著者
横田 正 加藤 久喜 宮下 知也 衛藤 英男
出版者
科学・技術研究会
雑誌
科学・技術研究 (ISSN:21864942)
巻号頁・発行日
vol.3, no.2, pp.121-126, 2014 (Released:2015-01-06)
被引用文献数
1

現在、コーヒーは様々な疾患のリスクの減少や予防などの研究が報告されており、非常に機能性のある嗜好性飲料といえる。亜臨界水を用いて、生コーヒー豆を抽出することで、より多くの成分を抽出できることが期待される。そこで、熱水抽出サンプル(通常のコーヒー)と亜臨界水抽出サンプルとの官能評価、各成分の比較を行った。官能評価では3 MPa、200 ℃、3分の抽出が最も熱水抽出サンプルに近かった。凍結乾燥物重量は、熱水抽出サンプルよりも2倍以上を示した。タンパク質、総アミノ酸、グルコース、全糖、クロロゲン酸類、桂皮酸類、カフェイン、トリゴネリン、およびメラノイジンにおいても高抽出量であった。さらに、抗酸化活性も高くなり、機能性が期待できるコーヒー様エキスが製造できた。
著者
臼田 慎 河奈 裕正 加藤 仁夫 城戸 寛史 佐藤 淳一 式守 道夫 関根 秀志 高橋 哲 藤井 俊治 矢島 安朝 瀬戸 晥一
出版者
公益社団法人 日本顎顔面インプラント学会
雑誌
日本顎顔面インプラント学会誌 (ISSN:1347894X)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.89-100, 2017-08-25 (Released:2018-12-25)
参考文献数
2

目的:インプラント手術に関する重篤な医療トラブルは,社会問題とも言われている.そこで日本顎顔面インプラント学会では関連施設でのアンケート調査を行い,2009年1月より2011年12月末までを対象とした前回調査結果との比較検討を含めて報告する. 方法:本学会認定118施設の2012年1月1日より2014年12月末日までの3年間におけるインプラント手術関連の重篤な医療トラブルのアンケートを回収し分析した. 結果:回収率は89.0%で3年間の合計発生件数は360件であった.主な発生項目は上顎洞炎73件(20.3%),次いで下歯槽神経損傷68件(18.9%),3番目が上顎洞内インプラント迷入67件(18.6%),4番目が心身医学的障害45件(12.5%),5番目がオトガイ神経損傷33件(9.2%)であった. 結論:トラブル発生件数は前回調査の471件から360件と減少した.発生項目の上位5項目は前回調査と順序が異なるものの同じ項目であった.
著者
中村 元保 加藤 晶人 井上 元 鈴木 恵輔 中島 靖浩 前田 敦雄 森川 健太郎 八木 正晴 土肥 謙二
出版者
日本救急医学会関東地方会
雑誌
日本救急医学会関東地方会雑誌 (ISSN:0287301X)
巻号頁・発行日
vol.41, no.4, pp.407-410, 2020-12-28 (Released:2020-12-28)
参考文献数
7

症例は89歳の女性。身長147cm, 体重43kgと小柄で慢性閉塞性肺疾患 (Chronic Obstructive Pulmonary Disease : COPD) の既往歴がある。1カ月前から呼吸困難を自覚していた。朝に呼吸困難が増強したためにツロブテロールテープ2mgを1枚胸部に貼付したが, 症状改善ないために夕方に2枚目を胸部に追加貼付した。追加貼付2時間後から動悸, 嘔気を自覚したために救急要請した。救急隊到着時は意識レベルJCS1であったが, 嘔吐が出現し意識レベルJCS100まで低下し当院へ救急搬送された。搬送時意識障害は改善傾向であり, 胸部に貼付されていたツロブテロールテープ2枚を剝離したところ動悸と嘔気が消失した。臨床症状よりツロブテロールテープによる中毒症状が疑われた。貼付薬は容易に自己調整できるが, 高齢者や乳幼児など管理能力に問題がある場合や, 低体重の症例では使用方法に注意が必要となる。また, 救急対応の際には全身観察での貼付薬の有無の確認も必要となってくる。
著者
加藤 隆弘
出版者
九州大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2010

