著者
竹中 裕昭 藤原 靖士 朝倉 健太郎 武田 以知郎
出版者
一般社団法人 日本プライマリ・ケア連合学会
雑誌
日本プライマリ・ケア連合学会誌 (ISSN:21852928)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.109-113, 2012 (Released:2012-10-05)
参考文献数
10

要 旨目的 : 関西の家庭医が行っている地域・コミュニティアプローチの具体的内容とゴールを明らかにすること. 方法 : 対象は, 関西家庭医療研究会または奈良県家庭医療研究会 “万葉衆” の会員. フォーカスグループディスカッションを行い, 発言を記録した上で分析を重ね, 参加者チェッキングにより真実性の確保に努めた. 結果 : 関西の家庭医の地域・コミュニティアプローチは, 1. 日常診療, 2. 自分の責任エリアの明確化, 3. 医師の地域への参加と住民による医師の品定め, 4. キーパーソンと各人のやる気の評価, 5. 課題への取り組みに対する一歩引いたところからの支援, 6. 成果と達成感の評価という6つのステップから構成されていた. そのゴールについては, 住民の自律性という説と, ゴールなどないという説とに別れた. 結論 : 今まで明示されなかった関西の家庭医特有の地域・コミュニティアプローチが存在した.
著者
杉岡 裕子 荒木 英一郎 岡元 太郎 石原 靖 伊藤 亜妃
出版者
独立行政法人海洋研究開発機構
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

海溝近傍で発生する超低周波地震と呼ばれる破壊過程が異常に遅い地震は、古くから存在は指摘されていたものの(和達,1928)、陸上からの遠地観測では実態を把握するには限界があった。先行研究で実施した南海トラフでの広帯域海底地震観測では、超低周波地震を直近で捉え、観測地震波の近地項から地震に伴い生じた海底変動を初めて推定した(Sugioka et al., 2012)。本研究では、この上下変位を直接測定することを目的とし、高分解能水圧計である差圧計と広帯域地震計とを組み合わせた地動・水圧同時観測システムを開発した。本システムは固体・海洋の境界面である海底観測に有用な幅広い帯域をカバーするものである。
著者
伊原 靖二
出版者
山口県立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

竹炭を活用した生活排水の浄化と再利用を目的として、竹炭による環境阻害物質等の吸着作用を実験的理論的に検討した結果、以下の知見が得られた。(1)竹炭よる界面潜性剤含有排水の吸着処理に関する研究…煙道温度が異なる7種類の竹炭と活性炭を吸着剤に,界面活性剤の平衡吸着実験を行ったところ、竹炭は活性炭ほどの吸着作用は見られなかったが,界面活性剤に対して選択的な吸着作用が見られた。(2)環境阻害物質含有排水の吸着処理に及ぼす各種吸着剤の効果…フェノールおよびビスフェノールAの竹炭を含む各種吸着剤への吸着実験を試み、その性能を比較検討した。竹炭及び3種のポリシクロデキストリンビーズCDPB(α、β、γ-CDPB)による吸着実験から、CDPBへのビスフェノールAの吸着では、最大吸着量はγ-CDPB、吸着平衡定数ではβ-で最も高い値を示した。また熱力学パラメーターの結果から、3種の吸着はすべて発熱反応であり、PCDB自由エネルギー値より、R-CDPBの吸着が最も強いことが示唆された。(3)竹炭及び各種木質炭の物性と吸着能…竹炭及びかぼちゃや松ぼっくり等の天然の木質炭を用いて環境阻害物質の除去率を測定した。竹炭のように、比表面積も大きかった松ぼっくりは比較的どの吸着質も吸着していた。細孔の大きさと分子の大きさが吸着に影響を与えており、細孔が溶けていたり、潰れてしまっている、てっか梨やなすび、もともと細孔の数が少ない柿やまめには、分子が吸着しにくく、除去率が低くなったと考えられる。(4)竹炭及び改質竹炭による環境汚染物質の吸着処理…真竹及び備長竹炭にシクロデキストリンをコーティングした複合体を用いて、吸着能を比較検討した。その結果、真竹ではシクロデキストリンをコーティングすることで、一部を除いて除去率が高くなる傾向が得られ、備長竹炭では減少、またはほぼ変わらないという結果が得られた。この結果から、改質竹炭の吸着性能には分子サイズが影響していることが示唆された。
著者
片桐 祥雅 川原 靖弘 高田 哲 川又 敏男
出版者
国立研究開発法人情報通信研究機構
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

