著者
北村 征生
出版者
日本草地学会
雑誌
日本草地学会誌 (ISSN:04475933)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.20-28, 1986
被引用文献数
1

暖地型マメ科9草種,イネ科9草種について,土壌酸度に対する生育反応と根粒の形成反応を調査した。暖地型マメ科イネ科草種の生育にとって好適な土壌pH域は,一般に,寒地型草種より低いと考えられたが,草種間差があり次のような結果を得た。イネ科草種:バッフェルグラス≒ローズグラス≒モラセスグラス(pH4.5〜6.5)<パラグラス≒ギニアグラス≒パンゴラグラス(5.0〜7.0)<セタリアグラス≒スターグラス≒ダリスグラス(5.5〜7>).マメ科草種 : エンデイバー≒ベラノ(4.5〜6.5)<セントロ≒サイラトロ(4.8〜7)<ロトノニス≒シルバーリーフ≒グリーンリーフ≒クパー(5.0〜7.0)<ギンネム(6.2〜7>)。ただし,ロトノニスとサイラトロは好適pH域が広く,強酸性土壌に対する適応性はベラノやエンディバーに劣らないと考えられた。マメ科牧草の根粒形成に対する好適pH域は宿主植物の好適域よりも高いことが明らかになった。酸性土壌に対する適応は,イネ種草種では根による土壌養分の吸収効率の向上,マメ科草種では根系伸長量の増大に負うところが大きいと考えられた。以上より,暖地型牧草の栽培に必要な石灰施与量は寒地型牧草の場合より少量でよいと考えられた。
著者
田仲 明子 北村 満
出版者
社団法人 日本印刷学会
雑誌
日本印刷学会 研究発表会 要旨集
巻号頁・発行日
vol.111, pp.10, 2003

微細加工技術と光学シミュレーション技術、情報の符号化技術を組み合わせることで計算機合成ホログラム(CGH)の開発を行い、その実用化に成功した。我々は、このCGHを「バーチャグラム<SUP>TM</SUP>」と呼んでいる。バーチャグラム<SUP>TM</SUP>は、CG用に作成した3次元形状データを元にして、ホログラムの原理を忠実に計算機シミュレートすることで、仮想的な物体を3次元表示可能としたホログラムである。その応用として、フルカラー化、3次元画像の切り替え再生、隠しマイクロ文字、さらに測定データの可視化が挙げられる。バーチャグラム<SUP>TM</SUP>は、意匠用途への利用の他、精密で高精細な3次元画像再生を必要とするハイセキュリティ分野など、その視覚効果を利用して様々な用途への発展が期待される。
著者
山岸 眞弓美 北村 豊 矢ケ崎 崇 中嶌 哲 千野 武廣 安東 基善 枝 重夫
出版者
社団法人 日本口腔外科学会
雑誌
日本口腔外科学会雑誌 (ISSN:00215163)
巻号頁・発行日
vol.35, no.7, pp.1886-1889, 1989
被引用文献数
1

A pigmented nevus is defined as a harnartomatous proliferation of the melaninproducing cells (nevus cells). It is a relatively rare disease, especially in the oral mucosa. In this report, the authors present a case of a pigmented nevus of the gingiva, and review 18 cases of pigmented nevus in the region of mucous membrane or lip as previously reported in Japanese medical literature.<BR>The patient, a 63-year-old woman, was referred by her dentist complaining of denture instability due to swelling of the gingiva. About six months ago, she first noted the swelling on the left mandibular gingiva, in the area of the cuspid. The swelling gradually enlarged. At the time of oral examination, a well-defined pigmented swelling about the size of a red bean was noticed.<BR>Having been clinically diagnosed as fibroma, the lesion was surgically excised with little difficulty.<BR>A histopathological study revealed it to be an intramucosal pigmented nevus.<BR>Postoperative healing was uneventful and there has been no evidence of recurrence after a lapse of 1 year and 8 months.
著者
北村 達也
出版者
一般社団法人 日本音響学会
雑誌
日本音響学会誌 (ISSN:03694232)
巻号頁・発行日
vol.76, no.12, pp.700-705, 2020-12-01 (Released:2021-03-10)
参考文献数
42
著者
橋元 良明 木村 忠正 森 康俊 北村 智 是永 論 片桐 恵子
出版者
東京女子大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2018-04-01