統合失調症の病態治療機序はいまだ解明されていないが、近年酸化ストレスの関与が示唆されている。脳内酸化ストレス機序にはミクログリア由来のフリーラジカルが重要な役割を果たしている。研究者は近年精神疾患におけるミクログリア仮説を提唱しており、本研究では、培養ミクログリア細胞を用いた、invitro系を樹立し、その機序の一端を探った。統合失調症治療薬である抗精神病薬、特に、ユニークな非定型抗精神病薬であるアリピプラゾールに、ミクログリア活性化抑制を介した抗酸化作用を見出した。さらに、神経一ミクログリア細胞との共培養システムを用いた実験によって、アリピプラゾールには抗酸化作用を介した神経保護作用があることを見出した。これらの成果は、国際誌等で発表している。Among various antipsychotics, only aripiprazole inhibited the' 02 generation from PMA-stimulated microglia. Aripiprazole proved to inhibit the' 02 generation through the cascade of protein kinase C(PKC) activation, intracellular Ca2+ regulation and NADPH oxidase activation via cytosolic p4iphox translocation to the plasma/phagosomal membranes. Formation of neuritic beading, induced by PMA-stimulated microglia, was attenuated by pretreatment of aripiprazole.
著者
工藤 祐亮 登尾 浩助 加藤 孝 下大園 直人
出版者
公益社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業農村工学会論文集 (ISSN:18822789)
巻号頁・発行日
vol.80, no.6, pp.507-514, 2012-12-25 (Released:2013-12-25)
参考文献数
52

水田での間断灌漑における間断日数の違いが温室効果ガス放出量と水稲収量に及ぼす影響を調査した.水管理は中干し期間を除いて常時湛水(湛水区),落水日数を2日とした間断灌漑(2日落水区),落水日数を4日とした間断灌漑(4日落水区)の3条件とした.調査の結果,間断灌漑における落水日数の延長がCH4放出量の削減に対して効果的である一方,N2Oの放出に対しては促進効果があることを明らかにした.また,地球温暖化係数(GWP)を用いたCO2換算量では,CH4とN2Oの積算フラックスの総和は2日落水区が最も小さく,間断サイクルの短縮が温室効果ガス放出量の削減に対して有効であることが示された.玄米収量は湛水区が最も高く,湛水区に対する2日落水区と4日落水区の減収量率は,それぞれ13%と18%であった.2日落水区は,単位玄米収量当たりの温室効果ガス放出量(CO2換算)が最小となり,大幅な収量低下をもたらさずにCH4とN2Oの放出を抑制することが可能な水管理であった.
著者
宮元 万菜美 加藤 和彦
出版者
一般社団法人 経営情報学会
雑誌
経営情報学会 全国研究発表大会要旨集 2019年秋季全国研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.38-41, 2019-12-25 (Released:2019-12-23)

「両利きの経営」は、イノベーションを論じる際に重要な概念としてよく取り上げられる経営概念である。ある企業や組織が中長期的な存続と発展を志向するならば、両利きの経営の実現を目指すのが望ましいこと自体は概ねの支持を得るところである。しかし、論者によって本概念を捉える切り口には違いがある。このことがイノベーションとの概念上の位置づけや、実行のプロセスとの関係性についていくつかの混乱を惹起することとなり、実際の企業活動との対応関係がわかりにくくなっている。本稿では探索と深化の関係を、実務時系列的な視点から整理することを提案する。
著者
加藤 顕 石井 弘明 榎木 勉 大澤 晃 小林 達明 梅木 清 佐々木 剛 松英 恵吾
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会誌 (ISSN:13498509)
巻号頁・発行日
vol.96, no.3, pp.168-181, 2014-06-01 (Released:2014-09-17)
参考文献数
176
被引用文献数
10 5