ストレスによる知的労働生産性低下の防止を狙いに、深部脳活動の減弱が暑熱環境暴露や高負荷印加状態でいかに注意機能を低下させるかについて神経生理学的方法に基づき調べ、頭頸部冷却刺激を中心とする深部脳賦活法を検討した。結果、注意機能維持に深部脳の高い定常的活動度と抑制・賦活パターンを呈する同期的活動が重要であり、頭頸部冷刺激はこの深部脳活動増強に寄与することを明らかにした。さらに、深部脳活動が最大となる条件を心理学的指標との相関において明らかにした。
著者
村山 伸樹 伊賀崎 伴彦 河本 雅樹 梶原 靖祐 米積 友邦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MBE, MEとバイオサイバネティックス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.612, pp.37-42, 2002-01-19

「かな」, 「漢字」, 「英単語」の認知過程を調べるためにオドボール課題を用いて事象関連電位(P300)の潜時および振幅を調べた.各文字の文字数を1文字から4文字まで増加させると, 「かな」では文字数の増加にともない潜時が有意に増加したが, 「漢字」, 「英単語」は増加しなかった.一方, 振幅は「かな」では変化がなかったが, 「漢字」では2文字で, 「英単語」では3文字で最大振幅差を認めた.このことから, 音節文字と形態素文字および音素文字の認知情報処理過程が異なっていることが示唆された.
著者
田原 靖昭 綱分 憲明 西澤 昭 湯川 幸一 森 俊介 千住 秀昭
出版者
日本体力医学会
雑誌
体力科学 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.39, no.3, pp.198-206, 1990

全国サッカー優勝チーム (1988.1) , 準優勝チーム (1987.1) を含む46名を4期に分けて, 体格, 身体組成, Vo<SUB>2</SUB>max, Max O<SUB>2</SUB>debtを測定した.得られた結果の概要は次の通りである.<BR>A.身長の平均値は, GK17&9±5.7cm, FW172.5±3.6cm, MF171.9±6.2cm, DF172.5±5.3cmであった.体重はそれぞれGK72.5±4.0kg, FW66.8±6.1kg, MF64.4±6.3kg, DF64.3±3.8kgであった.<BR>3.皮脂厚和 (8部位) の平均値は, 63.5±14.3mmであった.GKは7&5±12.6mmであった.<BR>C.%Fatは, GKが14.3±3.9%, 他のポジションは8.2~10.4%であった.LBM/Ht (kg/m) は, 全員 (N=46) の平均値で34.2±2.5kg/mであった.<BR>D.Vo<SUB>2</SUB>maxの全員の平均値は, 60.0±5.6m<I>l</I>/kg・minで, MF62.7±4.6m<I>l</I>, DF60.5±5.3m<I>l</I>, FW58.7±5.3m<I>l</I>, GK54.3±5.7m<I>l</I>であり, MFが最も高かった.<BR>E.Max O<SUB>2</SUB>debtは, 平均値で124.8±19.2m<I>l</I>/kgであった.中でもFW133.1±14.5m<I>l</I>, GK126.1±8.1m<I>l</I>で高かった.<BR>F.国見高校選手のVo<SUB>2</SUB>max, Max O<SUB>2</SUB>debt, LBM/Htが高かったのは, その年間を通して競技の特性を踏まえた体力トレーニング・練習内容と多い試合数 (年間130試合前後) に負うところが大であった.また, 資質の優れた選手が多く入部することも高い競技力に貢献している.
著者
浦田 秀子 西山 久美子 勝野 久美子 福山 由美子 田代 隆良 田川 泰 田原 靖昭
出版者
長崎大学
雑誌
長崎大学医学部保健学科紀要 (ISSN:09160841)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.43-48, 2001-12
被引用文献数
1