2018年度は、まず、先行研究の検討、既存調査の再分析、理論的検討を行なった後、(1)60歳以上の高齢者を対象とするグループ・インタビュー調査と(2)40歳から79歳までを対象に、インターネット利用を中心とする情報行動に関する質問票調査を実施した。(1)は60代70代男女各2グループ、1グループ各6名、計4グループ24名を対象に、テレビ接触状況、インターネット利用の実態、ネットを通した動画視聴、ネット利用の功罪等についてインタビューした。インタビュー対象とした24名はほとんどがネットを積極的に利用しており、退職後も趣味や地域活動にいそしむ人が多かった。ただし、対象者は、いずれも東京都文京区在住者で必ずしも一般的な60代以上を代表する人たちではないことは考慮しなければならない。(2)は、中央調査社の保有するマスターサンプルから、全国の40歳~79歳の男女1600人をランダムに抽出し、各種情報行動について質問したものである(有効回収票827)。70代について結果を見れば、70代のネット利用者は71.2%とかなり高率であるが、スマートフォン利用者は28.3%であった。また、ネット利用といっても大半がモバイル機器を通したメールだけの利用者であり、サイト・アプリの利用者(PC通しも含む)は43.4%にとどまり、いまだに年代的なデジタルでバイトが完全に解消したとはいえない状況であることが判明した。メッセージングアプリのLINEの利用者も、70代は21.8%にとどまるなど高齢者への普及は十分でなく、ネットショッピングの利用者も70代は20.3%にとどまる。そうした背景にコスト的な問題や周囲にサポートする人がいないという状況や、ネットにまつわるトラブルに大きな不安をいだいているという現状があった。
著者
北村 潔和
出版者
日本体力医学会
雑誌
体力科學 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.127-133, 1986-06-01
被引用文献数
1 1

筋持久力トレーニングが,安静時,作業中,回復期の血流量に及ぼす影響を検討した. 筋持久力トレーニングは,3週間とし1日1回最大筋力の30%の負荷を60回/分のテンポに合わせて,1cmの高さに疲労困憊まで持ち上げることによって行わせた. 筋持久力作業は,ハンドエルゴメーターを用いて,前腕血流量(安静時,作業中,回復期)の測定は,水銀ラバーストレインゲージプレチスモグラフ法を用いて行った. 筋持久力は,3週間のトレーニングによって約171.6%増大した(P<0.001). 安静時血流量は,トレーニングによって有意な変化を示さなかった. 作業中最高血流量(P<0.01),作業終了直前血流量(p<0.05),作業終了直後血流量(p<0.05)は,トレーニングによって有意に増大した. また,トレーニング3週間目の作業中血流量は,トレーニング前に比べて作業開始直後から高い値を示した. 以上の結果は,これまでに報告されている筋持久力トレーニング効果の結果を確認し,さらに,作業中血流量がトレーニングによって増大することを明らかにしたものと考えられる.
著者
北村 勝哉 吉田 仁 池上 覚俊 佐藤 悦基 田中 滋城 井廻 道夫
出版者
日本腹部救急医学会
雑誌
日本腹部救急医学会雑誌 (ISSN:13402242)
巻号頁・発行日
vol.29, no.4, pp.565-569, 2009-05-31 (Released:2009-07-07)
参考文献数
10

本邦の急性膵炎診療ガイドラインでは,急性胆石性膵炎における緊急内視鏡治療は,胆道通過障害や胆管炎合併例に推奨されているが,治療時期や方法は施設間で相違がある。当施設において,入院72時間以内に内視鏡的逆行性膵胆管造影(endoscopic retrograde cholangiopancreatography:ERCP)を施行した急性胆石性膵炎25例を対象に治療成績を検討した。年齢は,30歳から89歳,男性が14例,女性が11例であり,厚生労働省急性膵炎旧重症度判定基準における軽症・中等症が11例,重症が14例であった。胆道通過障害や胆管炎合併を有する急性胆石性膵炎に対し,早期にERCPを用いた内視鏡治療を施行することで,膵炎の病態は改善した。しかし,内視鏡的胆管ドレナージ術(endoscopic biliary drainage:EBD)単独と内視鏡的乳頭括約筋切開術(endoscopic sphincterotomy:EST)併用EBD,および早期結石除去術と待機的結石除去術において,入院期間,結石除去率,偶発症発生率に有意差を認めなかった。偶発症として,EST後出血,およびEBD後胆嚢炎に注意する必要がある。
著者
貝原 俊樹 深水 誠二 吉田 精孝 河村 岩成 中田 晃裕 荒井 研 森山 優一 宮澤 聡 麻喜 幹博 北村 健 北條 林太郎 青山 祐也 小宮山 浩大 手島 保 西﨑 光弘 櫻田 春水 平岡 昌和
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.47, no.SUPPL.1, pp.S1_50-S1_54, 2015 (Released:2016-12-14)
参考文献数
7