近年のレーザーリモートセンシング技術(LiDAR)の発展により,近距離レーザーを用いた森林構造の詳細なデータを迅速かつ正確に取得できるようになった。これまでは航空機レーザーによる研究が圧倒的に多かったが,地上・車載型の近距離レーザーセンサーが身近に利用可能となり,森林構造計測に利用され始めている。航空機レーザーデータから林分レベルでの平均樹高,単木の梢端,樹冠範囲,樹冠単位での単木判別,成層構造,経年的樹高成長を把握できる。一方,地上レーザーを用いることで,幹を主体とした現存量や正確な立木密度が把握できるようになった。これまで手が届かなく測定不可能であった樹冠を森林の内部から測定でき,人的測定誤差の少ない客観的なデータを取得できる。レーザーデータは森林の光・水環境の推定,森林動態の予測,森林保全などといった生態学的研究に応用されてきた。今後は,生理機能の定量化,森林動態の広域・長期モニタリング,森林保全における環境評価手法など,様々な分野での利用拡大が期待される。樹木の形状や林分の現存量を正確に計測できるだけでなく,様々な生態現象を数値的に把握できるようになることを大いに期待したい。
著者
青木 雄大 吉田 和敬 信田 幸大 砂堀 諭 西田 由香 加藤 秀夫 菅沼 大行
出版者
Japan Society of Nutrition and Food Science
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.70, no.4, pp.147-155, 2017 (Released:2017-08-25)
参考文献数
35
被引用文献数
3 1

リコピンはトマトに豊富に含まれるカロテノイドであり, 強い抗酸化作用を有することが知られている。これまでに, 様々な栄養素の吸収に概日リズムが影響を与えることが示唆されてきているが, リコピンの吸収について, 摂取時間帯による影響を検証した報告はなされていない。そこで我々は, 摂取時間帯がリコピンの吸収に与える影響を, ラットを用いた動物試験および健常な成人男女を対象としたヒト試験で検証した。ラットおよびヒトに対し, リコピンを含む食品を, 時間帯を変えて摂取させ, 血中リコピン濃度を測定したところ, ラットでは活動期初期, ヒトでは朝に摂取した際に血中リコピン濃度が最も上昇した。また, リコピンを摂取するまでの絶食時間が長くなるほど, 血中リコピン濃度の上昇が大きくなることが示された。以上から, リコピンの吸収は絶食時間の長さの影響を受け, そのため朝に摂取した際に最も吸収率が高くなることが推測された。

3 0 0 0 OA なおりその記

著者
加藤靱負 [著]
出版者
静岡郷土研究会
巻号頁・発行日
vol.中巻, 1928
著者
渡辺 雄貴 瀬戸崎 典夫 森田 裕介 加藤 浩 西原 明法
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.38, no.Suppl., pp.109-112, 2014-12-25 (Released:2016-08-11)

モバイルデバイスの画面は小さく,提示する情報である教授メディアは適宜選択しなくてはならないことから,その開発はeラーニングコンテンツの開発方法とは異なる可能性がある.本稿では,講義スライドとインストラクタおよび指示棒の合成,講義スライドとポインタの合成という指示メディアの異なる2通りのコンテンツを開発し,学習者に与える影響を測定するために実験を行った.その結果,パフォーマンステストでは,両コンテンツで学習効果には差がないものの,主観評価では多くの項目でポインタを合成したコンテンツが高い値を得た.
著者
加藤 昂希 杉森 絵里子
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集
巻号頁・発行日
vol.2017, 2017

