著者
福嶋 誠宣 加藤 大智 濵村 純平
出版者
日本会計研究学会
雑誌
会計プログレス (ISSN:21896321)
巻号頁・発行日
vol.2022, no.23, pp.1-14, 2022 (Released:2022-09-01)
参考文献数
27

管理会計や原価計算の教科書では,高い営業レバレッジ(すなわち,固定費が多いコスト構造)を採用すると,利益変動が大きくなるという意味で企業リスクが高まると教示される。こうした教示と整合的に,需要の不確実性が高い状況では,相対的に固定費が少なく変動費が多いコスト構造が選好されるという考え方が従来から存在する。しかし,近年の実証研究は,需要の不確実性が高いほど相対的に固定費が多く変動費が少ないコスト構造が選択されると主張している。このように,需要の不確実性がコスト構造に与える影響については,相反する2 つの考え方が存在する。そこで本論文では,経営者によって予測される需要変動に着目し,コスト構造との関連性を経験的に検証した。その結果,経営者によって予測される需要の変動性が高いほど変動的なコスト構造が採用され,需要変動の予測可能性が低いほど硬直的なコスト構造が採用されることが明らかになった。
著者
加藤 千枝
出版者
一般社団法人 社会情報学会
雑誌
社会情報学 (ISSN:21872775)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.31-43, 2013-06-30 (Released:2017-02-04)
被引用文献数
1

本研究では「SNS疲れ」に繋がるネガティブ経験について明らかにし,「SNS疲れ」という抽象的な言葉で捉えられてきた現象を具体化することが目的である。高校生15名に対して半構造化面接を行った結果,36のエピソードを得た。36のエピソードをコード化し,それが「受信者」または「発信者」としてのエピソードであるのか,「現実世界で交流のある者」または「現実世界で交流のない者」とのエピソードであるのか,上記2つの軸に基づき分類することが妥当であると思われた。その結果,「受信者」としてのネガティブ経験が複数語られ,特に「誹謗中傷発信」「見知らぬ者からの接近」が挙げられた。つまり,SNSでほとんど発信を行っていない者であっても,「SNS疲れ」に至る可能性が明らかになったと言える。また,「現実世界で交流のある者」に関するネガティブ経験も複数語られ,その理由として,SNSが既存の関係の中で主に利用されており,SNSを退会することによる既存の関係への悪影響を高校生が懸念している為だと思われる。
著者
石本 浩気 加藤 優貴 北崎 充晃
出版者
日本基礎心理学会
雑誌
基礎心理学研究 (ISSN:02877651)
巻号頁・発行日
pp.40.21, (Released:2022-04-12)
参考文献数
58

The COVID-19 pandemic has placed significant restrictions on experiments such as those using motion capture suits in the laboratory. On the other hand, the number of users of virtual reality (VR) social network services has been increasing due to the pandemic. Thus, we constructed a laboratory in VRChat, one of the VR social network services, where full-body ownership experiments can be conducted, and validated it. The subjects entered the experimental world in VRChat, changed into the experimental avatar, and participated in the experiment. The subject’s movements and the avatar were synchronized or asynchronized with 1-s delay. After 5-min ball reaching using the avatar, subjective evaluations were made regarding senses of body ownership, agency, and pseudo-haptics. In the synchronous condition, we obtained a stronger sense of body ownership, agency, and pseudo-haptic sensation than in the asynchronous condition, reproducing the results of previous studies. These results suggest that the laboratory in the public VR social network enables us to manipulate experimental conditions, and perform experiments on full-body illusion.
著者
見須 裕香 加藤 雅子 種村 留美 岡村 仁 山本 大誠
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.41, no.3, pp.380-384, 2022-06-15 (Released:2022-06-15)
参考文献数
14

作業療法では,対象者が行いたいことや必要としていることと実際に行っていることとの間に生じる作業ギャップを把握することが重要となる.本研究の目的は,作業ギャップを測定するOccupational Gaps Questionnaire日本語版(OGQ-J)を作成し,言語的妥当性を検討することである.方法は,標準化された手順に従いOGQ-Jを作成した.その結果,原版との内容的な整合性を保ちつつ,日本の文化において使用可能な30の活動項目で構成されるOGQ-Jの言語的妥当性が確認された.今後は,高齢者や心身機能の低下を伴う人々を対象に含め,信頼性および妥当性の検証を実施する必要がある.
著者
加藤 貴彦
出版者
一般社団法人日本衛生学会
雑誌
日本衛生学雑誌 (ISSN:00215082)
巻号頁・発行日
vol.74, pp.19018, 2019 (Released:2019-12-25)
参考文献数
33
被引用文献数
1 1