高血圧症, 骨粗鬆症の既往がある83歳女性. 入院10日程前から食思不振があった. 入院4日前から食思不振が増悪し, ふらつきや1分程続く胸部圧迫感が出現した. 入院当日から動悸が出現したため, 当院を受診した. 心電図は洞調律で多形性心室性期外収縮が頻発し, 580msと著明なQT延長を認めた. 胸部レントゲンでは軽度心拡大を認めた. 採血では低カリウム血症 (2.3mEq/L), 低マグネシウム血症 (1.6mg/dL) を認めた. 検査終了後に突然強直性痙攣が出現し, 心肺停止となった. 無脈性多形性心室頻拍が確認され, 除細動150J 1回で洞調律に復帰した. 入院後は電解質を補正し, QT延長はやや遷延したものの, 心室性不整脈は著減した. また, 経過中たこつぼ様の壁運動を伴ったが, 第4病日で意識はほぼ清明にまで改善した. しかし第13病日に頭蓋内出血を発症し, 急変, 死亡退院となった. QT延長, 多形性心室頻拍に低カリウム血症, 低マグネシウム血症を伴った症例の報告は少ない. 本症例に関して, 低マグネシウム血症と心室性不整脈の観点から文献的考察を混じえ, 考察する.
著者
北村 顕一 落合 和樹 小林 俊也 山下 信太朗 大聖 泰弘 草鹿 仁 紙屋 雄史
出版者
公益社団法人 自動車技術会
雑誌
自動車技術会論文集 (ISSN:02878321)
巻号頁・発行日
vol.41, no.2, pp.477-482, 2010

実験用の燃料電池とNi-MHを用いたシリーズハイブリッドシステムを構築し,軽量2人乗りの車両に搭載した.主要コンポーネントの性能特性を把握した上で,走行性能と燃費特性を予測する数値シミュレーションモデルを作成し,各種走行条件において車両効率を向上させるための適正な制御条件を探った.
著者
西田 保 佐々木 万丈 北村 勝朗 磯貝 浩久 齊藤 茂 NISHIDA Tamotsu SASAKI Banjou KITAMURA Katsuro ISOGAI Hirohisa SAITO Shigeru
出版者
名古屋大学総合保健体育科学センター
雑誌
総合保健体育科学 (ISSN:02895412)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.13-21, 2014

Previous studies of motivation have assumed that in general, success breeds positive feelings and motivation while failure generates negative feelings and dampens motivation. However, a closer look at comments made by athletes in interviews reveals that in many cases, regret about losing a game can actually transform itself into a strong desire to win the next competition. In order to promote an academic study of the link between the feeling of not wanting to lose and motivation, this paper summarized the presentations and discussions that got underway at the Round Table Discussion, which was organized as part of the 2013 Japan Annual Congress of Sport Psychology. The authors described actual conditions and research perspectives of the "hating to lose" mentality based on the results of questionnaires, the expertise of elite athletes, and mental training for athletes". It is hoped that the Round Table Discussion will generate further research in this area.
著者
北村 敬直
出版者
東洋史研究会
雑誌
東洋史研究 (ISSN:03869059)
巻号頁・発行日
vol.20, no.3, 1961-12

In January, 1877, China Merchants' Steam Navigation Company purchased at the amount of 2, 200, 000 Shanghai Tls. Shanghai Steam Navigation Company which was an affiliated company of Russel & Company, resulting in a sudden expansion of the former's business, but this event initiated a series of public controversy on the corruption therein during 1880-81 with Wang Hsien-ch'ien playing an active part. Memorials to the throne were drafted by Liu K'un-i and Li Hung-chang, relying on the reports of investigation by Liu Jui-fen and Li Hsing-jui, while the Tungli Yamen made its own investigation as the agency in charge of such an affair. In the present article the different views and standpoints on the affair are analysed, and attempt is made to explore the effects of the China Merchants' Steam Navigation Company affair to its contemporaneous events.
著者
北村 義浩
出版者
国立感染症研究所
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1999

