然空間」形象化的方式,和其他欒化過程。各章所討論的主要問題,如下。(1)漢賦:漢賦裏排列許多事物,鳥獸草木,城邑宮苑,無一不擧,而相反地,對於「内無一物」的「空間」,漢賦裏毫無表現。漢賦作者似乎認爲:缺落具体事物的「空間」,完全没有意義。(2)古詩:漢代古詩裏所看到的主題是「時間枉過」的悲哀,却找不到「遙隔千里」的寂寞。他們描寫自然時,只有「自然是隨時欒化」的觀點,但是缺乏「自然是構成空間」的觀點。(3)曹植:曹詩是中國文學史上第一次從上述「自然是構成空間」的觀點來描寫自然(王粲可視爲他的先驅)。但是他經常表現自然界的激烈運動,大有要擾乱這些「空間」的意味,總之,似乎不能安身於「空間」。(4)阮籍:阮詩表現出一種比曹詩更廣大而更空虚的寂寞空間,但是他對于「空間」的感覺,還是不能脱離消極的意義。(5)陶淵明:他一方面繼承阮詩的寂寞空間,但?一方面,開拓出一種自己可以安身的自然空間。在此,「空間」獲得了一些積極意義。(6)謝靈運:大謝詩還没有直接表現「空間」。但他覺察到有一些缺乏具体性的氣雰情緒,比如「清暉・餘清」,而企圖把它形象化。結果開闢出一種跟曹阮不同的新的空間描寫。(7)謝?:小謝詩站在一種遠近感覺上,把大謝所未直寫的「空間」,更積極地,更直接地表現出来。由此,他的詩很接近於懐有廣闊「空間」的唐詩風韻。據此可見,從一種充満萬物,毫無「空間」的漢賦開始,發展到後漢魏晋六朝,詩人之間逐漸釀成「空間有意義」的感覺,從而對於「空間之美」的審美感和關于「遠近之感」的表現一歩一歩地擴大開来,最後到了唐代,終于出現了一大套遠近凝聚,雄偉遼闊的山川美景。唐詩所達到的境界,可以説是反映了一種「世界是無限」的觀念。
著者
内田 浩昭 吉見 晃 徳永 英明 小倉 興太郎
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌
巻号頁・発行日
vol.1997, no.4, pp.276-282, 1997

磁気記録用バリウムフェライトの効率的な合成を目的として,合成反応に及ぼすフラックスの添加と焼成試料の粉砕の影響について検討した.フラックスを添加しない場合,例えば1130℃,70分間焼成しても,試料の保磁力はサイバネティック規格に適合しない不十分なものしか得られなかった.しかし,フラックスとして塩化バリウムを1.2から2.9wt%添加することにより,1080℃,40分の焼成で,反応率,保磁力とも実用的レベルの値(97.1%,2510-26200e)に達した.さらに,遊星ボールミルで粉砕することによって,焼成試料の段階ではその保磁力が規格外にあったバリウムフェライトでも,その保磁力が改善され,実用的レベルに調整することができた.また,遊星ボールミル粉砕の効果として,保磁力の分布すなわちSFDが小さくなることを明らかにした.
著者
守倉 正博 松江 英明
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B, 通信 (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.84, no.11, pp.1918-1927, 2001-11-01
被引用文献数
49

IEEE 802.11ワーキンググループは2.4GHz帯及び5GHz帯無線LAN標準規格を定めている団体である.近年, IEEE 802.11b準拠無線LANが, 有線イーサネットと同等な11Mbit/s伝送速度を達成できることから, 急速にオフィス環境や家庭内ネットワークとして普及しつつある.本論文では, 2.4GHz帯無線LAN規格についてIEEE 802.11b規格を中心に解説を行い, 現在更なる高速化標準が審議中のIEEE 802.11g規格について述べる.また, 今後広帯地域無線アクセス手段として広く用いられる5GHz帯無線LAN規格についてはIEEE 802.11aを中心に解説を行い, 欧州への適用を考慮したIEEE 802.11hの審議状況について概説する.
著者
等々力 英美 大屋 祐輔 高倉 実 大角 玉樹 青木 一雄 佐々木 敏 勝亦 百合子
出版者
琉球大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