The term behavioral science was coined in 1946 by a research group at the University of Chicago led by Miller. It is defined as “science that systematically reveals the rules of human behavior”. To elucidate human behavior, they proposed combining biological science and social science. In Japan, achievements in behavioral science research have accumulated and have been applied in health education and health policy. In this paper, we describe the current status and future approaches in social medicine through an overview of behavioral science research in Japan with regard to the following five points: 1) representative theories and techniques in health behavior, 2) differences in health awareness, 3) a new approach of behavioral science based on the dual process theory, behavioral economics, and zero-order prevention, 4) diversity in behavioral changes and 5) experimental research in behavioral science.
著者
今村 知世 加藤 有紀子 下方 智也 安藤 雄一 谷川原 祐介
出版者
一般社団法人日本医療薬学会
雑誌
医療薬学 (ISSN:1346342X)
巻号頁・発行日
vol.41, no.11, pp.759-767, 2015-11-10 (Released:2016-11-10)
参考文献数
21
被引用文献数
3

The renal clearance of carboplatin, which is a second-generation platinum compound, is correlated with the glomerular filtration rate (GFR). As the area under the concentration-time curve (AUC) of free carboplatin is related with efficacy and toxicity following carboplatin administration, carboplatin dosing is defined as a target AUC and generally calculated by the Calvert formula according to the patient's GFR. We conducted a survey on the usage of the Calvert formula to clarify the current situation in Japan. As a result, the value of creatinine clearance (CLcr), which is higher than GFR due to the tubular secretion of creatinine, has been used as a substitute for GFR for the Calvert formula without appropriate correction in 71 of 109 institutions, where CLcr estimated by a Cockcroft-Gault equation and/or obtained by 24-h urinary collection are used. On the other hand, body surface area-indexed values of renal function have been directly used without conversion to individual values in 42 of 71 institutions, where GFR estimated by a Japanese equation and/or CLcr estimated by a Jelliffe equation are used. It was found that the desired dosing of carboplatin has not been administered to patients in a number of institutions. Back to the original concept of the Calvert formula, it is reasonable to use a GFR estimated by the Japanese equation and converted to an individual value. In addition, we need to assess tolerability following carboplatin administration and discuss the appropriateness of the starting dose for each patient without being overly reliant on the dose obtained by the Calvert formula.
著者
加藤 弓枝
出版者
豊田工業高等専門学校
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2007

本研究では、江戸時代において、身分的・空間的境界領域の人々による学問の営為がいかなるものであったのかについて注目し、とくに和歌を中心に考察した。その結果、とりわけ非蔵人の学芸活動の実態に関して明らかにすることできた。具体的には、彼らが「書籍講」という独特の「講」を営み、書物を共同購入していたことを明らかにすることができた。これらの成果によって、近世文壇史・文化史へ新たな視点を提示することができた。
著者
加藤 純一
出版者
筑波大学
巻号頁・発行日
1999

筑波大学博士 (体育科学) 学位論文・平成11年3月25日授与 (乙第1527号)
著者
加藤 隆弘
出版者
九州大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2012-04-01

精神疾患への脳内免疫細胞ミクログリアの関与が最近の研究により示唆されているが、詳細は解明されていない。本研究ではミクログリアがヒトの社会的意思決定プロセスにおいて重要な役割を果たしているのではないか?という仮説の元で、健常成人男性を対象としてミクログリア活性化抑制作用を有する抗生物質ミノサイクリン内服による社会的意思決定プロセスの変化を計るための社会的意思決定実験(信頼ゲーム)を行った。ミノサイクリンを4日間内服してもらい、自記式質問紙による心理社会的項目を測定するとともに、信頼ゲームを実施した。ミノサイクリン内服により、性格や欲動依存の行動パターンが変容することを見出すことが出来た。
著者
上田 幸子 服部 淳子 益田 浩司 加藤 則人 佐々木 和実 峠岡 理沙
出版者
一般社団法人 日本皮膚アレルギー・接触皮膚炎学会
雑誌
日本皮膚アレルギー・接触皮膚炎学会雑誌 (ISSN:18820123)
巻号頁・発行日
vol.11, no.4, pp.316-321, 2017-10-31 (Released:2017-12-07)
参考文献数
10