女子学生573名を対象に,BMIおよび体脂肪率(%Fat)による体型と体型認識との関係を検討した.BMIと%Fatとの間には相関係数0.741で高い相関関係があったが,BMIは普通群であるが%Fatが28%以上の者,いわゆる"隠れ肥満者"が35名含まれていた.隠れ肥満者は全対象者の6.1%,肥満者の71.4%であった.隠れ肥満は生活習慣との関連が高く,生活習慣の改善や,身体組成,脂肪分布を考慮した体型評価が重要である.また,「太っている」と認識している者は409名(71.3%)であった.BMIでは16から,%Fatでは16%から「太っている」と認識している者がおり,体型と認識との間に乖離がみられた.約9割の者は理想体重を現体重より低く設定しており,理想体重によるBMIは19.0であった.現代の若年女性はやせ願望が強く,誤った体型認識による健康障害を予防するためにも,医学的根拠に基づいて適正に体型認識ができるような健康教育が重要である.We examined 573 female students and analyzed the relation of the physique and the recognition of it, by body mass index (BMI) and percent body fat (% Fat). There was high correlation between BMI and %Fat by the coefficient correlation of 0.741. However, among these group with BMI in normal range, there were 35 girls whose %Fat were more than 28%, so called masked obesity. The masked obesity was 6.1% of all the object and 71.4% of the obese group (% Fat≧28%). As masked obesity is associated with the life habits, it is important to improve of the life habits, and to recognize the appropriate physique in consideration of body composition and fat distribution. And, 409 girls (71.3%) regarded themselves as overweight. Some girls with BMI of more than 16, and %Fat of more than 16 regarded themselves as overweight, thus there was disparity between the physique and the awareness. About 90% of the girls regarded their ideal body weight lower than the actual weight, and BMI by the ideal body weight was 19.0. As modern young girls have a strong desire to be thin, health education, which leads them to an appropriate recognition based on the medical basis is important to prevent health disturbance caused by the inappropriate recognition of their physique.
著者
戸澤 幸一 小林 義和 白井 健二 原 靖彦 菊地 照彦
出版者
公益社団法人 精密工学会
雑誌
精密工学会誌論文集 (ISSN:13488724)
巻号頁・発行日
vol.71, no.7, pp.879-884, 2005 (Released:2007-05-15)
参考文献数
13
被引用文献数
2 5

製品表面に付けられている微小な凹凸である表面テクスチャは製品の触覚または視覚品位や機械的性質を向上させるための一要因であるが, その作成方法を体系的に研究している例は見当たらない. そこで, 機械加工により表面テクスチャを作成するシステムを開発し, テクスチャリング処理に関する基礎的な研究を行った.
著者
万波 秀年 槇原 靖 八木 康史
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.92, no.8, pp.1373-1382, 2009-08-01
被引用文献数
6

本論文では歩容における性別・年齢の分類を決定し,その分類に現れる歩容特徴の解析を行う.まず全25台のカメラからなる多視点同期歩容撮影システムを構築し,広い年齢層の被験者の歩容を撮影することで大規模歩容データベースを構築した.性別,年齢それぞれに関して識別実験を行い,その結果に基づき,性別・年齢識別に適した分類として,子供,成人男性,成人女性,高齢者という四つのクラスを求めた.それらのクラス,及び特定の2クラスに対して,観測方向による識別性能への影響を実験を通して確認した.また,各観測方向においてクラスに特有な特徴がどの部位に現れるかを解析した.結果として,コンピュータビジョンの観点から次のような知見が得られた.(1)クラスを象徴する歩容特徴はクラスによって異なり,またそれがよく観測できる方向も異なる.(2)そのため,識別するクラスによっては,真横といった典型的に用いられる観測方向より効果的な観測方向が存在する.
著者
小野原 靖 岸本 達也
出版者
一般社団法人日本建築学会
雑誌
日本建築学会技術報告集 (ISSN:13419463)
巻号頁・発行日
no.20, pp.279-284, 2004-12-20
被引用文献数
3