沖縄野菜を主体とした沖縄型食事介入による 1-2 年間の無作為割付比較試験を行った。 対象者は横浜東京在と沖縄在住の 40-60 歳代夫婦、合計 61 1 名であった。伝統的沖縄食事パターンによる短期の介入の後に、継続する情報介入を行うことで、血圧の減少が持続していた。薄味の食事摂取による集中的な教育効果と、情報介入による長期の働きかけの組み合わせは、減塩を含めた食事指導の有効なツールの1つになりうると考えられた。
著者
三本松 政之 朝倉 美江 原 史子 大井 智香子 中尾 友紀 新田 さやか 福山 清蔵 永田 理香 門 美由紀
出版者
立教大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009-04-01

日本の外国人移住生活者への政策は総論的な検討に止まり具体的対応は基礎自治体に委ねられており、移住生活者の支援にはデニズンシップとしての実質化という視点が重要となる。韓国では人権をミッションとする市民団体が外国人労働者の労働環境改善、移住女性の生活改善策提案などのための政策担当局との折衝ルート等を活用し、政府への政策形成やデニズンシップの実質化に向けて一定の影響力をもっていることが見い出せた。
著者
小倉 匡俊
出版者
京都大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2012

本研究の目的は、動物園で飼育されている霊長類と鳥類を対象に認知科学的手法を導入し、認知能力の進化史を解明すること、および飼育環境を改善する環境エンリッチメントを開発することである。中でも、ヒトに特徴的な認知能力のうち道具使用行動に着目する。ヒトの進化の隣人である霊長類と、系統的に遠いが相同な行動を進化させた鳥類を対象として、道具使用行動の実験を実施し、背景にある認知能力の進化史を明らかにする。また、飼育環境の改善に不可欠である飼育環境に求められる認知要因の解明と環境エンリッチメントの発展にも貢献できる。こうした研究目的および昨年度までの実施状況に基づき、実施2年度目である本年度は東山動植物園を研究のフィールドとして、鳥類と霊長類を対象とした認知実験と行動観察を継続した。まず、鳥類を対象とした研究においては、本年度は簡単な刺激弁別課題をおこない、認知実験に必要な手順を学習させた。対象とした5個体のうち4個体で学習を完了できた。続いて道具使用行動についての実験に移る予定だったが、対象個体が繁殖期に入り実験の継続が難しくなったため、いったん中断した。霊長類を対象とする研究では、チンパンジー・ゴリラ・オランウータンの大型類人猿3種を対象として選定し、道具使用行動を採食場面に導入することによる環境エンリッチメントの評価を目的として、行動観察を実施した。平常時の行動時間配分および行動レパートリーについて分析をおこなった。行動観察のために開発したモバイルアプリケーションについて論文と学会発表で公表した。また、平行して共同研究者と協力しておこなったコアラの採食選好性などについての研究をそれぞれ学会発表として公表した。自身の研究分野について書籍で概説したとともに、学会発表で公表し、アウトリーチ活動として高校で出前授業をおこなった。
著者
片倉 賢治 高橋 大志

In recent years, a method of machine learning technology has been advancing. Getting the distributed representation of words by the Neural Probabilistic Language Model (NPLM) has attracted interest. In this study, we attempt to create a new dictionary on the basis of ones widely used in finance. In this analysis, we use News Feed Direct of Thomson Reuters Corporation provides (NFD) that focus on the market trends of the Japanese stock market in order to make the dictionary. As a result of analysis, we could succeed in creating a new financial dictionary. However, we also found problems to be solved to get better performance.