HIVのインテグラーゼに対するマウスモノクローナル抗体を作製し、このマウスモノクローナル抗体から単鎖抗インテグラーゼ抗体分子(scAbE)を作製した。scAbEとHIVのアクセサリータンパク質であるVprとの融合タンパク質(scAbE-Vpr)、およびVprと結合することが明らかになっているペプチドモチーフ(WxxF)を付加したscAbE分子(scAbE-WxxF)を作製した。さらにscAbEとHIVのキャプシッドタンパク質(CA)との融合タンパク質(scAbE-CA)も作製した。これらタンパク質を発現するヘクターDNAをHIV infectious clone DNA(pLAI)とともにヒト細胞293Tにtransfectして培養上清中のウイルスを回収した。ウイルス粒子のタンパク質について、ウェスタンブロット法で調べたところscAbE-VprとscAbE-WXXFは効率よくウイルス粒子内に取り込まれていた。しかし、scAbEあるいはscAbE-CAはウイルス粒子には取り込まれなかった。これらウイルスの感染性をMAGIアッセイ法にて調べた。同じ量のRT活性で比較した場合、野生型ウイルスに比べてscAbE-Vprを取り込んだウイルスとscAbE-WxxFを取り込んだウイルスとでは、感染性が最大で、それぞれ10^3倍、10^4倍低下した。scAbE-WxxFを安定に発現するHeLa細胞を樹立できたが、その一方で、scAbE-Vprを安定に発現するHeLa細胞は得られなかった。このようにウイルス粒子に取り込まれてそのウイルス粒子の感染性を低下せしめる分子は全く新規の抗ウイルス治療分子であるので、packageable ativiral therapeutics(PAT)と命名した。scAbE-Vprとは異なりscAbE-WxxFは細胞毒性を呈さず、より理想的なPAT分子と思われた。この分子はAIDSの遺伝子治療に応用できるだろう。
著者
山田 政寛 北村 智
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.33, no.3, pp.353-362, 2010-01-20 (Released:2016-08-06)
参考文献数
38
被引用文献数
3

教育学習研究において社会的存在感が着目されてきている.社会的存在感は学習意欲の向上や学習満足度の向上に対して有効であるとされているが,これらの知見は1つの社会的存在感の概念で説明されたものではない.社会的存在感の考え方が複数存在し,その違いによって研究知見も異なる.システムデザインや協調学習の評価のためには,「社会的存在感」に関する考え方や知見が整理されていることが望ましい.本稿では「社会的存在感」概念に関する考え方をSHORTらの考え方,GUNAWARDENA,TUらの考え方,GARRISONらの考え方に大別し,それぞれの考え方ごとにどのような研究が行なわれているのかを整理する.またその3つの考え方にもとづく測定法を整理することで「社会的存在感」概念が何の評価に関わるのかを議論する.
著者
大庭 哲治 松中 亮治 中川 大 北村 将之
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.70, no.5, pp.I_405-I_414, 2014 (Released:2015-05-18)
参考文献数
10
被引用文献数
3

長年にわたって地域の商業活動の中心を担ってきた商店街の衰退が進んでいる.衰退の原因は様々であるが,商店街は街の賑わいを生む場であり,他の商業施設にはない価値を有する.多様な特徴を持つ商店街の賑わいと土地利用及び業種構成の現在の関係に着目して,本研究は,京都市内86商店街の土地利用及び業種構成を現地調査によって詳細に把握した上で,賑わいとの関連性を定量的に分析した.その結果,小売業(食品系)の割合と歩行者密度は正の関連を有すること,駐車場・低未利用地の割合と歩行者密度や路線価には負の関連があること等,土地利用及び業種構成によって商店街の賑わいが異なることを明らかにした.
著者
北村 晃寿
出版者
日本古生物学会
雑誌
化石 (ISSN:00229202)
巻号頁・発行日
vol.63, pp.40-48, 1997-12-20 (Released:2017-10-03)
参考文献数
36

The middle part of the early Pleistocene Omma Formation (1.5-1.0Ma) is composed of eleven depositional sequences caused by glacio-eustatic sea-level changes associated with Milankovitch cycles (41, 000-year orbital obliquity). Each depositional sequence contains inner shelf sediments of transgressive and high-stand systems tracts. Within each depositional sequence the molluscan fauna changes from cold-water associations to warm-water associations, followed again by cold-water associations. On the basis of detailed stratigraphic distributions of molluscs and planktonic foraminifers, the following events can be recognized during the warming interval from a glacial stage to an interglacial stage : 1. initiation of inflow of the warm Tsushima Current into the Japan Sea, 2. local extinction of cold-water molluscs, 3. absence of both cold-and warm-water molluscs, 4. successful migration of warm-water molluscs. The absence of both elements may have been caused by high seasonal fluctuations of water temperature associated with the unstable inflow of the Tsushima Current.
著者
北村 享之
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.36, no.5, pp.558-566, 2016-09-15 (Released:2016-11-05)
参考文献数
27

周術期高血糖は手術予後を増悪させる独立因子である.術前管理や術後管理も糖代謝に大きな影響を及ぼしうるが,術中においては,手術侵襲だけでなく,麻酔管理方法や麻酔薬などのさまざまな因子が糖代謝を大きく変容させる.術中糖代謝管理においては,エネルギー需給バランスを維持し,高血糖が惹起しうる弊害を回避することが重要である.さまざまな因子が術中糖代謝に及ぼす影響の全容が未解明であるため,残念ながら術中血糖値管理指針は未確立のままである.この分野の研究が発展することにより手術予後の改善に寄与しうる術中血糖値管理指針が確立されることを期待したい.