In this paper, Virtual Reality System for Streetscape and Street space evaluation using the Virtual Reality system is presented. Firstly, studies on VR System using scale models, CAD models, and VR system with both scale models and CAD models in literatures are investigated. Secondly, light and small VR system using the combination of HMD and 3 axes gyro sensor, which provides view stereoscopic environments and enable us to view all direction of Streetscape, is presented. Thirdly the adaptability of this system for the Streetscape and space evaluation is investigated through two experiments. The sense of Height, Volume, Amenity, Depth, and Activeness of different stand points and those by different streets which have different width are investigated and several features of sense of Street space are clarified by the VR system.
著者
森島 繁生 八木 康史 中村 哲 伊勢 史郎 向川 康博 槇原 靖 間下 以大 近藤 一晃 榎本 成悟 川本 真一 四倉 達夫 池田 雄介 前島 謙宣 久保 尋之
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会誌 (ISSN:09135693)
巻号頁・発行日
vol.94, no.3, pp.250-268, 2011-03-01

映像コンテンツの全く新しい実現形態として,観客自身が映画等の登場人物となり,時には友人や家族と一緒にこの作品を鑑賞することによって,自身がストーリーへ深く没入し,かつてない感動を覚えたり,時にはヒロイズムに浸ることを実現可能とする技術「ダイブイントゥザムービー」について本稿で解説する.この実現には,観客に全く負担をかけることなく本人そっくりの個性を有する登場人物を自動生成する技術と,自ら映像中のストーリーに参加しているという感覚を満足するためのキャラクタ合成のクオリティ,映像シーンの環境に没入していると錯覚させる高品質な映像・音響再現技術及びその収録技術が,観客の感動の強さを決定する重要な要素となる.2005年の愛・地球博にて実証実験を行った「フユーチャーキャスト」に端を発するこの技術は,ハードウェアの進歩と2007年にスタートした文部科学省の支援による科学技術振興調整費プロジェクトの実施によって,格段の進歩を遂げた.その結果,様々なバリエーションの観客の個性を全自動・短時間でストレスなくモデル化することが可能となり,また作品の中でリアルタイム合成されるキャラクタの顔と全身,声に各入の個性を忠実に反映することが可能となった.また,同時に役者が感じた音場・視点で1人称的にコンテンツへの没入感を体感することを可能にするシステムを同時に実現した.
著者
渡邉 俊雄 藤原 靖弘 富永 和作 谷川 徹也 樋口 和秀
出版者
大阪市立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

Prostaglandin(PG)の代謝酵素である15-hydroxyprostaglandin dehydrogenase(15-PGDH)の胃癌の病態生理における役割について検討した。進行胃癌71例中35例において15-PGDH蛋白の発現は低下しており、多変量解析では15-PGDHの発現低下は生命予後の不良と関連していた。15-PGDH陰性群では15-PGDH陽性群に比較してKi67陽性率は有意に高値であった。15-PGDH発現をsiRNA法でノックダウンすると胃癌細胞株であるAGS細胞の増殖能は亢進した。以上の結果から15-PGDHは胃癌における独立した予後規定因子であることが判明した。
著者
坂尾 誠一郎 巽 浩一郎 笠原 靖紀
出版者
千葉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

慢性血栓塞栓性肺高血圧症における血栓内膜摘出術検体より分離した肉腫様細胞は、肺動脈原発血管内肉腫(intimalsarcoma)に非常に近い特徴を有することが示された。また肉腫様細胞ではmatrixmethalloproteinase(MMPs)遺伝子発現が著名に上昇していたため、抑制実験としてMMPs阻害薬のbatimastatの投与実験を施行した。その結果invitro、invivo共に腫瘍細胞増殖抑制効果を示し、以上からbatimastatによるintimalsarcomaへの臨床応用の可能性が示唆された。しかし、当初の目的である摘出血栓からの造血幹細胞分離・臨床応用に関してはさらなる検討が必要である。