35歳, 女性。初診の1年前より, まつ毛エクステンション専門店にて, 1ヵ月ごとに施術を受けていた。初診の1ヵ月前, 施術後に両眼瞼の腫脹が出現したが, 数日で軽快した。初診2週間前, 左側のみ施術を受けたところ, 翌日左上眼瞼の紅斑腫脹と流涙が出現し, 精査を希望して当科を受診した。施術の際に使用した洗浄液や接着剤などの製品と, ジャパニーズスタンダードアレルゲンおよびアクリル樹脂シリーズアレルゲンを用いてパッチテストを行ったところ, 人工まつ毛の接着剤, 硫酸ニッケル, ラノリンアルコールで陽性を示した。さらに接着剤の成分でのパッチテストを施行し, 主成分であるエチルシアノアクリレート (ECA) で陽性であった。今回使用した物品に硫酸ニッケル, ラノリンアルコールは含まれておらず, ECAによる接触皮膚炎と診断し, ECAの使用を避けるように指導した。その後, 皮疹の再燃はない。
著者
藤田 朝彦 横山 良太 加藤 康充 井上 修 原田 守啓
出版者
応用生態工学会
雑誌
応用生態工学 (ISSN:13443755)
巻号頁・発行日
pp.21-00021, (Released:2022-03-23)
参考文献数
53
被引用文献数
4

アユ Plecoglossus altivelis は日本の淡水魚として,も っとも重要な水産魚種の 1 つである.河川におけるアユの資源量は,漁業協同組合等の放流による寄与も大きいが,多くの河川では,自然な再生産による資源量維持が主体となっている場合が多い.また,アユは河川内において,河床の付着藻類を摂餌することから,藍藻類やカゲロウ類など特定の生物を増加させる等,河川内の藻類相,底生動物相に強く関わるため,河川生態系において重要な位置を占める種である.アユ産卵場環境や産卵生態についての過去の調査研究の歴史は長く,主に水産試験場や大学等で行われてきた報告が多数存在するが,アユの生態・生活史との関係性も含めた総括的な整理はなされておらず,産卵環境の保全のための指針となる基本的な物理環境条件についての知見の総合化はいまだ不十分であると考える.よって,本研究では,これまでに報告されているアユの産卵環境についての文献を広く収集し,産卵環境の物理環境条件に関するデータを抽出した上で,それらの情報を総括し,豊富な研究事例とアユの生態・生活史の理解に基づく "アユの産卵場" 適地の条件を明らかにすることを目的としたレビューを行った.文献は,アユの産卵に関する記載のある研究についての文献を網羅的に収集し,1895 年~2019 年までに出版された計 339 件の論文から,その産卵環境の物理的条件を整理した.これらの文献は 9 割近くが自然河川の産卵場で得られたデータを使用しているが,人工河川での実験事例や,人工造成箇所のデータも含まれる.物理的条件については,産卵場の流速,水深,河床材,貫入深(河床軟度),卵の埋没深の 5 つの物理的条件を抽出・整理した.今回整理された情報は,過去に一般的な知見として認識されているアユ産卵環境の条件と大きな差異は無かったが,アユの産卵に関わる生理生態情報や土砂水理学的考察を踏まえ,5 つの物理的条件は独立した変数ではなく,浮き石状態の小礫で構成された河床環境を有する早瀬が,アユの産卵場として選好されていることが描き出された.アユの産卵場は,出水による土砂移動によってもたらされた早瀬への土砂の堆積・侵食の過程によって形成され,有限の寿命がある一時的産卵場(temporary spawning habitat) とでもいうべきハビタットであると考えられる.
著者
加藤 美帆
出版者
一般社団法人 日本教育学会
雑誌
教育学研究 (ISSN:03873161)
巻号頁・発行日
vol.85, no.2, pp.175-185, 2018-06-30 (Released:2018-10-17)
参考文献数
20

子どもの社会的生きにくさの顕在化や、時代に対応した能力形成など、公教育が多くの課題に直面するなかフリースクールには公教育の補完的な役割も期待され、かつての対抗的な関係から変化がおこってきている。しかし学校教育とは依然不均衡な関係にあるフリースクールに公教育の課題の受け皿としての役割を押し付ける危険性には留意する必要がある。教育機会確保法が公教育の「文化的・象徴的な変革」につながり得るかが今後問われていくことになる。
著者
加藤 えみか
出版者
[出版者不明]
巻号頁・発行日
2009-01

制度:新 ; 報告番号:甲2722号 ; 学位の種類:博士(スポーツ科学) ; 授与年月日:2009/3/15 ; 早大学位記番号:新4911