Karremans,Claus,&Storoebe(2006)が行った実験によると,パソコン課題をしている被験者の画面に「LiptonIce」という文字を意識下では知覚できない程の短い時間繰り返し提示したところ,喉が渇いている被験者においてのみリプトンアイスティーを飲む人の割合が増えたという。この実験を受け,私は視覚的なサブリミナル効果だけでなく,聴覚的なサブリミナル効果でも同じ様に結果が出せるか否かを検証する事とした。具体的には,喉が渇いている被験者に,サブリミナル音声を忍ばせた音源を聞いてもらい,その後の選択行動に影響があるかどうかを検証した。結果として,サブリミナル効果は出なかったものの,音源をリラックスして聞いてもらった後に直感を頼りに選択してもらう場合において,サブリミナル効果が出やすくなる事が明らかになった。
著者
加藤 泰史
出版者
日本哲学会
雑誌
哲学 (ISSN:03873358)
巻号頁・発行日
vol.2009, no.60, pp.9-31_L3, 2009 (Released:2010-11-09)
参考文献数
28

Aufgabe dieses Beitrags ist es, die Probleme in Bezug auf die „Armut“ in der sich gegenwärtig vollziehenden Globalisierung über den Bereich der Wirtschaft hinaus umfassend darzustellen und philosophisch zu analysieren. Dazu stellt der vorliegende Beitrag vor allem die folgenden Fragen:1.Wenn die Unterscheidung zwischen einfacher und reflexiver Modernisierung, wie sie z. B. von Beck vertreten wird, übernommen werden kann und wichtige Vorkommnisse in der modernen Gesellschaft auf dem Weg zur reflexiven Modernisierung durch das Konzept der „Individualisierung“ besser charakterisierbar sind, worin bestehen dann die besonderen theoretischen Schwierigkeiten angesichts der gegenwärtigen Armut?2.Wenn die Globalisierung die staatlichen Funktionen zunehmend fragmentiert, welche Rolle spielen dann die Nationalstaaten noch bei der Beseitigung dieser Armut?An dieses Projekt knüpft sich die Hoffnung, die modernen Debatten über „Umverteilung“ (Fraser) und „Anerkennung“ (Honneth) von einer Kantischen Perspektive aus (und ergänzt durch die im Neukantianismus erneut interpretierten kantischen und fichteschen Ansichten) verständlich zu machen, um dadurch die Armut in der Globalisierung umfassend als Verletzungen der Menschenwürde verstehen zu können. Hierbei greift das folgende Kantische Konzept: „Der ursprüngliche Kontrakt“ (Gemeinspruch, AA, VIII, 297) lässt sich als „Institutionalisierung von Institutionen“ oder „Institutionalisierung der Institutionalisierung“ (Schönrich) interpretieren und wiederum lässt sich durch „den öffentlichen Gebrauch der Vernunft“ (Aufklärung, AA, VIII, 38) realisieren, durch den man Verletzungen der Menschenwürde finden und dem „Publikum“ oder der Öffentlichkeit aufzeigen kann.Um die Armut zu bekämpfen, ist diesem Konzept zufolge der Kampf um das Recht durch das Recht bzw. der Kampf um die Institutionen durch eine Institutionalisierung von großer Wichtigkeit. Als problematisch erweisen sich in diesem Punkt Frasers Argumente, da ihnen, wie von Honneth detailliert ausgeführt, die rechtliche Dimension fehlt. Zudem fehlen sowohl in Frasers als auch in Honneths Argumentation entscheidende Einsichten in die Rolle der multinationalen Unternehmen als „Global Players“, die sich in der Globalisierung einerseits außerhalb von staatlichen Kontrollen betätigen, andererseits aber, wie Rosanvallon hervorhebt, dabei tief in die Interessen der Staaten eingreifen. Folglich müssen wir es uns zur Aufgabe machen, eine Theorie zu entwickeln, die für Staaten und Unternehmen zugleich gültig sein kann. In diesem Zusammenhang erweist sich eine Erörterung des Kantischen Konzepts des Weltbürgerrechts als ausgesprochen fruchtbar.